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「我々は今、難しい局面にある。我々全員が何らかの過ちを犯したためだ。最悪の過ちは、私が薬を携行しなかったことだ。この闘争はある種の機会を与えてくれている。最も崇高な類の人間である“革命家”になる機会を。また人間として最も純粋な形で成熟する機会を」「もう学ぶ年じゃない。坂を転げ落ちるなら落ちるまでさ」本作を手掛けたのは、スティーブン・ソダーバーグ監督である。デビュー作は「セックスと嘘とビデオテープ」で、いきなりカンヌのパルムドール賞を受賞した経歴のある奇才なのだ。ヒット作には「オーシャンズ」シリーズなどがあり、大衆娯楽映画に求められる心地良いテンポを生み出すことを得意としておられる監督だと思っていた。だがそんなソダーバーグ監督の2000年以降の作品には、娯楽映画から離れた実験的な試みが各所に感じられる。二部作構成になっているうちの後編である「チェ39歳別れの手紙」は、言わずと知れたチェ・ゲバラの晩年をドキュメンタリータッチで表現している。1965年3月、夕食を済ましたチェ・ゲバラはその後、消息不明となる。ゲバラの行方を尋ねる民衆の世論が高まる中、返答に窮したカストロは、キューバ共産党中央委員会の場でゲバラがカストロ宛てに書いた手紙を読み上げることにした。そこで分かったのは、なんとゲバラは再び革命の旅に出るため、キューバを去るとのことであった。1966年11月にボリビアに入国したゲバラが目にしたもの、それは軍事独裁政権のもと、圧政と貧困に喘ぐ農民の姿であった。前作ではキューバ革命を成功させるまでを描いたストーリー展開のためか、ゲバラを中心としたその仲間の内に秘めた情熱・パワーが炸裂していくプロセスが非常に印象的だった。一方、本作ではブレないゲバラの信念だけが浮いて見えてしまうほど、周囲の兵士たちの士気の弱さ。あるいはキューバ革命の時とは状況が一変していることの危機感が見て取れた。余談だが、マット・デイモンがほんのチョイ役で出演している。ちゃんと見ていないと見逃してしまいそうなぐらい、一言二言のセリフでの出演だ。本作は、チェ・ゲバラの半生を知る上で、実に有益な資料となり得る作品なのだ。2009年公開【監督】スティーブン・ソダーバーグ【出演】ベニチオ・デル・トロまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.29
「年はいくつだ?」「分からない。数えてない」「おれは47だ。今年で47歳。何の力でここまで生きられたか・・・恐怖だよ。恐怖で血の凍る場面。おれから盗む者は手を、おれを怒らせた者はその舌を、逆らう者は首をはね、それを杭に突き刺した。見せしめのため高い杭にね。それで物事が収まる」冒頭から終幕までわずかな隙さえ感じさせない作品というのは、なかなかお目にかかれない。アメリカの成り立ちという壮大なテーマをフィルムに刻み付けた「ギャング・オブ・ニューヨーク」は、その歴史的混沌ぶりを見事に表現している。一体この映画は誰がメガホンを取ったのだろうと思いきや、巨匠マーティン・スコセッシ監督であった。スコセッシ監督と言えば、カトリック信仰のイメージが付きまとう。「最後の誘惑」もそうだし、「ケープ・フィアー」もそうだ。もしかしたらスコセッシ監督の中に神に対する贖罪の気持ちがあるのかもしれない。人間が人間として生きていることで、すでにそれは罪なのだという意識。そういう潜在意識から生まれた数々の作品は、どれも残酷な暴力描写と鮮烈な人間ドラマ、そして精神世界である。19世紀のニューヨークが舞台。アイルランド人移民がネイティブ・アメリカンズとファイブ・ポインツの居住権をめぐっての抗争が勃発。1846年、ついに戦いの火蓋は切られる。アイルランド人移民らは、“デッド・ラビッツ”という組織を結成し、ネイティブ・アメリカンズと熾烈な争いをくり広げる。結局、デッド・ラビッツのリーダーであり神父でもあったヴァロンが倒されたことで、ネイティブ・アメリカンズの勝利に終わる。ヴァロンにはアムステルダムという息子がいたが、少年院に収容されてしまうのだった。 非常にパワフルで高品質の作品を次々と発表して来たスコセッシ監督の中で、「ギャング・オブ・ニューヨーク」は若干物足りなさを感じてしまう視聴者もおられたかもしれない。だが、アメリカの建国に至る歴史的テーマを取り上げたこと自体、非常に繊細で難しい取り組みであったのだ。吟遊映人は、この伝統的ヒューマンドラマをスコセッシ流の演出で見事に完成させている点を、心から評価したい。とても魅力的で鮮やかな作品なのだ。2002年公開【監督】マーティン・スコセッシ【出演】レオナルド・ディカプリオ、キャメロン・ディアス、ダニエル・デイ=ルイスまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.27
『松岡先生へ。先生たちのおかげで町のみんなも元気を取り戻しました。栄子先生が命をかけたあの治療法は、日本中で多くの人を助けたのに確証がないから今も研究中だそうですね。でも私には栄子先生の勇気が私たちの命を繋ぎとめてくれたように思えます。先生や皆さんには本当に感謝しています。(中略)先生が教えてくれたあの言葉を思い出します。』残暑お見舞い申し上げます。沖縄ではこの真夏にインフルエンザが爆発的な流行をみせているとのこと。しかもその9割が新型インフルエンザというではないか!通常インフルエンザなるものは冬場に流行する感染症であって、夏に猛威をふるうって一体・・・?!単なる風邪の一種などと侮れないところまで来ているのだ。本作「感染列島」は、まるでリアルタイムで起こっている現状を予測したかのような、全国を震撼させたパニック映画なのだ。ある日いずみ野市立病院に発熱を訴える患者が訪れる。診察に当たったのは救急救命医の松岡剛であったが、風邪の症状と見受けられたため通常の風邪薬を処方し、念のためのインフルエンザ簡易検査を施した。ところが翌日、患者の容態が急変。人類が経験したことのないウィルスに感染していることが発覚。新型インフルエンザではないかと各地で大騒ぎになる。またたく間に日本中に感染が広がる中、WHOから小林栄子が派遣されて来るのだった。 映画の影響力の凄さは、なんと言っても視聴者に与える恐怖感、それにリアリティーであろう。結果としてそれが観客の共感を呼び、社会性を帯びた作品として評価されるのである。 実際問題として、「感染列島」にあるようなパニックの一つ手前ぐらいまでは起きている。報道こそされていないが、水面下では新型インフルエンザに感染してしまったことでイジメの対象になった児童・学生が存在するのではなかろうか。そういう社会問題全てをひっくるめて、我々は近い将来起こりうる現象・事象を想定して、これからをたくましく生き抜いていかねばならないのだ。本作は、危機感の欠如した現代日本人に、一石を投じる役割を担うものであった。2009年公開【監督】瀬々敬久【出演】妻夫木聡、檀れいまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.23
「あなたの協力がないと家族の命が危ない。なぜ病院にあった鏡は執拗なまでにあなたの行方を捜すんだ? ・・・お願いだ、(あなたの)助けがないとこの世で一番大切な家族を失ってしまう」「お掛けになって。鏡はただ世界を映しているだけ。私を捜しているのは鏡ではなく・・・鏡に閉じ込められているもの」やっぱり夏はコレでなくちゃ、うん。ドラキュラに狼男、ジェイソンからゾンビまで海外のモンスターは確かにコワイし気持ちワルイ。だが、なんと言うのか“見せる恐怖”にはホラーとしての限界があるような気がするのだ。その点、本作「ミラーズ」は東洋的なホラーのニオイがそこかしこからプンプン漂う。 “何だかわからないが、目に見えない何かが自分に襲ってくる”的な恐怖・・・これこそが“見えない恐怖”としての圧倒的な演出である。吟遊映人がオススメするホラー映画としては、願ったり叶ったりの作品がこの「ミラーズ」なのだ。元N.Y.市警のベンは、誤って同僚を射殺して以来、情緒不安定な日々を送る。アルコール依存症のせいで、愛する家族とも別居を強いられ、妹のアパートで居候生活を余儀なくされる。社会復帰のために夜警の仕事に再就職をしたところ、巡回するのは火災で廃墟となったデパートであった。内部は荒れ放題であったが、何故か鏡だけは傷一つない。不思議に思ったベンは・・・。主役のキーファー・サザーランドは久しぶりに見たが、ますますワルな持ち味に磨きがかけられているようだ。なにしろ出世作の「スタンド・バイ・ミー」では、不良グループの番長役で、とてもじゃないが演出とは思えない自然体の演技であったからだ。そんなキーファー・サザーランドも、長い年月をかけてこれほど切ない役柄を演じるようになった。「ミラーズ」のラストでは(視聴者各人の受け取り方があるだろうが)、すでに自分が死んでいることも理解できず、街をさまよう霊となって現れる。やがてそれは社会を映し出す鏡の一部となって存在する・・・というくだりである。この時の、納得のいかない表情を浮かべるキーファー・サザーランドの熱演ぶりはすばらしい。正に、ホラー映画としては一級品に入るのではなかろうか。2008年公開【監督】アレクサンドル・アジャ【出演】キーファー・サザーランドまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.21
「お前が未来だと思ってた。(だが)違ったよ。この私こそ未来だ」「アハハハ・・・! いいえ、あんたはただのゲス野郎よ。お互いここで死ぬ」もともとはゲームの中で展開された物語だと言うが、すっかり原案を越えた映画の様相を取っている。しかも日本のプレイステーション用ゲームが、ここまでアメリカ的“見せる恐怖”に発展しようとは思いもしなかった。さらに驚くべきは、単なるゲームとは侮れない大衆への影響力。そこから派生するストーリー、音楽などは、もはや若者を中心にしっかりと市民権を得ているのだ。本作「バイオハザード3」は、前作の続編であり完結編でもあるが、何がすごいのってとにかく行く場所行く場所に現れるゾンビの群れと、ヒッチコック作品の「鳥」を彷彿とさせるカラスの大群である。死にもの狂いで生き延びようとする人類は必死に抵抗するが、それでも死傷者は後を絶たないのだ。ラクーンシティのみのT-ウィルス汚染であったが、結局その威力の前に人類は無力で、全世界へと蔓延してしまう。事件の発端であるアンブレラ社も地下深くに潜み、ゾンビに対する血清などの研究を続けてはいるものの、失敗に終わっていた。一方、特殊な抗体を持つアリスは砂漠化した各地を転々としながら一人旅を続けていた。 そんな中、バイクに給油するために立ち寄ったガソリンスタンドで誰かが書き残したノートを見つける。そこには、入念な調査とアラスカが安全であるとの記載があるのだった。「バイオハザード」シリーズでは、とにかく映像と編集のテクニックによって生み出される緊張や恐怖を堪能して欲しい。そして、アリス役のミラ・ジョヴォヴィッチの迷わず抹殺していく戦闘シーンを楽しんでもらいたい。現実社会では適わぬ殺人も、「バイオハザード」の中ではそれこそが生き延びるための最終手段として表現されているからだ。正に、ゲーム感覚で楽しめるアクション・ホラーなのだ。2007年公開【監督】ラッセル・マルケイ【出演】ミラ・ジョヴォヴィッチまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.17
「殺せ! 止めを刺せ!」「イヤ! ・・・イヤよ!」「自分の価値を知れ。彼は怪物だが君は細胞にT-ウィルスを取り込み、適応し、変化させた。君は正に奇跡だ」「私も怪物よ」「いいや、変異ではなく、進化だ」ここのところ妙に女性が活躍する作品ばかり観ているような気がする。泣いたりすねたり甘えたり・・・の女々しさは微塵も感じられない。汚染された街から一刻も早く脱出しようとする勇敢なヒロインを中心としたホラー作品なのだ。それにしても前作に続き、女優ミラ・ジョヴォヴィッチの涼しげな表情と澄ました物腰はどうだ!何事にも動じない強靭な精神力、そして超人的な肉体。こんな見事な武器があれば、どんな怪物が現れようと彼女の鉄拳で一撃に違いない。ラクーンシティにあるアンブレラ社の地下秘密研究所“ハイブ”において、バイオハザード事故が発生して以来、街中はゾンビの群れで壊滅状態に陥っていた。一方、問題のT-ウィルスを開発したアシュフォード博士は、その身柄をアンブレラ社のもとに半ば拘束されるような形となる。だが博士はたった一人の愛娘であるアンジェラを救い出そうとしていた。アンジェラはアンブレラ社によって小学校から連れ出されたものの、その途中で交通事故に遭い行方知れずになっていたのだった。身動きの取れない博士は、何とかして娘を助けようと街に生存する者にコンタクトを取ろうとするのだった。本作は、前作よりさらにストーリーがドラマチックになっていて、単なるホラー映画とは一線を画している。俊敏で賢いはずのドーベルマンもゾンビ化することで単なる肉食獣と化し、手に負えない動物として描かれている。また、前作の登場人物であるマットに人の手が加えられ、生物兵器となってしまったネメシスは、醜い容姿や図体の大きさとは裏腹に知性を兼ね備えた殺人マシーンという設定になっている。このような緻密なキャラクターセッティングや、T-ウィルス感染の異常なまでの速さなどは、我々視聴者に恐怖心を煽る上で大きな役割を果たしている。ホラー映画として非常に完成度の高い作品なのだ。2004年公開【監督】アレクサンダー・ウィット【出演】ミラ・ジョヴォヴィッチ また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.15
「別れがつらいぜ」「(あんたの)カレシはクソッタレだね」「ロックを撃ちやがった。クソ野郎が逃げおおせるとは」「(コンピューターの声)それはムリね。私っていけない子なの」こういう作品をチョイスした時点で、「ああ、夏が来た」と実感する。もちろん冬に観るのがマズイわけではない。だが、ドキドキハラハラ時折背筋がゾーッという案配の作品は“涼”を求める夏には持って来いのような気がするのだ。吟遊映人が気に入っているのは、なにも映画のジャンルうんぬんだけではない。主人公アリス役のミラ・ジョヴォヴィッチの非情な美しさとでも言うのか、とにかく媚びない容姿、スタイルがこの作品にぴったりとハマっている点だ。出世作でもある「ジャンヌ・ダルク」を勇ましく、格好良く、そして神々しく演じたあのミラ・ジョヴォヴィッチが本作でも健在なのだ。次々と襲い掛かる悪夢のようなゾンビたちを、表情一つ変えずに打ちのめしていく姿は、正に「ジャンヌ・ダルク」そのものである。アンブレラ社は表向きは家庭用医薬品メーカーで、アメリカではナンバー1を誇る大企業である。しかし実際にはウィルスや細菌兵器の開発による暴利を貪っていた。ある日、ラクーンシティにあるアンブレラ社の秘密地下研究所“ハイブ”において事故が発生。この事故によりハイブ内の所員は全員死亡。事故の原因は研究中のT-ウィルスが何らかの要因で漏れ出し、ハイブ内にウィルスが蔓延したことによるものであった。このため、アンブレラ社の本部は急遽ハイブの制御コンピューターである“レッドクイーン”をシャットダウンさせるべく、特殊部隊を派遣した。アメリカンホラー映画は、やっぱり何と言っても“見せる恐怖”であろう。顔がグチャグチャ。指が破損、欠損。あるいは身体がさいの目状に切断など、こういう豪快なスプラッターものは、ある意味博打だ。下手をすればすぐにそれが作り物であるとか、細工されていることがバレバレだからだ。 しかし、アメリカはやっぱりスゴイ。特殊メイクを施すのはお手の物なのだ。おかしな言い方かもしれないが、安心して(?)楽しむことのできるホラー映画、それがこの「バイオハザード」である。2002年公開【監督】ポール・W・S・アンダーソン出演】ミラ・ジョヴォヴィッチまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.12
「風のごとく疾く、林のごとく徐かに。火のごとく侵し、山のごとく動かず」「戦の嫌いなお前が兵法を?」「あなたを理解したくて“孫子”を読んだのです」Part2で重要な鍵となるのが、やはり何と言っても影で支える女性の力であろう。 驚愕したのは、孫権の妹・尚香の活躍である。いくらじゃじゃ馬で世に知られた姫君とは言え、敵陣である曹操軍の一兵士として潜入し、間者の役割を果たすのだ。一方、絶世の美女と称された周瑜の妻小喬は、身重の体でありながら無益な戦をやめさせるべく単身で曹操のもとに行く。この2人の女性の、男顔負けの勇ましさたるやどうだ!乱世に身を投じ、誰よりも正々堂々とした生き様を見せつけるのだ。本作「レッドクリフ」は、言わずと知れた中国の歴史書である「三国志」をモチーフとしている。中でも“赤壁の戦い”のくだりがベースとなっているのだが、周瑜と孔明の知恵比べというよりは、一人一人ができ得る限りの力で戦いの一端を担った、というのがテーマとなっているようだ。ストーリーに関しては、孫権軍と劉備軍の弱小同盟軍が、大軍を率いる曹操をいかにして討伐するのか、そのプロセスを描いている。吟遊映人が個人的に気に入っているシーンがいくつかあるものの、特にここは注目して欲しいと思うところがある。それはやはり、砂塵の舞う中、騎馬隊が押し寄せそれに応戦し、長槍を自在に操り、躍動感に溢れた戦闘をくり広げる場面である。乾いた大地に血しぶきが上がり、国をかけて闘う兵士たちの呻き声、怒り、鮮やかな騎馬戦に、もはや演技であることを忘れてしまうほどなのだ。そしてさらにクライマックス、2000隻の船が激しい炎に包まれ、長江の泡と消えてゆくシーン。それはもう敵も味方もなく、凄惨な死闘なのであるが、ある意味潔さを思わせるほどの気高い魂を感じるのだ。我々が「レッドクリフ」を観る時、雄大な歴史の重さを感じるのと同時に、一人一人が小さな力を併せ持った時の強大さ、その絆に気付かなければならない。2009年公開【監督】ジョン・ウー【出演】トニー・レオン、金城武また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.09
「(もしもし交換手か)国防総省へ緊急通話だ! 分かるか? 国防総省へ・・・」(激しい銃撃戦が続く)「カードはない!」「怒鳴ってもすぐにはつながりません。はっきりしゃべって下さい」「戦争の真っ最中なんだぞ!・・・カードが必要なのか。おい、財布あるか?!」「(マシンガンを撃ちながら)ポケットだ!」「どの(ポケット)?!」「後ろのポケットだ!」「10個もあるぞ!」「左の尻っぺただ! 左の尻(のポケット)!」「VISAの・・・」「国際通話優待サービスを(ご利用になりますか)?」「そんなの必要ない!」アニメの実写化というのは、非常に難しい。視聴者側にはアニメの中でくり広げられる世界観がしっかりとインプットされているし、製作者側が必死で追求したリアリティー性もケチをつけられたりで、なかなか両者の需要と供給はバランスが取りにくいというのが現状である。ところが本作「トランスフォーマー」は、大成功を遂げている。マイケル・ベイ監督の手腕によるところが大きいのかもしれないが、非常に完成度の高い作品となっている。車がみるみるうちに精巧なロボットに形を変えていくシーンなど、繊細で滑らかでしかも美しいのだ。高度なCG技術が駆使されていることは間違いないが、物凄い臨場感である。さらに、おざなりになりがちなストーリーも、しっかりとした組み立てによるもので、エイリアンとの共存・共生を謳っているかのような壮大なテーマを思わせる。ところどころに散りばめられた愉快なハプニングも視聴者を飽きさせないし、シリアス路線に固定されない遊びの部分が実に上手く生きている。中東カタールのアメリカ空軍基地に、謎の軍用ヘリが着陸。その軍用ヘリは突如としてロボットに変形し、基地を攻撃、大打撃を与える。さらには、未確認のエイリアンが内部に入り込み、アメリカ国家機密データをハッキングする。一方、ロサンゼルスに在住の16歳のサムは、免許を取得して初めて中古車を購入。ところが深夜その車がガレージから動き出し、サムは窃盗犯の仕業だと思い込んで自転車で急ぎ追いかける。その後、車がロボットに変形するところを目撃し、自分の車には意思があり、それそのものが生きた存在であることを知るのだった。誰もがお気付きのように、カタールの空軍基地を勇壮に歩く兵士たち、あの描写は正に「アルマゲドン」を髣髴とさせ、マイケル・ベイ監督の十八番と言っても過言ではない。また、意思を持った車が主人公を執拗に追いかけ、つけ狙うシーンなど、スピルバーグ監督作品の「激突!」へのオマージュなのではなかろうか。本作「トランスフォーマー」は、素晴らしいSFアクション映画として吟遊映人おすすめの一作なのだ。2007年公開【監督】マイケル・ベイ【出演】シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックスまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.07
「5年ぶりだねぇ。雨の中を長野の連隊まで送って行った日のことを忘れはしません。・・・佐清! 生きていたのになぜ早く帰って来てくれなかったんです!」「自分の失敗で部隊を全滅させてしまった僕は・・・とても日本に帰る気持ちにはなれなかった」「あたしは博多の軍港でお前恋しさのあまり、とんでもない誤りを犯してしまったんです・・・!」映画人の中には「やっぱり映画は洋画だよ」とか「ハリウッドはサイコーだよ」などと言う人がいる。ごもっともである。吟遊映人もそういうご意見に賛成だ。だが一方で、邦画も大好きなのだ。邦画と言うと、今度は「黒澤作品が一番」などと言われそうだが、他にも名だたる監督はたくさんおられる。吟遊映人は、中でも市川崑監督に惚れ込んでいる。市川作品にはユーモアがあり、ドラマがあり、そしてアートがある。本作「犬神家の一族」は、1976年にも公開されたリメイク版だが、何一つ色褪せることのないミステリー映画として完成されている。出演者は若干変わっているが、主役の石坂浩二は健在だし、個性的でインパクトのある刑事役の加藤武もおなじみである。さすがに30年という時の流れは隠しおおせないが、演技の面では使い込んだアンティーク家具のような、美しく滑らかな心地良さを感じるのだ。戦後間もなく信州の大財閥、犬神家の当主、犬神佐兵衛が逝去した。佐兵衛が遺した莫大な遺産をどのような形で分配されるのかが争点であったが、犬神家の顧問弁護士を務める古舘の助手若林が金田一耕助に調査依頼の手紙を出していた。内容は、「近頃、犬神家に容易ならざる事態が起こりそうなので調査して欲しい」とのことだった。手紙を受け取った金田一は、依頼どおりに那須を訪れたのだが・・・。’76版で犬神松子役を演じた高峰三枝子は’06版で富司純子に。野々宮珠世を演じた島田陽子は松嶋菜々子に変わった。それぞれに味わいがあり美しさがあり、そして女優魂を感じさせる気迫があった。新旧、甲乙つけがたく、鑑賞した者の微妙な好みの差で変わるぐらいの、どちらも完成度の高いものなのだ。市川作品には、他にも「悪魔の手鞠唄」や「獄門島」など金田一耕助シリーズは数多く手掛けている。そんな中、ラストシーンに金田一耕助のアップが起用されているのは本作のみではなかろうか?それはまるで市川監督がスクリーンを通して、金田一耕助という名探偵に長年の功績を称え「ありがとう、お疲れさん」と、声をかけているようにも感じられた。そして、本作の公開からわずか2年後、市川監督はこの世を去ったのである。市川監督のご冥福を慎んでお祈り申し上げます。2006年公開【監督】市川崑【出演】石坂浩二、松嶋菜々子、富司純子また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.04
「時は誰にも非常だ。病気の人間、空腹な者、酒に酔った者、ロシア人、アメリカ人、火星人・・・。時は炎のように我々を滅ぼすか、温めてくれる。我々は時間に縛られて生きている。時に背を向けたり時の観念を忘れることは、この商売では大罪だ!」黒澤明監督のもとで修業を積んだ木村大作監督のポジションにも似て、スピルバーグ監督のもとでエンターテイメントを追求した映画作りを学んだロバート・ゼメキス監督が手掛けた作品、それが本作「キャスト・アウェイ」である。この作品はズバリ、時間がテーマとなっている。運送会社の管理職として時間に追われながら生きていた主人公が、飛行機の墜落事故のせいで無人島に漂着。職業柄、気にせずにはいられない時間の概念も、腕時計はおろか恋人からプレゼントされた懐中時計も壊れてしまって役には立たない。(だが恋人の写真が貼ってあるため大切にしている)そんな主人公が4年後に好機を得て、どうにか脱出を果たすことになるのだが、その4年という失われた時間をどうやって取り戻していくのか、あるいは自分の置かれた境遇をどうやって受け入れていくのかを、ゼメキス監督は実に見事に表現している。運送会社のフェデックスの管理職として時間に追われながら働くチャック・ノーランド。 ロシアではサービス業という職種に希薄な社員たちに、運送業としていかに荷物を迅速に運ぶかを激励する。忙殺される日々の中、帰国しても婚約者のケリーとはろくに2人の時間を持つこともままならない。ある日、チャックは自社の貨物機に同乗したところ、悪天候のため飛行機が太平洋上に墜落。奇跡的に助かったものの、漂着したのは南太平洋の無人島であった。無人島では限られた時間の中、火を起こすことから始まって、飲み水の確保、食糧調達など大変な思いをして日々を暮らしていたが、一たび帰国を果たし、親しい友人知人らが歓迎パーティーを開いてくれたところ、贅沢な料理がテーブルいっぱいに並んでいる。そのギャップに複雑な表情を浮かべるトム・ハンクスの演技に注目してほしい。さらに、無人島で最後まで開けられなかった小包を、己のけじめとして先方に届ける。 あいにく不在のため玄関先にメモを残して帰路につくが、さてどこへ行こう・・・長くどこまでも続く岐路に佇む。ラストは、期待と不安の入り混じった笑顔を浮かべるトム・ハンクスなのだが、こういう細部の演技にも余念がなく安心して観ていられる。時間に追われるのではなく、時間を受け入れていく姿勢を描いたこの作品は、実に格調高く、ゼメキス監督の映画人としての資質を多いに発揮させることに成功しているのだ。2000年(米)、2001年(日)公開【監督】ロバート・ゼメキス【出演】トム・ハンクスまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.08.01
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