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ヨーロッパにおける夏の移籍市場は8月31日をもって閉められる。この文章が読まれる頃には日付が変わり9月1日になっているだろう。だがそれはあくまで日本時間での話。時差の関係でヨーロッパにおけるそれはまだ変わっていない。果たしてベルバトフは我がユナイテッドに本当にやってくるのだろうか。当初はユナイテッドの獲得希望の噂だけが先行し、ベルバトフ本人やトットナム側の意思が公になることはほとんどなかった。トットナムとしてはもちろん拒否の姿勢を崩す気はなかったであろうし、ベルバトフが移籍を希望しても何とか丸め込む皮算用があったはずである。そして当のユナイテッドの本気度が、この時点ではうかがい知れなかった。だがこの夏の移籍市場において正式にベルバトフ獲得のオファーをトットナムに出したことで、ユナイテッドの本気度がとうとう明るみになった。もちろんトットナムの答えはノーである。ラモス監督はおそらくベルバトフをFWの軸に考えていたであろう。だが誤算だったのはユナイテッドの本気度ではなく、ベルバトフの本気度だった。ここまで無言を貫いていたベルバトフが移籍願望を公に話し出したのである。そうなるとトットナムは最悪の事態も考えないといけない。ベルバトフ不在の戦術を構築する必要性に迫られたラモス監督は、「ロッカールームに悪影響を与える」という理由の下、開幕からベルバトフをベンチ外にするという決断をした。監督としては至極当然のことをしたままであり、このときには移籍やむなしという考えになっていたことだろう。そしてこれによって周囲は“ベルバトフ移籍へ!”の流れに急速に変わっていったのである。元々獲得を狙っていたアルシャビンには振られたものの、同じロシア代表のパブリチェンコを獲得したことで代役は出来たトットナム。後は出来るだけ多くの移籍金をユナイテッドに支払わせるだけだったのだが、ここにきて気持ちが揺らいだのがベルバトフだった。「ユナイテッドでの出場時間はあるのだろうか」正直なところ、何を今更とも思うのだが、形が見えなかった時は明るい希望に支配されていたであろうユナイテッドへの移籍も、いざそれが形として輪郭を描けるようになると現実的な問題を考えてしまうものである。テベスやルーニー、ロナウドといった主軸が健在であり、中盤にも多くのタレントを揃えたユナイテッドに自分の居場所を明確に見つけられないとベルバトフ自身が思っても不思議ではない。しかし、ユナイテッドの動きは早かった。ベルバトフの不安を消すために、同じFWのサハをエバートンに放出することで枠を1つ空けたのである。昨シーズンのサハの貢献度を考えると、彼を放出したところでベルバトフの貢献度はおそらくそれ以上なのだから、本気度を示すにはもっと大きな枠を空けなければいけないかもしれない。だがサハという競争相手を1人消すという既成事実は、迷っているベルバトフにとっては精神的には大きな意味を持つであろう。これによってベルバトフの意思は固まったとみて間違いない。あとは未だ埋まらない移籍金の差を両者がどこまで歩み寄ることが出来るかである。残された時間はあとわずか。8月最後の長い1日はどのような結末を迎えるのであろうか。ほな、また。
2008.08.31
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個人的にシーズン前から注目していたトットナムとサンダーランドが開幕2週目で早くも激突した。ビッグ4の牙城を崩さんと多くの若手選手を獲得し“ラモス色”を強めるトットナムに対し、賢い補強戦略で連続の残留を目論む“闘将”キーン率いるサンダーランドの1戦は、正反対の印象を観ている側に植え付けた試合となった。結果は1対2とアウェイのサンダーランドが勝利したわけだが、好印象をもたらしたのはサンダーランドであった。勝利という結果もそうだが、まず内容が伴っていた。もちろんそこまでの強豪クラブではないのでミスも多い。だがキーンの血を受け継いだとでも言うべき厚く強固なディフェンスはトットナム攻撃陣に隙を与えなかった。カブールの移籍は成立しなかったものの新戦力が多いこともあって、まだまだ連携面で改善の余地は大いにある。だが対人面ではほとんどのボールを跳ね返し、強さを思い切り見せ付けていた。試合後には更にウェストハムからアントン・ファーディナンドの獲得が発表されたものだから、より強固な、そして層の厚いディフェンスラインになることであろう。攻撃面ではマルブランクとリードの両中盤サイドがこれまでのスピード一辺倒だったところに経験とテクニックをチームに与え、確実に攻撃の幅は広がっている。リチャードソンもゴールを決めるなど好調のようで、これまでのように与しやすしと考えれば、第2グループでも痛い目を見ることになるだろう。そこに今シーズンから加わったのがディウフとシセである。ディウフのスピードや攻撃性はもとより、シセの前線での強さは相手にとっては脅威である。今回の試合でも途中出場ながら相手の一瞬の隙を突き決勝ゴールを挙げるなど、早くも結果を残している。ピッチ外で多少の問題を抱えるだけに、キーンのコントロール次第では予想以上に大化けする予感を感じさせたサンダーランドであった。反対にトットナムの先行きは明るいものではない。まずはベルバトフの去就が注目されているが、騒動による他選手への影響を考慮し、この試合もベルバトフはベンチ入りさえしていなかった。彼を含めロビー・キーン、デフォー、ベントという強力な陣容を誇っていたのはわずか1年前の話で、現在残っているのはおそらく一番能力の劣るであろうベントただ1人である。そのためにこの試合では中盤の枚数を増やして攻撃性を落とさないようにしたのだが、ベイル、レノン、ベントリーなど本来はサイドを主戦場とする選手が多く、彼らのドリブル突破は脅威ではあるものの、スクランブルで連携も整っていないのだろう、単独での攻撃が多く、2次、3次と連続した厚みのある攻撃を見せることは出来なかった。救いは後半に入ってハドルストンを入れたことでモドリッチの適正なポジションを見つけられたこと、それによってジェナスの攻撃参加が増えサイドからの攻撃を活かせるようになってきたことだ。ただそうなるとベントの存在価値が希薄になるのと同時に、ドスサントスも含めた宝の持ち腐れ的選手が発生してしまう。前線で獲得の噂があったアルシャビンはほぼ可能性が消えたようだが、同じくロシア代表のパブリチェンコの獲得が現実味を帯びているらしい。いずれにせよ一刻も早く所属選手を確定させて、それらの選手を最大限に活かせるだけの戦術をラモスが見つけないことには、トットナムの目論むビッグ4の牙城は今シーズンも崩れないままで終わるだろう。ほな、また。
2008.08.29
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先日、今シーズンのチャンピオンズリーグにおけるグループステージの組み合わせ抽選が行われた。実力伯仲の、いわゆる“死のグループ”もあれば、強豪が順当に勝ち進むであろうグループも存在し、各クラブ悲喜交々の想いを胸に抽選結果を見守っていたことだろう。さて、今シーズンのグループステージ出場を決めたクラブの中に、いつもは名を連ねているクラブが1つ外れている。ミランである。ユベントスが3シーズン振りに復帰した一方で、ミランの名前がないことはファンとしては寂しい限りである。昨シーズン、最後までフィオレンティーナと最後の椅子をかけて争ったものの、4位にわずかに手が届かず出場を逃したミラン。クラブ・ワールドカップに照準を合わせたために国内リーグがお粗末になっただの、世代交代が進んでいないだの、主力に怪我人が多かった等々、理由は決して1つではないだろう。そして終わってしまったものはある意味、仕方がない。重要なのは失敗に終わった昨シーズンの冷静な分析と確実な対処である。それを見誤らなければ、おそらく来シーズンには常連のごとくグループステージの中に名を連ねることが出来るだろう。まずクラブ・ワールドカップの影響だが、これは意外と大きかったかもしれない。世界一の称号はクラブにとっては大変な名誉であり、フロント陣もこのタイトル獲得に力を入れていたことは当時のコメントからも窺い知れる。だがそれにより国内へのモチベーションは多少なりとも落ち、チャンピオンズリーグとの並行、また日本遠征による過密日程は選手に少なくない影響を肉体面・精神面共に与えていたことだろう。だが今シーズンはその影響を受けることはない。もちろんUEFA杯を見下してはいないだろうが、ある程度の段階まではローテーションを採用して主力を休ませることが出来る。そうなれば選手は週1ペースで試合をこなすことができ、他の強豪クラブと比較しても肉体面では有利になってくる。ならばクラブが考えなければいけないのは、所属選手の処遇である。特に守備陣に高齢化が進んでいることは数年前からの事実であり、それに加えて怪我人が続出したのが昨シーズンだった。アンチェロッティ続投を決断したからには、マイナーチェンジこそあるだろうが継続が基本路線であり、その中で選手層を厚くする補強であったり、血の入れ替えを行うのが自然な流れである。ただ忘れてはいけないのは、これがミランで行われることだ。もしインテルで行われるのであれば、周囲の批判に目もくれず大型補強を次々に行うことで話は終わる。しかしそうではない。ミランは新規獲得選手とミランイズムともいうべき精神を持った、例えばユースからミラン一筋のような選手を融合させることで一時代を築いてきたわけだ。そう思うと、今シーズンのミランの補強戦略に首を傾げたくなってしまう。戦力外としてシミッチを放出しておきながら、ネスタの怪我の状態を考慮してセンデロスをローンで獲得したことは、選手層を省みない典型ではないだろうか。世代交代的に問題なく完全移籍のオプションがあるとはいえ、特にセンターバックに難があったのだからクラブに残しておいたほうが懸命だったように思う。守備にはザンブロッタも加入し、中盤より前にはフラミニ、ロナウジーニョ、ボリエッロ(ローン移籍からの出戻り)、シェフチェンコを獲得し選手層は確かに厚くなった。だが彼らプラス既存選手をどのように構成するのだろうか。ピルロ、ガットゥーゾ、アンブロジーニ、カカ、パト、インザーギなど錚々たるメンバーが揃ってはいるが、いくらチーム状況がそうだとはいえ、ベンチでくすぶる選手も中には出てくるだろう。果たして彼らは我慢出来るのだろうか。今シーズンはそうでなくてもチャンピオンズリーグはないというのに。また、選手層に一流が揃ったことでこれまでの控えであったブロッキや、パロスキといったある意味ミランイズムを継承すべき、あるいは屋台骨から支えるような選手が、出場機会の減少を恐れてクラブを離れてしまった。そして右サイドバックのオッドもザンブロッタの加入でリヨン移籍が濃厚と言われている。監督は継続路線ながら、選手は大きな変更が行われて新シーズンを迎えるミラン。この状況は昨シーズンのバイエルンと似てなくもない。トニやリベリといった大型補強を敢行して、1シーズンでチャンピオンズリーグに戻ってきた彼らにミランは倣うことが出来るのだろうか。ほな、また。
2008.08.29
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アストンビラ残留で一段落したように見えたバリーのリバプール移籍騒動。アストンビラ側は公式サイトで正式に残留を宣言し、監督のオニールも騒動が終わって胸をなでおろす発言をしていた。だがバリーの本心は一体どこにあるのだろうか。獲得を狙っていたリバプールとしては、バリーの決心が少しでも揺らいでいるならばチャンスはゼロではない。監督のベニテスが熱望しているのであれば、フロントは間隙を縫ってでも獲得に乗り出すべきではないかと考える。しかし、どうやらフロントはバリー獲得を諦めたようだ。ベニテスによると、シーズン開幕前の先週にヒックス及びジレット両オーナーからその報告を受けたらしく、「我々はこのオフに約32億円分の選手を放出した。 それなのに両オーナーは、まだ金が足りないという。 バリーが欲しいならもっと選手を放出しろと言うんだ。 そんなことは馬鹿げている」とオーナーやフロントの姿勢に納得していないようである。リバプールの今シーズンの主な獲得選手はデゲン、ドッセーナ、キーン。デゲンが移籍金なしでの獲得とはいえキーンに40億円を費やしたため、32億円分の選手を放出したところで、経営面から見ればマイナスになっているのである。フロントとしては強化したいのはやまやまだが、バリー獲得で更に赤字が増えることは出来れば避けたいと考えているのであろう。一方で現場の立場からすると、1人でも多くの優秀な選手を望む声を上げるのは当たり前である。至上命題でもあるプレミアの覇権を奪回するにはバリーの力が必要と判断したのならば、是が非でも獲得を希望することだろう。ただベニテスが「バリー獲得のためには選手放出も辞さない」と語っていたのは、およそ1週間前のことである。そして相応のオファーがあればアロンソ放出を容認するコメントも残している。つまりは馬鹿げているとまで言ったオーナー連中の要求に自らゴーサインを出していたことになるのだ。つまりはフロントは経営面から、ベニテスは現場の立場から見た金と選手という自身の財産を巡る罵り合いをしているに過ぎず、バリー獲得、そしてチーム強化という最も重要視すべき点が2次的な要素になってしまっているのである。バリーがリバプールへ移籍するのかどうか、それは移籍市場が閉まる今月末でとりあえずの結末を迎える。クリンスマンとの密会など度々世間を騒がせてきたリバプール内部の確執の結末は当分先の話になりそうである。ほな、また。
2008.08.20
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いよいよ2008-09シーズンのプレミアリーグが開幕した。我がユナイテッドはホームでニューカッスルと対戦した。昨シーズンは2試合合計で11得点、1失点と大差でダブルを達成したが、結果から言うと今回は1対1の引き分けに終わり白星スタートとはならなかった。先発及びベンチ入りメンバーを見ると、何となく苦戦しそうな予感はあった。足首の手術によって10月まで復帰できないロナウドを始め、ハーグリーブス、パクも怪我。ナニは昨シーズンの最終戦にレッドカードをもらい出場停止中であり、アンデルソンはオリンピックのために遠く離れた北京にいる。そして親戚の不幸により急遽テベスが母国へ帰るという不運もあった。そのため(今シーズンから2人増え7人になったことを考慮しても)ベンチ入りメンバーの顔ぶれは王者らしからぬものであった。それでも前半は大きな展開から自分達のペースで試合を運べていた。スコールズやキャリックから繰り出されるロングパスは受けての足元に寸分違わず通され、何度もサイドから決定機を演出していた。だがニューカッスルGKギブンの好セーブにことごとくシュートを阻まれ、フレッチャーの1得点しか挙げられなかった。後半に得点を奪えなかったのはキャリック、ギグスの怪我による途中交代が大きく響いていた。特にキャリックの持ち味である正確なロングパスが消えたことで、球の出所がスコールズ1人にほぼ絞られたことで彼のパス特有の意外性が一般化してしまい、相手から的を絞りやすくなってしまった。もちろん前線への飛び出しも同様で、どちらが飛び出すか分からなかったものが、スコールズさえ押さえておけばよいと相手に思われてしまったことで、攻撃が単調なものになってしまった。FW不在の中でルーニーとキャンベルの2トップはそれなりに動き、前半は何度か良い連携を見せていた。だがキャンベルはテベスでもロナウドでもなく、昨シーズンの破壊力をキャンベルに求めるのは無理な話である。さらに言えばコロッチーニが相手ではほとんどのFWが決定的な仕事をさせてもらえず、キャンベルも世界レベルを肌で痛感したことだろう。そうなるとルーニーに頼らざるを得ないのだが、中盤からはパスが出ず何度も下がることでゴールへの距離が遠くなり、ゴール前へ進出してもキャンベルとの微妙な連携のズレが徐々にフラストレーションを溜める悪循環に陥っているようであった。今回の試合がシーズン終盤の大切な時期であれば、かなり先は暗いように感じるだろう。だがそうではない。もちろん勝つに越したことはないが、負けなかったことのほうが大きい。怪我人の多さは心配なところだが、長くてロナウドの10月であり、ナニやアンデルソンのように偶然が重なった不在もある。昨シーズンの開幕戦もレディング相手に引き分け、その試合でルーニーが離脱したことを思えば、今シーズンと何ら大差はない。長く険しく、そして楽しみなシーズンがいよいよ始まった。ほな、また。
2008.08.19
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「このクラブは成功する」「希望に満ち溢れたクラブに貢献したい」移籍会見において移籍先のクラブをこのように褒めちぎる光景をよく目に、そして耳にする。そのたびに「それだけが理由か?」と狭い心のぼくとしては別の、そして唯一の理由を推測する。いよいよ本番を迎える08-09シーズンにおいて、しかしながら実際、未来への希望に満ち溢れ大きな成功を収めるのではないかと思われるクラブがある。アストンビラである。一時はユナイテッドのファーガソン監督の後継者になるのではと目された名将マーティン・オニールの指導の下、そしてオニールと時を同じくしてクラブの会長に就任したラーナー氏の豊富な資金を活かして獲得した若き才能溢れる選手達の活躍によって、昨シーズンは念願のヨーロッパへの出場権は獲得できなかったものの見事6位に入り、中堅クラブからの脱却を図りつつ今シーズン以降の更なる上位進出を目指し、移籍市場でも精力的な動きを見せた。アストンビラの弱点は守備にあるといえる。チーム得点数は71とユナイテッド(80)、アーセナル(74)に続く3位ながら、チーム失点数は51と辛うじてベスト10圏内に踏みとどまれるような数字であった。第19節のチェルシーのホームに乗り込んだ4対4という試合のように、良く言えばファンが興奮する派手な撃ち合い、悪く言えば雑な試合展開というのがこのクラブの昨シーズンの特徴であった。4得点以上が7試合もありながら4失点以上が3試合、完封もわずか9試合にしかすぎなかった。そして主に右サイドバックでレギュラーを張っていたメルベリがユベントスに移籍してしまったために、より一層の守備強化の必要性に迫られたのである。ここまでの移籍市場でアストンビラが獲得した選手はフリーデル、シドウェル、ショーリー、ヤング、クエジャルといずれもディフェンス、あるいはディフェンシブな選手ばかりである。フリーデルはブラックバーンでに長年在籍しておりプレミアの経験はもちろん、GKに必要な経験も申し分ない。そしてショーリー、ヤングは左右のSBとして元の所属先でも活躍しており、イングランド代表においてもGネビル、Aコールの後継者に一番近い能力を持つ逸材である。シドウェルはおそらくバリーの移籍問題に関連しての獲得が大きな理由を占めているだろうが、それでも一昨シーズンのウィガンの躍進はシドウェルなしには語れず、チェルシーと違い周囲からのプレッシャーが少ないアストンビラでは実力通りの力を発揮できることだろう。アストンビラには数シーズン前にも、今回と同じように未来に期待を抱かせた時期があった。ヘンドリー、ヒツルスベルガー、マッキャンなどを揃えた中盤の構成は若さという勢いも手伝って、魅惑溢れるチームへの進化を予見させた。だが、監督がオレアリーだったこと、そして当時会長の無能さによって結果を残すことは出来なかった。今回は違う。監督はオニールだ。そして前線にも若いが活きのいい役者が揃っている。守備陣に新戦力が多いためにもしかしたら序盤は躓く可能性もなくはない。だがそれも時間が解決するはずだ。懸案のバリー残留に成功すれば、アストンビラの未来は希望に満ち溢れたものになるであろう。ほな、また。
2008.08.14
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2シーズン連続の優勝を飾り、チャンピオンズリーグとのダブルも獲得した我がユナイテッド。昨シーズンを見る限り弱点らしい弱点はなく、他クラブが抱えるような補強ポイントも見当たらない。あえて言えば守備ライン及びGKの質の向上による層の厚さだろうが、それとて緊急を要するものではなく、少なくとも今シーズンに与える影響はない。それゆえだろうか。プレシーズンでファーガソンに好印象を与えたダ・シウバ兄弟以外に、これまでのところ主な新規獲得選手はない。移籍市場が開いているので断言は出来ないものの、このことについてファーガソンもこう答えている。「今シーズンは、昨シーズンと同じメンバーで戦い切れると思っている。 昨シーズンの補強により、我々は年齢的にもバランスの取れた陣容になった。 今シーズンも仕事を果たせる選手が揃っている」唯一と言ってもよい懸念材料であったロナウドの移籍問題も、当人同士の直接対話によってロナウド本人が残留を宣言し一段落したこともこのコメントに影響しているのだろう。もしくは噂の根強いフンテラールやベルバトフなどとの交渉がスムースに進んでいないこともあるのかもしれない。個人的にも昨シーズンの段階で補強の必要性はないと考えていたので、ファーガソンのコメントにはほぼ同感している。だが開幕を1週間後に控えた今では、少し補強が必要ではないかと考えている。それも昨シーズン見事な破壊力を見せた攻撃陣にである。ご存知の通り、残留宣言のロナウドはシーズンオフに足の手術を行ったために復帰は10月あたりと言われている。さらにはシーズンオフのナイジェリア遠征でルーニーがウイルス性疾患にかかってしまい、未だプレシーズンマッチにさえ出場していない。昨シーズンの開幕数試合も出場停止や怪我で両選手を欠いていたが、それは突発的な、シーズンが始まる段階では予想しえなかったことであって、今回の場合とは事情が違う。付け加えればナニが出場停止で、アンデルソンがオリンピック出場で開幕から1~数試合を欠場することが濃厚だ。そしてサハは相変わらずの怪我がちで、これまた全体練習にすら参加できていない始末。そうなると残された選手はテベスとギグスぐらいである。全員が遅くとも10月には戻ってくるわけだから我慢すればいいという考えもなくはない。だがユナイテッドはチャンピオンである。各クラブがユナイテッドに照準を合わせて戦いに挑んでくる。それらを打ち破るだけの破壊力を見せ付けることが絶対に出来るかといえば、自信を持ってイエスとはいえない。中堅クラブならまだしも名門ユナイテッドゆえの周囲のプレッシャーも考慮すれば例え1人でもビッグネームを獲得したほうがいいのではないかと考えてしまう。ただそれよりも気になるのは、ケイロスの後任をどうするかということである。ファーガソンの名参謀としてユナイテッドに貢献してきたケイロスだったが、このたびフェリペの後任としてポルトガル代表監督就任が決定した。母国の代表監督という名誉のために辞任を求めたケイロスを批判する気はない。むしろ応援する。だがこれまでのケイロスの貢献を考えると、ユナイテッドにとっては大きな打撃である。ロナウドがここまでの成長を見せたのも、ファーガソンだけでなく、同郷のケイロスの存在が多分にあったからであり、それはナニやアンデルソンも同じであろう。監督と選手とのパイプ役として、あるいは緩衝材的役割を果たしていたケイロスの後任は、今後のチームを作るうえでは大きな問題である。今のところ後任は決まっておらず、ファーガソンも焦らず熟考するようなコメントを出してはいるが、このままシーズンインしてしまうわけにもいかないのではないだろうか。噂では元フランス代表であり所属経験もあるブランが候補に挙がっているらしいが、彼のようなファーガソンの考えを熟知し、かつユナイテッドの歴史と伝統を知る人物の招聘が望ましく、速やかな決断が求められるのではないだろうか。ほな、また。
2008.08.09
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昨シーズンもまた期待を裏切ったニューカッスル。エレベータークラブに過ぎなかったアラダイスを招聘し、さらにはビドゥカやジェレミといったプレミア経験の豊富な代表クラスの選手をかき集めて臨んだシーズンは、これまでのシーズンに見慣れた光景の繰り返しだった。これまでにも何度か書いてきたはずだが、ニューカッスルに足りないものは何といっても継続性である。監督の首を場当たり的に付け替えていては、ようやく浸透しかけた戦術がリセットされるだけで後退こそあれ進歩はない。素人でさえ分かる問題点がフロントに分からないはずがない。にも関わらず目先の結果にこだわったチーム強化を行っている理由とは何なのだろうか。簡単にいえば、それは名門ゆえのプライドではないだろうか。映画「シーズンチケット」の舞台にもなったように、ニューカッスルはサンダーランドと同じくノースイーストに本拠を置き、ジョーディーと呼ばれる気候とは正反対の熱いファンに支えられている北の名門クラブである。ただタイトルとは疎遠で、1955年以降はリーグはおろかFA杯のタイトルさえ獲得していない。当然ながらプレミアのタイトルも同様であり、ジョーディー達は今か今かとタイトル獲得を待ち望んでいる。おそらくそれに最も近づいたのはロブソンに率いられた99年から2004年にかけてであろう。取られたら取り返せの精神で、常に攻撃的なサッカーでファンを魅了したロブソンとニューカッスルだったが、逆に言えば守備のお粗末さが仇となりタイトル獲得はならなかった。良くも悪くも印象的だったロブソン時代の終焉と同時に理想と現実の狭間で揺れ動き、どちらに振り切ることもなく行われた中途半端な強化策がチームに混乱を招き、ファンの失望も買うことになってしまっているのである。アラダイスの後を受けて1月から指揮を執るキーガンはイングランド代表監督の経験もあるなど経歴には申し分ない監督である。だが過去を振り返ると中堅クラブであったり下部リーグでの経歴は輝かしいが、ビッグクラブであったりトップリーグでのそれはあまり芳しくない。このことからおそらくはキーガンが戦術に優れているのではなく、若干レベルの劣る選手のモチベーションを最大限に引き上げて旋風を巻き起こす才能に長けた監督であると思われる。何とか残留を果たしたキーガンとニューカッスルだが、現在デポルティボのコロッチーニとアーセナルのセンデロスという2人の代表レベルにあるセンターバックの獲得の噂が挙がっている。攻撃陣にはタレントが揃っているものの守備陣に不安があるがゆえの策なのであろうが、その攻撃陣においても理想の組み合わせをついに見つけることが出来ずシーズンを終えた。さらに噂に挙がった守備陣の強化に成功したと仮定して、キーガンが彼らを上手く扱うことが出来るのか。選手個々のタレントだけを見ればビッグ4はともかくUEFA杯圏内は十分に狙えるだけのものを持っているだけに、あとはキーガンの手腕と結果が出なくてもファンの罵声に耐えるだけのフロントの我慢強さがニューカッスル躍進の鍵となる。ほな、また。
2008.08.05
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「問題はない」そう話すのは、アーセナルのヴェンゲル監督。「戦術が選手の名前で決まるとは思っていない。 クラブには優秀な若い選手がいる」確かに昨シーズンの開幕前もアンリが抜けたことで得点力不足が懸念され、優勝争いには割り込んではこないだろうといわれていたアーセナルだったが、いざシーズンが始まれば周囲の予想を大きく裏切りシーズン後半まで首位を快走した。アンリが抜けたことによりアデバイヨールの独り立ちが大きかったが、エドゥアルドの怪我が単純に戦力面だけでなく他選手への精神的な影響がシーズン終盤の失速の大きな要因となった。だが失速の要因はそれだけではない。やはり若い選手が多いことによる経験不足もその1つであった。そして今シーズン、その中でも経験豊富な部類に入るフラミニ(ミラン)、フレブ(バルセロナ)、Gシウバ(パナシナイコス)がクラブを離れた。さすがにヴェンゲルもその辺りは心配しているようで、「経験豊富な中盤の選手が獲得できるのであれば、それは必要だ」と語っている。これまでにアーセナルが獲得した主な選手はマルセイユからのナスリのみ。監督の言葉を借りれば「選手の名前では決まらない」がナスリもまだまだ若手の部類であり、経験豊富な選手ではない。それでもヴェンゲルの頭にチームに対するネガティブな印象はない。実現間近な移籍選手の存在があるのだろうか。それとも選手を信頼し自身の戦術・采配に絶対の自信があるのか。今シーズンの目標を問われたヴェンゲルはこう話した。「昨シーズンの改革の成果を見せるために、 昨シーズンより勝点14の上積みを狙っている」昨シーズンのアーセナルの勝点は83だった。優勝したユナイテッドが87だったので、仮に昨シーズンを例に挙げると、勝点14の上積みは独走での優勝を意味する。またこれまでのプレミアにおける最高勝点はモウリーニョ政権1年目におけるチェルシーの95。この数字を越えるのであれば13の上積みで十分である。ならば14という数字は一体どこから来るのか。おそらくは昨シーズンから今シーズンにかけての選手のプラスマイナスに自身の戦術の浸透度を考慮すればこれだけの勝点が稼げるという、やはりヴェンゲルの自信から来るものであろう。フラミニが去り、フレブが去った。去就が注目されていたアデバイヨールが契約延長にサインした一方で、ギャラスには移籍の噂が後を絶たない。それでもヴェンゲルには自信がある。周囲の心配をよそに昨シーズン、ヴェンゲルは見事に良い意味で予想を裏切った。その前例があるだけに、今シーズンのアーセナルも決して侮れないチームである。ほな、また。
2008.08.03
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