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2012.06.08
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アメリカではファンドレイジング、いわゆる「資金集め」が盛んである。

その最たるものは、大統領選の資金集めなのだろうが、そこまでの規模に至らなくても、ご近所界隈のレベルで、あちこちで行われている。

ただ単に募金箱にお金を集めるのではなく、何かしらのイベントと抱き合わせになっている場合が多いのが特徴で、よくあるのは、「○○ウォーク (WALK)」と呼ばれる、皆で集まってある場所から場所まで歩くというイベントである。
たとえば、ダウン症の男の子を持つ親戚は毎年、こちらに参加している。
http://www.buddywalk.org/
このウェブサイト上に参加者が各自ページを持つことができ、自分の募金の目標額を提示する。そして、ページのリンクを貼ったEメールのメッセージを、めぼしい人に対し、メッセージとともに一斉に送信する。そうすると、このメッセージを読んで募金をしたいと思った人は、このリンクからページにアクセスしてオンラインで募金が出来るという仕組みになっている。この規模のイベントでは、だいたい同じような仕組みが出来ている。

そこまで行かない個人単位の場合は、もう少しアナログな仕組みで実施される。

たとえば、先日、アレックスが通うプリスクールで行われた、「プリスクールにエアコンを設置しようキャンペーン」。このプリスクールは、去年の9月半ば過ぎに地元の親達で場所を借りて一から作ってオープンしたので、エアコンがまだなくて、これから本格的な夏を迎える前にぜひ設置しようとのことで始まったキャンペーンである。寄付最終日までに、園児の各家庭が目標額以上を達成し、最終日にパーティーをやって最終金額を発表するというイベント付き。

目標額は1家庭150ドル。これを25ドルずつ6名募れば目標額達成!という目安も示されている。このことから、募金の相場は25ドルなのかな、と思う。まあ、もっとお金持ちの地域なら違うのかもしれないが。


しばらく反応がなかったのだが、そのうちの一人が、私だけにだけでなく誤まって全員宛に返信したのがきっかけになって、私も、僕も、となって、瞬く間に150ドルを達成。オンラインで募金できなければ、だいたいが小切手で送ってくるのだが、催促しないと忘れてしまったり、小切手の宛先が間違っていたりと、いろいろ面倒なことが生じるのは困るが、それでも何とか間に合った。

募金期限の最終日、園児の一人の自宅の庭を開放して行われたパーティーには、多くの家庭が各自飲み物を持ち寄り、1時間、子供たちが音楽に合わせて踊りまくり、盛り上がったところで募金額を高らかにアナウンス。何と、3500ドルほどが集まった。これで、エアコン本体と工事費が賄える予定である。

これが終わった、やれやれと思ったら、今度はルナの小学校の5キロマラソンである。
とある日曜日の午前中に、地元の公園が会場となって行われた。

目的は、学校の課外活動資金集めである。
マラソンランナーは25ドルの参加費を払い、それがそのまま募金額となる(実際はTシャツ代、水やスナックなどの経費が引かれるのだろうが)。これにも専用のウェブサイトが用意され、申し込み、参加費納入ともにオンラインでの手続きが可能。もちろん、参加せずに寄付だけすることもできる。

本マラソンの前に、子供たちだけのミニマラソンがあった。担当の先生に引導され、子供たちもTシャツにゼッケンをつけて公園の周りを元気に一周。アレックスは参加費を払っていなかったのでTシャツもゼッケンももらえずに非常に機嫌が悪くなっていたのだが、とりあえずTシャツだけはもらうことが出来て、私が紙切れで即席ゼッケンも作り(4歳の「4」をつけて、本人、大満足)、一緒に参加。最初は他の子供たちに圧倒されて泣き出してしまったが、パパに抱っこしてもらって走り、最後は自力で走ってフィニッシュした。

いよいよ大人向けの本マラソンになると、いったいどこからやって来たのだろう?と思われるような、いかにもマラソン選手です!という体つきの人たちが集まって来て、恐らく学校と地元関係者だけだろうと思っていた私達はビックリ。75名あまりが参加したこのマラソン、1位は17分台でゴール。参加した夫は27分台で31位。年齢グループでは1位(そもそも、男性で夫の年齢層で参加したのは1名のみなので、何分でゴールしても1位なのだが 笑)。週に2回、職場までの道のりを地道に走っているとは言え、決して若くはないので、大健闘と言えよう。

これをきっかけに目に入って来るようになったのだが、5キロマラソンというのはファンドレイジングのイベントとしては良く使われているものらしい。公式記録も測ってくれるし、日ごろランニングをしている人にとっては励みにもなるし、他のランナーとの交流というプラス面もあるのだろう。結構、「地元の5K荒らし」なんて呼ばれている人がいるのかもしれない(笑)。

ルナはゴールした人たちのゼッケン番号を担当係の人に大声で知らせるという役を勝手に仰せつかり(いかにもやりそうなこった 笑)、表彰式では1位となったパパに嬉しそうにメダルを渡し、マラソンの後に行われたヨガのクラスに参加して先生に褒められ、楽しそうに過ごしていた。

park fun run
(受付会場となった公園は、ボストンのビル群が見渡せる美しい場所。子供たちはマラソン参加と引き換えにもらったTシャツを着ている。背中には地元スポンサー各社のロゴが)



アレックスの幼稚園のような私立の学校ならともかく、公立の小学校が、こうしていちいちイベントをやって、遠足などの課外活動や施設の修繕のための資金を集めなければならない現状は憂うべきことだろう。アメリカはもっと学校の公教育のために資金を使うべきだとは思う。でも、そうした現状の改善を指をくわえて待っているだけでは何も始まらない。そして、どうせ行動するのなら、楽しいことをやる。そして、無理のない範囲で時間とお金を提供する。興味がなければ、スルーすれば良い。そういった、各自のスタンスは気持ちよいほど明確だ。確かに、スタンスを明確にしておかないと、要するに、自分の境界線みたいなものはきっちり守らないと、他人のためにはなっても、極端な話、自分の生活を脅かされることになりかねない。

今日は、地元の別の公立の小学校で、入口で5ドル払えば、各家庭が持ち寄ったお国自慢の料理を食べることができるというイベントが行われる。募金額は、やはり、遠足や図画工作の授業のプログラムの支援に使われるとのこと。ちょうど用事がある時間帯なので参加することは出来ないが、このイベントの告知をFacebookにアップしてくれたお父さんは、この前のルナの小学校のマラソンイベントにも参加してくれたし、とりあえず入口で寄付だけでもして来ようかな、と思う。

あくまで、無理のない範囲で。







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最終更新日  2014.10.15 11:52:47
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