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今年も2010年の1年間で、私ねぼすけが読んだ71冊の本の中で、お勧め(少なくとも読んだ時間がもったいなくない)本の個人的なランキングを、2008年ランキング・2009年ランキングに続いて発表します。したがって、2010年以前に出版された本も含まれています。その前に、私ねぼすけの読書の作法を紹介します。電車通勤の会社までの往復時と出張時の交通機関の中やその他細切れの時間を利用して、2-3冊並行して読むのが読書のスタイルです。以前と少々読書環境が異なり、一週間で1-2冊程度読むペースになっています。また、本の入手方法は三通り。一つ、この本を読もうと思う際にはアマゾンか楽天で発注、二つ、古本はブックオフなどでぶらぶらと見て気になる本があれば購入、三つ、自宅近くの図書館で比較的読みごたえのある本を借りる、この三つがだいたい冊数にして1/3づつ程度を目標とするポートフォリオを目指しています。興味がある本のジャンルは、自然科学系(生物学、物理学、地球・宇宙・進化もの)・ビジネス人文社会系(経営・マーケティング分野、心理学・社会科学もの)・今話題の本といった所。ほとんどがノンフィクションで、小説やハウツー本はめったに読みません。特に小説は、面白い本を読みだすときりがなく、後をひくことを恐れてあえて避けています。それでは、発表です。その前に、参考に過去のランキングのベスト5を示すと以下のとおり。2008年ランキング第1位 銃・病原菌・鉄 (ジャレド・ダイヤモンド、草思社:2000.10)第2位 ウェブ進化論 (梅田望夫、筑摩書房:2006.2)第3位 スタバではグランテを買え! (吉本佳生、ダイヤモンド社:2007.9)第4位 ルポ 貧困大国アメリカ (堤未果、岩波書店:2008.1)第5位 フラット化する世界 (トーマス・フリードマン、日経新聞社:2007.5)2009年ランキング第1位 利己的な遺伝子 (リチャード・ドーキンス、紀伊國屋書店:2006.5)第2位 反貧困-すべり台社会からの脱出(湯浅誠、岩波書店:2008.5)第3位 希望格差社会 (山田昌弘、筑摩書房:2004.11)第4位 日本にノーベル賞が来る理由 (伊東乾、朝日新聞出版:2008.12)第5位 生命-最初の30億年 (アンドルー・H・ノール、紀伊國屋書店:2005.7)2010年ランキング第1位 地球46億年全史(リチャード・フォーティ、草思社:2009.1)地質学上の聖地を、地球物理学上重要な場所として読者が本書を通じて巡り、地球46億年全史を説明する試みが斬新で分かり易くかつ興味を持って十二分に引き込まれる。大作ではあるが、必読で蔵書用の書物である。第2位 なぜビジネス書は間違うのか(フィル・ローゼンツワイグ、日経BP社:2008.5)過去のベストセラー本「ビジョナリー・カンパニー」と「エクセレント・カンパニー」について徹底的にその分析が間違いであることを指摘した、衝撃的な本。企業の好業績の原因について、これが本質だ・これが理由だと言うことが非常に危険であるとした主張で、久々に、大変面白いビジネス書。第3位 暴走する資本主義(ロバート・B・ライシュ、東洋経済新報社:2008.6)日本を含む先進国では、貧困問題・格差問題等の社会問題が尖鋭化しているが、なぜこのような状況に陥ったのかを分かり易く示した本。筆者は、この要因を民主主義とは相いれない「超資本主義(=Supercapitalism)」と呼んでいる。広く読まれるべき本。第4位 恐竜はなぜ鳥に進化したのか(ピーター・D・ウォード、文藝春秋:2008.2)地球に動物が誕生した5億4200万年前のカンブリア紀から、現在に至る大気中の酸素濃度と二酸化炭素濃度の推移のモデルから、動物の大量絶滅と進化および種の多様性について包括的に説明した本。科学的には仮説の域を出ないが、説得力がありとても納得のいく説明で非常に感銘を受ける。第5位 スノーボール・アース(ガブリエル・ウォーカー、早川書房:2004.2)全地球凍結仮説が発生した経緯から、その論点がどのような証拠によって補強・解釈され、ほぼ間違いのない事実として今後どうなり・人類はどうすべきかまで踏み込んでまとめあげた本。もうそろそろ仮説から理論に変わってもよさそうな気がするし、非常に読みごたえのある良書。第6位 生命40億年全史(リチャード・フォーティ、草思社:2003.3)生命の痕跡から人類誕生までの全ての生命の全史を扱った本。単に羅列的に生命進化の様相を述べるのではなく、その時代時代の地球環境を豊富な知識と経験で持って細かに描写し、最新学術成果や対立意見等を踏まえつつ、時代を画する特徴的な事項をポイントを押さえて記述した素晴らしい本。第7位 ウェブ時代をゆく(梅田望夫、ちくま新書687・筑摩書房:2007.11)ウェブという「もうひとつの地球」のある新しい時代において、いかに学び・いかに働くかについて筆者の考える新しい時代に合った人生論・仕事論を述べた本。色々と考えさせてくれる本で、特に就職(新卒・転職を問わず)について頭の中にある人にとっては必読の書。第8位 虚妄の成果主義(高橋伸夫、日経BP社:2004.1)「日本型年功制のどこが悪いのか・良さではないか」という主張であり、東大教授だけあって感情的でもなく、経営学的な学術研究経緯を踏まえてはいるものの理屈っぽくなくとても好感が持てる本。ずいぶん前の本ではあるが、「人は金では動かない」思想が残る古き良き本。第9位 最底辺の10億人(ポール・コリアー、日経BP社:2008.6)でもとても貧しい最底辺の10億人の国が、なぜ貧しいままなのかその原因を解き明かし、ではどうすれば良いのかを真正面から論じた良書。原因は、「紛争」・「天然資源の存在」・「悪い国に囲まれた内陸国」・「小国での悪い政府」だそうだ。訳文が拙いのが難点。第10位 大企業サラリーマン生き方の研究(山西均、日本経済新聞出版社:2009.12)派遣切り、非正規雇用、ワーキングプア、貧困など、一時期相当吹き荒れた「下位層の問題」には全く背を向けて、大企業で働くサラリーマンとしての「上位層の課題」を扱った今の時代、とても珍しい部類の本。ストレートすぎる主張が、少々危険な香りあり。以上、あらためて眺めると少々好みに偏りがあるような・・・
2010.12.26
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著 者=ウィリアム・ソウルゼンバーグ(William Stolzenburg)訳 者=野中香方子、解説=高槻成紀書 名=捕食者なき世界原 題=Where the wild things were Life, Death, and Ecological Wreckage in a Land of Vanishing Predators発行所=文藝春秋発行年=2010.9評 価=★★★★☆【送料無料】捕食者なき世界原題は、映画「かいじゅうたちのいるところ」(Where the Wild Things Are)のパクリのようだが、内容はいたって正統な科学ノンフィクションである。要は、自然界では食物連鎖の頂点に位置する捕食者が中間生物の無秩序な増加を抑制することによって、生態系全体を維持しかつ生物多様性を育んでいるという論旨である。引いては、史上最強の捕食者である人類が多くの大型捕食動物を絶滅においやったことで、地球規模の生物多様性の減少が引き起こされていると主張する本である。論旨については特に反論するものではないし、以前読んだエドワード・O・ウィルソン「生命の未来」でいう「生物多様性の維持が地球環境を救う」という主張とは違い、生物多様性を維持するためにはどうすべきかが明確(=頂点捕食者を取り戻すこと)なため反発も少ない。生態系のバランスを人為的に崩すと思いがけない悪影響が出ることはそのとおりだろう。ただ、2010年10月に名古屋であった生物多様性条約COP10が、さほど盛り上がることもなく・社会生活に何の影響もない状況であることに示されているように、生物多様性保全は重要だろうけど・どうでもいいよ感が漂うのは日本だけではないと思う。そういう意味で、生物多様性保全に対する一つの意見の軸を持てる本書は、結構良書であるように思える。
2010.12.26
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著 者=ウォレス・S・ブロッカー、ロバート・クンジグ (Wallace S. Broecker and Rbert Kunzig)監 訳=内田昌男、訳=東郷えりか書 名=CO2と温暖化の正体原 題=FIXING CLIMATE -What past climate changes reveal about the current threat - and how to counter it発行所=河出書房新社発行年=2009.9評 価=★★★☆☆【送料無料】CO2と温暖化の正体地球温暖化はどのように起こり、どのような影響があり、これにCO2がいかに関係しているかを有名な「海洋の熱塩循環ベルトコンベヤーを提唱した」気象学者の観点から過去の科学的論争を振り返りながら論じた本である。ただ、正直前半の1/3は、筆者が温暖化を研究テーマにする個人的な体験が書き連ねられており、非常に退屈である。また、筆者が後半に最も有望だと指摘する温暖化防止対策の実例は「CO2除去装置」であり、宇宙戦艦ヤマトがイスカンダルから持ち帰った「放射能除去装置」と同じ類にしか思えず、”ブロッカー、おまえもか”とつっこみたくなるほどである。とはいえ、本書の中盤の論旨は、地球温暖化をだれが発見したのか・その影響が科学的にどのような解釈がなされてきたのかなどを気象学を中心とした切り口で正直にのべており、それなりに面白く価値がある。ただ、本書を読んでも、「地球温暖化対策は世界中で必要だよね・ただ日本はそうむきにならなくていいよね」という「総論賛成・各論無関心」シンドロームが解消されることはなかった。
2010.12.26
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著 者=リチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)訳 者=垂水雄二書 名=進化の存在証明原 題=THE GREATEST SHOW ON EARTH -The Evidence of Evolution発行所=早川書房発行年=2009.11評 価=★★★★☆進化の存在証明久々の進化論学者ドーキンスの新刊本を読んだ。本書は、「はじめに」にあるように進化論を信じない人々に対し、これまでの著作のように進化論の核心である自然淘汰の考え方やその影響を示したのではなく、進化の理論が実際に事実である証拠を網羅的にまとめた本である。一般の日本人には信じられないことだが、こと宗教がからむと、世界は神が創ったものであり神の意図で世界が動いていると信じる一部の人々にとっては、未だに進化を受け入れられないでいるようだ。この観点から記述されているので、どうしても少し内容がくどく・少々攻撃的な論調が気になる。具体的には、犬種は人工的に繁殖を通じて高々数百年で驚くべき種がこれほどまで創られただの、放射性崩壊時計によれば地球の年齢は46億年になるだの証拠説明は、少々当たり前すぎて拍子抜けしてしまう。606ページの大作であるが、最初に出会った「利己的な遺伝子」の衝撃には比べようもないほど心模様は「なぎ」状態である。とはいえ、取り上げる個々の事例に価値はないはずはなく、それなりに進化論の理論が事実として正しいことを示していることはたしかだ。
2010.12.04
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著 者=エアハルト・ベーレンツ(Ehrhard Behrends)訳 者=鈴木直書 名=5分でたのしむ数学50話原 題=Funf Minuten Mathematik発行所=岩波書店発行年=2007.12評 価=★★★★☆5分でたのしむ数学50話本書は、ドイツの数学者で新聞のコラムに連載された記事100本を編集して書籍化したものである。従って、数学の本といっても社会や日常生活の中に既に組み込まれている数学の考え方や手法を紹介するスタイルとなっており、非常に分かり易く頭に入ってきやすい話題を取り上げた50話となっている。その意味からも、非常に面白い内容である。具体的には、数・ゼロと素数・図形・確率等の内容であるが、とても興味深く読めた。
2010.12.04
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著 者=ジョージ・ジョンソン(George Johnson)訳 者=吉田三知世書 名=もうひとつの「世界でもっとも美しい10の科学実験」原 題=The Ten Most Beautiful Experiments発行所=日経BP社発行年=2009.9評 価=★★★☆☆もうひとつの「世界でもっとも美しい10の科学実験」訳者あとがきにあるように、オリジナルの「世界でもっとも美しい10の科学実験」(ロバート・クリース、2006.9)が既に出版されている。本書は、オリジナル本が全て物理実験であることに対し、実験対象を化学・医学に広げてまとめた趣旨だが、結局は本書でも10のうち、「心臓の動きと血液循環を発見したハーヴィの実験」「ラボアジェの燃焼実験」「ガルヴァーニの動物電気に関する実験」「パブロフの犬を使った条件反射の実験」の他残りの6つは全て物理実験であり、いくつかはオリジナルと重複している。また、実験の記述内容も極力単純化しており、オリジナルと比較して実験当時の時代背景や、実験の科学的核心の意味合いが少々ぼやけているように感じられた。もっとも、当事者の人間関係や実験に至る人物描写は素晴らしい面もあるが、純粋に科学的思考に対して向上させる面は乏しいように見受けられた。
2010.12.04
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