偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2012.10.28
XML
カテゴリ: 万葉

  19日の万葉ウオーク下見の記事は先日終了しましたが、香具山の北東の山裾斜面に広がる「万葉の森」での写真は割愛して居りました。
  それを今日はアップすることと致します。
  万葉歌に詠われている樹木については、それも思い付くままに記して置きますので併せお楽しみ下さいませ。

ノリウツギ.JPG (ノリウツギ)
<参考> ノリウツギ (糊空木)Wikipedia

ノリウツギ (2).JPG (同上)

ナギ.JPG (ナギ)
<参考> ナギ (梛)Wikipedia

ナギ (2).JPG タチバナ (3)(V.2012_10_21__07_44_42).jpg
(ナギの葉)           (タチバナ)

  垂仁天皇の命によって 田道間守 ( たちまもり ) が常世の国(蓬莱山)から持ち帰った不老長寿の果実、「 非時 ( ときじく ) 香菓 ( かくのみ ) 」は橘の実のこととされるが、タチバナは古代人の賞玩した植物で、万葉集にも多く詠まれている。大伴家持の歌(万葉集巻18-4111)は、田道間守がこの実を持ち帰ったことから歌い起して橘を讃えているが、その反歌を上げて置きましょう。小生が橘の万葉歌として先ず思い浮かぶのがこの歌であるから。

たちばなは 花にも実にも 見つれども
           いや時じくに なほし見がほし
                 (大伴家持 万葉集巻18-4112)
  (注)ここでの「時じくに」は、「季節外れ」ではなく「永遠に」「常に」の
     意味の方ですな。

  橘の姓は「源平藤橘」と称される代表的な姓であるが、美努王の妻で後に藤原不比等の妻となって光明子を産む、県犬養三千代に下された「橘姓」がその最初である。美努王と三千代の間の子である葛城王が臣下に下るに当り、母の姓を継いで橘諸兄と名乗るのは、天平8年(736年)のことである。大伴家持の上の歌は、家持と諸兄の関係から推測すれば、橘諸兄を意識して作られたものではないかと思われる。

タチバナ (2).JPG (同上)
<参考> タチバナ (橘)Wikipedia

  クヌギは、漢字では「檪」、「椚」とも「橡」とも書きますが、「橡」の字はトチ(栃)にも当てられるからややこしい。万葉では「くぬぎ」と言わず「つるばみ」と言っていますな。クヌギは「国木」から来ているらしいが、国中を「くぬち」と言っていますから、そんな「木・気」もしますな(笑)。

橡の 一重の衣 うらもなく あるらむ児ゆゑ 恋ひ渡るかも
                          (万葉集巻12-2968)
  <つるばみの一重の衣のように裏もなく無心で、私のことを気にもと
    めていないらしい、あの子ゆえに、私は恋い続けることだ。>

クヌギ(V.2012_10_21__07_45_12).jpg ウメモドキ (2)(V.2012_10_21__07_43_34).jpg
(クヌギ)          (ウメモドキ)
<参考> クヌギ (橡・檪)Wikipedia
ウメモドキ (梅擬)Wikipedia

ウメモドキ.JPG (同上)

  ウメモドキの木に落ちていた枯葉を手に取るとカメムシがいました。キバラカメムシという洒落たデザインの虫です。

キバラへリカメムシ(V.2012_10_21__07_42_15).jpg (キバラヘリカメムシ)<参考> キバラヘリカメムシ  (虫ナビ)

  さすがにカメムシは万葉には登場しませんが、亀は2首登場します。
  どちらも長歌ですが、一つは「藤原宮の役 (えだち) の民の作れる歌」(巻1-50)で、「 ・・ふみ負へる くすしき亀も 新代と・・ 」とある。
  もう一つは「夫君 (せのきみ) に恋ふる歌」(巻16-3811)で、
  「 ・・亀もな焼きそ 恋ひしくに いたきわが身ぞ・・ 」とある。
「亀は萬年の齢を経、鶴も千代をや重ぬらん 」は謡曲「鶴亀」の一節ですが、万葉的には「 亀は万葉に二首を得、鶴も四と七重ぬらん 」でありますな。鶴は47首も登場します。
  カメムシ曰く「ワシはカメシマへんが、ワシからどんどん話が脱線しているような・・。」
    (注)カメシマへん=カマシマへん、大阪弁。「構いません。」の意。
  ごもっとも、話を戻して、このカメムシはウメモドキにつく虫らしい。梅も万葉を代表する花であるが、似て非なるウメモドキ(梅擬)は詠われない。よって、カメムシとウメモドキは似合っているのである。
  本日は、この辺で、「おアトよろしいようで。」( つづく






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.04.19 12:18:58
コメント(2) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:万葉の森逍遥(上)(10/28)  
英坊3  さん
おはようございます。万葉の森には縁りの植物がありますね。無知な私には先に紹介しました「新港の森公園」の万葉の森コーナーでも見る目は皆無です。

「知らずとも みてほしいよと 実を結ぶ

         橘の木も 葉花も知らず」 無知麻呂

「高岡通信=新湊通信」
新湊大橋が開通1カ月すぎました。以来橋の車通交は土日は渋滞で1カ月の交通量7千台の予想が16千台・海王丸パークの入込み客も15千人で前年同月に2.6倍で盛況です。
大橋の下の「歩行者・自転車道=あいの風ロード」は来春の開通ですがEVは29人乗り、自転車も向きを変えずにのれます。だが一方深夜利用の場合はEVも蜜室状態が懸念され防犯対策が重要で最大の課題です。橋中には監視カメラ29台・非常電話5台設置ですがそれだけでは安心出来ません。東京レインボー橋のように警備員や利用時間制限もならず、警察官の巡回等はまだ未知の状態です。(橋が可動すれば45年続いた県営渡船は廃止です)問題が問題を生むですね。



(2012.10.28 08:14:31)

英坊3さんへ  
けん家持  さん
おはようございます。
 「万葉の森」や「万葉植物園」は全国にいくつ位あるのでしょうね。多くが、その後の維持管理が行き届かず、立て札に記載の歌に詠われた植物が見当たらず、雑草や別の植物が生えていたりしますが、そういうのを見ると興醒めします。
 その点、ここの万葉の森は比較的よく管理されているのでは、と思いましたが、草花ではなく樹木中心だからでしょうかね。

>知らずとも みてほしいよと 実を結ぶ 橘の木も 葉花も知らず (無知麻呂)

返歌です(笑)

蜜柑とも し難きことよ 知らざれば たちばな我を 立ちてみに来よ (橘もろええ)

 新湊大橋開通で、周辺が活性化しているご様子、結構なことであります。 (2012.10.28 11:32:05)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

けん家持

けん家持

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

コメント新着

けん家持 @ 小万知さんへ   >ひろろ様のお名前がとっても懐かし…
小万知@ Re:会津若松プチ散策(06/27) ひろろ様のお名前がとっても懐かしく、思…
けん家持 @ Re[1]:★幼児記憶散策(06/27) 龍の森さんへ   >両足を火鉢に落とす言…
けん家持 @ 岬麻呂さんへ   >会津若松は4月10日、鶴ヶ城の桜を見…
けん家持 @ MoMo太郎009さんへ   >会津若松、一度じっくり行ってみた…
けん家持 @ lavien10さんへ   >会津若松の詳細な観光案内を    …
龍の森 @ Re:★幼児記憶散策(06/27) 両足を火橋に落とす言い伝え 医師は目指さ…
岬麻呂@ Re:会津若松プチ散策(06/27) 家持様 会津若松は4月10日、鶴ヶ城の桜を…
MoMo太郎009 @ Re:会津若松プチ散策(06/27) 会津若松、一度じっくり行ってみたい町で…
lavien10 @ Re :会津若松の詳細な観光案内 をありがとうございます。昔夜の町ばかり…

お気に入りブログ

水入らず 多肉植物… New! 龍の森さん

通勤沿線 気になる… New! MoMo太郎009さん

ペリカンの家夏休み… New! ☆もも☆どんぶらこ☆さん

夏越の祓から 半夏… New! lavien10さん

七夕飾り New! ビッグジョン7777さん

夏越の祓え ふろう閑人さん

「リベラル」と「左… 七詩さん

少しの間 お休みさ… ひろみちゃん8021さん

小泉今日子  月ひと… くまんパパさん

個展のおしらせ☆ ひろろdecさん


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: