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ようやく「天気の子」を見てきた。「君の名は。」が記録的大ヒットをとばした新海誠監督の新作である。期待はしたが、鑑賞後に落胆しないように心構えしていた。まずまずの作品といえよう。傑作の後に、それ以上の傑作を作ることは難しい。まして、全国的に知られ注目され、期待された今となってはなかなか製作が難しく思えたであろう。音は良かった。陽菜や帆高の声も、RADWINGSの音楽も、主題歌も三浦透子も。平泉成の声はすぐに成さんとわかった、わかりやすい(笑)。もちろん映像も良かった。新宿や池袋を丁寧に鮮明に描いていて、とても良かった。物語は、どうだろう? この作品でも時空を超えた世界が出てくるけれど、それはまた「君の名は。」とは違うし、他の新海作品とも違う。天気、しかも大雨を取り上げたことはとてもタイムリーだと思う。そして、描いた天気の子が人身御供という、浮世離れした時代錯誤のものが出てくるとは。若者は、子供たちは、人身御供という言葉を知っているだろうか? この作品を見ていて、どういうものかは理解できるとは思うけれど。描かれる世界、描かれる現実、描かれる結末。誰しも天気がいいといいと思うに決まっている。という大前提。豪雨は嫌だろうけれど、雨(水分)がないと世界は始まらない。日照りが続けば雨乞いをすることだってある。雨は悪者だろうか?感動はした。楽しめたし、面白かった。ただ、「君の名は。」を超える作品ではなかった気がする。次回作に期待しよう。2019年/日本/114分/G監督:新海誠出演(声):醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬、神木隆之介、上白石萌音お薦め度 「天気の子」★★★★(80%) 注!!ネタバレ!!東京の、というより都会の、いや社会のきびしさ・つめたさが帆高の上京時に描かれているけれど、未成年者を浮浪させないということは健全なしっかりした社会であるとも思うわけで。社会のつめたさはひとり都会に出てきた主人公が感じる主観的なものである、と思う。それを同じように感じたのは新海監督が上京し体験し、見聞きしたことから描かれているようにも思う。単身田舎出身者でなければなかなか直面しない問題であろう。3年後の東京が水没したと描かれるが、変だと思った。東京が地盤沈下でもしない限り水没することはありえない。昔、あの辺は海だったとセリフであるけれど、海であったところを埋め立てているわけだから、どんなに大量の雨が降ろうとも、洪水になることはあっても、水没することはありえない。そして、3年もの時間が経過しているならば、国も東京都も何か手立てを打って水没しないようにしているはずだろうし。海抜0メートル以下のオランダだって水没せずに都市が機能しているのだから、と思ってしまった。騙されてしまった。陽菜が18歳だということに。観客は素直に信じすぎる。これが一番の驚き。新海誠監督は10代の恋を恋心を描くことが好きなようである。これまでもずっと10代の青春を生活を恋を描いてきた。時空を超え、奇想天外な世界で、描いてきた。「秒速5センチメートル」の第1話「桜花抄」が一番好きだ。彼の最高傑作だと思う(現在のところ)。「言の葉の庭」も好きだ。とてもいい作品だと思う。だとすれば、現実世界の話が好みなのかもしれない。いや、心の襞を心の起伏をシンパシイをもって描かれているものが好きなのだと思う。大いに心を揺さぶられ衝撃と感動を味わった「君の名は。」は最高の出来であろう。無軌道な家出人の作品を作るなんて。16歳で働くということ。何があったかは描かれていないけれど、高校を卒業するまで待てなかったのか。高校1年だったと思う、母親も父親も嫌いで一刻も早く家を出たいけれど、生活力がないので、高校卒業まで我慢すると告白した同級生がいた。それを思い出した。世界を救うために、天気にするために、人ひとり人身御供として送り出す。それが当然だと、セリフにあった。映画「アルマゲドン」を思い出した。地球を救うために、命を賭して大隕石に宇宙船もろとも体当たりする主人公に大感激した。日本で昔、川の氾濫などをおさめるために人身御供、人柱を立てた。その地域を救うために人命を捧げた。国を守るために特攻隊があった。世界(国・社会)は人命よりも重い時代があった。けれど、福田赳夫元総理が1977年「ダッカ日航機ハイジャック事件」で「一人の命は地球より重い」と身代金を支払い、人質解放したことを思い出した。地球がなくなれば、人類はいなくなるわけだから、地球と人命とどちらが重いとは言えないけれど、現在は命を捧げることはしなくてもいいのではないだろうか。陽菜の体がホテルの一室から消えてしまうまではいいけれど、消えてしまってから、クライマックスまでは腑に落ちないというか、納得がいかない。時空の問題とそのからくりがよくわからないせいだと思う。しかし、そのからくりを説明したところでわからないだろうし、理解できないかもしれない。世界を天気にしようとして陽菜は消えた。陽菜を現実世界に取り戻そうとして帆高は祈った。そして、現実世界に雨が降り続く。雨はこのまま降り続くのだろうか。
2019.08.18
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映画「ライオン・キング」を日本語吹き替え版で見るとは思わなかった。外国映画に関しては字幕派の私であるので、当然、選ぶのは字幕のはずだった。池袋にオープンしたグランドシネマサンシャインへ見学を兼ね出かけたので、話題で評判の【4DX3D版吹替】を見てきた。見て思ったが、字幕でなくてよかった。字幕を読むことに慣れているので、問題はないけれど、吹き替えで(字幕を読まないことで)映像に集中できた。久々に見る3D映像は若干違和感があったけれど、すぐに慣れた。座席シートがすごい。前席とのスペースは大人一人が通行できるほどの幅があるのは驚きだ。とはいえ、足は投げ出さない、投げ出せない。シートと一体の足置きに足を乗せ、アミューズメントのアトラクションの乗り物のように、上下前後に動くのだ。斜めに傾くし、風、風圧、腰背中に圧力がかかったり、ミストシャワーや雨も降る。煙も出てたし、まさしく体感型映画鑑賞である。それゆえ、字幕を気にすることなく映像を見るには吹き替えだな、と了解した。そして、とても楽しめた。「ライオン・キング」のストーリーはまったく忘れてしまっていたが、映像と体感・体験に魅了されて楽しませてもらった。吹き替えではプンバァ役の佐藤二朗が痛快だった。とてもおもしろく、楽しめた。音楽のリズムにのせての歌(?)もセリフも二朗さんらしい味わいが出ていて良かった。この吹き替えを聞くだけでも、吹き替え版を見る価値はある(?)本当に楽しめた。この作品を見る前に驚いたことは、監督がジョン・ファブローだということ。このまえ見た「シェフ」まで名前を気にしたこともない俳優だったが、「シェフ」で監督を兼ねていることに驚き、この「ライオン・キング」の監督をしていることに驚いた。「アイアンマン」「アイアンマン2」の監督をしていて、「アベンジャーズ」の監督を断って、「シェフ 三ツ星フードトラックを始めました」を監督・主演したという才能の持ち主である。彼が、とても良い作品に仕上げてくれている。グランドシネマサンシャインの【4DX3D版】は必見、いや体験すべきである。2019年/アメリカ/119分/G監督:ジョン・ファブロー出演(吹替):賀来賢人、江口洋介、佐藤二朗、亜生(ミキ)、門山葉子、大和田伸也、沢城みゆき、加瀬康之原題:The Lion Kingお薦め度 「ライオン・キング」★★★★(80%)
2019.08.15
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「トイ・ストリー4」この作品を映画館で見た。9年ぶりの新作のようで、冒頭で時間経過とともに、ウッディたちおもちゃが男の子から女の子へ譲渡された。そう、男の子は子供ではなくなったのだ。その9年前の少しあと、女の子であるボー・ピープの人形は3匹の羊とともに、別の女の子へと譲渡されていた。ウッディたちとボー・ピープたちとの再会の物語、新たなおもちゃも登場し、波乱に満ちた冒険が始まる。子供たちはかわり、おもちゃたちは旧態依然。時の移り変わりの無情さの中、熱い絆で結ばれているおもちゃたちに新たな展開が訪れる。池袋の映画館で見たが、ピークの昼の時間帯、満席でなかったのはなぜなのか。池袋といえど客は入らないのかなぁ・・・。さて、この作品を見て、感動し、一縷の涙を流した。そして、思った。これはとてもとてもアメリカ的な作品なのではないかと。行動も情感もアメリカ人気質満載と思われるが、それでも感動するのは人間の感情のなせる技なのか。アメリカ人の感情を受け入れることができるのか。感性と表現の違いを感じつつもとてもチャーミングな作品と思えた。終幕、ウッディからジェシーへ物語が受け継がれることを予見させながら終わる。「トイ・ストーリー5」はあるのだろうか?2019年/アメリカ/100分/G監督:ジョッス・クーリー 出演(声):トム・ハンクス、ティム・アレン、アニー・ポッツ、トニー・ヘイル、クリスティーナ・ヘンドリックス、キーガン=マイケル・キー、ジョーダン・ピール、キアヌ・リーブス、アリー・マキ、ジョーン・キューザック、ウォーレス・ショーン、ジョン・ラッツェン・バーガー、ジム・バーニー、ドン・リックルズ、エステル・ハリス原題:Toy Story 4お薦め度 「トイ・ストーリー4」★★★★(80%) 字幕翻訳: 注!!ネタバレ!! 男の子のおもちゃが女の子に譲渡される。受け継ぐ。それって、ありえるのだろうか?作品の中でも描かれるけれど、大学生になったであろう男の子が(知り合いと思われる)女の子の幼児に、おもちゃ一式を譲る。それに先立って、9年ほど前に女の子の人形であるボー・ピープが(親戚と思われる)女の子に譲渡される。ウッディとボーとの別れのシーン。ここで、ウッディがボーに一方ならぬ感情を抱いているのが見て取れる。この日は雨。それも大雨っぽい。ボーとの別れの前に雨の中、子供部屋に戻らぬおもちゃ仲間が庭のどぶ(排水溝)にはまり、雨水とゴミに押し流されようとなっていた。それを発見したおもちゃたちはボー・ピープの指揮の下、ウッディが先頭に立ち救出に向かう。雨とゴミとで悪戦苦闘しながらおもちゃ仲間を助け出す。<仲間を見捨てない>これってアメリカ的だよね。映画「プライベート・ライアン」を思い出した。第二次世界大戦で4人兄弟のうち、3人の兄が戦死し末弟の一人を救出部隊を送り生還させようとする話。仲間を見捨てない。たとえ死体となっても戦地から遺体を持ち帰るということをするアメリカ。特攻隊を作って死なばもろとも死体が雲散霧消しても神に召されて天国に行くと考えた日本とは正反対である。遺体の埋葬と火葬の思想の違いにも通じる気がする。仲間を見捨てない、これがアメリカ。別れ別れになってから約9年、キャンピング・カーで女の子の一家とおもちゃと旅に出たウッディはボーと再会を果たす。そこで出会った、ウッディと同じ仕掛けがあるおもちゃギャビーギャビー。背中の紐を引っ張ると音声が出るという仕組み。ギャビーギャビーはアンティーク雑貨店に埋もれていた。それは、故障で音声が途切れて出ないためだと考えた。そこで、ウッディの仕掛けを移植することを計画。ウッディも仲間を助けるために移植を承諾。<生体移植>そこまで重く考えることもないだろうけれど、誰かから仕掛け(臓器)をとって、移設(移植)するということが当然として描かれるのはアメリカかな。仕掛け(臓器)移設(移植)したギャビーギャビーがアンティーク雑貨店の孫娘にかわいがられると思ったのに、早々に見捨てられる。そして、その後、ギャビーギャビーを拾ったのは迷子の黒人女の子。孫娘が見捨てるシビアさも、拾い上げた子が黒人という設定もアメリカかな。クライマックスで遊園地に戻ってきたウッディ、ボーピープと合流するキャンピング・カーのおもちゃたち。ここでボーと別れがたいウッディはおもちゃ仲間との別れを決意し、ボーとともに遊園地に残る。この選択がアメリカ。見ていて、ボーと別れたくないウッディは当然、仲間となるよう、ともにキャンピング・カーに乗り込み女の子の新しいおもちゃとしてボー・ピープを引き入れようとすると思った。しかし、そうではなく、おもちゃ仲間と別れ遊園地に残る。団結、仲間を良しとしてホームに帰ろうと考える日本的思考ではなく、仲間と別れて新天地に旅立つと考える思考、これぞ、アメリカ!このウッディの行動が最もアメリカを体現していたと思えた。おもちゃ仲間と別れを決めたウッディが保安官バッチをジェシーに託す。カウ・ガールが後任となったことにより持ち主が女の子ということと相まって「トイ・ストーリー5」はあるのかな、と感じた。少なくとも伏線ははれた。<新たな道を往く>名画「我が道を往く」ではないけれど、新たな出発を描くのがアメリカ。旅立ちはアメリカ。これぞアメリカ。見終わって、さめざめと一縷の涙を流したりしたシーンはいくつもあり、感動した。見て良かった。そして感じたアメリカなるもの。このアメリカなるものを見て感動するということは描かれていることが全人類的なことなのか、アメリカかぶれのせいなのか。感性は違えどアメリカをよく知っている日本では感動できるであろうと思う。さて、「トイ・ストーリー5」はウッディが主人公なのか、ジェシーが主人公なのか。それともスピンオフとして描かれるのか。その後があるかどうかは「トイ・ストーリー4」のヒットにかかっている。
2019.07.15
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アベンジャーズの終結を受けての本作。アイアンマンことトニー・スタークの後継者となりえるのか、といった点が本作のキモ。内容がリンクしているだけに全作を見ていないと理解不足になる点があるのではと危惧する。また、見ていたとしても、このところ関係が緊密になっていったところなので、そもそも論からしてリンクしていいのか、別作品として存在していたほうがいいのでは、という考え方もある。ただ、現在ほど情報が交錯し、関連性が強まっているのならば関係性は強固な方がいいのであろう。さて、作品だか、冒頭から戦闘シーンがありスペクタクルに長け、見どころ、見せ場がある。そこで、ピーター・パーカーと同じく信じやすい観客はどんでん返しに驚き、どっぷりと引き込まれてしまう。スパイダーマンの彼女役として美女を配さなかったのは、美女に注目してしまって物語に集中できなくなることを避けるためかも、と思ってしまったのはうがった見方だろうか。スタイルはバツグンでピーター・パーカーが見劣りするくらいだけれど、美女でないのは既定路線なのだろうか。後半は疑心暗鬼を持ちながらも騙され続けてしまう、お人好しさが続き、クライマックス、ラストとなかなかものすごい空中戦、バトルが繰り広げられる。都市レベルでのスパイダーマンなのに地球レベル、宇宙レベルの話になってしまって、大風呂敷を広げすぎるのかもしれない。そして、エンドクレジットに至っても映像が追加されるのは、続編の宣伝なのか、予告なのか。その設定も登場人物も好ましものとは思えなかった。2019年/アメリカ/135分/監督:ジョン・ワッツ、出演:トム・ホランド 、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダース、ジョン・ファブロー、J・B・スムーブ、ジェイコブ・バタロン、マーティン・スター、マリサ・トメイ、ジェイク・ギレンホール、アンガーリー・ライス、トニー・レボロリ、レミー・ハイ、ヌーマン・アチャル原題:Spider-man:Far From Homeお薦め度 「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」★★★★(80%) 字幕翻訳:林 完治 注!!ネタバレ!!今作、前半は満点といえよう。新しく登場したミステリオが、ドクター・ストレンジを彷彿とさせ、なかなかの、いや鮮やかな活躍を見せる。新しい敵がいつどこに出没するのか、なぜわかるのか、その謎はミステリオの正体が明らかになった時に、判然とする。そんな!!!主人公スパイダーマンことピーター・パーカー同様に騙されてしまった我々観客はあ然とするしかない。ここまでの完成度は秀逸である。と、思われた。後半、ミステリオの正体が他の地球からやってきた異星人でなく同じ星の地球人だとわかった時、ドローンを使っての戦闘が現実的なものなのか疑義を抱き、それまでの高揚度が下がっていく。壮絶なバトルはすごいのだが、ナイト・モンキーという設定も、エンド・クレジットの映像も、創意工夫による劇薬のごとく準備されたインパクトのあるものと思われるが、興味を高めるのとは逆におもしろくなく思ってしまう。”過ぎたるは及ばざるがごとし”の諺(ことわざ)のようにあまりにもいろいろとやりすぎた、と思える。、
2019.07.07
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とても素敵なチラシだ。シンデレラのガラスの靴ならぬ、ガラスの城、そして約束。肩車する親子に思いを巡らす女性の画像。とても素敵なアットウォームな、はらはらと涙を流せる物語を期待した。実話でもあるし。この作品は、それとはまったく違った。失業者で夜逃げを繰り返すアル中父親に、育児放棄の売れない画家の母親。そのもとで育った次女が主人公。ニューヨークでマスコミのライターとして生き、億ションに住み、優しい婚約者と同棲する敏腕ライター。ディナーでの婚約者の商談もうまくまとめる。回想で繰り広げられるのは幼少期、少女期、青年期での両親との軋轢。姉弟、そして妹との絆で生き延びた日々。見ていて、楽しいものではなく、何ら解決されるものもない。クライマックスをむかえ、家族の絆をあらたにしたときに、映画は終わる。実話作品によくある本人たちの登場がクレジットと前後して現れるが、必要以上に多い。今は幸せ、といいたいのか。見るにはしのびない作品に思えた。ナオミ・ワッツも歳をとったなぁ。(母親役)2017年/アメリカ/127分/G監督:デスティン・ダニエル・クレットン出演:ブリー・ラーソン、ウッディ・ハレルソン、ナオミ・ワッツ、マックス・グリーンフィールド、サラ・スヌーク、ジョシュ・カラス、ブリジット・ランディ=ペイン原題:The GLass Castleお薦め度 「ガラスの城の約束」★★★(60%) 字幕翻訳:稲田嵯裕里注意!ネタバレ!!子供を通学させず、やけどで入院した病院から娘(少女)を拉致し、逃亡。夜逃げを繰り返すアル中暴力父親に育児放棄の売れない画家の母親。長女、次女、弟、歳の離れた妹の4人兄弟。面倒を見てくれない親に監視されながら兄弟の結束は高まる。今は、ニューヨークのマスコミ記者として活躍し、高級レストランで商談をする婚約者を持つ次女。思い出すのはトラウマとなる過去の家族との生活。父親との軋轢。子だもたちを追いかけてニューヨークに浮浪者、不法滞在(無人アパートに侵入)する両親。結婚の報告も、婚約披露パーティーも悲惨な結末をむかえる。見ていて、楽しいところはほぼなく、異常な親子関係、家族の姿にダメージを受ける。それに加えて祖母の業状。昔、祖母の息子(父親)に性的虐待をしていた由。なにがなんだか、おまえにガラスの城をつくってやると豪語する父親に感化され、されど嫌悪し、忌避したあとでの死期を前にした和解(?)実話によくある、クレジット前に本人たちの登場による大団円。このようなものでいいのか、このような終わり方でいいのか。亡き父を懐かしむ姉弟と主人公たち。実話だからと見てみてもなんら面白くも楽しくもなく、感動もない。ただ、クレジットにあった同じように暴力を受けた人々に捧ぐみたいな一文は、だからこの作品を作りたかったのだと思わせた。
2019.06.23
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X-MENシリーズもこのところ見ていなかったので、メンバーの入れ替わりで初見にちかい人物もいて、なかなかとらえどころが難しかった。しかし、まぁ、特殊能力保持者という認識で、なんとか。今回の主人公、ジーン・グレイは最強というか、超強という言葉をあててもいいほどのむかうところ敵なしで、恐ろしかったね。また、敵役も超強で、対決がしびれる。醍醐味、見どころはそこかしこにあり、銃撃戦、対戦と続くスペクタクルな戦闘は常軌を逸している。それだけで十分で、反面、内容が入ってこない(笑)。なんとか、話についていって、エンディングまでいくけれど、これでよかったのかな、と思ってしまう。大画面でのスペクタクルに大音響。振動が空気を伝わりわがふくらはぎを揺らしたので、驚いた。2019年/アメリカ/114分/G監督:サイモン・キンバーグ出演:ソフィー・ターナー、ジェームズ・マカボイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、タイ・シェリダン、アレクサンドラ・シップ、エバン・ピーターズ、コディ・スミット=マクフィー、コタ・エバーハード、アンドリュー・ステリン、ジェシカ・チャステイン原題:Dark Phoenixお薦め度 「X-MEN:ダーク・フェニックス」★★★★(80%) 字幕翻訳: 松崎広幸注!!ネタバレ!! 作りというか、話の骨子が古い気がする。詳細は説明なく(住む星を無くした宇宙人との説明はある)、ジーン・グレイの敵役として登場し、悪役を演じきる。勧善懲悪を持ち込んだ古い仕立てのように思える。壮絶でスペクタクルな対戦シーンが続き、銃弾が霰のように降りまくる作品では、あまり込み入った人物の立ち位置を描きにくかったのか。それとも、主人公ジーン・フレイの葛藤、心と感情の問題が肥大化して、その点にフォーカスを当てたいがために、宇宙人に感情はないように設定したのだろうか。いずれにしても人間だけでなく、ミュータントを凌駕するほどの強靭な宇宙人たちなわけだから、あっさりと地球征服できるものなのでは、と思えてしまう。また、ミュータントにしても人類以上の力を持ち、数も相当数いるのであれば、人間に支配される地球の一部となるのではなく「猿の惑星」のように「ミュータントの惑星」として地球地図を塗り替えることもできるのではないだろうか。いきすぎた話ではあるが、ここまで進出してきたら、グローバルな話にならざるを得ないのでは。今回、太陽のフレアと間違えた炎のパワーを取り込み、人間だけでなく、ミュータントをも超越した超力を持ってしまったダーク・フェニックスことジーン・フレイが命を投げ出してまで宇宙人を絶滅せんとする必要はあったのだろうか。宇宙人の仲間とパワーがいまひとつわからないまま、大激戦になってしまった。見ごたえは十分なのだが、いまひとつしっくりこないのはなぜ。
2019.06.22
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この作品を見て4日が経とうとしている。感無量の作品である。「アラジン」という作品がこれほど素晴らしい作品であるとは思わなかった。アニメーションで見る限り、後にも先にも最高傑作は「美女と野獣」であるけれど、アニメで見た、アラジンはまずまずの出来に思えた作品だった。「美女と野獣」の実写版はアニメに劣らず良く出来ていた。ただ、エマ・ワトソンがベルにはどうしても思えなくて・・・。エマはよく演じていたけれどね。同様に今作でジャスミンを演じるナオミ・スコットもなぜ彼女なのかがわからず、ジーニーのウィル・スミスもアラジンのメナ・マスードもキャスティングに納得はしていなかった、映画を見るまでは。映画を見終わった今、このキャストにてこの役柄があるのだと納得した。とてもとても感動し、三度、いや、四度涙を流した。感涙である。このような素晴らしい作品を作ってくれたことに感謝。映画としての完成度は高く、また、今作独自のシーンがここかしこにあって、それがまた素敵なインパクトで作品をグレードアップしている。単なるリメイク、リブート作品でなく、ブラッシュアップされた傑作となっている。2019年/アメリカ/128分/G監督:ガイ・リッチー出演:ウィル・スミス、メナ・マスード、ナオミ・スコット、マーワン・ケンザリ、ナビド・ネガーバン、ナシム・ペドラド、ビリー・マグヌッセン 原題:Aladdinお薦め度 「アラジン」★★★★★(100%) 字幕翻訳: 中沢志乃 注!!ネタバレ!!冒頭に出てくる、昔話を語る船旅のシーン。なぜこれが必要か皆目見当がつかなかった。さて、本編であるが、ストーリー自体はアニメを見ていて百も承知。いまさら新発見などあるわけない。という予測をみごと裏切り数々の感動を与えてくれた。とてもとてもスペクタクルで楽しい作品であり、そこにこの物語が持つラブ・ストーリーに友情と温情を絡ませ、ジーニーにも人間味をもたせて感動を与えてくれた。スペクタクルでの楽しさでいえば、アラジンがアリ王子となって入国してくる大名行列ならぬ王子のパレード。ディズニーランドのパレードを彷彿させて倍増させたきらびやかさと楽しさ満載であった。アラジンがイケメンでないことにちょっと不満であった。しかし、イケメンでもブサメンでもない下層庶民でどろぼうを生業としている若者が清い心(?)で魔法のランプを手にして、王女様と恋に落ち、必死に体当たりで難関に挑んでいく姿はジーニーではないけれど応援したくなる。ジーニーがウィル・スミスだったのは驚きであった。しかし、ラップにダンスにとくれば、歌の世界でも成功しているウィルならではの芸達者ぶりが発揮されて、彼がキャスティングされたのもうなずけた。圧巻はナオミ・スコットである。美女ではあるけれど、低音声の彼女はプリンセスに似つかわしくないと思えた。美女はソプラノ(高音域)の綺麗な声で話すという先入観からなのだが、クライマックスで彼女、ジャスミンが父を思い、力の限り歌い上げるソロパートはアルト(低音域)の響きがなければ、その思いが伝わらない。大感動のシーンであった。彼女の歌いっぷりを見た時にこのジャスミンにはナオミ・スコットしかいないと思えた。素晴らしい!!物語の終盤に船旅のシーンが戻ってくる。”ああ、そうだったんだ!”と思えるシーン。冒頭のシーンはここに繋がる、そして見えてくるジーニーの物語。それが何かはぜひ映画を見て確認してほしい。私はとても感動した、なるほど!と。やられた、やられてしまった実写映画「アラジン」に。感動して満点をつけたが、この作品オリジナルの素晴らしさに追加点を加えたくなった。感謝、感激、雨、あられ!と思える作品である。
2019.06.19
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6月1日映画の日。1,100円で見に行った。迫力満点の怪獣対戦。ゴジラ対キングギドラの戦い。強いのはどちらだ!主役はゴジラだろうけれど、人類では誰だろう?エマ・ラッセル(ベラ・ファーミガ)か?見た目がケイト・ブランシェットみたいで、最後まで彼女かそうでないかが気にかかる。夫のマーク・ラッセル(カイル・チャンドラー)か?けれど、彼はそれほど活躍しない。話の筋が意味不明というか、発端からして納得できる内容でなく、いくつかある劇的ヒーロー、ヒロイン的行動も疑問を抱かざるをえない。一言でいうとストーリーはダメダメということ。前作ハリウッド版「ゴジラ」では『子ども目線でなく、大人目線で作られた作品。 SF怪獣映画の楽しさを期待して見に行った人は落胆するかもしれない、あまりに現実的でよく作られているから。予想外の作品であった。』とストーリーを絶賛したが、本作は逆。子ども目線で作られたともいえるほど怪獣対戦が充実している。とてもすごくて、ありえないくらいのド派手なパフォーマンス。怪獣映画の醍醐味を思う存分味あわせてくれる。しかし、物語を紡ぐ人間のストーリーはつながらず、無意味な、あるいは、ついていけない展開がある。前作を評価した私は、本作はあまり評価できない。ゴジラが巨体過ぎて、強面(コワモテ)すぎて、これでいいの?渡辺謙の扱いが良くないのと、チャン・ツイィーに至ってはなぜ出演したのかわからないくらいお粗末である。彼女でなくても良いと思える設定。残念である。2019年/アメリカ/132分/G監督:マイケル・ドハティ出演:カイル・チャンドラー、ベラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、ブラッドリー・ウィットフォード、サリー・ホーキンス、チャールズ・ダンス、トーマス・ミドルディッチ、オシェア・ジャクソン・Jr.、渡辺謙、チャン・ツイィー原題:Godzilla King of the Monstersお薦め度 「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」★★★(60%) 字幕:注!!ネタバレ!!ジュラシック・ワールドを彷彿させるようなジャングルの中のプレハブ家で息子を亡くし夫と離別した母娘がいる。地下研究拠点にモスラの幼虫を育成していた。そこへ・・・。世界の各々の研究拠点に捕獲研究されていた巨大生物がいて、それらが何者かによりそれぞれ覚醒していく。蘇ってくる怪物たち、なかでもキングギドラに対峙するのがゴジラである。モスラとゴジラとラドンとキングギドラが怪獣対戦を繰り広げる。スペクタクルに満ちた怪獣決戦。納得いかないのはストーリー展開だ、ラッセル夫妻が怪獣研究にかかわり、なぜ離別したのかが判然としない。そのまま、悪の手先というよりは敵を先導する母、エマ・ラッセルがいる。彼女の立ち位置が不明瞭、不安定でどのような行動にも納得がいかない。一度、被弾した周囲のすべての生物を殺害する核弾頭を見舞われるが、キング・ギドラもゴジラも死なない。それって、どうなの?この爆発シーンが原爆を想起させて気持ち悪かった。また、瀕死のゴジラを助け覚醒すべく、芹沢(渡辺謙)が決死の潜航に出るのは人間魚雷”回天”を想起させて気分を悪くした。ここで彼が命を賭してゴジラを覚醒させる意味があるのか。アルマゲドンのブルース・ウィリスの決死隊をまねたとするならば、価値も意味もないと思えた。同様にエマ・ラッセル(ベラ・ファーミガ)が命を投げ出すのだが、こちらは全く無意味であったとみえる。言葉は悪いが無駄死である。それを描いて喝采をもらえると思ったのだろうか?怪獣世界の覇者にひれ伏す覚醒した怪獣たちの姿がおかしい。笑えないくらい無様である。ラストカットも意味不明。こんなありさまなのに続編つくるの?
2019.06.02
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今日は1日、映画の日。何かを見に行こうと思ったとき、地元の映画館でこの作品がやっていた。以前、見に行こうと思って見逃していた作品だけれど、1,100円だし、見に行った。3月22日公開ということで映画館はかわれど、今も見られるということはなかなか面白い作品だのだろう。主演がフェリシティ・ジョーンズといわれ、誰だろう?と思った。「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」の主演の彼女だと思い出し、興味をもって見た。みどころのある芝居をしたので感心したしだい。夫役のアーミー・ハマーは全く知らない。キャシー・ベイツが出てくるので彼女が尽力するのかと思ったけれど、それほどでもない。サム・ウォーターストン(「キリング・フィールド」)という懐かしい名前を見て、誰かと探したが、じいさんになっていて全く気付かなかった。(笑)男女の性差別撤廃の裁判に挑戦する女性弁護士の実話である。といっても、今は"inspired by a true story"と表示されるようになっていて、ドキュメンタリーでない限り、”作り物”というわけですね。見て良かったと言える作品。映画の日なのに、観客は年配の方が多く、若者はこのような作品は見ないのか、と思えた。監督が「ディープ・インパクト」のミミ・レダーだというのも懐かしく、素晴らしい作品を作ってくれて、感謝。2018年/アメリカ/120分/G監督:ミミ・レダー出演:フェリシティ・ジョーンズ、アーミー・ハマー、ジャスティン・セロー、キャシー・ベイツ、サム・ウォーターストン、スティーブン・ルート、ジャック・レイナー、カイリー・スパイニー原題:On the Basic of Sexお薦め度 「ビリーブ」★★★★(88%) 字幕翻訳: 齋藤 敦子注!!ネタバレ!!1950年代、ハーバード法科大学院に入学した数少ない女学生のルース・ベイダー・ギンズバーグは子持ちで夫は一学年上の学生だった。そこから、物語は始まるが、話が展開していくとコロンビア大学にうつり、首席で卒業するも子持ち主婦ユダヤ人では弁護士で採用してくれるところがなく、やむなく大学教授となる。それから、10年子供も成長し、二人目も生まれていた。ある訴訟が男女の不平等で男性が不利益をこうむっているので、勝訴すれば画期的な裁判になると初の弁護に挑むことなる。口元がきれいでない、フェリシティ・ジョーンズにとって判事に笑顔で挨拶するよう助言されるというのは皮肉に思えた。鏡を見てレッスンするもぎこちない。やがて、無理に会釈することのない、すました顔で決めて、彼女には笑顔よりもすまし顔のほうが良いと納得できたしだい。この絵が、うまい。家族、仲間、依頼人など協力者たちのまっとうな意見に鼓舞され打ちのめされ、示談を持ちかけられても難問を出されても夫唱婦随で立ち向かう。今もそうかもしれないが、昔のアメリカは数々の差別があり、大変だったなぁ、と思える。初の裁判はあたふたとテンパる序盤であったが、4分間の反対弁論(?)で判事たちに興味を抱かせ、続けて弁論できることになる。ここでの言い回しが絶妙で、とてもうまく反論出来ていて、感動すらしてしまう。親子、夫婦の軋轢、葛藤、行き違いを見せながらも、不屈の精神で勉学と生活と社会に挑む主人公を応援し、喝采をおくりたくなる。ただ、ラストショット、主人公(フェリシティ・ジョーンズ)が目の覚める濃い青色の厚手のワンピース(?)で階段を登り切り、柱を通過したあと、実話の本人(ルース・ベイダー・キングバーグ)であろうと思われる老女に代わるが、目の覚める濃い青色の厚手のワンピースが若々しく感じられて顔だけ貼り付けたように不自然に見えて、とても違和感を感じ残念であった。本人を出したいのなら、よくあるクレジットで画像(写真)だけ映してもよかったのではと思えたが、意図的演出は意味があったのだろう。しかし、私には残念であった。それゆえ、お薦め度から2%引いている。
2019.06.01
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アベンジャーズ、これで最後なのか。エンドゲームというネーミング。これはゲームだったのか?大ヒットしている。評判も呼んでいる。しかし、私はうがった見方をして、あまり評価できないなと思った。それは、ネタバレになるので詳しくは言えないけれど、物語の一部、いや、2、3か所に破綻しているところがあるからだ。また、恐ろしく悲惨で壮絶な話なのに、なにかハッピーエンドのような気にさせようとする結末。結末はあれでいいのか?オール・アメリカともいえる作品で大御所が出演している。ロバート・レッドフォード、マイケル・ダグラス、サミュエル・L・ジャクソン、ナタリー・ポートマン、レネ・ルッソ。しかし、彼らが日本語サイトのキャストに掲載されていないのはなぜ。大御所らしく映画のクレジットにはメインキャストのあとに”with”で堂々とクレジットされていたのに。(サミュエル・L・ジャクソンは載ってるね)(ナタリー・ポートマンは出演シーン確認できなかった)2019年/アメリカ/182分/監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、マーク・ラファロ、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、ドン・チードル、ポール・ラッド、ブリー・ラーソン、ブラッドリー・クーパー、カレン・ギラン、ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ホランド、チャドウィック・ボーズマン、クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ヴィン・ディーゼル、ポム・クレメンティエフ、ポール・ベタニー、エリザベス・オルセン、エヴァンジェリン・リリー、トム・ヒドルストン、アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、グウィネス・パルトロージョン・ファヴロー、タイ・シンプキンス、コビー・スマルダーズ、サミュエル・L・ジャクソン、ジョシュ・ブローリン、真田広之 原題:Avengers: Endgameお薦め度 「アベンジャーズ エンドゲーム」★★★☆(70%)字幕翻訳: 林完治注!!ネタバレ!!さて、何も書かないのでは隔靴掻痒、意味不明。何が良くて、何が悪かったのか。宇宙人口の半数を消し去ってしまった前作「アベンジャーズ インフィニティー・ウォー」はあまりにも超絶した悲惨な作品であったが筋は通っていた。とてもショックで作品を見たことを後悔したほどであった。しかるに、本作は前作に比べ物語は破綻している。比べれば「ウォー」という言葉から「ゲーム」になっている。今回は「ウォー」ではなかったのか。時空を超えて、「石」を集めたことで、雲散霧消した半数を復活させた。そのことによって過去も現在も未来もかえてしまった。そこが物語として破綻している。そして、不思議に感じたのが、過去のサノスが大軍団を地球に呼び寄せたこと。どのようにして過去のサノスに、現在のあるいは復活した大軍団を呼び寄せることができたのか。そこが描かれていないから、ひっかかった、不思議でならなかった。対照的に復活した地球人たちはオレンジの輪っか「どこでもドア」ならぬ時空の窓を超えて登場する。理由づけがしっかりしている。この作品の序盤でいとも簡単にソーに首をはねられてしまうサノス。人口を半分にしてまで手に入れたかった「農場」での暮らし。観念したように、あっさり殺されてしまって良いのだろうか。無敵をほこる大巨人なのに。いとも簡単に殺されてしまうならば、全宇宙の半数を消滅させないで自ら命を絶てばよいと思うのだが。死後の世界は知る由もないのだから。ここで殺されることにより、無敵のサノスの存在が矛盾してしまう。サノスは無差別、アトランダムで半数の人々を消し去った。アイアンマンはサノスの大軍団のみを消し去った。石を持った人間の意思だけで、消し去る人を選べるのか、疑問。そして、この仕業によりアイアンマンは瀕死の重傷を負い、戦死してしまう。これも納得しがたい。未来の技術・医術でアイアンマンを救えたのではないか。そもそもアイアンマン誕生の時に瀕死の重傷から生還しているではないか。ヒーローさえ死なせてしまうという現代のヒーロー作品のドラマツルギーを持ち込んだに過ぎないと思えた。この作品はヒットしている。若い人たちはどう反応したのか。人類の半数を消し去ったサノス軍団を今回は雲散霧消した。作品の成り立ちとしては「インフィニティ・ウォー」で感じた無力感、虚無感を無くし、正義を勝ち取った喜びになるのだろうか。この結末に歓喜し感涙し、傑作だと思うのだろうか。アベンジャー側だとしたら、そう思っても無理はない。しかし、敵だからといって全滅させてよいのか。なぜか、私は納得しがたかった。自分たちが正義で自分たちが生きるために他者を消し去ってしまっていいと考えるのは良くない気がする。戦争は良くない。人口爆発が懸念され増加から減少に転じなくてはならないのならば、全世界で取り組めば良いのではないだろうか。取り組むべきではないだろうか。安易に半数を消し去ってしまえば良いという考え方は良くないと思う。また、今回の作品のように敵だからといって全滅させるのも良くないと思う。作品からはかけ離れてしまうけれど、人口爆発問題が起因とする戦争であるならば、中国で行われていた「一人っ子政策」のように、手を打つ手段はあるだろうと思われる。この「エンドゲーム」を見て、快哉を叫んだり、溜飲を下げたり、感激する人は注意してほしい。敵だからといって、相手を消し去ってしまって良いわけではない。そして、今作の良くない点はアイアンマンの最期だけでなく、キャプテン・アメリカの最晩年も現わしている。そして、ハッピー・エンドの余韻を与えてしまっている。これで、良かったのだろうか。作品よりも作品の裏側を考えてしまった。
2019.05.04
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この作品、現代的なセンスで描いていて秀逸である。話の展開としてはとても映画的な作りで素直に組み立てているのでわかりやすい。サハラ砂漠だったりシチリア島だったり、観光映画のようなシーンもあるけれど、総じて北太西洋、地中海を中心として海の世界、深海の世界を楽しませてくれる。CGがなくては描けない、空前絶後の世界と総力戦の戦闘シーンである。見どころ、見ごたえ満載である。この作品で注目したメラ王女役がアンバー・ハード。調べてみると、モデル出身でジョニー・デップとの結婚歴がある女性だった。ビックリーーーーー!!!チャーミングで人気が出ると思えるが、どうだろう?映画的作りであるために予想通りのクライマックス、結末、には驚きはしないけれど、満足感を与えてくれるから文句の言いようがない。映画館で見るべくスペクタクル作品である。おおいに楽しめた。2018年/アメリカ/143分/G 監督:ジェームズ・ワン出演:ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソン、ドルフ・ラングレン、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ニコール・キッドマン、ルディ・リン、テムエラ・モリソン、マイケル・ビーチ、ランドール・パーク、グレアム・マクタビッシュ、リー・ワネル 原題:Aquamanお薦め度 「アクアマン」★★★★☆(90%)字幕翻訳:アンゼたかし
2019.02.24
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んー、んー、んー。何といおうか、楽しい作品であった。楽しい作品ではあったが、退屈なところもあった。いろいろと趣向を凝らした別世界は楽しくきらびやかではあったけれど、メリー・ポピンズ自身が活躍するところがそれほどなく、それゆえ、どうなんだろうと思えることしきり。活躍する(?)ガス灯屋(?)は心躍る青年ではなく小汚い中年オヤジ(?)。洗練されたものが好きな私にはいいと思えなかった。評判を呼んでいるという今作。予告編やTVコマーシャルを見て、見てみたいと思わせるが、それ以上の感激が映画館では感じられなかった、と思える。なんだかなぁ・・・。2018年/アメリカ/131分/G監督:ロブ・マーシャル 出演:エミリー・ブラント 、リン=マニュエル・ミランダ、ベン・ウィショー、エミリー・モーティマー、ジュリー・ウォルターズ、コリン・ファース、メリル・ストリープ、アンジェラ・ランズベリー 、ディック・バン・ダイク 原題:Mary Poppins Returnsお薦め度 「メリー・ポピンズ リターンズ」★★★☆(70%) 字幕翻訳:松浦美奈
2019.02.03
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いやー、映画はやっぱり映画館で見るべきものですよね。音響の素晴らしさに感嘆した。サラウンドというか、何かの時に右手前から右手後方、そして左手後方から左手前と音が回って聴こえてくるという体験は映画館でなくてはできないこと。映画館の暗闇はやはり映画に集中できる。佳境に入った時に僕は左手の拳を握りしめ突き上げていた。涙がにじんだと感じた時、左隣の男性も右隣の男性も鼻をすする音が聞こえ、皆泣いているんだなと思った。年配の観客は少ない感じで、映画は若い人が見る者だと思えた。クリードは2作目だが、クリード映画のファンたちが見に来ているんだと思った。アポロとロッキーとドラゴの確執・因縁。それをリアルタイムで作品を見た人たちは多くなく、予告編や解説や記事で知った若者が、(あるいは知らなくても映画を見ればおおよそ理解はできる内容になっている)過去の遺恨や憐憫を感じてみることができる、と思う。ボクシング作品ではあるが、そこには家族愛が描かれている。ただ、音楽も内容も黒人に偏った気がしたので、イタリアの種馬と称されてマイノリティの作品だったものが、より狭義で黒人を描くものとなった気がした。2018年/アメリカ/130分/G監督:スティーブン・ケイブル・Jr.出演:マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャッド、ドルフ・ラングレン、フロリアン・”ビッグ・ナスティ”ムンテアヌ、ラッセル・ホーンズビー、ウッド・ハリス、アンドレ・ウォード、マイロ・ビンティミリア、ブリジット・ニールセン原題:Creed 2お薦め度 「クリード 炎の宿敵」★★★★(85%)
2019.01.14
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なかなかの意欲作である。「スター誕生」という映画のリメイクで4作目とのことで、1937年の「スタア誕生」は未見で1954年の「スタア誕生」は俳優(女優)としての人生ドラマが描かれていて秀逸であるし、1976年のバーブラ・ストライサンドとクリス・クリストファーソンでの「スター誕生」は音楽におけるスター誕生のドラマを描いていた。その流れを受けての「アリー スター誕生」は音楽にかける才能ある男女の恋と生涯を描いている。邦題にわざわざ女性の名”アリー”を入れる必要があったのかどうか、よけいなことをしたと思えるが、過去の作品との区別を明白につけておきたかったのだろう。映画初主演のレディ・ガガが良く演じている。才能ある女性シンガーとしての片鱗や格別の歌のうまさを歌い出しからサビへのギアチェンジ、ただの歌うまからプロ歌手の技量の高さを聴かせる素晴らしさはさすがとしかいいようがない。当初、ビヨンセが想定されていた主役女性であるが、超プロ級の歌い手でないとこなせない役だと感じた。映画初監督のブラッドリー・クーパーは主役をこなしながらも、みごとな編集作業をやってのけたと思える。クライマックスでの突然のカット。終幕は作品のドラマ性を高める。早い段階でのクライマックスは観客に大いなる感動を与えるが、あまりの感動の大きさに中盤はおもしろくない展開が続く。物語は息苦しい内容となり、すれ違う二人と男の自堕落さが辛辣を極める。そして終幕。この終幕の事件は納得できない。そうする必要があったのか。アリーの歌声とともに映る映像に映画的映画をみた。映画のドラマがそこにはあった。突然の幕切れは、とてもとてもドラマを増幅していると思う。感涙は二度のクライマックスに、二度。魂のこもった作品であると思う。2018年/アメリカ/136分/PG12監督:ブラッドリー・クーパー出演:レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパー、アンドリュー・ダイス・クレイ、デイブ・チャペル、サム・エリオット、アンソニー・ラモス、ラフィ・ガブロン、ルーカス・ネルソン原題:A Star Is Bornお薦め度 「アリー スター誕生」★★★★☆(90%) 字幕翻訳: 石田泰子
2018.12.22
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「ボヘミアン・ラプソディ」がクィーンの曲の題名だとは知らなかった。人気を呼んで大ヒットの映画。見に行こうと思った。クィーンについては良く知らず、その時代を生きていたにもかかわらず、ロックなバンドよりは常時流れていたエンヤなどが耳になじんでいた。映画が始まる。なんだ?これは?FOXのオープニングの音がおかしいぞ!?”音が、エレキだ!!”クィーン・バージョンのFOXクレジットなんだと理解した。<知恵ラボ『ボヘミアン・ラプソディ』の評価が高い理由!感想と実話との違いなど >によれば、【この冒頭のシーンでは、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーの姿はスクリーンには出て来ませんが、ファンや音楽に詳しい人であれば、ブライアン・メイのギター、ロジャー・テイラーの叩くシンバルだとすぐにわかり、胸が熱くなっただろうな、と思いました。】とあるように、彼らが、FOXのオープニングテーマを演奏したのだ。とても愛にあふれた作品で、相手役の女優ルーシー・ボーイトンが綺麗だし、音楽での成功を駆け上がるスターの息吹を見ているだけで心地よく高揚感にあふれた作品である。ラスト、クライマックスのライヴエイドが始まると一曲目で泣いてしまった。そして、次の次の曲、また泣いてしまった。感動した。感動した。感動した。このクライマックスでの高揚感と感動は、映画「ロッキー」を見て号泣した時のことを思い起こさせた。今回は号泣ではない。しかし、両眼から流れ落ちる涙は胸いっぱいの感動を表していた。「ボヘミアン・ラプソディー」を聴いてみたい。そう、思った私は、サントラやCDを買うかどうか悩んでいる。冒頭のフレディ・マーキュリー登場シーンがクライマックスのライブエイドに繋がる映画的手法の編集。映画人による作品だと感心した。監督ブライアン・シンガーがクランク・アップ2週間前にFOXにより解雇され、デクスター・フレッチャー監督が後任となったらしいが、ブライアンの作品といっていいだろう。冒頭と途中でマレーネ・ディートリッヒのポスターが意味ありげに映されるが、フレディ・マーキュリーが大好きな女優だとのこと。<参考><知恵ラボ『ボヘミアン・ラプソディ』の評価が高い理由!感想と実話との違いなど >そんな隅々までクィーン満載の心打つ映画であった。今年一番の作品かもしれない。2018年/アメリカ/135分/G監督:ブライアン・シンガー出演:ラミ・マレック、ルーシー・ボーイトン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロ、エイダン・ギレン、アレン・リーチ、トム・ホランダー、マイク・マイヤーズ、アーロン・マカスカー、マックス・ベネット原題:Bohemian Rhapsodyお薦め度 「ボヘミアン・ラプソディ」★★★★★(100%)字幕翻訳:風間綾平字幕監修:増田勇一
2018.11.25
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前作「マンマ・ミーア」から7年がたち、今回主役のアマンダ・セイフライドが大人の女性、というか中年の女性になっていてびっくりした。1985年12月生まれだから撮影当時は30歳を過ぎたくらいなのだが、眉毛ラインも細くきりっとして大人の女性を醸し出していた。小柄だけれどスレンダーでかわいらしく、「マンマ・ミーア」で見たのが最初だろうか。「ジュリエットの手紙」や「TIMEタイム」「レ・ミゼラブル」でも、あどけなさ(若さ)を残していて、「ラヴレース」で大物女優ぶりを発揮したのにはびっくりした。今回、彼女の大人女性ぶりにびっくりしたのは結婚して出産を経験し、大人の女性となった私生活が大きく影響しているのかもしれない。独身から既婚者への変貌である。さて、この作品、いつものように私流儀で予備知識なしで見に行ったものだから、母親役のメリル・ストリープが亡くなって登場しないことに衝撃を受けた。見たい気持ちがしぼんでいったせいか、導入部は退屈で3度も寝そうになった。しかし、改めてこの作品がミュージカルであることを認識し、草食系の顔立ちのメリルの若かりし頃を演じるリリー・ジェームズが肉食系顔立ちであることに消化不良を感じながらもいつしか文化祭や学園祭的ノリに乗っていってクライマックスではレディ・ガガばりのおばあちゃんは誰?と思いながら楽しんだ。このおばあちゃんはシェールだった。久々に見て、年齢不詳な人だなと思った。今でいう美魔女である。メリルの登場シーンはあるので、落胆しないよう。内容は取るに足りないとはいえ、楽しめる作品である。2018年/アメリカ/114分/G監督:オル・パーカー出演:アマンダ・セイフライド、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、クリスティーン・バランスキー、ジュリー・ウォルターズ、ドミニク・クーパー、リリー・ジェームズ、アレクサ・デイビーズ、ジョシュ・ディラン、ジェレミー・アーバイン、ヒュー・スキナー、ジェシカ・キーナン・ウィン、アンディ・ガルシア、シェール、メリル・ストリープ原題:Mamma Mia! Here We Go Againお薦め度 「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー」★★★★(80%)字幕翻訳:石田 泰子
2018.09.17
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この作品を見るまでは検察として新旧の二人が対峙する話だと思っていた。たしかに、対峙するシーンもあるのだが、そこは見せ場ではなく、タイトルロールで木村演ずる最上が主役かと思いきや、二宮演ずる沖野の方が主役な気がする。見せ場、芝居のしどころも二宮にあり、丁々発止の畳み掛ける罵声恫喝はその熱量とともに圧倒的すごみを演技力を二宮に感じた。さて、作品についてだが、中盤では面白おかしく駆け引きを含め見せてくれる。しかし、事件の真相にせまると予想外すぎる無軌道な最上(木村)の行動が腑に落ちなくなり、性格に異常が感じられ、私は興醒めしていった。作品としての質も高揚感も落ちてしまったと思える。残念である。ある意味破綻した物語であり、展開である。それゆえか重厚で緻密で見ごたえのある作品でありながら、満足度はあまりない。原田監督でありながら残念なことである。吉高由里子の仕事ぶりのうまさも特筆しておこう。2018年/日本/123分/G監督:原田眞人出演:木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、大倉孝二、八嶋智人、音尾琢真、大場泰正、谷田歩、酒向芳、矢島健一、キムラ緑子、芦名星、山崎紘菜、松重豊、山崎努お薦め度 「検察側の罪人」★★★★(80%)
2018.09.02
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「オーシャンズ8」を見てきた。予習で「オーシャンズ11」を見ていたので、「オーシャンズ11」に出ていたキャストが「オーシャンズ8」にも出ていて、オーシャンズ・ファンには喜べる内容があった。展開も出所した前科者であるオーシャン、今回は妹が獄中で練った泥棒計画を実施するという内容。自分を窮地に追い込んだ元彼に復讐するといった伏線もあり、「オーシャンズ11」の内容を受け継ぎリニューアルした感じ。それゆえ、面白くもあるし、面白くもない。作品の出来としてはそこそこで著名人が大挙して登場しているパーティ会場では招待(?)されたセレブ達は楽しんだに違いない。ギャラは発生していないと思う。期待した女優軍の活躍は期待以上でなく、あるいみ物足りなかったかも。サンドラ・ブロックにしろケイト・ブランシェットにしろアン・ハサウェイにしろ、ヘレナ・ボナム・カーターにしろ・・・。悪党ではない有名な成功者たちがとまどいなく悪事に加担するという必然性は感じられなかったし、はめる相手との関係も納得できるものではなかった(見ればわかる)。ちょっと乗り切れない感じはするが、不可思議な理屈も”風がふけば桶屋が儲かる”どおりで納得すれば、それなりに楽しめるかも。とはいえ、オーシャンズ・ファンには十分楽しめる作品であろう。そうでない人にはそれほどでもない(?)2018年/アメリカ/110分/G監督:ゲイリー・ロス出演:サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ミンディ・カリング、オークワフィナ、サラ・ポールソン、リアーナ、ヘレナ・ボナム・カーター、ジェームズ・コーデン、リチャード・アーミテージ原題:Ocean's Eightお薦め度 「オーシャンズ8」★★★☆(70%) 字幕翻訳: 佐藤恵子
2018.08.19
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さすがというか、これどもかというか、見どころ満載・見ごたえ十分。トム君大活躍の作品である。過去、このシリーズでいろいろとやり前回飛行機でのアクションまでやってのけたので、それを超えるとなるとなかなか大変だ。今回はヘリコプターでもアクションがあり、その壮絶さはアクションもさることながら、どのようにして撮影したのかと想像を超えている。山の外壁でのシーンもセットでの撮影と実際の山岳をCGで合成しているのだろうけれど、現代の映像技術を駆使すれば実写かCGか合成か、見分けがつかない。つまるところ決闘・格闘シーンであったり、カー・チェイス、今回はバイクでのチェイスとなるが、スピード感あふれる実写が見る者をハラハラとさせる。緊張感半端ないアクションシーンの連続である。中国企業アリババが制作に参加しているのもかかわらず、舞台はフランスとイギリス、そしてカシミール(インド・パキスタン)であった。クレジットを見るとニュージーランドユニットがあったのでカシミールのロケ地はニュージーランドだったのかもしれない。誰が敵で、誰が味方か。深層心理の探り合い、バトルの丁々発止がてんこ盛り。話が込み入っててついていくのが一苦労だけれど、途中、話が破綻(辻褄が合わない・展開がおかしい)と思えるところがあったけれど、私の理解不足か?友愛と正義というか人情を加味しているところがヒューマニズム、市井(しせい)の人間を感じさせる。(=庶民感覚)それにしても、今回、トム・クルーズは走りに走った。本当によく走った。全速力であれだけの距離を本当に走れるならオリンピックで金メダルが取れるだろう!本当に、それくらいの走りだった(笑)2018年/アメリカ/147分/G監督:クリストファー・マッカリー出演:トム・クルーズ、ヘンリー・カビル、ビング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ショーン・ハリス、アンジェラ・バセット、バネッサ・カービー、ウェス・ベントリー、フレデリック・シュミット、ミシェル・モナハン、アレック・ボールドウィン原題:Mission: Impossible - Falloutお薦め度 「ミッション・インポッシブル フォールアウト」★★★★(80%)字幕翻訳:戸田奈津子
2018.08.13
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前年公開の「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」から始まった、新しい冒険を描いて、とのことだが、初期の別バージョンという形なので、現在のテレビ放映作品とはまったくことなるし、大人子供双方というより大人目線となっていった物語を初期レベルに戻した作品である。壮言な壮大な話にはならないけれど、それでも町の治安や人間とポケモンの関わり合いにハートウォーミングなものがあって、ところどころじ~んとする。ロケット団のかかわり方がもうひとつふたつ対峙できるものであればよかったかなと思える。ヒスイ(野沢雅子)やリサ(川栄李奈)の活躍はよかったねぇ。2018年/日本/100分/G監督:矢島哲生声の出演:松本梨香、大谷育江、林原めぐみ、三木眞一郎、犬山イヌコ、川栄李奈、芦田愛菜、濱田岳、大倉孝二、野沢雅子、中川翔子、山寺宏一お薦め度 「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」★★★★(80%)
2018.08.05
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さすがに映画館で見る作品だ。この醍醐味、スペクタクル。すごいなぁ!!恐竜を復活させた人類の責任が問われる作品なのかもしれない。このような難問を査問会(公聴会)を開いているような映像も映されるが、現代社会(都会)に放たれた恐竜に未来はあるのか?このようにしてしまった人類に未来はあるのか?続編を作られる可能性を残して、ジュラシック・ワールドが展開する。見ごたえ十分のスペクタクル作品。映画館の大スクリーンで見れば、驚き、おののき、感嘆する。字幕は手書きのように見えたが、懐かしいなぁ。(笑)ジェラルディン・チャップリンの登場も懐かしいなぁ。2018年/アメリカ/128分/G監督:J・A・バヨナ出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、レイフ・スポール、ジャスティス・スミス、ダニエラ・ピネダ、ジェームズ・クロムウェル、トビー・ジョーンズ、テッド・レビン、ジェフ・ゴールドブラム、B・D・ウォン、ジェラルディン・チャップリン、イザベラ・サーモン原題:Jurassic World:Fallen Kingdomお薦め度 「ジュラッシック・ワールド 炎を王国」★★★★(80%) 字幕翻訳:戸田奈津子
2018.07.16
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見ごたえのある作品である。わざわざ映画館まで足を運んで見たい、見て良いと思える。細かい点において納得のいかない点や都合の良い解決をよろしくないといえば、いいとは思えないが、冒頭から見続けると正しくそうならざるをえないし、ミラクルな解決方法も快哉をもって迎え入れたくなるような出来である。すごい。私個人としてはラブストーリーを織り込んだ前作「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」が作品の完成度、内容ともに今作より素晴らしいと思えるのだが、中盤にしらけムードが感じられるもののクライマックスに向けての畳み込み、盛り上げ方がうまくてクライマックスにはとっても手の込んだ名作を見せられている気になってしまう。そして、タイアップで書かれた福山雅治の楽曲「零 ZERO」の歌。この歌にしびれてしまう。福山、最高だな~!著作権の問題からか”NASA”を”NAZU”として表現している点に違和感が・・・。アメリカならばきちんと申請して使用許可をもらって”NASA”と表現するだろうに、と怪訝に思ったしだい。2018年/日本/110分/G監督:立川譲 声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、古谷徹、茶風林、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、林原めぐみ、上戸彩、博多大吉 お薦め度 「名探偵コナン ゼロの執行人」★★★★(80%)
2018.04.29
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この作品なら、見る価値はあるかも。とはいえ、非常に奇想天外な内容である。この作品がアカデミー賞作品賞とは意外だな。ありえなさすぎる内容だからね。まったく空想なら「アバター」くらい別次元の世界の話なら良かったけれど、程度で言えば「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」くらいの世界である。とはいえクライマックスでの出来事に感動し、エンディングでは目を見張り、驚きとともに”なんてこと!?”と思わずにはいられない。えも言われぬ感動は主人公の喜びとともにあり、見るものの心を打つと思われる。久々にまざまざと見た映倫のぼかしは、ぼかしでなくあきらかに封印であった。18歳以上指定で無修正の方が良い気がする。2017年/アメリカ/124分/R15+ 監督:ギレルモ・デル・トロ出演:サリー・ホーキン、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スタールバーグ、オクタビア・スペンサー、デビッド・ヒューレット 、ニック・サーシー 、ナイジェル・ベネット 、ローレン・リー・スミス 、マーティン・ローチ 、モーガン・ケリー原題:The Shape of Waterお薦め度 「シェイプ・オブ・ウォーター」★★★★(80%) 字幕翻訳:稲田嵯裕里
2018.03.21
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ロバート・ルイス・スティーヴンソンの「宝島」をモチーフに、”ノアの箱舟”と”タイムマシン”を参考に作られたであろう作品である。その意味ではオリジナリティにとぼしく、先人たちのレガシー(痕跡)によって成り立っている。しかし、それらの知識をまとめ上げ、一つの作品として結実できたことは認めるべき偉業である。話としてはつっこみどころは多々あるけれど、子供向け作品に重箱のすみをつつくようなことをしても意味はないし、映画館で見ていて、思いもよらないところで反応する子供たちの笑いがあったので、良しとすべきであろう。きっちりと最後まで見させていただきました。2018年/日本/109分/G監督:今井一暁 出演(声):水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、高橋茂雄、長澤まさみ、大泉洋、山下大輝、折笠富美子、大友龍三郎、早見沙織、悠木碧お薦め度 「映画ドラえもん のび太の宝島」★★★☆(70%)
2018.03.10
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先週見に行ったにもかかわらず、今週書くことになった。オープニング、私には不評だ。おもしろくもない始まり。見方によれば期待感をあおる導入部なのかもしれないが、思えば、オペラの前奏曲よろしく大々的に音楽だけでやってのけてもアカデミックでよかったのかもしれない。さて、この作品、ラブやラブ・ストーリーがたくさんつまった作品だとご存知でしたか。私はショービジネスを始めたおっさんの成功物語だと思って見たので、朝ドラのように幼少期から始まる冒頭がなぜかついていけなくて、どうなるかと気をもんだら、あっというまに大人になってしまった。ひょんなことから博物館(?)から妖怪屋敷(?)へと発展していくが、すべて前向き、弱音なし、歌って、踊ってのレビューで見せていく。驚きの作品である。公私ともに順風満帆かと思いきや・・・見てのお楽しみの展開は見てのお楽しみである。私は三度(三か所)泣いてしまった。エンディングで泣いたのは覚えているが、あとの2か所ははたしてどこだったか。ぜひとも見聞してください。2017年/アメリカ/105分/G監督:マイケル・グレイシー出演:ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ、キアラ・セトル、ヤヒヤ・アブドゥル=マティーン2世、サム・ハンフリー、エリック・アンダーソン、ポール・スパークス、バイロン・ジェニングス、ベッツィ・アイデム原題:The Greatest Showmanお薦め度「グレイテスト・ショーマン」★★★★☆(90%)字幕翻訳:石田 泰子
2018.03.05
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映画を見る場合、ほとんど予備知識なく、見るようにしている。概要やあらすじなど知らなければ、初めて起こる出来事として見ることができるし、どんでん返しや犯人探し(推理)を楽しむこともできる。いつもはキャストや監督や雰囲気で作品選びをするのだが、テレビCMでのビーチでカップルたちが氷の大波に襲われるというシーンのイメージしかなかった。この作品を知人が見に行きたいと言っていたので2月1日の映画デーに見に行った。(予備知識ほぼなし)TVCMを見る限り、無名の俳優たちを使った天変地異のスペクタクル作品だと思っていた。ところが違った。有名一流俳優たちを使い、宇宙ステーションと大気圏地球大地で繰り広げられる超大作スペクタクル作品であった。砂漠で起こった不思議な現象に始まり、度肝を抜く大都市崩壊、原因究明に追われる人類。そこに暗躍する黒幕。SFでありながらスパイアクション、人間ドラマなどなどいくつもの見どころをてんこ盛りにした娯楽大作であった。クライマックスの劇的大団円に喝采をおくりたい感動作である。2017年/アメリカ/109分/G監督:ディーン・デブリン 出演:ジェラルド・バトラー、ジム・スタージェス、アビー・コーニッシュ、アレクサンドラ・マリア・ララ、ダニエル・ウー、エウヘニオ・デルベス、エド・ハリスレナード・デッコム、アンディ・ガルシアお薦め度「ジオストーム」★★★★☆(90%)字幕翻訳:松崎広幸***** ***** *****<ネタバレあり>作品の内容、物語には触れずに感想を伝えるのは至難の業である。印象だけを伝えるのが関の山。当然、今回もそのとおり。ただ、クライマックス+結末に感動したので、それを伝えないわけにはいかない。そう思えた感動作である。しかるに傑作ではない。というのも、あとから思い返し、分析をしてみるといいかげんな作り事、リアリティに欠けることが多すぎるから。さて、冒頭でも書いたが、無名出演者のスペクタクル作品だと思った。しかし、そうではなかった。オープニングにむさくるしい汗臭いおやじが登場する。冴えない感じのこの野郎はなんとジェラルド・バトラーではないか。聴聞会のような場面で免職(くびに)されてしまう。彼は世界を操る気象衛星を作り上げた科学者であったのに。それから数年後宇宙気象衛星が不具合を起こし地球に天変地異を巻き起こしたので、現場に急遽カムバックすることになる。そして、原因究明で起こる事故、事件。ここから先は映画をお楽しみください。男兄弟二人が主演に見えるが、ダブルセンター(笑)なのか。兄役は今作のヒーロー、ジェラルド・バトラー。「オペラ座の怪人」の映画化作品では最も傑作である2004年作品にファントムで出演。「300スリーハンドレッド」で注目を集め、世界的ベストセラー「P.S.アイラブユー」は原作の舞台を作り変えたためにこけたけれど、「エンド・オブ・キングダム」では大活躍、「キング・オブ・エジプト」でも存在感を示した一線級のスター。冴えない感じの弟役はジム・スタージェス。「ブーリン家の姉妹」「ワン・デイ23年のラブストーリー」と見ているが、今作が初めて認識した。弟の恋人、SP役のアビー・コーニッシュは八面六臂の大活躍。キャスリーン・ターナー(「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」)を彷彿とさせる金髪美女だ。宇宙船船長役のアレクサンドラ・マリア・ララに再会できたのは嬉しかった。オーストリア人だと思っていたが、出身はルーマニアのようだ。長身の美女で「トンネル」でひと目惚れしてしまった。「ヒトラー最期の12日間」「愛を読むひと」「ラッシュ プライドと友情」を見ているが、彼女が出ていた記憶はない。今回の活躍はとても嬉しく、クライマックス、ラストと申し分ない。アメリカ合衆国国務長官役にエド・ハリス。主演級スターの登場にびっくり。海洋海底映画「アビス」で注目を浴び、「アポロ13」「ニクソン」「ザ・ロック」「トゥルーマン・ショー」「めぐりあう時間たち」と活躍し、監督と主演の「ポロック2人だけのアトリエ」で名声と地位を確立したと思う。重要な役どころはさもありなん。アメリカ大統領役はアンディ・ガルシア。「アンタッチャブル」で注目され、「ブラックレイン」「ゴッドファーザーPART3」と続き、「男が女を愛する時」には人気絶頂だったのでは。「オーシャンズ11」「オーシャンズ12」「オーシャンズ13」「モディリアーニ真実の愛」とコンスタントに活躍をつづけ、チョイ役出演の「パッセンジャー」に比べ今作「ジオストーム」では重要な役どころである。Zazie Beetzもいい役どころの女優だ。国務省でコンピューターを操っている女性だ。さて、ネタバレをあまり書かないでお薦めするには苦慮するけれど、ここからは本当にネタバレ。見ていた時は次から次へと起こる天変地異に目を奪われ、事故が人為的なものとされたときから犯人探しに集中し、とても犯人とは思えない人間で宇宙船の機密事項を操れる人があやしいと思い、宇宙船船長が犯人ではと考えていた。とても、お門違いだったけれど。見ている時には、次から次へと起こる事象に疑問をはさむ余地というより時間がなかったけれど、見終わって考えてみれば、おかしな点がいくつもある。リアリティからいって、すべてありえないことだ。それを考えるとフィクションにはありがちなすべてご都合主義で作られている。まず、根幹を揺るがす点からあげれば、全世界の気象を操作する衛星が誤作動を起こし、制御不能になり交換衛星で誤作動衛星を撃破するシーンがある。衛星が制御不能になり、撃破したいのであれば、アメリカ、いや、全世界が持つすべてのミサイルで衛星を撃破すればすむこと。異常気象にはなるけれど、天変地異は解消される。よって、世界が滅びることはない。と、なれば、この作品は映画とならない。だから、地上から何らかの手段で衛星を抹消するという話は全くなかった。宇宙船に自爆装置があったのなら、衛生にも自爆装置がなかったのか。全世界のチームと言っておきながら、一部の国しか参加してなかった。しかも、今、宇宙競争しているロシアや中国のクルーが一人もいないことがおかしい。日本人クルーもいなかったね。半面、興行成績を気にしてか、ロシア、ブラジル、日本、ドバイ、中国(香港)、スペインの都市を衛星の攻撃場所として映し出している。地理からアジアのマーケットを気にしているということがよくわかる。クルーにはイギリス人、メキシコ人、スペイン人(?)というのもマーケット戦略のためだろうか。ありえない話ではアメリカ大統領がアメリカ人ではなかった点。リアリティを追及するならばキューバ移民のアンディ・ガルシアが大統領を演ずることは不可能であったはずだ。それなのに彼を大統領にしたということは、この作品はフィクションですよという意味合いを暗に知らせているのかもしれない。また、本作では民主党の大統領となっている。これは共和党の大統領だとすれば、いくらフィクションだとしても、裏切り者が出る作品であれば、お蔵入り(未公開)にされたかもしれない。女性シークレットサービス(SP)が登場するが、実際の大統領警護に女性SPを見た記憶がない。これもフィクションなのだろうか。というわけで、つっこみどころはたくさんあって、調べればもっと出てくるだろう。しかし、そのご都合主義の筋立てで作られた本作はクライマックスが予想外で新しく感じられ、私に大いなる感動をもたらした。その点だけでも特筆すべきである。そして、この作品を作り上げたのが、本作が長編映画監督デビューという驚くべき経歴の持ち主ディーン・デブリン監督だ。製作畑を歩いてきて、「スターゲイト」「インデペンス・デイ」「GODZILLAゴジラ」「パトリオット」「インデペンス・デイ リサージェンス」などを製作してきた。本作では製作・脚本・監督と自分の力で見事に作り上げた。彼の次回作に期待する。
2018.02.02
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タタタ、ター、ター、タタタター、ター、タタタター、ター、タタタター♪で始まるオープニング。宇宙に繰り出していくメッセージの行進とともに小気味良い鼓舞され心はやる音楽。さすがのテーマ曲である。オペラの序曲のようにさんざん聞かせて静かで懐疑的な音楽にかわり物語が始まる。この導入部は傑作である。しかるに、なんだ、この破綻した物語は。おかしな点、つっこみどころ満載である。あれこれ上げ足をとってもしょうがないけれど、スター・ウォーズだから見過ごされている=問題視されていないのか?調べてみて驚いた点、アジア系の姉妹は日系か中国系かと思いきやベトナム女性たちであった。一点だけ書いておこう。冒頭の戦闘シーンから、やたらと爆撃、攻撃されてあっというまに戦闘員たちが死んでいく。爆撃機や戦闘機が撃墜される。あまりに激しくやりすぎで、また、自己犠牲が過ぎる気がした。なにかと自爆してしまうのは映画「アルマゲドン」の犠牲的精神を感じさせはするが、またカミカゼや爆破テロのイスラム信者を想起させてしまう。自爆することが勇ましい、素晴らしい、みたいな描き方はしない方が良いと思う。やむを得ず、やむを得ず、まったくやむを得ず、そうしなければならないならば、しょうがない気もするが、この作品はあまりに多すぎる。と思えた。映画館で映画終わりにクレジットタイトルが始まるや否や隣の席の女性(おひとりさま)がスマホを取り出して、なにやら確認していた。暗闇に光る蛍光物。”はぁ!?”ありえない、と思いながらよっぽど注意しようかと迷っていたら、消した。ほっとしたのも、つかのま、思い出したように、スマホを取り出し、再度チェックし、消した。エチケットのない人だと思った。2017年/アメリカ/152分監督:ライアン・ジョンソン出演:デイジー・リドリー、ジョン・ボヤーガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザック、マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、ルピタ・ニョンゴ、アンディ・サーキス、ドーナル・グリーソン、アンソニー・ダニエルズ、グウェンドリン・クリスティー、ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーン、ベニチオ・デル・トロ、ヨーナス・スオタモ、ジミー・ビー、ティム・ローズ、トム・ケイン、アマンダ・ローレンス、アンドリュー・ジャック、ビリー・ロード、ベロニカ・ンゴー、ポール・ケイシー、マーク・ルイス・ジョーンズ、ジャスティン・セロー、リリー・コール、ワーウィック・デイビス、ジョセフ・ゴードン=レビット原題:Star Wars: The Last Jedi お薦め度「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」★★★☆(70%) 字幕翻訳:林完治
2018.01.14
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原因不明の病に冒されたニューヨーク・ポストの記者スザンナ・キャラハン(21歳)の闘病記を、シャリーズ・セロンがプロデューサーとなり、映画化。クロエ・グレース・モレッツは僕が好きな女優さんだ。しかし、映画館で彼女を見るのはこれが初めてかもしれない。「ヒューゴの不思議な発明」(2014.7.27鑑賞)「(500)日のサマー」(2016.7.20鑑賞)と見ているが認識してなくて、「早熟のアイオワ」(2016.7.24鑑賞)で注目し、「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」(2016.2.7鑑賞)で惚れこんだ。いや、時系列がおかしいなぁ。僕の記憶ではこのようなのだが、「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」で惚れこんだ彼女を「早熟のアイオワ」で認識したというのが実際のところだろう。「アクトレス 女たちの舞台」(2016.5.4鑑賞)も見ているが記憶にない。演技巧者と思える彼女、「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」のような役どころと内容を期待して見たが、原因不明の病の実話だけあって、辛いというかきびしい内容の作品だ。そして、この作品は良い人たちしか出てこない。(実話だから悪人が描けないのか?)状況により辛辣な態度をとる人も出てくるが、そこは立場と状況からして仕方のない話。現代の作品としてとても生々しい、いや精彩に富みリアリティのある内容だ。重い内容に沈思黙考しながらも、クライマックスでは人知れず涙を流してしまった。母親役として、キャリー=アン・モスが出演。良い作品だと思う。2017.12.29に角川シネマ有楽町で見たが、下の階のよみうりホールでは加藤登紀子がコンサートをしていた。2016年/カンダ・アイルランド/89分/G監督:ヘラルド・バレット出演:クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン、リチャード・アーミテージ、ジェニー・スレイト、キャリー=アン・モス、タイラー・ベリー、アレックス・ザハラ、ジェン・マクリーン=アンガス、ケン・トレンブレット、ナビド・ネガーバン、ロバート・モロニー、アダム・ダーシー、ジャネット・キダー、ビンセント・ゲイル原題:Brain on Fireお薦め度「彼女が目覚めるその日まで」★★★★☆(90%) 字幕翻訳:松浦美奈
2017.12.30
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これはドキュメンタリーなのだろうか?ロダンを撮った作品としては、ロダンの佇まいをロケしているように撮っているだけの作品。彼の思いも彼の迷いも彼の嘆きも芝居として入っているものはない。これほどまでに敬われ、慕われ、愛され、彫像の被写体となる女たちを幾人も抱き寄せ、決して結婚することもなくひたすらデッサン、デッサン、デッサン、する日々。彼のまわりで女たちはくねり、のたうち、叫び、過ごした。創作家としてのロダン。ロダン、彼の姿。この作品が日本と交わるのはなぜ?ラストシーン、無言で見守るしかなかった。「ポネット」のジャック・ドワイヨンならではの作品という気がした。邦題はカミーユとの作品と勘違いさせるから、原題通り「ロダン」か「ロダン そのアトリエ」くらいが良いのでは。2017年/フランス/120分/PG12監督:ジャック・ドワイヨン出演:バンサン・ランドン、イジア・イジュラン、セブリーヌ・カネルお薦め度「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」★★★☆(70%)字幕翻訳:横井和子
2017.12.01
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予告編を見て「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のような快活な作品かと思い、見たかった。トム・クルーズの前作「マミー」では作品的にいまひとつだったので、こちらの方が当たりかな、と思ったのだけれど。見終わってみると、”アメリカにはめられた男”だった。花形パイロットがCIAエージェントから麻薬の運び屋へと転身していって、ラストは政府の庇護のもとに保護されなければ、このような危ない橋を渡る人間はでてこないだろう。身内を危険にさらし、犠牲にし、自らもねらわれることになってしまうとは。快活に描いてはいるけれど、悲劇だよね。楽しい作品とは言い難い。2017年/アメリカ/115分/G監督:ダグ・リーマン出演:トム・クルーズ、ドーナル・グリーソン、サラ・ライト、E・ロジャー・ミッチェル、ジェシー・プレモンス、ローラ・カーク、アレハンドロ・エッダ、ベニート・マルティネス、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ジェイマ・メイズ、マウリシオ・メヒア原題:American Made お薦め度「バリー・シール アメリカをはめた男」★★★☆(70%) 字幕翻訳:戸田奈津子
2017.11.19
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期待で話題の「ブレードランナー2049」。前作「ブレードランナー」は大ヒットしたとはいえないはずだが、大注目作で傑作と語り継がれるSF作品となった。そして、35年の時を経て続編が作られた。しかし、163分とは長尺な、見る前に疲れてしまう。そして見てみると、長尺さを感じてしまった。作り手としてはこの長さが必要だったのかもしれないが見る側からすると長さを感じてしまうのはよろしくない。砂漠や霧雨の中のシーンをうまく編集すれば30分は無理でも15分は短く出来ただろう。さて、ライアン・ゴズリングは良くやっている。もともとイケメンではないので容姿や立ち姿に気を配る必要もなくレプリカントの刑事として黙々と仕事をこなしていけばよい。ゴズリング演ずる”K”の映像恋人ジョイとしてキャスティングされたアナ・デ・アルマスはとてもチャーミングで惚れてしまう(笑)。かわいらしさでなく、色っぽさを要求されているのがアイドル的人気者になるには足枷か。清純さがなければ、M.モンローのようなチャーミングな女優になれればいいのだが。作品においては前作を踏襲している割には、疑問に思えるというか、物語として破綻している気がする。というのもレプリカントとは人造人間なので機械なのでは?機械と生命体から子孫が発生するとはありえない、と、思い、今ネット検索して見たら、レプリカントとは有機体、つまり生命体ということだから、その意味では子孫が出来ても不思議ではない。とはいえ、「ブレードランナー」で”私の血は赤い?”と尋ねていたシーンがあったと記憶するが、今回、新レプリカントはまったくの人間として生存し赤い血を流す。この点の整合性はとれていないし、血液が赤く変わったのならばその変遷というか事実を示しておく必要があったのでは。コンピュータの回答が日本語だったり、ひらがなや感じがところどころ使われていたので、日本びいきに作られていることを前作同様に感じた。他にもところどころ疑問に思う点もあるけれど、あれこれつっこみを入れても仕方がないので、現代のSFとして楽しむべし。それにしても2049とはすぐではないか。このようなレプリカントの世界になるとは思えないが。2017年/アメリカ/163分/PG12監督:ドゥニ・ビルヌーブ 出演:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルビア・ホークス、ロビン・ライト、マッケンジー・デイビス、カーラ・ジュリ、レニー・ジェームズ、デイブ・バウティスタ、ジャレッド・レト、バーカッド・アブディ原題:Blade Runner 2049 お薦め度「ブレードランナー2049」★★★★(80%)
2017.11.12
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「ドリーム」を絶賛する。必見の作品である。前回のアカデミー作品賞で見た中で、「メッセージ」「フェンス」「ムーンライト」「ラ・ラ・ランド」「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「ドリーム」とあるが、この「ドリーム」が作品賞としてはピッタリという気がする。実話で、成功物語で、ある種ハッピーエンドだから。”ドリーム”とあるように夢を叶える、実現する物語だから。それなのに、なぜ、選ばれなかったか?「ラ・ラ・ランド」があまりに評判で素晴らしかったから?「ムーンライト」があまりに切実だったから?正直、「ムーンライト」を見て、何?と思わざるを得なかった。「ムーンライト」を感じる感性が私にないのかもしれない。この「ドリーム」を見終わった時、アメリカは黒人や女性に差別しているのではないだろうかと危惧した。女性作品が賞をとることを望まない。黒人作品が賞をとることを望まない。また、これは実話を基にしていて、登場人物となった黒人女性たちは存命である。その彼女たちに改めて賞賛を与えたくなかったのではないだろうか。と、うがった見方をしてしまった。さて、この作品、中心となる黒人女優タラジ・P・ヘンソン、オクタビア・スペンサー、ジャネール・モネイが三人共に素晴らしい。差別も侮蔑も受け止め受け流し、敢然と仕事に挑んでいく姿。声高に差別を訴えはしない。しかし、ここぞという時には主張する。この主張するところがアメリカ的ではある。中年カップルの恋もはさんで、アットホームなところも描き、秀逸である。脇を固めている、キルステン・ダンストもケビン・コスナーもいい。ある種「遠い空の向こうに」に通じる世界なのかもしれない。「遠い空の向こうに」も実話で、田舎町の高校生がロケット作りから大学に進学してNASAで宇宙開発に携わるようになる話である。この「ドリーム」は周回軌道ではあるが、アメリカが初めて有人飛行で宇宙に飛び出す作品で、女性たちの活躍が観客を鼓舞するように感じる。いい作品である。2016年/アメリカ/127分/G監督:セオドア・メルフィ出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタビア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー、キルステン・ダンスト、ジム・パーソンズ、マハーシャラ・アリ、キンバリー・クイン、グレン・パウエル、オルディス・ホッジ原題:Hidden Figures お薦め度 「ドリーム」★★★★(80%) 字幕翻訳:
2017.10.11
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エイリアンということで見に行った。帰宅して見てみるとこの作品は「エイリアン」の前日譚であり、「プロメテウス」の続編、後日譚とのこと。「プロメテウス」はわけがわからず、面白くなかったな。この作品も、そこまでひどくないけれど、やや難解、キリスト教がからんでくるみたいだけれど、そのキリスト教の素養がない私には皆目わからない。で、純粋に映画作品として見てみた場合、今までの「エイリアン」に繋がるべくあらゆるエイリアン的要素がそのまま描かれているが、編集ミスなのか、脚本ミスなのか、つじつまが合わないというか、なぜラストの戦いが起こったのか?という疑問が残る。九死に一生の思いで、敵をやっつけたはずなのに、はずなのに、である。数々の映画作品で繰り返されてきたからくりをそのまま提示されても、やはりそうかと思うだけで喜びよりは落胆の方が大きかった。予測予想できるものを作っていては過去をなぞっているだけで観客は落胆するばかりだろう、と思う。数々のSF映画作品で描かれてきた冬眠もすべて、新鮮味がなく、画期的なこともなく、アンドロイドにしても、意外性がなく、ただただ、残念に思う。「エイリアン」の衝撃も「エイリアン2」の胸揺さぶる内容も「3」「4」の楽しみも、ここにはない。「プロメテウス」と比べても、突出した出来ではない。映画館にわざわざ見に行ったが、残念であった。2017年/アメリカ/122分/R15+監督:リドリー・スコット出演:マイケル・ファスベンダー、キャサリン・ウォーターストン、ビリー・クラダップ、ダニー・マクブライド、デミアン・ビチル、カルメン・イジョゴ、ジャシー・スモレット、キャリー・ヘルナンデス、エイミー・サイメッツ、ナサニエル・ディーン、アレクサンダー・イングランド、ベンジャミン・リグビー、ウリ・ラトゥケフ、テス・ハウブリック原題:Alien: Covenant お薦め度「エイリアン コヴェナント」★★★(60%)(映画字幕・松浦美奈)
2017.10.01
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原田眞人監督作品ということで、期待して見た。また、岡田准一主演ということで期待して見た。はたして、この作品で初めて関ヶ原の戦いを見た人が、その内容を理解できるだろうか、と疑問を抱いた。否、きっとわかるはずあるまい。この複雑な人間関係、戦国武将の相関図、力関係がわかっていなければ理解できないだろうし、はたまたなにゆえに関ヶ原の戦いが起こったのかも理解できまい。数々の時代劇を見てきて関ヶ原の戦いを知っていても把握することが難しいと思えた作品である。加えて、音響が大きいせいかセリフがよく聞こえない。何を言っているかわからないのだ。邦画なのに、テロップ付のテレビに毒されたのか、字幕付きでないと何を言っているのか理解できないかもしれないと思えた。石田三成と徳川家康は、岡田准一と役所広司ということがわかるが、それ以外の登場人物はNHKの大河ドラマでも見ていなければなかなか理解できないだろう。「真田丸」を見ていてよかった。それにしても初芽(有村架純)は実在の人物なのだろうか?小早川秀秋の寝返りの真相はこの通りなのだろうか?と疑問がわく。戦闘シーンに力が入っているが、このようなものだったのだろうか。比較して申し訳ないが、見てみてわけがわからないながらも、すごいと感じた黒澤映画ほどの衝撃や圧倒感はなかった。その意味では、よくぞ作ったが、素晴らしくはなかったということなのかもしれない。岡田の演技はもちろん良かったが予測できた出来である。2017年/日本/149分/G監督:原田眞人出演:岡田准一、役所広司、有村架純、平岳大、東出昌大、北村有起哉、伊藤歩、中嶋しゅう、音尾琢真、松角洋平、和田正人、キムラ緑子、滝藤賢一、大場泰正、中越典子、壇蜜、西岡徳馬、松山ケンイチ、麿赤児、久保酎吉、春海四方、堀部圭亮、三浦誠己、たかお鷹、橋本じゅんお薦め度「関ヶ原」★★★☆(70%)
2017.08.27
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”ホームカミング”とは、何ぞや?と思って調べてみたら、大学などの年1回の同窓会とのこと。プラムのパーティみたいなものなんだな、と思って見ていた。親のいないホームパーティも白人社会のありようと思え、裕福な高校なんだな、と思えた。スパーダーマンが小柄な男性ということなのか、本作のトム・ホランドも小さく、お目当ての女子よりも小さい。見かけがちんけな少年がスパイダーマンとは情けない感じがするけれど、そんな少年がニューヨークの市井の平和を守り、安全を保つ、映画の中でもアイアンマンに近所の平和を守れと言われる。宇宙の敵と対峙するアヴェンジャーズからするとまったくジャンルが違うと思えるが、同じ作品に登場するのは、どういう意図なのか。メイおばさんがマリサ・トメイと美形なので戸惑ってしまう、この役は中年小太りの白人女性が良いのではと考えるが。年齢が近いせいかメイおばさんがおばさんに見えない。悪役になるマイケル・キートンが、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」や「バットマン」を想起させる鳥男を演じるのは、安易な感じがした。作品としてはちょっと遊びが過ぎるというか、変化球の多い内容に、存分に楽しめることができなかったのは残念だし、現代の作品らしく、複雑な人間関係に困惑してしまう=勧善懲悪とはいかない点がすっきりしないところなのかもしれない。2017年/アメリカ/133分/監督:ジョン・ワッツ出演:トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファブロー、ゼンデイヤ、マリサ・トメイ、ロバート・ダウニー・Jr.、ドナルド・グローバー、タイン・デイリー、トニー・レボロリ、ローラ・ハリアー、ジェイコブ・バタロン、アンガーリー・ライス原題:Spider-Man: Homecoming お薦め度「スパイダーマン ホームカミング」★★★☆(70%)
2017.08.14
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トム・クルーズ主演映画史上OP興収NO.1といううたい文句の作品だが、内容の古さを否めないのは1932年公開の「ミイラ再生」をリブートした作品だとのこと。最近、リブート作品という言葉を聞くが、コンピュータ用語だと思っていたのでリメイク作品でいいと考えるのだが、リメイクは原作に忠実に作り直すもので、リブートとは原作とは違った視点、違った切り口で新たに作るものらしい。ジキルとハイド氏を模した人物が登場したり、その設定も謎もわからないまま、長い眠りに閉じ込められた王女のミイラがよみがえり、また、しもべとして動くミイラたちは近年のゾンビのようでパクリが多くオリジナリティが感じられない。パロディ映画でもないのだから、そんなにパクッてどうすんの?と思えて、残念でならない。それゆえ新鮮味はまったくなく、リブートした意味も見当たらない。果敢に孤軍奮闘するトム・クルーズは主役としての働きを見せるが設定が微妙でそのポリシーというか信念や心情がわからず、描き切れていないので共感をえることは難しく、なにゆえにこのホラー作品(?)に出たのかわからない。とはいえ、夏の大作として一興として見てみるにはそれほどひどくもないといえようか。2017年/アメリカ/110分/G監督:アレックス・カーツマン出演:トム・クルーズ、ソフィア・ブテラ、アナベル・ウォーリス、ジェイク・ジョンソン、コートニー・B・バンス、マーワン・ケンザリ、ラッセル・クロウ原題:The Mummy お薦め度「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」★★★☆(70%)
2017.08.11
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今さらピカチューとの出会いを描くなんて、なぜ?と、思ったが、スタートから20年たち、その当時のことを知る子供もいなくなってしまったということなのか、ネタ切れなのかわからない。テレビアニメの第一話のラストの続きを完全オリジナルで見せてくれるという。さて、ポケモン映画としては短編もなく、古い内容だが、新しさを取り入れ、出てくるメンバーもサトシとピカチューとロケット団以外は新鮮味のある登場人物たちだ。ラストのじいさんのメッセージをポケモンを見る子供たちに伝えたくてこの作品を作ったのかもしれない。こどもたちにどこまで伝わったか?はたして記憶に残ったのか、わからないけれど、私の心にはズサッっと届き、思わず涙ぐんでしまった。こんな焼き直しのような作品を作ってどうしようというのだろうと思っていたが、このメッセージで、この作品を作る意義はあったのだろうと思える。2017年/日本/99分/監督:湯山邦彦声の出演:松本梨香、大谷育江、林原めぐみ、三木眞一郎、犬山イヌコ、本郷奏多、佐藤栞里、山寺宏一、古田新太、中川翔子お薦め度「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」★★★☆(70%)
2017.07.30
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なんだこれは!?身内が自身の練習風景を見るために撮影した録画なのか?家庭ビデオサイズのちゃっちい映像が映し出され、バレエのレッスンが繰り広げられる。ドキュメンタリー映画を作ろうと思って撮影されたものではないと思われる。それらの映像がいくつも映し出され、その後、スクリーンフルサイズの映像も映しだされるようになった。それは映像として世に出すつもりがあったのかも。練習風景、本番風景、舞台裏などあまねく撮影して、切り貼り編集したものかな。これを映画館で見させられても・・・と思った。テレビのドキュメンタリー番組としても編集の余地がある気がした。2015年/フランス/85分/G監督:マレーネ・イヨネスコ出演:マチュー・ガニオ、アニエス・ルテステュ、ウリヤーナ・ロパートキナ、オニール八菜、バンジャマン・ペッシュ、ウィリアム・フォーサイス、アマンディーヌ・アルビッソン、ジョシュア・オファルト、エリザベット・プラテル、バンジャマン・ミルピエ、ジャン=ギョーム・バール、ローラン・イレール、ジェレミー・ベランガール、ステファン・ビュリヨン、ギレーヌ・テスマー原題:Backstage お薦め度「パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち」★★★☆(70%)
2017.07.26
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マンチェスターというからイギリスが舞台かと思っていた。アメリカの話だね。アメリカのとある港町。現在と過去と映像が行き来するので、分かり辛いけれど、子供が幼児なのか、高校生なのかで判別した。過去の悲劇に耐えきれず、離婚し住んでいた街を離れた男の兄が、急死した。葬儀もあったが、高校生の甥の後見人とされてしまって当座、面倒をみることになった。高校生の生活を垣間見せながら、過去の悲劇から脱却できない大人たち。心が壊れてしまった大人たち。それでも、日々生活し、生きている。悲しみを吐露することは少ない。アメリカの生活がここにある。アメリカの現代がここにある。田舎町であろうとも、心が壊れてしまったとしても。人間関係の困難さをありのまま描き出している気がした。淡々とではないが、静かなる生活風景描写である。家族に対する思いが、愛おしく、そして悲しい。2016年/アメリカ/137分/G監督:ケネス・ロナーガン出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ、カーラ・ヘイワード、C・J・ウィルソン、グレッチェン・モル、マシュー・ブロデリック、アンナ・バリシニコフ、ジョシュ・ハミルトン、テイト・ドノバン、スーザン・プルファー、ロバート・セラ、トム・ケンプ原題:Manchester by the Seaお薦め度「マンチェスター・バイ・ザ・シー」★★★★(80%) 字幕翻訳:
2017.06.01
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どうにも意味不明というか、難解な作品だ。時空を超越して問題解決へと向かうのだか、過去に戻るわけではなく、未来を見ることができるというカラクリ。そんな寝言話を信じれるわけもなく、またどれが未来でどれが現在かもわからず、過去のことだと認識していたことがすべて未来の出来事であるということに愕然としてしまう。なんともわけのわからない作品で、何が解決したのか、何で解決になったのか示すこともない。戦闘になりそうだったのに・・・。まったく、???な作品だ。わざわざ映画館まで見に行ったのに、大画面もサラウンド音響も効果をなしたとは思えない。2016年/アメリカ/116分/G監督:ドゥニ・ビルヌーブ出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ、マーク・オブライ、ツィ・マー原題:Arrival お薦め度「メッセージ」★★★☆(70%) 字幕翻訳:
2017.05.31
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銃弾で撃たれても、人はそう簡単に死なない。という事実の本、諍いから発展したドンパチを撮る。ドンパチを映す。延々と続くドンパチ。ドンパチ。ドンパチ。ドンパチ。・・・。ドンパチ。・・・。ドンパチ。ドンパチ。これだけのドンパチがありながら、しかも爆発もありながら、警官も何も誰も来ないのか。ドンパチ、ドンパチ。仲間割れ?なんだかよくわからない流れながら、ドンパチ。誰が誰の敵なのか、もうわからない、ドンパチ。最後の最後までドンパチを見せてくれたドンパチであった。2016年/フランス・イギリス/90分/PG12監督:ベン・ウィートリー出演:ブリー・ラーソン、アーミー・ハマー、キリアン・マーフィ、シャルト・コプリー、ジャック・レイナー、サム・ライリー、マイケル・スマイリー、バボー・シーセイ、エンゾ・シレンティ、ノア・テイラー、パトリック・バーギン、トム・デイビス、マーク・モネロ 原題:Free Fire お薦め度「フリー・ファイヤー」★★★(60%) 字幕翻訳;
2017.05.18
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霊感を感じる女。双子の兄が死に、その霊との対峙を試みる。そんな導入部がありながら、霊なのか何なのかわからない存在に付きまとわれ、苦悶する主人公。主人公の職業はパーソナル・ショッパー。何のことかわからなかったけれど、超多忙なセレブに代わり、買い物代行を行う人。個人的買い物代行業ということになる。時には借り物の場合もあるようだ。そして、事件が起こる。ところどころに出現する霊的なものははたしてなんなのか。説明も解明もない。事件はショッキングである。2016年カンヌ国際映画祭監督賞授賞。2016年/フランス/105分/G監督:オリビエ・アサイヤス出演:クリステン・スチュワート、ラース・アイディンガー、シグリッド・ブアジズ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、タイ・オルウィン、アンムー・ガライア、ノラ・フォン・バルトシュテッテン、バンジャマン・ビオレ、オードリー・ボネット、パスカル・ランベール原題:Personal Shopper お薦め度「パーソナル・ショッパー」★★★☆(70%)字幕翻訳;
2017.05.18
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ようやく「美女と野獣」のハリウッド実写版を見に行った。結論から言おう、素晴らしかった。(ネタバレしますよ。周知の内容だからいいですよね)実は冒頭の舞踏会シーンから中盤までは大したことないなと見ていた。つまらなくはないが、新鮮味も醍醐味も楽しみも感じられなくて、評価は低かった。しかし、野獣の独唱、ベルを思い孤独をかこつことを決め、ベルの幸せを願い、また愛することで偲ぶ、その歌声、詩の内容、憐憫を感じさせる立ち姿に感動した。大いに感動した。まるでミュージカルの舞台かオペラを見ているようだった。拍手を大拍手を贈りたかった。大いに感動した。野獣に魅了された私はこの作品の中に引きずり込まれ、心を鷲掴みにされた。野獣でなく、魔獣。そう感じたほど素晴らしい歌唱であった。そのあとのベルとの再会、野獣の死。あまりにショックだった。ベルと野獣の心に、気持ちに、私の心が揺さぶられ、ぐわんと感動した。そして、エンディング。クレジットを見て、キャスト(出演者)がイギリス人俳優たちということに気づく。この作品のためのエンディング曲と歌、次にあの名曲(アニメのデュエット曲)、そして本編にあった野獣の独唱!そう、野獣の独唱でこの物語は終わるのである。まるでオペラのカーテンコールでオペラ歌手が今一度熱唱するかのように、観客に感謝の意を表するかのように。ああ、スタッフもこの曲がこの歌が大好きなんだな、と思えた。この作品のキモ(肝)、素晴らしい楽曲である。この歌を聴くだけでも見に行く価値はある。日本人ハーフ女優、ソノヤ・ミズノが出演している。何役なのだろう。2017年/アメリカ/130分/G監督:ビル・コンドン出演:エマ・ワトソン、ダン・スティーブンス、ケビン・クライン、ルーク・エバンス、ジョシュ・ギャッド、ユアン・マクレガール、イアン・マッケラン、エマ・トンプソン、ネイサン・マック、オードラ・マクドナルド、ググ・バサ=ロー、スタンリー・トゥッチ、ハティ・モラハン、ソノヤ・ミズノ 原題:Beauty and the Beastお薦め度「美女と野獣」★★★★☆(90%) 字幕翻訳:松浦美奈
2017.05.04
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コナン映画の第21作。少々難解だ。字幕映画やテロップテレビに慣れてしまったのか、聞き逃したセリフがいくつかある。というか、聴きづらいセリフを聞き逃してしまった。アニメだからセリフについては実写作品よりシビアに録音しているはずなのに、なぜ聞き逃してしまったのか。今回の作品は難解な気がする。見終わって何が謎というか、疑問に思ったのか忘れてしまったが、聞き逃してしまったことが原因なのか、本筋からすると枝葉末節なことなのか、それさえもわからなくなってしまったが、来年テレビで放映されたら録画してチェックしなければと思った。それが二か所ある。さて、非常に凝ったつくりの映画作品であるからして爆破事件などスペクタクルな見どころをたくさん盛り込んでいる。また、ホテルオークラ大阪などラグジュアリで豪華なホテルや豪邸などを映しだし、豪華さを出してもいる。百人一首のカルタ取りは漫画で人気を博し、映画化された「ちはやふる」で頂点に達したと思うが、そのブームを取り入れ、注目をさらうというのは、なんでもパくるディズニー的商法のような気がする。しかし、その読み札に隠された恋の思いをこの作品の物語にうまく調合し、内在させ、秘めたる恋心を如実に、また切なく描いている。この点をとってみれば青春の淡く切ない恋心が、初恋の思いが、強く真摯に感じられ、犯人探しと謎解きと並行して、見る者の心をとらえた。それにしても、事件の真相は難解と思えるもので、その動機も犯罪の手口も腑に落ちる物かといえば、いまひとつ説得力に欠ける。とはいえ、見ごたえ十分で、堪能できるものである。しかし、やはり難解だな。もう一度見てみるしかないか。関西弁、いいね。クレジットでのエンドソング「渡月橋 ~君 想ふ~」倉木麻衣の歌もいい。2017年/日本/112分/G監督:静野孔文 声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、堀川りょう、宮村優子、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、林原めぐみ、宮川大輔、吉岡里帆、ゆきのさつきお薦め度「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」★★★★(80%)
2017.05.03
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「ドラえもん」映画の第37作。ものすごい連作だ、といえるけれど、寅さん映画「男はつらいよ」シリーズが第48作まで続いたので、「ドラえもん」も負けじとがんばってほしい。今日見ていて気付いたのだが、フィルム映写のような光線が見えない。リールを回す音も聞こえない。と、いうことはデジタルシネマでの上映だったのだろうか。今まで、まったく気にしたこともなかったが、昨日見た「パッセンジャー」もサイドから見たけれど、歪みもなく綺麗に映っていた。そして、よく見えた。これもデジタル上映だったのかもしれない。さて、この作品。ドラマとしてはファンタジーというかSFというか、10万年前と行きつ戻りつしているのだから、SFの要素が強いのかもしれない。とてつもない巨人が出てくるのは、「進撃の巨人」いや「風の谷のナウシカ」の巨人がモデルなのかも。そんな得体のしれないものと対峙し、悪戦苦闘を繰り広げるのび太やドラえもんたち。ドラマとしてので完成度は足りない点はあるだろうけれど、十分楽しめた、といえよう。観客、特に子供たちには人気だ。幼児などは何が何だかわからずとも活躍するドラえもんたちを見ているだけで興奮してくるのだろう。今回も子供と見に行ったが、あと何回一緒に「ドラえもん」を見ることができるだろうか。2017年/日本/101分/G監督:高橋敦史声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、千秋、織田信成、浅田舞、高橋茂雄、八木真澄お薦め度「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」★★★☆(70%)
2017.03.29
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時間が空いたので、見てみた。それほど魅力のある俳優たちではない。いわゆるイケメンや美女が出ていないので日本の観客には、いまひとつなのかもしれない、と面食いの私は思う。しかし、こと西洋人にいたっては肉食系(体育会系)を好む人たちが多いので、その意味では、かの地では(欧米では)受けるかもしれない。宇宙空間において、白人と黒人しか出てこないのは、いかにもアメリカ的だ。その意味では世界を意識した作品ではない。また、非情な設定で行われる、冬眠中断は自分勝手なアメリカ人的発想といえよう。この作品を見ても思うのだが、人類がどんなに素晴らしい機械を発明しようとも、コンピュータが進歩しようとも、結局、アクシデントが起きた時には人力が必要だということ。すなわち、人間に優る機械はないということになる。さて、この作品、ある意味、至上のラブ・ストーリーを描いているが、わけわからず非現実的論理で納得させてしまおうとするのが、ありえない。極論すれば、風が吹けば桶屋が儲かる論理である。しかし、その論理でも、ある種感動を生むのは不思議だ。それを感じ取れる観客も不思議た。人間とは不思議な生き物である。2016年/アメリカ/116分/G監督:モルテン・ティルドゥム 出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア 原題:Passengersお薦め度「パッセンジャー」★★★★(80%) 字幕翻訳:アンゼたかし
2017.03.28
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ホントの話=実話は、いまはもう実話として作られなくなり、ハリウッドから始まった、”inspired”版=実話をもとに作られた話、よってあちらこちらに作り話が混じっていてもOK。(ホントの話とチョットちがうもOK?)ということだと思う。ダンスの実話といえば、「フラガール」が思い起こされる。「フラガール」は炭鉱閉鎖に追い込まれた地方都市の生死を賭けた、町の盛衰をかけた話だっただけに、壮絶であった。真摯であった。テレビ番組でドキュメンタリーを見た時に、このフラダンスで都市再生を成し遂げた話を映像化、映画化できれば良いなと感じた。この時期の松雪泰子の演技は真に迫っていたし、蒼井優という名女優があって傑作として結実した作品だった、それだけに素晴らしかった。同様の感動を期待した。真実のダンスの話で成功物語という共通点はあるものの、この「チア・ダン」は部活動の延長線上にあるもので、感動物語ではあるが、「フラガール」ほどではない。しかし、とても感動したし、泣いたし、見て良かったと思える作品である。今、映画にはまって、演技開眼している広瀬すずが素晴らしく、このまま映画女優として羽ばたいてほしい。みんなを応援する立場になった広瀬すずの舞台そででみんなを見送った後のなんともいえない微妙な表情に胸を打たれた。ラストに誰?と見まごうばかりの大人メイクの広瀬すずもまた絶品、絶妙であった。広瀬すずを応援したいと思う。作品としては、退団する先輩部員たちの描き方が荒唐無稽すぎて、なんだろうと思える。顧問先生の描写(描き方)が不自然である。あとだしで顧問の気持ちを表現されるが、そこはいらない、というか描くなら同時進行が良いと思えた。人物としての顧問先生を天海祐希は演じにくかったと思う。その点、補助というかインストラクターの大野を陽月華は演じやすかったと思う。動線がつながっているから。このふたりタカラヅカなんだよね。ひかり(広瀬すず)の父を木下隆行が好演していたが、役者が演じていれば、もっと良かったと思う。真剣佑は見せ場がなかったね。チアのメンバーとして大原櫻子が出てたのにはびっくりしたし、中条あやみはよくやっていたと思う。彼女が部長役ということにビックリ。山崎紘菜を初めて見たが、笑顔のできないヒップホッパーは素に近いのではと思えた。ダンスの演技はみな素晴らしく、みんなで揃ってピルエットをダブルで回っていたのには脱帽だ。なかなかの特訓だったに違いない。テレビで天海祐希と広瀬すずが福井商業高校を訪れた番組を見たが、笑顔がどれだけ大切かを伝えていた。この作品を見るまで、チアダンスをチアリーディングと同じと思っていた。リフトやトスなどアクロバティック技があるのがチアリーディング。チアダンスはチアリーディングのダンス部分を独立させた競技で、「Pom/Hip Hop/Jazz/Line Danceの4つのカテゴリーをそれぞれ連続して20秒以上(Line Danceは除く)取り入れて演技構成をすること」らしい。2017年/日本/121分監督:河合勇人 出演:広瀬すず、中条あやみ、山崎紘菜、富田望生、福原遥、真剣佑、柳ゆり菜、健太郎、南乃彩希、大原櫻子、陽月華、木下隆行、安藤玉恵、緋田康人、きたろう、天海祐希お薦め度「チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」★★★★☆(90%)
2017.03.17
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この作品を見て、冒頭いきなり歌とダンスのミュージカルシーン、ハイウェイでの群舞。「ラ・ラ・ランド」のタイトル表示前に繰り広げられた。ミュージカル好きでない人はこの冒頭シーンに拒絶反応を起こさないだろうか。物語は進んでいき、途中、つまらない内容になっていった(と感じた)。不覚にも1分くらい目を閉じた(寝た?かも)。終盤も残念な方向へ向かっていき、このままだとつまらない映画で終わる・・・と思いきや、大展開クライマックス、めくるめくロマンチックシーン。大感激だなぁ。隣の女性客は号泣して、嗚咽していた。(こっちが興醒めする!)と、かくいう私は感動しさめざめと泣いていた。アカデミー賞作品賞に一歩及ばなかったのはむべなるかなと思えたりもするが、いい作品である。<ネタバレ>ネタバレを気にしないで書くので、ご注意あれ!ヒロイン、ミア(エマ・ストーン)の1人称で始まる。そのまま進行するのかと思いきや、主役セバスチャン(ライアン・ゴズリング)との出会いで、セブ(ゴズリング)の1人称でハイウェイからシーンが繰り返される。この二人の出会いからは、主役どちらかの目線ではなく、一般的な観客の目線で描かれていくことになる。オープニングの衣裳は良く計算されていると思えた。モブ(群衆ダンス)シーンではダンサーの服の色合いが赤・青・黄色などはっきりと区別されていて、カラフルであった。それは、あとの夜会パーティへ出かけるミアを含む女性4人組の横一列ウォーキングシーンでも、ドレスが赤・黄・青・薄緑とはっきりと色分けされていた。ダンスで闊歩するこのシーンは「セックス・アンド・ザ・シティ」を想起させた。(女性4人組だからね)オーディションでのミア(エマ・ストーン)の表情が絶妙。感情を移入し絶妙な演技を披露しているところへ、いらぬメッセンジャー(秘書?)が入ってきて、演技が中断し、感情が断ち切られ、このあと演技を再開しなければならないのかとモチベーションを上げなおそうとしたところ、オーディション終了と言われ、落胆する。このわずかな時間での感情の起伏、表情の表出は素晴らしかった。なかなかここまでやれる女優は少ないであろう。このシーンを見ただけでも彼女がアカデミー主演女優賞を受賞したことがうなずける。ミアとセブがお互いを思いやるが、仕事に追われ、すれ違うジレンマ、このあたりが中だるみというか、つまらなくなってしまったあたりである。このままつまらなく終わってしまうのであれば、残念な作品だなと思った矢先、もし、あの時こうだったならばという空想の世界へ飛んでいき、ダイジェストで送るハッピー・アワー、クライマックスとなる。(ここで隣席の女性はグスグス、ズルーと嗚咽、号泣)とってもとっても感動し、さめざめと泣いてしまった。現実世界へと戻り、映画は終わるが、拍手喝采したい気持ちになる。評判で注目の丘の上夕暮れダンスシーンだが、ミアはハイヒールからタップシューズへ履き替えている。なぜ?と思えるが、何事もないようにセブとシンクロしてダンスする。なんということか。ここに理由はない。この突拍子さを認めるか否か、どうなんでしょうねぇ。映画「理由なき反抗」を見に行って、フィルムが焼け溶けて、上映中断になるシーンがある。デジタル全盛の今、映画がフィルムであることを知る若者はいるのだろうか。フィルムが焼け溶けるところを現実に見たことはない。雨が降ったり(映写機の熱で、フィルムに細かい穴が開き、雨が降ったように見える)することは名画座などではよくあった。我が人生で一度きりだが、フィルムが切れて上映が30分中断したのち再開した体験がある。この映画の中であったようにフィルムが溶けてしまうというのは、ありえないと思えるが、そこは監督が表現したかったのではと思うしかない。ミアは首尾一貫、演奏に惚れて、セブに恋するのはわかるけれど、ミアを無視していたセブが、どうしてミアに恋するのか、自身の主義を曲げるのか、心情がつながっていないので感情移入がしづらい。この辺がゴズリングがアカデミー賞を取れなかった理由かもしれない。演技に光るものもなかった、かもしれない。ジャズに関してのウンチク、というか説明がある。説明されればジャズの良さがわかるけれど、反面、行き過ぎたジャズは鼻つまみもの。長すぎる演奏、強調しすぎるソロパートなど、生演奏をきくと辟易することが多い。それゆえミアがいう「ジャズは嫌い”I hate jazz.”」というセリフは共感を呼ぶと思う。夢をあきらめない、自分を貫き通したミアと主義を曲げてジャズにこだわらず、店名もかえたセバスチャン。どちらもスター女優と自分の店を持つという夢を叶えたが、セバスチャンが幸せそうにみえないのはなぜだろうか。2016年/アメリカ/128分/G 監督:デイミアン・チャゼル出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、キャリー・ヘルナンデス、ジェシカ・ローゼンバーグ、ソノヤ・ミズノ、 ローズマリー・デウィット、J.K.シモンズ、フィン・ウィットロック、ジョシュ・ペンス、ジョン・レジェンド原題:La La Landお薦め度「ラ・ラ・ランド」★★★★☆(90%)字幕翻訳:石田泰子
2017.03.03
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「沈黙」の原作文庫本を読んだのが、33年前、はっきりと内容を覚えているとは言えないが、その時のショックの大きさは強烈だった印象がある。パードレ(神父、司祭)が棄教するという話。あまりにありえない話に、暗澹たる思いになった。読んだことを後悔していまうくらい痛切な思いを感じた。それほど、悲痛な悲惨な残酷な話であった。この作品が映画化されると聞いた時から、とてもとても待ち遠しく、密かに期待したものだった。しかし、キャストをふくめ二転、三転し遅滞遅延しながらもようやく完成した作品。原作通りに作り上げることはまずありえないことではあるが、良く出来た作品だけに、ラストの棺桶のシーンはあのようなものだったのだろうか、と疑念がわいた。何しろ33年前に原作を読んだきりなので、記憶にないからといって否定することは出来ない。今一度原作を読み返して検証してみたい。作品の前情報をなるべく入れない映画鑑賞を心がけているので、冒頭、リーアム・ニーソンが出てきた時に彼が主人公の神父かと思った。おおきな勘違い、主人公はアンドリュー・ガーフィール。「アメイジング・スパイダーマン」で主役を演じた若者だ。英語での作品であるが、設定としてはポルトガル語のようである。(ポルトガル語として英語を使っている。そこまで、気にする人、気づく人いるかな?いるだろうな。)皆、素晴らしい演技をしているが、なかでもイッセー尾形がみごとだ。流ちょうな英語、明晰な撥音。まねできないなと思えるくらい秀逸であった。塚本晋也のモキチも秀逸であった。本来好きじゃないが、小松菜奈もよかったし、加瀬亮も良かった。片桐はいりも良かったし、坊主役の中村嘉葎雄も良かった。気づけたのは渡辺哲くらいかな、そうそうたる日本人俳優たちに感服。浅野忠信も良かったが、織り込み済みなので・・・。とてもとてもよくぞ作ったと思える作品であるが、原作の驚愕さを凌げなかったといえる。この作品、ポルトガル人が作ったら、どうなっていただろうか?2016年/アメリカ/162分/PG12監督:マーティン・スコセッシ出演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、浅野忠信、キアラン・ハインズ、リーアム・ニーソン、窪塚洋介、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシ、遠藤かおる、井川哲也、PANTA、松永拓野、播田美保、片桐はいり、山田将之、美知枝、伊佐山ひろ子、三島ゆたか、竹嶋康成、石坂友里、佐藤玲、累央、洞口依子、藤原季節、江藤漢斉、菅田俊、寺井文孝、大島葉子、西岡秀記、青木崇高、SABU、渡辺哲、EXILE AKIRA、田島俊弥、北岡龍貴、中村嘉葎雄 高山善廣、斎藤歩、黒沢あすか 原題:Silenceお薦め度「沈黙 サイレンス」★★★★(80%)字幕翻訳:松浦美奈字幕監修:川村信三
2017.02.02
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トム・クルーズ主演で「アウトロー」の続編。「アウトロー」が面白く、また「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」が映画館で見て、映画館ならではの鑑賞にとても感激して、トムなら映画館で見るべき素晴らしい作品を提供していくれると思って、見に行った。作品はまぁまぁ、面白かった。トムの娘と称する学生が出てきて、その娘を守るという枷がありながら、事件(?)解決に尽力する作品。コンビ(?)を組む女性少佐が俊敏でイケている。恋バナは・・・。楽しめたが、期待しすぎたかな、と思えた。ドンパチ、ドンパチやっていくうちに、理由も謎も解決も関係なくなってきて、恨み、つらみ、相手を倒したいという野望(?)だけになっていく。さて、人気となって今後もシリーズが続くか・・・。2016年/アメリカ/118分/G監督:エドワード・ズウィック出演:トム・クルーズ、コビー・スマルダーズ、ダニカ・ヤロシュ、オルディス・ホッジ、ロバート・ネッパー、パトリック・ヒューシンガー、ホルト・マッキャラニー、マダリン・ホーチャー、ロバート・カトリーニ原題:Jack Reacher: Never Go Backお薦め度「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」★★★★(80%)字幕翻訳:戸田奈津子
2016.11.20
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