第1話 死の顔 The Face of Death 教皇が生死の境をさまよう中、枢機卿たちは死臭に群がるカラスのように、次の教皇はローマ人に、ボルジアの財産や土地が欲しいなどとばかり話し、教皇の命を案じるものはいなかった。カテリーナ・スフォルツァはボルジア家全員を暗殺するためルフィオを使う。
スローモーションで医者が走って来る。教皇が瀕死。ヴァノッツァが死んだ毒見係を布で隠す。
チェーザレ「カンタレラだ 打つ手は?」 医師「ありません もう旅立たれます」 「それは私が許さない」 ルクレツィア「あるわ 木炭を使うの 本で読んだだけだけど」 医者「これは魔術だ!But this is witchcraft!」 ルクレツィア「いいえ 医術よ!This is physic!」 チェーザレ「Do what she says... every detail... and if his soul departs. I shall insure it does do so alone!全て従え 父上が旅立つ時はお前も一緒だ」
チェーザレ「父は生き延びた しくじったなMy father lives! You failed!」 ジュリア―ノ・デッラ・ローヴェレ「 Ah.」 「いう事はあるか?What say you to that?」 「今日生きていてもいつか死ぬ その時あなたは?Today he lives. One day he shall not, and on that day where will you be?」 「覚悟はできてるな サヴォナローラが味わった苦痛 あれが戯れと思えるほどの地獄を見せてやる」 「待て さっきの質問考えてみたまえ 父親が死んだらどうなる?獣たちに食い物にされるだけだ 私は失墜した しくじったのだ 分かってる 死んでは何の役にも」「What use am I to you dead?I do not want you dead... not for a long time. すぐに死なせはしない 心行くまで楽しませてもらう」
第2話 粛清 The Purge 枢機卿団の粛清を進める教皇に、更なる陰謀が迫る。殺し屋ルフィオは反ボルジアを掲げる者たちに同盟を呼びかける。そしてルクレツィアは、兄に対する特別な感情に気づき始める。 やっと毒が抜けたアレクサンデル6世はまたも命を狙われる。
髭剃りをするチェーザレ。 教皇「デッラ・ローヴェレは誰の手引きで逃げたのだ?Della Rovere's escape was orchestrated by whom?」 チェーザレ「あいにく分かりませんOf that I must plead ignorance.」 「ここは蛇の巣穴だぞ 腹黒い毒蛇どもに囲まれているというのに随分のんきなものだな さてはお前か?We are in a snake pit surrounded by venom and smiling vipers, and our son pleads ignorance.Maybe it was you.」 「お前が逃がしたのか あの男を生かしておいてお前の愛する父の最期を見届けさせる気か」「本気でお疑いなら信頼を失ったものです」 「誰も信じられん 何一つもな 神の御導きですら」 「家族は信じておられる?」 「わが家族 信頼と安心が宿る所 そうだな 家族のもとでは気が休まる だが蛇の群れは何とかせねば 枢機卿団を集めて浄化する 清めるのだ この体から毒を抜いたようにな」
教皇「このローマを蜘蛛の巣に見立ててみよう ローマの一族はそれぞれ糸をのばしその先に結び付けた卵をヴァチカンに産み付けているThink of Rome as a spider's web, my son, and each family has its silken thread attached to an egg which is planted within these walls.」 チェーザレ「オルシーニ ヴィタリオ コロンナOrsini, Baglioni, Vitelli, Colonna.」 教皇「それぞれの卵に結びつけられた糸は一族を介しタランチュラの巣へとのびている フォルリのアラクネ カテリーナ・スフォルツァへと どの卵にも枢機卿の帽子が載っている 彼等は服従と忠誠を誓いながらお前を殺す機会を狙う お前の母 そして妹も さらに彼等はお前の弟の命を狙い成功したAnd each one of these diaphonous threads go back through their families to the tarantula of Forli, the great arachnee, Caterina Sforza, and every egg wears a cardinal's hat and a smile of obedience and piety, and plots to murder you, your mother, your sister, and the plot to murder your beloved brother succeeds.」 「許しがたいことです」 「よいか 我が愛情を取り戻したいなら 糸を辿りヴァチカンの外へ行け 糸を引く一族に接触するのだ 枢機卿たちのことはこっちで手を打つ」
「持参金の交渉をなさるのね 彼の伯父様と」 「ナポリ国王とな」 「愛を秤にかけなくてはならないの?」 「私と彼が?」 「それも」 「では誰が?」 「息子のジョヴァンニ ナポリでは歓迎されないようなの」 「それも予想していた」 「国王が前の結婚の荷物を持ち込ませないと」 「息子が荷物?」 「いいえ 何より大切な宝よ」 「そういえばいい」 「お兄様もそう言って 馬丁の子が王室に入れるよう説得してください」 「いいか お前はルクレツィア・ボルジア イタリアを揺るがす女 羨望の的だ じきアラゴン王家に嫁ぐ Whoever gets in the way of your happiness will feel my wrath.We are the unholy family.お前の幸せは誰にも邪魔させない ボルジアは罪深い一族だ」キスする二人。 「彼にわからせろ」 「もう気づいてるかも」 「彼はお前を愛しお前に尽くす 息子を取り上げるなら断言しよう ナポリに平和はない 誰か来てくれ」
教皇「ジュリアは気に入るかな この邸宅を」 「ここへ追いやるつもり?」 「いや だが少し距離を置くほうがいい お互いに」 「そう伝えた?」 「話をした 動揺してた だが涙はすぐ乾いた 彼女の方もほっとしたのだろう 解放されてな」 「何事にも終わりが ここどなたの邸宅?」 「私に背いた枢機卿のだ」 「彼女 他にも望むものが」 「話したのか?」 「相談されたのです “お強さが失われた”と 驚いたふりをしたわ」「言ったであろう これは神の祝福だ 何がおかしい?」 ヴァノッツァ「私もあなたを失ったことが祝福だったとMy life without you has turned out to be another blessing in disguise.」 教皇「お互い祝福されたわけだHmmm. We're both blessed then.」 ヴァノッツァ「一緒では地獄 離れれば心安らかにTogether we were cursed, but apart at least I am at peace.」 「なんて広い寝台 まるで会議場ね 何人で使ったのか 何?」 「やはり特別だ そなたといると高ぶってくるのを感じる」 「衛兵を呼んだら?」 「そんな大声は出ない 子ヤギか 久しぶりに呼ばれた」 「今でも囁きます まれに いいえ だめですよ お強さを失ったんでしょ」 「取り戻せたようだ」 笑い出すヴァノッツァ 「原因は毒ではなかったのね」 「そのようだな そなたといると安心できる 我が家のようだ」
「里帰り良かった?」アルフォンゾに愛想よくするルクレツィア。 横からかっさらうチェーザレ。「お前に話がある」 「拒まれた?」 「いずれ王も気づく 子一人の幸せで信頼を得られるなら安いと」 「子ひとりと母親の幸せよ それが高望み?同盟を結べないと脅されるほどに?私は愛に値しない?」 「いや そんな事ない」 「ローマは世界の頂点よpeak of the world 私たちはその頂きにいる それなのにどっちを向いても私が幸せになれる場所を見つからない なぜなの?Why cannot be happy?」 「私が幸せにする 必ずI make you happy.I promiss.」
教皇「下世話な事を聞くが王妃が醜いが故に夫婦関係を持てないと?Forgive my curiosity. Am I to understand she is so uncomely she is unbedable?」 フランス大使「申し上げてよいかIn all honesty then...」 「何でも申して良いYeah, honesty is always good.」 「王妃様は袋が二枚必要な女性ですShe is what we must call a two sack woman.」 「What?」 「袋で顔を隠せば抱ける女はおりますが王妃様の場合男も袋が必要です 一方が外れた時のためThere are women one might take to bed only if they were to wear a sack over their heads, and then there are others where you too must wear a sack lest theirs falls off.」 「さらに王妃様にはお子ができない」 「なるほどルイ王には心より同情申し上げる」 「誠に暖かいお言葉です聖下」
ヴァノッツァ「席はお互いの家族が向き合うように?それとも混ざり合うような席順にする?どうしたの」 ルクレツィア「お兄様がフランスへ」 「だから?」 「結婚式の直後よ 私が嫁ぐナポリの天敵のご機嫌を取りにいくの」 「そう言ってた?」 「いいえ でもお兄様の目を見て分かった 私には隠せない」 「何が心配?婚約者との仲を壊すわけじゃ」 「この家族を動かすものは?What rules this family, Mother?」 「愛Love.」 「野心よ この家族は野心で動く お父様もお兄様も それに私自身も荒れた庭に住みたくないAmbition... Ambition rules this family - my father's, my brother's, and I would have to add to it my own if I don't want to live in a garden of weeds.」 「ルクレツィア あなたがお父様の体から毒を抜いたのよ あなたはローマを救ったの どんな使命でもはたせる まして家族のためなら そうでしょ もっと自分を信じて」 「そうね 信じられるのは自分だけ」
不穏な貴族達の後をつくチェ―ザレ。 チェーザレ「これはオルシーニ殿」 ロドリゴ・オルシーニ「枢機卿じゃないな 法衣を着てない 兵士でもないな 軍を率いてない 誰かの嫡出子ですらない だから聞いてる あんたは誰だ」 生まれを揶揄されたチェーザレ「落ち着けロベルト 私の葡萄酒でも飲んで私の庭で踊れ ローマの貴婦人の体でもまさぐるといいTake a breath, Roberto. Have some more wine. My wine. Take a dance in the garden. My garden. The pretty young noblewomen of Rome, I'm sure, would delight to have you paw at them.」 「ローマの若い女になんか興味はないI care nothing for your pretty young noblewomen.」 「では若い貴公子を紹介しようかThen, I will introduce you to some pretty young noblemen instead.」 なぐりかかるロベルト。
結婚式初夜にルクレツィアが忍んでいった先は何とチェーザレの寝室! 「何をしてる」 驚くチェーザレ。 「私は愛に値しない?」 ルクレツィア「しかたないの ボルジアだけがボルジアを愛せるOnly a Borgia it seems can truly love a Borgia.」 「私たちの仲を皆ささやいてる もう断罪されてるわ いまさら抗わなくても」 「お前には夫が」 「お兄様が夫よ 今夜は」
第4話 栗拾いの宴 The Banquet of Chestnuts 教皇の愛人ジュリアが提案した宴は、枢機卿が羽目をはずした肉欲の宴となる。フェルディナンド2世(ナポリ王)は、両家証人立ち会いのもとで、ルクレツィアとアルフォンソの「婚姻の成立」を証明するようボルジア家に迫る。ヴェネツィアから、オスマン帝国(トルコ)から侵攻されていると陳情が来る。アレクサンデル6世はジュリア・ファルネーゼと距離を置く代わりにジュリアの兄を枢機卿にした。チェーザレはルイ12世(フランス王)の元へ向かう。
ヴェルスッチ枢機卿が修道女に書類を渡す。 「アルミ鉱山の権利証書です 公共事業のために御寄進頂いたが返却する 今後は修道女会のものです 鉱山の収益も含めて」 院長「見知らぬお方 ありがとうございます お急ぎのようですが何からお逃げに?You're a strange messenger to bring such good tidings. You look like a man in a hurry. What is it you're hurrying from, Father?」 ヴェルスッチ枢機卿「私も“逃げている”と思っていたが今は”向かっている”と思っていますOh, at first I thought I was hurrying from, but now I rather think I'm hurrying towards...」 「神のもとへ?Towards God?」 「この先私を待ち受ける運命へTowards whatever destiny I have wrought for myself.」
第5話 残酷な劇場 The Wol and the Lamb チェーザレはフランス アヴィニョンの荘厳な城での滞在を満喫する。教皇は、スフォルツァ枢機卿とある陰謀を企てる。その頃ルクレツィアはナポリ王国フェルディナンド2世の殺害をもくろんでいた。ナポリとローマ、ヴァチカンとスペインの関係を強化する政略のもと、子供と引き裂かれルクレツィアはナポリに嫁ぐ。枢機卿を辞したヴァレンティーノ公チェーザレ・ボルジアは婚姻無効の特免状と軍隊援助を天秤にルイ12世とその王妃ジャンヌ・ド・フランスに謁見する。 チェーザレは特免状と引き換えにヴァランス等の公爵として領土と軍事支援、聖ミカエル騎士団の騎士の称号と妻ナバーラ王フアン3世の妹シャルロット・ダルブレを得る。 フェルディナンド2世(ナポリ王)死去。
教皇「マダム これ以上ここにいてはならん」 ビアンカ「追い出すの?」 「いや だがご主人が醜聞を広める気だ 彼のもとへ帰らねば 色事は王の特権かもしれん だが私は教皇だ 教会を率いておるScandal may be the perrogative of kings, but we are the Pope of Rome. We have a church to run.どうして聖書の言葉を借りるのだ」 風呂でキスする二人。
フランス アヴィニョン チェーザレがやって来る。 ジョルジュ・ダンボワーズ「ボルジア郷 貴族にしては地味ですなMy Lord Borgia, you look quite sober for a duke.」 チェーザレ「王にしては法衣が似合うYou look quite priestly for a king.」 「陛下は狩りです お気を悪くなさらないよう 決まりでして 教皇の息子であっても」 「ボルジア教皇の私生児か」
「よくも 親し気な顔をして騙すとは」 チェーザレをひっぱたく王妃。 「あの女に手を焼くがいい 悪魔を生ませボルジア家に約束された地獄に落ちよMay you rot in the circle of Hell reserved for the Borgia family.」 「地獄もない 天国もです 世界は人が作るThere is no Hell, no Heaven either. This world is what we make of it.」 怒って出ていく王妃 「お気に触ったら申し訳ありません あばずれめ」 シャルロット・ダルブレ「私けだものと結婚するのね」 「まだ早いよ 交渉は微妙な段階にある」 「 さっきのような余興を見せてくれただけでもあなたの求婚お受けします もっと楽しませて」
ファルネーゼ枢機卿「ロンギヌスの槍?キリストの脇腹を突いた?何世紀も行方知れずには?」 「いえ 違います 隠されていたんです 安全な場所に ユダヤ人だけが知る秘密ですSecret of only the Jews」
ナポリ チェーザレ「ナポリ国王が逝去」 ルクレツィア「無残にも」 「子供を取り戻せたな」 「新国王が即位するまでは」 「王位の継承順でいくとお前の夫は?」 「彼の前に二人もいるわ」 「相手を間違えた?Did you marry a wrong man?」 「ええ 私らしいでしょ 1000回結婚しても相手を間違うわIf I married a thousand times, it would always be the wrong choice.お兄様はどう?」 「私もだOf Course だが妻は美人で教養もある」 「軍隊もついてきたし」 「フランスがくれた」 「ナポリを荒廃させた軍隊ね 大丈夫なの?」 「お前まで父上のように文句を」 「驚かされるのが嫌いなの」 「息子はいつか父親の真似をするものだA father may forget that one day his son will follow his example, not his advice.」 「お兄様には政治と愛は切り離せないものなのね」 「妹と違ってな」 「いろいろあっても私夫を愛してるの お兄様は?」 「妻とは愛など問題じゃない 私にはお前だけ」 「それでは約束して 勝って戻ることを フランスとの同盟で私の結婚を危うくしないで」 「ナポリとの結婚を?」 「夫との結婚よ 彼はナポリの人だもの」
「ロンギヌスの槍だと?どこにある?」 ユダヤ人マッタイ「エルサレムの地に何世紀も眠っていました 我々と共にコンスタンティノープルへ その後も隠されたままです 例えばローマに入りたい時 ユダヤの民に金はなくても歴史はありますWe poor Jews have little in the way of coin, but we are rich in history.神がお許しになることならどんな礼でも ローマに入れて頂けるなら」 「持ってこられるか?」 「既にその途にあります 差し上げましょう もし」 「話はわかった 教皇の勅書を作成させよう そなたらユダヤの民をローマに迎えよう」「」「まことに寛大な処置です」 「教皇の期待に応えてくれた 嬉しいぞ ファルネーゼ枢機卿は有望だ」
ナポリ ルクレツィア「幸せになれる?Can we be happy now?普通の家族のように」 アルフォンゾ「普通の家族とは違う」 「いろいろあったけど思いやりに感謝してるわ 忍耐強さに」 「ボルジア家が思いやりに満足?」 「あなたのような王子様に愛されたかったの いつか王になるYou could be King one day.」 「ならないよ」 「わからないの?家族を守るにはそれしかないのよ 息子と暮らすにはあなたが王になるしか」「僕はビシェリエ公だ つまり王位継承権は第三位 前に二人いる 王位を巡って死闘を区r拡げるのはフレデリーゴとラファエル 僕は権力になんて何の興味もない」 「あなたの生き残りがかかっているのよ 私達の生き残りがOur Survival私が戦うわ」
せき込みながら起き上がる二人。 ミケロット「 Jesus must love you, Cesare Borgia主はあなたを愛してる チェーザレ・ボルジア」 チェーザレ「ああ 主は泣いておられる 血の涙を流されて そうとも 主は 私を愛してる 主は私を愛してる!Yes, he wept. He wept bloody tears. He does... he does... He loves me! Jesus loves me!」
ミケロット「"私は憎みかつ愛す なぜと問われてもわからない その思いに"何だこの続きは? "I hate, and I love. Why, you may ask? I do not know. But it happen, and I... and..." How does it go?」 パスカル「"苦しむ" "I burn."」 「ラテン語で頼むNo, in the Latin, please.」 「エクスクルキオル"Excrucior"! "Excrucior"!」 「たいそうな言葉だな It is a big word for "burn"!」 「 なぜだ なぜ恋人になったWhy? Why did you become my lover? Why?」 「金をもらったBecause I was made an offer!」 「誰から?From whom?興奮したか?危険な任務にYou enjoyed the thrill? The danger, yes?」 「ああ したよ 楽しんだYes! Yes! I admit, I did.」 「皮をはぐところだが情けをかけるI should flay you alive! But I will be merciful.」 「本当? You will?」 泣き出すミケロット。見つめるパスカル。 「 どう死にたいか言え パスカルYou tell me how you wish to die, Pascal.」 「死ぬのか あなたの腕の中でI die? In your arms.」 首を振るミケロット。
ヴァノッツァ「もう棺に入るおつもり?」 教皇「死は誰にでも訪れる ヴァノッツァ 家族で同じ墓に入りたい」 「私も入れます?」 「そなたか?片隅にならな」 「長男と話しているか?」 「あまり 夜幽霊のように出入りを」 「何か計画しているなら知りたい」 「なぜ私に?」 「母親であろう」 「チェーザレは不可知」 「スフィンクスか フランスの王と軍を手中に何をする気やら... nobody knows what he's going to do next.」 「話してみた?Have you tried talking to him?」 「姿を見せんのだWe never see him to talk to him.」 「許そうとは?Have you tried forgiving him?」 「何を?For what?」 「わだかまりですWhatever lies between you two!」 「つまり?And what's that?」 「二人しか知らないWell, only you two know.問題は似た者どうしってことThat's the trouble. You're too alike.」 「問題はあれに会えないことだMmmm. The trouble is I miss him.」
声を出さず二人を見守るチェーザレ。 ユダヤ人マッタイ「聖下 イタリアの硫黄を買い占めました」 教皇「キリスト教徒で平和の徒だな」 「望むのはイタリアの平和ですか」 「いや そうとも限らん」 「そう思ってました ご要望に応えましたので同胞のもとへ帰ります」 「いや それはいかん 計画を進めるにはそなたが必要だ その能力を備えた者が」 「助言者ならおそばに 枢機卿や」 「彼等は現実を知らん 彼等に任せられるのは勅書の作成くらいだ いかん そなたがまだ必要だ 密かに動ける者が 有り余る才能を持ち使う機会のないことを嘆いています」 「ユダヤ人が?」 「キリスト教徒 戦士ですWarrior 人の上に立つ者ですLeader of the man.おそばに置くべきです ご紹介します」 「今か?」 チェーザレを見て驚く教皇 チェーザレ「私相手に企みを?」 教皇「お前こそ」 「火薬を隠しカテリーナの仕業に見せた」 「お前はフランス軍を招き入れた」 「大義のため」 「お前の大義とは何だ?教皇に隠してる」 「父のくせに信じてくれない」 ユダヤ人マッタイ「おやめください あなた方は家族でしょうYou are a family or not?ユダヤ人は家族の絆を重んじます 父と息子の絆は特別に強い」 「息子がいるのか?」 「神聖なものです アダムはカインをもうけた」 教皇「弟を殺した子だ」 ユダヤ人マッタイ「アブラハムはイサクを」 チェ―ザレ「息子を生贄に」 ユダヤ人マッタイ「神が押しとどめた だから我々がいる 皆アブラハムの子孫です 息子を抱きしめてください 彼を認め彼を支え愛を与えてください」 教皇「火薬や軍を?Powder or Army?」 チェ―ザレ「父の愛をです 愛を」 ユダヤ人マッタイ「あなたに似せて作られたHe is made in your image!」 教皇「わかっておる 息子は私だ 情熱も怒りも衝動も瓜二つ 冷酷な野心まで 目を見ると私自身が見える そんな存在を愛せると?We don't know that! He is me! All the fire, the fury, the drive... the pitiless ambition! I look into his eyes - I see myself!Do you expect me to love that?」 チェ―ザレ「自分を愛せないのですか」 マッタイに合図するチェーザレ。
第10話 君主 The Prince チェーザレ率いる教皇軍は、スフォルツァ軍を倒すためにフォルリ城を砲撃。しかし無用な接近戦は回避する。
ニコロ・マキャベリ「ローマの別邸は使用人がいません フィレンツェは財政困難で I have no servants when here in Rome, my lord. Florence can no longer afford them.」 チェーザレ「民主制か マキャベリ殿Ah, democracy, Signor Machiavelli.」 「良さもあるようですThey say it has its merits.完璧な犯罪とはどのようなものと思われる?What would you say is the perfect crime, my lord?」 「犠牲者がいない?The one without a victim.」 「いえ 容疑者のいない罪ですThe one without suspect.よくこう考えました 弟君を殺した者は自らを疑わせず 皆を容疑者に仕立てた それこそ完璧な犯罪では?そういう者こそいつか完璧な“君主”になる」 「国を持たずにどうやって君主になる?」 「なれません だからお話しに来られたのでしょう?」 「フォルリと戦う時フィレンツェは?」 「フィレンツェは例によって何もしません」 「フォルリへはフィレンツェを通る」 「夜なら気づかれないが軍隊は音を立てる」 「静かに行軍させよう 騒ぎも略奪もない」 「二つの軍隊ですね 倍の騒音だ」 「内密に頼む もうフランス軍はロマーニャの森にいる」
チェーザレ「コロンナの末路で掟はわかったな 私はいくらでも冷酷になれるNever presume that I won't act on my worst instincts.忠実であることが身のためだ 教皇軍は十分な装備と念願の火薬を得た 将軍たちに指揮は取らせるな 軍は略奪したがるものだがそうさせてはならん 狙うは一つ 敵の城塞のみ では友よ 兵を紹介する 剣に何とある」 兵士たち唱和「皇帝か無か」 「ついていくしかない 敵には回せん」 「チェーザレか無かCesare or Nothing」
眠っているチェーザレの前にミケロットが現れる。はっと驚くチェーザレ。 「ミケロット どこにいた?Micheletto, where have you been?」 ミケロット「神と話をTalking with God.」 「何と言われた?And what did he say?」 「 何もNothing.」 「また私と共に?」 「城壁をいくら撃っても意味はありません」 「それを言いに来た?」 「私はフォルリの出ですよ こちらへ 古い地下採石場が 城門の横 位置を正確に割り出して集中的に砲撃すれば塔は崩れます」 「このまま去る気か」 「止められますか あなたに 私は死人だI'm dead さようなら ボルジア殿Bye,Cesare Borgia」
チェーザレ「やめろ 無用な殺生はするな」 カテリーナ・スフォルツァ「欲しいか?くれてやる 矢を放て この体に残らず突き立てよ やまあらしのごとく」 チェーザレ「縄を狙え」 「早くしろ」 チェーザレ「命を無駄にするな」 カテリーナ「でももう惜しくはないCome on! Give me a legendary death.Does it take a Caterina Sforza to kill a Caterina Sforza?死して伝説を残す カテリーナ・スフォルツァを殺せるのは私だけか?」 綱が切れてチェーザレが落ちて来るカテリーナを助ける。 「あなたは生きるんだ」 「なぜ?」 「私が望むからだ」 鎖に繋がれるカテリーナ。衣装が運ばれて来る。