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2009年上半期は、まだ1カ月残されていますが、読んだ本が多くなってきたことを整理する目的で、2008年ランキングに続いて、今回は、2009年の1月から5月末の約半年間で、私ねぼすけが読んだ66冊の本の中で、お勧め(少なくとも読んだ時間がもったいなくない)本の個人的なランキングを発表します。したがって、2009年以前に出版された本も含まれています。その前に、私ねぼすけの読書の作法を紹介します。バス・電車通勤の会社までの往復時と就寝前の短時間、それと出張時の電車の中やその他細切れの時間を利用して、2-3冊並行して読むのが読書のスタイルです。それでも、平均一か月で13.2冊、一週間で3冊程度読むペースになります。また、本の入手方法は、三通り。一つ、この本を読もうと思う際にはアマゾンか楽天で発注、二つ、新書はジュンク堂で古本はブックオフなどでぶらぶらと見て気に入った本があれば購入、三つ、自宅近くの図書館で借りる、この三つがだいたい冊数にして1/3づつ程度を目標とするポートフォリオといったスタイルです。興味がある本のジャンルは、自然科学系(最近は宇宙論、進化論、物理学)・ビジネス人文社会系(特に経営・マーケティング分野、最近は心理学・社会学も)・今話題の本といった所。ほとんどがノンフィクションで、小説やハウツー本はめったに読みません。特に小説は、面白い本を読みだすときりがなく、後をひくことを恐れてあえて避けています。それでは、発表です。第 1位 利己的な遺伝子 (リチャード・ドーキンス、紀伊國屋書店:2006.5) 文句なく第1位。進化とは、遺伝子が生きのびることとであり、生物自体は、我々人間も含め、遺伝子が住むための生存機械であるとの衝撃的主張がこめられている。この本を読めば、全く専門的知識がなくとも、筆者の意図が十分に楽しめて納得するであろう。更に、「盲目の時計職人」・「虹の解体」・「神は妄想である」と一連に読めば、R・ドーキンス流の進化論の全てが分かる。第 2位 反貧困-すべり台社会からの脱出(湯浅誠、岩波書店:2008.5) 今の日本の貧困問題を取り扱う本の中でも、出色かつ必読の書。具体的事例を踏まえた上で、統計データも活用した分析やその論理的な主張を述べ、圧倒的な説得力がある。この本こそ、難しいことを易しく・易しいことを深く・深いことをおもしろく記述していると言える。第 3位 日本にノーベル賞が来る理由 (伊東乾、朝日新聞出版:2008.12) 筆者の、ノーベル賞(特に物理学賞)に対する非常に深い洞察と博識に圧倒されること間違いない。読後、基礎科学と文学や平和の問題が密接に関連することがわかる点で、ノーベル賞に対する見方が読む前と変わること請け合い。第 4位 生命-最初の30億年 (アンドルー・H・ノール、紀伊國屋書店:2005.7) 古生代・カンブリア紀にカンブリア大爆発と呼ばれる多種多様な生物が現れるまでの、35億年前から5億年前の「最初の生命の30億年間」に何があったのかを分かりうる範囲で、なるべく仮説に偏らず科学的な事実を元に述べたすぐれた本。第 5位 高学歴ワーキングプア (水月昭道、光文社:2007.10) 就職先が乏しいにもかかわらずなぜ多数の博士卒を持つ人が多くなったのかという疑問の答えが、この本には書いてある。曰く、「大学院重点化政策の名の元に、大学院へ進学する大量の学生(収入源)確保を図ると同時に、一流大学の大学院卒の研究者が二流・三流大学の教員ポストを独占することによって、全体の教員ポスト需要数とドクター供給数が著しく乖離したことによって、大量のドクター・ポスドクのフリーターが発生した」と。説明が簡潔で分かり易い。第 6位 脳のなかの幽霊、ふたたび (V.S.ラマチャンドラン、角川書店:2005.7) 神経科学者でもある筆者が、脳の仕組みを一般の方々に身近に感じてもらえるようにしたいとの思いで執筆された本。脳の一部が損傷する事例でもって何の機能が損なわれるかという事実が積み重ねられてきたにすぎず、根本的な脳の仕組みは未だ全く解明されていないことが分かる。第 7位 レバレッジ勉強法 (本田直之、大和書房:2007.10) ビジネスマンが新たな勉強を始めるにあたって、どのような勉強法がよりすくない投資でより大きな成果を得ることができるか記載。ビジネスマンの限られた時間・お金・投入労力で、新たな勉強の結果の最大限の効果を得る方法を具体的に示した指南書である。同様の自己啓発本の中では出色の出来。第 8位 裏切り者の細胞がんの正体(ロバート・ワインバーグ、草思社:1999.10) 人の他の正常な細胞たちを裏切って、ひとり我が道を進んで増殖を繰り返す悪性腫瘍、「がん」が発生する複雑なメカニズムを、遺伝子研究の分野から徐々に明らかになってきた研究経緯を含め丹念に解説した本。簡潔で要領をえた文章表現でもって、非常に分かり易く初心者向けに書かれている。第 9位 空の戦争史 (田中利幸、講談社:2008.6) 非戦闘員である一般市民の殺傷を目的とした空爆という無差別爆撃が、なぜ非人道的と考えられながら、ごく普通の戦闘方法として用いられるようになったのかの歴史に徹底して焦点が当てられて書かれた力作。一読すべき名著。第10位 黒部の太陽 (木本正次、信濃毎日新聞社:1997.4) 日本でもっとも有名な発電所となった黒部川第四発電所(クロヨン)の建設ノンフィクション。個人中心で、自分さえよければそれでよしとする風潮の現代に生きる我々にとって、こういった真剣で真面目で地道で愚直な生き方は新鮮。 どうですか。全くの個人的趣向ですが・・・
2009.05.30
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城繁幸(じょう・しげゆき)「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか -アウトサイダーの時代」〈ちくま新書708〉(筑摩書房、2008.3)を買って読んだ。帯に「もっとワガママに生きろ!」とある。年功序列をはじめとする昭和時代から続く会社内での決まり事ややり方、働き方といった昭和的価値観と対比して、平成的生き方を選択した若者の事例を多数紹介することで、既に時代は変わっているのだと示すことを意図した本である。あえてアウトサイダーと呼ばれてもワガママと指さされても、自分が決め自分の価値観に基づいて選んだ生き方で暮らす若者が「生き生きと」紹介されている。でも、数々紹介された事例の生き方が特にうらやましいとは思えない。結局は、自分にフィットした生き方がイキイキ・ワクワクとする訳で、あくまでひとごとだからなのかもしれない。(評価:星三つ ★★★☆☆)3年で辞めた若者はどこへ行ったのか
2009.05.30
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城繁幸(じょう・しげゆき)「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」〈光文社新書270〉(光文社、2006.9)をブックオフで買って読んだ。「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」で成果主義のさまざまな問題点を指摘し、ベストセラーとなった著者の本である。本書の趣旨は、「年功序列を維持すること」が未だに日本企業には残っており、賃金や役職ポストの抑制のしわ寄せが若者にきており、これに我慢ならないと気付いた多くの若者が会社を辞めていくとの言である。確かにある意味もっともな指摘である。特に最近の日本ほど若者や持たざる者に厳しく、高齢者や金持ちに優しい国はないのかもしれない。例えば、景気対策だと言って、高速道路のETC割引や高額家電商品のエコポイント制度、車の買替え割引、太陽電池の余剰電力高額買取などなど、これら製品を作ることのできる大企業やそれを買うことのできる金持ちにこれほど肩入れする必要があるのだろうか。ただ、格差問題や非正規雇用の問題、名ばかり管理職問題、全ての原因の本質を年功序列に求めるのは少し無理がありやしないか。首尾一貫して年功序列にからめて様々な問題を論じているが、それほど単純なのかという気はする。成果主義批判の次は、年功序列批判ですか、と少し醒めた目でみてしまう。(評価:星三つ ★★★☆☆)若者はなぜ3年で辞めるのか?
2009.05.30
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山本紀夫(やまもと・のりお)「ジャガイモのきた道 -文明・飢饉・戦争」〈岩波新書(新赤本)1134〉(岩波書店、2008.5)を図書館で借りて読んだ。南米アンデス原産のジャガイモが、どのようにして世界中に広がり、ジャガイモが人の歴史にどのようにかかわったのかを人類学者の立場から調査結果を通じて記述したものである。筆者は、人類の発展に大きく寄与したと認められている穀物類(イネ、コムギ、トウモロコシ等)の扱いに比べ、イモ類は不当な扱いを受けており、そうではないことを明らかにするために執筆したとある。また、国連食糧農業機構(FAO)が世界の目をイモ類の重要性に集めさせようと意図し、2008年を「国際ポテト年」と定めたことにも関係があるようだ。筆者の研究成果からは、ジャガイモは人類の文明を生み、飢饉を緩和し、戦争を回避することもあったらしい。とはいえ、ポテトチップスやフライドポテトは好きではあるものの、個人的には一つの食材にそこまでの愛着があるはずもなく、読めば読むほど退屈であったことは確かだった。(評価:星三つ ★★★☆☆)ジャガイモのきた道
2009.05.30
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アミール・D・アクゼル(吉永良正=訳)「天才数学者たちが挑んだ最大の難問 フェルマーの最終定理が解けるまで」(早川書房、1999.5)を図書館で借りて読んだ。史上最大の難問と呼ばれてきたフェルマーの最終定理が、360年後にプリンストン大学数学科のアンドリュー・ワイルズ教授によって1995年に解明されるまでのプロセスと、これにかかわる古代から現代にいたるまでの数学とその歴史を一般向けに書かれた本である。数式はほとんどでてこず、人間模様に焦点を当てた上、歴史上に登場するほとんどの著名な数学者が登場し、非常に面白い本に仕上がっている。(評価:星五つ ★★★★★)<小ネタ>・アルゴリズム、代数(アルジェブラ)の語源は、7世紀バグダッドの数学者「アル=フワーリズミー」による・フィボナッチ数列は、隣り合う二項間の比が黄金比に近づく・オイラーの愛した公式 exp(iπ)+1=0天才数学者たちが挑んだ最大の難問
2009.05.30
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ジェイ・イングラム(斉藤隆央=訳)「脳のなかのワンダーランド」(紀伊國屋書店、2001.6)を図書館で借りて読んだ。 本書も、「脳のなかの幽霊、ふたたび」と同じように、脳に障害を負った方々の数々の事例を通して、脳と心の不思議な世界(ワンダーランド)を読者にいざなうことを目的に書かれたものである。 ただ、ヒトゲノムの解読が完了しても、脳の不思議な働きは簡単には解明されそうにない。遺伝子のDNAは4種類のデジタル配列で示せるが、心の作用はアナログであり、科学で分析するには困難が待ち受けていることは明らかであるからである。そういう意味で、個々の事例を積み上げることは、遠回りに見えても実は着実に解明に繋がっているのだと思う。 面白い本でした。(評価:星四つ ★★★★☆)脳のなかのワンダーランド
2009.05.24
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V.S.ラマチャンドラン(山下篤子=訳)「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ」(角川書店、2005.7)を図書館で借りて読んだ。 本書は、神経科学者でもある筆者が、脳の仕組みを一般の方々に身近に感じてもらえるようにしたいとの思いで執筆されたものである。特に、人を含む霊長類は、特に見るということに脳の働きは驚異的であり、脳の神経細胞のふるまいが外界の物体や事象を表しており、神経科学者はこの暗号の解読を試みていると表現されている。その言葉のとおり、現代でさえ、脳の根本的な仕組みはほとんど解明されておらず、脳の一部が損傷する事例でもって何の機能が損なわれるかという事実が積み重ねられてきたにすぎない。 相変わらず、脳のニューロンのなかのイオンの流れがいったいどうやって感覚や質感を生み出せるのかという「クオリア問題」と、自己はどうやって生みだされるのかという問題は解決していない。 とはいえ、全体的に分かり易く書かれ、内容も非常に面白い。(評価:星五つ ★★★★★)脳のなかの幽霊、ふたたび
2009.05.23
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勝間和代(かつま・かずよ)「お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践」(光文社、2007.11)を図書館で借りて読んだ。勝間本はあまり好きではないのだが、図書館なら金かからないしいいかと思い読んだものである。相変わらず自分のキャリアの自慢話から始まるが、意外なことに、全体的としては割と面白かった。要は、銀行=貯蓄では「お金が増えない」ので、投資=投資信託等で「お金を殖やしなさい」という内容である。その行為は自己責任なので、そのためにも金融リテラシー(知識やスキル)をこの本を読んで勉強しなさいと主張する本である。加えて、子どものころから、金融の知識を体験させることは必要と説くが、実際、そのとおりだと思う。なお、2008年9月のリーマンショック以前の2007年11月に書かれた本で、その時点で筆者は不動産投資信託や投資信託を万人におすすめしているが、この本に踊らされてFXやREITにお金を預けてしまった人は、暴落でどうなったんだろう。ちょっと心配にもなる。投資行為は自己責任とは言え、罪作りな人だ。(評価:星三つ ★★★☆☆)お金は銀行に預けるな
2009.05.23
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山野良一(やまの・りょういち)「子どもの最貧国・日本 学力・心身・社会におよぶ諸影響」(光文社、2008.9)を図書館で借りて読んだ。本書は、児童相談書に勤務する筆者が、その現場体験を元に「日本はアメリカと並ぶ最低水準の福祉となって」おり、社会や政治がその対策をとっていないため、多数の子供は貧困に直面し、その結果、学力低下・健康不良・社会不和等の悪影響をもたらしていると主張する本である。まあ、日本は現実感として「最貧国」というほど最低レベルではないと思うし、国家比較にしても、為替レートの問題に加え、国の政策としての大きな政府か小さな政府かの違いがあり、一概に単純比較はあまり意味をなさない。むしろ、日本一国と海外諸国比較し日本の劣るポイントを強調する特に、あるときには北欧と比較し、あるときには米英と比較するなどあまりフェアじゃない点も気になる。まあ、日本人ほど海外と比較したがる国民も珍しい。○○では××、○○では××と、まるで「ではでは症候群(シンドローム)」である。その上主張は、貧乏だとぐれやすいといった結論は意外でもない当り前のことに終始している。むしろ筆者の体験を生かすのであれば、貧困層と富裕層を比較するのではなく、貧困層の中で優秀な子供・健康な子供・ぐれない子供が「なぜ、どうして、どういう理由で」そうなったのか・できたのかをより一層深く分析して欲しかった。ということで、あまりに当たり前すぎて、これといって注目すべき主張や内容はありません。(評価:星二つ ★★☆☆☆)子どもの最貧国・日本
2009.05.23
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今さらではありますが1年前のベストセラーである、奥野宣之(おくの・のぶゆき)「情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」」(ナナ・コーポレーション・コミュニケーション、2008.3)をブックオフで買って読んだ。内容は、A6判の1冊のノートに全ての情報を時系列的に書き込み、インデックスをパソコンに入力することで検索機能をフル活用する情報管理方法を提案している。タイトルが、「しなさい」という命令口調ではあるが、本の表現はいたって穏便な「おすすめ」程度である。感想としては、こういうことが有効なのは、組織で働く会社員でなく自由業の人か先生と呼ばれる人、あるいは専業主婦とかそういった、自分である程度時間やスケジュールが決められる人であろうと思われたことである。まあ、でも「やってみてもいいかな」程度には納得する方法でもある。(評価:星三つ ★★★☆☆)情報は1冊のノートにまとめなさい
2009.05.13
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桐山秀樹(きりやま・ひでき)「旅館再生 老舗復活にかける人々の物語」(角川書店、2008.6)を図書館で借りて読んだ。少し気分を変えるために選んだものである。本書の内容は、ホテル業が専門のノンフィクション作家である筆者が、「なぜ日本の旅館が全国の観光地で衰退したのか。そしてその復活の鍵は何なのか」を全国の多くの旅館を取材したレポートをまとめたものである。旅館は実名で紹介されており、取材に基づく著者の意見も述べられている点は良いことだと思う。その上で、旅館衰退の主犯を大手旅行代理店とし、「極めて多くの日本旅館が、バブル崩壊直後まで、現実に訪れる旅行者の姿を見ず、旅行会社の営業担当者の背中を見てサービスしてきた」ことが現実であると断言している。また、復活の鍵は本来日本旅館が持っていたホスピタリティにあるとし、旅館再生でもはや非常に有名な”星野リゾート”が手がける手法や、由布院や黒川温泉などの地方の地道な取り組みをふんだんに紹介している。ただ、情報量は多く知識が増える点でそれなりに楽しく読めるのだが、それ以上でも以下でもない。つまり、著者の言いたいことは、上の段落で示した程度のことでまとめられるほどであるので、まるで旅行のガイドブックを見るようなもので、知識の広がりが乏しいと感じられる。これはひょっとすると、筆者の独自の執筆スタイルなのかもしれないし、自分と筆者のマインドが合わないのかもしれない。要するに、好き嫌いなのかもしれない。私は、この文体はあまり好きではない。更に言うと、星野リゾートの旅館再生を手放しで褒めたたえているおり、もちろん星野氏の類まれな能力と努力には敬意を払うが、その旅館再生時には「民事再生で旅館の負債が大幅に棒引きされているので収支が非常に楽になる上に、投資ファンドからの資金で旅館の設備投資を行える」ことが前提としてあり、その上で、さまざまな手法で旅館再生のアイデアが反映できていることを忘れてはならない。この点を指摘していないことも気になる点である。全体としては普通かな。(評価:星三つ ★★★☆☆)旅館再生
2009.05.12
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山田克哉(やまだ・かつや)「核兵器のしくみ」(講談社、2004.1)を図書館で借りて読んだ。理論物理学者の大学教授である筆者が、核兵器(原爆、水爆、中性子爆弾等)と原子力を発電利用した発電のしくみを非常に分かり易く解説したものである。確かに非常にそのエネルギーの発生原理が、専門知識なしに理解できるほど平易な解説である。昨今、地球温暖化防止のための環境・省エネ・新エネの話題はマスコミ等新聞紙上で尽きない。この二酸化炭素排出量抑制の切り札とも言える原子力発電のしくみについては、ある程度知っているとはいえ、同じ「原子力」を利用する核兵器については、まだまだ知らないことがあったので十分に楽しめた。ウラン(U235)の核分裂連鎖反応を利用する広島型原爆、プルトニウム(Pu239)の核分裂連鎖反応を利用する長崎型原爆、重水素(H2)の核融合連鎖反応を利用する水爆、それらの科学的原理や爆発のメカニズムや構造上のしくみがよく分かった。昔、なんとなく理解していた原理が、すんなりと腑に落ちた気がする。核の話は、兵器にしても平和利用の発電にしても多分にどうしても政治的な話と結びつくので、所感は述べません。ただ、どのような立場にたつにせよ、本書の科学的知識は役に立つことは確かです。(評価:星四つ ★★★★☆)核兵器のしくみ
2009.05.09
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今年の4月から始まった、NHK教育木曜日23:30-24:00に放送されている「ITホワイトボックス」という番組がある。ITを良く分からないブラックボックスから、分かり易い解説でホワイトボックス化しようとする意図の番組であり、専門家が電子メールやインターネットの仕組みなどを一から解説して、今のところとても面白い。今週、5月7日の「インターネットの検索はなぜ早いのか」をテーマに、国立情報学研究所の高野氏が解説していたが、その説明の中で、知りたい語句の知識に関係する「本」を簡単に見つけられるソフトウェアの紹介をしていたのだが、どこかで見た覚えがあった。実は、この本(=3時間で読めるビジネス新書900冊)のことであった。なーんだ宣伝か~と思った次第である。でも、番組はこれからも上期中までは続くようで見逃せない。
2009.05.08
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人間の心や意識がなぜ・どうやって生まれるのかについては、脳が関係することは明らかだとしても物質としての脳がどのようなメカニズムやシステムで精神的な事柄を「生みだす」のかは、現代の科学をもってしてもその手掛かりもないのが実情であろう。偉大な物理学者で天才数学者のR.ペンローズでさえ、「脳細胞を構成する分子の量子的干渉が人の意識と関係するのではないか」としか述べていないし、極楽とんぼの自称脳科学者の茂木健一郎は、「数多くの他と区別されてとらえられるクオリア=質感があり、変わらず継続して意識する主体が私たちの意識というものだ」と訳のわからない説明で誤魔化している。実際、一足飛びに分析が難しい「意識」や「心」は脇において、単に「目で見て物が見える」と言う状態だけを考えてみよう。光が物体に当たり、その光が我々の目に入ってくる。目の網膜でこの光の強弱と三原色に反応する視神経の電気信号が脳の視覚野に伝達される。ここまでは、理解できる。そして、脳は「実際そこにある物体と寸分たがわない状態で、その電気信号を目に見える風景として再構成し、リアルタイムで目に映し出す」ことをしている。すなわち、脳の視覚野で処理され構成されたモノ(映像)が、実際と寸分たがわずにそこに存在するように「見える」のである。ああ、なんて見えることを処理する脳は驚異的なんだろう。同じように、「聞こえる」や「触る」など五感や、「記憶する」や「計算する」「考える」などの全く無意識に我々が行っていることの一つ一つが、驚異的な脳の働きに依存しているはずである。そして、この脳が処理するメカニズムやシステムは、全く分かっていない。その点でこの本、スーザン・グリーンフィールド(新井康充=訳)「サイエンス・マスターズ11 脳が心を生みだすとき」(草思社、1999.4)は、10年前の本ではあるが、その時点で分かっている科学的事実に基づいて、丁寧に脳の化学物質と電気信号の複雑で巧妙なやりとりのどこから、心や意識、記憶が生み出されるのかのメカニズムを分かっている範囲で、丁寧に解説した本である。とはいえ、結局は、「1970年代以降急速に発展してきたが、脳を研究する冒険は、始まったばかり」という結論になっており、要は、「謎のまま」らしい。残念、今後の研究に期待したい。はなしは変わるが、草思社のサイエンス・マスターズシリーズの書籍って、どれもこれも一流科学者が一般読者向けに分かり易く書かれたものらしく、「はずれがない」ように思える。図書館で見かけたら、少し前の本であろうとも「即、借り」だと思います。(評価:星四つ ★★★★☆)脳が心を生みだすとき
2009.05.07
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みょうに題名に魅かれて図書館で手に取った本である。この柳澤桂子(やなぎさわ・けいこ)「ヒトゲノムとあなた 遺伝子を読み解く」(集英社、2001.1)は、サイエンスライターで難病(周期性嘔吐症)を克服したある筆者が一般の初心者向けにヒトゲノムとは何か・またその歴史やその意義・意味する所を、豊富な公表資料を集約することによって分かり易くまとめたものである。その意味で、生物学の知識がある者にとっては少し「まどろっこしい」が、文体が非常に「繊細でやわらかい」ために、あまり気にならない。ただ、情報の切り張り的な側面と、日本がヒトゲノムに貢献した程度の記述が不明確なことなどの点が気にはなるが、筆者の主張や解釈・意見はそれほど色濃く出ている訳ではないので、許容範囲といえよう。まあ、生物学の分野は、8年も前になると大きく進歩し変化しているとも見なせるので、その点で割り引かずに考える必要もある。なお、筆者の言う、「私たちは豊かな遺伝子プールの中から、46本の染色体を与えられてこの世に生まれてきます。私に配られたかもしれない障害遺伝子を、私に代って受け取ってくれた人たちが障害者なのです。・・・どんな障害の子供が生まれても、社会はその子供を受け入れて、幸せに生きていけるよう福祉の充実を図る必要があります」との主張は、今までそういった意識はなかったが、ほんとうにそのとおりだと思うし、この部分を読んで感動すら覚えた。(評価:星三つ ★★★☆☆)ヒトゲノムとあなた
2009.05.06
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筆者の著書を読むのは、中途半端なインタビュー記事の集約作品「貧困大国ニッポン」(2008.6)、まともな経済分析ができていない「官製不況」(2008.4)に続く3作目である。この門倉貴史(かどくら・たかし)「ワーキングプアは自己責任か アンフェアな社会にはもう騙されない」(大和書房、2008.3)は、”非正規雇用で低収入という不安定な雇用に直面する若者たち、ワーキングプアの状態から抜け出せない者が増えている原因を、徹底した市場主義の追求やグローバリゼーションの進展による国際競争の激化などの社会の大きな変化、企業の人件費節約志向の強まり”と断じている。論調は、全く変わっていない、というよりこの本を元にして派生的芋蔓式に新書本が「あらよっ」とできあがったようなものである。まさに、「あまり内容がない」本である。筆者の説明のやり方では、どんなに統計指標や経済分析指標を見せられても、ワーキングプアが自己責任ではないと論理的に心の底から納得はできない。現在非正規雇用でワーキングプアな若者は、結局、結婚もできず・子供もおらず・税金はほとんど納めず・年金や雇用保険にも加入ぜず・年老いて野たれ死んでゆくような「人生」で、少子高齢化進展と国家財政逼迫に多大な「貢献」をする世代のように述べられている。もちろん、いくばくかの少数派の存在が目立つからといって十派ひとからげで多数の集団としての世代を述べることは適切でないし、これと全く異なる多数派の存在もあることは明白な事実であろう。こういった点を的確に分析しないと、この本のように、指摘する問題点は「ざれごと」で、提案する解決方法は「きれいごと」のように聞こえてしまう・・・駄作です。読む価値はほとんどありません。(評価:星一つ ★☆☆☆☆)ワーキングプアは自己責任か
2009.05.05
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水月昭道(みづき・しょうどう)「高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院」〈光文社新書322〉(光文社、2007.10)を図書館で借りて読んだ。仕事がら、大学の先生方とつきあう機会がある。その際に、必ずと言っていいほど先生から話すことで話題になるのは、ドクター・ポスドクのキャリアパスとしての処遇の話である。それを聞きながらいつも思うことは、就職先がないのにもかかわらずなぜこんなにドクター(博士)を持つ人が多くなったのかということであった。その疑問に対する答えが、この本には書いてある。曰く、「文部科学省と東京大学が結託して、大学院重点化政策の名の元に、大学院へ進学する大量の学生(収入源)確保を図ると同時に、一流大学の大学院卒の研究者が二流・三流大学の教員ポストを独占することによって、全体の教員ポスト需要数とドクター供給数が著しく乖離したことによって、大量のドクター・ポスドクのフリーターが発生した」と断言している。これほど分かり易い説明はないであろう。ただ、筆者の説明は、大学院のうち修士課程(前期博士課程)卒と博士課程(後期博士課程)卒を説明上あまり明確に分けていない。卒業時の就職(特に民間企業)に問題があるのは、博士卒のみの場合であって、修士卒は全く問題にはならないことを恐らく”あえて”触れていない。また、著者が理工系博士卒と、文科系博士卒では事情が少し違うことも恐らく”あえて”触れていない。理工系博士卒は、民間企業の研究所の研究職も選択肢があるので、文科系博士と比べて問題は多少改善される。こうした点を割り引いても、明確にかつ具体的に問題となった要因を指摘している点で非常に秀逸な作品である。もう少し前に読んでいればよかったと後悔する程である。ただ、筆者の指摘するこういった現状を鑑みると、結局、「一流大学以外の学部生は、修士課程には行っても、決して博士課程には進学するな」という結論に落ち着いてしまうのではないだろうか。いまの大量のノラ博士(ノラ猫・ノラ犬の様な)がいる現状は、残念ながらとても打開できそうにはない・・・(あまり関係ないのでいいけどね)良書でした (評価:星四つ ★★★★☆)高学歴ワーキングプア
2009.05.04
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遅ればせながら、田村裕「ホームレス中学生」(ワニブックス、2007.9)をブックオフ105円均一で買って読んだ。ご存じお笑い芸人である筆者が、父親の借金によって、突然、家族が「解散」し貧困生活に陥った自叙伝である。はっきり言って期待以上にとても面白かった。一気に読んでしまった。家族の解散宣言以前は、比較的裕福で善良な良い子であった筆者の人となりが良く表れており、それでもなんとかしのいだ描写が非常に好印象で、背伸びも悪いこともせずに最後には他人からの好意でなんとかなったことが如実に描写されていた。良書であった。(評価:星四つ ★★★★☆)ホームレス中学生
2009.05.03
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