inti-solのブログ

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2024.11.16
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カテゴリ: 政治
やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう

筆者は先月、夕刊フジに「夫婦別姓のもとに生まれた子供は~強制的に父あるいは母と違う姓となる」「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」と問題提起した。
別姓推進派は「選択肢が増えることはいい」「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する「子どもの権利条約」が採択された。
日本の「こども基本法」にも、1差別の禁止2子供の最善の利益3生命、生存及び発達に関する権利4子供の意見の尊重―などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は「子供への権利侵害」として、1から4のすべてが該当すると考える。出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、2と4が侵害される。育つ過程では、1と3が侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する「差別」や「アイデンティティーの喪失」が、子供に行われる可能性が否定できない。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。「強制的親子別姓」「強制的兄弟姉妹別姓」は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。

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選択的夫婦別姓制については、だいぶ昔に何度か記事を書いたことがあります。
自民党総裁選で、有力とされた3人の候補のうち、石破と小泉が選択的夫婦別姓制に賛意を示し(もっとも、首相就任以降、石破は急にこの問題に口を閉ざしてしまいましたが)、また自民党が惨敗して選択的夫婦別姓制賛成の立憲民主党や国民民主党が躍進したことから、反選択的夫婦別姓制のネトウヨ陣営が危機感を募らせているようです。
しかし、相変わらずの滅茶苦茶な主張と言わざるを得ません。

まず、選択的夫婦別姓制は、ネトウヨが狂ったように反対し始める以前の平成の初めころの時点では、導入は既定の方針となっていました。法務省は、1996年に選択的夫婦別姓制導入のための民法の一部を改正する法律案要綱を策定して、法制審議会に通しています。
その内容を見ると


一 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
二 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとする。


となっています。
つまり、別姓を選択する場合は、結婚する時点で子どもの姓を夫と妻のどちらにするかを定めなければならない、ということです。
従って、子どもの姓は全員一緒になるので、上記の記事が主張している「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」などということは起こりえないわけです。ありていに言って、それはデマです。

夫婦別姓だと子どもの姓を巡って夫婦で揉める、という言い分が散見されますが、この法案である以上、揉めるのは結婚のときであって子どもが生まれた時ではありません。しかし、本当に結婚のときにそのことで夫婦が揉めるでしょうか?もし揉めるとしたら、現行の夫婦同姓では揉めないのでしょうか?


それに、揉める要素は名字だけですか?
名前は自由につけられるわけですが、子どもの名前を巡って夫と妻で揉める話は聞きますが、「選択制にすると揉めるのだ」というなら、名前も自由につけるから揉めるので、政府が強制的に子どもの名前を決めますか?
実際には、子どもの名前で揉めるといっても、ドラマではともかく現実にはそんな深刻な例は聞いたことはありません。それなのに、姓が選択できることだけが「揉める材料になる」というのが、そこまで深刻なものであろうはずがなく、「ためにする議論」としか思えません。

「出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は2子供の最善の利益と4子供の意見の尊重が侵害される」いやいや、これは笑うところでしょうか?
今や夫婦同姓が強制される国は日本だけと言われます。否、実は日本でも夫婦同姓が強制されるのは日本人同士の結婚だけで、国際結婚では逆に夫婦別姓が基本で、別途手続きをしなければ日本人の妻、あるいは夫は配偶者の姓に改姓されません。
ということは、外国人と結婚した日本人の子どもは、子どもの最善の利益と意見の尊重が侵害される、のでしょうか??
夫婦別姓が基本、あるいは夫婦別姓が選択可能な、日本以外のほとんどの国でも、子どもの最善の利益と意見の尊重が侵害されているのでしょうか?
それなら、0歳児に本人の意見も聞かずに勝手に名前を付けることも子どもの最善の利益と意見の尊重の侵害だ、という話にならざるを得ません。昔の武士のように、生れた時は幼名をつけるだけで、元服したら自分で名前を付けさせろ、みたいな。
親子で姓が違うと、育つ過程で差別の禁止と子どもの最善の利益が侵害される、というのも、これとまったく同様です。どうしてそうなるのか、まったく理解不能です。

両親の姓が違う、親子で姓が違うことで、子どもが傷つくことが、一切まったくない、とまでは断言しませんが、たいしたことではありません。そして、子どもが傷つくことは、多分そんなこと以外にも様々な要因が山ほどあります。すべての要因をシャットアウトすることなど不可能です。その中で、なにに重きを置くのかは、それぞれの親が判断して決めればよいのです。両親の姓が違うと子どもが傷つくと考えるなら、同姓を選べばよいのです。そのための「選択的」です。そうは考えない親が別姓を選択することを強制的に禁じるのは、おかしなことです。

そもそも、引用記事ではとくに書かれていませんが、この手の選択的夫婦別姓制反対派は、判で押したように、夫婦別姓には狂信的に反対するのに、「旧姓の通称使用拡大」はもっとやれ、というのです。それはネトウヨの親玉たる高市らがこれを推奨しているからでしょう。


夫婦で名字が違い、親子で名字が違うことがそんなに子どもに対する差別になるなら、なんで「旧姓の通称使用」が推奨なんですか?戸籍なんて、日常生活で見ることは滅多にありません。特に子どもに戸籍を見せる機会なんて、ほぼないと言ってよいでしょう。私が初めて自分の戸籍を見たのは、高校生の時か、ことによると大学に入ってからだったかもしれません。たいていの人がそんなものでしょう。
見たこともない戸籍というものに書いてある名字が夫婦で異なると、そんなに子どもに悪影響があるというなら、毎日日常生活で実際に名乗っている名字が夫婦で異なっている方が、子どもにはるかに深刻な悪影響があるのは確実じゃないですか。
ならば、「子どもに悪影響があるから、夫婦が子どもの前で別々の姓を名乗るなんていもってのほかです、夫婦はかならず同じ名字を名乗らなければなりません」とならなければおかしいのに、実際には正反対で、「旧姓使用の拡大」とか言っているわけです。そりゃね、ネトウヨの親玉たる高市にしてからが、夫婦で妻「高市」夫「山本」と名乗っているわけですから、批判できないんでしょうけどね。
結局、「リベラルの連中が推進しているから反対だ」みたいな勘違いによる脊髄反射で狂信的に反対しているだけで、選択的夫婦別姓制のどこに反対しているのか、という点が理屈の体をなしておらず、単なる「反対のための反対」になっているわけです。

リベラルと呼ばれる政治的傾向の人が総じて選択的夫婦別姓制に賛成であることは事実ですが、選択的夫婦別姓制に賛成しているのはリベラル、ではありません。石破や小泉など自民党内に賛成派はいますし、維新や国民民主党も賛成しています。経団連も推進を言っています。「保守陣営」(実際はネトウヨ陣営)と言われる狂信的な人たちだけが強硬に反対しているだけです。私の周囲を見ても、特に正規職で働いている人には別姓希望が少なくありません。すべて職業上の都合と、生まれつきの姓を捨てたくない、という気持ちによるもので、イデオロギー的な理由に基づく人は、私の周囲でも稀です。

結局、他人の選択権を勝手に奪うな、ということに尽きます。





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最終更新日  2024.11.16 21:40:35
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