寝台に並んで積み上げた枕に背中を預け、朱雀の腕の中で百合枝が言った。 「愛とは決して後悔しない事・・ってご存知?」 「Love means never having to say you are sorry・・古い映画のラストシーンだ」 「ええ、親の反対を押し切って結婚したのに、奥さんが死んでしまうの」 「白血病だったかな」 百合枝は頷いた。 「病院に駆けつけたお父さんに彼が言うのよね、その言葉を」 百合枝の髪を撫でながら、朱雀は言った。 「ああ、そうだったね」 「私は後悔してもいいと思うの」 「ほう」 「未来の事は誰も分からないでしょう?愛さないで後悔する位なら、愛してから後悔したい」 朱雀は笑みを浮かべた。 「キミは強いのだね」 「そんな事はないわ。でも愛した事、それ自体は決して後悔しないわ・・貴方を」 「私もだ」 朱雀は百合枝を抱きしめた。