島流れ者 - 悪意なき本音

島流れ者 - 悪意なき本音

2004.05.23
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いつも同じ毎日を過ごしていると、その生活リズムが完全にパターン化されていること自体気づくこともない。今週末はそれを実感させられている。

金曜の朝からジャックはLandscapeArchitect(ランドスケープアーキテクト=屋外の、庭や公共の広場、個人の庭園などを設計する職業)のテストを受ける人のためのクラスを受けると言うことでUCLAに行っている。ここからは普通に行けば1時間なんだが、なんと行っても渋滞がひどいために、二時間近く掛かる。このコースは四日間続くので行ったり来たりをするよりもいっそホテルで留まったら?と提案したが、ジャックは節約のために毎日通うとがんばってくれることなった。

でも昨日は彼の叔父さん白血病の治療のためにLAの病院で入院しているので、せっかく近くに来たから、叔父さんと、その家族に会にいった。その日は多分遅くなるからホテルで泊まることになった。私はそれを承知でいたので、朝からのんびり(無職なので毎日だが)して、一日中コンピューターに向かい職探し、楽天に没頭し、ビデオエクササイズをして時間をつぶした。

いつもと違うのは夜になっても彼が帰ってこないこと。仕事をしているときは、忙しくてほかに目を向けることが沢山あるが、今は無職で毎日うだうだ過ごしているので、彼が帰ってきてああだこうだと話すことがひとつの楽しみとなっている。なので、昨晩は夕食の支度などせずに残り物のピザを食べて一息ついたけどまだ5時半。一日中家にこもっていたのでビーチに行って散歩でもしなさいよともう一人の私が言っているんだが、なぜか無視してその時にしなくてもいい事をやり出したらあっという間に夕暮れになってしまった。

それでもまだ7:30pm。いつもなら滅多に見ないテレビ(ジャックが占領しているので)を付け、ボーっと見始めた。するとレイカーズの試合がやっていることに気づく。いつもなら無視しているんだが、4thクウォーターで結構いい勝負であったために、裏番組と平行しながら見ていた。それから終わったあとのダイジェストまで見てしまったのだ。

その後ほかの番組で何か面白いものはないかなと見ていると、今度はジャックの好きな番組がやっているのでまたしてもボーっと見ているうちにあっという間に一、二時間が経過していた。その後滅多に飲まないコーヒーを飲みながら、もう寝なきゃと思いつつもテレビを見続けてあっという間に12時になったので、寝室に向かった。

ベッドに横たわりながら今日一日を振り返っていると、はたと気がつく。あれ?ジャックがいる時には全く興味のないことをしないことをやっていたかもしれない。何で??

いつもならテレビなんて滅多に見ないし、コーヒーだって何年も飲んでいないのに何で今日に限って飲んでいたのだろう?知らず知らずにジャックがやることをコピーしている自分が変だった。あたかも彼のいない空間を埋めるため、いつもの生活パターンを再現しているかのように。

日本に居た頃すぐ上のお姉ちゃんと一緒に住んでいた頃、彼女が私の出張時には、ついつい生活のリズムが狂って夜中の2時や3時までボーっとテレビを見ちゃうんだよねって言っていたことを思い出した。一人暮らしに慣れていた頃はそんなこと考えたこともなかったが、誰かと暮らし始めるとその人がある意味でのタイムキーパーとなっていて、知らず知らずに行動がそのタイムキーパーに頼るようになってしまうんだろう。それと行動パターンというのも前述のように、同居人に大きく影響されていることも普段は気づくことがないが、いざ独りになるとそれを補うような行動をしてしまうわけだ。不思議なもんだ。



経済的自立については現在は無職なのでお世話になっていることになるが、自分で稼ぐことによって自分に対しての自信が保てる性質なので、今は仮の状態であるが、精神的自立に関しては、基本的にはいつ何時何が起こるや知れないので、一人になっても崩れ落ちることないように、自分で何でもやって相手に寄りかかり過ぎないようにしようと努力している。このような考えはジャックと私は共通していて、彼は私では到底出来ない力仕事や家の修理に関してはやってくれるが、幸か不幸か、それ以外は基本的に私が何でも自分で出来るように鍛えてくれている。

例えば自転車がパンクしたときには付き合い始めの頃は直してくれていたが、あるときプレゼントと言ってくれたものは、自転車修理キットだった。その頃は車がなかった私は何処でも自転車に乗っていっていたので、僕がいないときに困らないようにとパンクの修理を教えてあげるという。軟弱だった私は、“そんな~、良いよ、もしパンクしたら自転車屋に持っていくから。”とごねていたが、“自転車屋が遠くて自転車を引きずって何時間も掛けていかなくちゃいけないところに会ったらどうするんだ!”と言って嫌がる私を特訓し、今では簡単な修理は自分でも出来るようになった。また、英語がままならなかった頃、何かの予約をしたり、店に問い合わせを入れるたびに、私の訛りのある話に対し辛抱ない係員から何度も嫌な対応をされたので、彼に掛けてくれるように頼むと、大丈夫だよ、君の英語はちゃんと伝わっているから。と絶対に手を貸さなかった。また、学校の宿題でレポートなどを書くときも、出だしがどうやって書いていいか分からないので手伝ってほしいというと、まずは間違っても良いからとにかく書いて見な、あとで直してあげるからと言って一向に私に暖かい手を差し伸べることはしなかった。

その頃、久しぶりに私の友達で十歳ほど年上のアメリカ人と結婚した日本人の友達を訪ねてた。彼らはまるで私のところとは正反対に、旦那さんが何でもかんでもやってくれている所を目の当たりにして驚き、同時に自分の状況を恨めしく思ったりした。何でジャックは困っている外人の私に手を貸してくれないんだろう、と。あれから6年たった今振り返ると、あのときに彼が何でもやってくれたら、今の自分がいなかったんだろうな、と。今でもちょっとした公式の手紙を出す際に彼に頼んでもやっぱりまずは私が書いてみて、それを手直しするというやり方を変えないので、彼がやったほうが早いのにとイライラすることも多いが、でもそれはそれで実は外国人として生きて行く私が自立して何が会ったも困らないようにと鍛えてくれているんだと思うとはらもたたなくなった。

何だが話がどんどんそれてしまったが、そんなわけで、精神的な自立を心がけてはいるのだが、長く住めば住むほど相手の存在が大きくなっていることに気づく今日この頃。この点では、キッパリの自立をするということはまず不可能なので、持ちつ持たれつという中間的なところで良しとするか。





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最終更新日  2004.05.23 02:31:03
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