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2009.10.30
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「施設? そんなもんどこにあるんだよ? あるんなら俺がとっくに連れてってるよ。・・・なぁ教えてくれよ! 一体どこにあるんだよ!? それに苦しんでるのはこの子たちだけじゃない。帝都には何万という浮浪児がいるんだ。あんたその全員をどうやって助けてあげるんだよ!?」

「怪人二十面相」と言えば、誰でも江戸川乱歩の小説を思い出すはずだ。
だが本作「K-20」は登場人物こそ同名キャラクターではあるが、内容は全く別モノで、演出家であり劇作家でもある北村想の原作である。
作品の時代設定が昭和20年代で、しかも太平洋戦争が起こらなかった場合の日本を舞台にしているというのが実にユニークな発想だ。
また、ネタバレをお許し願いたいのだが、怪人二十面相その人が実は名探偵明智小五郎であったという結末も、単なるファンタジー作品では終わらない、ひねりのあるストーリーテリングであった。

昭和20年代、大日本帝国はアメリカと平和条約を結ぶことにより、第二次世界大戦を回避することができた。
その結果、19世紀から続く華族制度が連綿として存続し、格差社会が生じていた。
極端な貧富の差は治安を悪化させ、巷では怪人二十面相なる者が富裕層をターゲットに犯罪を繰り返すのだった。
20091028b

彼は「レッド・クリフ」でインテリ孔明役を演じた経歴もあり、「K-20」の遠藤平吉役とはまるで異色のキャラを難なく演じた切れ者である。
この金城武がサーカス団の軽業師として、末端に生きる庶民の一人という役どころを演じた点を多いに評価したい。
作中にもあるが、怪人二十面相と誤解され警察に囚われ拷問を受け、残酷なまでに身を落としたものの、努力して努力してやっとの思いで泥棒家業や逃走術を身につけたり、人間として「負けてなるものか!」と不屈の精神で這い上がるプロセスは胸を熱くさせる。
最初から最後までファンタジックで、それでいて適度なミステリアスさを持ち合わせており、視聴者を充分に喜ばせ、楽しませてくれる。
日本的で、実に正統な娯楽映画なのだ。

2008年公開
【監督】佐藤嗣麻子
【出演】金城武、松たか子、仲村トオル

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2009.10.30 15:34:29 コメントを書く
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