小説を書こう!

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2004.12.26
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 私の母は、自分の果せなかった理想を自分の娘で実現しようといつも一生懸命になっているような人間でした。
母はいつだって私自身を見てはくれなかった。母の中にある私の理想像しか見てくれなかった。
私は母から見捨てられる事を恐れて、たとえ母が私自身を見てくれていなくても構わないから、母の中にある理想像を演じ続けました。だって、それを演じ続けさえすれば母の目は私に向いたのだから。その目が私自身に向いているのではなくて、母の中にある私の理想像しか見ていないと痛いほど分かったとしても、私はそれ以外のなすすべを知りませんでした。私はただ、母から見捨てられる事だけが怖くて、母以上に一生懸命その理想像を演じ続けたのです。
私が十五歳の時です。私は母と二人でいるときにこんな言葉をぶつけられました。
「どうしてあんたは、愛美のように明るく振舞えないのかね?」
 私は、驚きました。
「どうしてそんなこと言うの? 今までお母さんが望んでいるような子になろうと一生懸命努力してきなのに…」
 そんな言葉が喉のすぐそこまで出掛かりました。だけど私はその言葉を飲み込んだのです。その言葉を言ってしまったらきっと何か取り返しの付かないことになる、何かが終わってしまう。そのような思いが私の言葉を凍りつかせたのです。
「あなたは、無口で何を考えているのか分からない不気味な子だよ」
 母は私を氷のような眼で見ながら、氷のように冷たい言葉を吐きました。
 私はその母の姿に、悲しい、というよりもむしろ絶望しました。それは、一生懸命、母が気に入るだろう私を演じてきた私の努力が全て無駄であったのだろうかという自分自身に対する絶望でもあったし、母のイメージが代表しているこの世界そのものに対する絶望でもあったのです。






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Last updated  2009.01.12 11:16:36


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