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2025.05.18
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カテゴリ: 映画➕アルファ
2025/05/18/日曜日/蒸す。南九州既に梅雨入り


土曜日は雨、と聞いて咄嗟に映画予約
お目当ては ガールウィズニードル


デンマーク映画
とは珍しい。


↓これは昨年過ごしたデンマークの、宿舎ダイニングの壁のポスター、関係は何もないけれど。



時代は第一次世界大戦


ヨーロッパの人びとにとって最も忌むべき、 夥しい数の若者の犬死にの、虚しい記憶。


場所はコペンハーゲン

、近代はヨーロッパの中でも貧しい、北欧寄り アンデルセン な小国の首都






そこそこに恵まれたアパートの家賃のツケが払えず急遽追い出されるハメに陥った カロリーネ

没落貴族風の寡婦親子が部屋を借りようと下見する。ぐずれば、品も教養もありげな母親から激しく打たれる幼な子。


裕福な親戚の援助でもなければ、女一人生きて行くことは困難な時代にまして子どもの権利なぞ、欧州人も未だ発見していないのだ。


❶カロリーネは女一人で、なぜそんなアパート暮らしができたのか。


ともかく、アパートを追い出された彼女はへこたれない。
縫製工場で働き口を見つけ、水道もない屋根裏の間借りの 唯一の窓をこじ開けたとき、彼女は編み針と編みかけの毛糸を持ち出し屋根の上で編む。

屋根の上のニッター。
束の間の開放感と自立。

彼女はおそらく手製のニットキャップとマフラーが繋がったような不思議な帽子を被り工場へ通う。

❷きちんとしたツバ付き帽子の大勢の女性労働者たちとは明らかに異なり、際立つ個性。
それは何を意味するのか。




夫が戦死した寡婦のための手当ての手続きを経営者に願い出るなどを通して、惹かれ合う二人。

それがまあ。いきなり街の路地の奥で立ったままで。思春期のホルモン犠牲者のような、手続きなし欲望を果たすのみ、な行為に唖然とする。避妊もへったくれもない。

これを恋というのか疑問は残るが、欲望のストレートさは肉食人種のそれ、と理解する。

そうそう。イタリアの安宿の隣室の凄まじさに驚天動地したことを思い出す (゚Д゚ )


カロリーネ、やはりの妊娠。経営者に堂々結婚を求める。その態度は他の女性と同じ帽子を被るようになっても、 見えない特別のシャポーを感じさせる



これぞ❷の解か。今のカロリーネは目には見えねど内在させた独自の個性が息づく。


そんな矢先、戦死したと思っていた夫が現れる。 顔の半分以上が破壊されて。

なるほど❶の疑問氷解する。彼女は戦前はゆとりある暮らしの主婦だったのだろう。しかし身の処し方は粗野で、細いのに強靭さがある彼女は都会育ちではないのだろう。


自分は豪奢な館の女主人になれるのだ。徴兵を免れる、ドレスをプレゼントしてくれる夫を得たのだ。

という泡沫のゆめ。なのかどうか。


結婚を承諾する彼は、財産所有者である母親からの財産放棄を明言され、結婚を取りやめてしまう。

当時にあっても資本力の前に男女の格差はない。
しかし身分制度は厳然とあった。


ここで描かれる世界観よ。
人びとを不幸に閉じ込める檻よ。

雇用も解かれ、体よく捨てられた彼女は湯屋の湯船で一人、金属の編み針で堕胎を試みる。

湯船から彼女を掬い上げた女性こそ、闇で子を間引いていた砂糖菓子屋!の女主人であった。
砂糖、苦いかしょっぱいか。



これは当時の実話に基づくものという。


ところでこんな湯屋が当時コペンハーゲンにあったのだなぁ。トルコ式風呂のようでもあるけれど、それに湯船が付随している。

パリかどこかでそういうお風呂に入ったレポートを読んだ記憶がある。 堀内誠一 さんかな?
男風呂は同性愛者の巣窟だったみたい-_-b 裸は人を本来の姿にし、根源的な欲求に委ねさせるように思うけれど、それさえも道に描く日本映画、なかなか。

大きなお腹を抱えながら肉体労働で糊口を凌ぐカロリーネが、サーカスの見せ物として登場する夫のおぞましい顔に口付けする場面はキリスト者の勁さと愛を覚える。


それでもああ、路上で妊娠した娘を路上で産み落とし、翌日には養子縁組斡旋の、砂糖菓子マダムの店に向かい、結局は家を飛び出すのだ。

夫が新生児のためのベッドを買ってくる姿を建物の陰から見やりながら。

砂糖菓子店で居候しながら、新生児を連れてくる女たち。その赤ん坊にしばらく乳を含ませる生業?を得てマダム親子とカロリーネの生活が始まる。


彼女は乳を含ませる内に母性愛を発露させていく。
自身の娘に対しては持てなかった愛情が花開くのである。

健やかな母子の関わりはなんと言っても母親を脅かすものが無い場所でこそ。

心身に対して根源的に素直で開かれたカロリーネは、養子縁組と表層されていた事実を知り、錯乱の末、薬物の影響もあってか屋根から身を投げてしまう。

まさにその時に、警察官の立入がありマダムは逮捕される。娘は孤児院に引き取られる。


ぼろぼろのカロリーネは野外のサーカステントに辿り着く。薬を発する彼女に、夫は哀れみを持ちながら拒絶する。
彼もかつては戦争PTSDでモルヒネ常用者だったのである。


マダムの裁判を傍聴するカロリーネはそこでマダムのおそらく血のつながらない娘への親子の情愛を発見する。その眼差しが尊いのだ。

36人もの嬰児×シ。善男善女の罵詈雑言、糾弾。

もしも自分には全く罪がないと思うものは、この女に石を打ちなさい。 ああ。


正義とか平和とか、そんな我らの肩に掛かっているのだ。そんな高等な理念に値するのか我ら。







さて、それからしばらく時が経ち。
聖家族が一つ地上に誕生する。


この映画はハッピーエンド、希望が見出せる。








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最終更新日  2025.05.18 17:44:00
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