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「――ママが、泣いたの。」「えっ?」途中で止まり、振り返る。「ママが泣いてるの。 ・・・先生に抱きしめられて。」“ボクちゃん――。”「・・・とにかく、上にあがって。」夏恋が話したがっている。早く話して楽になりたがっている。あたしと恋相棒の2人だけの生活には充分な、小さなちゃぶ台の前に、座布団も敷かずに正座する。20分という制限された時間なので、お茶も出さず夏恋の隣に腰を下ろす。「――うん、どうした?」できるだけ、優しく柔らかい口調で問う。「・・・ママがパパの事で泣いたの。 ・・・すごくすごく泣いたの。 そしたら先生、ママの事抱きしめて・・・。 でもママ、先生の事ぶったのに。 なのにママったら、先生の胸にしがみついて――。」・・・このバラバラな話が、夏恋の心を表している。それでも・・・、喜春が渡良瀬先生のことでやっと泣けて、その泣いた喜春をボクちゃんが受け止めてくれたのが、私からしたら、嬉しかった。しかし、夏恋にとっては・・・。 ―つづく―いつもお読み頂きましてありがとうございます! \(^―^)人(^0^)/最近更新が不定期ですみません・・。明日から七月なので、期間限定で七夕バージョンに模様替えしました。皆さんは短冊にどんな願い事を書くのかな?ではでは次回をお楽しみに~!
Jun 30, 2007
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《雪丸》の引き戸が勢いよく開く。「いらっしゃいませ――。」お客様の料理注文聞きながら、特に振り返りもせず声だけ掛けた。「あっ、夏恋ちゃん。」私の恋相棒の声に入り口を見ると、夏恋が立っている。「――いらっしゃい。 ・・・1人? 喜春は?」夏恋にいつもの笑顔はなく、店に入ってくる様子もない。今にも泣き出しそうな顔をしている。23:40。こんな時間に1人で《雪丸》に来る事自体おかしい。入り口まで迎えに行く。「――とにかく、入りな。」肩を抱いて、カウンター席まで連れてくる。「夕飯は食べたの? どうした。コロちゃんとけんかでもした?」「どうしてそう、いっぺんに聞くんだよ。 夏恋ちゃん、お茶入れてあげるから、 ・・・とにかく座りな。」恋相棒の言う通り、夏恋がカウンター席に着く。私はすぐ《咲花》に電話して、夏恋が《雪丸》に来ている事を伝える。早く話を聞いてあげたいけど、店が閉店する1:00までまだ1時間位ある。土曜の夜という事もあって、まだまだお客がひきそうにない。“参ったな・・・。 高校生をいつまでも店内においとけないし。”「2階で話してきていいよ。 夏恋ちゃんが来るなんてよっぽどだろっ。」恋相棒がカウンターから許可してくれる。「ただし20分。」「ありがとう! ――夏恋、2階においで。」1分を惜しむように、急いで2階に上がる。先に階段を上る私の背中に、「・・・ママが、泣いたの。」「えっ。」 ―つづく―いつもお読み頂きましてありがとうございます! \(^―^)人(^0^)/次回をお楽しみに~!(突然ですが、皆さんは最近お気に入りの一曲ってありますか? acoの場合は先日偶然聞いたアクアタイムスの『千の夜をこえて』。 参考URL→http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=46942 ストレートな歌詞に、なんだかとっても感動してしまいました。 少し前の曲のようですが。 人との出会いのように、大切な歌や本との出会いも偶然じゃなくて、 それと出会うべきタイミングがあるのだと何かで読みました。 そう思うと身の回りにあるお気に入りのものが いっそう愛おしく感じられます・・・。)毎日の励みに、ポチッとして頂けたら嬉しいです。。。
Jun 26, 2007
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「・・・でも、そうやって諦めていくしかないでしょう。 ひとつずつ、少しずつ、納得させていくしかないでしょう・・。」先生が優しい口調で悟し始める。「その日、外出していたのも・・、誰も悪くない。」――ママが顔を上げる。目が、いや、顔全体が腫れて、しゃくりあげるように息が乱れる。ママが先生に救いを求めるような目を向ける。「私は、悪くないの・・・?」搾り出したような、小さな声。先生が椅子を持ってきて、ママの隣に移動する。「渡良瀬、ごめんね。」と、私に一言。意味が分からない。先生が、ママの顔を自分の胸に・・・。そして、抱きしめた――。“ええっ。”ママは驚いて、体を離そうとする。「・・・気春さんは悪くない。悪くないし、 よく頑張ってる。 一人でよく頑張ってる事、みんなが知ってる。」その言葉を聞くと、ママは再び声をあげて泣いた。今度は先生の胸にしがみついて。「・・・ずっと、泣きたかったんだね。 でも、頑張らなきゃいけないから、 泣けなかったんだよね・・・。」先生の服の胸元の色が、涙で濡れて濃くなる。“ねえ、ママ・・・、気づいてる? パパ以外の男性の胸に抱かれてる事。 ねえ、先生は気づいてる? ママはパパを想って泣いている事。 先生の胸で、先生の腕の中で、 パパを思って泣くなんて・・・ なんて図々しい女なの。 ――なんてお人好しな男なの。”もう見てられない。耐えられない。どうしてなのか、何に対してなのか分からない。けど、心のそこから腹が立つ。“私だって先生の事・・・。 どうして、ママなの・・・?“席から立ち上がり、やっと歩いた。《咲花》の扉まで。ほんの数歩の距離なのに、やっとたどり着けた気がした。もう一度振り返って2人を見る。そして勢いよく店を飛び出した――。 ―つづく―!!!!!!次回をお楽しみに~~!
Jun 19, 2007
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「――それは違うと思うな。」今まで静かに聞いていた先生が口を開く。「あの日外出しなければって言うけど・・・。 喜春さんが家にいたら、もしかしたら 死ななかったかもしれない。 でも、だからって、良い方向だけに行くとは限らない。 現実問題、強い後遺症が残る可能性も高い。 そしたら・・・、生きることだけが幸せとは限らない。」“――先生、何てこと言うの?”その時、先生の左頬にママの平手が飛んだ。「あんたに何が分かるって言うの! ガキのくせに、知ったような口きくんじゃないわよ!」ママの目から大粒の涙がこぼれた。これは、パパを偲んでではなく、先生の意外すぎる発言に、激情した涙だろう。先生に穴が開くんじゃないかと思うほどの、強く刺すような視線。大きい声ではないけど、乱暴で激しい口調。こんなママを始めて見た・・・。先生はといえば、左頬が真っ赤になったまま、これまたママをキッと見返す。「――どんな形でもって、 入院費払ってですか。自宅ですか。 食事も入浴も排泄も全部、喜春さんがみるんですか。 店をやりながらですか。何年もですか。 僕は、誰にも世話を掛けず亡くなった渡良瀬先生は 喜春さん、夏恋さん孝行だと思います。」「――違う、違う、全然違う! 先生は生きてたかったはず! 私たちを残して死ぬなんて、望んでるはずがない!」ママの口唇の端と指先が怒りで震えている。「・・当たり前でしょう。 誰が家族を残して死にたいですか。」私は、ママと先生の激しいやりとりに茫然としてしまった・・・。 ―つづく―いつもお読み頂きましてありがとうございます! \(^―^)人(^0^)/今日は梅雨の晴れ間? 本当にきれいな空でした。雲も真っ白で・・・。あまりにきれいで夢中で写メ撮っちゃいました。あとでemyちゃんに話したら、空見ておんなじ事思ったって・・・。小さな事だけど、2人のシンクロがとっても嬉しかったのです♪どなたか他に、今日の雲を見上げたヒトいるかなあ・・・。喜春ママの心が晴れるのはいつ?!続きはなるべく早くアップしちゃいますからね!次回をお楽しみに~!毎日の励みに、ポチッとして頂けたら嬉しいです。。。
Jun 15, 2007
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私が「ママ」って声を掛けようとした時――、「後悔してるんです。・・・外出した事。」ひと息分、ママが早く口を開く。目は閉じたままの、辛い表情・・。「――だから、もう責めないで。」「大切な人の死に立ち会える人ばかりじゃないです。 責めてません。・・・誰のせいでもないです。」「――私のせいよ。 あの日、外出しなければ・・・。 すぐ救急車を呼べば・・・。 先生は私を救ってくれたのに。 いつも一人ぼっちの私を。 なのに私は、一人ぼっちで逝かせてしまった・・。 私はいつも、失敗しないようにビクビクしていた。 失敗は許されないと思っていたから・・。 なのに先生は、笑って許してくれた。 先生だけが、私を許してくれた。 許してくれる事に甘えて、 最後に、取り返しの付かない大失敗をした・・・。」ママが話し始めている。私も初めて聞く、深すぎる後悔。誰にも話してこなかった、パパとの話・・・。「私、先生の事好きになって。告白して先生困らせたっけ。先生も私に引っ付かれて、根負けして。なのに、お付き合い始めたら、今度はその深さを知りたくなって先生を試すようなワガママ言って。・・・なのに先生いつも余裕で、全然怒る事もなくて、『ハルちゃんは可愛いな』って笑ってた・・・。」・・・ママの声が涙声になる。「そう言えば、パパ、ママの事 “ハルちゃん”て呼んでたね・・。」ここでママが目を開けた。――私を見る。「どうしてこんなに早く死んじゃったのかな。 もしかしたら、幸せすぎて神様がヤキモチ妬いたのかな。」“――ママ、泣くの?”ママはパパが亡くなってから、一度も泣いていない。突然の事に、泣く余裕すら心になくなってたから。「たとえどんな形でもいい。生きてて欲しかったな。 あの日、外出しなければ・・・。」私もママを見てうなずく・・・。「・・・それは、違うと思うな。」今まで静かに聞いていた先生が口を開く――。 ―つづく―いつもお読み頂きましてありがとうございます! \(^―^)人(^0^)/・・・どっひゃん!\(◎0☆)/先生・・・、何を?!どうぞ次回をお楽しみに~!毎日の励みに、ポチッとして頂けたら嬉しいです。。。
Jun 10, 2007
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いつかの、あのマグカップ。商店街の輸入雑貨のお店で、ママと私と初子さんのために買った色違いの犬の絵の付いた、おそろいのカップ。オレンジのカップを私と初子さんで取り合い、じゃんけんに買った私が使い、初子さんはこのカップの色違いさえ使わない。だけど、3人の内々用のマグカップなのに・・・。3つのカップにカフェオレを入れて、ママがカウンターから出て来る。先生に声を掛けると私の座るテーブルに移動する。ママが、オレンジ色のマグカップは迷わず私の前に置く。そして黄緑色を先生の前に、群青色を自分の前に置いた。私とママが並んで、先生が向かいに座る。「いただきます。」先生が新品の黄緑のカップに口を付ける。”先生も、内々なの――?”「・・・渡良瀬、 お父さんは何で亡くなったの。」「・・・クモ膜下出血です。」「いきなり倒れたの?」「それが・・・私と母が外出中の時だったので、 分からないんです。」「・・もう、やめましょう。」ママが柔らかい口調で話を止めようとする。「どうして?」先生の予想外の返答に、ママは少し先生をにらむように見る。「どうして?」ママがギュッと目を閉じ、微動だにしない。・・・少しの沈黙。私が、「ママ」って声を掛けようとした時――。―つづく― いつもお読み頂きましてありがとうございます! \(^―^)人(^0^)/「その時」いったい何が?! 次回をお楽しみに~!毎日の励みに、ポチッとして頂けたら嬉しいです。。。
Jun 6, 2007
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ご主人のことは、聞きたいような聞きたくないような・・・。喜春さんの心に、どこまで立ち入っていいのかも分からない。――ただ、今でもご主人を想っている事は、墓参りの格好からも伝わる。正直みっともないが、・・・妬ける。“旦那としてより、父親として聞いてみよう。”「お父さんは渡良瀬を可愛くてたまらなかったろうな。 年齢がいってからの子って、そう言うから・・・。」前に聞いた少ない情報の中から、話を切り出す。「まあ、子供の頃はね・・。パパ大好きでしたよ。 パパがあぐらをかいて座ってるひざの上が私の席でした。 抱きしめられたり、くすぐられたり、絵本読んでくれたり。」「それで?」「そうだなぁ・・。自転車や鉄棒の逆上がりも、 パパ教えるのが上手だったなぁ。 そういえばママ憶えてる? みんなで海に行った時さぁ・・・。」喜春さんも会話に入る。少しの間、親子3人の思い出を聞かせてもらう。「この《咲花》を日曜休みに決めたのもパパ。 3人の時間の為に。 ここは譲らなかったね。」「――さてさて先生、ごめんなさいね。 こんなお話でお引止めして。」時計を見る。22:40。「先生、コーヒーのお代わりいかがですか? それとももうお帰りになりたいかな?」《咲花》からマンションまで自転車で5分くらい。明日は日曜日。特に急ぐ用もない。「コーヒー頂きます。すみません、図々しくて。」“ううん”と、否定するように首を横に振る。渡良瀬がカウンターから出て、テーブル席のイスに座る。「夏恋は?」「私 カフェオレ。」「おっ、僕もカフェオレ。」「――はい。」「先生、それは図々しいよ。」渡良瀬の厳しい一言が返ってくる。喜春さんが2階の自宅に上がり、マグカップを3つ持って降りてくる。「――あっ。」渡良瀬の声が小さくもれる。―つづく―いつもお読み頂きましてありがとうございます! \(^―^)人(^0^)/もう6月ですね!昔は雨に濡れて歩くのが好きだったのに、いつから雨の日が好きじゃなくなったんだろう・・・。では次回をお楽しみに~!毎日の励みに、ポチッとして頂けたら嬉しいです。。。
Jun 3, 2007
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