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鎌田浩毅(かまた・ひろき)「世界がわかる理系の名著」(2009.2、文藝春秋)を図書館で借りて読んだ。理系の名著の中で世界を変えた14冊をとりあげ、その人物紹介・内容の超概略・その本が世界をどう変えたかについて解説している。大変な情報量である。筆者は火山学者であるが、注意してTV・新聞・雑誌の一般向け科学特集を見ると、筆者が少し奇抜な格好で登場しているのを見かけることがある。難しいことを分かりやすく説明することに生きがいを感じているようだ。文章力・表現力のあることは間違いない。生命の世界・環境と人間の世界・物理の世界・地球の世界に分けた章で、各々3-4名の名著を紹介しているが、章分類から分かるようなもっともな名著を紹介している。そしてほとんど書名は超有名ではあるが、紹介された14冊の中では、残念ながら1冊(カーソン「沈黙の春」)しか読んだことがない。教科書にその法則や発見が掲載されるような原著は、そんなものなんでしょうね。でも、本当に面白い本でした。(評価 星四つ:★★★★☆)世界がわかる理系の名著
2009.06.28
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ドン小西(どん・こにし)「部長! ワイシャツからランニングがすけてます 男の器は服でつくる」(2009.4、朝日新聞出版)を図書館で借りて読んだ。タイトルで思わずドキッとしたからである。まさしく、ファッションチェックで男の器が鮮明に分かるという内容で、”ワイシャツはスーツの下着であり、下着の下に下着を着ていることが傍から分かるような着こなしをする男は言語道断”といった主張である。言われてみればそのとおり、これからはそうします・・・また、成功する人の三つの条件は、「観察力」・「洞察力」・「創造力」と断言する所もすごい。そう思ってしまう説得力がある。最後の章には、「今日から変われる、イケてるおやじへの12の格言」もあります。タイトルでドキッとしたおやじは、必読です。(評価 星四つ:★★★★☆)部長!ワイシャツからランニングがすけてます
2009.06.28
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C・レヴィ・ストロース(川田順造・渡辺公三=訳)「レヴィ=ストロース講義 現代世界と人類学」〈平凡社ライブラリー543〉(平凡社、2005.7)を読んだ。人類学は、全く土地勘はないが、興味を広げるために読んだものである。本書は、現代の文化人類学者で最も有名なレヴィ・ストロース博士が、1986年に東京で行った三回の講演とその質疑応答をまとめたものである。内容の中核は、「先進国の現代社会が直面する様々な課題は、その解決の糸口が後進国の未開の地にあり、これを学ぶべきだ。ここに人類学の意義がある。」ということである。直感としては正しくて・間違っていないとは思うものの、根拠はないがいまいち全面的に賛成はしかねる。結論としては、「人類学」に個人的にあまり興味がないということが分かった。それだけでも収穫は大きい。(評価:星三つ ★★★☆☆)レヴィ=ストロース講義
2009.06.22
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カルヴィン・C・クロースン(好田順治・小野木明恵=訳)「数学の謎 数と数学の不思議な関係」(青土社、2006.9)を図書館で借りて読んだ。最近、数学の本に興味が湧き、数学の歴史が知りたくなって読んだものである。本書は、数学は退屈で・現実社会に関係がなく・数学はただ難しいだけという神話を信じている人々に向かって、数学のすばらしさを示す本であるらしい。そのために、数学がどうやって始まり、どのように発展してきたかの数学史を記述している。数学の歴史は、「数えること」から始まった。紀元前2000年代のエジプトでは、一般化された数の記号が発達し、古代ギリシアでは、証明方法など各種数学的手法の確立がなされ、ユークリッド幾何学として完成した。その他、16世紀になってデカルトやフェルマーの解析幾何学、オイラーの級数、ガウスの複素平面、ニュートン・ライプニッツの微積分、行列、リーマンの非ユークリッド平面など独創的な数学的手法が開発され、次々と数学の範囲を広げていったことを、豊富な例示で非常に面白く解説している。高校数学の知識があれば十分に読みこなせるし、登場する数学者の人となりも詳細な記述で興味深いものがある。ただ、数学史が興味深いからといって、数学が心からすばらしいと思わせることができるかは疑問に思う。(評価:星三つ ★★★☆☆)数学の謎
2009.06.22
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ジョージ・G・スピーロ(青木薫=訳)「ケプラー予想 ―四百年の難問が解けるまで」(新潮社、2005.4)を図書館で借りて読んだ。フェルマーの最終定理に関する本を読んで以来、数学にも興味がでてきたためである。ケプラー予想とは、1611年にドイツの有名な天文学者ヨハネス・ケプラーが、「球をできるかぎり高い密度で詰め込む方法は、どの球のまわりにも12個の球が接するようにすればよい」と予想した数学的問題(最密充填方法)である。ところが、1998年にミシガン大学の数学者トム・ヘールズによって証明されるまで、この予想の厳密な証明はなかった。これは、フェルマーの最終定理とともに、もっとも古い数学の予想の一つであった。本書は、このケプラー予想が証明されるまで数々の数学者が頭を悩ました物語を興味深く記述している。フランスの数学者にして哲学者のルネ・デカルト、日本の原子核物理学者で雪の結晶の系統的研究を行った中谷宇吉郎も登場するし、当然、天才数学者であるC・F・ガウス、レオンハルト・オイラー、ジョゼフ=ルイ・ラグランジュも登場する。更には、三次元空間の処理といえば、ヘルマン・ミンコフスキー、ダーフィト・ヒルベルト、アンリ・ポアンカレーも関係する。ただ、最終的に、フェルマーの最終定理を証明したワイルズの手法が、美しく・エレガントで・品格があると呼ばれたのと比較し、ケプラー予想を証明したヘールズの手法は、コンピュータを最大限活用し反例となりうる有限個のケースを一つずつ消していくというやり方であった。このように、一見当たり前のような予想の正しさを明らかにすることが、とてつもなく難しいことがありうるということに大変な驚きを感じる。とても面白い内容でした。(評価:星五つ ★★★★★)ケプラー予想
2009.06.13
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本田由紀(ほんだ・ゆき)+内藤朝雄(ないとう・あさお)+後藤和智(ごとう・かずとも)「「ニート」って言うな!」(光文社、2006.1)を図書館で借りて読んだ。非常に主張は明晰で、内容に富んだ本であった。「ニート」という言葉は、本来の専門用語を離れ、今やほとんど一般名詞化している。すなわち一般的には、仕事がなく・ぶらぶらしている状態を意味さえしている。この本は、ニートという言葉の本来の意味の定義は何で、それがなぜ・どうして全否定的なニュアンスの言葉として変質してしまったのかを明らかにすることで、「ニートって言うな」と主張する内容である。日本で「ニート」とは、通常、15~34歳の若者の中で、学生でない未婚者でかつ働いておらず、求職活動もとっていない人を意味する。NEET(ニート)は、英語の同音のneatが「整った、片付いた、きれいな」という意味とは全く逆の「乱れた、乱雑で、ごみごみした」というニュアンスさえ日本語の「ニート」にはあることに驚かされる。これも、パラサイトシングル・ひきこもりと来て、ニートとなった言葉の過去(およびそれを政治的あるいは若者の教育論として利用した者)が大きく影響しているということだ。この本の主張の中核である「ニートって言うな」のとおり、この本を読むと軽々にはニートって言えない。良い本でした。(評価:星四つ ★★★★☆)「ニート」って言うな!
2009.06.13
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雨宮処凛(あまみや・かりん)「生きさせろ! 難民化する若者たち」(太田出版、2007.3)を図書館で借りて読んだ。予想以上に良くできて、筆者の文章力や構成力のあることが分かる本だった。筆者が広めた「プレカリアート」(不安定な・プロレタリアートを合わせた造語、不安定さを強いられた人々)という言葉も徐々にではあるが浸透しつつある一方、世の中の労働問題の話題の中心は、ニート・偽装請負・ワーキングプア・名ばかり管理職・格差・貧困とますます絶望的な言葉で一層先鋭化してきている。就職氷河期世代の現在30代の非正規雇用にある若者は、今後、40代になっても50代になっても非正規雇用状態にある確率が高い。なぜなら、より上の世代は正規雇用であることの既得権を主張するし、より下の世代はより若いことで正規雇用への切符の正当性を主張する。どうすればいいんだと叫ぶことが、「生きさせろ!」という主張なんだろう。この主張が正しいだけに、逆に少し悲しい。この世代の人口ボリュームが大きく、この主張が主流になるとすれば、日本は全体として徐々に成長や発展とは別な方向に向かって進んて行く。そんな気がします。良書でした。(評価:星三つ ★★★☆☆)生きさせろ!
2009.06.13
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田近英一(たぢか・えいいち)「凍った地球 スノーボールアースと生命進化の物語」(新潮社、2009.1)を図書館で借りて読んだ。かつて地球の表面は完全に氷で覆われていたという地質学的事実が、明らかになってきたらしい。これを、「スノーボールアース仮説」(全球凍結仮説)と呼び、本書はその内容と、これがもたらす生物進化への影響等を分かりやすく紹介している。全球凍結は、25億5000万年前~22億年前の原生代前期氷河時代(ヒューロニアン氷河時代)と、7億3000万年前~6億3500万年前の原生代後期氷河時代(スターチアン氷河時代とマリノアン氷河時代)の3回あったそうだ。6500万年前に、恐竜が絶滅した原因が最近になって「巨大隕石衝突」である学説が受け入れられたと同様に、あながちあり得ないことではないとではない。ただ、生物進化の歴史を考えると、原生代前期の全球凍結のイベントをシアノバクテリアは生き抜き、原生代後期の全球凍結を真核細胞生物を生き抜いたことになる。どうやって生きのびたのかは明らかではないが、生きのびた直後には、生物は多様化し繁栄したことも事実である。地球の環境維持システムやCO2温室効果問題に深い知識を与え、更には生物進化論・地質学などを興味深く説明してくれ、色々楽しくかつ面白く読めました。(評価:星四つ ★★★★☆)凍った地球
2009.06.07
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門倉貴史(かどくら・たかし)「大失業時代」(祥伝社、2009.4)を図書館で借りて読んだ。 本書の内容は、2008年秋のリーマンショック以降、急速に悪化した雇用環境について、正社員・非正社員ともに失業の恐れがある現代を、「大失業時代」と名付けてその背景や経緯を述べた本である。ただ、残念ながら、取り上げるデータは新聞切抜き情報が大半で、その分析も浅く奥行きもない。論述は、単に、筆者が単純に思ったり・感じたことをならべただけで、平凡かつ月並みである。 「ワーキングプアは自己責任か」や「貧困大国ニッポン」・「官製不況」などの著作がある筆者の肩書がエコノミストで作家であるならば、もう少し切れ味するどい分析や独自の情報ソースからの提案があってもいいのではないか。そういった点が非常に残念な気がする、あるいはその程度が筆者の実力かと思わせる本である。(評価:星二つ ★★☆☆☆)大失業時代
2009.06.03
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