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梅田望夫(うめだ・もちお)「ウェブ時代をゆく -いかに働き、いかに学ぶか」(ちくま新書687、筑摩書房、2007.11)を読んだ。 筆者の梅田望夫の書物は、ウェブの成り立ちから今に至る状況を論述した名作の「ウェブ進化論」(2006.3)、ウェブ時代に登場する重要人物の語録をまとめた名作の「ウェブ時代 五つの定理」(2008.3)がある。この本の内容は、表題のとおりウェブという「もうひとつの地球」のある新しい時代において、いかに学び・いかに働くかについて筆者の考える新しい時代に合った人生論・仕事論を述べたものである。 とても共感を持ったのは、筆者の考える「大組織で成功できる6要素」の記述である。曰く、・転勤など自分の生活や時間の使い方を他者によって規定されることを、未知との遭遇として心から楽しめる・与えられた問題、課題を解決することに情熱を傾けることができる。その課題が難しければ難しいほど面白いと思える。・Whatへの好き嫌いやこだわりがあまり細かくなくおおらかで、一緒に働く人への好き嫌いがあまりない。あっても苦手(嫌い)を克服することを好む・これが今から始まる新しいゲームだとルールを与えられた時、そのルールの意味をすぐに習得してその世界で勝つことにまい進することに興味を覚える。・多くの人と力を合わせることで、個人一人ではできない大きなことができることに充実感を覚えるチームプレイヤーである。・巨大なものが粛々と動くことへの関与、貢献に達成感と充実感を感じ、長時間長期の組織へのコミットメントをいとわず、それを支える持久的体力に優れる。・組織への忠誠心や仕事における使命感のほうが、個の指向性より価値が高いと考える。 すべて大組織・大企業に働く人々にとって大事なことで、「個性が大事・好きなことをしろ・やりたいことをしろ」と教育現場で言われ続けた世代とは、全く価値観が違うとも言える。筆者は、明言はしてはいないが、こういった大組織向きの人に対してアドバイスしているわけではなく、ウェブ時代は「けものみち」を「一人で生きる」ことが望ましく、そのコツを本書で教示しているように思える。この点については、あまりにも煽動的で無責任であり、ウェブのみが社会の全てのような感覚には、同調するわけではない。だが、筆者はそれでもウェブ時代の生き方として、「勤勉の継続」が最も重要な資質であると指摘しており、この点については100%同意する。やっぱり、勤勉だよなと心から思う。 色々と考えさせてくれる本ですし、特に就職(新卒・転職を問わず)について頭の中にある人にとっては必読の書のようにも思える。名著でした。(評価 星五つ:★★★★★)ウェブ時代をゆく
2010.04.18
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前田英仁(まえだ・ひでと)「「はなまるうどん」激安商売術」(講談社、2004.6)を読んだ。初の讃岐うどん全国チェーン店を成功させた、前社長の自伝である。執筆当時の株式会社はなまるの経営環境は、前途洋々で、史上最短で1000店舗を作り上げることを目指すと熱く語っていたが、その後の現実は、2005年の東京マザーズへの上場中止(前田社長の職歴に問題アリと言われている)、うどんブームの終焉に伴う2006年からの牛丼チェーン「吉野家」との資本提携・小会社化、その後の社長交代となり270店舗程度で足踏みしている状況である。読後感は、「胡散臭い」匂いがただよっている感があった。具体的には、著者が披露する子供時代の家庭環境や勉学状況について、前半では悲惨なものと言い、後半ではそれでも何か役に立ったと言い、それはそれでそのとおりかもしれないが、自分を装うどこか信用できない感じであった。経営者としては、もはや終わった人ということかも知れない。(評価 星二つ:★★☆☆☆)
2010.04.18
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高橋伸夫(たかはし・のぶお)「虚妄の成果主義 -日本型年功制復活のススメ」(日経BP社、2004.1)を読んだ。今の時代は揺り戻しがあるが、人事制度としては成果主義が絶頂期の時のずいぶん前の本であるが、今更ですが非常に良書であることがよく分かった。要は、「日本型年功制のどこが悪いのか・良さではないか」という主張であり、東大教授だけあって感情的でもなく、経営学的な学術研究経緯を踏まえてはいるものの理屈っぽくなくとても好感が持てる内容である。 「人は金では動かない」ということだろう。とても内容が濃く、城繁幸「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」とは違った面でとても面白い本でした。もっと前に読んでいたらとも思った。(評価:星五つ ★★★★★)【中古】【古本】虚妄の成果主義 日本型年功制復活のススメ/高橋伸夫
2010.04.11
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ジョージ・ソロス(徳川家広=訳、松藤民輔=解説)「ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ」(講談社、2008.9)を読んだ。金融投資家で、世界一ともいわれる運用実績を上げた投資会社クォンタム・ファンドの創業者の著書である。特に、サブプライム問題の金融不況からリーマンショックによる世界同時不況前の状況認識についてどのような考えを持っていたのかに焦点をあてて読んでみた。 2008年秋前には、一般の日本人の誰もがサブプライム問題は対岸の火事で、そのうち終息するものだと思っていたと思う。これが単に始まり・きっかけにすぎず、市場原理主義が生み出したスーパーバブルがはじける前だとは思っていなかったように思う。そういった意味で、ソロスのように正確に世界の金融状況を把握していた人がいたことには驚かされる。後になって、その世界同時不況の真の原因は・・・とか言うことは簡単でも、前もって警告できることは真に価値があると思う。 ただ本書は少し難しい。ソロス独自の分析手法として、人と市場との双方向的な干渉を「再帰性」という概念の説明に多くを費やすが、この概念がどれほど大事でバブルをうまく理解できる概念であることとは読み返してもよく分からない。また、人は誤りうるという「可謬性」という概念も大事ということだが、この説明として面白かった事は、ソロス自身が科学哲学者のカール・ポパーの科学方法論に影響を受けたとの指摘である。”科学的法則の枠組みは、「初期条件」、「最終条件」と「一般概念または科学的法則」の三つの構成要素と、「予測」、「作業」そして「実験」の作業からなる。”ということを示している。私自身も以前感銘を受けた覚えがある。 ただいずれにしても、その道を極めるということは、独自の考え方やその哲学が大変重要だということがよく分かった。(評価:星四つ ★★★★☆)ソロスは警告する
2010.04.11
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