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長い時間で見れば、結局、いかなる物質も崩壊してその形を失うように、ハッピーエンドなんてありえない。幸福は必ず不幸になる。そこで、巨額の富を得てからの桃太郎を研究しようということで、ある私立大学の文学部で「桃太郎のその後」の研究が進められているようだ。桃太郎が鬼が島の鬼をやっつけて宝物を略奪してきたことが、不幸の始まりだ。自分の力にうぬぼれるようになった桃太郎は、生まれて初めてみる財宝に眼がくらみ、まっとうな生活ができなくなる。近寄ってくる女に金をばらまき、ギャンブルに手をだし、身を滅ぼしていったのに違いない。桃から生まれた桃太郎と言えば、聞こえがよいが、要は桃太郎は捨て子であり、産みの親が不憫に思って2,3個の桃と一緒に赤子を置き去りにしたというのが真実と思われる。本当の母親に会いたいと願っていた桃太郎の前に、ある日突然、産みの親と称する老婆が現れ、多額の金をだましとられるということも起きただろう。そのうえ、育てのおじいさんとおばあさんも桃太郎から宝物をむしりとろうとして陰湿な家族になっていく。残念ながら、桃太郎は日記をつけていなかったので、当時を偲ぶには想像力に頼るしかないのであるが、現在、その文学部では教育学部心理学科との協力を得て、養子を迎えた家族においてその養子が大金持ちになった場合、その家族がどのように変化していくのか、実在の複数の家族の追跡調査をしている。幸いにも必ずしもその家族は崩壊していくわけではないようで、その心理学的分析によって、その後の桃太郎がどうなったのか新しい解釈ができる可能性もあるという。
Jan 29, 2006
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北海道産のイカは白いポリスチレンの皿とともに透明なラップで包まれ、北海道産と赤い字で記された丸いシールが張られた。そのシールの金色の縁取りがとても誇らしかった。北海道産のイカはさすがにプライドが高い。夜の10時を過ぎたからと、スーパーの魚売り場のおじさんに半額の値札をつけられるのを断固拒否した。売り場のおじさんが半額の値札をつけようとしても、その値札がイカを覆っている透明なラップの上に貼り付かない。つるんと値札が取れてしまう。次の日の朝には、賞味期限の切れた北海道産のイカはゴミ箱に捨てられてしまうのに、自分を安くは売らなかった。業を煮やした売り場のおじさんは、北海道産と記したシールの上に半額の値札を貼り付けたのである。もう、どこで取れたイカなのわからない。そして、売り場のおじさんが「イカが安いよ。半額だよ。」と叫んだ。北海道産のイカは、自分が単なるイカと呼ばれたことでひどくプライドを傷つけられた。しかし、そんな思いがイカの白い体をよぎる間もなく、安ければなんでもよいという中年のおばさんに買われていった。
Jan 20, 2006
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勉強するロボットを購入した。受験生のように一日何時間でも勉強すると言う。ロボットが自発的に学習し成長していくのだろう。どんな優れたロボットになるのかと期待していたが、いつも勉強しているばかりで、それ以外に何もしない。確かに勉強するロボットであった。
Jan 12, 2006
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先日、新聞の投稿欄を読んでいたら、ある奥さんが死んだ夫の日記を見ていて「○子(奥さんの名前)は理想に近かった。」という一行を見つけ、感激したということが書かれていた。自分の死後では遅すぎる。今のうちに自分の奥さんを感激させた方がよい。つい片付け忘れたという具合に机の上にでも日記を広げておけばよい。現在はパソコンで日記をつける人も多いだろう。その画面を開けておく方法でもいいだろう。しかし、問題は日記をつける習慣がない人の場合である。そこで、その人たちのために汎用性のある日記を販売しようと思う。日記であるから、少なくとも1年ぐらいは続いていないとその重みがない。何年の時でも使えるように、日にちだけは明確にするが、曜日は入れないでおく。いつ何をしたかを書くと事実と合わなくなるから、その日の感情だけ書いておく。例えば、4月3日 非常に疲れた。少し眠い。4月4日 今日も疲れた。仕事は大変だ。4月5日 やっぱり疲れた。体の調子が悪い。そして、自分の奥さんの誕生日のところだけは、特別の文章を入れておくわけだ。×月×日 ○子、誕生日おめでとう。やはり、お前は最高の女性だ。この日記は既に多くの人々から引き合いがあるが、君も関心があれば日記1年分の電子ファイルを安く譲ってあげようと思う。ただ、○子のところに自分の奥さん以外の名前をつい書き入れて、奥さんとトラブルが起きないように注意してほしい。
Jan 7, 2006
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公式には発表されていないけれども、一部の科学者は自分たちの敗北を認めている。もはやこの妖怪を倒すには「ゲゲゲの鬼太郎」にでも頼むしかないのではないかと嘆いている。ここまで書けば君たちも気づくだろう。妖怪「筋残し」のことである。年末の大掃除で気づいた人々も多かったにちがいない。必死になって窓ガラスを拭いて、さあ、これで完璧だと思って道具を片付けようとした時、ふと拭き終わったガラスを見てみると、ガラスを拭いたときの筋が残っている。改めて拭きなおし、こんどこそ終わりだと思って、もう一度ガラスを見ると、違う場所にまた拭き筋が残っている。明らかに妖怪「筋残し」の仕業である。人類がガラスを発明して以来、この妖怪との戦いは長年に渡り続いてきた。ガラスを拭くとき以外には出てこないので、多くの人々は妖怪「筋残し」に気づかず、自分の拭き方が悪かったと誤解してきたが、洗剤メーカーの科学者は早くからこの妖怪の存在に気づいていた。ある洗剤メーカーの科学者は、新たなガラスクリーナーを開発する前に神棚に向かって祈り、その原材料は神主によるお払いを受けていると言う。しかし、怪獣ゴジラに対して、自衛隊の戦車では勝ち目がないように、この妖怪に対して人類の多少の自然科学では立ち向かいようもなかった。拭いた後に筋が残らないガラスクリーナーを開発したと一部のメーカーが宣伝したことが、妖怪「筋残し」を激怒させたらしい。年末にわたしはこのクリーナーを喜び勇んで買ってきたのに、ガラスの拭き筋がたくさん残って、家内がぶつぶつと文句を言っている。もはや、打つ手はない。この無力感から来年の大掃除ではわたしはガラス拭きはやめようと決意している。
Jan 2, 2006
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