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(C)原泰久/集英社 (C)2022 映画「キングダム」製作委員会「キングダム」を2020.5.30にテレビ放送で見た時に、スケールの大きい活劇なので続編は映画館で見ようと思っていた。さらに、後押しをしたのは今回出演した清野菜名の存在だ。アクションに定評があり、その見事さを聞き及んでいたのでぜひともスクリーンで見たくて映画館に足を運んだ。清野菜名は自らアクションをすべてこなしたとのことだが、同じくスタントマンを使わなかった山崎賢人ともどもすばやい動きであった。彼らのこのアクションを見るだけでもスクリーンで見るべき価値はあると思う。ただ、あまりに超人的な動きはワイヤーアクションのワイヤーが感じられ、やややりすぎの感じは否めない。時代も場面も背景もよく理解できないまま見てしまった作品ではあるが、それらを配慮することなく戦略に長けた戦いを楽しめばいいと思う。さらに続編が2023年に公開される。ぜひまたスクリーンで見たい。期待する。ところで、この作品は絶賛したいと思えるが、2点だけ気になったところがある。◎注意! <ネタバレ>大いに気になったのは騎馬隊が敵地を抜けて丘に駆け上がるシーンである。ずっと待機を命じられ、ようやく参戦した騎馬隊。その一部が敵地を抜け丘を駆け上がる。騎馬隊を分離した時点で騎馬の数が少なく、敵地を抜ける時点で交戦のため倒れる騎馬もいた。丘を駆け上がる騎馬は10騎ほどしかいないように映されていた。そして、敵は弓矢隊が雨のように矢を放ってくる。最初の矢で3騎はやられた。とすればあと7騎しかいないはず。その後も矢は2の矢、3の矢と矢継ぎ早に放たれてくる。この数ではとても丘の上まで到達できないと思えたが、いくら矢を放たれても、騎馬がやられても、総数は全然減らない。騎馬隊隊長が倒れて囲む騎馬兵も10名ほどいた。この違和感、違っているのだろうか。次の1点。クライマックスで敵味方、将軍同士が一騎打ち。多勢に無勢であるのに、なぜわざわざ一騎打ちを受けるのか不思議、そして、その一騎打ちが一瞬で終わってしまうつまらなさ。一撃必殺の妙味を見せたかったのかもしれないけれど、秘技を出すわけでもないから、感心できず。同じ一騎打ちなら映画「最後の決闘裁判」のマット・デイモンとアダム・ドライバーの死闘の方がよほど良い。とはいえ、そんなところに気を遣わず、大いにはまって、楽しんで見てください(笑)2022年/日本/134分/G監督:佐藤信介原作:原泰久脚本:黒岩勉、原泰久出演:山崎賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、満島真之介、岡山天音、三浦貴大、真壁刀義、山本千尋、豊川悦司、要潤、加藤雅也、高橋努、渋川清彦、平山祐介、玉木宏、小澤征悦、佐藤浩市、大沢たかお、高嶋政宏 お薦め度「キングダム2遥かなる大地へ」★★★★(80%)
2022.07.20
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(C)2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.見逃していた「ハウス・オブ・グッチ」を見にギンレイホールまで出かけた。クライマックスでグッチ三代目マウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)が銃撃されて死亡した。その事実を知らなかったので衝撃を受けた。その時代を生きていたのに、この事件を知らなかったことに驚く。さて、物語はグッチのお家騒動を三代目が結婚相手パトリツィア・レッジャーニ(レディ・ガガ)に出会う頃から、殺害事件の裁判までを描く。ファッション業界のきらびやかさと骨肉の争いが描かれるかと思ったけれど、描かれたのは三代目の恋と家族の対立であった。血縁だけで経営能力のない人間が経営することの悲惨さをもっと如実に辛辣に描いていれば見ごたえのあるドラマになったかもしれないけれど、三代目の妻の視点で愛憎に力点を置き、終始嚙みつくだけの女の話とした点で興味も見どころもなくなってしまったのかも。年老いてしまったアル・パチーノの名演技に感心し、ソフィーア・ローレン(マダリーナ・ゲネア)の長身のスタイルの良さに目を見張った。裁判で「マダム・グッチと呼べ」といったパトリツィア(レディ・ガガ)は哀しかった。2021年/アメリカ/159分/PG12監督:リドリー・スコット原作:サラ・ゲイ・フォーデン原案:ベッキー・ジョンストン脚本:ベッキー・ジョンソン、ロベルト・ベンティベーニャ出演:レディー・ガガ、アマム・ドライバー、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ、ジャック・ヒューストン、サルマ・ハエック、アル・パチーノ、カミーユ・コッテン、ガエターノ・ブルーノ、リーブ・カーニー、マダリーナ・ゲネア、キャサリン・ウォーカー原題:House of Gucci(「グッチの家」)お薦め度「ハウス・オブ・グッチ」★★★(60%) 字幕翻訳:松浦美奈
2022.07.09
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(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED人身売買、赤ちゃんを売買するブローカーのおどろおどろしい物語だろうと思っていた。見始めると違った。韓国で撮ったからこの作品になったのか、この作品を撮りたかったから韓国で製作したのか。まず、監督が韓国へ招聘されたとみるのが妥当なので、韓国だからこの作品にしたのだろう。日本では描けないし、日本ではありえない。出演者はみな普通の人々であってとびきりの美男美女はいない。庶民的というか普通の人々である。人身売買ブローカーを摘発するために潜伏捜査を、尾行を続ける女刑事たちと彼女らにつきまとわれるブローカーとそれにかかわる人々。前面には出てこないが裏社会、ヤクザ者が登場する。また、別のヤクザ者が殺されることにより殺人事件の様相を呈してくるが、描かれるのは和気あいあいとした疑似家族のようなブローカーたち。同行する孤児の男の子がムードメイカーで存在する。子供を捨てた母には母なりの理由があり、捨てられた子供は子供なりに顔の知らぬ母を思い続けるようである。犯罪映画ではあるが人と人との交流が胸に迫り、じんとくる内容であった。日本的というより是枝裕和監督的人間愛映画である。2022年/韓国/130分/監督:是枝裕和脚本:是枝裕和出演:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨン、パク・ジヨン、イム・スンス、カン・ギルウ原題:Broker(「仲介者」)お薦め度「ベイビー・ブローカー」★★★★(80%)字幕翻訳:根本理恵
2022.07.03
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(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.「鏡、櫛」「カガミ、クシ」手鏡と櫛をもって、学生の列に声をかける女性。白い短パンからすらりと伸びた足が印象的だ。生徒たちは無視して通り過ぎる…と、ひとりの男の子が「カガミ」と手鏡を…結婚する女性にあったと、15歳の生徒は25歳の係員を食事に誘う…15歳と25歳の出会い。俳優として活動する男の子に食事代を払う稼ぎはあったのだ。友達以上、恋人未満。厳粛なユダヤ教の家庭の三人娘の末っ子である25歳の女性。鍵っ子で8歳の弟の面倒を見る15歳の男の子。それぞれが異性との交流がありながら、微妙な関係のまま…。1970年代のロスを舞台に描かれる二人の軌跡。この作品のような淡く濃密な関係を監督もしたのだろうか。あやうげで納まりのつかない不安定な日々を過ごしたのだろうか。ありしの我が身も思い返しながら、胸騒ぎを感じるように見た。ショーン・ペンやブラッドリー・クーパーの出演に驚く。2021年/アメリカ/134分/PG12監督:ポール・トーマス・アンダーソン脚本:ポール・トーマス・アンダーソン出演:アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフティ、エスティ・ハイム、ダニエル・ハイム、ドナ・ハイム、モチ・ハイム原題:Licorice Pizza(「リコリス・ピザ(レコード店名)」)お薦め度「リコリス・ピザ」★★★★(80%)字幕翻訳:松浦美奈
2022.07.02
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(C)2022 Paramount Pictures. All rights reserved.公開2週目なのにシネコンで一日二回の上映とは…こけたのか?予告編と番宣を見てひそかに期待していた映画作品。サンドラ・ブロックにブラッド・ピットが出ている。主役相手役はチャニング・テイタムであるけれど。さらにダニエル・ラドクリフ。出演者は申し分ない。だとしたら、何が…。ストーリーがダメなんだとわかった。展開に驚きがあり楽しめたりするけれど、ダニエル・ラドクリフの力演が目に付くし、よくわからないクライマックス。これでは感動も驚きもない。最悪だったのは最上の驚きだったブラッド・ピットの扱いがクレジットの途中で流されるおまけ映像で台無しになっている点。製作者たちはこの冒険物語がなんたるかを全く分かっていなかったのではないだろうか。オープニングの小説創造のシーンがいらない。カツラともろばれのアラン(チャニング・テイタム)のバレバレ感。一人テンションが違うアビゲイル(ダアニエル・ラドクリフの力演は良くもあり悪くもあった)、気に入らないところをあげればいくつも出てくると思える。活躍するサンドラ・ブロックを見てみたかったなぁ…。2022年/アメリカ/112分/G監督:アダム・ニー、アーロン・ニー原案:セス・ゴードン脚本:オーレン・ウジエル、デイナ・フォックス、アダム・ニー、アーロン・ニー出演:サンドラ・ブロック、チャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、ダバイン・ジョイ・ランドルフ、オスカー・ヌニェス、パティ・ハリソン、ボーウェン・ヤン、ブラッド・ピット原題:The Lost City(「失われた都市」)お薦め度「ザ・ロストシティ」★★☆(50%)字幕翻訳:
2022.07.02
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9232-2437 Quebec Inc - Parallel Films (Salinger) Dac (C) 2020 All rights reserved.邦題「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」は間違っていないけれど、内容を知り、原題を見るとこれでいいのかな?と思ってしまった。原作が「サリンジャーと過ごした日々」で出版されている。アメリカのニューヨークに友人を訪ねて出てきた作家志望のインテリ女子は地元に帰らず、地元の彼を顧みず、友人宅に居候し、出版エージェントの助手の仕事を得た。彼女の仕事は隠遁生活を送っていたサリンジャーに届くファンレターに「作家は返事を書きません」というタイプライターでの手紙を返送することだった。ただ、ジョン・レノンの事件のことがあるので、届いた手紙には目を通すことになっていた。文学愛好家、作家志望の人々と交流し、小説を書く彼もできる。彼女は敏腕エージェントのもとで、サリンジャーからの電話を取り次いでいた。出版業界における不思議な人間関係。元彼と今彼との比較。本を書き続けることの意義。見ていて、突然、私は泣いてしまった。泣くとは思っていなかった。何が私の琴線に触れたのか。それは、主人公ジョアンナの目覚めと一致しているのかもしれない。作家への夢を抱え、さりとて、それをおくびにも出さず日々手紙を読み返事を出し続ける。仕事において裁量を発揮し、エージェントの仕事も任されるようになる。けれど、…けれど、彼女は本を書きたいのだ。本を出したいのだ。彼女はサリンジャーを読んだことがない。「ライ麦畑でつかまえて」を読む、「ナイン・ストーリーズ」を読む、「フラニーとゾーイ」を読む…私もサリンジャーを読んだことがない。さて、サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」を読んでみようか…。主人公ジョアンナにマーガレット・クアリー。映画の終盤に「ストレンジ・アフェア」の主役の女優だと気づいた。いい作品で女優として花咲かせてほしい。共演はシガニー・ウィーバー。見事な上司役であった。2020年/アイルランド・カナダ/101分/G監督:フィリップ・ファラルドー原作:ジョアンナ・ラコフ脚本:フィリップ・ファラルドー出演:マーガレット・クアリー、シガニー・ウィーバー、ダグラス・ブース、サーナ・カーズレイク、ブライアン・F・オバーン、コルム・フィオール、セオドア・ペレリン、ヤニック・トゥルースデール、ハムザ・ハック、レニ・パーカー、エレン・デビッド、ロマーヌ・ドゥニ、ティム・ポスト、ギャビン・ドレア、マット・ホランド原題:My Salinger Year(「私のサリンジャーの一年」)お薦め度「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」★★★★☆(90%)字幕翻訳:内海千広
2022.06.11
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(C)2022「マイスモールランド」製作委員会この作品、入管関係者に見てほしいと思った。しかし、それは違っていて、難民を認定する人々というか、いや、それよりもっと法律制定者、いわゆる国会議員や外務省などの現場を知らない人々に見てほしいのだと思った。クルド人という名称を聞くだけで、なんとなく避けたい気持ちになるのはなぜなんだろうと思いながら見た。この映画の中の日本人同様、どこの国?どこにあるのかわからない。映画を見て、ユダヤ人と同じように国を持たない民族なんだなと知った。もっともユダヤ人はイスラエルという国が作られた。そのイスラエルではずっと紛争が続いている。さて、この作品を見ていても、何をもってビザを取り消したのかよくわからない。そして、ビザの取り消しによって、就労できなくなったり、他県への移動が制限される。ググってみたところ、映画で描かれていることが現行の難民ビザとは異なるようである。間違った情報を与えてしまってはいけないと思うけれど、おおむねそうであり、難民申請が通らず苦慮している日本在住外国人がいるということであろう。そして、この映画で入管に拘留された父親の件は解決しないまま、その子供である彼女たちの身分も確定しないまま。クルド人を演じたカーフィザデー一家は家族で参加しているせいか、演技をしている感じを与えません。自然な感じのように見られた。主人公・チョーリャク・サーリャ(嵐莉菜)の相手役となっ奥平大兼の自然な演技に脱帽した。彼の素のままのようなしぐさが好感が持てる。日本の入管の問題点、考えて見るべきである。2022年/日本・フランス/114分/G監督:川和田恵真脚本:川和田恵真出演:嵐莉菜、奥平大兼、アラシ・カーフィザデー、リリ・カーフィザデー、リオン・カーフィザデー、韓英恵、吉田ウーロン太、板橋駿谷、田村健太郎、池田良、サヘル・ローズ、藤井隆、池脇千鶴、平泉成お薦め度「マイスモールランド」★★★☆(70%)
2022.06.11
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(C)2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.トム・クルーズのトム・クルーズによるトム・クルーズのための映画「トップガン マーヴェリック」。実写だ実写。CGを使っていないということが、話題となっているが、まったく、ぜんぜん使っていないのか?だとすれば、ヘリや戦闘機が爆破されたところは、爆破したのだろうか?という素朴な疑問を持ちつつ…でも、訓練飛行とか作戦飛行とかの飛行シーンは実写なのだなと思いながら見た。若ぶりの年齢を感じさせないトム・クルーズが演じるマーヴェリックは現役であっても最前線の飛行機乗りから降りることを考えると本来ならアラフォーの設定なのではないかと思えた。撮影時は56歳であったが、10歳ほど若い設定であるに違いない。と思い、ググってみると2010年にこの続編が提案されれているから今から12年前でトムは47歳、小さな役どころとなり脇に回るはずだった。この時点でもトムの実年齢よりはやや若い設定で作られるはずだったと思える。年齢だけを考えると違和感を感じるかもしれない。また、そんなところに気を遣う観客は私だけかもしれない。続編を提案した「トップガン」の監督トニー・スコットが自殺したことにより中断してしまった。最新鋭のドローンなどにより戦いを予定されていたけれど、中断から再開した時には最速戦闘機での戦いにかわったようである。そして、マーヴェリックが主軸となったと思える。それにしても、トム・クルーズ最強である。自分で金を出し、自分で主演し、大ヒットさせる。いまどき、これだけのハリウッドスターは唯一無二、トム・クルーズだけだろう。素晴らしいハリウッド映画であった。【ネタバレ】物語がどうとかいうことではない。ただ感想。この作品が作られた当時、誰もが想像する敵国で武器製造がおこなわれていて、その秘密基地、武器貯蔵庫を爆破する。これはもうアジアのあの国ですよね。マーヴェリック(トム・クルーズ)の相手役になったペニー・ベンジャミン(ジェニファー・コネリー)がゴージャス!!金持ちすぎる!!!戦闘機パイロットの集まる飲み屋を買い取り、ヨットを保有し、ポルシェを乗り回す。バツイチ子持ちのセレブ!!これ、すごすぎないか?エド・ハリスの出演が嬉しすぎる、しかし、出番が少なすぎる。アメリカ映画を見ていて思うが、戦友を見捨てない。たとえ死体となっても必ず母国に持ち帰る。そういう決まりや規範があるのかどうか知らないけれど、心情も含めてそうみたいだ。その最たるものが映画「プライベート・ライアン」だ。4人兄弟のうち3人が戦死した今、その母のもとへ末弟を一人だけでも帰還させようと小隊を派遣し、多く者が犠牲になりながらも末弟を生きて帰らせる話。ハッピーエンドにしたいハリウッド映画的なこともあるだろうけれど、敵地に落下したマーヴェリックを見捨てない。敵機を盗んで帰還しようとするも、とうとう撃墜されるというその刹那、助けるというもの。兵士を同胞を見捨てないアメリカ。その精神はウクライナの地に侵攻している大国にはない心意気なのだろうなぁ。2022年/アメリカ/131分/監督:ジョセフ・コジンスキー脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、ジョン・ハム、グレン・パウエル、ルイス・プルマン、チャールズ・パーネル、パシール・サラディン、モニカ・バルバロ、ジェイ・エリス、ダニー・ラミレス、グレッグ・ターザン・デイビス、エド・ハリス、バル・キルマー、リリアナ・ウレイ、アンソニー・エドワーズ原題:Top Gun:Maverick(「トップガン マーヴェリック」)お薦め度「トップガン マーヴェリック」★★★★(80%)字幕翻訳:戸田奈津子字幕監修:元航空自衛隊空将・永岩俊道
2022.06.04
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(C)2020 Zentropa Entertainments3 ApS & Zentropa Sweden AB.むむむ!?なんてこった、これがデンマーク映画賞のロバート賞で最多15部門ノミネートで4部門受賞の作品なのか?これが当初通りの犯罪組織ライダーズ・オブ・ジャスティスに復讐すべく作品であったならば、評価できるものであると思えた。しかし、予想を大きく裏切りとんでもない展開を見せることにより、従来にない作品となり、ついていけなくなった。というより、落胆してしまった。なんてこった。認めることのできない内容に驚くとともに誰にもおすすめできない作品だと思った。ああ、私の感性はそうなんだ…。怒りに満ち溢れたマッツ・ミケルセンは異様であり、頼もしかった。2020年/デンマーク・スウェーデン・フィンランド/116分/PG12監督:アナス・トーマス・イェンセン脚本:アナス・トーマス・イェンセン出演:マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・カーティス、アンドレア・ハイク・ガデベルグ、ラーシュ・ブリグマン、ニコラス・ブロ、グスタフ・リン、ローラン・モラー、アルバト・ルズベク・リンハート原題:Retfaerdighedens ryttere(「正義のライダー」)お薦め度「ライダーズ・オブ・ジャスティス」★★★(60%)字幕翻訳:平井かおり
2022.06.04
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(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会映画館の座席の背中にプルプルと振動を感じる。これは私の感動の震えが体から座席に伝わっているのか?!大きな感動も感激もしなかったけれど、おおいに感動した。感動に震えながら見ていた。それはずっとずっと続いた気がする。原作を読んでみたい。映画を見終わった後、そう感じた。たぶん原作は映画とは違う気がしたから。また映画の中で作られるアニメも見てみたいと思った。それらのアニメ「サウンドバック 奏の石」「運命戦線 リデルライト」は決して作られること、完成することはないだろうけど。これらの劇中アニメーションに原作者辻村深月が関与しているクレジットがあった気がする。また、この映画が全世界の観客に届けばいいと思った。特にフランス。日本のアニメのファンが多数いるフランスでは歓迎されるであろうと思われる。この作品でアカデミー賞は無理かもしれないけれど、こういう作品を候補作として日本映画界は推薦してほしいと思った。一流大学を出て公務員となっていたのに大ヒットアニメで天才と言われた監督・王子千晴(中村倫也)に競争心をもって業界一のアニメ制作会社に転職した主人公・斎藤瞳(吉岡里帆)。7年後、新人監督として新作アニメに抜擢された。ところが裏には新番組としてアニメをぶっつけてきた競争相手が。監督は8年ぶりの復帰作となる王子千晴、そのプロデユーサーは伝説の製作進行だった有科香屋子(尾野真千子)。果たして視聴率で勝つのは「サウンドバック 奏の石」か「運命戦線 リデルライト」か。アニメの覇権をとるために日夜奮闘の日々を描いた秀作。ほんとうに素晴らしい作品だと思います。キャストは演技巧者が多く、中村倫也の堂々とした監督ぶりに感嘆、すべてを引き受けて遅延させることなく傑作に仕上げさせる尾野真千子のプロデユーサーぶり。クールな営業マンと見せかけてすべてに目配りをしている柄本佑のプロデューサーの魂胆。いい作品を子供に届けるべく努力し、なおかつ数字を取りに行く吉岡里帆の監督の新人らしさ。みなそれぞれどこかの番組で見たそれぞれの演技でありそれぞれの役者であるけれど、その役者がそれぞれの役柄の中で生きている。役柄と役者のマリアージュといえるかもしれない。それはどのドラマを見ても工藤阿須加の芝居でしかない工藤阿須加も同じ。原画作画・並澤和奈役の小野花梨も声優・群野葵役の高野麻里佳も良かった。素敵で素晴らしい作品。数多くの人に見てほしい。しかし、ラストの喜びを表す足タッチ(ジャンプ)。この表現とは…苦笑するしかない(笑)※銀座コージーコーナーのエクレアが食べたくなった2022年/日本/128分/G監督:吉野耕平原作:辻村深月脚本:政池洋佑出演:吉岡里帆、中村倫也、 柄本佑、尾野真千子、工藤阿須加、小野花梨、高野麻里佳、前野朋哉、矢柴俊博、新谷真弓、松角洋平、水間ロン、前原滉、みのすけ、古館寛治、徳井優、六角精児、大場美奈、朴璐美、潘めぐみ、梶裕貴、木野日菜、速水奨、高橋李依、花澤香菜、堀江由衣、小林ゆう、近藤玲奈、兎丸七海、大橋彩香お薦め度「ハケンアニメ!」★★★★☆(90%)
2022.05.22
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(C)2022「流浪の月」製作委員会なんてこった。イチオシの女優、広瀬すずが出ているのにこんな作品とは。傑作「フラガール」「悪人」「怒り」を作った李相日監督なのにこんな作品とは。原作が本屋大賞を受賞したのに、こんな作品とは。「羊と鋼の森」は映画化失敗作だと思うけれど、この「流浪の月」もそうなのかも。但し、「流浪の月」は原作を読んでいないので、映像化の失敗かどうかはわからない。どこかで評判の演技を絶賛されていた横浜流星はその通りなのかもしれない。大人の女性として対比で登場した多部未華子も歳を感じさせる写りと奇麗な女性での写りとキャメラとともにみごとな演じぷりだった思う。広瀬すずのがんばり、松坂桃李も良くやっていたと思うが…。誰よりも素晴らしく思えたのは物おじしない白鳥玉季が演じる幼少期の主人公・更紗。とっても良いと思えたのは当然、芸歴5年で数々の作品に出演、大活躍の子役であった。期せずして誘拐犯となってしまった青年と被害者児童。15年の時を経て再会する。15年前、同居し暮らしていたのは誘拐でなく、行き場を失った児童を保護しただけ。しかし、それは見ず知らずの男がすべき行動ではないため、ロリコン誘拐魔とされてしまった。その経緯をうまく説明できなかった女児。そのため彼は少年刑務所に送られた…。優しいお兄さんに恋慕の情と懺悔の思いを抱えていた主人公・更紗(広瀬すず)の日常は元誘拐犯・佐伯文(松坂桃李)との再会によって崩れ去っていく…。大人の女性を受けいられない男の事情とは?クライマックスで秘密が明かされることで衝撃を受けていいはずなのに、その光景にさほど衝撃を受けなかった。その光景を見ながら”切り裂きジャック”を思い出していたのだが、それは身体的特徴が似ていたためかもしれない。暗い作品だという評をきくにつれ、深みのある作品を期待した私にはとても残念な作品であった。2022年/日本/150分/G監督:李相日原作:凪良ゆう脚本:李相日出演:広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本明お薦め度「流浪の月」★★★(60%)
2022.05.21
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(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reservedこんなことが実際起こりえるだろうか。「ソウ」を撮り、「死霊館」「ワイルドスピード SKY MISSION」「アクアマン」「モータルコンバット」を撮るジェームズ・ワン監督とはなんとバラエティな監督なんだろう。出産にまつわることがとんでもない出来事を招くとは。殺人事件が夢と現実で繰り広げられ、その真実はどこにあるのかと追及していくとあまりに不思議で信じがたい事であった。不可思議な殺人事件を発端に悪夢が現実となって展開していく。その目撃者となっていた主人公は殺人の容疑をかけられ留置所に入れらるが…。殺戮に次ぐ殺戮。おどろおどろしい殺人鬼が登場した謎はおどろおどろしいものであった。恐怖もあるが予測不能な動きで次々と人を殺していく情景にくぎ付けとなる作品。ぐうの音も出ない。2021年/アメリカ/111分/R18+監督:ジェームズ・ワン脚本:アケラ・クーパー出演:アナベル・ウォーリス、マディー・ハッソン、ジョージ・ヤング、ミコール・ブリアナ・ホワイト、ジャクリーン・マッケンジー、ジェイク・アベル、イングリット・ビス原題:Malignant(「悪性の」)お薦め度「マリグナント」★★★★(80%)字幕翻訳:松浦美奈
2022.05.15
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(C)2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED見たかった作品をようやく見た。内容については知らず、予告編も見なかっただけに、どういうものだろう?昔、早稲田松竹に一度、映画を見に行ったことがあるはずなのに、その記録がない。行ったはずなんだけれど…。「ラストナイト・イン・ソーホー」「マリグナント」の二本立てを見に行った。ポスターで印象に残る目鼻立ちのはっきりしたアニヤ・テイラー=ジョイは「スプリット」「ウィッチ」「サラブレッド」「エマ」と出演作の続く女優で、トーマシン・マッケンジーは「足跡はかき消して」で注目を集め、「キング」「ジョジョ・ラビット」「オールド」と出演作の続く女優の共演。亡くなった母の幻影(亡霊?)が見える田舎町育ちのエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)はデザイナーになるべくロンドン北部ソーホーにやってくる。寮の同室者になじめず屋根裏アパートで独り暮らしを始める。そして、見るようになった夢。1960年代のロンドンを現実のように体感する彼女。出会った女性はサンディ(アニヤ・テイラー=ジョイ)。サンディは歌手を目指す。歌と踊りを披露する。エロイーズは昼間のデザイナー学校でサンディの衣装を創作物としてデザインし高評価を得て製作にとりかかる。ところが、夢と現実がないまぜになって、夢の悪影響が日中に出てくるようになる。そして…夢と現実、時空を超えた交錯する話は事件性を帯びてきて…怪しく不思議な話に見ているこちらもサンディが呪われているように見えるけれど、夢が現実を支配するようになってくる。しかし、サンディが自身の思い違いに気づくとクライマックスへ!!このような結末をむかえるとは思っていなかったけれど、不可思議ながら注目されるべき作品だと認識した。2021年/イギリス/115分/R15+監督:エドガー・ライト脚本:エドガー・ライト、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ出演:アニヤ・テイラー=ジョイ、トーマシン・マッケンジー、マット・スミス、ダイアナ・リグ、シノーブ・カールセン、マイケル・アジャオ、テレンス・スタンプ、リタ・トゥシンハム、ジェシー・メイ・リー、カシウス・ネルソン原題:Last Night in Soho(「ソーホーでの昨夜」)お薦め度「ラストナイト・イン・ソーホー」★★★☆(70%)字幕翻訳:牧野琴子(C)2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED
2022.05.15
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(C)2021 Universal Picturesいやー、恐れ入った。エンターテイナーとしてのジェニファー・ロペス見参。見事だ!素晴らしい!この作品、映画と関係なく見てもライブで歌う彼女を見ていると正しく売れっ子歌手だという気がしてくる。実際、現実の世界でもそうであるがゆえに演じる以前にパフォーマーとしてのスキルの高さを見せてくれる。これだけでも見る価値充分な作品だ。作品の内容としては、ちょっとありえない設定なのであまりにひどいともいえるけれど、そこは作り物ゆえ目をつむれば十分に感動できる作品かも。事実、ちょっぴり感動した(笑)。主演のジェニファー・ロペスについては解説するまでもなく、共演者のオーウェン・ウィルソンについても同様。しかし、もうひとりの元婚約者役はマルーマ。コロンビア出身の世界的レゲトン歌手とのことだけれど、レゲトンって何?調べてみるとレゲトンとは”1980年代に登場した、スペイン語のレゲエやヒップホップなどのスタイルを組み合わせて生み出されたラテン音楽”とのこと。また、サルサ、ボンバ、プレートなどのプエルトリコの音楽の影響もありとのこと。その世界的歌手ということなのだから、彼もロペス同様演じることなく歌手なので、歌手としてしか登場しない彼は演じることなく存在できていた。恋の成就に関しては状況的に事実を積み上げているので、何の不思議もないのだけれど、もう少しエモーショナルな表現がほしかった。彼女の行動に見ているこちらの気持ちがついていかない、気持ちが伝わってこない感じもあった。とはいえ、年配の結婚騒動をユニークにまとめた楽しめる作品である。2022年/アメリカ/112分/G監督:カット・コイロ原作:ボビー・クロスビー脚本:ジョン・ロジャース、タミー・セイガー、ハーバー・ディル出演:ジェニファー・ロペス、オーウェン・ウィルソン、マルーマ、ジョン・ブラッドリー、サラ・シルバーマン、クロエ・コールマン、ミシェル・ブトー、カリル・ミドルトン、カット・カニング、ウトカルシュ・アンブドゥカル原題:Marry Me(「私と結婚して」)お薦め度「マリー・ミー」★★★★(80%)字幕翻訳:栗原とみ子
2022.05.11
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(C)ShannaBesson (C)PAGE 114 - France 2 Cinema映画.com によると”デジタル化された現代社会を生きるミレニアル世代の男女の孤独や不安、セックス、愛について描いたドラマ。再開発による高層マンションやビルが並び、アジア系移民も多く暮らすなど、パリの中でも現代を象徴する13区を舞台に、都市に生きる者たちの人間関係を、洗練されたモノクロームの映像と大胆なセックスシーンとともに描き出していく。”とある。要約するとこの通りなのだろう。確かに女優たちの脱ぎっぷりの良さはすごい。高学歴であっても台湾系フランス人ゆえかコールセンターのオペレーターといった職につくしかなった女性は快楽派でセックス好き人間であると思われる。色恋よりもエッチ。女性と間違えてルームメイトにしたアフリカ系フランス男性と同居、そして、エッチ。しかし、その関係はすぐに崩れる。出ていく男。ソルボンヌ大学に復学したフランス女性は学生になじめずSNS被害を受ける。休学して知り合ったのがこのアフリカ系フランス男性。節度を持って接していたが、やがて…。愛を語るでもなく、恋にときめくでもない。日々の暮らしの中で、欲求を満たすこと、気持ちの整理をつけること。若者たちは複雑な事情をいくつも抱えている。そんなことを描きたかったのか。わかるような、わからないような、けれどわかる衝撃作(?)されど”ジュテーム”。2021年/フランス/105分/R18+監督:ジャック・オーディアール原作:エイドリアン・トミネ脚本:ジャック・オーディアール、セリーヌ・シアマ、レア・ミシウス出演:ルーシー・チャン、マキタ・サンバ、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベス、カミーユ・レオン=フュシアン、オセアーヌ・カイラティ、アナイド・ロザム、ボル・ホワイト、ジュヌビエーブ・ドアング原題:Les Olimpiades(「オランピアード駅(パリ13区)」)お薦め度「パリ13区」★★★(60%)字幕翻訳:丸山垂穂
2022.05.04
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(C) 2022 Warner Bros. Ent. All Rights ReservedWizarding World TM Publishing Rights (C) J.K. RowlingWIZARDING WORLD and all related characters and elements are trademarks of and (C) Warner Bros. Entertainment Inc.これだけ醍醐味のある作品は映画館で見るべきなのかもしれない。「ハリー・ポッター」ファンの私はハリー・ポッターの原作すべてを読み、映画作品すべてを見たけれど、その前日譚となる「ファンタスティック・ビースト」には興味が湧かず、見なかった。しかし、ダンブルドアをジュード・ロウが演じ、キャスト変更にてマッツ・ミケルセンが出演するとなると、見ないとと思い、配信にて前2作品を鑑賞し、この三作目を見に行った。「ファンタスティック・ビースト」1作目はニューヨークが舞台となり、2作目はパリが舞台に。そしhて、この3作目はベルリンが舞台となる、クライマックスはブータンに場所が移るけれど。全5作品ということなので次はどこが舞台となるのだろう。一度見ただけではすべてを把握できないのではないだろうかと思えるくらいに小ネタを仕込んであるのかもしれない。それゆえ、大筋を理解すればよしとする(笑)麒麟の件はよくわからないけれど、そもそも空想の動物である麒麟が魔法の世界で実在するのであるならば、母麒麟がなくなるけれど、父麒麟は存在するのだろうか?とか、一頭しかいなのであれば絶滅危惧種でこの一頭が最後の麒麟なのだろうかとか余計なことを考える始末。今、現実の世界の右派と左派のせめぎあいのように西側と東側の戦いのようにダンブルドア(ジュード・ロウ)とグリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)の体制派と反体制派の争い。これが善と悪との戦いのように見えるけれど、グリンデルバルドの派があこぎな不正な手立てを使っているというだけで、悪といえるかどうかはわからない。というか、これらの作品や本人の言動を伝え聞くと原作者J・K・ローリングはあやうい独裁者思想者ではないかと思えてくる。この大作の良さも面白さも長尺なだけにいろいろと多岐にわたるけれど、ラストにめでたしめでたしになったことは良かった。クライマックスの対決がダンブルドアとグリンデルバルドの一騎打ちになった点は見どころであった。2022年/アメリカ/143分/G 監督:デビッド・イェーツ原作:J・K・ローリング脚本:J・K・ローリング、スティーブ・クローブス出演:エディ・レッドメイン、ジュード・ロウ、マッツ・ミケルセン、アリソン・スドル、ダン・フォグラー、エズラ・ミラー、ジェシカ・ウィリアムズ、カラム・ターナー、ビクトリア・イエイツ、ウィリアム・ナディラム、キャサリン・ウォーターストン、ポピー・コービー=チューチ、フィオナ・グラスコット、マリア・フェルナンダ・カンデッド、リチャード・コイル、オリバー・マスッチ、バレリー・パフナー原題:Fantastic Beasts: The Secrets of Dumbledore(「幻想的な野獣:ダンブルドアの秘密」)お薦め度「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」★★★★(80%) 字幕翻訳:岸田惠子
2022.05.03
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(C)2021映画「老後の資金がありません!」製作委員会コメディで笑わせてクライマックスでほっこりし感動させるなんて松竹かと思いきや配給は東映だった。こんなコメディを撮れる監督を大事にしなければいけないと思った。監督は前田哲。「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」や「そして、バトンは渡された」などの監督作がある。ドタバタした前半、見ていて興味はわかなかったが、後半、生前葬以降は感情に訴え、ほろりとさせる展開に感動してしまった。老後の資金があまりない50代の主婦に舅の葬儀代負担がのしかかる。契約満了でパートはくび、長女の結婚式が盛大となる予定、そして夫の会社が倒産と三重苦のような状況に置かれる。姑へ月9万円の仕送りもできなくなり、いろいろあって老母である姑を引き取り共に暮らすことになる。その姑には終始振り回されることとなる。詐欺にあったり、生前葬をしたりと出来事は続く…。どうしたもんかと思えたコメディが見終える頃には推薦したいほどの感動作となった。そうそうたる有名人をキャストに配置し、義母・草笛光子と嫁・天海祐希の元タカラヅカコンビはおかしく楽しく日々の暮らしを展開する。チョイ役で登場の有名人たちの起用もおもしろく楽しんで見させていただいた。三谷幸喜まで登場とは(笑)。2021年/日本/115分/G 監督:前田哲原作:垣谷美雨脚本:斉藤ひろし出演:天海祐希、松重豊、新川優愛、瀬戸利樹、加藤諒、柴田理恵、石井正則、若村麻由美、友近、クリス松村、高橋メアリージュン、佐々木健介、北斗晶、荻原寛子、竜雷太、藤田弓子、哀川翔、毒蝮三太夫、三谷幸喜、草笛光子、伊地知大樹、小澤慎一朗、真栄田賢、内間政成お薦め度「老後の資金がありません!」★★★★(80%)
2022.04.30
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(C)2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクトこの「梅切らぬバカ」が見たくて出かけた。飯田橋ギンレイホールである。54年ぶりの主演作と話題の加賀まりこと演技巧者の塚地武雄が親子役で共演。50歳をむかえる知的障碍者である息子と老母のふたり暮らし。その隣に小学生の息子と父母の家族が引っ越してきた。道に張り出している梅の木の枝がなんとも邪魔である。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざがあり、梅は古い枝はすぐに枯れてしまい、剪定しないと樹形が崩れてしまうため、切らないといけない。同様なことが映画の中でも説明されます。なぜきらないのか、その理由は映画を見ているとわかります。日々の暮らしを時間通りに行う息子は病的なものだと理解できますが、その後、グループホームへ入居ということで問題となります。他人と生活することの難しさが如実にわかります。登場人物の気持ちを表出することのない作品であるけれど、その分情感は伝わってきます。すったもんだのご近所づきあい。日々暮らしていくことは大変だなぁと思えます。とはいえ、交流を深める隣同士、親子と一家族の姿。何かを感じ取る作品でした。2021年/日本/77分/G 監督:和島香太郎脚本:和島香太郎出演:加賀まりこ、塚地武雄、渡辺いっけい、森口瑤子、斎藤次郎、徳井優、広岡由里子、北山正康、真魚、木下あかり、鶴田忍、永島柊吾、大地康仁、渡辺穣、三浦景虎、吉田久美、辻本みず希、林家正蔵、高島礼子お薦め度「梅切らぬバカ」★★★☆(70%)
2022.04.30
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(C)2019 - LES FILMS DU 24 - LES PRODUCTIONS DU RENARD - LES PRODUCTIONS JOURORフランス映画「オートクチュール」。主演はナタリー・バイ、フランスの有名女優だ。彼女の作品は何か見たのか、ググって見ても記憶にない。何かで評判をとったときに、名前を知ったのだろう。共演のリナ・クードリは知らない女優だ。アルジェリア出身とあるので、フランスの植民地政策の名残を思わせる。本国アルジェリアで上映中止となった話題作「パピチャ 未来へのランウェイ」で注目されたようだ。オートクチュール、煌びやかなファッションの世界は嫌いではないので期待して見に行った。ディオールのアトリエ・お針子の話であった。お針子を束ねるエステル(ナタライー・バイ)は次のコレクションが最後で引退する。地下鉄でバッグを盗まれて、そのバッグを盗んだ小娘が、拾ったと言って返しに来たところから二人の関係が始まる。細くて滑らかな指使いをするジャド(リナ・クードリ)に裁縫の天性を見たエステルは彼女を見習いとして鍛えることにする。仕事中毒で極度の緊張を乗り越えてきたエステルは糖尿病予備軍のくせにコーヒーにはお砂糖を3つ入れ、ストレスを感じるとチョコなどをほおばる。うつ病を患い動けない母を抱え、移民として団地に住むジャドに未来の希望はなく、窃盗を繰り返す暮らしだったが、不本意ながらお針子を始めて、働く意義を見つける。そんな二人がすったもんだとコレクション発表までの日々を描く。まだ中盤なのに何を感じたのだろう、さめざめと私は泣いていた。泣き虫だな、涙もろいなぁと思いながら。そしてクライマックス・終盤もさめざめと泣いた。感動した作品である。映画が終わると"Pour Jade”あるいは”Pour Jado”とあったので、ジャドという役名のモデルは実在しているのかもしれない。2021年/フランス/100分/G 監督:シルビー・オハヨン脚本:シルビー・オハヨン出演:ナタリー・バイ、リナ・クードリ、パスカル・アルビロ、クロード・ペロン、スーメ・ボクーム、アダム・ベッサ、クロチルド・クロ原題:Haute Couture(「オートクチュール(高級裁縫)」)お薦め度「オートクチュール」★★★★☆(90%) 字幕翻訳:松浦美奈
2022.04.09
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(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.主人公スタンに絡む3人の女性がいい。それはすなわち、主演ブラッドリー・クーパーを引き立てるための相手役たちケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ルーニー・マーラーがいいということ。ケイトとトニは際立っていたね。ウィレム・デフォーもロン・パールマンも印象深かった。さて、時は第二次世界大戦中、カーニバルの中、見世物小屋に入り込んだ主人公スタン。見てくれの良さから女たちに人気があり、ついには逃避行をしてしまうが…。読心術をマスターしショーとして活かし順調のように思えるが、人気がかげる不安からか、金への執着か、読心術が行き過ぎて詐欺まがい、いや詐欺になってしまう、そこに手練手管に長けた心療博士(ケイト・ブランシェット)が絡む。勃発する暴力事件の行く末は…。アイロニー(皮肉)な結末は見てのお楽しみ。おどろおどろしい見世物小屋の中をご覧あれ!といった作品。2021年/アメリカ/150分/G監督:ギレルモ・デル・トロ原作:ウィリアム・リンゼイ・グレシャム脚本:ギレルモ・デル・トロ、キム・モーガン出演:ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、リチャード・ジェンキンス、ルーニー・マーラ、ロン・パールマン、メアリー・スティーン・バージェン、デビッド・ストラザーン原題:Nightmare Alley(「悪夢小路」)お薦め度「ナイトメア・アリー」★★★☆(70%)字幕翻訳:松浦美奈
2022.03.27
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(C)2021 Focus Features, LLC.主人公、子役がいいねぇ。彼の笑顔で救われる。監督ケネス・ブラナーの幼少期の体験をもとに映画化した作品。北アイルランドにおける抗争、アイルランドとイングランドの攻防、プロテスタントによるカトリックの弾圧。住民を迫害する狂気の沙汰は、見ていてつらい。迫害に与しない主人公一家はいたたまれなくなる。しかし、生まれ育った郷里への思い立ちがたく、残るのか、立ち去るのか……。バディこと子役のジュード・ヒルも良かったが、その母親を演じたカトリーナ・バルフは秀逸だった。葛藤を乗り越え思いを断ち切り行動に出る姿に感動した。また、女手で子供を育てる強さが存分に出ていた。英米人にはなじみが深い北アイルランドの抗争であるので、彼らにとっては迫りくる迫力は日本人が感じられる以上のものがあるのだろう、と思える。淡い恋もやむにやまれぬ犯罪(窃盗)も経験した観客は多いのでは、共感した人も多かろう。2021年/イギリス/98分/G監督:ケネス・ブラナー脚本:ケネス・ブラナー出演:カトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ドーナン、キアラン・ハインズ、コリン・モーガン、ジュード・ヒル原題:Belfast(「ベルファスト」)お薦め度「ベルファスト」★★★★(80%)字幕翻訳:牧野琴子字幕監修:佐藤泰人
2022.03.26
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(C)2022 20th Century Studios. All rights reserved冒頭はポアロ(ケネス・ブラナー)が髭を生やすきっかけとなった傷の話。(この話、必要?)それはさておき、仲の良い友人の婚約者と初見でとても熱いダンスを踊るリネット(ガツ・ギャドット)。とてもエモーショナルで感じちゃった。素晴らしいシーンです。それゆえ、婚約を破棄して、相手のサイモン(アーミー・ハマー)と結婚しちゃうことも納得。しかし!事件が起こる!殺人事件がーーー!!!殺人者、犯人は誰なのか。船舶、豪華客船の披露宴招待客の中の誰が犯人なのか!?お昼、食後に見たせいか、次々と起こる殺人は睡魔に抵抗しながら見ていたので、今一つ…。眠気も消えて、しっかりとみたクライマックス、謎解き、犯人暴露は、意外な人物であったけれど、それならば、なぜ!?と、そもそもの設定に疑義を感じ、絶賛すべき作品には思えなかったなぁ。ガル・ギャドットの美しさ、いつまでも見ていたかった。2022年3月21日鑑賞2022年/アメリカ/127分/G監督:ケネス・ブラナー原案:アガサ・クリスティ脚本:マイケル・グリーン出演:ケネス・ブラナー、ガル・ギャドット、アーミー・ハマー、トム・ベイトマン、アネット・ベニング、ラッセル・ブランド、アリ・ファザル、ドーン・フレンチ、ローズ・レスリー、エマ・マッキー、ソフィー・オコネドー、ジェニファー・ソーンダース、レティーシャ・ライト原題:Death on the Nile(「ナイル河での死」)お薦め度「ナイル殺人事件」★★★☆(70%)字幕翻訳:松浦美奈
2022.03.24
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アンチャーテッド : ポスター画像「アンチャーテッド」って”地図にない場所”だって。そういうことか!聞き慣れない言葉で、わからなかったけれど、日本語訳をみて理解できた、チャーテッド(地図化)されてないってことね。なんか製作総指揮という一軍にトム・ホランドの名前があるんだけれど、彼も出資しているってことなのか。そして、自身で主演して、スパイダーマン俳優からの脱却なのか。相手役にマーク・ウォールバーグを持ってきて身長ネタで揶揄するのは笑えた。アントニオ・バンデラスの起用もワールド・ワイド感を出していて、白人男性二人に対して、絡むのが有色人種女性二人なのは新しいハリウッド規制=多様性のせいなのかな。さて、作品は壮大なスケールで送る宝物探し映画。どこからがCGでどこまでが実写なのか皆目わからないけれど、スクリーンで見る醍醐味は十分あった。アドベンチャーゲームが原作とのことなので、その点は申し分ないのだけれど、その手掛かりと鍵であちこち探しまわるのは腑に落ちないところもあって。とはいえ、アクションに次ぐアクション。なかなか手ごわい女性陣に翻弄され、たじたじとなる主人公たちのふがいなさが物語を長くしている気もする。クライマックスの帆船の空中戦、もったいないなぁ…。2022年3月21日鑑賞2022年/アメリカ/116分/G監督:ルーベン・フライシャー原案:レイフ・ジャドキンス脚本:レイフ・ジャドキンス、アート・マーカム、マット・ホロウェイ出演:トム・ホランド、マーク・ウォルバーグ、ソフィア・アリ、タティ・ガブリエル、アントニオ・バンデラス、マヌエル・ド・ブラ、スティーブン・ウォディントン、ピンギ・モリ原題:Uncharted(「地図にない(場所)」)お薦め度「アンチャーテッド」★★★☆(70%)字幕翻訳:栗原とみ子
2022.03.23
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(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC3月14日月曜日「ザ・バットマン」を見に行った。3時間近い大作。オープニングを見るなり、これはつまらない作品なのかもしれないと予感が走った。主役のロバート・パティンソンが好みの俳優でないせいなのかもしれない。不思議と予感は当たるのだが、これがDVDならすべてを見ずに視聴をやめたかもしれない。大劇場の空間で見続けると私の予感が外れたと思った。すごい、ものすごい作品なのである。冒頭の殺しから残虐であり謎をまとった事件。それをとらえる視線も誰の視線かわからず困惑する。バットマンことブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)が抱える苦悩もなかなか明かされない。正義であるはずの市長や検事や警察が悪事を行っていたとは…。それに報いを、とする凶悪知能犯。とても捕まらないと思えたが…。二転三転する展開。行きずりの女に見えたキャット・ウーマンことセリーナ・カイル(ゾーイ・クラビッツ)の関係性。ゾーイ・グラビッツは小柄であるが、ありえないほど細いウエストとバランスの取れたスタイル。バットマンとの絡みもいい。眼鏡をかけないジョン・タトゥーロは顔役らしく、きまっていたし、コリン・ファレルと思えないぶよぶよペンギンはペンギンそのものに思えた。凶悪知能犯リドラーのポール・ダノは薄気味悪かった。暗い夜のシーンが多い中で雨のシーンもあり陰鬱で鬱屈してしまいそうであり、それがまたバットマンの心情とシンクロしていて、情感のあるものとなっていると思える。クライマックスのスペクタクルなシーンは映画館で見るべきものと思える。圧巻。2022年/アメリカ/176分/G監督:マット・リーブス脚本:マット・リーブス、ピーター・クレイグ出演:ロバート・パディンソン、ゾーイ・クラビッツ、ジェフリー・ライト、ポール・ダノ、コリン・ファレル、アンディ・サーキス、ジョン・タトゥーロ、ピーター・サースガード、バリー・コーガン、ジェミー・ローソン、ピーター・マクドナルド、ルパート・ペンリー=ジョーンズ原題:The Batman(「ザ・バットマン」)お薦め度「THE BATMAN ザ・バットマン」★★★★(80%)字幕翻訳:アンゼたかし<ネタバレ>三段落ちではないが、クライマックスが三つあるように思えた。顔役ファルコーネとの対峙。凶悪知能犯リドラーとの捕物劇。そして、爆破による惨劇。スペクタクルなシーンは映画に必須の醍醐味だが、悪に加担する一般人と思しき悪党の多さに現代のひづみ、悲劇を感じた。
2022.03.16
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(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved離婚、再婚の繰り返しで子だくさんであれば、養育に手がかかるはず。反面、子育ての経験から育児計画は立てやすくなるかもしれない。そのような境遇にあったかもしれないけれど、黒人がテニスプレイヤーを目指すなんて、誰が思いつくだろう。そして、実行に移せるだろう。そして、青田刈りに屈せず自信をもって試合に勝って勝ちをあげることが出来るだろう、か。この作品はそれを成しえたビーナス&セリーナのウィリアムズ姉妹の父親の物語である。彼女たちの育ったカルフォルニア州コンプトンでの生活は創作されたシーンもあると思えるが、そこはその当時の劣悪な社会を反映させていて、多少の誇張があると見るべきかもしれない。とはいえ決して安全とは言えない地域で育ったといえよう。そのコンプトンからフロリダへの移住は姉妹及び家族にとって夢への一大転換期であったと思える。終盤、プロへ進むまでの道のりを父、母、ビーナスの間でのかんかんがくがくがある。ここが一番の見ものであった。リチャード・ウィリアムス(ウィル・スミス)と娘ビーナスとのシーンよりも、その直前の夫婦のいさかいでのオランシーン・ウィリアムス(アーンジャニュー・エリス)の台詞、演技が良かった。プロデビュー後の成功物語はクレジット前の字幕で語られることになるが、クライマックスの試合は相手選手の手練手管、プロの策略が描かれていて、テニスのタフな点が描かれている。2021年/アメリカ/144分/G監督:レオナルド・マーカス・グリーン脚本:ザック・ベイリン出演:ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、サナイヤ・シドニー、デミ・シングルトン、トニー・ゴールドウィン、ジョン・バーンサル、ミケイラ・ラシェ・バーソロミュー、ダニエル・ローソン、レイラ・クロフォード、ディラン・マクダーモット原題:King Richard(「リチャード王」)お薦め度「ドリームプラン」★★★★(80%)字幕翻訳:松浦美奈字幕監修:伊達公子
2022.03.13
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(C)2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会昨年夏に公開された時に、あまりの長尺にめげて見に行かなかった。カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したので評価が上がり、見るべき作品と思ったのだけれど、原作が村上春樹というのもハルキストでない私の足を鈍らせた。ところが、アカデミー賞の作品賞にノミネートである。受賞しなくとも見なければならない。そう思えたが、長尺である点、見たい時間に上映していない点(再上映のため終日では上映していなかったりする)、一度は映画館で見るのを諦めて、Amazonプライムビデオで見ようとしたけれど、追加料金500円の高額さに二の足を踏んだ。結局、TOHOシネマズ日比谷まで出かけて見ることとなった。こ、これは今どきのテレビドラマか…話が随分と進んだところでクレジット、俳優名などが出てきた。この時点でひとしきり物語、起承転結まである。妻との部分である。全編を通しての起といえるし、第一章としての起承転結がある。アカデミー賞ノミネートなので興味を持って見た。注目した。成田空港へ向かうときは下手(左手)から上手(右手)へ、成田空港から帰るときは上手(右手)から下手(左手)へ。それは一週間後に帰宅するときにも同じ方向だった。マイカーはサーブ(SAAB)。その昔、車通の間では評判のスウェーデンのメーカー。2012年に経営破綻し、今は社名もブランド名も変わっているようだ。それゆえ、大切に15年乗ってというセリフも車のロゴを見ても納得がいく。欧州の人ならなおさらなじみ深いので理解しやすい高級車であろう。演劇を字幕を使いながら多言語でしていた。今話題の”多様性”からすると注目を浴びる利点である。と目を皿のようにし、聞き耳を立てて注視して冒頭のクレジットとなり、私はアカデミー賞の呪縛から解かれ、いつもの状態で映画を見ることが出来るようになった。ただ、多分に村上春樹の小説を意識していたことにはかわりなかったけれど。主役は最近人気の西島秀俊である。ただ、私は彼の作品をあまり見ていず、NHK大河ドラマ「八重の桜」がはじめてくらいで、その後、朝ドラ「とと姉ちゃん」「おかえりモネ」とNHK作品しか見ていない。映画も「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」があるだけだ。共演者では岡田将生を見るくらいで、他の出演者は私には初お目見えである。岡田将生は映画「雷桜」を見て以来、一目置いている俳優で、最初に見たのはテレビドラマ「太陽と海の教室」であった。朝ドラ「なつぞら」、NHK「タリオ復讐代行の2人」、映画では「プリンセス・トヨトミ」「宇宙兄弟」くらいしか見ていない。聴覚障害者ユナ役のパク・ユリム、ジャニス役のソニア・ユアンは美しかったなぁ。ドライバー役の三浦透子は朝ドラ「カムカムエヴリバディ」より、この作品の方が存在感がある。霧島れいかという女優をこの作品で知ったが、いい女優のようだ。<ネタバレ>アカデミー賞は非常に政治的というか恣意的な受賞が多々ある。本来は作品なり演技なりがとびぬけて素晴らしければ授賞させればいいものを、当選運動にお金を使いすぎたから落選とか、黒人に関する作品が不当な評価を受けているから黒人を受賞させるとか(逆差別のような)。最もあからさまだったのはアカとレッテルの貼られた人は無視、もしくは追放だったり。今年は多様性重視のような気がして、言語・人種・地域を越えてノミネート。それゆえなのか作品賞ノミネートが10作品ほども並ぶのは異例だ。この「ドライブ・マイ・カー」も多言語であり、使われている言葉は英語・中国語・韓国語・ロシア語・日本語・手話である。人種も韓国人・中国人・日本人とロシア人(かな?)。多様性を標榜する現在ではアカデミー賞受賞の名目に箔がつけられる。演劇人ということで古典名作「ゴドーを待ちながら」と「ワーニャ伯父さん」が登場する。特に「ワーニャ伯父さん」は中盤から終盤までの上演作品として大きくかかわってくる。ちなみに私は「ゴドーを待ちながら」も「ワーニャ伯父さん」も知らない。知っていればもっと胸に迫るものがあったのかもしれない。役者は演技に感情を乗せたがるが、この映画の中での稽古では感情を入れることを許されない。感情を入れずに平板に台本を読むことを強いられる。余計な感情を入れずに読むことが芝居を完成させられるといったように、台本至上主義的演出である。また、過剰な演技を認めないのは内なる感情を感じ取る表出させる意味合いがあるのだと思える。この稽古のシーンは演技の勉強をしたことのある人ならば共感しないまでも共通認識として理解できることだと思う。オーディションにおけるキス。あれはないわぁ!と思った。あんなことすれば即刻退場でしょう。昔、演劇祭の主役が自身で運転中に事故を起こしたことがあり、家福(西島秀俊)に運転させない、としていたのに、主役となった高槻(岡田将生)にドライバーをつけずに、事故を起こしていた点は矛盾している。高槻(岡田将生)が逮捕され、主役降板で上演中止か家福が代役出演するかで、決定まで2日だけ猶予があるとあった。そして、広島から北海道へドライブすることになるのだが2日で往復できるわけもなく、夜、昼。夜と行くだけに2日もかかっていて、編集ミスかと思ったけれど、2日で往復しろということでなく、2日で結論出せということだなと見終わった後に気づいた。******妻の浮気現場目撃に激昂もせず許せたのは、なぜかわからなかった。しかし、車内で家福と高槻の会話で判明した。妻、音は浮気をしていたのではない。Hの後で自然発生的に言い募るシナリオで新しい作品を生み出していた。新しいドラマを作り出すために関係者とHを重ねていた。作品を生み出すための行為だったのだ。そのことに思い当たった家福は見ないふりをしたのだ。そうではなかろうか。その点に思い至ったときに夫・家福の愛は深い深い真の愛情だと思えた。その意味ではこの作品「ドライブ・マイ・カー」は傑作かもしれない。2021年/日本/179分/PG12監督:濱口竜介原作:村上春樹脚本:濱口竜介、大江崇充出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、パク・ユリム、ジン・デヨン、ソニア・ユアン、ペリー・ディゾン、アン・フィテ、阿部聡子、岡田将生お薦め度「ドライブ・マイ・カー」★★★★(80%)
2022.03.06
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(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS「コーダ あいのうた」を見に行った。「ウエスト・サイド・ストーリー」は「ウエストサイド物語」のリメイクだが、「コーダ あいのうた」はフランス映画「エール!」のリメイクだ。オリジナル作品重視の私はリメイク作品を回避する傾向があるのだが、リメイク作品と知らなくて見てしまったり、リメイク作品と知っていたけれど新作がどのような作品に仕上がっているか興味があって見に行くことがたまにある。この「コーダ あいのうた」はアカデミー賞にノミネートされたことで注目し、映画館公開がちょうどこの時期にあたったので、見に行った。今年のアカデミー賞候補には配信作品も多く、見る機会があったのでノミネート作品すべてを見たいと思うけれど、10作品とはノミネートが多すぎる気がする。「コーダ あいのうた」はオリジナル作品「エール!」を改良したリメイク作品だといえる。オリジナルでは家業が農業であったが、本作では漁業となっている。見始めてこの職業の違いに違和感をもったけれど、後半で漁業を行っていることでひともんちゃく起きるので、そのための変更だと納得がいった。また、アメリカの農業を考えると家族だけの農業は考えにくく工業化、会社化されて大規模であるので職業を変更したともいえる。オリジナルで主人公の友人が弟と恋仲になるのだが、思春期に入るか入らないかと思える年頃にみえる幼さに違和感があったところ、本作では兄と設定を変え、青年として存在し友人との恋仲関係もすんなりと受け入れられる。フランスでの卓越した音楽院のオーディションが、アメリカにはないようなのでバークレーという著名音楽大学の入試ということになっている。クライマックス、やきもきする遅刻となるドライブの行程があるのだが、オリジナルは丁寧に描いているためにイライラが募るが、本作ではささっと処理していてイライラしない。洗練されたというかオリジナルよりわかりやすく作られているため、より感情移入しやすい作品となったと思える。満席ではなかったが、そこそこ観客がいる中で無音の空間にいる不思議さ、共有したことの感無量は言葉にしがたい。「ウエスト・サイド・ストーリー」の時と同じ、クライマックスに涙、涙、涙。また、マスクを濡らしてしまった。「愛は静けさの中で」でアカデミー主演女優賞を受賞したマーリー・マトリンが母親役にて出演。2021年/アメリカ・フランス・カナダ/112分/PG12監督:シアン・ヘダー脚本:シアン・ヘダー出演:エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、マーリー・マトリン、ダニエル・デュラント、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、エウヘニオ・デルベス、エイミー・フォーサイス原題:CODA(「聞こえない親を持つ健聴者である子供」)お薦め度「CODA あいのうた」★★★★☆(90%)字幕翻訳:古田由紀子オリジナルのフランス映画「エール!」が原題が『ベリエ一家』(La famille Belier)とあるようにある家族の物語として作られている。これに対し、リメイクの「Ocda あいのうた」は題名通り『Coda コーダ』難聴者の親を持つ健聴者があ主人公だ。同じ物語でありながら視点が違うと思う。オリジナルのフランス映画のほうがいろいろと雑多な事柄が多くて主人公とデュエットを組む男の子と関係もよくわからない状態だけれど、それが現実だなと思えた。また、ところどころわかりにくい状況やわからない状況も、だからこそ日常生活を描いていると思える手作り感のする作品だった。オリジナル、リメイク、どちらが優劣あるわけでなくどちらも素敵な作品で、音のない世界をみごとに体感させてくれた。
2022.02.27
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(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.この作品は映画館で見なければならない。そう思い、TOHOシネマズ新宿(Dolby-ATOMOS)に見に行った。いま、なぜ60年もたってリメイクするのか。しかも、大監督のスピルバーグが。現代風にアレンジしているのかと思っていたけれど、映画が始まってみるとそんなことは全くなく、1950年代のアメリカのニューヨークをそのままに再現していた。風景よりもパトカーを見て実感した1950年代。開発の中、取り壊されていくレンガ造りの建物。広大な街を再現した映像をみると、さすがハリウッド!と思った。工事現場から始まる今作は冒頭から旧作オリジナル作品をなぞるかのように同じシーンが展開する。みごとなダンスが披露されるが、同じものであるならリメイクしなくても良かったのでは、なんて思いながら見ていた。60年前の旧作といえど70ミリ映画だから巨大スクリーンでも目を見張るカラー映像、デジタルリマスターすればより鮮やかな色彩が目に飛び込んでくると思える。見る前に思ったのは見た目キャストの魅力が劣る。一世を風靡、世界を席巻し乙女の心を鷲掴みにしたジョージ・チャキリス(ギリシャ系)演じたベルナルドをデビッド・アルバデス(キューバ人)。チャキリスのほうがイケメン。旧作でトニーを演じたのは長身で甘いマスクのリチャード・ベイマー。今作ではアンセル・エルゴート(ロシア系、ノルウェー・イングランド・ドイツ系)。「きっと、星のせいじゃない」「ダイバージェント」「ダイバージェントNEO」「ダイバージェントFINAL」「ベイビー・ドライバー」と出演し、引く手あまたの人気俳優だがメリハリのない顔は好きになれない。そして、マリア役。旧作はハリウッドを代表する大スター、ナタリー・ウッド。子役から活躍し、「三十四丁目の奇蹟」で人気スターとなり、「理由なき反抗」「草原の輝き」とヒットを飛ばしての「ウエストサイド物語」のマリア役。新作はレイチェル・ゼグラー(ポーランド系、コロンビア系)ちょっと目が離れすぎのタレ目でとても美形とは思えない。といった感じで見る前はあまり感心していなかった。オバマ元大統領が2021年ベストムービー10に選んだ「ウエスト・サイド・ストーリー」であるが人種差別を取り上げた点でランキングしたのかと勘繰り、良い作品かどうかは半信半疑だった。映画は中盤から旧作にはないシーンも登場する。一部キャスティングも違う。ドラッグストアーの店主ドクがおじいさんでなくて、伴侶ドクを亡くした寡婦バレンティーナである。キャストには期待していなかったがマリア役のレイチェル・ゼグラーがものすごくいい!とてもいい!外階段で名曲「トゥナイト」を歌うシーンは照明の関係もあって、まさしくナタリー・ウッド、いやマリアとなって映っていた。このシーンを見たときにスピルバーグが3万人の中から彼女を選んだ理由がわかった、とてもとても素晴らしかった。ソプラノで歌う調べの素晴らしさ。さていまひとり、マリアの兄の恋人アニータ役。旧作はリタ・モレノ(プエル・トリコ)。プエル・トルコ出身というから正しくアニタそのもの。そして、アカデミー賞、トニー賞、グラミー賞、エミー賞の4賞受賞の芸達者である。1931年生まれの90歳であるが、新作でもドラッグストアーの店主バレンティーナを演じている。また新作では製作総指揮も兼ねている。新作でアニータを演じるのはアリアナ・デボーズ(プエルトリコ、イタリア系)で「アメリカン・ダンス・アイドル」でテレビ初登場。その後、舞台に映画にと出演していてこの役を掴んだ。新作でのダンスシーンは素晴らしく、この役はプエルトリコ人でなければ表現できないのかなととても感心した。といったぐあいに見ていくうちに作品に引き込まれ、ジェッツとシャークスの抗争シーン。ナイフでの決闘、そして!!!! パトカーがきて蜘蛛の子を散らすように逃げていく若者たち。そして、クライマックス。知っている結末とはいえ、涙・涙・涙…。涙ながらにスクリーンを見つめていた。荒ぶる魂を大いに感じ、熱すぎる恋情を感じ取り、滝のように泣いてしまった。マスクがびしょびしょ濡れてしまった。そう私は涙もろいのです。感激屋さんなんです。でもここまで感激させられると思ってませんでした。名作です、傑作です。映画館は満席でした。この映画を映画館で見られた観客は幸せだと思います。ぜひ、映画館で、ご覧ください。2021年/アメリカ/157分/G監督:スティーブン・スピルバーグ原作:アーサー・ローレンツ脚本:トニー・クシュナー出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デボーズ、デビッド・アルバレス、ジョシュ・アンドレス、コリー・ストール、リタ・モレノ、マイク・ファイスト原題:West Side Story(「西側物語」)お薦め度「ウエスト・サイド・ストーリー」★★★★★(100%)字幕翻訳:石田泰子
2022.02.23
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期待して見た。うぐぐぐ。ごごご。これが「スパイダーマン」の映画なのか。「ドクター・ストレンジ」の作品なのかと思える予告編まである。うがった見方となるのか、わからない、腑に落ちないところがある。もろ手を挙げて絶賛というわけにはいかない。ネタバレ!ネタバレ!!ネタバレです!!!ネタバレを書きます。スパイダーマンが3人いると!? しかも当然ピーター・パーカーも3人。しかし、それは同一人物じゃない。いや。同一人物なの?いや、違うよね。トビー・マグワイアのスパイダーマンは見ていたので馴染みがあった。アンドリュー・ガーフィールドのアメイジング・スパイダーマンは見ていないので、わからん。過去の宿敵が時空を超えてやってくる。ん?ん?ん?世界はいくつもあるの?パラレルワールドって一つじゃないの?時空を超えてやってくるから、やられた怪物たちがきてもよさそうなものだけれど、あとから登場のスパイダーマンたちが恋人や友達を亡くしたと言ってるよ。ならば、敵である怪物たちも亡くなっているはずでは?タイムトラベル物によくある話で、過去に遡ったら、過去の出来事を変えないで!って。怪物たちから能力を消し去って元の世界で殺されないように、生き続けるために浄化する(?)っていうのは時空を超える法則から外れているのでは?おかしくない?物語破綻してるよ。というか、能力無くして元の世界に戻ったら元の世界の物語が破綻するよ。スパイダーマンが3人そろい踏み。過去の悪役キャラ登場とスパイダーマン・ファンには魅力的なのかもしれないが、「???」と違和感を感じてしまって、不条理に気づいてしまったら、のめりこめない。おもしろい、楽しめる、魅力的だけで映画という作品は作っていけないと思う。どんなにヒットし、どんなに人気を呼ぼうとも、筋・通ってないんだもん。ついでにいうと、みんながスパイダーマンのことを忘れるという魔法のはずなのに、スパイダーマンのことは忘れていない。それなのにピーター・パーカーのことは忘れてしまっている。これっておかしくない?おかしいでしょ。メイおばさんのマリサ・トメイはとても好きな女優だ。生かしてほしかった。ウィレム・デフォーがいい役やってるね。グリーン・ゴブリンが懐かしく、正悪の間でゆれる心の機微を演じて秀逸、一番共鳴できる役柄だった。ウィレム・デフォーは悪役顔で悪役を演じることが多いけれど、悪役でも心を持った人物を演じたりする。渡辺大にもそんな役柄、まわってこないかな。(「るろうに剣心 京都大火編:参照」)2021年/アメリカ/149分/G監督:ジョン・ワッツ原作:スタン・リー、スティーブ・ディッコ脚本:クリス・マッケンナ、エリック・ソマーズ出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジェイコブ・バラロン、アルフレッド・モリーナ、ジョン・ファブロー、ジェイミー・フォックス、ウィレム・デフォー、ベネディクト・ウォン、マリサ・トメイ、トニー・レボロリ、J・K・シモンズ、アンガーリー・ライス、ポーラ・ニューサム、ハンニバル・パレス、マーティン・スター、J・B・スムーブ原題:Spider-Man:No Way Home(「スパイダーマン:帰り道無し」)お薦め度「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」★★★★(80%)字幕翻訳:林完治
2022.01.23
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セリーヌ・ディオンの映画かと思ったら、そうではなかった。いや、そうではあるが、完全にはそうではなかった。セリーヌを題材にとるも伝記映画でも真実の物語でもなく、あくまでセリーヌの人生をベースに映画的付加=フィクションを足した作品だ。それゆえ主人公の名はアリーヌとなり、感情的感動的シーンも撮影された。セリーヌのパリでのライブを見て触発された監督・脚本・主演のバレリー・ルメルシェが入魂で映画化した作品。主人公となるアリーヌを幼少期から壮年期までラスベガスのショーに至るまでを描いていて、彼女が演じている。正直言って子供時代のアリーヌは(アリーヌのまわりのサイズを大きくしたといっているが、見るとアリーヌのサイズを極小にしたように見える)連れ去られた宇宙人のようにほっそりと小さく不気味なサイズと見える。それなのでバレリーが一人で演じ切るということにこだわらず、似た容姿の子役を使ったほうが良かったと思える。アメリカ映画ではこれが別人かと思えるほど似た子役をキャスティングしていたりするので、そのほうが自然だと思えるし、違和感なく見られると思う。あとは吹き替えの部分が、口の動きがあっていても奇異に感じられた。しかし、それもアリーヌの若いころのシーンだけで、大人になってからは圧巻の歌いっぷり、同調性を見せる。中盤から終盤にかけての男性への愛、夫への愛に忠実、真摯なアリーヌの姿に心揺さぶられた。彼がいるから歌える。彼のために歌う。彼女の支えは父であり、父のコインであり、ステージママの母の愛であり、プロデュースしてくれる夫であった。子供への愛もものすごく、とてもとても強烈な愛にあふれていた。ラストは心の寂しさ、空虚を感じさせるが、クレジットでの前向きな歌は元気を感じさせてくれた。素敵な作品である。2020年/フランス・カナダ/126分/G監督:バレリー・ルメルシェ脚本:バレリー・ルメルシェ出演:バレリー・ルメルシェ、シルバン・マルセル、ファニエル・フィショウ、ロック・ラフォーチュン、アントワーヌ・ベジナ歌:ビクトリア・シオ原題:Aline(「アリーヌ」)お薦め度「ヴォイス・オブ・ラブ」★★★★(80%)映画字幕:斎藤敦子 ヴォイス・オブ・ラブ公式WEB
2022.01.19
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なんだこれは!?子供の頃に見た”サンダーバード”が懐かしく見に行ったけれど、画面のサイズは?映像は?今回、この作品のメイキング映像まであって…ドラマじゃないのかぁ…。いや、なんでも初期のレコード盤だけのエピソードを新たに映像化したとのこと。新作って言ってたのに…。その3話の新作に続き、新兵器?日本語吹き替えだったのに、付け足しの映像は続々とメカが登場、日本語字幕に英語が”International Rescue”(インターナショナル・レスキュー)と繰り返し、救援を呼ぶ声。一番登場したのは5号のペネロープとその執事パーカー。見られたことに感謝。2022年1月10日映画館にて鑑賞2021年/イギリス/91分/G監督:ジャスティン・T・リー、スティーブン・ラリビエー、デビッド・エリオット脚本:アラン・フェネル、デビッド・グラハム、デスモンド・サンダース声の出演:満島ひかり、井上和彦、大塚芳忠、森川智之、日野聡。櫻井孝宏、江口拓也、堀内賢雄、立木文彦原題:Thunderbirds: The Anniversary Episodes / Introducing Thunderbirds, The Abominable Snowman, The Stately Homes Robberies(「サンダーバード:記念エピソード/サンダーバード紹介、忌まわしい雪だるま、大邸宅強盗」)お薦め度「日本語劇場版 サンダーバード55GOGO」★★★☆(70%)
2022.01.12
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2021年1月1日から2021年12月31日に見た作品からおすすめ映画ベスト20【映画館で見た映画】お薦め度★★★★☆(90%)「パーフェクト・ケア」映画を見ていてこれほどの怒りを感じたことは初めてである。「劇場版ソードアート・オンライン プログレッシブ 星なき夜のアリア」続編があるので短いが、大いに心を揺さぶられた作品。「竜とそばかすの姫」大感激、大感動。マスクの下で歌ってしまった。とてもとても素敵な作品。「香川1区」選挙の闇は計り知れないと思ったのと真摯さに感情が高ぶった。以上、お薦め度★★★★☆(90%)以下、お薦め度★★★★(85%)「イン・ザ・ハイツ」わざわざロードショー見に行った甲斐があったミュージカル感動作。以下、お薦め度★★★★(80%)「ノマドランド」ノマドの暮らしに衝撃を受けたが、その生き方は否定するものではない。「プロミシング・ヤング・ウーマン」評判を聞きつけ見に行った甲斐のある犯罪映画。「パリの調香師 しあわせの香りを探して」調香師と運転手の関係が絶妙。じわっと感動。「マトリックス・レザレクションズ」世界的大ヒットの新作。作られたことに感嘆する。「007 ノー・タイム・トウ・ダイ」この展開この終わり方に異議を感じたが、超大作で007であること。ここにランキングしなくては。「Mr.ノーボディ」こんな男がいようとは。衝撃、圧巻の銃撃戦。「キネマの神様」山田洋二監督オリジナルといえそうな作品。「ブラックバード 家族が家族であるうちに」生きるということと家族を考える。不治の病と知れば命を絶つべきか。「ジャングル・クルーズ」なかなか楽しめたクルーズだった(笑)「ローズメイカー 奇跡のバラ」花言葉が胸に染みた。「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」これは、パラレルワールド? ”10年前に出会いたかった”。「私は確信する」まるでドキュメンタリーを見ているのかと錯覚するほど本気(マジ)。「モンスターハンター」おもしろかった!続編に期待。また映画館に足を運びたい。「リスペクト」ソウルの女王、アレサ・フランクリンの半生を描いた作品。「エターナルズ」話、展開についていくのがやっと。しかし、お薦めすべきMCUか。以上、お薦め度★★★★(80%)
2022.01.03
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劇場公開日が2021年12月24日。前作「なぜ君は総理大臣になれないのか」の公開日2020年6月13日から1年6カ月後である。この1年半の間に総理大臣は安倍晋三氏、菅義偉氏、岸田文雄氏と3人かわった。7年を超える安倍政権が病気による離脱という終焉を迎え、転々として岸田首相の登場。もう後戻り、先祖返りをすべく時ではないと思うのだが。香川1区では前政権でデジタル改革担当大臣となった平井卓也氏が強力地盤で勝ち続け惜敗続きの小川淳也氏が主要な被写体となるドキュメンタリー作品である。本来なら先祖代々大臣を務めてきた平井氏が大臣になったのだから楽勝、完勝間違いなしの境遇であるはずなのに、リークされた強権発言、上から目線の言葉。その後の不適切な行状の数々を週刊誌に追われ、品位は下がり、人気もなくなる状況となっていた。とどめは、首相が替わり、大臣職もなくなったこと。外務大臣であった茂木敏充氏が重任されたことを思うと、体のいい首切りにも見えてしまう。片や小川淳也氏は映画のヒット、注目も相まって、その人となりが政治家には向かないと親がいうほど清廉潔白、真っ当な人物であることに興味ある人は吸い寄せられるように押し政治家とし、追い風がふく状況。映画の中でも写されているが、撮影者が平井卓也氏を悪者として描いたのではなく、平井卓也氏の応援者たちが悪者としての行動、言動をしたのである。撮影した写真を加工しない限り、映像は嘘をつかない。まして、ドキュメンタリー映画監督である。嘘を映像とはしない。そしてここに日本維新の会の町川順子氏が割って入る。本人もインタービューで答えている通り、はなから1区で選出される気はなく、比例ブロックでの当選を目指していた。他の地域の結果を見てもわかるけれど、そこそこの得票数があれば、大きく離された3位であっても日本維新の会であれば復活当選できたはずであった。しかし、結果はあまりに他の2人が強かった。3位復活は2位の次点者の得票数が少なければ可能であった。2位となった平井卓也氏の得票率は高かった。それゆえ自民党でありながら復活当選している。(今回、自民党が復活当選する人は数少ない)映画は50歳で政界引退を標榜していた小川淳也氏が50歳をむかえたバースディの取材から始まる。そして、総選挙の結果で終わるはずであった。その後に、立憲民主党の代表選があり、小川淳也氏が立候補したことによりその代表戦の結果映像で終わる。作品としては立憲民主党の代表選は蛇足だと思える。総選挙の結果、その後の感想インタビューで閉めたほうが作品としては「香川1区」としての完成とできたであろう。小川淳也氏の予想以上の飛躍に蛇足がついてしまった。鑑賞していて、中盤から涙で目をしばたたかせ、指で拭うことが何度かあった。小川淳也氏のシーンである。両親の心労がインタビューでわかる。田舎都市のしがらみもわかる。自民党のあこぎなパーティー券売りの実態もわかる。なかなかのドキュメンタリー作品である。ポレポレ東中野 にて鑑賞2021年/日本/156分/G監督:大島新出演:小川淳也、平井卓也、町川順子お薦め度「香川1区」★★★★☆(90%)
2021.12.30
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”レザレクションズ”という聞きなれない単語。”復活”という意味らしい。”キリストの復活”(Resurrection of Christ)と使われているようだから、その意味合いでsは複数ということだろうか。ネオとトリニティーの復活。を指しているのかもしれない。前作より60年たっているようである。冒頭、コンピューター・ゲーム「マトリックス」のゲーム会社で働くトーマス・アンダーソンが登場し、その世界がリアルなのかどうなのか、判別しづらく、「マトリックス」をゲームだと矮小化してしまったら、なんともつまらない続編第4作ではないかと思い始めた矢先、その世界は…現実とマトリックスとの区別がつかない世界に連れてゆかれる。そこからは、前もっての1作目から3作目の復習が功を奏した登場人物の把握ができた。しかし、モーフィアスをはじめ、スミスも似て異なる容姿となっているので戸惑う。”リブート”(再起動)という言葉も出てくるけれど、”リブート”でなく”レザレクション”であるということに注目したい。見た目的にはネオ(キアヌ・リーブス)とトリニティー(キャリー=アン・モス)以外に過去作品での登場者がいないことは進化していることの表現なのだろうか。3作目で渾沌とした内容で終わった作品であったが、この新作も渾沌としていて、何がどうでこの結末?と思えなくもなく、現実世界はどこにあり、マトリックスはどの空間に存在するのか、判然としない。それは私の理解不足なのか?物語としては破綻していると思えるけれど、とにもかくにも世界的大ヒット作品の新作を見られた。そのことに満足してしまう。2021年/アメリカ/148分/G監督:ラナ・ウォシャウスキー脚本:ラナ・ウォシャウスキー、デビッド・ミッチェル、アレクサンダル・ヘモン出演:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ヤーヤ・アブドゥル=マーティン2世、ジョナサン・グロフ、ジェシカ・ヘヌィック、ニール・パトリック・ハリス、ブルヤンカー・チョープラー・ジョナス、ジェイダ・ピンケット・スミス、クリスティーナ・リッチ、チャド・スタエルスキ原題:The Matrix Resurrections(「行列(数列(コンピューター)が支配する仮想現実空間)復活」お薦め度「マトリックス レザレクションズ」★★★★(80%)字幕翻訳:林完治
2021.12.30
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この作品、わざわざリバイバルするほどのものかなぁ。とはいえミムジー・ファーマーを映画館で見られることに感謝。内容的にはおどろおどろしい秘密が隠されていて、それがやむを得ない状況で起こった出来事であったことが最終的にわかるが、その驚きとともにFIN(終わり)という、エンドロールがまったくないというのが時代的であった。こんなに荒涼とした土地があるのかと思えたけれど、たぶん塩田かなにかで、相当広い、いや広すぎる土地をある種の半円が描かれて数百も地形にあった。その土地の中のポツンと一軒家。往来する車のためのガソリンスタンド。訪れるのはわずかな客のみ。近くの港町まで80キロとは隔離されたところだ。さて、そこへやってきた徒歩の若者が失踪した息子ロバートと取り違えられたことで居座ることになり、取り違えた母のみならず、妹までも兄と慕う、それが…。ひみつが明るみになったとき、予想した通りというのは旧作であるからだあろうか。公開の1971年当時に見ていれば、どれくらいの衝撃をうけたであろうか。1971年/フランス・イタリア/95分/R15+監督:ジョルジュ・ロートネル原作:モーリス・キュリー脚本:ジョルジュ・ロートネル、パスカラ・ジャルダン、ジャック・ミラー、シャルル・ドラ出演:ミムジー・ファーマー、ロバート・ウォーカー、リタ・ヘイワース、エド・ベグリー、デビッド・サックス、ソフィー・アルディ、マルク・ポレル、ブルース・ペシュール原題:La route de Salina(「サリナ道」)お薦め度「渚の果てにこの愛を」★★★☆(70%)
2021.12.26
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私の好きな女優さんミムジー・ファーマー。彼女の作品がリバイバル、映画館でかかっていると知って見に行った。私が惚れた「ポケットの愛」以前の1969年製作作品で、裸体を惜しげもなく披露する彼女は注目を浴びだのだろうか。映画音楽がピンク・フロイドということにも驚いた。時代性がとても色濃く出ている作品で、ヘロイン中毒になってしまう、無軌道なドイツ人の若者が主人公。一目ぼれしたアメリカ女性に押しかけて逃避行。知人が用意してくれた人里離れた海岸べりの一軒家で自堕落に暮らす。何度も薬を断とうとするが…。私生活が謎の彼女と、エッチまで共用してしまうヒッピーのような暮らし。アンビバレント(愛憎相反)な関係は見ていてイラつくし、理解不能でもある。大した作品にも思えないが、見なかった後悔よりも、見て良くなかった後悔のほうがまし、と思える一本。1969年/西ドイツ・フランス・ルクセンブルク/116分/R15+監督:バーベット・シュローダー原案:バーベット・シュローダー脚本:ポール・ジェゴフ、バーベット・シュローダー出演:クラウス・グリュンバーグ、ミムジー・ファーマー、ハインツ・エンゲルマン、ヘンリー・ウルフ、ルイズ・ウィンク原題:More(「もっと」)お薦め度「More モア」★★★(60%)
2021.12.19
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身寄りのない金満老人を介護センターに送り込み、財産をかすめ取る法廷後見人。それに対峙する閉じ込められた老人が法廷闘争で丁々発止する物語だと思い見に行った。あにはからんや、法廷闘争はあるけれど、そこは序盤、それよりも殺し合いがメイン。それもあ然とする、想像を超えた手法に許容範囲を超えた。不死身で恐怖の女に思えた主人公の法定相続人マーラ。胆の座り方が尋常ではない。正義が対峙する法廷闘争が見たかった分、悪徳なやりかたに嫌気を感じ、とても見たくない、他人におすすめしたくないと思えた。作品の密度、秀作度は断トツに素晴らしい。素晴らしいだけに受け入れられない人物像は拒絶度ハンパない。情け容赦のない命のやり取り。想像しえない展開と終幕。この終わり方を見て、拒絶しなくてもよくなった。とはいえ、恐ろしい作品だ。主演ロザムンド・パイクはスレンダーでモデル顔負けのスタイルにてプライドの塊のような威厳を兼ね備える。彼女とコンピを組むエイザ・ゴンザレスもなかなか胆の座った敏腕女子である。人のよさそうなダイアン・ウィートが実は裏社会の大物の母親というのもおもしろく、数多くの映画に出演している小男ピーター・ディンクレイジがここまで重要な役どころを演じているのは初めてかも、と楽しめた。映画的センスのある終わり方は銃社会アメリカを肯定しているのか?2020年/アメリカ/118分/G監督:J・ブレイクソン脚本:J・ブレイクソン出演:ロザムンド・パイク、ピーター・ディンクレイジ、エイザ・ゴンザレス、クリス・メッシーナ、イザイア・ウィットロック・Jr.、ダイアン・ウィート原題:I Care a Lot(「私は多くを気にかける」)お薦め度「パーフェクト・ケア」★★★★☆(90%)字幕翻訳:牧野琴子
2021.12.05
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大ヒットしたブロードウェイ・ミュージカルの映画化。映画も人気と聞いて期待して見に行った。ところが、ミュージカル特有の前向きさも元気さも健気さも、ない。歌い上げるなんてこともない。高低のある歌はあるが超高音はファルセットではないが聴き取れないほどか細い。内容は友達がいない高校生男子。それゆえなのか、どうなのか。全く暗く陰湿な感じの内容。そして、問われ語りで主人公は友達関係を嘘で固めていくことになる。注目が集まり、SNSと、現代の話である。なんとなく退屈な始まり、しばらく見ても興味持てず。これが配信ならば15分くらい見て、中止したかもと思われるほど。さりとて映画館。座った限りは最後まで見る。退屈なら退屈と見届けねば。好きな女の子の兄が自殺してから話が流れるようになる。問題も起きる。主人公は話題が大きくなるにつれ友達や彼女、新しい関係性に目覚める。それとともに、シングルマザーの母を疎ましく思う。彼が夢見た家族、彼がほしいアットホームがそこにあった。引き返せない嘘で固めた信頼関係。それが…。映像で主人公が腕の骨折で嘘をついていたことを見せるけれど、十分伝わる内容だったと思えるが、後ほど台詞ではっきりと言う。観客に優しい演出だ。というか見ていてそうだと思えるのに気づかない観客のために改めて名言した。観客にやさしいけれど、そうした分センスがなくなってしまっていると感じた。主人公を演じたベン・プラットは本作のブロードウェ・ミュージカルでも主役エヴァン・ハンセンを演じた子役出身のミュージカル俳優・歌手とのこと。映像の芝居の質を高めるためか母親役にジュリアン・ムーア。芝居臭くなく過不足のない演技はとても素晴らしくシングル・マザーを見事に演じている。対する、相手となる高校生の母親役にエイミー・アダムス。彼女も芸歴からして演技巧者といえるのでは。妹役のケイトリン・デバーは「ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー」で注目された若手だ。手堅い共演者でよかったと思う。2021年/アメリカ/138分/監督:スティーブン・チョボウスキー脚本:スティーブン・レベンソン出演:ベン・プラット、ジュリアン・ムーア、ケイトリン・デバー、エイミー・アダムス、ダニー・ピノ、アマンドラ・ステンバーグ、コルトン・ライアン、ニック・ドダーニ原題:Der Evan Hansen(「親愛なるエヴァン・ハンセン」)お薦め度「ディア・エヴァン・ハンセン」★★★★(80%)字幕翻訳:石田泰子
2021.12.05
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「ほんとうのピノッキオ」って、何がほんとう?ディズニー映画とは違うということなのか?CGかと思うような登場人物たちはCGでなく実写のようである。ピノッキオの男の子は毎回4時間かけてピノッキオのメイクを作り上げたそうだ。とはいえカツオだったりCGでなきゃ表現できないところもあったりなので、メイクにこだわる意味があったのかどうか。舞台ならいざ知らず、映像だから見分けがつかない。ゆえに真実味のある映像がすべてであり、実写にこだわる意味があったのかどうか…。遠い昔に見聞きした”ピノキオ”の物語はうろおぼえで、”ほんとうの”の意味するところは?と引っかかってしまった。糸でつるされている人形たちが誰に操られているわけでもなく、”サメ”と字幕であった大きい大きい大魚は本当はなんなのだろうか?鯨かオルカかシャチか。見た目大きな大きなナマズに見える真ん丸さ、はたして?大人になった妖精が橋本愛・似で、そのことばかり考えてた。てっきり、ロベルト・ベニーニが監督しているんだろうと思っていたが、違った。監督はマッテオ・ガローネである。2019年/イタリア/124分/G監督:マッテオ・ガローネ原作:カルロ・コロディ脚本:マッテオ・ガローネ、マッシモ・チョッケリニ出演:ロベルト・ベニーニ、フェデリコ・エラピ、ロッコ・パパレオ、マッシモ・チェッケリニ、マリーヌ。バクト、ジジ・ブオイエッティ、アリーダ・バアルダリ・カラブリア、マリア・ピア・ティモ、マッシミリアーノ・ガッロ、ジャンフランコ・ガッロ、ダビデ・マロッタ、テコ・セリオ原題:Pinocchio(「ピノッキオ」)お薦め度「ほんとうのピノッキオ」★★★☆(70%)字幕翻訳:杉本あり
2021.11.24
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MondayTuesday ゴミ出しWednesday ThursdayFriday・・・・・・MondayTuesday ゴミ出しWednesday ‥‥‥MondayTuesday ゴミ出しWednesday ‥‥‥……名前は?ノーバディ(名無し)猫ちゃんのネックレス……それがこんなとんでもない立ち回りになるとは……冒頭からの半端ない暴力の威力はすさまじく、その後の展開が読めずおどろおどろしかった。クライマックスの総力銃撃戦。こんなのあり得る!?見どころ十二分にしびれた。え!?おじいちゃんは、あの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の博士!!!2020年/アメリカ/92分/PG12監督:イリヤ・ナイシュラー脚本:デレク・コルスタッド出演:ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、RZA、アレクセイ・セレブヤコフ、クリストファー・トイド、マイケル・アイアンサイド原題:Nobody(「何者」)お薦め度「Mr.ノーバディ」★★★★(80%)字幕翻訳:風間綾平
2021.11.20
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主演がマシュー・マコノヒー、監督がガイ・リッチーと楽しまさせてくれることを予告編を見て期待したが、話が猥雑。回想シーンの多い作品は難解というかこんがらがって良作にはなりえないという教えがあるけれど、本作は回想ではないが、スクープ記者が張り込み見聞きしたことを相手の犯罪者に売りつけようとすることで回想作品のように行きつ戻りつする。そのこと自体の良し悪しはともかく、感覚的にもこの作品は面白くないなと感じ、配信で見ていれば中止したであろう。そんな印象を持ちながら見続けた。主演マシュー・マコノヒーは良くも悪くもないそれなりの活躍。チャーリー・ハナムが重要な役どころでいい味を出している。ヘンリー・ゴールディングが食わせ者として見せ場を作り、コリン・ファレルはとてもいい役どころ。記者役のヒュー・グラントは小汚く、とても元・天下の二枚目だとは思えない。密売大麻製造者から足を洗おうとした大物が引き起こすとんでもない抗争劇。ガイ・リッチーは知恵を絞ったけれど、不作だったと思える。2020年/イギリス・アメリカ/113分/PG12監督:ガイ・リッチー原案:ガイ・リッチー、アイバン・アトキンソン、マーン・デイビス脚本:ガイ・リッチー出演:マシュー・マコノヒー、チャーリー・ハナム、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、ジェレミー・ストロング、エディ・マーサン、コリン・ファレル、ヒュー・グラント原題:The Gentlemen(「紳士」)お薦め度「ジェントルメン」★★★(60%)字幕翻訳:松崎広幸
2021.11.20
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話題の「エターナルズ」を見に行った。お金をかけて著名俳優も出演し大々的な宣伝をした作品でSNSも大いに盛り上がったと思う。SNSは見てないのでその盛り上がり方はわからないけれど。主役のジェンマ・チャンはスタイルと英語発音は申し分ないのだけれど、西洋人から見たらアジア系はこんな顔立ちだと思われているのだなぁと思った。同様にモンゴリアンな顔立ちのマ・ドンソクも東アジアといえば、この顔立ちね、と思えた。他の出演者もイケメン・美女というよりもそのオリジナリティさを買われてのキャスティングのように思える。一目でファンになってしまうスター性のある人がいないのが残念。多様性を意識しすぎたキャスティングは不発だったと思える。そのキャスティングよりも残念なのはストーリーかもしれない。考えに考えて構築されたものかもしれないが洗練されていない。わかりにくい構図、エターナルズが地球外生物でなく作られたものという点も理解に苦しむ。ひとえに地球を救うというアベンジャーズとも違い、各々が備え持つ超人的力はX-MENのように生まれつき持っているものでもなくて、ならばなぜこうもスペシャルパワーがバラバラなのか、疑問山積。説明不十分で本題に入るまでが長く、話についていけなくなりそうだった。《ネタバレ》いかにも良い話。感動的なドラマとして作ろうとしているのはわかる。しかし、展開が突然すぎて、話はわかるけれど気持ちがついていかない。特に、イカリスがセレスティアルズの思惑通り、新たなセレスティアルズの誕生をエイジャックの命に代えても遂行しようとし、そのために仲間全員を破壊しようとした。それなのに、何がどうしたのか、その動機が分からないままセレステイアルズの誕生を阻止する仲間の輪に加わり、新しいセレスティアルズ凍結後は自身の過去の行いを悔いて謝罪し、太陽に自ら飛び込む。この自死行為はまったく意味不明で自己犠牲なるヒーロー的な所業でもなく、見ていてあいた口がふさがらなかった。星を守る(?)エターナルズを造り出し、星の害敵であるディヴィアンツも造り出したセレスティアルズが求めていたのは新しいセレスティアルズの誕生、とな。ならば、エターナルズもセレスティアルズも造り出さず、ただ7000年の時を待ってセレスティアルズを誕生させればよかったのではないだろうか。そうできなかった、枷(かせ)は一切提示されない。そして、そのセレスティアルズの誕生を阻止したエターナルズたちを懲罰審査にかけようと捕らえたところで本作は終わる。続編を作る意気込み満々なのはわかるが、次回は映画館で見なくても良いかな、と思える作品であった。2021年/アメリカ/156分/G監督:クロエ・ジャオ原案:ライアン・フィルポ、カズ・フィルポ脚本:クロエ・ジャオ、パトリック・バーリー、ライアン・フィルポ、カズ・フィルポ出演:ジェンマ・チェン、リチャード・マッデン、アンジェリーナ・ジョリー、サルマ・ハエック、クメイル・ナンジアニ、リア・マクヒュー、ブライアン・ライリー・ヘンリー、ローレン・リドロフ、バリー・コーガン、マ・ドンソク、キット・ハリントン、ハーリッシュ・パテル、ビル・スカルスガルド、ハーズ・スレイマン原題:Eternals(「エターナルズ」)お薦め度「エターナルズ」★★★☆(70%)字幕翻訳:佐藤恵子
2021.11.14
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剣術指南までやったという岡田准一の土方歳三。期待して見に行った。監督は映画「金融腐蝕列島 呪縛」で名を知らしめ、俳優たちから出演を請う憧れの原田真人。「クライマーズ・ハイ」「関ヶ原」「検察側の証人」といった著名話題作を手掛ける監督だ。原作は司馬遼太郎。新撰組の本としては「燃えよ剣」より、子母澤寛の「新選組始末記」のほうが数倍おもしろく興味が尽きない。本「燃えよ剣」は短く感じ、あっさりとした感じがしたものだ。ただこれは司馬遼太郎が史実を基に綴ることに徹したせいかもしれない。そんな原作を原田監督はどう料理してくれるか、見ものだった。あまりにも知られた史実なので《ネタバレ》で書く。髷を切った土方歳三が五稜郭でフランス人将校を相手に過去を回想する形で描かれる。この回想手法で私の興味はずいぶんとそがれた。回想される作品はえてして面白くないものが多い。(と思えるからだ)NHKの大河ドラマにもなったほどの長尺な新選組の話を土方歳三にスポットを当てて切り取る。それはあまりにもダイジェストすぎて、話を知らない人は展開についていけないのではないかと思える。幕末のことはいろいろなドラマ、映画で描かれているので興味のある人でわからない人はいないとも思えるけれど。沖田総司役は遠い昔に見た草刈正雄のイメージが記憶に刻み込まれており、短躯な山田涼介だと不安であったが、岡田准一も短躯であり、山田涼介のすがすがしい若武者ぶりは良かった気がする。映画「海猿」以降、ガタイの良い男として活躍している伊藤英明の豪傑ぶり肉体美も良かったし、大柄で近藤勇を演じた鈴木亮平も良かった。相手役柴崎コウはまずまずといったところか。松平容保役の尾上右近も良かったし、一橋慶喜役の山田裕貴は山田らしい演技を見せてくれた。はんにゃの金田哲も見せ場はあったし、柄本明、市村正親のワンポイントも光った。毒舌はあまり好きではないので毛嫌いしている村本大輔はもともとああいうキャラなのか、役柄も重要な役どころで目立つキャラでいい仕事をしている。その良すぎる名演技が嫌だ。岡田准一演じる土方歳三は豪傑だったのかどうなのか。策士であることは間違いないのだが、肩をやられて剣に自信を無くしてしまった近藤勇とは対照的に最期まで戦い続けた武士なのであろう。織田信長同様、遺体が見当たらないとされる土方歳三であるのだけれど、ラスト遺体が運び込まれる演出は何を意図してのことだろうか。それにしても最後の戦いの戦場に繰り出した兵隊の数のおびただしいこと。スケールの巨大さに驚いた。あれは、実際なのか、CGなのか。実際のロケであれば、感嘆の上にも感嘆するしかない。2021年/日本/148分/G監督:原田真人原作:司馬遼太郎脚本:原田真人出演:岡田准一、柴咲コウ、鈴木亮平、山田涼介、尾上右近、山田裕貴、たかお鷹、坂東巳之助、安井順平、谷田歩、金田哲、大場泰正、坂井真紀、山路和弘、松村武、酒向芳、新納慎也、松角洋平、勇家寛子、松下洸平、村本大輔、陽月華、月船さらら、村上虹郎、石田佳央、淵上泰史、山村憲之介、渋川清彦、阿部純子、櫻井麻七、マギー、三浦誠己、吉原光夫、森本慎太郎、ジョナス・ブロケ、高嶋政宏、柄本明、市村正親、伊藤英明お薦め度「燃えよ剣」★★★☆(70%)
2021.11.08
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「劇場版 ソードアート・オンライン オーディナルスケール」から4年。劇場版の新作だ。(ブログ「劇場版 ソードアート・オンライン オーディナルスケール」)テレビのアニメはついていけなくて挫折したけれど、劇場版ときき馳せ参じた(見に行った)。すごい、素晴らしい!!絵の美しさ、展開、登場人物の心の機微、戦闘シーンのみごとさなどどれをとってもいうことなし、そして、感動した。わざわざ映画館まで見に行った甲斐があるというもの。エンドクレジットに映し出された2022年公開「劇場版 ソードアート・オンライン プログレッシブ 冥(くら)き夕闇のスケルツォ」が待ち遠しい。実在の人間とアバターがリンクし、仮想空間で現実世界のように動き回り、戦闘に負け仮想空間で消滅してしまうと実在の人間も死んでしまうというデスゲームの舞台。そこに繰り広げられる戦闘やアバター同士の絆など見るべきところ、感じ入るところ多数あり。ミトとアスナの関係性、無類の強さのキリトとの関係性など気持ちを入れて見ることが出来た。クライマックスの死闘は感動を呼ぶ。素晴らしい作品である。2021年/日本/97分/G監督:河野亜矢子原作:川原礫出演:松岡禎丞・キリト、戸松遥・アスナ、水瀬いのり・ミト、平田広明・クライン、安元洋貴・エギル、日高里菜・シリカ、関智一・キバオウお薦め度「劇場版 ソードアート・オンライン プログレッシブ 星なき夜のアリア」★★★★☆(90%)
2021.11.08
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アメリカン・アイドル出身で映画「ドリーム・ガール」でブレイクしたジェニファー・ハドソンだけに期待した。一躍スターダムにのし上がった彼女だったけれど、身内の不幸な事件により、失意に落ち消え去ったかのようであった。その後、徐々に活動はしていたようだが。今回はソウルの女王アレサ・フランクリンを演じ、面目躍如と思えた。前半、十代20代を演じる期間が長く、それなら若手有望株のアフリカ系アメリカ人歌手か女優が演じればいいんじゃないの、と思えたが”映画.COM”の記事によると生前のアレサ本人からジェニファーが指名されていたという。さて、物語はアレサが10歳の時1952年から始まる。そこから紆余曲折してスターになるまでが4分の3くらい、その後がスターになってから。10歳で妊娠と描かれているけれど、実際12歳で男の子を出産した。で、14歳で別の男性との子供、男の子を出産。牧師の家庭に育ったというのに、やってくれるじゃない。映画を見てもダメな男に惹かれるようであった。ジェニファーはよく演じているのだけれど、ひきつるようなほうれい線が気になって、気になって。彼女への期待が大きかっただけにその期待値に届かない歌声、内容は感動するところまでいかなかったような気がする。エンディング・ロールで実写フィルム、アレサ・フランクリンの映像と歌声を聞いた時、感動してしまった。2021年/アメリカ/146分/G監督:リーズル・トミー原案:カーリー・クーリ、トレイシー・スコット・ウィルソン脚本:トレイシー・スコット・ウィルソン出演:ジェニファー・ハドソン、フォレスト・ウィテカー、マーロン・ウェイアンズ、オードラ・マクドナルド、マーク・マロン、タイタス・バージェス、セイコン・セングロー、ヘイリー・キルゴア、ヘザー・ヘッドリー、スカイ・ダコタ・ターナー、テイト・ドノバン、メアリー・J・ブライジ原題:Respect(「尊敬」)お薦め度「リスペクト」★★★☆(75%)字幕翻訳:風間稜平
2021.11.08
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スーザン・サランドン。「ロッキー・ホラー・ショー」「テルマ&ルイーズ」「僕の美しい人だから」で知る素敵な女優だ。久々に見る。【ネタバレあり】この作品を表するにネタを書かないでというのは隔靴掻痒になりすぎるので、ネタバレ覚悟で書く。この作品を見て感動したし、とても印象的な感傷的なシーンもあった。またエモーショナルなところもあった。多分に感情的な作品だと思う、全体的には粛々と進むのだけれど。最晩年、終末期を描いた作品はこれまでもいくつもあった。生きたいと願いながらも病に侵され娘に撮られながら死に往く父をとらえた「エンディングノート」はドキュメンタリーであり、逃れられない近々の死に直面し段取りをする男の矜持を見せてくれた。「92歳のパリジェンヌ」は齢90歳を過ぎ、人生でやり残したことはほぼなく、旧知の友は故人となり、活動できなくなる前に人生を終えたいと考えた女性の実話を映画化した作品だった。まだ生きているかつての恋人に再会し、思い残すことがなくなった彼女は家族の承認を得て旅立っていく。人生の終焉を考える上で、尊厳死を考える一助となる作品だ。これもとても感動した。「世界一キライなあなたに」は正しく尊厳死を題材に扱った作品で、やりたいことをやり終えた後で死をむかえる。物議をかもした作品だが、これも感動の作品であった。これら感動の作品と同じ終末期、最晩年。自ら死を選ぶという本作は悲喜こもごも、感動するところはあれど、しっくりこない、すっきりとしない認めたくはない作品に思えた。それはなぜか?それは主人公と親友との関係にあるのではないだろうか。娘二人は自立し、それぞれの家庭を持ち、一人残る夫に家族同然に接してきた友人との関係を託す。そして、それは主人公の死後ではなく、もう既に関係は始まっていた。左手が使えないながらも自分自身でなにもかもしなければ気が済まない主人公が選択した様々なこと。マリファナをやったり、未成年に飲酒させるなど違法行為をだらだら続けるところが気に食わないのかもしれない。何事も法を守るが、自死に関しては自らの考えを選択するというのなら心情的に寄り添えたのかもしれないが、あらゆることを好き勝手にやって、なりゆきでダダもれのような感じで流れるのが好きじゃないのかもしれない。そして、友と夫に関係を望む。二人は元恋人同士だったという。スーザン・サランドンという素敵な女優に、ケイト・ウィンスレットというスターよりは女優として活動する有名女優と「ジュラシック・パーク」でその名を覚えたサム・ニールと看板俳優が出演している家族劇は舞台演劇のように秘密を明かされることにより七転八倒するコメディ(?)となっている。終幕、主人公の亡骸も葬儀もなく、それぞれが車で去っていく。「ペンギンが教えてくれたこと」も家族劇である。自暴自棄な主人公に気持ちがより添えず、鬱屈しながら見たけれど、鳥を見ながら、不自由な身体ながらカヌーというスポーツに目覚めていく、生きがいを見出していく作品にとても感動した。この「ペンギンが教えてくれたこと」と本作「ブラックバード 家族が家族であるうちに」は対極にある作品なのかもしれない。きしくもペンギン(鳥)とバード(鳥)だなぁ。 ちなみに、Blackbirdは”クロウタドリ”という鳥であるけれど、黒人の蔑称としても使われるようで、ビートルズのマッカートニーが黒人女性の人権擁護や解放を意図して歌った”Blackbird”という楽曲がある。飯田橋ギンレイホールにて(同時上映の「ノマドランド」はロードショーで鑑賞済)2019年/アメリカ・イギリス/97分/PG12監督:ロジャー・ミッシェル原作:クリスチャン・トープ脚本:クリスチャン・トープ出演:スーザン・サランドン、ケイト・ウィンスレット、ミア・ワシコウスカ、リンゼイ・ダンカン、サム・ニール、レイン・ウィルソン、ベックス・テイラー=クラウス、アンソン・ブーン原題:Blackbird(「クロウタドリ」) お薦め度「ブラックバード 家族が家族であるうちに」★★★☆(70%) 字幕翻訳:斎藤敦子
2021.10.23
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これがダイエル・グレイク、007ジェームズボンドの最後の映画なのか。「007 カジノ・ロワイヤル」という傑作で始まり、「007 慰めの報酬」と続き、「007 スカイフォール」「007 スペクター」そして、本作「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」と終わる。Mのジュディ・デンチがいなくなり、レイフ・ファインズに慣れないが、007のみならずコードネームはそのままに人物はかわっているんだな。前作「007 スペクター」の物語は忘却の彼方。レア・セドゥーが出演していたことは覚えているが…。イーサン・ハントが活躍する「ミッション:インポッシブル」のより激しく、スケールが大きく、先進的な感じがする進化する作品作りからすると、007は007らしさを失ってスケールばかり大きくなり人情に、心情を描くことが裏目に出てしまった気がした。今作ではプレイボーイな007はどこにもない。のっけから始まる爆発やカーチェイスや銃撃戦に目を見張ったものの食傷したのかクライマックスの格闘、銃撃戦では興味がなくなってしまった。突然、そう感じた。見入ってしまって感情が揺さぶられていれば洪水というほどの落涙すべきシーンでも一度飽きてしまった私の興味は掘り起こされず、こんな終わり方なんだと淡々と見ているだけであった。字幕が戸田奈津子であった。今や伝説の映画字幕翻訳家となられた彼女が彼女らしく専門家の監修を得て、自由自在に意訳した字幕だった。しかるに本編が終わった後に表示された英語字幕を日本語字幕にしなかったのはなぜだろう?今回、良かったのはアナ・デ・アルマスの登場シーンだけかもしれない。従来のボンドガールらしく美しさとお色気を見せてくれて、銃撃戦でも大活躍!ラミ・マレックは敵対する役であるのだけれど、冒頭での印象だけが強く、その後の生き方はわからず、今、なぜ最悪ともいえる兵器を作り出し、誰に売ろうとするのか、皆目わからなかった。アクション・シーンは素晴らしく、所がかわるたびにすごいアクションが繰り広げられるが、その繰り返しが飽きた一因でもあるのかなぁ。最後のダニエル・クレイグの007を見逃して後悔しないために見て良かったとする。2021年/アメリカ/164分/G監督:キャリー・ジョージ・フクナガ原案:ニール・パービス、ロバート・ウェイド、キャリー・ジョージ・フクナガ脚本:ニール・パービス、ロバート・ウェイド、キャリー・ジョージ・フクナガ、フィービー・ウォーラー=ブリッジ出演:ダニエル・クレイグ、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ロリー・キニア、レア・セドゥー、ベン・ウィショー、ジェフリー・ライト、アナ・デ・アルマス、ダリ・ベンサーラ、ラシャーナ・リンチ、ビリー・マグヌッセン、ラミ・マレック、クリストフ・ワルツ原題:No Time to Die(「死んでる時間がない」)お薦め度「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」★★★☆(70%)
2021.10.02
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公開と同時に見に行こうと決めていたのに、見そびれてしまって、ロードショー終了かという間際、飯田橋ギンレイホールで上映することを知った。それなら、物語の舞台というか、モデルであるギンレイホールで見たほうがより感慨深くなるのではと思い見に行った。思いのほか観客は少なく、午後の回、満席ではなかった。原作にはほど遠いというか、まったく別の物語として映画化されていて、号泣したあの本の映画化を望んだ私は落胆した。主演予定だった志村けんさんが亡くなり、代役で沢田研二さん。コンサートで物議をかもしたかつてのスーパースターは白ひげを蓄えたギャブル狂、アルコール依存症の役だった、原作の内容ほほぼ忘れてしまっていたので、何が違うとは言えないけれど、現代のシーンではコロナ禍も取り上げていて、異様に今日的である。しかるに舞台となった名画座は今日的とは言えないような気がした。というのもシネコンにとってかわられた映画館はスクリーンではあるが配信上映されているようだし、16ミリのリールしか知らない私には35ミリのリールはあまりに大きすぎるような気がした。映画「ニュー・シネマ・パラダイス」で見たリールもそれほど大きくなかった気がする。また、若者世代のシーンでラッシュ・フィルムがリール缶に入って登場するが、こちらは小さすぎる気がした。山田監督なのでリアリティに間違いはないだろうけれど、どうなのかな。そして、ギンレイホールでの鑑賞マナーからすると上映途中からの入場はあり得ないし、もし、上映開始後であれば立ち見である。日がな一日、一度入ってしまえば何度でも繰り返し見られて、途中から見て途中で帰るということが当たり前だった昔とは今の鑑賞状況はずいぶんと違う、にもかかわらず、上映後に平気で入場する主人公たち。その無遠慮な行動に違和感を感じてしまった。また、後年の淑子(宮本信子)が語る好きな監督にフランク・キャプラをあげたり、創作のもとになったものにバスター・キートンを出したりしているけれど、これらは齢90歳の山田監督のものであり、とても70歳代の主人公たちが語るものではないような気がした。70歳代であればビリー・ワイルダーくらいがいいのではと思った。(作風かなぁ、フランク・キャプラ監督は「或る夜の出来事」という名作傑作をつくり「オペラハット」「我が家の楽園」「スミス都へ行く」「素晴らしき哉、人生」など珠玉の作品がある)過去の若者のシーンと現代の老人のシーンがあるけれど、圧倒的に過去の若者のシーンが好きだ。あんな風に映画作りをしていたと思うし、あんな風に青春していたと思うから。若い役者、菅田将暉、永野芽衣、北川景子は素晴らしかったし、リリー・フランキーも良かったなぁ。淑子の母、広岡由里子も昔のお母さんらしくて良かった。現代のシーンでも時たまわかる程度にしか映らない志尊淳はかわいいし、チョイ役(?)の片桐はいりは存在感あるし、ネクラな感じの前田旺志郎も娘の寺島しのぶの芸達者ぶりも良かった。若き日のテラシン(野田洋次郎)の年老いた役を演ずる小林稔侍も良かった。感動作というには物足りなさを感じるけれど、そこは90歳の監督の感性・経験値。若輩はその齢にならないと理解できないかもしれないし、たとえその齢になったとしても理解できないかもしれない。映画に関しての対談に感銘を受けました。映画化記念対談 山田洋次×浜田マハ『キネマの神様』がくれた奇跡飯田橋ギンレイホールにて2021年/日本/125分/G監督:山田洋次原作:原田マハ脚本:山田洋次、朝原雄三出演:沢田研二、菅田将暉、永野芽衣、野田洋次郎、北川景子、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子、リリー・フランキー、前田旺志郎、志尊淳、松尾貴史、広岡由里子、北山雅康、原田泰造、片桐はいり、迫田孝也、近藤公園、豊原江理佳、渋谷天笑、渋川清彦、松野太紀、曾我廼家寛太郎、前田航基お薦め度「キネマの神様」★★★★(80%)
2021.09.20
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評判の「イン・ザ・ハイツ」を見に行ってきた。公開からすでに一か月以上を過ぎ、わずかな映画館でしか上映していない。やむなく宮下公園の向かいにあるヒューマントラストシネマ渋谷 まで映画を見に行った。わざわざ見に行って良かった。素敵な映画だった。楽しめたし、感動もできた。ただ評判ののミュージカルということ以外、何の知識もなしに見に行ったので、主人公がプエルトリコ人で場所はニューヨークのブロンクスより北にあるワシントン・ハイツというラテン系移民が多い町が舞台になっていて、それゆえ”In the (Wahington) Heights”だということを知った。なんといってもダンスが素晴らしい。モブシーンといっていいのか、ストリートもプールも、数多のダンサーがキレッキレンのダンスをアクロバティックに絵になるように踊ってる。歌もいい歌唱であったが、ダンスシーンが特筆すべきところ。展開としてはおっさんが成功を夢見る若かりし頃を子供たちに聞かせるという設定で、その語りの内容が映像として描かれるというもの。不法移民の問題や差別などについても深刻にならないけれど真摯にとりあげ、作品内容としてまとめ上げている。舞台、出演者ともにラテン系ばかりに驚き、壁のダンスシーンなど想定できないことがあったり、観客をだます巧妙な映像があったりで、なんとも仕掛けの多い作品であった。にぎやかすだけでなく、娯楽ミュージカルとして素敵にまとめている。2021年/アメリカ/143分/監督:ジョン・M・チュウ原作:リン=マニュエル・ミランダ脚本:キアラ・アレグリア・ミランダ出演:アンソニー・ラモス、コーリー・ホーキンズ、レスリー・グレイス、メリッサ・バレラ、オルガ・メレディス、ダフネ・ルービン=ベガ、グレゴリー・ディアス4世、ステファニー・ベアトリス、ジミー・スミッツ原題:In the Heights(「ハイツで」)お薦め度「イン・ザ・ハイツ」★★★★(85%)字幕翻訳:石田泰子<ネタバレ>冒頭の砂浜オープンレストランのシーン。素敵な南国。いや、プエルトリコのビーチとみた。現地の子供たち相手に昔話のニューヨークのワシントン・ハイツで成功を夢見て生活をしていた頃の話を聞かせていた。が、これがフェイク、映画の映像マジックとはクライマックス、終盤まで気づかなかった。ミュージカルだから許される歌と踊り、飛躍する話なども展開に驚く映像的手腕も驚くほど見事であった。すっかり騙されました(笑)
2021.09.04
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「え!! 終わり!?」さぁ、これから佳境に入ると思ったところでエンドクレジットが始まった。短い作品と知ってはいたけれど。前編だけを見せられて終わった感じ。結末がない作品なんて…、おすすめは出来ません。【映画.COM】を今見て、知った。2020年12月30日にNHK総合で放送されたものなんですね。カンヌ映画祭でも上映されたようですが…この、中途半端な内容のまま劇場公開するとは。結末を付け加えて劇場版にしましょうというものではないかな、と考える。ああ。残念。見に行った時間を返してほしい。2020年/日本/83分/監督:宮崎吾朗脚本:丹羽圭子、郡司絵美出演:平澤宏々路、寺島しのぶ、豊川悦司、濱田岳、シェリナ・ムナフ、木村有里、柊瑠美、岩崎ひろし、ニケライ・ファラナーゼ、谷口恵美、齋藤優聖、鈴木花穏、石田さくら、佐伯美由紀、徳田章お薦め度「劇場版 アーヤと魔女」★☆(30%)
2021.08.29
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