偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2024.06.03
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​​ (​ 承前 ​)
​​  6 月1日の記事の続編です。
 墓参の道の行き帰りに見かけた花と虫です。

(ノビル)
 ノビルは春の若菜の一つで、その鱗茎と葉は食用とされた。
 古事記(景行記)に、ヤマトタケルが足柄の坂本で食事をしている時に、坂の神の化身の白鹿に遭遇し、食べ残しの蒜の片端を投げてこれを打ち殺したという話が記載されているが、蒜にはその強い臭みによって神を打ち殺してしまうほどの呪力があると信じられていたのである。
<参考>
山河 やまかは ノ荒ぶる 神等 かみども 平和 やは かへ のぼ いでま す時、足柄之坂本に到り、 御粮 みかりて ところ 、其ノ坂ノ神白き 鹿 ちぬ。しかして、即ち其ノ のこ したまへる ひる 片端 かたはし ちて ちたまへ 、其ノ目に あた りて すなは ち打ち殺したまひき。 (古事記・景行記)
 以前の記事でも紹介したかと思うが、万葉集にもノビルの歌がある。

​醤酢​ ( びしほす ) に  ( ひる ) ​搗​ ( ) ( ) ​​ てて 鯛願ふ われにな見えそ  水葱 ( なぎ ) ( あつもの ) ​​
                   ( 長意吉麻呂 ( ながのおきまろ )
​ 万葉集巻 16-3829
<醤と酢に蒜をつき加えて、それをソースにして鯛を食べたいと願っている私に水葱のスープなんかは見えないでくれ> ​​ ​​

​​  長意吉麻呂さんは、宴会の席のその場で与えられた「お題」いくつかを折り込んだ即興歌を詠む名人だったようで、万葉集巻16には彼が詠んだその種の歌8首が掲載されているが、上の歌はその中の1首である。
 この歌には、「酢、醤、蒜、鯛、水葱を詠みし歌」との題詞が付されているから、この五つの物を折り込んだ歌を詠め、というリクエストが宴会の同席者の誰かからあったのだろう。
 即座にこのような歌が詠めるとは、大した才能である。

(同上)
 まあ、ノビルとしては、こ花の美しさ、可憐さを詠んだ歌で万葉集にデビューしたかったのではないかと思うが、それは叶わなかったようです。
 次は、またまたヒメコバンソウであります。

(ヒメコバンソウ)
<参考>​ ヒメコバンソウ ​・Wikipedia ​​​
 先月7日の銀輪散歩
(ブログ記事では5月12日) で撮影したヒメコバンソウはまだ緑色であったが、今月1日の墓参で見かけたものは、もみぢするのは少し早過ぎるような気もするが、黄色く色づいていました。
<参考>​ 銀輪花散歩・桃の小道 ​ 2024.5.12.
 次は、オオキンケイギク。
 これも、何度か過去記事に登場している花であるが、墓参の途中の民家の庭先に咲いていたもの。
<参考>​ 墓参&花散歩 ​ 2023.7.4.
 道路からは少し奥まったところに咲いていて距離があり、遠目にはキバナコスモスかと思ってカメラを向けたのであるが、ズームで撮った写真をよく見るとオオキンケイギクであったという次第。

​(オオキンケイギク)​
<参考>​ オオキンケイギク ​・Wikipedia
​​  オオキンケイギクは、「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されている特定外来生物で、カワラナデシコなど在来種に悪影響を与えるとして、現在は、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」により、その栽培、譲渡、販売、輸出入などが、原則禁止となっているのだが、これは庭先に勝手に生えて増えてしまったということなんだろうか。
 菊つながりで、次はシロタエギク。
 これも地中海原産の外来植物であるが、オオキンケイギクのように生態系への悪影響を与えるおそれのある植物ではない。

(シロタエギク)<参考>​ シロタエギク ​・Wikipedia
 そして、これはヒベルティア・スカンデンス。
 こんな舌を噛みそうな名前の花は知っている筈もなく、ネットで調べて行き着いた名前であります。

(ヒベルティア・スカンデンス Hibertia scandens)
 覚えにくい名前であるから、「へべれけは好かんでんす。」とでも覚えて置くか(笑)。
 オーストラリア、ニュージーランド原産の蔓性の樹木
とのこと。 ​​​
 西側窓を覆う形で西日を遮蔽するグリーンカーテンとしてこの植物を利用されているようです。
 次は、お馴染みのヤマボウシ。

(ヤマボウシ)<参考>​ ヤマボウシ ​・Wikipedia
 しかし、よく見かけるヤマボウシとは雰囲気が違う。
 花のサイズがやや小ぶりなこと、花の色が黄色がかっていること、葉に光沢と厚みがあり常緑樹っぽい葉であること、などが、普通に見かけるヤマボウシとは異なる印象を与えるのだろう。
 園芸品種として改良が加えられたヤマボウシではないかと思う。

(同上)
 そして、これは「花」と言うべきか、「虫」というべきかが微妙な、エノキハトガリタマフシであります。
 先月の墓参の折に目にしたエノキハトガリタマフシという虫こぶですが、その時は緑色であったものが、黄色、薄茶色へと変色し始めているようであったので、再度撮影してみました。
<参考>​ 墓参・ナガサキアゲハほか虫散歩 ​ 2024.5.4.
 エノキトガリタマバエという蝿がエノキの葉に卵を産み付けると、その卵または卵から孵化した幼虫が放つ何らかの物質に反応して、葉の細胞がこれを包み込むように分裂成長し、このような虫こぶを形成するのだろう。
 この虫こぶをエノキハトガリタマフシといい、この虫こぶ形成の原因をなした蝿をエノキトガリタマバエという。
 フシにはハが付き、ハエにはハが付かない、まことにややこしい。

​(エノキハトガリタマフシ)
<参考> 森林生物・エノキトガリタマバエ
    ​ 虫散歩・虫こぶと繭 ​ 2022.5.3.
 次は、正真正銘の虫、ナミテントウです。
 ナナホシテントウと同じくナミテントウも肉食の虫ですから、益虫。
​​​
(ナミテントウ)<参考>​ ナミテントウ ​・Wikipedia
 最後は、モンシロチョウ。

(モンシロチョウ)<参考>​ モンシロチョウ ​・Wikipedia
 以上、二日遅れの花&虫散歩記事でありました。
<参考> 虫関連の過去記事は​ コチラ ​。
    花関連の過去記事​​​​​​​は下記の通り。
    ​ 花​​​(5) ​・2022~​
花(4) ​・2020.4.~2021
花(3) ​・2017~2020.3.
花(2) ​・2012~2016
花(1) ​・2007~2011

​​​​​​​​​





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最終更新日  2024.06.04 10:06:57
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