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湖底の城は宮城谷昌光さんの長編時代小説。読むのが遅いねこまんまねこ氏には全9巻は途方もないチャレンジだったが、何しろ面白く次が読みたくてどうにか完読した。紀元前460年ごろから前510年ごろの、春秋戦国時代の中国、呉、越、楚の対立と争いの物語。主として呉の伍子胥=ごししょ、越の范蠡=はんれい という2人を中心にストーリーは展開する。それに加えて途方もなく多数の登場人物が現れて、それらが非常に鮮明な個性を持っている。正に天才作家の仕業であると言える。この時代、中国は統一に程遠く、全ての国や小国に王がいて、王は30-40人は居た。選挙などないから、王は選ばれた王ではなく世襲や血縁なので、はぼ賢者は現れない。つまり王はほぼ愚者なのだ。王を補佐する宰相や武人が賢者であればその期間その国は安泰だが宰相や貴族も賢人ばかりではなく、国を私物化したり、私腹を肥やす奸臣もいる。この小説は常に賢者と愚者を対比させて進んでいく。賢者と愚者の比率は2500年後の現在も変わらないと思う。テクノロジーは進歩するが、人間の本質は何年経っても進歩していない、賢人、愚者、悪人、善人、その比率は変わらない。犯罪者や殺人鬼の比率も変わらないと思う。それを表現している本作品は著者の人間観察力に基づいている。非常に感動的である。8巻を読んでいる時、コーヒー店で泣いた。と、こんなに力説してもブログの読者に響くはず無いよなー。このブログをいつも読む人は多分60人ぐらいしかいない。検索で入ってきてくれる方は日に200人以上いるけど、そういう人は常に読むわけではないしな。ま、これ、ねこまんま氏の備忘録だから。
2024.05.24
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ある程度の規模の会社では、普通にしていると、自然に階級が上がっていく。主任とか課長ぐらいまでの「担当者」のうちは、与えられた事を期待以上にやればよいが、部長とかになってくると、将来のビジョンとか。そこに至るまでのストーリーを組み立てる力が要る。どうも私にはこういう力が無い。だから仕事が出来ないのだと気付いた。今更こういう力はつかないから、仕事が出来るようになりたくてこの本を買ったわけではない。こういう題名の本を読もうと思う人は、自分は仕事が出来ないと思ってる人が多いのだろう。自分が仕事が出来ると思っていたらこんな本は読まないが、出来ないと思っていたら何か少しでも学ぼうと思うからだ。この本の要旨は、つまりこういう事である。会計や語学やプログラミングや、、。そういうのはスキルであり、担当者が必要とするもの。経営者や責任者にはセンスが必要で、センスがある人こそ仕事が出来る。また、彼なら大丈夫と!いう安心感が伴う。それは先天的に備わってるものかも知れないが、学んで身に付けることができるものでもある。それはストーリーであり、具体と抽象の往復運動である。私が何故この本を買ったかというと今春就職する二男か、既に3年働いている長男に読ませようと思ったからだ。少しでも子のために何か役に立とうとするのが親の責務である。お勧め出来るので、詳しくは読んで下さい。少し仕事が出来る人にとってはとても面白い本です。
2024.03.04
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読んだ本を全て片っ端からここにあげていると思われるかもしれないが、そうではない。かなりの多読から有益そうな本だけをアップしてる。『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版社)は、発売累計30万部を超えている。コピーライターを目指す人の羅針盤であり、一般人にとっても非常に有益な本だ。著者の梅田悟司さんは1979年生まれ。 上智大学大学院理工学研究科修了。 電通入社。CM総合研究所が選ぶコピーライターランキングトップ10に、2014~2017年と4年連続で選出された。人に共感されるためには自分の感情を、正確に、素直に、その人の事を考えて、伝える必要があるという。星の王子さま の著者、サン=テグデュペリは、船を造りたいのなら、男どもを森に集めたり、仕事を割り振って命令したりする必要はない。代わりに、彼らに広大で無限な海の存在を説けばいい。と言ったそうだ。やるべき事をあれこれと細かく指示をしてもなかなか人は動かない。人を動かそうと思ったら彼らをやる気にさせる目的やゴールを熱意を持って伝えてモチベートするしかない という事をサンテグデュペリは理解していたわけだ。(ところでサンテグデュペリは軍のパイロットでアフリカで墜落死してしまったらしい。知らなかった)しかし自分の感情をうまく伝えられる人は少ない。なぜなら自分がどういう感情を抱いたのかをうまく言葉に出来ないからである。その理由として、この本の中で著者は、「近年で言えば「かわいい」や「やばい」といった多くの感情を省略化して伝えられる言葉がわかりやすい。こうした言葉は実に便利なのだが、便利だからといって多用していると、自分の心の琴線を鈍らせることにも繋がるので注意が必要だ。実際に「かわいい」や「やばい」という言葉を使ったときに、どういう意味で使っているのかを質問されても、答えられない事が多いのではないだろうか。こうした状態のままでは、いつまでたっても自分が感じていることを正しく把握することは難しく、感情を言葉にできない状態が続いていく。」と述べている。やばい かわいい すごい エモい グロい きもいといった抽象的な言葉をすぐに発せず、自分が感じた感情をもっときめ細かな表現で言葉にすることから第一歩がはじまる、と説いている。例えば 楽しかった とただ言うのではなく、何故楽しかったのか、それでどうするのか、本当に楽しかったのか などを立ち止まって考えてから、正確に言葉を発すると良いらしい。楽しかったは楽しかったでそれ以外言いようが無い、という人はボキャブラリーに問題があるようだ。今日は心の底から笑えたね!大自然と一体になれたね!こんなに楽しいなら次は2ヶ月後にーーーにチャレンジしようね! とかかな?また、安西先生の「諦めたら、そこで試合終了ですよ」(スラムダンク)や、「みんな子供のときは妖怪です」(水木しげる)など、自分しか使えないような武器があってもよいと述べている。長嶋茂雄の「我が巨人軍は永久に不滅です」には、言い切る、という勇気があるという。普通、人は、永久に不滅だと思います、、、や、永久に不滅だと信じています、、、などと、曖昧に濁して逃げ場を造ってしまうことが多いが、時に言い切る事で自分の熱意を伝えたい、と著者は述べる。何かを語りかけるとき、聞く人に、自分事と捉えて貰うことも重要だと著者はいう。「少年よ、大志を抱け。」(クラーク博士)クラーク博士は北海道大学を興した北海道の祖。「大志を抱け」とだけ言ったら、ここまで有名な句になっておらず、少年よ(ボーイズ!)ビーアンビシャス!のボーイズ!と呼びかけた事で、聞いた人は自分が言われていると感じる。ねこまんまねこ氏は普段から考えた事を言葉というかこのブログに文章としているので、普通の人よりは自分が何をどう感じたかを理解して表現しているし、文章の組み立てもそんなに下手ではない、と自画自賛気味に思っている。そんな私でもこの本はとても有益で勉強になる。僅か1500円で誰でも言葉の達人になれてしまうのだ。
2024.02.10
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「踏切の幽霊」は2023年刊行された高野和明の小説で、直木賞候補になった。下北沢駅から150m西にある下北沢3号踏切でしばしば髪の長い女の幽霊の目撃情報があり、月刊誌記者がそれを調べるというストーリー。詳細な取材に基づいた緻密な描写と隙のないプロットが続く文章構成で大変に面白い。また、感動的なストーリーでもあり、読後感も良い。おすすめ出来る!誰が読んでも面白い作品だと思うし、エンタテインメント性に富んでいる。(感動のツボは人によって違うのでその点はご了承下さい)この小説は1994年を舞台にしているが、小田急線の下北沢駅~東北沢駅は2013年に地下鉄化されて電車は地上を走っていないので、この小説の舞台になった3号踏切は現在は存在していない。ところで1994年はねこまんまねこ氏が社会人3年目の頃であり、大学が明大前だったこともあり下北沢は勝手が分かるのでしょっちゅう酒を飲みに行き、確か小田急の線路沿いにあった夜中まで営業していたログハウス風のBarにもよく行ったのでこの辺りの当時の状況はよく分かり親近感がある。また、物語の後半で登場する函南町に近い箱根町の村、は、ねこまんまねこ氏が昨年の秋まで住んでいた熱海市からほど近い十国峠を抜けた辺りと思われる。ところで、「幽霊」という概念および出現情報が多い国は日本とイギリスなのだという。おそらく日本では仏教思想の中で死んだ者の魂が成仏出来ないと「あの世」に行けずにこの世に彷徨ってしまう、という「成仏」じょうぶつ、という概念が浸透しているために、魂が彷徨う=幽霊、という世界観を全員共有していることが遠因であり、この概念のせいで幽霊が見えるという錯覚に陥りやすいのが原因だと思われる。イギリスの理由はよく分からないが、アメリカでは幽霊というよりはポルターガイスト現象というようであり、幽霊よりもゾンビー=「死んだ後でも動く人間」という概念が浸透しているように思う。中国、アジア、アフリカ等はよくわからない。ちなみにねこまんまねこ氏はある時から幽霊というものを信じなくなった。80歳で亡くなった偉大なジャーナリストの立花隆さんは、死後の世界についてあらゆるアプローチで調べたが、「死んだら全てが無くなり「無」の状態になる」という結論しかない、と仰っている。ねこまんま氏は、又は「魂」のようなものが再生されて「輪廻」が始まるのか、又は生命体ではない別の何かに吸収されるのか、のいずれかだと思っており、「魂が遺恨により現世で彷徨い続ける」という亡霊とか幽霊のような状態にはならないだろうと考えている。
2024.02.06
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「頭のいい人が話す前に考えていること」は、安達裕哉さんというデロイト・トーマツ・コンサルティング(現アビーム)に居た方が書いた本。2023年に刊行された。現在、安達氏はマーケテイング会社を経営されているそう。・これだけ内容の濃い本は滅多に無い。素晴らしい知の宝庫である。・僅か1650円で誰でも頭の良い人になれてしまう驚異の内容である。 (注:半分でも実践できればだけど・・・)・反応するな。最後まで聞け。・頭の良さは他人が決める。・承認欲求は満たす側に回れ。・他者を論破してはいけない。他人と戦うな。課題と戦え。・結論から話そう。・事実と意見を分けて話せ。意見を事実っぽく言うのは最悪。・相談されてもすぐにアドバイスをしようと思うな。・一緒に思考を掘り下げよう。・仮説を立てよう。などと、示唆に富んでいる。非常にオススメ出来る。
2024.01.17
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米澤穂信 よねざわほのぶ は日本のミステリー作家とされている。私はミステリー小説やミステリー映画を好まない。なぜ他人が仕組んだ謎とその落ち(解明)を必死に探さなければならないのか?時間の無駄。と考えている。しかし米澤穂信の、「満願」を読んだとき、この作家は天才だと思った。「満願」は直木賞候補にもなり、山本周五郎賞を受賞したように、一般の評価も素晴らしい。その後、私はこの人の作品を、ボトルネック、折れた竜骨、インシテミル、、などいくつか読ませて貰ったが、やっぱり何かミステリー小説は面白くなかった。。ミステリーと言うのは作家が仕組んだ罠やプロットを楽しめる人には良いけど、どうしても、他人があらかじめ考えたオチを探るのは時間の無駄だと思ってしまうのだ。そんなミステリー作家が書いたものだが、この小説は織田信長に謀反した荒木村重が1年以上有岡城に立て篭もったことと、その配下の武将や足軽、民草らが籠城をいかに過ごし、荒木村重がいかに配下を統ていたのか、が今、目の前にあるかの様に再現されている。本当に凄い小説である。米澤穂信が遂に「直木三十五賞」を受賞した傑作中の傑作。ミステリー要素はあるし、それらに関するくだりははっきり言って私にはストーリーの端にあるどうでもいい事象であり、これは歴史小説として完璧と言える。ストーリーは、1578年、荒木村重が織田信長に謀反を起こし有岡城に立て籠もった事件(有岡城の戦い)の中で、荒木側の人々や囚われた黒田官兵衛の心の動き、合戦、配下の武将らの動揺、黒田官兵衛の天才振り、それらが詳細に描いている。スーパーお勧め出来る小説であり、金字塔と言える。
2023.10.07
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囲碁の名人位を江戸時代後期の家元が争う壮絶なお話し。実在した碁打ちと家元の史実に基づくストーリーを百田尚樹が素晴らしい考察を交えて描いている。私は多少囲碁が出来るので余計に面白いのだが、仮に囲碁がわからなくても楽しめる小説になっている。(ヒカルの碁も囲碁がわからなくても面白いらしい)一体誰が主人公で、だれの目線で書いてあるのか分からないが、だからこそ読者それぞれが思い入れのある自分に似ている登場人物を応援出来るようになっている。名作。
2023.04.20
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ねこまんま氏はマンガを読まないが、例外として歴史上実在した人物等を題材としたマンガは持っている。チ。というマンガも全8巻完結だが素晴らしい。 そしたらなななんとっ、水道橋のテンキューというところで、チ。展 をやっていることを知った。。。見たいな。ちなみに他にお勧め出来る歴史マンガは、、・チューザレ ローマ教皇のおはなし・キングダム 秦の始皇帝などのおはなし・ヒストリエ 古代マケドニアのおはなし・センゴク 大名となった仙石権兵衛のおはなし
2022.11.17
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ねこまんま氏が小説を推奨することはあまり多くない。なぜなら恐るべき遅読の達人であり読んでいる冊数が少ないことに加え、良い本そのものが少ないからである。この『金色機械』キンイロキカイ は読み終わった後に「あ~終わってしまった。。」と虚無感に襲われる。それこそが良い小説であり、正にそういう本だった。。完璧に近い。第67回日本推理作家協会賞を受賞している。推理作家協会といっても700人が会員の色んなエンタメ小説を書く作家の集合体であるから、推理小説のみが受賞するわけではない。この作品も推理小説ではないが、不思議な物語でありどうなっていくのだろうかと期待しながら読む作品である。尊敬する北方謙三氏がこの年の審査委員に入っており、北方氏が「力量がひとつ上だった、無駄のない文体で、小説はやはり描写力だと思わせる。センスなど卓抜で、技価としても受賞作にふさわしい。」と激賞している。今、北方謙三の「チンギス紀」を読み始めた。テムジンの物語、現在までに十三巻まで発行されている。頑張る。
2022.10.18
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遅読のねこまんまねこ氏がすぐに読了した傑作!とにかく面白いし、想像力に感服します。素晴らしい。石山本願寺と織田信長の10年戦争{石山合戦}の中の、塙直政が戦死した「天王寺合戦」と、その3か月後の「第一次木津川口の戦い」を鮮明に描いている。一度だけ「しまなみ海道」を渡ったことがあるが、瀬戸内海の島々は本当にどれが島でどれが陸地なのか全くわからない。和田竜さんは、題を「村上海賊」としたが、これが成功した感じする。本当なら「村上水軍の娘」が正しい。しかし海賊とした方がより野蛮で戦闘的な印象をうける。海賊も水軍も働きは同じかもしれないが、一応「頭領」というか大名から認められた「主領」がいるのだから水軍である。有名な三重県の九鬼義隆の九鬼水軍は九鬼海賊とは呼ばない。
2022.07.19
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史記 武帝記 全7巻 北方謙三の古代中国前漢時代を舞台とした歴史小説。頭の回転が悪く、遅読極まる私にとって7巻の小説は重たいが、割と惹かれながら読了。しかしなぜこの小説を読んでみようと思ったのか。定かではないが、三国志や水滸伝と比較して地味な時代のものだったので却って面白いかもと考えたし、秦の時代が崩壊し、劉邦が起こした国、前漢を良く知らなかったからかもしれない。。若いころに北方謙三のハードボイルド小説をいくつか読んだが、その後北方謙三は歴史小説の大家になり、日本史では特に南北朝時代と江戸時代の作品を書いていたようだが、その後北方謙三は中国史の「三国志」や「水滸伝」を描いて来た。本作品の主人公、武帝とは古代中国の前漢時代の第7代皇帝。劉徹(前141年~前87年)のこと。この小説は、劉徹の皇太子時代から死去迄の時代を、劉徹の視点だけではなく、側近の:桑弘羊や、漢の将軍:衛青、霍去病、大月氏に派遣された張騫、歴史家として名高い司馬遷、霍光、漢の将軍で匈奴に降った李陵、蘇武、それら取り巻く人々や、漢と敵対した匈奴の王:単于(ゼンウ)や匈奴の将軍の視点や語り口からも描く超壮大な物語である。惹き込まれる秀逸そのものの、名作中の名作。大将軍が、最初は10人将から100人将、500人、2000人を率いて、5000人、何万人を率いる様になるまでのリーダーシップ。匈奴と漢の大軍による激しい戦闘シーン。張騫や蘓武のサバイバル。男の友情。部下と上司の信頼・絆。親子の絆。人を育てるという事。官僚制度における昇進や左遷にまつわる嫉妬。悲喜こもごも。帝=皇帝の権威と近づき難さ、そして何よりも老いと死を見つめた小説である。武帝はじめ、衛青、霍去病、らが非常に若い時期から老いて死ぬまでの時期を克明に描いている。死の瞬間、その心境も素晴らしく劇的に書いている。そして死の恐怖と死ぬという事を見つめている。国の姿、経済、死、生の循環、そういう壮大な視点で展開する。テーマが詰まっている。これほど凄い小説があるだろうか?空想の小説ではなく、史実に沿っているこの点が凄い。本当に当時の人々がそう考えていたのではないか?こんな事が展開していたのではないか?と、そこにある様にストーリーが動いて行く。おそらくは李陵を書いた短編小説や、霍光を書いた小説もあるので、さまざまな資料を基に組み立てたのであろうが、このような超大作を書き上げる頭脳構造は正に天才の所業である。この物語で大きな役割を果たすのは、僅か13歳で武帝の持中となった桑弘羊である。彼は武帝の死(紀元前87)後、7年後に燕王の劉旦,上官桀らと謀反を起こして誅殺されるという史実がある。これを北方謙三は国の為に故意に謀反を企てたことにしている。この辺りの史実を知りたいのだが、知るすべは無いのであろう。極めて素晴らしい格調とエンターテイメントに富んだ小説であり、中国史に少しでも興味あればお勧めしたい。
2022.03.04
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↑この文章、素晴らしい!↓拒否の言葉は原語は、「I would prefer not to」。他に「そうしない方が好ましいのですが」(柴田元幸)「しないほうがいいのですが」(高桑和巳)などの訳がある。「しない方がいいと思います」ではなく、あらすじに拠れば「せずにすれば有難いのですが」。(バートルビーのあらすじ)語り手はウォール街の一角で法律事務所を営む年配の男である。はじめ彼はターキーとニパーズというあだ名の二人の清書人と、ジンジャーナットというあだ名の雑用係の少年を雇っていたが、仕事が増えてきたために新たに代書人を雇い入れることにした。募集広告に応じてやってきたのは、バートルビーという名の、品はいいがどこか生気に欠けた青年だった。こうして雇い入れられた彼は、当初は非凡な量の清書をこなしていたが、しかしあるとき所長に呼びかけられて、書き写したものの点検のための口述を頼まれると、「せずにすめばありがたいのですが」とだけ言って再三の頼みを拒否する。それだけでなく彼は自分の筆写の口述さえも同じ言葉で拒み、ちょっとした使いすらも拒否し清書以外の仕事を頑として行なおうとしない。それでも所長である語り手はバートルビーを重宝がり、また他に行き場のないらしいこともあって少々の不便は大目に見ていたのだが、しかしバートルビーはある日を境に清書の仕事すら拒むようになる。仕事をしなくなった彼に語り手は解雇を言い渡すが、バートルビーは「行かずにすめばありがたいのですが」と言って事務所から出ようとせずに、いつまでも何もせず事務所に居座ったままだった。万策尽きた語り手はついにバートルビーを置いて事務所の建物を移すが、今度は前の建物の家主から、彼が建物から離れようとしないと言って苦情が来る。新たな仕事を探してやろうという申し出も、個人的に家に引き取ろうという所長からの申し出も断ったバートルビーは、ついに警察を呼ばれ「墓場」(市立刑務所)に連れられていき、そこで食事を拒んだまま冷たい庭石を枕にして息絶える。その後、語り手は風の噂で、バートルビーがもともとは郵便局の配達不能便を取り扱う部署で働いていたという話を聞く。最後は語り手の「ああ、バートルビー! ああ、人間とは!」という言葉で締めくくられる。
2022.02.03
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目が疲れるので最近はそれほど本を読まなくなってしまった。 少し前に朝日新聞の投稿欄でこの、失われた本の墓場、シリーズの続編が日本語訳されない限り、気になって私は死ねないという年配の方の投稿を読み、興味が湧いた。そして2006年日本語翻訳されたこの古い小説を読んでみた次第。 本当に面白い誰もが面白いだろうと思う平易な文章で、且つオススメ出来る人生の洞察に富んだ作品本のみ、私はブログで紹している、つもり。。 1940年台から50年代の主にバルセロナ、とパリを舞台にした壮大な物語。作者は映画やテレビに絶対負けない小説を書くという気概に溢れている事を感じる。それは映画館でローマの休日が出てくるときに解る。 最後、わたくしは、かなり泣いた。 続編の、天使のゲームも楽しみ。 ところで、フランスのピエール・ルメートル著2015年翻訳の天国でまた会おうという大作があったが、これは第一次世界大戦とその後の世界のストーリーだった。どちらも衝撃的な感動巨篇だが、少し似ている様な気がする。少しだけ天国でまた会おうの方が、グローバル知識のすくない方には読みやすいかも。
2021.04.19
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エリック・ホッファー。 聞いたことはある名前だが、どんな人かは知らなかった。 1905年ブロンクス生まれのドイツ系アメリカ人、後に社会哲学者だという。社会哲学?? ホアット? ホッファーは7才で失明し15才で突然に再び視力を取り戻した。16才で天涯孤独となりカリフォルニアで季節労働者となった。才能も対人対応力もある筆者が、安定した生活を避けて社会の底辺に身を置いて考え続けた自伝。 人としての凄みが出まくりやがっています。社会哲学の何たるかは僕には難し過ぎて全く分からないが、この本を読むと、自分が一段の高みに登ったような気になる。 社会に適応して社会的地位の高い人が必ずしも優れているのではない。不適応者でどうにかこうにか何とか生活をしている人が精神的に優れているケースも多い。そういう事がよくわかる。
2019.05.31
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けっこう沢山本を読むのだが、このブログに紹介する程の内容のある本はそんなに多くない。 しかしこの楠木建 くすのきけん という 一橋大学教授の本は非常に秀逸で非常に面白い。本質を捉えていてウィットに富んだ素晴らしい内容! おすすめ出来る!
2019.04.30
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いやー、出遅れてましたね、ダイメイプリンセス。 4.7 は買えないよね。。 さて、満願 はミステリー或いは推理の短編小説集で、山本周五郎賞を受賞した。また直木賞の候補ともなった。 素晴らしい。良い小説は良い映画同様にいつまでも余韻が残るが、この小説は全ての物語で余韻が残っている。
2019.03.25
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ピエール・ルメートルの「天国でまた会おう」は、フランスで直木賞か芥川賞のような権威ある文学賞にあたるゴンクール賞を2013年に獲った小説で、大衆文学と純文学の融合とか絶賛されている。2017年にフランスで映画化され、2019年には日本でも公開される予定。第一次世界大戦末期の西部戦線と、戦後のフランス・パリを舞台に、戦争から復員した兵士2人の奇想天外な生き様を描いている。人間とはどういう感情を持ちどんなに汚い生き物かという洞察に富んだ文章による、また壮大な家族愛を描いた感動巨編である。上・下二巻組だが読みやすい。ちなみに『天国でまた会おう』というタイトルの由来は、第一次世界大戦で独仏の戦闘が始まって数か月後の1914年12月に、敵前逃亡の汚名を着せられ(実際には上官からの退去命令が出ていた)、見せしめとして銃殺刑に処せられたフランス軍兵士ジャン・ブランシャールという兵士が妻に残した、次のような言葉から取られたものだ。 「あの空で待ち合わせだ。 神がぼくらを結びつけてくれる。 妻よ、天国でまた会おう……」 どんなに悔しかったことだろうか。。ヴァングレという戦場でこの兵士を含む6人が見せしめの為に銃殺され、戦後の1921年に名誉が回復されたそうだ。この小説の中では、~天国でまた会おう~ 誰が誰に発する言葉なのだろうか? 答えはあなたの中にある。
2018.10.14
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直木賞受賞の作品。1980年ごろの台湾を舞台にしたロード小説で、台湾と中国の関係、台湾に渡った人々の事が良く理解できる。 しばしば台湾国内でタクシーや国会内の暴動事件が報道される。台湾の人々は穏やかに見えるが、内面は皆熱い何かを持っているのかもしれない。 非常に面白い! 非常に面白い!
2018.07.04
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池波正太郎は司馬遼太郎と並んで日本を代表する時代小説家。 この剣客商売は秋山小兵衛という無外流の達人を主人公とし、小兵衛の息子 大治郎や御用聞きの弥吉を取り巻く短編が連続している16巻の小説で、第10大将軍の徳川家治の治世1760年から1786年あたりの江戸を舞台としている。その他にスピンオフ長編小説が ないしょないしょ、一冊。黒白 上下巻、の3冊あり、全19冊構成となっている。全てが素晴らしいのだが、特に秋山小兵衛の若い時代を描いた 黒白 こくびゃく が素晴らしい! 秋山小兵衛はかつて四谷に道場を構えていたが、鐘ヶ淵に隠居しており、浅草に息子の道場がある。小説の舞台は浅草、両国、門前仲町、深川、高田馬場、関屋、神田、赤坂、増上寺、白金高輪、品川、目黒不動、雑司が谷、板橋宿、渋谷、千駄ヶ谷など東京のありとあらゆる場所が江戸時代の風景として出てきて非常に興味深い。 また当時としては高級食材だったと思われるドジョウや鰻、鯛、スズキ、鴨、山芋、などが天ぷら、手打ちうどんなどと一緒に登場する食卓の情景も興味深い。素晴らしい。黒白から読んで欲しい。 オススメ出来る。
2018.06.15
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今日はキングダム 49巻の発売日。私の二男はこれまでにマンガを2000冊買って(買わせて)いるマンガ通・マンガマニア である。あるとき彼が「このマンガ面白いらしいよ」と私に渡したのがキングダム1巻だった。 私はマンガは読まないが秦の始皇帝のはなしらしいと聞いて興味を抱き、1巻を読んだ。 次の日、2〜42巻をヤマダ電機で大人買いしてそれを2日で全部読んだ。 こんなに血湧き肉躍る様なマンガがあったのか!と驚嘆した私は、それ以降の続編を発売日に買っている。 この新刊も20分で読んでしまった。何と面白いのだ!! 日本史上最大の関ヶ原の合戦は、多目に喧伝されて東西10万と兵力が集結したというが、中国では、紀元前230年に20万の兵が戦うような大戦が何度も有ったという。今、49巻では秦と趙合わせて40万の兵が戦っている。最高である。
2018.01.20
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相田みつを の最も有名な詩のひとつ。 辛い困難な時にあっても逃げてはいけないよ、必ず出口は来ますから。自然の力に抗うなんてバカバカしい、成り行きに身を委ねろ、、そんな意味なのだろうか。 【10月25日 AFP】物理学者アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)が95年前に東京の帝国ホテル(Imperial Hotel)に滞在した際、幸せな生活に関する短い自説を記して配達人に渡したメモが24日、中東エルサレム(Jerusalem)で競売にかけられ、156万ドル(約1億7800万円)で落札された。競売会社ウィナーズ(Winner’s)が明らかにした。ウィナーズのウェブサイトによると、メモは予想落札価格の5000~8000ドル(約57万~91万円)をはるかに上回る額で落札された。同社の広報担当者は落札者について、匿名を希望する欧州出身の人物だと説明している。メモは帝国ホテルの便箋に書かれたもので、ドイツ語で「静かで質素な生活は、絶え間ない不安に縛られた成功の追求よりも多くの喜びをもたらす」と記されている。その存在はこれまで、研究者の間でも知られていなかった。競売では、同時に書かれたもう1枚のメモも出品され、24万ドル(約2700万円)で落札された。こちらには簡潔に「意志のあるところに道あり」とのみ書かれている。これらのメモは1922年、講演のため日本を訪問中だったアインシュタインによって書かれた。アインシュタインは来日の直前にノーベル物理学賞(Nobel Prize in Physics)受賞を知らされたばかりで、科学界以外でもその名を知られるようになっていた。帝国ホテルに滞在していたアインシュタインは、日本人の配達人から1通のメッセージを受け取った。配達人がチップの受け取りを断ったか、またはアインシュタインが小銭を切らしていたかは明らかでないが、配達人を手ぶらで帰すのを望まなかったアインシュタインは、その場で2枚のメモを書いた。ドイツ・ハンブルク(Hamburg)在住で配達人の親戚である匿名希望の出品者によると、「もしあなたが幸運なら、このメモ書きは普通のチップよりもずっと価値が高くなるでしょう」とアインシュタインは配達人に話したという。(c)AFPBB News メモ書きが1億7800万円。。チップの替わり。不思議な事が起こるもんだ。
2017.10.25
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相田みつを 本名 相田光男 、は栃木県足利市の人。書家で詩人。1991年に67歳で亡くなっている。 相田みつをの詩は平易な文章で、市井の人々が精一杯生きることに寄り添うのが特徴的。 一見すると下手クソで誰でも書けそうな文字であるが、絶妙な崩しとバランス、半紙の中での位置取りは神技で誰も真似出来ない。 毎日書道展に7年連続入賞したほどの書家なのだ。鄭文公の臨書で有名だったという。
2017.10.21
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ソニックというSONYをイメージした様な設定の大企業があり、その子会社で産業用の様々なパーツや設備を販売しているかなり規模の大きい中堅企業が舞台となっている。この企業で若手の或る非常に優秀な営業マンが居た。 彼は部品の強度を落として安価で納品するように或る企業に働きかけて、利益を上げていた。 その部品は鉄道、航空機、自動車など社会インフラ、家庭用や産業用の什器など様々な場所で使用されていた。実際小さな事故が起き始め、この不正が明らかになっていく。しかしこの不正を聴いた経営陣は隠蔽を謀る。社内には数十年前にも不正が行われていた事を知っている者もいて、隠蔽に反対するものもいる。さてどうなる?というもの。 国の根幹を支える鉄、アルミを製造する巨体企業神戸製鋼グループ全体で強度偽装が行われていたという信じ難い事件が起きた。この小説と事態の大きさの差はあるものの、様々な場面が非常に良く似ている。現在の経営陣の全てが長期に亘る強度偽装の不正を知らなかった筈は無いだろう。当初は隠蔽しようとして、次々出て来て仕方なく公表したのではないだろうか。この小説の出来があまりにも秀逸だったから、予言書のような迫力がある。
2017.10.15
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もう何年も朝日新聞を読んでいる。世間では四大新聞などと言われるが、ふつうの家族、都市生活者にとっては新聞広告が沢山入る読売か朝日しか選択肢はない。現実には二大新聞なのだ。 以前読売を購読した時期もあったが、どうも記事に切れ味が感じられないし、論調も気になった。朝日の方がややリベラルだが取材力やジャーナリスト根性が上だと思っていた。 五月の福島第一原発の吉田調書報道について事実と異なる掲載があったことで、朝日新聞が記者会見し、済州島で従軍慰安婦を多数連行したという虚偽の証言を掲載して謝罪していなかった件と併せて謝罪を行った。朝日の取材力を信じていたのに残念である。とくに福島第一原発についてはそれだけでもスクープだったのに余計な脚色をしてしまったようだ。 今回は残念ではあるが、今後は事実に基づく正確な内容に独自の広い視点からの論調を加えた記事を真摯に綴っていく取材姿勢を期待する。
2014.09.11
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越後の刀、という短編の中に、おなごにとって亭主は、福神か、貧乏神かのふた通りしかない、という一節がある。 その通りこもしれない。
2013.10.16
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クライムノベルの傑作という帯の言葉につられて購入したが、久しぶりに本当に面白かった。ディテールがとても精緻に書き込まれている。【送料無料】邪魔(上)【送料無料】邪魔(下)
2011.02.24
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ジャンプ連載中の「REBORN」=リボーンのニューボンゴレリング7種。ガチャガチャで入手する。子供がはまっていて、全部揃うまで気が済まない。親は出費がかさむよ。。
2010.11.04
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粗にして野だが卑ではない粗にして野だが卑ではない@城山三郎横浜の城山三郎展を見て、本屋さんでとりあえずこの本を買ってみました。石田礼助という人。三井物産の社員→会長からリタイヤ後、しばらく休んで国鉄総裁になった偉人の物語。膨大な取材を基に書かれた伝記である。とても勉強になるお話。志を忘れかかっている我々日本人はこういう本をもっともっと読まなきゃいかん。
2010.06.17
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マドンナ 奥田英朗短編集。それぞれの話の主人公は44歳~46歳の管理職の男性会社員となっているので身につまされて非常に面白い!
2010.06.17
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どんな仕事も楽しくなる3つの物語平易な文章で示唆に富む内容。著者は[そもそも面白い仕事もつまらない仕事もなく、そこに関わる人が面白いものにしたり、つまらないものにしたりしているだけ](P.55)と説く。それを鵜呑みにはできないかもしれないが考え方には共感すべき点がある。
2010.06.16
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ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣この本はいくつかの重要な核心を鮮やかに描き出している。おそらくそれらを実践することが出来ればファーストクラスの常連にまではならないまでもかなり自分のランクを上方修正できるだろうし、そのヒントに溢れた本である。とはいえ、実践的に自分を高める技術は主に4つぐらいしか書かれていない。人の話を良く聞け(オウム返しなど)・メモを取る効能・姿勢を正しく・人がどう思うかを考える・感謝の気持ち、など、教育関係の仕事をしている私にはどこかで聞いたことがある話ばかりである。しかし、それでも一般の人にとっては非常に有意義だし私もためになる内容だといえる。著者は17年間国際線のCAを勤め、独立し、ビジネスマナーやCA受験講座を持つ会社を経営しているそうだが、本の中で随所にファーストクラスの方は凄い、特に創業社長は人格が備わっている(←2世が駄目だということか?)反面、ビジネスクラスとエコノミークラスのお客は人格が成ってない的な、客を小ばかにしたような言い回しが多数見受けられ、不愉快な気分にさせられる。論旨は、ビジネスクラスはせっかく乗ったんだからいろいろ無理な注文をしてやろうみたいな「さもしさ」溢れる客が多く、エコノミーはとにかく注文が多くて忙しいし、後ろから声を掛けて来るマナー知らずが多く、比べてファーストは人格者ばかりで楽だ、みたいな感じ。この著者は最初から人間を3つのランクに分けてしまっている。ファーストに乗る3%は素晴らしい人格者なのだ、だから成功したのだ。それを真似ることによって誰でも人格者になりそれが成功に繋がるのだと述べている。長いCA生活で3ランクに分けて考えることが思考に染み付いてしまったのだろう。どんなに人格者で成功した人間でも、いちゃもん紛いのクレームをつけてくるエコノミー客でも実は人格的にもあまり差が無いということに気付いていない。こういう人こそ人を階級差別して見る「さもしい」人間かもしれない。本としては悪くない。
2010.06.07
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NHKマイルカップ(G1)を勝ち、ダービーでも人気を集めていたが、骨折が判明してダービーには出走しなかったダノンシャンティ号の馬主、野田順弘(のだまさひろ)氏が日本経済新聞の「私の履歴書」に連載を始めたので興味を持って読んでいる。今日でまだ6回目ぐらい。オービックの創業社長→会長さんで馬主歴はそれほど長くなかったため、もっと若い成金的人物をイメージしていた(失礼)が、この連載によると山村の貧しい農家のご出身で小さい頃は非常にご苦労されたとのことで、読んでいて心が洗われるような感動がある。イメージが変わったどころか大変尊敬できる偉人である。貧しい農家と書いたが、もとより戦中戦後は裕福な家など無いに等しかったと思われ、そんな中で才覚のある若者には世の中全体にビジネスチャンスが転がっていた時代だったのだろう。高校生の頃から商売の感覚が物凄かったことが窺え、とても面白い。毎日楽しみだ。
2010.06.07
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空中ブランコで直木賞を獲得した奥田英朗著 「ガール」 チョー面白い!文庫本★合計3冊★山本文緒★奥田英朗★「ガール」「プラナリア」他:楽オク中古品
2010.05.12
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僕僕先生 「僕僕先生」という題名の小説。なんのことだ?と思うけど中国唐時代を背景に、仙人が出てくるファンタジー系小説。日本ファンタジーノベル大賞2006年受賞。かなり面白い。
2010.03.19
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天使のナイフ「天使のナイフ」薬丸岳 という作家が初めて小説を書いた作品だという。それにしては、というか初めてでなくてももう巨匠の域に達していると思われるプロットが考え抜かれた素晴らしい作品。江戸川乱歩賞を受賞したという。殺してやりたかった。でも殺したのは俺じゃない。妻を惨殺した少年たちが死んでいく。これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか。「裁かれなかった真実」と必死に向き合う男を描いた感動作!衝撃の展開!驚愕のラスト!選考委員が満場一致で推した今年最大の収穫!・綾辻行人氏「考え抜かれた物語の構図に、大いに意表を衝かれるとともに感心した」・井上夢人氏「選考委員全員が推したのは、それだけ作品に力があったからである」・逢坂剛氏「謎解きにも二重三重の仕掛けが施された極めて水準の高いミステリー」・真保裕一氏「扱いにくい素材に挑戦し、過不足なくまとめあげた手腕は称賛に値する」・乃南アサ氏「緻密な構成力でドラマチックに仕上げている。読者を引きつける力がある」
2010.01.23
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雷の季節の終わりに8/25に文庫化されたばかりの恒川光太郎の本。私としては異例のあっという間に読んでしまった。面白い。(85点)恒川光太郎の処女作「夜市」↓この物語には心底驚きました。この作家、天才だ!なんて。。。(100点満点)でも「雷の季節の終わりに」は期待が大きい分少しだけ、ほんの少しだけ不満が残ったかな。ハードカバーも読んでみよう。夜市
2009.09.03
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よく偉そうに若い人に「高みを目指せ」と言ってしまいます。自分は到底高みに到達できないのに。高みを目指すには裾野が広くなければなりませんね。それは人間としての裾野。これは興味の幅とか経験とか、そういうことではないかと勝手に解釈しています。興味の範囲を広げて、色々と深く知識を蓄えると同時に恋愛とか遊びとかもちろん仕事も精一杯経験してはじめて高みを目指す基礎ができるのではないかと、こう思うのです。私が今興味があること、強い順に、熟眠、熱帯魚の飼い方、小説など書物、自動車の性能・スペック、料理と繁盛している飲食店、阪神タイガースとプロ野球全般、ワインと生産地・生産者、海の生物とその味、キリスト教などの宗教学、映画、演劇・ミュージカル、俳優と演技力、釣り、NFL、日本酒の酒蔵、ウナギの生態、恐竜と古代生物とその化石など、天皇賞と有馬記念の行方、高校野球、地方競馬の衰退を止める方法、ゴルフ、包丁の研ぎ方、考古学、絵画を中心とした美術品・古物、おいしい水、カラオケで恥をかかない方法、占い、天文学、靴・鞄などの革製品全般、建築全般、子育て、人材育成、世界遺産、音楽、日本の農業、宇宙開発、素粒子のこと、世界一周、、、ああ結構多いな。これらの知識を吸収・研究して今からでも高みを目指していきたい。
2008.10.27
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受け月受け月 伊集院静の会心の作だと思う。多くの人にとって人生とは出口の見えにくい苦難の歩みであることを深く認識している人間にしか書けない世界。決してハッピーエンドではない人生、それを肯定し受け入れつつ、少しの光明が見え隠れする名作。どの作品も野球が根底にある点が非常に興味深く、甲子園シーズンに合っている。里帰りに携行すると面白い一冊です!霧笛荘夜話浅田次郎の短編集。おそらく舞台は横浜の大桟橋から赤レンガ倉庫までの近辺、時代は昭和末期~平成初めごろのイメージと思われる。こんな纏足のおばあちゃんが大家の(霧笛荘という)アパートメントは実際にはありえないけれど、いかにもありそうな設定が、非常によく出来た面白い短編集。惹き込まれる。
2008.08.02
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天切り松 闇がたり このシリーズは大変面白くすべてオススメである。この第4巻は時代が昭和に移ってからの物語で、黄不動の栄治兄貴はもはや結核を患って療養しているなどだいぶメンバーにも年月を経た変化がある。物語の壮大さという意味では前3巻に及ばずやや小ぶりな展開となっているが、そのぶん観てきたような現実感があるともいえる。天切り松闇がたり(第4巻)
2008.08.02
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【メール便なら送料無料】Coldplay(コールドプレイ)/美しき生命≪通常盤≫ 【オリコンチャート調査店】今世紀最大のロック・バンドとかいわれているコールド・プレイの最新アルバム。「今世紀」っていつからいつ迄だよ!?って思うし、最大っていうほど凄いかどうかは別にして、7曲目の「美しき生命」は確かに元気が出る曲。だけど最も素晴らしいのは一曲目の「天然色の人生」だと思います。これまで聞いた事の無いサウンド。声がU2のボーノに似てないか?
2008.07.15
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「エースの品格」~一流と二流の違いとは~野村克也著を読んだ。南海時代に4番キャッチャー兼監督、それ以降社会人野球のシダックスを挟んで4球団の監督を歴任してきた野村監督の野球論、人生訓、プロ野球選手としての自覚の大切さ、そういった教訓が散りばめられた素晴らしい著書だと思います。楽天の監督として今はメディア「ウケ」を考慮してボヤキのノムさんとか言われてボケキャラを出していますが、大変真摯な野球に対する姿勢、考え方、人材育成の真剣さに頭が下がります。スピードボールとキレのあるボールの差、井川投手のノーコンをどう矯正したか、球界最高のピッチャーは江夏豊など、プロ野球が好きな方はもちろん、経営者、管理者も大変参考になる素晴らしい内容です。1000円はとてもお安いです。エースの品格
2008.07.08
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ただいるだけで「あなたがそこに ただいるだけで その場の空気が あかるくなる あなたがそこに ただいるだけで みんなのこころが やすらぐ そんなあなたに わたしもなりたい」相田みつをさんの書(詩)です。 私もこういう人になりたいと思います。まだまだだなあ~。 (「にんげんだもの」相田みつを 出典)
2008.06.20
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頭のいい子が育つパパの習慣「頭のいい子が育つパパの習慣」清水克彦著長男が4年生から小学校の野球チームに入るか、日能研に入るか迷って結局本人の意思で塾に通い始めた。塾に行くと土曜日にテストがあるので野球と両立は出来なかったのです。両親のスポーツ適性を考えると甲子園を狙うのは夢のまた夢。現実的な選択だけど、中学受験もってのも、聞けば実は家族総出の戦いが強いられるものらしい。この本はある父親が子供達の中学受験に成功し、その体験を基に書いているので説得力はあると思う。だけど何かムカつく内容。。受験に成功する目的を前提に書かれているからだ。6年生になった時点での選択肢を狭めたくなかったからとりあえず塾に行かせたけれど、私立に行って欲しい気持ちはほとんどない。むしろ公立に普通に行って欲しいと思ってる。型に嵌った成功法があるわけもなく、親が子供のたかが中学受験のために、自分が快適と考える生活スタイルまで変えなければならない意義・意味が分らない。子供の受験にたとえ成功したとして、親が得られるものは自分達の満足感と(人によっては周囲への)優越感だけだろう。何がいいのかよく分らなくなってくる本だ。。。
2008.06.05
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夜市「夜市」(よいち)恒川光太郎著第12回日本ホラー小説大賞受賞作という帯が付いていたので何となく買ってみた。衝撃の作品!! ホラーというよりは、何のジャンルにも属さない、懐かしい感覚もある叙情的な素晴らしい小説です。寝る前に子供にこの話をしてあげたのですが、子供も夢中になり、でも布団に入るとじきに寝ちゃうから、早く寝かしつけることに成功!一週間ぐらい保ちました。一冊に二話掲載されており、「風の古道」という作品も相当に面白い。とにかくオススメ。この人の次回作も絶対読む。 内容(「BOOK」データベースより)大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。夜市では望むものが何でも手に入る。小学生のころに夜市に迷い込んだ裕司は、自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだという。野球部のヒーローとして成長し、甲子園にも出場した裕司だが、弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた。そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたというのだが-。
2008.06.05
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空中ブランコ「空中ブランコ」奥田英朗 直木賞受賞作を読み終わりました。読み終わりました!ってほど長い作品じゃくってむしろ短編で電車で読みやすい作品群。でも電車内で読むとヤバイです。笑いが出てしまって、変態か?ってほど本当に笑っちゃいますから、家で読んだほうが無難です。とても面白い。この作家天才だな。
2008.05.27
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「 駅弁スーパーレディ 」小林しのぶ著今日丸の内オアゾ内の丸善で購入した本です。お弁当、特に駅弁という特殊な環境にある製品を造り手側から紹介した非常に興味深い本です。発刊されたばかりですが、是非オススメします!。。特に4番目に紹介されている人が意欲的で人生に前向きで素敵な方です。私の勤務先では一日に8000個(社内では8000本という)近いお弁当を販売しているので、弁当という製品にとても興味があります。小さい箱の中に「夢」が詰まっているのです。お弁当の蓋を開ける瞬間、人々は子供の表情になると思います。忙しく自分を偽って生活している現代人が本来の自分を取り戻す瞬間です。お弁当、万歳っ!
2008.04.14
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ずっと前に買ったが読む機会の無かった「さらば愛しき人よ」レイモンド・チャンドラーをようやく読み終わった。素晴らしい小説だ。チャンドラーはアルコール中毒だった様で、主人公の私立探偵フィリップ・マーロウもややアル中。スコッチを愛飲している。異常に格好いい小説だよ。
2008.03.12
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