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2008年08月03日
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生き地獄天国 雨宮処凜著 ちくま文庫
解説は鈴木邦男である。彼はこのように書いている。
 これはもう現代の「聖書」だ。認めたくはないが、これは事実だ。苦しみ、悩み、絶望して死ぬ。そして復活した。奇跡の物語だ。彼女は語りかける。生きることに疲れ、生きる意味を見失い、居場所がないと思っている多くの人に語りかける。「悩むことはない。恐れることはない。私もそうだったんだ。涙に濡れた顔を上げなさい」と。やさしく慰め、ときには荒々しく叫ぶ。「私を見なさい!」と。(略)発想が限りなく自由だ。だから運動も自由だし、若者も集まる。僕は40年も右翼運動をやり、やっと分かりかけたことを、雨宮は数年でクリアーする。右翼も左翼も超え、新たな地平で運動を開始する。これは凄い。とてもかなわない。(略)二千年後も、悩みから復活したセイント雨宮として人々の記憶に残る。私たちは、その聖人と同時代に生きている。私たちも「使徒行伝」を書こう。そしてこの「聖書」を携えて、この世界を変えるのだ。

「聖書」であるかどうかは別として、これは「奇跡の物語」であり、私たちは彼女と「同時代に生きている」し、多くの人が読んで「世界を変える」きっかけになればいいな、と私も思う。

一番ショックだったのは、小中学校時のいじめられ、いじめ経験を赤裸々に綴っている部分である。



 小学校も高学年になると、掃除の班が一緒だった、気の弱そうな下の学年の子を放課後理科室に呼び出して、殴ったり、理科室にあるいろいろな薬品を食べさせたりした。頭から白い粉をかけたら、次の日その子の頭頂部が禿げていたことがあった。その子の禿げあがった頭を見ても、自分が特別ヒドイことをしているとは思わなかった。だって、私がいつもやられていることだから。
 中学生になって、下級生たちにもバカにされだすと、私は心の中で、自分よりも弱いものを徹底的にいたぶることばかり考えた。
 一度、下校途中に子供を誘拐しかけたことがある。「おいでよ。一緒に遊ぼう」って言ったらほんとについてきてしまったのだ。学校と家の、ちょうど真ん中ぐらいにある駐車場で、うつむいて地面に絵を描くその白くて細い首に、わたしは手を伸ばしかけた。
「アイツにこんなことができるなんて」
 私を人間扱いにしないクラスメートたちが、初めて私を認めてくれるような気がした。
 でも、やめた。私は震える手で、その子の頭をぎこちなく撫でた。そのまま手を下に伸ばせば、私は一人の子供を犠牲にして、「人間」になれたのかもしれない。それから一週間近く、そんな勇気もない自分に、ひたすら嫌気がさした。


ここに今現在の秋原事件に代表される「誰でも良かった殺人」の犯人たちがいる。雨宮は「奇跡的に」それをしなかっただけだ。 「もうそうするしか、自分を保つ方法なんてなかった。ほかにどんな方法があったのか、今でもわからない」 と雨宮自身が書いているように、何が彼女をしてそうさせなかったのかは、結局わからない。

けれども、たぶん、今、地獄の底にいる人には、何かのヒントがあるに違いないと私は思う。

その後も彼女は一歩間違えたら、自殺したり、精神病棟で隔離されたり、どこかの街角で惨めに死体になったり、朝鮮やイラクで事件に巻き込まれて死んでいたりしてもおかしくない人生を過ごすのだが、雨宮は奇跡的に復活する。

例えば右翼の方たちと付き合う中で、彼女は自分の言葉を見つける。
私は間違っていない!間違っているのは時代のほうだ!私を認めてくれない、必要ともしてくれない、時代のほうだ!

そして今の活躍はご承知のとおりである。

9月に「同時代に生きる」生の彼女の講演を聴く予定である。この聖書を携えていこうと思う。もしうまくいけば、彼女の聖なるサインがもらえるかもしれない♪





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最終更新日  2008年08月03日 08時03分26秒
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