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2014.05.22
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【さらば、ベルリン】
20130414

「なぜ彼は私を追わなかったのか? 恐れたのよ。本気で私が彼を撃つと思って・・・タリーと同じように殺されると思ったのよ。男は皆、自分の腕の中で泣く女が好き。でも私は泣かない冷酷な女になってしまった・・・」

1945年という時代設定のためか、全編モノクロの撮影だ。
そのせいか、登場人物の誰もが暗く、影を落としていて、謎めいている。
監督はあのスティーヴン・ソダーバーグだが、この人は本当にチャレンジャーだなぁとつくづく思う。
そもそもこの作品『さらば、ベルリン』は、『カサブランカ』へのオマージュだと思われるが、あれほどの名作を意識しての映画製作は、どれほどのプレッシャーだったか、想像を絶する。
『カサブランカ』と言えば、ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンというゴールデン・コンビネーションが、全米を涙・涙のナイアガラにさせた超一流の名作である。
一方、『さらば、ベルリン』においても、ジョージ・クルーニーとケイト・ブランシェットという演技派を揃えたものの、存在感という点においてだけでも『カサブランカ』にはとうてい及ぶものではない。
とはいえ、第二次世界大戦時の混沌とした世相と、規制と弾圧にもがいた時代背景を知らない我々には、充分雰囲気の伝わって来る出来映えとなっている。
『カサブランカ』を意識せず、『さらば、ベルリン』単独に鑑賞するならば、私たちの心の琴線に触れずにはいられない哀愁を帯びた作品だ。

舞台は1945年のベルリン。

空港からジープに乗ってホテルへ行くことにするのだが、ジープの運転手は気立ての良さそうな青年タリー伍長だった。
ところがこの人物はしたたかで、こっそりジェイクの身分証と財布を盗み、油断のならない男だった。また、金のためなら誰でも裏切り、寝返るという性根の腐り果てた人物だった。
とはいえ、ジェイクはタリーが裏で何をやろうと無関心だったが、タリーの情婦が、なんとジェイクの昔の恋人であることが分かり、尋常ではいられなくなる。
ジェイクの昔の恋人・レーナは、今や売春婦となり、その日のパンにも事欠くような荒れた生活に身を落としていた。
ジェイクの記憶に残るレーナとは、とうてい同一人とは思えないほどの変わりようで、ジェイクは愕然とする。
しかしそれは異常なことではない。敗戦国であるドイツのベルリンで、生き延びるためには金や権力のためにどんな裏切り行為でも、屈辱的なことでも甘んじなければならなかった。
残虐極まりない戦争は、人間性すら容赦なく変えてしまうものだった。

古風な美しさで魅了するケイト・ブランシェットは良かった。
影のある売春婦というのはなかなか難しい役どころだと思うが、揺れる心情がモノクロの画面からひしひしと伝わって来た。
また、タリー伍長役のトビー・マグワイアも、一見、好青年を装いながらも、影では見下げ果てた金の盲者というギャップを、上手に演じていたと思う。
全体的には、可もなく不可もなくと言ったところだ。変り種が好きな人におすすめかも。


【監督】スティーヴン・ソダーバーグ
【出演】ジョージ・クルーニー、ケイト・ブランシェット

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.05.22 05:59:35
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ベルリン(05/22)  
映画「風の電話」に、上記の内容について記載しました。



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