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トニー・ブザン(神田昌典=監修、近田美季子=訳)「仕事に役立つマインドマップ -眠っている脳が目覚めるレッスン」(ダイヤモンド社、2008.5)を図書館で借りて読んだ。非常識な成功法則の著者である神田氏の監修で、勝間和代氏が効率が10倍アップする新・知的生産術で絶賛したマインドマップ本である。内容は、くどいほどマインドマップ絶賛本で(当り前か)、マインドマップさえ身につければ仕事が全てうまくいくとしか書かれていない。「10年間に1冊の本しか読んでなならないとしたら、迷わずこの本を選ぶだろう」(by 神田昌典)なんて、冗談にしか聞こえない。まあしかし、内容はともかくチームでの仕事の進め方として、個人の頭の中のアイデア・意見・考えを紙やホワイトボードにイメージ化し、これを皆と共有し、議論を発展させること自体の手法は正しいし、そのとおりだと思う。かといって、わざわざ本にするほどのことでないと感じる。ただ、この定式化された手法を使って、実際自分自身についても、「スキル(強み)」・「人脈」など書いてみたことも事実である。感想は、あってもなくてもよくて、「まあ、それで」っていう感じかな。仕事に行き詰っている人程度にはお薦めかな。(評価:星三つ ★★★☆☆)仕事に役立つマインドマップ
2009.02.28
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山田真哉「食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字〈上〉」〈光文社新書300〉(光文社、2007.4)をブックオフ105円均一で買って読んだ。今さら感はあるが、NHK「ルソンの壺」コメンテータの一人であり、さおだけ屋はなぜ潰れないのか?に続く第二弾を読んでいなかったので改めて読んだものである。 前作もそうであったが、ビジネスマン対象としては内容がはなはだ簡単すぎる。ターゲット顧客は学生や主婦なんでしょうね。びっくりするほど、内容がない。いわゆる、角折ページが全くなかった本も珍しい。多分、自分の経験上初めての本ではないであろうか。 もっとも、会計的な知識は大事である。派遣切りが問題となった際、どこかの政党や団体が「大企業は、莫大な内部留保金を取り崩して派遣労働者に回せ」と言ったことを真に受けて同調する人がいる。損益計算書・貸借対照表の知識があれば、「内部留保は過去からの利益の蓄積であり、これは資本の一部となっており、実際にはその金は機械や建物の対価として資産の取得に使われており、現金が企業に蓄えられている訳ではない」。すなわち、内部留保を取り崩せとの主張は、的を得ていないことが分かるはずである。この位の話を筆者にもして欲しいなあ・・・(評価:星二つ ★★☆☆☆)食い逃げされてもバイトは雇うな
2009.02.27
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福岡伸一「できそこないの男たち」〈光文社新書371〉(光文社、2008.10)を買って読んだ。前作、生物と無生物のあいだがとても面白かったのと、最近、生物学のジャンルに興味をもっているので読んだものである。 前作は、ウィルスは生物かどうかから始まって、生物とは何かということを本のテーマとしていたが、今回は、精子はどのように発見されたかかに始まって、男と女の違いというより男とは何かということを本のテーマとしている。生物は、もともと女だけでDNAをつないでいた(単為生殖)が、環境適応のDNA多様性を目的に(利己的な遺伝子論からいうとそのようなDNAが淘汰されずに進化してきた)女から男が作られた(有性生殖)。したがって、生物学的には「デフォルトは女であり、男は女をカスタマイズした」存在であり、男はある意味できそこないと言える。と言うのがこの本の趣旨である。 記述している内容は興味ある事実であろうし、文体やそのエピソード自体も面白く、取り扱うテーマは一貫している。にもかかわらず、前作ほどはのめり込めなかったし、何かバラバラな単なる事実を、筆者の知識と経験でうまく取り繕っているかのような印象がぬぐえなかった。すなわち、科学者としての自らの研究成果や発見が盛り込まれている訳ではなく、かつ、筆者自身の科学的根拠のある意見やメッセージがないということであろう。新書にそこまで期待することは難しいとは思うが、前作の素晴らしさの印象が高かっただけに少し残念である。とはいえ、面白い本であることは間違いない。買って損はないと思います。(評価 星四つ:★★★★☆)できそこないの男たち関連記事日本人の精子力・・・精子や受精の話はこちらが詳しい利己的な遺伝子・・・男と女の性別なぜあるのかはこちらが元祖文科系のためのDNA入門・・・初心者用DNA入門
2009.02.22
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町沢静夫「40歳の意味・ヒトはいつ「ほんとうの大人」になるのか」(大和出版、2002.4)を図書館で借りて読んだ。最近、心理学に興味があるのと、なによりタイトルが魅力的だったから読んだものである。書評を書く前には、著者や著著についてある程度WEB検索するのが常であり、事前にはまったく知らなかったが、著者の精神科医としてのネット上の評判は「かなりひどい」。ただ、ネット情報は信憑性の問題があることに加え、自分自身の書評の作法・流儀として、あくまで読んだ本の内容についてコメントすることとしているので、こういった情報は脇に置いておくこととする。この本は、30代から40代に移る時期に、誰でも第2の思春期ともいうべき「心の危機」が訪れ、この「中年の危機」の乗り越え方を解説した内容である。乗り越えた後に「ほんとうの大人」になるということを意図したものである。趣旨は分かるが、内容はひどい。全く、自分の経験に基づく、自慢話と言い訳そして相手が悪い・社会が悪い・自分は正しいのオンパレードであり、スカスカの内容である。精神科医や東京大学卒の共通項がある、和田秀樹の著書と全く同じ、胡散臭い「匂い」がする。こんな本が図書館の蔵書として並ぶことは、市民の税金の無駄遣いに他ならないと思う。読む価値なし (評価:星無し ☆☆☆☆☆)40歳の意味
2009.02.21
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新書マップ編集部「3時間で読める! ビジネス新書900冊」(光文社、2008.4)を図書館で借りて読んだ。題名が面白そうだったので読んだものである。ニュースになる話題やビジネス上のテーマについては、「たいていのことは新書に書いてある」との考えで、国立情報学研究所・高野研究室のプロジェクトとして新書マップが構築したウェブサイトを元に、テーマ別に10冊、合計900冊のごく簡単な書評とともに編集した本である。3時間で900冊読んだ気になるのはちょっと無理がある。読後の感想は不思議なほどこれと言ってない。「新書」だけが本ではないし、単行本でも文庫本でも面白く役に立つ本はたくさんあると思う。あまたある本の全体のごく一部の「集合」を整理・分類することにどんな意味合いがあるのだろうか。よくわからない。ただ、新書の中の出版社毎に特徴・カラーがあることはよく分かった。また、900冊も紹介してくれているので、また機会があれば読みたいなと思った本もあることが分かっただけでも収穫かな。多分買わないけどね・・・ (評価:星二つ ★★☆☆☆)・もう牛を食べても安心か 福岡伸一著-2004 文春新書416・高学歴ワーキングプア 水月昭道著-2007 光文社新書322・首相支配 竹中治堅著-2006 中公新書1845・政治学の名著30 佐々木毅著-2007 ちくまプリマー新書064・年金問題の正しい考え方 稲盛和夫著-2007 中公新書1901・リーダーシップの旅 野田智義他著-2007 光文社新書289・社長の値打ち 長田貴仁著-2007 光文社新書320・ブランド 石井淳蔵著-1999 岩波新書 新赤版634・ベンチャー企業の仕事 太田肇著-2001 中公新書1571・起業家の条件 黒崎誠著-2006 平凡社新書313・金融入門 岩田規久男著-1999 岩波新書 新赤版635・財政のしくみがわかる本 神野直彦著-2007 岩波ジュニア新書566・アジア政治を見る眼 岩崎育夫著-2001 中公新書15823時間で読める!ビジネス新書900冊
2009.02.18
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伊東乾(いとう・けん)「日本にノーベル賞が来る理由」(朝日新聞出版、2008.12)を図書館で借りて読んだ。本書は、昨秋、日経BP社の日経ビジネスオンラインに「日本にノーベル賞が来た理由」として2008年の日本人4名受章者の背景について連載されていたものを加筆編集したもので、実際WEBで見ていて切り口が非常に興味深かったこともあり、読んだものである。筆者は、東京大学理学系大学院物理学博士課程卒の作曲家=指揮者という、非常に多才な才能の持ち主による執筆である。筆者の、ノーベル賞(特に物理学賞)に対する非常に深い洞察と博識に圧倒されること間違いない。読後、基礎科学と文学や平和の問題が密接に関連することがわかる点で、ノーベル賞に対する見方が読む前と変わること請け合いである。例えば、筆者は、その研究成果そのものがノーベル賞に値することは当然だとしても、日本へのノーベル賞授与に対する贈るスウェーデン側の「意図(メッセージ)」を次のように断言している。1949年物理学賞=湯川秀樹:「日本への原爆投下への謝罪の意を込めて、日本科学を世界第一線のものと承認するセレモニー」1965年物理学賞=朝永振一郎:「マンハッタン計画で原爆の核弾頭の基礎計算で最も力を発揮したR.F.ファインマンと抱き合わせに授与し、原爆投下20年を和解と協調の年として演出」1968年文学賞=川端康成:「広島原爆の破壊効果測定責任者アルヴァレズ博士への物理学賞授与とセットで、日本の文化を高いものと称讃・承認」その他、過去日本人全16人のノーベル賞授賞者についても、その内容と理由を「簡単に分かり易く」ふれている。驚異的な情報調査能力と単純化表現力だと思う。更には、日本は世界で唯一非欧米にもかかわらずノーベル賞を数多く贈られている国であり、ひととおりの基礎的な科学分野で世界一流の水準にある国であり、「現地語=日本語」で最先端科学が学べる教科書がある世界的に稀有の国であることも強調している。惜しむらくは、主張に説得力はあるがゆえ、逆に「本当にそうか・その見方のみが正しいのか」判断がつきかねる点が欠点である。更に、「日本の基礎科学の進むべき道」を後段で述べているが、ちょっと飛躍しすぎで共感しかねる点も不満な所である。しかしながら、久々にいい本だということは間違いない。読む価値は十分にあります。(評価:星五つ ★★★★★)日本にノーベル賞が来る理由<読みたい本>南部陽一郎:「クォーク」講談社戸塚洋二:「戸塚教授の科学入門」講談社関連記事ファインマンさんの最後の授業ナッシュは何を見たか
2009.02.17
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矢沢潔(やざわ・きよし)「日本人の精子力」(学習研究社、2007.9)を図書館で借りて読んだ。日本人の精神力でなくて、まさしく精子力です。少子化の今、日本人の精子に何が起きているのか最新の科学的知見で論述しようとしたまともな本である。決して下世話な本ではない。人類史上初めて、人間の精子を見たオランダ・デルフトの織物商アントニー・ファン・レーウェンフック氏(丁度、画家フェルメールと同世代・同郷である)の話から、精子の生物学的作られ方、精子・卵子細胞の詳細構造、受精のプロセス・メカニズム、男女性別の発生メカニズム(著者は、性別決定遺伝子SRYのあるY染色体の退行問題については巧妙に態度を避けている)に至るまで、「精子力の話」についえは網羅しているといえる。ただ、肝心の日本人のというか一部先進国の精子数減少の原因については断定を避けている。昔あった環境ホルモン(内分泌攪乱物質)騒動は論外としても、なんなのか明確ではない。個人的には、遺伝子進化の遅さから言って遺伝的な問題ではなく、その原因は、生活水準向上に伴う、住居内の快適空間や身につける衣服の快適性追求による、男性下腹部周辺の保持温度が昔より平均的には徐々に上昇していることではないかと思う。本書は、とても面白い本だとは思うが、筆者が元科学雑誌編集長ということもあり、いくつかのエピソードが断片的でつながりに難があり、主張したいことが八方美人的でよく分からない点が欠点である。(評価:星三つ ★★★☆☆)ロジャー・ペンローズ:「皇帝の新しい心」日本人の精子力関連記事利己的な遺伝子沈黙の春
2009.02.15
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レナード・ムロディナウ(安平文子=訳)「ファインマンさん最後の授業」(メディアファクトリー、2003.11)を図書館で借りて読んだ。最近の読書ジャンルの好みとして、心理学・生物学に加えて、物理学も興味の対象にあり読んだものである。 天才物理学者のファイマン氏(正式にはファインマン:Feynmanらしいが、ファイマンの方が通りがいいので以下こう表記)について、知っていたことと言えば、一つは原子爆弾の製造に科学者として大きな貢献をしたこと、二つめはノーベル物理学賞を受賞したこと、そして三つめは学生の時に電話帳のような「ファイマン電磁気学」を買わされて、スタンダードな教科書とは全く違う説明内容で「全く理解できなかった」記憶があることぐらいであった。本書は、著者が脚本家として成功する前に、物理学者としてカルフォルニア工科大学(カルテク)に特別研究員として招かれた際に、ファイマン氏の晩年に交わした最後の交流の模様をエッセーとして書き下ろしたものである。 筆者の科学者としての生き方や、ひいては人生の目的などをファイマン氏から学んだということであり、何かの救いを求める「悩める科学者」向けの本のようだが、訳がもう一つなのか・脚本家がかいた本のせいなのかあまりピンとこない。はっきりいって面白くない。(評価:星二つ ★★☆☆☆)R.P.ファインマン:「ご冗談でしょう、ファインマンさん」R.P.ファインマン:「物理法則はいかにして発見されたか」ファインマンさん最後の授業関連記事ホーキング、未来を語るホーキング、宇宙のすべてを語る世界で最も美しい10の科学実験
2009.02.14
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烏賀陽弘道(うがや・ひろみち)「カラオケ秘史 創意工夫の世界革命」(新潮社、2008.12)を図書館で借りて読んだ。筆者は、フリージャーナリストで元朝日新聞編集者である。 日本発のカラオケ文化については、断片的に「最初にビジネス化した人物がイグ・ノーベル賞受章者の井上大祐」・「カラオケボックスは岡山県が発祥地」・「ブラザー工業子会社が通信カラオケ発明」とはそれぞれ別々の情報から知ってはいた。これらを含めた、カラオケ発明にかかわる登場人物の証言を、丹念な取材で一冊のまとまったカラオケ通史として本にしたという訳である。 カラオケ再生機(1971、井上大祐)・カラオケボックス(1985、佐藤洋一)・通信カラオケ(1992、安友雄一)の三つの発明が、現在の老若男女をマーケットとした1.1兆円もの巨大な市場を生み出したことが本書を通じてよく理解できる。一方で、日本人特有の美徳とされる、金儲けに走らず・特許で独占もせず普及に全力で取り組んだなど、こういったビジネス嗅覚の乏しい愛おしい人々を、どちらかというと擁護し絶賛する論調は、いかにもメディアのジャーナリスト的でいかがなものかと思う。 こういった、「個別の技術の勝負には勝って全体のビジネスの競争には負ける」ことをあたかも容認する社会的風潮や風土が、ボディブローのように日本人の起業家精神を蝕み、ひいては科学者・技術者を軽んじることにつながることを大変危惧する。技術者が自己主張することや、正当に発明の対価を求めることは、決して卑しいことではない。粗で野かもしれないが、卑ではないのだ。そうした感覚を、みんなが持ってほしいなと思う。 カラオケ物語りとしては文句はありません (評価:星三つ ★★★☆☆)カラオケ秘史
2009.02.11
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リチャード・ドーキンス(中嶋康裕・遠藤彰・遠藤知二・疋田努=訳)「盲目の時計職人 -自然淘汰は偶然か?-」(早川書房、2004.3)を図書館で借りて読んだ。前作「利己的な遺伝子」で衝撃を受けたので、その続編を読んだものである。本書は、前作が一般市民を読者層と想定していたため非常に読みやすいスタイルをとっていたものと一変し、筆者の主張の根底にある「生物は遺伝子の単なる乗り物である」に対する学者・知識人の批判への理論的再回答である。このため、かなり攻撃的な文体と、皮肉・専門用語を多用し、本書の完成度としては、少し繊細さに欠け洗練されていないように思える。本書の主張の根幹は、「人間の目の構造」や「コウモリのエコーロケーション(超音波による地形把握)」のような非常に精緻で複雑な生物の器官であっても、神や偶然が作った(時計職人で比喩)のではなく、自然淘汰・特に累積淘汰(多様な進化形のうち、最も自然に適合するものが残っていく)による長い年月で作られたものである、ということである。このことを、デザイナーは意思をもたない自然淘汰、すなわち「盲目の時計職人」と表現している。自分自身は、完全に筆者ドーキンスの主張に同意するし、これが正しいと信じることができる。ただ、一抹の不安は、高度に社会や文化を進化させてきた人類は、自然淘汰の圧力がほとんどかかっていないのではないかということである。例えば、社会的弱者に対して、政治や社会はなんらかの保護や援助・支援を行うことが社会システムとして既に組み込まれている。自然界は、自然環境により適合し子孫を残す遺伝子が繁栄し、あとは淘汰されていくことで多様な種と進化が促進される。一体、人類は、社会・文化的には「進化」していくとはいえ、DNAや生物的に「進化」はしていかないだろうと言える。ではどうなっていくのであろう・・・といった不安が残るが、この回答は本書では示唆さえない。ただ、生物学的進化のスピードは、社会的進化のスピードと比較にならないほど遅い。従って、生物学的進化論は、人類が想像できるほどの将来に対してはほどんど無力であるはずである。このことは、単に、今の事実の解明、例えば、なぜこのような生物器官ができあがったのかとか、どうして生物はこのような行動をとるのかといったことに対する、理論的説明を行えるツールでしかないような気がする。それはそれで過去や現在に対する価値はあるが、将来に対する価値がないことが学問としての致命的欠陥であろう。そんなことを感じます。生物学に非常に興味を持たせてくれた上で、色々と考えさせてくれるすばらしい本です。おすすめですが、この本の前に「利己的な遺伝子」を読むことを強く薦めます。(評価:星四つ ★★★★☆)盲目の時計職人
2009.02.09
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茂木健一郎「意識とはなにか -を生成する脳」(筑摩書房、2003.10)を図書館で借りて読んだ。茂木健一郎は、好きな著者ではないが、昔から物理的な脳と物理的ではない心がどうして形成されるのか不思議な思いがあったため、タイトルにつられ読んだものである。不思議だとは思いませんか。人体は細胞のみで構成されているのに、なぜ、心や意識が人体にあることに。私は、ずっと昔から不思議でした。でも、ずいぶん前にこのことについて考えることをやめていたが、再び思い返した。本書の最初に「・・・なぜ、脳の中の神経活動によって、私たちの意識が生み出されるのかが、皆目わかっていない。」とのフレーズがあり、その答えを期待して心踊った。筆者の提示した答えは、こうである。”私たちの意識の中で、数多くの他と区別されてとらえられる<あるもの>(これをクオリア=質感と呼んでいる)がある。この<あるもの>が<あるもの>として、変わらず継続して意識する主体が<私>であり、これが私たちの意識というものだ。”と。うーん、分かったようで分からない。というより、納得できないし腹にも腑にも落ちない。私なら、こう説明する。”私たちの脳の中で、数多くの他と区別される<あるもの>(これをクオリア=質感と呼ぶ)がある。この<あるもの>が、変わらず継続して脳の中の神経活動のパターンがあり、意識する<私>自体もクオリアであり、この神経活動パターンが私たちの意識というものだ”と。よっぽどこちらの方が自分にとって納得性が高いし、これがそうだとすると、後は、神経活動によってクオリアが導き出せるのかどうかの問題に収斂する。筆者はこの本の中で、何度も何度も同じような説明をくどく行うし、「私はこう感じたことがある。あなたも以前そう感じたはずだ」という傲慢で極楽とんぼな説明も随所で見られる。とても十分に推敲され、洗練された本とは言えない。残念ながら、駄作としか言いようがない。著者の他の本は知らないが、同じ調子の本であるなら、本当に見かけ倒しもいいとこだ。(評価:星二つ ★★☆☆☆)意識とはなにか<参考書籍>R.P.ファイマン「物理法則はいかにして発見されたか」
2009.02.06
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古川琢也+週刊金曜日取材班「セブンイ-レブンの正体」(金曜日、2008.12)を図書館で借りて読んだ。いや、正確には、妻が借りてきたものだ。以前、「セブン-イレブン 覇者の奥義」を読んだことがある。この本のように日経ビジネス記者が取材すると、大企業としていかに儲ける経営戦略が組み込まれているかの称讃になり、今回のように週刊金曜日の記者が取材すると、大企業は労働者や下請けをいかに低賃金と長期労働で酷使しし不当に儲けているかの告発になる。同じ現象を見て、立場や見方・切り口が違えば両極端になる事例が如実に表れている。ただ、大見えきって表題の「正体」って言う程、大層なことを暴いている訳ではない。「ロスチャージ問題」と「不当ピンハネ疑惑」くらいなものである。恐らくどちらがどれだけ正しいのかの真実は、その現象(今回の場合、大手コンビニ本部が儲けていること)が置かれた社会環境や世論などに左右され、求められている社会の要請がどちらが強いのかによって変化するものであろう。例えば、コンビニは社会に必要だとの要請が強ければ、少々コンビニ店長の労働環境がいかに苛酷であろうと、コンビニ弁当製造工場で働く主婦の労働環境がいかに低賃金であろうと、社会全体としては問題視しないであろう。逆に、かつてのガソリンスタンドのように、ちょっと数が多すぎやしないかとか、どうせ同じガソリンなんだから近くじゃなくても一円でも安い方に行くよとか、社会に必ずしも多くのコンビニは必要ではないとの要請が強くなれば、儲けすぎの大企業に矛先が向くであろう。まあ、今の社会の大勢では、コンビニはおろか、山田電機にもユニクロにもアマゾンにも、消費者は、これらの企業が消費者の味方だと好感をもっているので、企業側の方々は、あまり心配しなくてもいいでしょうね。でも、個人的には、コンビニの中でもセブンイレブンは、理屈じゃなく生理的に好きではない。これにはあまり理由はないが、一人勝ちってのが気に入らない性分なんだと思う。(評価:星三つ ★★★☆☆)セブンーイレブンの正体H21.2.21追記「コンビニ最大手「セブン-イレブン・ジャパン」(東京都千代田区)の本部が、フランチャイズ(FC)契約を結んだ加盟店に対し、消費期限が近づいた売れ残り弁当などの値引き販売を不当に制限していた疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで調査していることが、20日分かった」(毎日新聞報道)・・・ロスチャージ問題に公取委が切り込むのであれば、今後大きな展開があろう。
2009.02.02
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T.バトラー・ボードン(米谷敬一=訳)「世界の心理学50の名著 エッセンスを学ぶ」(ディスカバー・トェンティワン、2008.2)を図書館で借りて読んだ。以前、世界の成功哲学50の名著を読んだので、このシリーズものに挑戦したものである。読む前は、心理学は超能力やSF物に似てどこか胡散臭いイメージがあり、あまり期待していなかったのであるが、50冊のエッセンスだけであるがとても興味深い学問領域であることに改めて気付かされた。というよりむしろ、とても好きな分野の領域であることを発見させてくれた。心理学は、精神異常の人間の治療として始まったので、通常生活から遊離しているイメージが強い。が、本来、心理学は「自分を知る」ための学問であり、その延長線上で人間の行動心理を学問対象とするため、対人関係で起きる様々な事柄の裏に潜むものが何かを解明することにも多大な研究が費やされている。すなわち、家族内や夫婦間・他人との関係などで、うまくいくコツやその意義・考え方の解明に心理学は大きな貢献をしてきた。更には、営業成功向上のための人間心理の応用や、社員のモチベーション向上方策への応用などを通じて、ビジネスにも大きな影響を与えてきたとも言える。専門用語も多いが、人文科学系特有の「正解はない、もっともらしいということだけ」を念頭に置けば、読む分にはどおってことはない。むしろ、分析していることが、「思考」なのか「気分」なのか「感情」なのかなどを見極めて読むことが大切である。とても気に入りました。お薦めです。(評価:星四つ ★★★★☆)本書で取り上げた名著で邦訳のある本は、以下のとおり。(*印は、今後読みたい本)01 「人間知の心理学」アルフレート・アドラー02 「暴力から逃れるための15章」ギャヴィン・ディー・ベッカー03* 「人生ゲーム入門」エリック・バーン05* 「水平思考の学習」エドワード・デボノ07* 「人間のタイプと適性」イザベル・ブリッグス・マイヤーズ09 「いやな気分よ、さようなら」デビッド・D・バーンズ10 「影響力の武器」ロバート・B・チャルディネール12 「論理療法」アルバート・エリス/ロバート.A.ハーバー13 「私の声はあなたとともに」ミルトン・エリクソン14* 「青年ルター」エリク・エリクソン16* 「ブラックメール」スーザン・フォワード17 「意味への意思」ヴィクトール・フランクル18 「自我と防衛機制」アンナ・フロイト19 「夢判断」ジークムント・フロイト21* 「幸せはいつもちょっと先にある」ダニエル・ギルバート22* 「第1感-最初の2秒のなんとなくが正しい」マルコム・グラッドウェル23* 「ビジネスEQ」ダニエル・ゴールマン24* 「愛する二人別れる二人」ジョン・M・ゴットマン26* 「幸福になる関係、壊れていく関係」トーマス・A・ハリス27 「大衆運動」エリック・ホッファー28 「心の葛藤」カレン・ホーナイ29 「心理学の根本問題」ウィリアムス・ジェームズ30 「元型論-無意識の構造」カール・ユング31 「人間女性にける性行動」アルフレッド・キンゼイ32 「羨望と感謝-無意識の源泉について」メラニー・クライン33 「ひき裂かれた自己-分裂症と分裂病質の実存的研究」R.D.レイン34 「人間性の最高価値」アブラハム・マズロー35 「服従の心理-アイヒマン実験」スタンレー・ミルグラム37 「大脳半球の働きについて-条件反射学」イワン・パブロフ39 「児童の自己中心性」ジャン・ピアジュ40 「人間の本性を考える 心は空白の石版か」スティーブン・ピンカー41* 「脳のなかの幽霊」V.S.ラマンチャンドラン42 「ロジャーズが語る自己実現の道」カール・ロジャーズ43* 「妻を帽子とまちがえた男」オリバー・サックス44* 「なぜ選ぶたびに後悔するのか-選択自由の落とし穴」バリー・シュワルツ45* 「世界にひとつだけの幸せ」マーティン・セリグマン 幸せは快楽とほどんど関係がない。大いに関係するのは個人的な強みと徳性を育むこと46* 「パッセージ 人生の危機」ゲイル・シーヒィ47 「自由への挑戦 行動工学入門」B.F.スキナー48* 「言いにくいことをうまく伝える会話術 ハーバード流交渉術」 ダグラス・ストーン/ブルース・パットン/シーラ・ヒーン49 「見える暗闇 狂気についての回想」ウィリアム・スタイロン50* 「毎日を気分よく過ごすために」ロバート・E・セイヤー世界の心理学50の名著 エッセンスを学ぶ脚注水平思考: パターンを再構築し、ものの見方を広げて既成の思考法の殻を破ることマイヤーズ・ブリッグス性格類型検査(MBTI): 知覚の方法:感覚Sと直感N、判断の方法:思考Tと感情Fの組み合わせが、基本的特性(瞑想的NT、自発的NF、実践的ST、社交的SFの四つ)をつくり、一定の価値観・欲求・習慣・特質が生れるとするもの。これに、外向性Eと内向性Iと、支配的機能が判断Jか知覚Pかを付随して、人間のタイプを分ける方法フロー体験:幸福そのものを追求するのは間違いで、どんな時に本当に幸せだと感じるのか、何をしているときに本来の自分になれるのかを認識し、この活動を行うべきと考える体験。ミハイ・チクセントミハイが提唱アイデンティティの危機/統合性の危機:青年期に「自分は何者か」と悩むこと/中年期に「これまで自分がしてきたことは価値があったのか」と悩むこと。エリク・エリクソンが提唱人格類型論:外向性・調和性・誠実性・神経症傾向・解放性を基準とする特性五因子論など意味への意思:人間を動かすのは、快楽や性としたフロイト、権力への意思を主張したアドラーに対して、人間の自由意思を実現することであるとした、フランクルの主張七つの知能:ハワード・ガードナーが主張した人間の知能の種類。言語的知能、論理的数学知能、音楽的知能、身体運動的知能、空間的知能、対人的知能(他人の目的・モチベーション・欲求などを理解する能力)、内省的知能(自己を理解し、自分の感情とモチベーションに対する意識を高める能力)ティッピング・ポイント:ある時を境にささやかなアイデアや流行が一気に広まって主流になる現象。これを考察した「ティッピング・ポイント-いかにして小さな変化が大きな変化を生み出すか」(マルコム・グラッドウェル)が出版されたビジネスEQ:仕事のできる人間になるには、弾力性・独創性(イニシアティブ)・楽観的なものの見方・適応力・共感性といったことが、求められる能力や資質。優れたリーダーの条件は、大局的見地・政治的認識(特定の人やグループが、どのように交流し影響しあうかを理解すること)・自信・直感自己実現:「完全な人間性」を実現した人間、つまり、精神の健康と、仕事に没頭する非常に印象的な姿勢を兼ね備えた人間を表すゲシュタルト体験:アハー体験(ああそうか体験)。フリッツ・パールズの視覚認知に関する実験で、受け取ったイメージが不完全であっても、脳は常に全体像を完成させるように働くことを明らかにしたゲシュタルトの祈り:私は私のために生き、あなたはあなたのために生きている。私がこの世にあるのは、あなたの期待に応えるためではない。あなたがこの世にあるのも、私の期待に応えるためではない。あなたはあなた、私は私。たまたま心が通じ合えば、それはすばらしい。通じ合わなければ、それはそれでしかたがない。遺伝環境論争:「氏か、育ちか(nature vs nurture)」をめぐる論争セリグマンの美徳:知恵と知識、勇気、愛と人間性、正義、節度、精神性
2009.02.01
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