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2014.05.04
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カテゴリ: 映画/戦争・史実
【セントアンナの奇跡】
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「妙なんだ」
「何が?」
「ここではニガーじゃない。“俺”なんだ」
「同感だな」
「イタリア人は黒人差別を知らない。今、俺は自由だ。恥ずかしいよ、外国の方が自由だなんて。アメリカの未来に懸けてたのに」


第二次世界大戦では、日本はドイツとイタリアとで三国軍事同盟を結んだ。
そのイタリアのトスカーナを舞台に、ナチス・ドイツが殺戮を犯していたことは、皆さんご存じであろうか?
吟遊映人は不勉強のため、まさか同盟国の間でそのような卑劣極まりない行為がくり広げられていたとは知らなかった。
本作は史実に基づき、セントアンナ教会におけるナチス・ドイツの大虐殺をめぐるストーリー展開になっている。
前線で生き残った4人の黒人兵士たちの中の、大柄だが気は優しいトレインが、イタリア人少年アンジェロを助けるところから様々なミラクルが巻き起こる。
もちろん少年は神でもなければ天使でもないため、トレインが「かわいそうだ」と不憫に思う純粋な“情”から発せられた偶然の賜物であったに違いない。
作中にもあるが、イタリアではアメリカのような黒人差別の意識が低く、トレインのことを“チョコレートの巨人”と言って懐く。
つまり、白人少年にとってトレインは決して“ニガー”ではないのだ。
そんなことからも分かるように、「セントアンナの奇跡」の根底には、戦争に対する反発や糾弾もさることながら、人種差別への痛烈な批判も込められていることも見逃せない。
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ある日、一人のイタリア系白人の男が切手を買いに来たところ、ヘクターの顔色が変わる。
ヘクターは躊躇することなく拳銃を取り出すと、その白人男性を射殺するのだった。
捜査官は、ヘクターの前歴や精神状態を確認するが、特に異常はなく、ただ家宅捜査の際に見つかったのは、長年ゆくえ不明とされていたプリマヴェーラ像(石像の頭部)であった。

印象的だったのは、トレインが肌身離さずプリマヴェーラ像を抱え、祈りを捧げるようにその顔を撫でていたこと。

また、信心深いヘクターは、絶えず首から提げた十字架にキスをしていたことだ。
人は窮地に立たされた時、すがるような思いで祈りを捧げる。
我々が生きているのは、そうした祈りの連鎖が生み出した奇跡なのかもしれない。
本作は、様々な視点から戦争という悲劇を描き出しているのだ。

2008年(米)、2009年(日)公開
【監督】スパイク・リー 【出演】ラズ・アロンソ、デレク・ルーク

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最終更新日  2014.05.04 05:37:40
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