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ノルウェー生まれのドラマティック・ソプラノのリーゼ・ダヴィドセン(1987-)のワーグナーとシュトラウスのアリア集を聴く。数人の歌手がフィーチャーされているダカーポ(2016)とシャンドス(2018)のCDがリリースされていて、今回がメジャー・デビュー・アルバムになる。デッカの期待のほども察せられる。2012/13シーズンにデンマークの王立歌劇場でデビュー、数々の賞を受賞し、今年のバイロイトでゲルギエフの指揮するタンホイザーのエリザベート役でデビューが予定されているなど、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの歌手だ。彼女はリリック・ドラマチック・ソプラノという分類だそうだ。ドラマチックにリリックな香辛料を利かせた声とでも解釈すればいいだろうか。当ブログはワーグナーのソプラノはビルギット・ニルソンみたいな女丈夫はあまり好きではない。かつてカラヤンのワーグナー物などで活躍したヘルガ・デルネッシュ(1939-)がお気に入りだった。今回のリーゼ・ダヴィッドセンも力強さの中に、女性らしさが匂い立つような歌唱で、とても好感がもてる。バリバリ歌うほうではなく、いざとなったときに出すというような感じだ。高音の伸びが実に素晴らしい。タンホイザーの「歌の殿堂」は全開の歌唱だろうが、そこでも女性らしさが感じられるのがいい。余り粘らず、爽やかな歌唱で、「四つの最後の歌」も夕映えのなかで、人生の諦念を感じるような雰囲気ではないが、悪くない。最近ルネ・フレミングも「四つの最後の歌」を録音した。歌いまわしはさすがだが、声に老いが感じられ、少し残念に思ってしまった。偶然ではあるが、声楽の世界でも確実に世代交代が進んでいるということを、この二つの録音で感じてしまった。バックのサロネン指揮のフィルハーモニア管はあまり重たくない、透明度の高いサウンドが美しい。録音は低音は軽めで、テュッティが歪みっぽいのが気になる。ところで、このソースを入手したのは2か月ほど前何回か聴いていたのだが、何となくおかしいと思いながら、曲のリストを確認していなかった。このブログを書くため確認したら、何と2曲もダウンロードされていない。すぐ連絡したが、ダウンロードの場合ダウンロードされなくても知らんぷりされていることが多いので、必ず確認することが必要だ。今回利用したHDtracksでは、90日という制限があるので余計そうだ。自分で再ダウンロードできないと、サイトに連絡しなければならないのも面倒だ。肝心のトラブルだが、システムは正常というマニュアル通りの回答。おまけに、だめなら返金するという木で鼻をくくったような回答。7/4追記その後すったもんだした挙句、やっとgoogleダウンローダーで、ファイルが送られてきた。それはいいとしても、単にダウンロードに失敗しただけだという連絡にはあきれた。最後にメールを送ったのが金曜日で、休みがあったとはいえ1週間もかかっている。とてもフットワークが軽いとは思えない。まあ、不足分のファイルが送られてきたのでよしとするが、窓口以降のフォロー体制がなっていないのは問題がある。大体ダウンロードに失敗したというのが、今まで分からなかったなんて信じられない。PVタンホイザー:Dich, teure Halle(歌の殿堂をたたえよ)2015年のソニヤ王妃国際音楽コンクールでのライブLise Davidsen:Richard Strauss Four Last Songs,Wagner Arias from Tannhauser(DECCA)24bit Flac 96kHzRichard Wagner(1813–1883):TANNHÄUSER1 Dich, teure Halle Act II, Scene 1 2 Allmächt’ge Jungfrau ! Act III, Scene 1Richard Strauss(1864–1949):Ariadne auf Naxos3. Es gibt ein ReichVier Lieder op.274. Ruhe, meine Seele!5. Cäcilie 2.206. Heimliche Aufforderung orch. Robert Heger7. Morgen! 8. WIEGENLIED op.41 no.1 4.129. MALVEN TrV 297 orch. Wolfgang RihmVier Letzte Lieder10. Frühling11.September12.Beim Schlafengehen13.Im AbendrotLise Davidsen(s)Philharmonia OrcestraEsa-Pekka SalonenRecording Location: Henry Wood Hall, London, 28 & 29 September and 6 & 7 October 2018
2019年06月29日
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スティングのセルフ・カバーアルバムを聴く。HDracksのセールで購入。最近ハイレゾは海外サイトではセールの時買うことが殆ど。日本ではめったにセールをしないので、殆どは定価で買うしかないが仕方ない。まれに安くしているときもあるが、この前買ったミュンシュの幻想(ワーナー)は聴くに堪えない音で散々だった。今回のソースは、44.1/24bitで少し物足りないが、例によって96kHzにアップ・コンバートしてNASに入れた。スティング自身はこのアルバムを再創造(リワークアルバム)と呼んでいるようだ。管理人が昔いた業界では、リワークとは手直しみたいな意味で、あまりいい印象はない。この場合は勿論いい意味でのリワークだろう。スティングを知ったのはブランフォード・マルサリスつながりで、その前の曲はあまり知らない。今回も知っているのは数曲だけだったが、植木の手入れをしながら音楽を流していて、グッとくることが何回もあった。過去にスティングの曲だけをカバーしたアルバムが作られているほどなので、優れた作曲家なのだろう。スティングの音楽を聴くと、いつもアイルランドの厳しい気候を連想してしまう。スティングの音楽も表に出てくる厳しさと、うちに込められた熱い感情の発露が感動を呼ぶ。選び抜かれただけあり、どの曲もずっしりとした手応えをかんじる。昔からのファンなら、牙を抜かれた何とやらと思うかもしれないが、遅れてやってきた当ブログとしては、とても満足した。デラックス版はライブでの演奏が4曲追加されている。これは、以前映像で発売されていた「Live at the Olympia Paris」と同じソースだろう。追加トラックは個人的には、なくても影響はないと思う。録音はずっしりとした厚みのある低音と、渋いカラーにまとめられたサウンドで、最近のスティングの好みだろう。レコーディングのデータを探し回ったのだが、見つからず、カバーアートだけだろうと思いつつ、念のためブック・レットを確認した。期待を裏切って?ポピュラー系のアルバムでは珍しく、かなり充実していた。スティング自身による曲の解説と曲ごとのパーソネルがバックコーラス、ストリングスを含めて詳細に記されているのは有難い。パーソネルを見ると超豪華な布陣で、ジャズファンならご存知のブランフォード・マルサリスやケニー・カークランドといった昔のサイドメンの名前も見える。ただ、録音のロケーションはあるが肝心の日時がないのが何とも残念。カークランドについていえば、彼は1998年11月11日に亡くなっているので、彼の参加した「 IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE」、「FRAGILE」、「ENGLISHMAN IN NEW YORK」の彼のパートは、それ以前の録音ということになる。ライブを除いてすべてアメリカの数か所で録音されている。最近の録音は同時録音ということは少なく、今回のように多数の有名ミュージシャンが参加している場合は、何回にもわたって録音されているだろうから、録音日時を書くのも難しいのかもしれない。そこのところを詳しく知りたいというのが、(データー?)マニアが望むところだろうが。。。Sting: My Songs (Deluxe Edition)(A&M/Interscope)24bit 44.1kHz Flac1 BRAND NEW DAY(1999)2 DESERT ROSE(1999)3 IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE(1985)4 EVERY BREATH YOU TAKE(1982)5 DEMOLITION MAN(1980)6 CAN’T STAND LOSING YOU(1978)7 FIELDS OF GOLD(1992)8 SO LONELY(1975)9 SHAPE OF MY HEART(1992)10 MESSAGE IN A BOTTLE(1979)11 FRAGILE(1987)12 WALKING ON THE MOON(1979)13 ENGLISHMAN IN NEW YORK(1987)14 IF I EVER LOSE MY FAITH IN YOU(1992)15 ROXANNE (LIVE)16 SYNCHRONICITY II (LIVE)17 NEXT TO YOU (LIVE)18 SPIRITS IN THE MATERIAL WORLD (LIVE)19 FRAGILESting(vo,b,g)
2019年06月27日
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ミッシェル・カミロの新譜を聴く。2010年の「Carib」(Live)以来3枚目のビッグバンドのアルバム。CDに遅れること約2か月でやっとハイレゾがリリースされた。例によってHDtracksの20%オフで$13.48で入手。彼の作品を18名のビッグ・バンドで演奏したもので、全曲カミロの作品でアレンジは元OTBのマイケル・モスマンが担当している。ラテンにしては見通しが良く、後味がすっきりしている。「Liquid Crystal」や「Repercussios」のような純モダンジャズ風の曲もあり、ハーモニーがお洒落だ。ラテン色が一番濃いのは「Piece of Cake」だろうか。ラテン・ジャズなのでホーン・セクションが凄まじい音を出している。ただ、ラテンの熱気一辺倒ではなく、時折涼しい風が吹いてくるように感じることもあり、懐の深い演奏。これでもかと迫ってくるナンバーだけだと疲れてしまうが、「Just Like You」のようなムーディーなナンバーもあり飽きさせない。カミロ自身は「シネマ・ノアールの探偵映画のような作品」と語っている。この曲でジョニー・ホッジスを思い出させるような、骨太のサウンドで濃厚なソロを聞かせているのはアントニオ・ハートだろうか。もっとも、こういうナンバーも濃いことは確かで、ほっと一息とはいかないところがカミロらしい?フルートの多用が目立つ。ラテン・バンドでは珍しいが、バンドにうまくマッチングしている。難しいスコアの曲も含まれていて、速いテンポの「Mano a Mano」の木管のソリなどはスリル満点で、ビッグバンドを聴く醍醐味を感じさせる。「Liquid Crystal」「Piece of Cake」などソロの時間は長くはないがカミロのソロはパワフル。リッキー・ロドリゲスのベースの音が凄くいい。パーカッションも切れきれの演奏だが、特にエリエル・ラソのコンガが強力。録音も凄まじくいい。低音のたっぷりとした量感、ビッグバンドとは思えない歪み感のないクリアなサウンドで、音を聞いているだけで楽しくなる。こういう音楽はアメリカ人が好きなので、グラミー賞の候補に挙がってもおかしくない気がする。なお、9月5日から8日まで日本人を含めたビッグバンドでの公演がブルーノート東京で予定されている。大迫力のビッグバンドサウンドが楽しめるだろう。カミロへのインタビュービッグバンドやラテン・バンドからの影響などについて、具体的な例を挙げながら説明していて、とても興味深い。On Fire youtube録音風景と共に一曲丸ごと聴くことが出来る。Michel Camilo:Essence(Resilience Music Alliance RMA009 ) 24bit 96kHz Flac01 And Sammy Walked In02 Mongo’s Blues Intro03 Mongo’s Blues04 Liquid Crystal05 Mano a Mano06 Just Like You07 Yes08 Piece of Cake09 On Fire10 Repercussions11 Hello & GoodbyeMichel Camilo(p)Ricky Rodriguez(b)Cliff Almond(ds)Eliel Lazo(perc.,vocals)Antonio Hart(as,fl)Sharel Cassity (as,cl)Ralph Bowen(ts,fl)Adam Kolker(ts,cl)Frank Basile(bs,bcl)Michael Philip Mossman(tp,flh)Raul Agras(tp,flh)John Walsh(tp,flh)Diego Urcola(tp,flh)Kali Rodriguez-Pena(tp,flh)Michael Dease(tb)Steve Davis (tb)Jason Jackson(tb)David Taylor(b.tb)2018年7月23-27日
2019年06月25日
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オリンピックのチケットの当選結果が発表された。メールでお知らせが来るということだったので、待っていたのだが来ない。そのため、次の日にオリンピックのサイトにアクセスしたところ、手順がやたらと込み入っていることを除けば、待ち時間なしですぐ見ることが出来た。肝心の結果だが、当ブログで当選したのは1件のみ。確率は25%なので、平均が一けた台という情報から考えると悪くない数字だ。当ブログは当選確率を上げる方法を研究していた訳ではないので、一つでも当選したのはもうけもの。ただ、当選したのが子供のチケットで、それが少し悔しい。子供は生まれつき運のいい人間で、さもないことでも当たる確率が高い。やはり、ついている人間はいるもので、改めてそれを感じた。今に大きなことで見返してやろうと思っているのだが、今回もダメだった。ただ、今秋に先着順のチケットが販売されるし、7月2日の購入期間に未購入だったチケットや来春の窓口での購入も可能なので、まだチャンスはある。しっかり情報収集をして、備えたい。
2019年06月23日
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昨年から今年の初めにかけて開催されたフェルメール展に因んで書かれた「フェルメールの真実」を読んだ。作者は今回の展覧会のために奮闘した(財)ハタステフティングのお二人の運営者の共著で、題名のように絵についても書かれているが、展覧会開催のためのいろいろな苦労話が主で、サスペンスを読むような面白さがある。絵画を集めること、ましてフェルメールのように作品が少なく、散逸しているものを集めることが、いかに大変かを教えてくれる。展覧会を開くためには、所蔵している美術館に貸し出しの申し入れをしなければならない。それを実現するためには、人脈がなければならないし、その絵画の保存状態、所蔵している美術館が修理などのために休館になっているか、その絵画の貸与の申請状況、貸出のための条件など、さまざまな事柄をクリアしなければならない。最終的には修復家がOKといわなければ貸し出しできない。本書ではシンジケートという言葉が頻繁に出てくる。シンジケートというとあまりいい印象がないが、美術の場合は作品の貸し借りに手を貸す専門家の集まりのような意味だ。集めるのが難しい場合にはそのシンジケートをたどっていくしか方法がない。シンジケートのメンバーになるためには、その人の美術に関する深い知識も必要になる。お金のほかにも解決するべき課題が山のようにある。貸し出しを依頼するローン・リクエストというものには説得力のある貸し出し理由が書かれていなければならない。また貸し出しに対する強力な見返り(修復のサポートなど)が有効なときもある。「牛乳を注ぐ女」がこの例。フェルメールの絵画には「ローン・リクエスト(貸出依頼)を出してはいけない作品が3点ある。それらは、「デルフトの眺望」と「真珠の耳飾りの少女」、「牛乳を注ぐ女」だ。「デルフトの眺望」はオランダのマウリッツハイス王立美術館所蔵のもので1995年にワシントンのナショナルギャラリー以外は国外に出ていないそうだ。他の2点は日本に来日している落ちは、しかるべき人に推薦状を書いてもらえればOKというくだり。2008年の東京都美術館での「フェルメール展」での「耳飾りの女」は当時の小渕首相からオランダの首相に手紙を書いてもらったことで貸し出しが実現した。イギリスの王室が所蔵する「音楽の稽古」はエリザベス女王に匹敵する権威のある方の手紙があればOKということだったが、残念ながら実現しなかったようだ。すべては絵画を愛する方々が、多くの方に診ていただきたいという情熱と様々な条件を克服する交渉力と諦めない気持ちのたまものだろう。このことを頭に入れていれば、展覧会での鑑賞の仕方も一層深い理解が得られると思う。巻末にフェルメールの作品を踏破するためのガイドが付いているので、全作品を制覇したい向きには、役に立つ情報だろう。ところで、少し前にNHKスペシャル「モネ 睡蓮~よみがえる“奇跡の一枚”~」という番組が放送された。約60年ぶりに発見されたモネの「睡蓮、柳の反映」の修復や欠損部分をAIを使ってデジタルでの復元の様子を辿っている。こういうものを見ると、彼らが美術に傾ける情熱の凄まじさに頭が下がる思いだ。現在、この「睡蓮、柳の反映」を含む「松方コレクション展」が上野の国立西洋美術館で開かれている。秦 新二 、成田 睦子 著 「フェルメール最後の真実」 文春文庫 2018/10/6
2019年06月21日
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ロト指揮レ・シエクルによるマーラーの「巨人」を聴く。ロトは以前マーラーの5番と3番をケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団と録音していた。世の中の評判はなかなかいいらしく、当ブログも評判につられて?どちらも聴いた。ところが、ブログに書くまでには至らなかった。ロトの解釈は概ね頷けるものだったのだが、いかんせんオケが少し弱いところがあり、それが不満だったのだ。風の便りで通じたのか今回はいつものレ・シエクルとの録音と知った時には期待度は120%だった。満足度は100%とはいかなかったが、かなり高い。フィナーレの後半でアチェレランドをかけていくところなど、なかなか興奮させられる。やはりモダン・オケの優れた演奏に比べるとハンディがある分、少し弱かったかなと思うところがある。マーラーの場合音量の占める比重が大きく、最近の技術の向上が著しいモダンオケに比べると、聞こえるはずのフレーズが聞こえないなど、物足りなさがあることは確かだ。その代わりモダンオケでは聞かれない、新鮮なハーモニーや柔らかいサウンドが聞けるというのは大きな長所だろう。音場が弦、木管、金管とステージに乗っている順に音量が小さくなる感じがする。実演だとステージに近い席で聴いているような感じだろうか。解釈なのかスコアの違いなのかは、スコアを観ないと何とも言えない。今回のスコアは普段使われている全集版ではなく「花の章」付きのハンブルク稿(1893)で「交響曲ではなく「交響形式の音詩」と題されている。オーケストレーションはマーラー協会全集版(1967)と違うところが多く、編成も木管が1本づつ(ホルンは3本)減らされている。ホルンが4本しかないと聴感上大分違ってくるので、当ブログが弱いと感じたのもそのためかもしれない。そうすると、バランス上の問題ではなく、楽譜による影響がかなりあり、おまけに古楽器を使っているので、サウンド的にもだいぶ印象が異なる。このオケの演奏を聞く楽しみの一つでもある、つややかな弦の存在感が大きい。濡れたように光る木管のサウンドも美しい。注目の「花の章」は自発性に富んだ管のアンサンブルが実に聴かせる。スケルツオ楽章での中間部の濃厚なロマンチシズムや第4楽章の暗くない?葬送行進曲、第一楽章の序奏での灰色ではない、明るくカラフルな森の情景など、他の演奏では味わえない聴きどころが満載だ。内容を知れば、なるほどディストリビューターのキャッチコピーが大げさではないことが分かる。出来ればスコアを見ながらじっくりと鑑賞したいところだ。なお、この稿による演奏はヘンゲルブロック指揮の北ドイツ放送交響楽団(2013-2014)の演奏(SONY)があるが未聴なので、機会があれば聞いてみたい。ハンブルク稿と原稿の全集版の違いについては金子健志による詳細なアナリーゼがあるのでご興味のある方は是非参照頂きたい。こだわり派のための名曲徹底分析マーラーの交響曲(音楽之友社)François-Xavier Roth=Les Siècles Mahler:Symphony No. 1 in D Major(Harmonia Mundi )24bit 96kHz FlacFrançois-Xavier RothLes SièclesThis score is edited by Reinhold Kubik and Stephen E.Hefling for Universal Edition AG. Wien.
2019年06月18日
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突然発表されたゲッツの1961年ヴィレッジ・ゲイトでの未発表ライブ。ハイレゾも同時にリリースされ、HDtracksのセールで$16.71で購入した。e-onkyoは¥5750なので、1/3程の激安価格。レゾナンスのゼブ・ フェルドマンと、ヴァーヴ・レーベルとの共同プロジェクトによる発掘。フェルドマンは現在ユニヴァーサルの仕事を手掛けていて、その仕事の一環だろう。ファンが気になっているのはレゾナンスはやめたのかという疑問だが、こちらも継続して仕事をしているようだ。レゾナンスの社長のジョージ・クラビンの意向で、他社の仕事もOKということのようだ。今回のライブはゲッツがボサノヴァで売り出す前年の1961年のニューヨークのトップ・オブ・ザ・ゲイトでの録音。かなり充実した演奏で、こんな演奏が今頃になってひょっこり出てくるのもジャズらしい現象だ。この日のゲッツは絶好調で、クールな面とホットな面の両面が楽しめる。スティーヴ・キューン(1938- p)~ジョン・ネヴェス(1930-1988 b)~ロイ・ヘインズ(1925- ds)のカルテット編成での録音が世に出るのは今回が初めてとのこと。pvを観るとこのバンドは「Boston Band」として知られていたらしい。同年9月にバルブ・トロンボーンのボブ・ブルックマイヤーをくわえたクインテットで「Recorded Fall 1961」(Verb)というアルバムをリリースしている。当ブログとしては「エアジン」などのテンポの速い曲での、怒涛のアドリブ・ソロに圧倒された。また、「Spring Can Really Hang You Up The Most」(名演!)などのバラードでのスカスカ・テナーのサウンドも懐かしい。「Wildwood」などのミディアム・テンポの曲での軽快なノリもいい。5曲目の「Impressions」はトリオの演奏。ゲッツがマイルスの「So What」と間違えて紹介していた。単なる勘違いだと思うが、珍しい。コルトレーンの「Impressions」は、作曲されてまだ間もないころだと思う。コルトレーンのレコードがリリースされるのは1963年なので、ライブで聴いて早速取り入れたのだろう。コルトレーンのゴリゴリのモードとは違って、モードに完全になり切れていない様子がうかがえる。最後の「Jumpin’ With Symphony Sid 」ではゲッツのちょっとしたおふざけがあり、聴衆の笑い声が聞こえるロイ・ヘインズが全曲にわたって切れのいいドラミングを聞かせる。録音は結構鮮明だ。ステレオであることが有難いが、空間的な広がりはあまりない。ピアノとテナーが左、ベースが右、ドラムスが中央から右の配置だが、音像は中央が抜けている状態。ドラムスが中央まで聞こえてくることもあり、いまいち定位がはっきりしない。ピアノが歪みっぽくなるのが難点だが、鑑賞には差し支えない。録音とは関係ないが、最初のMCの声がドラムの響き線と共鳴して少し聞き苦しい。e-onkyoの説明には「ゲッツ最高のアルバムといっても過言ではない!」というフェルドマンがの言葉が載っている。最高傑作かどうかは議論のあるところだろうが、ライブの醍醐味が存分に味わえる傑作であることは間違いない。Getz At The Gate:The Stan Getz Quartet Live at the Village Gate, Nov. 26th 1961(Verb) 24bit 192kHz Flac1.Announcement by Chip Monck2.Cole Porter:It’s Alright With Me3.Gigi Gryce):Wildwood4.Harold Arlen-Ted Koehler:When The Sun Comes Out 5.John Coltrane:Impressions 6.Sonny Rollins:Airegin7.Jimmy Van Heusen-Johnny Burke:Like Someone In Love 8.Dizzy Gillespie:Woody ’N You9.Stan Getz:Blues10.Alec Wilder-Arnold Sundgaard:Where Do You Go11.Yesterday’s Gardenias (Dick Robertson)12.Stella By Starlight (Victor Young-Ned Washington)13.It’s You Or No One (Jule Stine-Sammy Cahn)14.Spring Can Really Hang You Up The Most (Tommy Wolf-Fran Landesman)1552nd Street Theme (Thelonious Monk)16.Jumpin’ With Symphony Sid (Lester Young-King Pleasure)Stan Gets(ts)Steve Kuhn(p)John Neves(b)Roy Haynes(ds)Recorded November 26,1961 at The Village Gate,NY
2019年06月16日
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福間洸太郎の「France Romance」というフランス物を集めた最新作を聴く。4/17にCDと配信がヨーロッパと日本でリリースされたもの。HDtracsの新譜の20%オフで$20で購入。Naxosのハイレゾは安いのと高いのが両極端で、値付けはどうなっているのだろうか。福間洸太郎は名前は知っているが、聴いたことがないと思っていた。少し経ってから、Naxosの武満作品集でお耳にかかったことがあることを思いだした。強い印象はなかったと思うが、音楽の流れが自然だったような記憶がある程度。今回のアルバムは福間がプログラムにふさわしい音色を、と選んだベヒシュタイン(C. Bechstein D-280)が使用されている。ブックレットの序文で、このCDのコンセプトについて語っている。『このアルバムは、単に自分の好きなフランス音楽の小品を集めたわけではありません。私のピアノ人生にとって欠かせない出来事とリンクした作品がちりばめられており、そのすべてをここで語ることができないのが惜しまれるほどです。』全体にテンポが遅いが鈍重ではなくじっくりとかみしめるような演奏だ。今回の録音の売りはピアニストのアレクシス・ワイセンベルクの編曲したシャルル・トレネの持ち歌のピアノ用の編曲。この曲についても、録音されたいきさつを語っていて、氏のこだわりぶりがよくわかる。『その後、この編曲を研究していた江﨑昭汰氏と出会い、彼がワイセンベルクのご息女マリアさんから自筆譜を手に入れ、アムランの録音版と合わせたものを作成したおかげで、私(福間)は2016 年に日本で初めて全曲演奏することができました。江﨑氏の努力は続き、ワイセンベルクのご子孫やアムランに会って直接交渉を重ね、ついに正式に楽譜出版するに至ったのです。そのドラマをずっと陰から見守っていた私も、その校正作業に少しばかり協力させていただきました。ワイセンベルクの自筆譜と録音版(Mr.Nobody plays Trenet )では音やリズムがかなり違い、ここでは録音版を基に、ところどころ自筆譜の音型を取り入れて弾いています。』この曲はアムランの録音(Marc-Andre Hamelin in a State of Jazz; Gulda, Kapustin, Weissenberg, Antheil, Trenet (Hyperion)があり、この録音に魅せられた福間氏が権利の問題や校正に関わられて、出版されたという経緯を語っている。ワイセンベルクの自筆譜と録音版(Mr.Nobody plays Trenet )では音やリズムがかなり違い、ここでは録音版を基に、ところどころ自筆譜の音型を取り入れて弾いているそうだ。ワイセンベルク自身の演奏もyoutubeにアップされているのでご興味のある方はチェックされてはいかがだろうか。肝心の演奏だが誠実な演奏ぶりで勢いやウイットにも富んでいる。特に第3曲の「巴里で四月に」がとろけるような音楽でうっとりする。ただ参考までに聴いたアムランの演奏が次元の違いがはっきりわかる。アムランのエスプリが効いていて、きらびやかなスケールにハッとさせられるような、演奏には残念ながら及ばない。アムランの演奏を聞いてしまうと福間の演奏が鈍重に聞こえてしまうのは気の毒。他の曲はどの曲も満足できる出来だ。気に入ったのはフォーレの曲。あまり馴染みがなかったが、暖かい音楽だ。少し影があるところがいい。ラヴェルの「ラ・ヴァルス」は、この中では異色の存在。福間自身の編曲で面白いのだが、規模が大きいので、他の曲に比べて重すぎる感じがする。サティの「ジュ・トゥ・ヴー」はサティー自身の編曲ではなく福間の編曲。きらびやかな装飾音に包まれた華麗なショーピースに変身していた。サティーの音楽は飾り気のない貧血気味の音楽だが、福間の編曲でこの曲の隠れた魅力を発見できた気がする。プーランクの曲もいい音で聴くと曲の魅力がさらに増している。特に、FP47の第二曲Très rapide et rythméはプーランクらしいコケティシュな魅力が出ていて、とても楽しい聴きものだった。ノヴェレッテは福間が始めてピアノ・コンクールに出て、ピアニストとして生きていく原点になったと語っているこだわりの選曲。ゆったりとしたテンポで弾かれるドビュッシーも味わい深い。特に「レントより遅く」のアゴーギクが決まっていて、夢見心地になる。録音は素晴らしいのだが、少しもこもこしていて、エッジがもう少したった音が好ましい。福間洸太郎 France Romance(Naxos NYCC-27308)24bit 192kHz flacドビュッシー:夢ドビュッシー:レントより遅くフォーレ:8つの小品集Op.84より第5番即興曲、第8番ノクターンフォーレ:3つの無言歌Op.17ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌラヴェル:ラ・ヴァルス(福間洸太朗編)サティ:ジムノペディ第1番、ジュ・トゥ・ヴ(福間洸太朗編)プーランク:即興曲第15番「エディット・ピアフを讃えて」プーランク:3つのノヴェレッテワイセンベルク:シャルル・トレネによる6つの歌の編曲ルノワール:聞かせてよ、愛の言葉を(福間洸太朗編) 録音:2018年11月28~30日/新潟県柏崎市文化会館アルフォーレ
2019年06月14日
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川嶋哲郎の新作を聴く。spotifyでチェックはしていたのだが、買うかどうか迷っていた。その後、ライブでの話を聞いて購入に踏み切った。ハイレゾもCDと同じ価格だったので、ハイレゾを購入。結果はとても満足できるものだった。川嶋の一大抒情詩みたいな感じの作品。一聴、吹奏楽にサックス・ソロが入っているような感じがする。編成が「WOOD WIND ORCHESTRA」と称しているフルート、バスクラを含むクラリネット、サックスにピアノ、パーカッションという編成で、クラリネットのサウンドがかなり出ているので、そう思ってもおかしくない。ダブルリードが加わっていたら、もっと多彩なサウンドになっていたと思われる。アルト奏者のユッコ・ミラーとの対話で、最初は吹奏楽から始まったが手に負えなくて、結局自分がコントロールできる範囲の楽器に絞ったといっているので、現時点ではないものねだりということになる。総勢19人でハーモニーが限りなく美しい。特にフルートのハーモニーはしびれる。メンバーは、教え子たちに声をかけて集めてもらったそうだ。いつものフリーキーなトーンを発する過激な側面は出ていない。圧倒的なボリュームと高度な技術、豪放なプレイにはほとほと参ってしまう。テナー・サイボーグの分厚い鎧の内に秘めたロマンティシズムが吐露された、心温まる感動的な作品だ。清々しさと懐かしさの入り混じったような曲が多く、実に心に沁み入る。特に「CRESTA 」と「WATER OF TEARS」のテーマは実に美しい。作風が吹奏楽の故真島俊夫によく似ている。川嶋が吹奏楽経験者だったことも、影響しているのだろうか。中心となるのは組曲「Thaw」(雪解け)で、その前後に、自然を題材にした曲が配置されていて、トータル・アルバムとしてよく考えられた構成になっている。「Thaw」は一つのメロディーで有機的につながっている。最終曲の「海へ」での高揚していくさまは、実に感動的だ。「海へ」の中間部のトリオの演奏は、アップテンポで、ノリノリの演奏が聞かれる。「Horizon 」のリズム・パターンはギル・エヴァンスの作品に酷似しているが、何の曲だったかは忘れてしまった。気になったのは、「Horizon]と「Atlantis」の最後。どちらも唐突に終わっている感じがする。このCDの中で異彩を放つのは「Atlantis」コンガが活躍するアフロビートのジャズらしい曲。田窪寛之のピアノと元quasimodの松岡 matzz 高廣のパーカッションもいい味出している。コンサートでパソコン、編曲、指揮の勉強をして4年をかけてこの作品を完成させたと仰っていた。一から勉強してこれほどの作品を作りあげた努力は並大抵なものではないと思うが、その努力は十分に報われたと思う。その姿勢に、限りない共感を覚える。最初聴いた時、挾間美帆あたりにアレンジしてもらったら、もっといい作品になったのではと思ってしまった。当ブログの傲慢な考え方だったことを恥じる。そして、いつの日か当初の構想であった吹奏楽版をぜひ作ってほしい。あまり売れていないと仰っていたが、素晴らしい作品なので、ジャズ・フリークだけでなく吹奏楽ファンにも是非お聞き頂きたい。川嶋哲郎 Water Song(KING KICJ-819)24bi 96kHzz Flac1. CRESTA PRELUDE 2. CRESTA 3. HORIZON<Suite -THAW->4. Suite -THAW-Ⅰ 雪解け 5. Suite -THAW-Ⅱ 早瀬6. Suite -THAW-Ⅲ 流光7. Suite -THAW-Ⅳ 海へ8. ATLANTIS 9. WATER OF TEARS川嶋哲郎(Ts,Ss,Fl)田窪寛之(Pf)松岡 matzz 高廣(Perc) WOOD WIND ORCHESTRA矢島絵里子(Fl,Pic)吉川真登 (Fl)奥村紗季乃 (Fl)廣海大地 (Fl)浜崎零士(Fl)熊倉未佐子(Cl)宮脇惇(Cl)相原雅美(Cl)山本茉莉奈(Bcl)松原慎之介(Ss,As)内田恵里花(As,Cl,Ss)成田遥香(As)新村未都(Ts)オオニシユキコ(Ts)鈴木哲(Ts Fl)RIO(Bs)録音:キングレコード 関口台スタジオ Studio 1 (2019/1/10) Studio 2 (2019/1/17)
2019年06月12日
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荘村清志が1969年に国内デビューを飾ってから、今年で50周年となるのを記念して国内ツアーを行っている。盛岡でも開催されたので聴きに行った。最初、キャラホールで3時からと思い込んでいたが、確認したら間違っていたことに気づいたのが場所は前日で時間は当日。少し余裕のある時間だったのでよかったが、余裕をこいていたら、遅刻していたところだった。小ホールとはいえほぼ満員。荘村清志については、以前福田進一とのデュオでそれまでの考えが間違っていたことを知り、それ以降多少なりとも関心を持つようになった。結果はとても楽しめるコンサートだった。前半はバッハの無伴奏チェロ組曲の5番と6番。後半は、スペインに因んだポピュラーなナンバーが組まれていた。バッハは、柔らかな肌触りで、感情が表に出てくることはない。曲をあまり聞きこんでいないので、参考までにチェロ(フルニエ)とヴィオラ(カシュカシアン)での演奏を聞いてみた。チェロが楽譜と格闘しているとすれば、ヴィオラはそういう姿はない。ギターもヴィオラと同じ傾向だが、より一層軽くなっている感じがする。ギター用編曲の難易度がどれほどのものかは分からないが、目立つミスはビビリ音くらいだろうか。ただ、技巧の制約からか、時々寸詰まりになったり、間延びしたりするところがあるのは致し方がないかもしれない。後半はスペイン留学時代の話を交えて勧められた。例えば、フラメンコというのはスペイン人がすべて踊れるわけではなく、南スペインの人たちしか踊れないとか、闘牛で日の当たる場所と日陰では料金が違うとか、住んでいる人でなければ分からない小話が聞けて面白かった。スパニッシュ・ムードが濃いトゥリーナの「ファンダンギーリョ」とマラッツの「スペイン・セレナーデ」という、あまり親しんでいない曲が面白かった。「スペイン・セレナーデ」は原曲がピアノで、タレルガがギターに編曲したとのことだが、ギターの曲とばかり思ってしまった。「アルハンブラの思い出」はかなり変わった解釈。フレーズごとの伴奏の音が出て、短いパウゼのあとでおもむろにトレモロのメロディーが始まるというもの。それが頻繁に起こるので、普通のイメージで聴き始めると面食らってしまう。最後のピボーの「歌と踊り第1番」は荘村の師ナルシソ・イエペスに献呈された作品で、よく演奏される曲で録音も多いそうだ(wiki。前半のしみじみとした「歌」と後半のにぎやかな「踊り」の対比が鮮やかだ。アンコールは4曲と大サービス。ブローウェルの「11月の秋」とラウロの「ベネズエラワルツ第3番」は初めてお耳にかかった。「11月の秋」はしみじみとして味わい深い風情が感じられる。テンポを速めた中間部も、軽快ではあるが愁いを含んでいて秀逸。「ベネズエラ・ワルツ第3番」ベネズエラの作曲家のなかで最も有名なアントニオ・ラウロの作品で、よく演奏されているそうだ。南アメリカらしい情熱と哀愁が感じられるいい作品だった。「愛の賛歌」はあとで確認したところディアンスの編曲だった。エモーショナルだが、心に沁み入る演奏。ディアンスらしい驚きのある編曲で、エンディングのピアニシモでの速いパッセージも洒落ている。編曲者の演奏が収録されている「Paris Guitare: Chansons Francaises」というCDの音がyoutubeにアップされている。ディアンスのしなやかさと感情の盛り上がりは荘村の演奏からは聞けないもの。荘村の朴訥な表現とは全くかけ離れている。このCDの存在は知らなかったが、残念ながら廃盤になっているようだ。何とか手に入れたいものだが。。。今回の曲が多く収録されている荘村の最新版の「シャコンヌ」をハイレゾでチェックしたが、FlacでもDSDでも\5000以上でとても手が出ない。荘村清志 デビュー50周年記念 ギター・リサイタルバッハ(H.D.ブルーガー編):無伴奏チェロ組曲第5番バッハ(S.イェーツ編):無伴奏チェロ組曲第6番後半エンリケ・グラナドス:スペイン舞曲第5番「アンダルーサ」ホアキン・トゥリーナ:ファンダンギーリョイサーク・アルベニス:グラナダ/入り江のざわめきフランシスコ・タルレガ:アルハンブラの思い出ホアキン・マラッツ(タレガ編):スペイン・セレナーデアントニオ・ルイス・ピポー:歌と踊り第1番アンコールレオ・ブローウェル:11月の秋アントニオ・ラウロ:ベネズエラ・ワルツ第3番(ナタリオ)マルグリット・モロー(ディアンス編):愛の賛歌禁じられた遊び2019年6月8日 盛岡市民文化ホール 小ホール2階L7で鑑賞
2019年06月10日
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寺久保エレナ(1992-)の新作を聴く。今年の1月に新宿ピットインでのライブ・レコーディング。ハイレゾで出ていたので、楽天ポイントを使って、2000円台前半で購入。最近のCDがあまり納得のいかない出来だったので、spotifyで確認。生きのいい演奏が聞こえて来たので、速攻で購入した。CDとは曲数が異なりハイレゾの方が2曲多い。若いと思っていたが、二十代後半とは知らなかった。メンバーは前作の「Little Girl Power」と同じメンバーだが、熟成を重ねてかなり仕上がっている。タイトルは「アブソートリー ライブ」となっているが、どいう言う意味なんだろうか。「全く(素晴らしい)ライブ」とでも訳すのだろうか。まあ、それほどすごいライブだということは伝わってくるが、当ブログはうまく訳せなかった。曲はバップ・チューンを中心にした、オーソドックスな構成。日常のセッションをそのまま切り取ったような録音。寺久保のアルトの鳴り切ったサウンドが実に素晴らしい。線が太く、力強いサウンドは凡百の男性アルト奏者を遥かに超えている。音の切れ、テクニックも申し分がない。少なくとも国内の女性アルト奏者の中では技術的には一番ではなかろうか。「ラバーマン」や「スカイ・ラーク」のスローナンバーでの歌心と盛り上げ方も悪くない。聞いていると、フィル・ウッズのプレイを思い出させる。特に脱力したときのフレージングがそっくりだ。ただ、ビブラートを付けていないこともあり、スローな曲では子供が歌っているように感じる瞬間がある。とはいっても、このキレキレのプレイは今の年齢でしかできない活きの良さを感じさせることも確かだ。「ストンピン・アット・ザ・サヴォイ」と「ショウ・ナフ」ではソプラノを吹いているが、線が太くて、かなりうまい。アルトと遜色がないほどだ。特に「ショウ・ナフ」の、息をつかせないほどの怒涛のアドリブが圧巻。ところで、アルバム発売記念のツアーが7/27から予定されている。盛岡のすぺいん倶楽部でも8月25日に行われる。至近距離では一層の迫力が味わえるだろう。寺久保エレナ:アブソートリー ライブ 完全版(KING KICJ-821)24bit 96kHz Flac01.Jackie McLean:バード・リヴズ02.寺久保エレナ:ロッキー03.Andy Razaf/Edgar Sampson/Chick Webb/Benny Goodman:ストンピン・アット・ザ・サヴォイ04.Jimmy Sherman/Jimmy Davis/Roger Ramirez:ラヴァーマン05.寺久保エレナ:リトル・ガール・パワー06.Chick Corea:バド・パウエル07.寺久保エレナ:クリスタル・パス08.Dizzy Gillespie/Charlie Parker:ショウ・ナフ09.Hoagy Carmichael/Johnny Mercer:スカイラーク10.Cedar Walton:フィエスタ・エスパニョール11.寺久保エレナ:ビー・ナイス寺久保エレナ(as,ss)片倉 真由子 (piano, rhodes)金森 もとい (b)高橋 信之介 (ds, perc.)録音:2019年1月14日 新宿ピットイン
2019年06月08日
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グラナドスの歌劇「ゴイェスカス」(1916)を聴く。初めて聴く曲で、この歌劇のもととなったピアノ組曲(1911)は知ってはいるが、あまりちゃんと聴いたことがなかった。組曲の副題は「恋する若者たち」となっているが、歌劇にもつけられていたかは?ジョゼップ・ポンスという方の指揮するBBC交響楽団の演奏。ラテン音楽をイギリスのオケでという否定的な感情で聴いたが、冒頭から沸き立つような音楽に惹かれて買ってしまった。いつものeclassicalから$13.33で購入。題名は『「ゴヤ風の音楽」というほどの意味で、フランシスコ・デ・ゴヤの絵画やタペストリーの下絵に霊感を受けて作曲されているそうだ。』wiki台本はFernando Periquet y Zuaznabar によるが、ピアノ曲をもとにして台本を作ったというからすごい想像力だ。この曲は1916年1月にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で初演されるが、立ち会ったグラナドスは、帰りの船がドイツの潜水艦に撃沈され亡くなる。 歌い手は4人だけで、演奏時間1時間あまりの小ぶりなオペラ。粗筋は、次のようになっている。18世紀末のマドリードを舞台に、恋人ペーパがいるにもかかわらず、美しい令嬢ロザーリオをたらしこもうとするジゴロの闘牛士パキーロ。嫉妬したロザーリオの恋人フェルナンドがパキーロに決闘を申し込み、殺されるというもの。指揮者のジョセプ・ポンス(1957-)はスペイン生まれの指揮者で初めて聞いた。主にスペインで活動しているようだ。10枚以上のCDをリリースしていて、ラテンものからマーラー、ストラビンスキーなど守備範囲は広そうだ。生き生きとした音楽でとても楽しめる。歌手もそろっている。特に上流階級の令嬢ロザーリオ役のナンシー・ファビオラ・エッレラ(1968- ベネズエラ生まれ)がいい。このオペラではコーラスがかなり活躍していて、BBCシンガーズが生き生きとした合唱を繰り広げている。気に入ったのは、第3幕のロザリオのアリア。スペイン情緒が濃厚な美しい旋律で、とても印象的なナンバー。ピアノ組曲では第1部の第4曲「嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす 」ポンスの指揮はタメをあまり作らず、すっきりとした仕上がり。劇的な表現にも不足はない。スペイン情緒を徒に強調しないが、曲によっては、テンポを落として、じっくりと歌ってほしいところもあった。BBC交響楽団はさすがにうまい。これがスペインのローカルの楽団だと、ローカル色豊かな(言い換えると田舎臭い)だけになっていた可能性が強い。ところで、ラローチャのピアノで組曲を何回か聞いてみたが、組曲のほうが曲の美しさがよくわかった。オペラも美しいところが沢山あるが、散漫な印象だった。このオペラ頑があまり上演されない原因の一つかもしれない。映像を伴っていると、だいぶ印象が違うような気はする。なお、ジャケットはゴヤの「ペレレ遊び」という絵画。「ペレレ遊び」とは女の子が藁人形を毛布で飛ばす遊びだそうだ。ゴヤの絵を見ると少年が飛び跳ねているように見えるのだが、藁人形だそうな。まあ、これが人間だったらすぐ地面にたたきつけられるだろうから、実に恐ろしい遊びということになるのだが。。。ハイライトJosep Pons Granados:Goyescas(Harmonia Mundi 902609DI) 24bit 96kHz FlacNancy Fabiola Herrera(s)Lidia Vinyes Curtis(ms)Gustavo Pena(t)BBC SingersBBC Symphony OrchestraJosep Pons;Recorded July 2018, Barbican Concert Hall, London
2019年06月06日
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この前森麻季のコンサートに行ったときに、偶然見つけたチラシで知った川嶋哲郎トリオのライブを聴く。このところ彼のリーダー・アルバムをレンタルして聞き込んでいたので、ちょうどいいタイミングだった。場所は盛岡の浜藤ホールというところ。明治橋の近くにある会場でもりおか町物語館の中にある施設。岩手川鉈屋(なたや)町工場跡にあり、岩手川の施設を改装して、昔の風情を楽しむことをコンセプトにしているようだ。浜藤ホールも高い天井とむき出しの太い梁が特徴的。ステージもバックが漆喰の壁。音響的にはいい条件で、サックスとドラムスはアンプを通さない生音を聴けたのは嬉しかった。ピアノ・レスのトリオは珍しいが、ピアノは備えていないようだし、ステージが狭いのでアップライトでも厳しそうなので、トリオにしたのだろうか。サウンドが寂しくなるかと思ったら、全くそんなことはなかった。川嶋は今回のコンサートの実行委員会の長沢さんとは旧知の間柄で、2015年のソロ、2017年の菅原高志とのデュオは長沢さんがプロデュースされたようだ。最初は映画「Rio Grande」からのスイングナンバー「'm An Old Cowhand」がカリプソのリズムで演奏された。原曲はスイング・ナンバーだろうが、いちおう挨拶程度の選曲。これを聞いて、今日は軽い感じで進めるかと思ったが、予測はいい方に裏切られた。菅原高志がスネアを手で叩いて、ユーモアとトロピカルなムードを醸し出していた。2曲めは菅原のリーダー・アルバム「ディパーチャー」で発表された川嶋のオリジナル。激しいプレイで、ドラムスとベースのソロも良かった。3曲目はマット・デニスの「コートにすみれを」コルトレーンの最初のプレスティッジ盤で有名だが、今回は息もつけないほど大量の音符を吹いていて圧巻。コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」を上回る大迫力。最後はコルトレーン盤のエンディングを意識したつくり。最後は「Jクイック」クイックとは既存のナンバーを下敷きにした、川嶋のグループでの速く演奏するための練習曲みたいな位置づけだそうだ。J、C、Dとあり、今回はJクイックとアンコールにDクイックが演奏された。「Jクイック」はクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットで有名なブラウン作曲の「ジョイス・プリング」を下敷きにしている。最初は普通のテンポで始まり、ベースソロのあとで突如として倍テンポになる。テンポ感としては倍どころではない感じで、疾走していく様を聴いているといい意味で背筋が凍るようなスリルを味合わせてくれる。今回のハイライト。後半の最初はデュオが2曲。よく知られている童謡が素材だが、面白い演奏だった。最初はフルートとベースのデュオで「故郷」川嶋のフルートは本職でないので仕方がないが、少し物足りない。ビブラートが荒いのも気になる。ソロ自体は面白く、ベースの長いソロも聞かせる。後半でキラキラ星が演奏されたと思ったら、歌い始めて、最後は冨樫を促して、高いキーで故郷を合唱していた。ライブならではのパフォーマンスが嬉しかった。次はドラムスとテナーのデュオ「浜辺の歌」最初と最後にサックのエオリアンサウンド(空気の音)とブラッシュによる砂の音が入っていて、中々凝った演出だった。次はピアソラの「オブリヴィオン」この曲はもともとはイタリア映画『エンリコ4世』の挿入曲で、タンゴ臭はあまりなく、通常の演奏もムード音楽的な演奏が多い。今回はリズムがゴツゴツいていて中近東当たりのムードが醸し出されていて、異色のアプローチ。最後は「Take The A Train」セント・トーマス、虹の彼方になどを引用した、川嶋のロリンズ張りの豪放なテナーが存分に楽しめた。アンコールはクイックシリーズの中から「Dクイック」このDはドナ・リーの頭文字のことだろうか。「ドナ・リー」や「パーカーズ・ムード」などが使われていて、「Jクイック」よりはリラックスして聴けた。川嶋は体調がすぐれずライブをセーブしていたそうで、最近体調が回復したのでライブも増やしているとのこと。得意のフラジオ(音域外の高音)や重音、グロートーン(声を出す)も出て、当ブログの彼のイメージそのままの姿で嬉しかった。楽器が重くて辛いということも漏らしていたが、体をいたわりながら演奏を続けていただきたい。ドラムスの菅原は福岡生まれの今年43才。有名なジャズ・ミュージシャンとの共演が多く、川嶋とは2001年以来の付き合い。切れ味が鋭いが、重いコン棒で、がつんと殴られたような衝撃を感じるそれなのに、動きが機敏で、手数が多く、ドラムの皮を肘で止めるなどの裏技も多彩だ。ところで、トップ・シンバルが円周方向に10度くらいの角度で欠けていているのが目についた。それに円周に何個か穴が開いていて、クリップか金属のワイヤー吊るされている。何の効果を狙ったものだろうか。冨樫は札幌出身の17歳。茶髪で身長もあまり高くなく、細身で頼りない感じがする。時々躊躇するような瞬間が感じられるのは若さからだろうか。ベースは8歳からやっているそうで、テクニックはあるし、なによりサウンドが美しい。川嶋によると、将来ジャズ・ベースを担っていく逸材で、期待されていることがわかる。ライブの模様がyoutubeで見ることが出来る。この歳でリーダーを務めていることも驚きだ。高校は行っていないのかと勝手に心配してしまったが、余計なお世話だろう。川嶋哲郎 TRIO JAZZ LIVE in 盛岡 2019前半1.I'm An Old Cowhand2.川嶋哲郎:One WayTicket 3.マット・デニス:コートにすみれを4.川嶋哲郎:Jクイック後半1.故郷2.浜辺の歌3.ピアソラ:オブリビオン4.ビリー・ストレイホーン:Take The A Trainアンコール川嶋哲郎:Dクイック川嶋哲郎(ts、fl )冨樫マコト(b)菅原高志(ds)2019年5月30日でもりおか町物語館浜藤ホールにて観賞
2019年06月04日
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