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さて、前回ワサワサと沢山いるベタ稚魚達もこれから始まる飼い主の独断と偏見に満ち満ちた選別の網目を潜り抜けて生き抜かなくてはいけないって書きましたけど、もう少し具体的に説明しましょう。ちなみに、この稚魚達は全長2cm前後と言うサイズです。コレくらいのサイズになれば、もうおおよその外見やカラーリングも判って来ますので選別開始には最適な時期といえるでしょう。 ちなみに、バンコクのプロブリーダーたちは生後3ヶ月程度で市販サイズにまで育て上げますが、これを標準と思わないでください。一日中ベタの管理に時間を割ける環境で、水温が常時30℃程度さらに豊富な生き餌が簡単に入手できるタイならではの事ですから。1日1回しか餌を与えられない平均的なアクアリストならば生後3ヶ月で全長2cm前後、生後半年で成魚サイズにまで育成できれば十分だと思います。 稚魚達の選別の第一段階ですが、この時点でカラーリングにこだわるのはやめておいた方が無難です。特にマーブル系は成長と共に大きく模様が変貌しますから、1枚目の画像のようにヒレに美しいレッドのマーブルパターンが出ているからと言って過剰に期待するのは無駄ってもんです(苦笑)。逆に、ただのソリッド・ブルーだと思っていた個体が成長と共に見事なブルー&ホワイトのマーブルパターンに変身するってケースも別にまれではありませんからね。 サイズの大小も選別の根拠にはなりません。この時期やたらと成長の早いいわゆるトビと呼ばれる個体から、なんだか生まれたときとあまり変わらない貧弱なサイズの個体までサイズはバラバラです。特に、餌やりの回数が少ない飼育環境では顕著です。しかし、成長速度とベタとしてのクオリティにはなんの関係もありませんから、この時期出遅れた個体だってもしかして大器晩成型かもしれないし、大切に育成してあげましょう。 それじゃあ、どこを見て選別するのかって?もちろんブリーダーによって基準は異なるでしょうが、私の場合は選別の第一段階としては奇形の個体を取り除きます。当たり前すぎる意見だと思いますが、ダブルテールの繁殖なんてした日には体が折れ曲がった奴や、鰭があるべきところにない奴がかなりの数生まれてきます。シングルテールの場合はそこまでひどい個体は数少ないですが、遊泳異常の個体が多数いる場合があります。 いわゆるベリースライダーと呼ばれるもので、うまく水中で姿勢を保つことが出来ず普段は水底をハゼみたいに這い回っています。浮袋の異常によるものだと考えられていますが、原因については今ひとつよく判っていません。遺伝的なものという方もいれば、稚魚の育成環境に左右されると言う見方をしている方もいます。ベタ以外にも卵生メダカでもベリースライダーがよく見られますが、この両者のベリースライダーはちょっと異なるものだと思ってます。と言うのも、卵生メダカのベリースライダーは卵から稚魚が孵化した直後から見られるのに対して、ベタの方では孵化直後は正常に遊泳していて1ヶ月くらい経過した時点でいきなりベリースライダーになる事がほとんどだからです。 ベリースライダーだからと言って、その後の生育が困難と言うわけではなくそのまま育成続ければ成魚にまで育て上げる事は可能です。でも、ハゼみたいに水底をヘコヘコ這いずり廻るベタはちょっとね~。人によってはベリースライダーは成長と共に治るって言う人がいますが、確かに成魚になって一見普通に泳ぐ場合もあります。でも夜消灯後は水底に寝そべってますし、年老いてからは水底に横たわるようになることがほとんどです。つまり、体力のある時期は必死になって立泳ぎしているみたいな状態なんだと思います。そんな訳で、個人的にはベリースライダーの個体は早期に選別すべきと思ってます。 ベリースライダーの稚魚は水底を這い回っているか、2枚目の画像のように立泳ぎのような格好でヒレをせわしなく動かしながら水中で体勢を維持していますので、すぐにわかると思います。成魚になると同じ水槽で飼育することが難しいベタでは沢山の稚魚達がみんな成長してしまっても後々途方に暮れるだけです。罪もない稚魚達を淘汰選別することは決して気持ちの良いものではありませんが、改良品種の育種を手がける以上避けては通れない道だと思って、心を鬼にして選別しましょう。
2008/05/28
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サラリーマンを廃業してから海外出張が頻繁すぎてじっくり趣味の時間をもてなくなっている影響はベタのブリーディングにも波及してます。何しろ、せっかく繁殖させても毎日ちゃんと餌あげないといけない稚魚期に1週間以上海外に出張し家を空けちゃったら、帰国後はほぼ確実に稚魚達餓死してますから(涙)。成魚と違い断食に耐える体力もないし、そうかといって留守宅の家族に毎日ブライン孵化させてって言うのもなんだか・・・ でも、今回は久々に頑張って綿密なスケジューリングの上ブリーディングをしてます!海外出張前に繁殖用水槽をセットしておき、私の出張中で帰国まであと4日と言う日に、家族に頼んでおいたペアを水槽に導入してもらう。そうすれば、帰国した翌日辺りに、孵化した稚魚が摂餌を開始します。次の出張までは1ヶ月くらいあるし・・・ってな具合で殖やした稚魚達がなんとか成長しずいぶんと大きくなってきました。 今回のブリーディングの目的は、良質のマーブル系メスを確保すること。繁殖水槽自体は個別にセッティングしましたけど、稚魚の育成管理は手間の関係から60cm水槽2本にまとめちゃってます。その中に、ブルー&ホワイト×2腹、レッド&ホワイト×2腹、そしてトリカラー×3腹のマーブル系プラカットの稚魚がワサワサしてる状態です。本当は、個別に育成すべきなんですけど、今回はやむを得ずって言うことで混ぜちゃいました。まぁ、系統維持云々を言うのはもう数代後の話ですから、今回はスタートと言うことでコレで我慢します。 現在、2本の60cm水槽に500尾をはるかに越える稚魚が収容されています。毎日、おとひめの細粒をバカバカ与えていますので、水の汚れるのも早いこと早いこと。ほぼ1日おきに水を替えています。ただ、少し不満なのが今回の生育スピードが遅い事。これは、まぁ海外出張で10日程度家空けることが多いため、その期間中は絶食状態ですから当然の結果なのですが・・・。ちなみにこれらの稚魚はほぼみんな3月3日生まれですからもうすぐ3ヶ月が経過しようと言うところ。それにしては小さいですね~。 ここまで、絶食にも耐え頑張って生き抜いてきた稚魚達ですが、本当に大変なのはこれからです。何しろ、本人たちの健康状態とは関係なく外見で選別されちゃうわけですから。コレだけ大量の稚魚達の中で最終的に残れるのはせいぜい20~30尾程度でしょう。特に、今回はメスの確保を目的にしていますので、オス個体はただオスだっていうだけで選別の対象になっちゃいます。改良品種を手がけていてこの時期が一番ワクワクする時であると同時に、自己嫌悪に陥る時期でもあるんですよね~。どんな時でも、飼育者の都合で選別淘汰するのはあまり気持ちよいものではありません。
2008/05/26
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ここの所のバンコクのベタ市場を見ていて感じるのが、ジャイアント・プラカットのカラーバリエーションがものすごい勢いで増えていると言うこと。以前は、ベタの改良品種の中でもっともバリエーションに乏しいカテゴリーだったのに、今やまったく他の品種に見劣りしません。中には、他の品種では見られないような個体もチラホラ。中でも一番の注目株がこのトリカラー・マーブルの系統ではないでしょうか。もちろん赤・青・白のフレンチカラーのトリカラーは他の品種でも存在します。ただ、ジャイアントのそれの中には今日紹介した2枚の画像のように、実に美しいピンク色の発色を見せてくれる個体が時々見かけられるのです。 プラカット辺りでもピンク系の発色はありますが、ジャイアントのピンクはなんと言うか蛍光ピンクに近いような、ちょっと他では見られないような色なのです。いったいなぜジャイアント系にだけ(少なくとも私は他の品種では見ていません)このようなカラーが出現するのでしょうね~?通常のレッドの代わりにピンクが入ったトリカラーは実に鮮やかです。このカラー自体は1年以上前に既にバンコクで見つけていましたので、普通に考えれば半年もすればプラカットやショーベタに移行されてもいいはずなんですけど・・・ ただ、最近ジャイアント系のカラーバリエーションが豊富になったからと言って手放しでは喜べません。と言うのも、いろいろなジャイアント系の品種を作出するためにブリーダーたちがドカドカと(苦笑)ノーマルのプラカットと交配しちゃっているからです。もちろん、ベタの改良品種はすべて元々はスプレンデンスという原種から作られていますから、異種間交雑と言うわけではなく、例えれば金魚のランチュウと和金を掛けるようなもの。遺伝的にはまったく問題はありません。 しかしながら、プラカットを交配すれば当然次世代の子供たちは一回り小さくなっちゃいます。それでも、ノーマルのプラカットでは絶対到達できないサイズにまで成長しますけど。ブリーダーたちはこの子供にジャイアント系を交配してサイズをまた元に戻していくと言う作業を行うわけです。バンコクのショップでもハーフジャイアント(ノーマルとの交配F1)やクォータージャイアント(ハーフジャイアントにジャイアントを交配)などと称する個体が数多く出回っています。 ブリーダーやショップのオヤジがその事を正直に伝えてくれればまだいい方で、ほとんどのショップではそこまで教えてくれません。コレが仕入れる側にとっては大問題なんです(苦笑)。と言うのも、ジャイアントに関してはそのサイズがほぼ仕入れ価格に比例してまして、若魚サイズ(それでも全長6cm前後はあります)と完全な成魚サイズ(全長10cm前後)では、価格面で0が確実に一つ以上増えちゃいます。ほぼ完璧なフルサイズになると、外見が例えババッチイ個体でも、現地仕入れ価格が「諭吉君1枚行って来いっ!」になる事もあります。大雑把に言っちゃうと体長が1cm延びるごとに価格は倍になるってな感じでしょうか。まぁ、コレは理解できる部分もあります。サイズが大きいと言うことはそれだけ長い年月を掛けて育成した訳で、その手間賃と言うことなんでしょう。サイズがサイズだけにブリーダーの育成管理もそれなりに大変でしょうし。 そんな訳で、逸品堂ではできるだけ若魚サイズ(生後3ヶ月過ぎ)のジャイアントを仕入れるんですけど、問題はその個体がどこまで大きくなるかって言う点です。元々が同じ種類ですし、コレだけ盛んに品種間交配が行われている現状では100%ピュアなジャイアントなんてものはどこにも存在しないでしょう。・・・って言うか、もとからそんなものは存在しないんですけどね(笑)。こうなると、ある程度は自分の感を信じて仕入れることになります。今のところ一応、次の点に着目して仕入れるようにしてます。1)全長が6cm以上あること これはノーマルのプラカットではまず到達できないサイズなだけに、このサイズにまで育っている個体は、少なくともジャイアントの血が濃い?って言う事になると思います。2)ボディが細長いこと じつはジャイアントはプラカットと同じ原種から作出されたにもかかわらず、明らかにボディの形が異なります。なんだか妙に細長いのです。どちらかと言えばベタ・ベリカ辺りに良く似た体型をしてます。 まぁ、なんでわざわざこんな事書いたかって言うと、お客様から「お宅のジャイアントは100%純粋種ですか?」と言う質問が来たものですから。そのお客様には正直に「自分のところで系統維持しているものではないため判別できません」とお答えしておきました。ただ上記のように、ピュアなジャイアントとは本来存在しないものでして、バンコクのジャイアントはブリーダーに言わせれば「クオーター以上の個体であれば、誰が見てもまたサイズ面から考えても純粋なジャイアントだっ!」と言うレベルであると言う説明をしたかったものですから。 えっ?なんでこのお客様に直接メールしないって?実はその方のメルアドが携帯のものでして、なんだか文字数制限があるようで長々とした説明文送れなかったものですから、この場をお借りしようと思いまして・・・(笑)
2008/05/22
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今回仕入れてきたクラウンテールの中に、漆黒の地にブルーやレッドの色彩が混ざるブラック・マルチが結構な数含まれていました。わが国でも結構人気の高い品種で、特にブラックとブルーの組み合わせの個体はブラック・オーキッドと言う品種名まで頂戴するほどです。ブラック・マルチ自体はブラックのオスにブルー系やレッド系のメスを交配すれば比較的簡単に作出できます。もっとも、種親によほど漆黒のソリッド・ブラック持っていないとなかなか見ごたえのある子供が生まれてきませんけど。 ところで、ブラック・マルチの元となるソリッド・ブラックはメスが生殖能力を持たないことで知られています。つまり、ソリッド・ブラック同士でペアを組ませることが出来ないのです。産卵までは問題ないのですが、卵がまったく孵化しなかったり極僅かだけ孵化した稚魚もうまく成長してくれないなどの弊害が生じます。同じような例はエンゼルフィッシュでも見られますが、いわゆる致死遺伝って事になってます。だから、ソリッド・ブラック手がけている人は絶えず種親のメスに違う色の品種を用いなくてはなりません。結果として、生まれてくる子供がまったく混じりけの無いピュアブラックになることがほとんどありえないって訳。だから、ブラックはいくら追及してもゴールの無い品種と言われてます。 ところで、今回ショークラウンのブリーダーがメスをサービスで付けてくれたんですが、なぜかほとんどがブラック・マルチなのです。2枚目の画像のような見事なメス個体がウジャウジャいるんですけど、ここで一つ疑問が!ソリッド・ブラックのメスには生殖能力が無いのは確かですが、ブラック・マルチのメスは??私自身ブラックと言うカラーが好きでずいぶん長い間いじくってますけど、ブラック・マルチってあえて繁殖させて事がありません。ブラックに他のカラーのメスを掛けて子供にマルチがたくさん出てくることはあっても、その次の世代まで続けた事は・・・。 うーん、皆さんはどう思います?ソリッド・ブラック同様このメスにも生殖能力が無いのかそれとも他の色彩が混ざった事で、生殖能力を取り戻しているんでしょうか?早速本日繁殖用水槽を数本セットしました。せっかく大量のブラックマルチのメスがいるんですから、ここではっきり白黒つけとかなくちゃね!
2008/05/20
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いやぁ~、出張から帰国後延々と続いていたベタたちの撮影も昨晩と言うか今朝方ようやくひと段落しましたぁ~♪なんだか年のせいか段々撮影がつらくなってきた気がします(苦笑)。特に目が疲れちゃって、撮影している間は新聞の文字がほとんど読めません。一時期家族からは「老眼だぁ~!」って言われてましたが、海外出張などで目を酷使しない日が続くと視力は通常に戻るみたいなので、単に疲れ目って奴だと思います・・・と言うか思いたい! ちなみに子供のころから視力は抜群に良かったですね~。視力検診でも実は2.0以上の小さな文字がくっきり見えましたから。確か記憶によると、2.0だか2.5だかになると文字の用意が無いから、立つ位置を後ろにずらして検診してました。でも、1.5より視力が上の段階になると保険の先生がやたらに細かく質問してくるのが面倒で、小学校高学年になってからは1.5までしか見えない事にしてましたけどね(笑) そうそう、今日の画像のクラウンテールはブリーダー自慢の新作だそうです。でも、正直言って以前にも見かけたことがあった気がします(笑)。まぁ、細かい事はともかく、明るいオレンジとブラックの2トーンのバタフライは非常に見ごたえがあります。まだ、第一世代なので1個体のみしかもらえませんでしたが、すでに第2世代の子供たちが順調に育っているそうですから、1~2ヵ月後にはたくさん仕入れることが出来ると思います。 このショークラウンもそうですが、今回はバンコク滞在はわずかな時間しかなかったのでじっくり魚を選ぶことは出来ませんでした。ブリーダー達に事前連絡して魚を持ってきてもらったのですが、それにしては私好みの個体が集まったほうだと思います。・・・でも、やっぱり自分でじっくり選びたいなぁ~って事で、次回は久々にベタの仕入れのためだけに海外出張組もうかなって思っています。ついでに、どこか南の海でダイビングでもってうっかり口を滑らせたら、それを聞いていた家族がものすごくきつい目で(笑)こちらを見てましたから、表向きバカンスは無しって事で・・・。今度の出張に日焼け止めは必需品かぁ~?
2008/05/19
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海外出張から続く労働基準法違反(笑)の無謀な仕事は依然として続いています。サラリーマン時代と違って土日もありませんからね~。ちなみに今は、ショークラウンテールの撮影と登録作業で昨日から睡眠なしで頑張ってます。おかげで目がシバシバしちゃって、やたらと涙が出てしまいます。 ところで、数日前に皆さんに帰国報告した際に使った画像の個体、プラカットのトリカラー・マーブルなんですけどいい個体でしょう?頭部のホワイトは通常のマーブルのようにベタの色素細胞の下層に位置するのではなく、おそらくは最上層に位置するのでしょう。透明感は無い代わりに見事にベッタリ上に被さっていると言う感じで本当に見ごたえのある個体だと思います。個人的には今回仕入れてきたトリカラー・マーブルの中では一番気に入っている個体です。 当然、逸品堂のお客様から「あの個体は販売していないのか?」って言うお問い合わせやお怒り(苦笑)のメールをいただいたのですが、あの個体は販売しておりません。と言っても別に好みの個体だから売り惜しみしているんじゃありませんからね。実は、この個体は尾鰭に針で刺したような小さな穴が開いています。このピンホールって奴が実は結構深刻なダメージなんですよね~。普通ベタの鰭は再生能力旺盛なので、ヒレ先が裂けちゃってもそのうちちゃんと再生してくれることが多いものです。しかも、その個体が若魚ならばなおさらのこと。もっとも、再生したヒレは元のヒレとは色が違う事もあり完璧に再生とまではいかない場合もありますけど。 ところが、なぜかピンホールに関しては再生しないことが多いんです。理由はよく判らないのですが、ほんの小さな穴なのにずっとそのままっていうケースがほとんどです。だから、ピンホールのある個体は販売する訳にいきません。でも、一番のお気に入りの個体であると同時に、仕入れ価格も一番高額だったんですけど・・・(涙)。
2008/05/18
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今回、滞在がわずか半日程度と言う中バンコク市内を駆けずり回ってベタを仕入れてきた事は前回報告しました。まぁ、時間が時間だけに今回は各ブリーダーのファームを個別訪問と言う訳にもいきません。事前に、数人の知り合いのファームのオーナーに電話でバンコクに行く旨を告げ、バンコク市内に一番近いファームに全員集合だぁ~っ!ってな感じで売り手多数、買い手私一人と言う(笑)実に贅沢なセリ市・・・って競り合う相手いませんけどね。 そんな無理な注文に応えて、当日ベタを持ち寄って来てくれたブリーダー達にはひたすら感謝です。その中に、タイ南部の現在テロが多発する危険地域からわざわざ例の絶品ショーベタ行商おばちゃんがいたのが本当にうれしかったです。なんでも、知り合いのブリーダーから電話で連絡もらって、長距離バスに重いベタの包み背負って乗り込んではるばるバンコク市内まで来てくれたそうです。もちろん、彼女の持ってきたベタは無条件ですべて買い取りました。中には鰭の裂けている奴やコショウ病の個体もいましたけど、わざわざはるばる遠路駆け付けてくれたんですから、何も言わずすべて引き取るのが正しい人間の路だと思いまして。 でも、若干ロスがあったとしても、相変わらず彼女の持ってくるベタは絶品揃いでした!前回も書きましたがいったいどうやってこのようなマーブル・バタフライを作っているのでしょう?逸品堂はどちらかと言えばプラカットメインですから、バンコクのショーベタブリーダーを熟知しているとは言い難いのですが、私の知る限りこのような系統を作出しているショーベタブリーダーの存在を他に知りません。 行商おばちゃんはもちろんタイ語しか話しませんから、挨拶や簡単な日常会話程度しかタイ語を話せない私とでは会話が成立しません。しかし、あるブリーダーが「彼女の夫は白人だ」と言っていました。ただ、彼女自身は自分の事や家族の事を話したがらないと、初めて彼女に出会った店のオヤジが言ってましたから、確認する訳にもいきません。真相は謎のままですが、もしかして彼女の夫はかつてはアメリカのIBC辺りでブイブイ(もはや死語かぁ?)言わせていた有名ブリーダーだったのかもしれません。それが何かの理由でタイに住みついた、と考えるのが一番しっくり来ます。 とにかく、絶品揃いのベタ達ですが唯一の難点は、どんなに頼み込んでもメス個体を持って来ない事!かなり生活が苦しそうな雰囲気なのですが、それを売ればお金になると判っていても絶対に放出しない辺りは、筋金入りのプロブリーダーって言う感じです。
2008/05/17
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前回テトラミンスーパーを滅多切り(笑)したこのコーナーですが、今回は一部アクアリストに絶大なる人気のあるおとひめをご紹介いたしましょう。日清丸紅飼料というバリバリの飼料メーカーから発売されているこの餌は、本来は海産養殖魚のための餌です。したがって、熱帯魚用フードと言うカテゴリーとしては番外編とでも言うべきでしょうか。 おとひめは顆粒タイプの餌で養殖業者向けの餌だけあって、そのサイズは実に細かく分かれています。ちなみに画像のものはおとひめB-2と言う商品で、顆粒の直径が0.36-0.62mmと孵化したてのブラインより一回り大きなサイズになっています。まぁ、小型カラシンやグッピー辺りならばこのサイズがお勧めです。ベタ成魚ならばその上のサイズのC-1かC-2辺りが最適でしょう。本来は緩やかな沈降性、つまり始めのうちは水面に浮いていますが水を含むとゆっくりと沈んでいくタイプの餌ですが、コリドラスなどの底棲魚ならばおとひめヒラメと言う沈降性のタイプもありますからそちらをどうぞ。 本来海産養殖魚用のこの餌がなぜアクアリストに支持されているかの一番の理由が、その嗜好性の高さにあります。市販の人工餌の中でも確実にトップクラスの嗜好性を誇り、この餌を食べない魚は生餌以外受け付けないんじゃないかと言うほど!人間様が食べてもいいかな?って一瞬思わせるほど(笑)、エビの香ばしい香りがします。あっ、あとクリープ(コーヒークリーム)の匂いもするんですが、この件に関しては私の友人たちはお前の鼻だけに匂うんだっ言ってますので本当のところは判りません。また、養殖魚用飼料ですから栄養価の点でもまったく心配要りません。 抜群の嗜好性と安価なことから、一部の熱帯魚ショップでこの餌を販売しているところもあるようです。もちろん、非常に優れた餌ですからぜひとも世に広めていただきたいものです。その点では諸手をあげて賛成なんですがぁ~(笑)、ショップオリジナルフードって謳うのはいかがなものかと思います(苦笑) 今のところ褒めてばかりいてまったく欠点の無い餌のようですが、実は大きな問題点が2つほどありまして・・・。一つは、元来養殖業者向けですからメーカーも一般アクアリストの事などはアウトオブ眼中です。したがって、小分けされたものなどは存在しません。ちなみに2枚目の画像が一袋、つまり最小サイズって事になります。その重量はなんと2kg!どれ位の量かって言うのは一緒に写っている私の携帯からご想像ください。 はっきり言って、絶対に一般家庭で使い切ることの出来ない量です。一度開封してしまえば、どんなに気をつけて貯蔵しても餌の劣化・酸化は進行してしまいますから、開封後せいぜい半年もすればいくら残っていても廃棄って事になるでしょうね~。その点からもショップが購入し、小分けにして販売と言う形が望ましいでしょう。 2つ目の問題点が、栄養価!えっ?さっき栄養には問題ないって書いてたじゃないかって?(笑)。実はこの餌、高タンパク質と共に高脂肪でして・・・。もちろん、元々養殖魚を少しでも早く成長させて出荷可能サイズにまで育てることを目的に作られているんですから当たり前の話です。べつにこの餌の栄養バランスが異常なのではありません。でも、アクアリストが嗜好性が高いからってバカバカこの餌与えていると・・・与えているとぉ~!・・・間違いなくあなたの愛魚はブタ一直線です。また、熱帯魚と温帯魚である金魚は必要カロリーの要求度も違いますから、金魚愛好家の方がこの餌使うときはブタにならないように細心の注意が必要です。 ですから、私の所でもベタの成魚にはこの餌与えていません。変にふくよか(笑)な個体に仕上がっちゃいますから。ただ、ベタの幼魚用フードとしてはほぼ完璧かと思われます。私のところでは、孵化直後からブラインのみで育成していたベタの稚魚が生後1ヶ月過ぎくらいの時点からこの餌に切り替えます。ブラインだけだと栄養バランス偏ってるみたいですから。この餌使い始めるとベタの幼魚たちの成長スピードがグンッとアップするのが実感できます。たぶん、グッピーやランチュウマニアの方々も同様の使い方をされているのではないでしょうか。 まぁ今のところ稚魚~幼魚期の人工餌としては嗜好性、価格の両面からベストの選択であることはほぼ間違いないおとひめですが、願わくば日清丸紅飼料さんが変なスケベ根性だして(笑)、脂肪含有率を抑えた鑑賞魚用おとひめを発売してくれないかなぁ~?100g容器くらいのサイズで。
2008/05/16
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ご無沙汰しておりましたぁ~♪ゴールデンウィーク直後と言う、いかにもの(笑)海外出張から昨晩帰国いたしました。ヨーロッパでの本業自体は順調でした。しかも、日程的に絶対無理のくせに最終日に半日だけバンコクに立ち寄り、ものすごいスピードで市場を徘徊しちゃんとベタを仕入れてくると言う、仕事人間の鑑みたいな行動パターンでした。さらに、冗談抜きの不眠不休で早くも逸品堂のHPに新入荷個体の第一弾までアップすると言う、40台半ばのオヤジとは思えないパワフルさ!周囲の噂でも「あの男の死因は間違いなく過労か海外の裏路地で強盗に刺されるか、いずれにせよろくな死に方じゃないね」ってささやかれているみたいです(苦笑) でも、そんなエネルギッシュな死因じゃない可能性もここに来て急上昇!と言うのも、出張前から急激に物忘れがぁ~!第一弾はなんと出張の日を間違えたこと。出張に出かける日を1日間違えておりまして、たまたま前日深夜の友人からのメールで「もう、出かけちゃった?」って言うのを見なかったら、完全に行き損ねてました(笑)。トランクにその辺の服とか適当にぶち込んで、パスポートとキャッシュカードだけもって成田まで車ぶっ飛ばしちゃいました。でも、結局現地についてから確認するとなぜか下着のパンツは豊富なのに、シャツのほうは0枚だったり、めちゃくちゃでした。止めは、スーツの上下が違っていたこと!まぁ、どちらも濃いどぶねずみ色(笑)地のものなんで、気が付かないことにしてそれ着て仕事してましたけどね。逸品堂のHPが何の断りも無く更新が止まっていたのも、出張による臨時休業のお知らせを転送している時間が無かったからです。 物忘れ第2弾は、ドイツに着いて空港から特急列車に乗ったときのこと!本当はフランクフルト駅で降りなくちゃいけない筈なのに、悠然とフランクフルトを乗り過ごしボンまで行きましたぁ~!ボン駅で列車を降りてから「あれっ?なんでボンに来たんだっけ??」って気が付く始末。 そして第3弾は、成田空港に帰国してスーツケースを持たずに、すたすた通関を抜けようとして、係りの人に「お荷物は、それだけ(機内持ち込みしたアタッシュケース)だけですか?」って尋ねられて、初めてスーツケースが無いことに気が付きました。 うーん、コレってもしかして若年性のアレですか?まぁ、もう若年性じゃないのかも知れないですけど(苦笑)。いずれにしても、かなり不安でドキドキです。もっとも、帰る家を忘れないで成田から帰宅できたんですから、まだ大丈夫ってことにします。
2008/05/15
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今や完全に不定期更新になりつつある(苦笑)熱帯魚用品論評コーナーですが久々に更新を・・・。今日の獲物はテトラミンスーパー!テトラミンで市場のシェアNo.1のテトラ社がテトラミンの高級バージョンとして発売したのがコレ!一応、専門店でのみ販売と言うのが建前となってます。 まず、栄養価から見てみましょう。粗タンパク質は48%以上とテトラミンと同じ水準です。粗脂肪に関しては、テトラミンが8%以上なのに対してスーパーでは10%以上とやや高い値ですが、特に問題となる数値ではなく合格点です。外見は下の画像で比べてみてください。左側がテトラミンスーパーで右の山がテトラミンです。テトラミンに比べて、緑色のフレーク(おそらく植物成分を多く含有していると言うことなんでしょう)の色が薄いのがすぐにわかります。ただ、この会社はフレークに着色するから本当に成分まで違うのかどうかはよく判りませんけどね(苦笑) この2つのフレークフードは共に、すべての熱帯魚の主食と言うことになってます。・・・って事は結局のところどこがどう違うの?って言う疑問が出てきて当然でしょう。一応、高級バージョンとされているスーパーでは原料にクリル、カルニチン(脂肪を燃焼)、ミネラルを強化配合したらしいです。そのため、やや脂肪含有量が高まったのでしょう。 実際に使用してみると、なかなかの出来だと思います。魚の嗜好性も高いほうだと思います。まぁ、クリルを多めに配合しているんだから当たり前ですけど。それと、ベースになるテトラミン自体が着色を除けばほぼ完成されたフレークフードですから、その発展系であるスーパーが悪くなるわけは無いでしょう。 ただぁ~し!だからと言って手放しで褒めちぎると思ったら大間違い!!(笑)。大体、説明書どおりスーパーがそんなにすばらしい改良を施されたのならば、テトラ社はなんでステープルフードをテトラミンからスーパーに切り替えないんでしょう?これはこの商品が原則専門店でのみ販売されると言うところから容易に想像できます。つまり、従来のテトラミンは大量仕入れの量販店の仕入れ価格が安くなりすぎて、少数しか仕入れられない専門店は価格面で太刀打ちできなくなってしまったからです。そのため、専門店は利益が取れないテトラミンよりも他社の製品を客に薦めるようになったのです。そのため、年々シェアを落とし続けているテトラ社の考えた作戦がコレ! テトラミンとは別の専門店向けの高級フレークと言うことでこの餌を専門店のみに流通させると言えば、専門店はまたテトラ社のお客様に回帰してくれるだろうって読みです。しかし・・・ふざけるなよぉ~!「じゃあ何かい?量販店の客はレベルの低いテトラミンでも上げてりゃ十分です」って事かぁ~。エンドユーザーをなめきったこの驕り高ぶった考えも大嫌いなら、原料にチョコチョコっと小細工したダブルスタンダードで安直に量販と専門店の両方にいい顔したいと言う軽薄な発想もうなずけません。 それに新製品と言ったって、所詮テトラミンをベースに原料の配合を変えただけじゃないですか。この場合、新製品出すんじゃなくてテトラ社のステープルフード自体をニューテトラミンとか銘打ってチェンジするのが正しい道ってもんな気がしてなりません。そんな姑息な手を使わなくたって、すばらしい品質の餌作る技術あるんだから堂々と王道を歩んでいただきたいものです。それに、テトラ社が考えているほどエンドユーザーはおろかじゃない気もしますけどね(笑)。現に、このスーパーがテトラミンを凌駕するほど専門店で売れていると言う話は私の周りでは少なくとも耳にしたことがありません。 ただ、一言補足しておきたいのですがここでボロクソにけなしたからと言ってテトラ社という会社の評価が私の中で低いわけじゃありません。基本的に評価をしている会社だからこそ要求するハードルの高さが高く、ここまでの厳しい評価になると言うことです。それと、日本の販売会社であるテトラジャパンはこの軽薄な戦略にはあまり関係ないと思います。あくまでも、本国の問題ですから。おそらくテトラジャパンの方々は製造元と小売店の板ばさみで大変なご苦労なさっていると思います。 そんな訳で、今日のテトラミンスーパーは製品としての品質は好評ながら周りを取り巻く環境の悪さが思い切り響いてテトラミンスーパーの評価は なんと!☆なし!! でも、この商品がニューテトラミンになってテトラ社のステープルフードになって、代わりにテトラミンが廃盤になった後ならば☆☆☆をあげてもいいけどね。
2008/05/01
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