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八戸を見ただけで結論付けるのは性急に過ぎますが、今では古い喫茶店より小奇麗で画一的な喫茶店を好む気風が青森の人にはあるのかななどということを言うと、津軽地方(県西部)と南部地方(県東部)の対立も知らないのかってことになりそうですが、けしてそうではなく実際、青森市の居酒屋で必要以上に弘前のことをライバル視しているのには、辟易することも珍しくありませんでした。 それはともあれ、本八戸のちょっとお寒い喫茶事情を知ったしまった以上、青森に過度の期待をするのは禁物と自らを律して乗り込むことにしました。するとなんとも驚くべきことにちょっと歩くだけで次から次へと喫茶店が目に入ってくるのでした。ここ青森は、八戸とは全く事情がが異なるようです。目に付く全てに立ち寄る暇はありません。余程ここぞというインスピレーションがもたらされた店だけを厳選してめぐるしかなさそうです。 その最初の一軒は「Cafe ELM(エルム)」、外観の可愛さがそのままフルーツパーラーという喫茶店の一ジャンルを象徴的に体現しています。内装もパーラーらしく明るくてパステルの色調を際立てます。11時前という微妙な時間帯であるというのに店内はお客さんで溢れかえらんばかりです。お二階もあるようですがこの時間帯は使われていません。これだけのお客さんを捌くのがご主人お一人とあっては致し方ありません。それにしても二階へと伸びるキュートな回廊を上ってみたかったなあ。 次なるお店は、「コーヒー専科 カリブ」、かなり年季のあるお店のようで、扉などの細部に見られる装飾の丹念さだけでも古くてもなお朽ちることのないセンスの良さと職人技の冴えが見て取れます。回転したばかりの店に入ると、グッと抑えられた照明がシックな調度類をより一層ひきたて、午前の日差しがレースカーテン越しに入り込むと、輝きを発してたまらない美しさとなります。すばらしいお店です。思いのほかお若い主人が淡々と店を守ってくれることを願わずにおられません。 続いては「珈琲 フォーション」、商店街のさまざまな店舗に混じってここだけは慎ましい姿で、さりげない装いで営業しています。店先ではアルバイトの女の子が女給風の古風な格好で掃除しています。店内は過剰な飾り立てを排したストイックな内装のカウンターメインの喫茶店です。こんな喫茶店があったら毎朝来たくなるのはもちろんのこと、仕事をサボったり、呑みの待ち合わせなど、どんな時にも快適なひと時を過ごせそうです。素晴らしい。 その他、残念ながら今回行けなかった喫茶店。
2014/08/31
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二和向台での呑みはまだまだ続きます。いくら遠くって滅多なことで来れないとはいっても、明日も仕事のある平日の夜にわざわざ4軒ハシゴするっていうのも無茶だなあとは思いつつも、勢いづいてしまった以上は致し方ありません。この辺は都心への通勤客が自宅そばでホッと一息つくために立ち寄るような店が多いのでしょうから、ご近所の隠居さんたちや地元勤務の方たちが引き揚げたあとの第二波の様子でも見ておくことにしました。 朽ち果てそうな商店街にある新しい焼鳥屋「焼き鳥 伏見屋」に伺いました。う~ん、やはり外観通りのありふれた店だなあ。原住民の若者たちが客の多くを構成します。この連中と揉め事なんか起こしたら今晩中には自宅に辿りつけぬだろうなあ、自重して呑むべしとカウンターの片隅で大人しく呑むのでした。なんてひとり飲むときはいつも寡黙で品も良いはずですが、そう思っているのは自分だけかも。時折、何やら訳のわからぬつぶやきを漏らし続けついつい聞くともなしに聞いてしまっているうちに、話の前後はともかくなんとはなしに事情が呑み込めてきて、いつの間にかのめり込むように聞き入ってしまうなんてことがあるものです。店の主人は若くて熱心そうではあるものの、見たところチョット線の細いタイプとお見受けしました。とても生真面目な感じで好感は持てますが、お客さんと打ち解けて話せるタイプではなさそうです。お通しのいろんは種類の豆の煮付けは、気が利いています。もうそこそこお腹が溜まってきているのでこういうちょっとした肴が丁度いいのでした。まあそういうわけにもいかないので焼鳥を数本注文します。そう言えば「章」もそうでしたが二和向台にはやきとんよりやきとりのお店が多いようです。都心ではやきとんの店の割合が圧倒的に多いように思われますが、二和向台がやきとり/やきとんの文化圏の境界なのでしょうか。同じように松戸ではやきとんが優勢なのに柏ではやきとりが定番です。ともあれここの焼鳥はまずまず値段相応と悪くないのですがこれといった売りのないのでもうひと工夫ほしいところです。 最後に訪れたのもやはり焼鳥店、店名もうるさいくらいに鳥を全面に押し出した「鳥酉 TORIDORI」です。新京成の踏切に寄り添うようにあるお店で焼鳥を焼く煙が踏切待ちの人々の嗅覚を刺激するはずですが、すでに満腹気味のぼくにはあまりアピールしません。カウンターも奥のテーブルもほぼ満席です。人気の理由は立地の良さだけではないようで、店の方とお客さんがとても楽しげに言葉を交わしています。都心では店の人に声を掛けられると面倒だったりしますが、都心から外れた疎い町に来ると時として人恋しくなったりします。お通しが大根おろしなのでやむを得ずお願いした焼鳥ですが、ここのはかなりちゃんとしています。わずかばかりの串だけで酒ばかり呑む客は、店の人からするとかなり怪訝な目で見られていたに違いありません。重い腰を上げた時、店の方の表情が微妙に安堵のそれに変化したのをぼくは見逃さなかったのでした。 ひとり寂しく駅のホームに立つと次の列車まではしばらくあり、でもそれを逃すと今度は松戸からの常磐快速の終電まで逃しかねません。いくらなんでも調子に乗りすぎたなあとこの日に限ったわけでもない軽い後悔を抱きつつこの先の自宅までの遠い道のりを思ってはウンザリするしかないのでした。
2014/08/30
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このブログをご覧頂いているほとんどの方が二和向台駅をご存知ないと思います。かくいうぼくもここにやって来るまではちっとも知らない土地でしたし、恐らくは言ってるこの場から忘れ去りそうなほどに縁のない町なのでした。実際駅の北側にこそ、かろうじて商店街と言えなくもない申し訳程度の通りがあるものの、駅の南口は何軒かの商店や飲食店があるばかりで廃業したパチンコ店をはじめかなり寂れきってしまっています。そうそうこの二和向台駅は、常磐快速で上野から20分弱の松戸駅を起点に京成津田沼駅までを結ぶ全長26.5kmの新京成電鉄の駅です。二和向台駅まで来るとこの新京成線の全体の5分の3,すでに京成津田沼に近い地点となります。そんなけして都心からのアクセスもイマイチな場所ならむしろ地元に根付いた古い酒場が残っているのではないかと儚い期待を胸に訪れたのでした。 駅の改札を抜けるとすぐの場所に喫茶店がありました。気分早くも居酒屋モードですが、ここまで来る機会など早々あるわけでもないので、ギアをチェンジして寄り道することにしました。「アップル」という名の住宅街との境目にあって、ひっそりと営業を続けてこられたようなはかなげに見えながら、その実しっかりと土地に根付いているかのような印象が入ります。極力余計な装飾を排除したストイックな内装は、図書室のようでもあり、これからの酒場巡りの騒然とするであろう一時を前にリラックスできる時間を提供してくれました。他にも「軽食 喫茶 セリカ」や「ビップ」なんていう喫茶店がありましたが残念ながら閉まっていました。とりわけ後者は気になりますねえ。 さて一軒目はすぐそばにある「河ばた」というお店にお邪魔しました。想像していた騒がしさもなく、というか全くお客さんが入っていません。しかも店の御主人がかなりの強面であります。カウンターの雰囲気はまさに寿司屋のそれであります。これはイカンと思いながらも最早これまで。おずおずとカウンターに着いて品書きを眺めますが、寿司屋と思えばさほどの値段ではないのでしょうが、その心構えもなく入ってしまった身にはいささか荷が重いのでした。ここではさすがに情けないので書きませんが、品書きでは最低価格レベルの品と飲み物をお願いしてしまいました。御主人はちらとこちらを見やりながらも、こちらの心中を察してくれたらしく素知らぬ表情で通していただきました。とまあ、はなっからみっともない呑み方をしてしまいましたが、いつか再訪したいと思いながらもそれはなかなかなんぎだなあと嘆息するばかりなのでした。 踏切を超えて北口の商店街ー寂れながらも味わいのある通りで看板建築の立派な酒屋なんかもありますーを通り抜け、東西に伸びる幹線道路を超えると散り散りにではありますが何軒かの居酒屋があります。その中では比較的入りやすそうなーというか他は開いていないのでしたがー「居酒屋 章」にお邪魔することにしました。靴を入口で抜いて入るスタイルです。結構な繁盛っぷりで、テーブル席はほぼ満席のようです。ぼくのような独り客はおらず、みなさん実に陽気な酒を呑まれています。カウンターは足を降ろせるようになっております、しかもテーブル席との間の通路部分がとても贅沢に広々としているのが気持ち良いです。あまりに広くて上半身が重力に抗せず倒れ込みそうになりますが、さすが店の方は心得てらっしゃるさっと座椅子をお尻の下に差し入れてくれるのでした。いかにも居酒屋らしい居酒屋で酒も肴も充実しており、お手頃価格なのも嬉しいところ。これは人気があるわけです。気分が乗ってきたのでもう何軒か寄り道したいと思います。
2014/08/29
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一言で浦和といっても、東西南北付きの浦和やら浦和美園なんて駅もあって、全貌を掴み切るには、かなりの努力を要求される町ですが、今回訪れたのは、その中心となるJRの浦和駅になります。浦和駅周辺は徹底的な再開発の実施により、ほとんど完膚なきまでに生まれ変わってしまいました。せいぜいがほとんどからはみ出したごくわずか過去の残滓を留める酒場を手探ることにします。 一軒目は、「弁慶」です。古い気持ちをほっとさせてくれるような酒場を求める方は、ここ浦和ではとりわけ少なくないようで、店内はお客さんでびっしりと埋まっています。かろうじてその一席はないんだよという、気持ちはわかるものの利用側から幅寄せしている客たちは無視することにしてなんとかかんとか体をねじ込みます。こういう事ってよくありますけど、マナー違反のこうした振る舞いというのは、やはり不愉快なものです。店の方たちも丁寧で感じはいいのですが、こうした不定な輩には毅然とした態度で注意を促してもらいたいものです。と、どうでもいいことをダラダラと垂れ続けるのもどんなもんかいなと思わなくもないのに敢えて続けているのは、それ以外には特に思い出すことがないからなのですね。とにかくこのお店、極めて平凡でその平凡さに惹かれて多くの老若男女が詰め掛けるのですが、そうした当たり前の店が浦和ではかけがえのないものとなっているのは、薄ら寒い思いです。 続いては伊勢丹裏手のこれまた浦和では貴重な呑み屋横丁に向かうことにしました。この通りの存在は知っていたものの呑むのは初めてのこと。かつては古くからやっている店もあったのでしょうが、今ではその多くが若い店主によるリノベーションされた、洒落た雰囲気の店になっているので足を遠のけさせられるのでした。しばし迷ってお邪魔したのが「モルガン」です。通りの中でもひときわ今っぽい店で、お客さんもいっぱい入っています。店の方もお客さんも若い方ばかりで自分が急に老け込んでしまった気分になります。実際、ここではぼくが最年長のように思われます。皆とても愛想よくて店の人もお客さんもあれこれと声を掛けてくれて、とてもフレンドリーなのですがそれがむしろアウェー感をかき立てて、お気遣いを無理強いしてしまっているかの心苦しさもあって手短に店を後にしたのでした。
2014/08/28
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タイトルは下総中山と書きましたが実のところ中山を訪れたのは、京成本線を利用したので到着したのは京成中山駅です。駅からすぐの場所には、老舗もつ焼店の「ひょうたん」があり、本来であればこちらを避けて通るわけには行きませんが、職場を出遅れてしまったため、今頃出向いたところで入店が叶わぬのは必至。それでもすがるような気持ちで店前を素知らぬ表情で無念さなどおくびにも出さずに通過してしまうのだから、健気なものです。 それではちょっとぶらついてみることにしましょうか。京成とJRに挟まれて、並行に伸びる短い呑み屋街を突っ切ると「鳥勝」というちょっと古びた焼鳥店がありました。迷わずお邪魔します。ごく平凡な真っ直ぐなカウンターと小上がりのある店内を想定していましたが、嬉しいことにコの字のカウンターがあります。しかもお客さんはご高齢者、しかも女性の割合が多いのがちょっと変わってます。店の方も似たような世代にお見受けされます。こういう店では結構やたらと話しかけられて辟易することも多いのですが、ここはそんなこともなく落ち着いて呑むことができます。孤独な老人は少ないのかも。老後を愉しむのにはいい町かもしれません。 続いては呑み屋街の「おとんば 中山店」にお邪魔しました。どこかで聞いた名前だと思ったら、南砂店、北千住店がありました。北千住には一度お邪魔しています。良心的な味と価格設定で順調に店舗を拡大しているようです。店は新しく味わいのないことは致し方のないところ、さすがにぼくでも、単に古いばかりでまずくて、感じが悪くて高い店にはムッとくることもあるわけで、結果知ったこととはいえこうしたちゃんと旨い肴といくらかやかましくても感じのいい対応、そして手頃な価格のこのお店を悪く言うつもりは全くないのでした。まあ、今後よほど古い店が淘汰されない限りは、なかなか伺う機会もなさそうですが。
2014/08/27
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近頃、お気に入りの東武亀戸線の小村井駅にやって来ました。駅の周囲は多少の店舗はあるものの、ぐるりと一回りしてみてもせいぜいが10分もあれば分かった気になる程度の町というにはいささか物足りない土地だと思っていましたがほんの少し散策する範囲を広げてみるととたんに魅力的な表情を見せ始めます。駅前を通る明治通りを数分歩くと、駅前とは少し趣の異なる渋い風情の商店が連なっているのでした。なんてさも流浪の民であるかのように風流な格好を繕っていますが、実のところは知人からぼくの好きそうな喫茶店の情報を教えられたことがきっかけなのであって、無闇やたらに歩き回ったわけではないのが残念なところ。ついでに食べログなんかをチェックしてみるとまだ他にも良さそうな喫茶店があるみたいです。 本当はいつものごとく日曜日の喫茶店レポートに回すことを目論んだのですが、教えられた「コーヒーの店 越路」と看板がないので確信は持てませんが黄緑のテント庇が喫茶店であることを無根拠にも信じたくなる「喫茶 メトロ」がどちらもお休みだったので、運良く入れた一軒をここで紹介しておくことにします。 「芽芽」というお店です。そう語っているそばから、このお隣にいい風情の居酒屋を早速発見。気持ちがグラグラと揺れ動きますが、時間も早いことですし入れなくなることはなさそうと、とりあえずは喫茶店を楽しむことにします。さほど凄みを感じさせるお店ではありませんが、長く続けてこられたことがひと目で見て取れます。革張りチェアに証明も標準的ながら安心してくつろげる雰囲気です。こういう地元密着のお店で度々目にして残念に思うのが、椅子の上に邪魔っけな座布団が敷かれていること。これがなければ店内の風景もぐっと締まっていたに違いありません。 さて感じのいい喫茶店で人心地つくことが出来たので、ぼちぼちとお隣に動くことにしました。何と言ってもほんの5メートルばかり歩くだけなので一汗かく事もなく、吹き出る汗を拭う必要のないのが嬉しいところ。この夏もとにかく店に入ってもしばらくはダラダラと滴り続ける汗の対処に難儀したものです。お店は「もつ焼 うわじま」といい、カウンター7席にテーブル2卓のこぢんまりした居心地良いお店です。テーブル席には常連の初老の親父に連れられた中年の息子がすでに呑み始めています。ぼくなども似たような年頃になってようやく父親とも構えることなく酒を酌み交わすことができるようになったのでした。そんな姿や会話を漏れ聞きながら父親の姿を脳裏に思い描くなんてことは全くありませんが、いい年齢になった親子連れを酒場で見かけるのは良いものです。ちょっと注文の聞き違いが多い、でも陽気な女将さんも焼き台の前に立つ職人気質に見受けられる親父さんもかなりご高齢のようです。山ウドらしきキンピラのお通しをちびりちびり摘みながらもつ焼を待つ時間をたまらなく幸福に感じます。そのもつ焼きも新鮮で焼き加減も上々の熟達の味。自由に付けてと渡された辛子をたっぷり付けると酒が否応なく進むのでした。 続いては先般お邪魔した際には宴会で無残にもお断りされた「越後」にお邪魔することにしました。駅から至近の路地を入ってすぐの場所にひっそり佇むお店です。どこにでもありそうでいながら、都心では今ではもう滅多に見かけることの少なくなった渋好みの酒場です。店の前で引き戸が網戸てあることにちょいの間迷いが生じますが思い切って入ると店内は空調の効きの良さもバッチリでした。それにしても一歩足を踏み入れるや、女将さんもカウンターに座る客2名も揃ってギョッとした表情を浮かべるのにはむしろこちらが当惑です。よほど一見客が珍しいと見える。カウンターが3席、奥の茶の間みたいなスペースは先般は宴会場となっていました。さて、お茶ハイなど頂きつつ3名ーしばらくして娘さんらしき方も登場ーの会話を聞いているとどうやら警察官のようです。誰それはどこぞやに転出したとか、慶応出身だとか、まあ一般のサラリーマンとさほど変わらないようなどうでもいい話で盛り上がっています。分かるのはこの店が長いことこの地の警察官に愛されてきたらしいこと。この女将さんの前では眼光鋭い警官たちも武装を解除して心ゆくまでくつろいでるようです。ちなみにお通しの枝豆と味付け玉子、お茶ハイ2杯で700円とお財布にも優しく、そのへんも警察官の支持を当ている理由なのでしょうか。朝顔だけの便所も今どき珍しいなあ、酒を呑むのが男の独占物だった時代の名残を留めているということでしょうか。
2014/08/26
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前回の三軒茶屋呑み会の続きになります。今のところいくら友人との旧交を温めるとはいえ、わざわざ電車を乗り継いでまで訪ねるまでの店には出会えておらず、ここはぼくからのリクエストということで、格安でジビエ料理が食べられるという噂の老舗居酒屋にお邪魔することにしました。 「味好亭」です。珍しく食い気優先で伺ったお店ですが、店の雰囲気もしっかり枯れていてそのいかにも古くからやっている居酒屋という雰囲気に浸った時点でこの居酒屋に来たことに間違いはなかったと確信するに至るのはわれながら脳天気なものです。地元在住のF氏もこの店は知らなかったようで、闇市の臭気を現在まで留めるこの界隈がおっかないんだよねなんて軟弱なことを仰る。父親との確執がもたらす好悪入り混じった複雑な感情を今になっても引き摺るナイーヴなオッサンですが、見てくれはヒゲもじゃでガッチリした体格の世界中を放浪し三茶に流れ着いた風の風体なんですけどね。それはともあれジビエといっても目に付くのは鹿肉料理ばかりです。もちろんこれから頂いてみることにしました。いきなりアレコレお願いする気迫もないのでひとまずソテーから頂いてみました。鹿肉料理は一律400円とお手頃なのも嬉しいことです。さて肝心のお味はというと、これがビックリするほどうまいのでした。サイズこそさほど大きくはありませんが、ジビエという素材の想起させる肉の臭味などまるでなくーホントは臭い肴は大好きなので臭っても一向に構わないのですが、時折素材の臭味とはまるで異なる、処理がひどさがもたらすまるごと飲み込むことさえ叶わぬひどい肉を出す店がありますー、しかもちっとも筋張ってなくて、さらにバター風味の効いたドミグラ風味のソースがとてもいい。これを摘んだF氏が言うことには、今度誰か連れてこよだって、ぼくとまた来ようなんて思ってもいないよう、失礼だなあ。 玉川通りを越えて、駒沢大学方面に歩き出します。古い商店街をぶらぶら歩いているとオンボロ物件あり、女性の名前をそのまま屋号にしていますが、やっていなません。今でも営業してるのかしら。すぐそばの「やまがた」も安普請な感じがとても気になりますがお休みのよう、こちらはまだ営業しているようでたまたまお休みだったみたい。やむを得ずどこにでもありそうな洒落た雰囲気の新しいお店「KITCHEN MURAYAMA」に入ります。F氏って案外こういう感じの小洒落ていてカジュアルな感じの若い人向けのお店が好きなんですよね。始めこそカールスバーグの瓶なんかを上品に呑んでいましたが、効率よくワインをボトルでもらうことにしました。そのワインもみるみるかさを減らして、互いにいい大人なんだから味わって呑む習慣を身に着けねばといくらか反省してみたりするのでした。ところでこちらのお店、女性のおひとりさまがいたりして、確かに洋風食堂として、上品にグラスのワインを1、2杯ゆったりと傾けて、ブルスケッタ程度の軽い食事兼お摘みで切り上げるといった使い方がカッコイイのかもしれません。つまりわれわれには不釣り合いなお店なのでした。
2014/08/25
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仙台では喫茶店探しなどしている余裕などまるでなく、かと言ってココ数年の探索でほぼ目ぼしいところは行き尽くした感があるのでさほどの未練はありません。それにしても今頃になって、どうして列車での各駅停車の旅を捨て、高速バスなんぞを選択したのか、悔やんでもくやみきれません。そうそうスケジュールを立てる際に各駅停車にすると途中下車ばかりしてしまい滅多なことでは行けぬ八戸を満喫できないであろうと考えたからだと思い至り、そうなったら目的の本八戸駅前に到着するまではしっかりと休養に努めることにしたのでした。東北道に乗るまでは、車窓を流れる景色を見逃すまいと躍起でしたが、高速に入るとパタンと睡眠。目覚めるとちょうど八戸の市街地に差し掛かるあたりでした。下車の準備もそこそこに食い入るように町並みをチェックします。そしてようやく、ああ小さな旅だけどそれでも旅先に来たのだなあという感慨が去来するのでした。 市街地から幾分離れた駅前をしばし散策。随分と寂れてしまっていますが、かつてはそれなりに活況した名残をわずかながらも留めています。それにしても朝から全くコーヒーを飲んでおらず、そろそろニコチンも切れてきたようです。コーヒーが飲みたい。市街地に向けて歩きますが喫茶店らしき店がほとんど見受けられません。事前にチェックしておいた地図を頼りに歩きますが一向に喫茶店にたどり着ける気配がありません。取り敢えず繁華街に出てみるかと思いかけたところに、調べにはなかった、しかもかなり立派で広い喫茶店に行き着いたのでした。 「COFFEE ルーヴル(Loovre)」という本格派の珈琲専門店らしき雰囲気です。ところが店内に入ってそれが若干外れていたことに気付かされました。確かに、パテーションで律儀に間仕切りされた席の造りは本格派喫茶の一つの典型ですが、どこかしら歪んで感じられます。証明のセンスが何か近未来の空間のように感じられるのです。広い店内の奥の方はTVゲーム機が数多く置かれその今ではアナログめいた点滅が、古めかしいSF映画の一コマのように感じられたのです。のっけからこんな奇妙で魅力ある喫茶に出会え期待はいやがおうにも高まるのでした。 と、興奮してみたもののその後は空振り続き。「ぽん」は、可愛い店ではありますがさほど年季もなさそうで、後回しにしてそのままになってしまい、最大の収穫と思われた「アンダルシア」は、悲しいことにお休みです。 もう喫茶店巡りに見切りをつけて、夜に備えて酒場を物色していたところ「方舟」という小ぢんまりとした和めるお店に出会えたのにはホッとしました。店の女主人がいい人、しばらくしてまたここを通ったら椅子に横たわって昼寝されていました。 旅先では、パン屋や和洋菓子店なんかもよく覗きますがー食べ物屋ばっかー、店舗の2階や奥に喫茶室や甘味処なんかがあることがあって、それがケッコー素敵だったりするのも立ち寄りの理由の一つです。「リーベシムラ」にもさほど変わったところはありませんが喫茶室がありました。さり気ないけれど、ちゃんと雰囲気造りがされていて良かったです。 ホテルにチェックインする前に人気のない雑貨店などの入る雑然とした雑居ビルに入ってみると「ポール ショップ カフェ」というのがありました。店名こそ今風ですがきっちり純喫茶らしい装飾が施されたよいお店でした。 ちなみに、ここと同様に雑居ビルに入っている店舗が他にもあることに夜になって気付きました。「コーヒーハウス ヒロ」や「軽食 喫茶 テルミー」がありました。その他入れなかったお店に「サボテン」や「ピーマン」なんかがあります。
2014/08/24
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以前から新京成線に乗るたびに気になっていたのが鎌ヶ谷大仏駅、気になるというよりすぐにでも飛んでいきたいというほどの衝動に駆られたこともありますが、たまたま職場に同地の住民がいて、仕切りに来るまでもないよというものだから、ますます隠しておきたい理由でもあるのではないか、住民総出で食べログへの書き込みを阻止するほどの名酒場があるのではなかろうかとの臆測がぼくの幅のない思考の隅っこでくすぶり続けたのでした。 突如発起、やって来ました。まずは大仏さんを拝ませていただくことにします。ところが改札を出ると効果になって必要以上に立派とも思える駅ビルにいくつかのテナントが入っていてその一軒が立ち呑み屋とあっては避けては通れないでしょう。「間居土」という外見にはどうでもない店。これで"まいど"と読むのでしょうね。でもワンコインの晩酌セットらしきものがあっては無視できません。入ってみろとなんともいえぬ中途半端なカフェのような店内でしかも椅子もバッチリ設置されています。もうどうでもいいなと思いながら、すごい真面目そうな店主とその従業員を見ているとああ真剣に薄利多売を心がけての精一杯の戦略なのだなと何かしら寂しい気持ちになります。ところで頼んだ瞬間には気付いていたのですが、セットより単品で頼むほうがずっとお得なのです。同じかき揚げでも、そばのオプションのものと単品のものでは2倍の開きがありますし、セットだともっと高くなるような。釈然としないながらも生真面目な彼らを見ると何も言えなくなるのでした。 「大衆割烹 まつしま」とかいう複雑な設計のアパート兼呑み屋に気が向かないでもなかったのですが、いかんせん懐が寂しいのでしばらく周辺を散策、これぞといった酒場はなく諦めかけたところに「大衆酒場 ロマン亭」なる曰く言い難いセンスのお店がありました。普段なら難なく無視しそうなものですが、全品299円(ただし税抜き)に敏感に反応してしまったのでした。迷うことなく店に入ると、こちらは靴を脱ぐようになっているのでした。このスタイルって、民家をそのまま居酒屋にリノベーションしたり、従業員が少ないことのもたらす食い逃げリスクへの対処として採用されていると思われますが、ぼくにはそんなことより長居してしつかりお金を落としていってほしいという意図が感じられプレッシャーに感じられるのでした。客はまだ一人もいません。店の方も店主らしき女性が一人だけ。この状況を考えると、店側が自衛策を講じたくなるのも無理からぬこと。静かにご店主に不安を与えぬよう、粗微塵の野菜が不思議と美味しい餃子などつまみながら、これはこれて、穏やかなひとり酒を楽しんだのでした。
2014/08/23
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首都圏からかなり離れ、現実にはベッドタウンてありながら、最果て感の強い町というのがあります。その条件としては、駅名を聞いてもまずはそこがどこなのか検討もつかないこと、駅前に商店らしき店舗がほとんどなく、住宅街の一般住宅に紛れるように酒場や食堂があることなどなど、いくらでも任意に上げることができそうですが、そうした町は新京成線沿線や流鉄、京成線沿線もそうした印象があります。この日、訪れた西武池袋線の新河岸駅もそのような町の一つです。 と言っても多くの方は、この駅の存在をほぼ知らない、というか知らなくても何ら支障がない町だとは思いますが、実はこの駅、西武池袋線、東武東上線、副都心線、東急東横線などが相互乗り入れを始めて依頼、観光の客足がどっと増えたという川越駅の1駅池袋寄りに位置しており、都心までのアクセスもけして悪くないにも関わらず最果ての土地といった立場に甘んじているようです。そんな地に昼から呑めるという大衆食堂があると聞いては出向かないわけには行きません。 とはいえすんなりとそこを目指すのは興に欠けるし、第一電車賃も馬鹿になりません。折角なので上福岡駅で以前見掛けたり、調査済みの喫茶店に立ち寄りつつ、のんびり散歩しながら向かうことにします。上福岡の喫茶店は予想以上の収穫ではありましたがすでに他サイトでも紹介されていたりするのでここでは割愛日をあらためて機会があれば報告します。さて、炎天下の中、上福岡から新河岸まで歩くのはいささか無謀だったようです。日ごろ健脚さだけは自負しますがいかんせん日が悪かった。30分近く歩いて、目指すべき地点が間近であるはずなのに一向にそれらしき店はなし。鈍い目眩と吐き気が交互に披露を促し、かといって立ち寄れる店らしきものもなく、朦朧となりつつも空腹だけは高まりつつあったその時、当の店を視界が捉えました。 ところが外見にはまるっきり営業している気配がありません。それでもすがるように引き戸を開くと、目に飛び込むのはボトルを片手にお替りを用意する爺さんの姿。ようやく冷たいものと食事にありつけそうです。「さくらい食堂」がそれで、この辺の道が複雑なこともあり、しかも某地図サイトのはじき出した位置情報がてんで的はずれなこともあり、30分近く彷徨ったのでした。扇風機が回るばかりで空調が効かぬ店内では、うちわは必需品、競馬好きらしき女将さんにチューハイとソーセージ炒めを注文したらこれがすごい。チューハイのグラスには氷は入るものの八割方が焼酎、ソーセージはうれしい誤算で魚肉ソーセージに卵を炒め合わせたもの。そこらの酒場よりずっと充実しているではないか!会話は競馬とツケのことばかり、テレビには甲子園の実況と副音声は女将と客の毒舌解説、そうそうこれだよなとにわかに元気になりますが、常連ばかりのくつろぎのひとときを一見客が荒らす訳にはいきません。常連たちといっても3名だけ。その一人はすっかり気持ちよくて眠り込んでいて、ふと見ると口の端から遠目からでもはっきりわかるほどの夥しいほどの量のヨダレが滴っています。自らの老後を想像して…、う~ん、さすがにまだここに昼間から入り浸るほどの覚悟はできていないなと、己の不徳を恥じるのでした。 さんざん迷ったものの、分かってみれば新河岸駅はさほどの距離ではありませんでした。早くもほろ酔い加減ですが、今後ここを訪れる機会も少なかろうと欲が出て、駅そばの妖しさを時代が薄めてしまったらしき呑み屋街があるので立ち寄ってみました。薄まったとはいえ喫茶ともスナックともいえる一軒からはまだ明るいというのに大音量のカラオケが響き渡っており、そんな老女らしきわななきを聞くと背筋にゾクリとした感触を覚えます。そんな老人たちが闊歩する裏道の一軒が「大衆食堂 三丁目」でした。店に入るとすでに男女二人がコの字カウンターで呑んでいます。眼光鋭い悩み多き(らしき)老け気味の青年は何やら定食とレモンサワー。屋号の理由はすぐに判明、『三丁目の夕日』の西岸良平のファンらしく色紙が飾られています。背後の座敷がお茶の間っぽくて、その辺意識してるのかなあと思いながらも、ぼくは日差しで火照り切った体熱を覚ますためクーラー前を陣取ります。飲物は、中100円がお得なホッピー、一銭洋食なんてもんがあるので、頼んでみることにします。カウンター組はご近所さんの仲間つながり、後から入ってきた女性も元いた女性とおっちゃんを媒介にして繋がりがあることを確認していました。ここは新河岸のサロンとして機能しているようです。
2014/08/22
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滅多に利用しない小田急線に揺られ、やって来たのは登戸です。人生を通しても片手に余る程度しか訪れたことのない町で訳なく心が踊ります。おぼろげな記憶では、南武線と交錯するこの駅の周辺は雑然としていて、このブログを書き始めて以降、訪れていなかったのが不思議なくらいです。浮足立つ気分をとりあえずは封印です。所用を済ませるまでは、なるべく愉しみは視界から遮ることにしたいものです。所用の最中、呑みの誘いあり。どうにも断りづらい誘いだったのでどうしても行かねばなりません。極力目を瞑ると言っても行き掛けに駅前でもっか進行中の再開発を目にしてしまった以上は、まだ町が活気付くには早い時間ですが、どこでもいいので入ってみることにしました。 この夕方にようやく差し掛かったほどの時間で開いているのはチェーン店ばかりと相場が決まっていますが、幸いにも立ち呑み屋が開いていました。まずは駅前ロータリー裏手のマーケットー多分…今では飲食店がメインーにある「立ち寄りや(TACHIYORI-YA)」に入ってみることにします。広くて飾り気なくカラーンとしたまるっきり愛想のないお店、客が入ればそれなりの雰囲気が出るのでしょうが今は一人で呑むのが侘びしいばかり。この侘びしさ、けして嫌いではありませんが、時間に追われる身としてはそうそう長居する店ではなさそうです。折角のマーケット?跡という立地をもったいなくも活かしきれていないように感じられました。 ロータリーに移動すると、これを求めていたのです、いかにもこの地にしぶとく根付いているらしき廃墟寸前といった体の「立ち呑み 盛田家」がありました。こういう全く存在を認知していなかった古い酒場を見ると必要以上に興奮してしまいます。せいぜい10名も入れば一杯になりそうな店内は、早くも満席手前といった風です。流行る気持ちをなだめつつ入店、券売機にて精算する流儀であるなと、いそいそ小銭を投入。いくら小銭を導入しても食券のボタンが光ることはなく、やむなく札を導入するも今度は客の一人から札はダメだよと教えられる始末。やむなく厨房で忙しげに立ち働く女将さんに現金を受け付けてもらいました。カウンターは常連で割り込む好きもないのでトイレに面した狭いカウンターに落ち着きます。いや~、それにしても大した寂れっぷり、ロータリー内は元の店舗が仮設プレハブ店舗にて営業を続けていますが、ここが再開発範囲に含まれなかったのが奇跡とも思えるほどです。暗くどんよりした気配が漂いますが、客の一人が数十年ぶりにこの町を訪ねたらしく、あまりの変わり様に驚きを隠しもしません。ぼくもその話題に飛び込みたいところですが、待ち合わせのことなど忘れ去ってしまいそうなので遠慮します。ところで、やはり似たような枯れた佇まいが魅力のお隣りの「太田屋」はこちらと経営は一緒とのことでした。
2014/08/21
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八広というべきか東向島、それとも曳舟だって構いはしないのですが、これらはけして互いに離れているわけではありませんが、駅を起点として呑んでいると、どうしてもこれらの駅の中間にある酒場を訪ねるのは面倒に感じられます。八広ー鐘ヶ淵のハシゴ酒は、居酒屋好きにとってはもはや定番化しており、手垢にまみれた感があります。これから模索すべきは、例えば八広ー東向島の手付かずのコースの発掘を試みることで、これまでになかったハシゴ酒のスタイルが見出しうるかもしれません。 そんなことはまあどうでもよくて、まずは「大衆酒場 岩金」にてO氏と待ち合わせたのでした。あちこち欲張って彷徨ううちにこちらにお邪魔することをすっかり忘れていました。そんな罰当たりもあってか、先般訪れた際は満席により撤退を余儀なくされましたが、ちゃんと通っていれば迎え入れてもらえるようです。この夕暮れ時は入りもまだまだで先客もお一人だけです。初めてここに来た際はまだ下町酒場の勝手も解らず、おどおどしたものですが今となっては案外使い勝手のいい酒場なれせぬ方に是非訪れていただきたい一軒であるように思われました。特にちょっと下町っぽい変わり種を召し上がりたい向きには、もんじゃグラタンなどのオリジナルな一品もあって楽しめると思います。それにしてもこれほどゆったりとこちらで呑めるとは思っても見ませんでした。ちょっと心配になるほど。O氏は待望久しい下町ハイボールを呑めて満足そうです。 O氏に会う前に下調べしておいた北総線の踏切を超えた先にあるまばらな商店街の中にある「旬味酒処 越後」に向かいます。ここらへんまで来ると物見遊山の呑み客もほぼいないことでしょう。程なく目的地に到着、いかにも地元に密着した小体な居酒屋です。カウンター4、5席に2人掛けのテーブルが2卓、狭い小上がりもありますがあまり使われることはなさそうです。こちらではカウンターが人気らしく、われわれはテーブルに着きます。おおらかな感じの女将さんが刺し身盛合せ1000円で出来ますよとのことなので、O氏と顔を見合わせてたまには奮発しますかねと相成りました。その盛付けが大変な量で、ああ、これは2人前なんだろうな、それにしたところで大したものだし、見掛けだけでなく久しぶりに刺し身に旨いと感じられたのです。ただ困るのがこれだけ潤沢で贅沢な肴が揃うといやがおうにも、日本酒が進みすぎます。刺身ひと切れで猪口2杯、どんどん徳利が空いてしまいます。内緒ですがO氏側から見てサザエの殻の死角に肝があって、それはぼくがありがたく平らげたのでした。
2014/08/20
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行こう行こうといつも思いつつ、乗り継ぎが悪くてなかなか足を伸ばす気にならない町がいくつかあって、それは自宅からの所要時間と必ずしも比例するわけでなく、端的に渋谷を経由するのがそれを想像するだけでうんざりとさせられるというのが、大きな理由のようです。そういう意味では副都心線の恩恵により東横線への苦手意識は随分と薄れはしましたが、渋谷乗り換えを余儀なくされる田園都市線には未だに嫌悪感を拭えずにいます。それほどまでに嫌う三軒茶屋にやって来たのには理由があって、ここに居住する友人と呑むことになったというだけのことでした。 苦手と言ってもそこはそれ、来るまでのことであって、この町は本当は大好きな町です。かつては今は閉館してしまった三軒茶屋中央劇場に度々通ったものですし、三軒茶屋シネマもちょくちょく出向きましたがここもつい先日歴史を閉じたということです(そういえば新橋文化劇場、ロマン劇場もまもなく閉館とか。ピーター・フォークとジョン・カサヴェテスの『マイキー&ミッキー』が今週上映されること聞いてたの今の今まで忘れてました、これはなんとしても行かねば)。 ともあれ三茶の関所、エコー仲見世をぶらついているとやけに賑わしい場所があるので吸い寄せられてみると通りさえ店の一部として取り込んだ酒場があります。どこかで見たよな屋号ですがひとまず入ることにします。「もつ焼き エビス参 三軒茶屋店」です。上野アメ横のようなオープンなお店で、一日散々歩いて涼を求めた身にとっては極めて残念なことにアーケード下とはいえ空調も効かぬ蒸し暑さで、これは適当に切り上げねばと消極的な気分でのろのろと呑み出します。するとそこに待ち合わせたわけでもないのに、件の原住民F氏がこちらに向かってくるのを驚愕とともに見守るのでした。今となると近く20年にもならんという付き合いなのですからぼくの行動など見透かされていたのでしょう。そうなると暑いばかりでなく、座りも悪く低すぎるスツールに今しばらく耐えねばならぬでしょう。これならいっそのこと立ち呑みにしてしまえばいいのに。ともあれもつ焼、特にタンはなかなかの味でありました。 F氏がちょっと散歩してみようというのでまだまだ行きたい酒場があるものの、夜は長い、お付き合いすることにしました。銘酒酒場「赤鬼」を通過、どういう訳だか話題は名古屋の酒場になります。このF氏というお方、多趣味ではありますがとりわけライブハウスに出入りしてジャンルはよくわかりませんが音楽鑑賞するのがこのところの楽しみのようです。名古屋のテレビ塔のそばでとF氏が語り始めてすぐにピンときます。『名古屋の居酒屋』なる名古屋の老舗居酒屋について取材した本があって、今となれば入門のそのまた鳥羽口といった程度の紹介店の一軒にライブをやる老舗居酒屋があるという記載のあったことを、そしてむざむざとライブのために訪れて入れなかったことを思い出したのでした。どうやらF氏はここに行きたいようです。さほど興味はありませんが、断るべき理由も見当たらぬままに店に到着。「酔処 ラブル」というお店でした。八丁味噌で煮込まれた具材は贅沢で量も味も、値段もーただし酒は高いー納得でしたが当のF氏はしばらく仕切りに甘い甘いと唱え続けたのでした。
2014/08/19
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さて、ようやくここからが本当の意味での旅のスタートです。仙台駅に送り届けてもらうと、あっさりと別れを告げて本八戸行きの高速バスに乗り込みます。今となってはどうして素直に18切符で向かわなかったのか幾分悔やまれますが、恐らくは二日酔いでぐったりしての各駅停車の乗り継ぎは辛いと考えたのに違いありません。この区間の高速バスに乗車するのが初めてなのもいくらか影響してはいるようです。昼過ぎほぼ予定通りに本八戸に到着します。到着間際に10数年ぶりに見る車窓からの風景に流行る気持ちを抑えるのがやっとです。駅に到着すると、一目散に町を目指すつもりでしたが何やら胸騒ぎがするので、ひとまず駅の周辺を散策することにします。 すると駅前らしからぬさすがにぼくでもお邪魔するのを躊躇うことになりそうな怪しげな呑み屋長屋がありました。できれば夜になっての様子も眺めてみたいものです。ストリップ小屋もありますが現役なのでしょうか。 さて、ここからは駅で見かけたパンフレットなどに基づく講釈なので不要な方は読み飛ばしてください。八戸に今でも残る味わい深い呑み屋横丁の数々ですがその起源は案外浅く,第二次大戦後の頃に発祥したもののようです。昭和21年の「ロー丁銀座街(雑貨飲食街)」と映画館「八戸銀座劇場」、ローラースケート場「日米開館」の開館に便乗し、近隣に多くの映画館が建設され、これらに通う観客を取り込もうと多くの飲食店が店を構えました。昭和20年代前半にはロー丁銀座街、たぬき小路、後半に銀馬車通り、長横町れんさ街、ハーモニカ横町、30年前後にロー丁れんさ街、30年代後半には五番街、八番街、40年代にはさかえ丁などが寄り集まっては離散を繰り返し,平成に入りみろく横丁と八戸昭和通りが誕生し、現在の形になったそうです。公称では、今でも8つの呑み屋街が現役で酔客を迎えているとの事ですが、ぼくの見かけた限りでもあと少なくとも2、3の横丁が営業を続けているらしく思われました。それらは組合に入っていないとかの理由でカウントはされていないのかもしれません。一般に、たぬき小路、長横町れんさ街、ハーモニカ横町、ロー丁れんさ街、五番街、花小路、みろく横丁、八戸昭和通りが8つに数えられています。小奇麗な新しい店舗が多く、ちょっと興ざめの感もありますが当初想像していたのはみろく横丁に軒を連ねるバラック屋台ですがー八戸屋台村と観光地化されてしまっているー、一度眺めてしまうとすっかり満足してしまい、気持ちは他の横丁へと移ってしまいました。 とかなんとか言ってはおりますが、実は昼間の散策中に見過ごすことのできない大衆食堂を見掛けてしまい立ち寄ったのでした。その後ここだけが特別なわけではないことを嫌が上にも知るはめになるわけですが、それでもこの食堂の驚くべき事は覆しようがありません。その店は「宝来食堂」という店名だったのですが、たまたま通りすがりに目にした侘びしいことこの上ない佇まいに心が激しく突き動かされたのはもちろんですが、体の持つ限りは8つの横丁を味わいつくしたいと思っていた故に、日中は内臓と懐のためにも摂生を守らんとする意志があったはずですが、それも張り紙の中華そばが200円を見るやいかなる効力もなくしてしまいました。昼食時からはとうに外れていたので、客などいやしないと思い混んでいましたがそれも大誤解、悪そうな爺さんたちがそれは愉快そうに飲んでいるではないですか。客席の奥に惣菜類が並んでいてそこから好きなものを選んでいいようです。魚の煮付け、野菜天ぷら、でっかいおいなりさん2個に焼酎をお願いしました。ぼくの背後のテレビ画面を横目に仲間の爺さんたとの会話も途切れることなく、初めて東北に越した時の全く聞き取れなかった方言の理解しがたさがまるで無くなっていることに、ぼくの方言への耐性ができているからなのか地元から出たことのなさそうなオヤジたちからも方言が失われつつあるのか確たる回答持てぬままボンヤリと待っていると暖められた惣菜に味噌汁、そしてビールグラスすりきれ1杯分の焼酎が出されるのでした。追いかけペットボトルの氷水が運ばれ、好きに割って呑めということのようです。これなら2杯分は充分あるのでもうお替りの必要はなさそうです。店の奥で爺さんとどうやらうどんだか中華麺だかを作っているーここの200円の中華そばは自家製麺に違いありませんーばあさんの似顔が描かれた張り紙にあるとおり、この店ではおいしいと思う物以外出しません、が間違っておらず味わう暇もなくがつがつと平らげてしまったのでした。長居は無用とお勘定すると450円なのでした。 さて夕闇迫り、ホテルにチェックインするとタイミングよく今回の旅のお供であるM女史から本八戸駅を出て町の方に向かっているとの連絡あり。途中まで出迎えてホテルにて小休止。 町はまだまだ明るいままですが、最初の目的地「ばんや」へと急ぎます。開店前になってもなかなか開かないのでウロウロとM女史に町案内してる間に開店してしまったようです。開いたばかりだというのに店はもうほぼ埋まっています。木造2階建ての都内でも屈指の酒場でもこれに並ぶほどの店構えは「鍵屋」なとごくわずかに違いありません。しかも酒も肴も至極立派。文句のつけようがありません。これ以上そのすごさを語るのはみせのすばらしさを矮小化するようです。一言だけ、若い娘さんは現店主のご家族のようですが、彼女が文化放送やTBSに出ている唐橋ユミさんに似ているのでした。たからどうだって事ですが、嘘か真かファンの方も是非お出かけを、似ていなくても責任は持てませんけど。
2014/08/18
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さて、出足からのんびりしすぎたので、ちょっとエンジンをかけねばいつまで経っても起用の目的地の仙台には辿りつけません。でもこの駅にはどうあっても下車せざるを得ません。と言うか、単に今乗ってきた列車の終着駅と言った意味でしかないのですが、各駅停車の旅をすると黒磯駅ではほぼ例外なく乗り換えを余儀なくされます。東海道線の大垣や米原みたいなものです。せっかくなので当然駅前を散策することにします。この駅、かつても何度も歩いていますが、こんなに賑やかだったでしょうか。これを賑やかというのはちょっと無理があるかもしれませんが記憶にある黒磯駅前よりずっと人通りも多く、店舗も開いているように感じられます。 さて、乗り換え時間がさほど長いわけではないので、いつまでも感慨にふけっているわけには行きません。「カフェ・ド・グランボワ」という由緒の有りそうな立派な擬似?洋風建築をリノベーションしたかのようなお店がありましたが、ちらりと立ち寄るにはチイとばっかり敷居が高いので、駅の正面にある「Cafe centro(セントロ)」にさっと入ってみることにしました。特に変わり映えのしない駅前喫茶店ではありますが、お客さんの入りもよくとても活気があってとても重宝に利用されています。これまで何度もこの黒磯駅は利用していますが、こんな喫茶店があったなんてまったく気づきもしませんでした。数年前から遅ればせながら喫茶店の魅力に目覚めたことで歩き慣れたと思い込んでいた町がまったく別な視線で眺められるようになりました。いつかまた新たな視点を持つことができれば、この黒磯の町にもさらに違った発見ができるようになるかもしれません。ともあれ、駅前という好立地でチェーンのコーヒーショップではない、こうした使い勝手のいい店があるのはうれしいことです。 さて、この日の目玉となる郡山駅にようやくの到着です。ついひと月前ほどに出向いたばかりの郡山駅ですが、どうしても行きたかった喫茶店がお休みだったので、これはどうあってもお邪魔しないわけにはいきません。郡山駅の目抜き通りであるさくら通りを一目散に駆け抜けて、歩道橋を渡りされに進むと安積国造神社という神社の門前に出ます。この門前に佇む喫茶店が目当てのお店です。 幸いにも営業しているようです。「モナミ」という喫茶店です。狭い門前には他にも居酒屋などの飲食店が数軒立ち並びいずれも年季が入っています。窮屈なスペースになんとか身を押し込んだような三角の土地に無理矢理建てたような安普請の店舗になります。いそいそと扉を開くとこれぞまさに純喫茶という落ち着きのある狭小であるはずなのにそれを感じさせないくつろぎの空間が広がっているのにしばし見惚れてしまいます。こうした店に入ると隅々まで見てみたくなるもので、どうしても店の奥の方に腰を下ろしてしまいます。そうすると思ったよりは若くていらっしゃる女店主との交流がままならないという支障もありますが、それはまたの機会にして、この日はひたすらにこの店の雰囲気に浸ることにします。一体どのくらい昔からここで営業し続けてきたのか、そのことに思いを馳せながら回答を宙吊りすることでまた訪れるきっかけになればと、今この時を楽しみつつもすでに気持ちは再訪を誓っているのでした。時間のことなど忘れてひたすらこの時間が止まったような場所に留まりたいところですが、幸いにも店内が暑かったせいもあって、次なる店に移動することができたのでした。 次なるお店は「ドン・モナミ」です。不思議なことに「モナミ」が続きますが、郡山の古い喫茶店であるこの両店の繋がりは確認できていません。一転してこちらのお店はモダンでありながらぐっと渋い造りとなっています。喫茶店というよりは今風のカフェバーとでもいったような店内で、店の創業は1971年ということですでに40年以上の歳月を経ているということですが、その年季を感じさせないほどにきっちりと手入れされていて、非常に気持ちの良い空間となっています。ただし、純喫茶というジャンルがもたらす印象とはやや異なるため、さほど後ろ髪をひかれることもなく、十分店の雰囲気を目に焼き付けてしまうと、きっちりと乗り換え時間を計算して落ち着いて店を後にしたのでした。
2014/08/17
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柏にはひところ随分はまってせっせと通い詰めたものですが、何が理由ということでもありませんが、急に憑き物が落ちたかのようにあまり魅力を感じられなくなり、パッタリと足を運ばなくなりました。そんな柏の町ですが、突然ずっと行きたいと思っていながらも駅からの距離を考えると、はたと躊躇してしまう、そういうぼくにとっては不便極まりない場所にある店です。ところが、柏駅の西口を出て歩き始めると、夏の夕闇迫る時間になってもなお痛いくらいの熱気などさほど気にもかける間もなく目的地に到達してしまったのでした。一部の建物では取り壊しも進む、老強化しつつある豊四季団地の入口付近には、これもまた結構年季があるらしき数軒の飲食店ビルがあって店子を記載した立派な看板もあって、かつての活況がうかがい知れます。記された店名と現在の実際の店舗とは随分違ってしまっています。多くが居抜きで入れ替わってしまったのでしょう。店名もアルファベットやカタカナが多くなっているようです。今晩お邪魔するのはその中の一軒で、さすがに看板に記されています。 あまりにも入り口の間口が狭いので一瞬なくなってしまったかと思うほどです。扉1つ分の狭い間口から店内に入ると奥に細長く伸びるカウンターがあり、まだ6時にもならないというのにさらに奥の座敷も含めてお客さんで一杯です。「季節料理居酒屋 丸一」がそのお店です。唯一席のあるのは入り口を入ってすぐの店の方の出入りも多い劣悪な席だけ、それでもここまで来て入れなかったことを思えば運がいいと思うことにします。それにしてもここのお客さんは風貌はサラリーマン風が多いのに、リラックスした普段着姿の方がほとんどです。推測するに会社を定時で飛び出し、一目散に団地にある自宅へ駆け込むと、せいぜいシャワーでもざっと浴びて、こちらへと駆け付けたのではないか。そうでもないと確実に席を確保するのは難しそうですし、席がなかった時の落胆は筆舌に尽くせぬほどに悲惨なものでしょう。ともあれホッピーでもいただくことにしましょうか。あら、こちらは外瓶のスタイルではなくし、ハナから割ったものを出すようです。中を追加するつもりでいたので、あてが外れました。地方ではこのスタイルってまだ多いのですが、生ホッピーという特別な商品でない限り、自分で割って呑むのはホッピーの愉しみ方の一部と言ってもあながち間違いではないはずです。酒の面ではなんだが問題がありそうで、ボトルをキープするのが良さそうです。逆に肴は大変充実していて、お通しは魚のすり身を大葉で包んで揚げたものとアラの煮付けです。これだけで2杯は呑めそうですが、何も頼まないわけにもいきません。明太子じゃが餅のバター炒めというのを貰ってみましたが、これがバターたっぷり、明太子の練りこまれたじゃが餅の中からはチーズがでろりんと溢れ出て、カロリーなど忘れて、貪り食いーなどはせず、ちびちびと摘んでこれまたサワーをお替りすることになるのでした。ここは何名かグループで予約して使うのが良さそうですが、果たしてここまで付き合ってくれる人がいるものやら。 柏駅にたらふくになった思い腹を揺すりながら、だらだらと歩き、あさひ町の呑み屋街を眺めます。以前あった立ち呑みがなくなっていたり、なんだか様子が変わったように思われます。そんな通りでは古そうで、侘びしさも漂わす店があったのでもう何も食べられませんが入ってみることにしました。外観の寂れ方に比べると中はこざっぱりとしており、推測するに最近居抜きで改装でもしたんじゃないでしょうか。「寿多味成 和平」というお店です。この屋号、和平のまえってどう読むんでしょう。むりやり読めばスタミナと読めなくもなさそうですが、だってここっておでん屋さんらしいしなあ。ってこれは今さっき調べて知ったんですが、気になります。それにしてもおでん専門店ってほどの気概が感じられないのに、この季節におでんで勝負とは思い切ったものです。案の定、お客さんはお喋りしやすい空いてそうな店を選びましたという風な若い女性3名だけ。ぼく同様、肴を頼むでもなく、飲み物をお替りするばかり。でここの飲み物ってどうってことのないサワーで500円取るんだよなぁ。
2014/08/16
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最近、ちっちゃな旅ばかりしているのが原因でしょうか、仕事を終えると気分が旅の途上にいる気になって、ついフラフラと普段の行動範囲を逸脱して、遠くはないけどふらり立ち寄るには億劫な街に出かけることが多くなっています。1軒や2軒の酒場を知ってその町が分かったつもりになるのも納得いかないのでついつい連チャンで町歩きを続けるというのが定番になりつつあります。まあ、近いといってもそれなりに交通費が掛かってしまうのが辛いところ。万すっからかんのぼくにはそうそう続けられることではありませんが、夏場だけはこの生活が続けられればと思っています。そんなわけでつい数日前に来たばかりの北浦和にまたまた来てしまったのでした。 西口の商店街は規模こそ小さいものの東京の小岩ともどこかしら似通った町並みでぽつりぽつりとあるお店を覗きながら歩くのは楽しいものです。そんな商店街に「多゛来巣(だっくす)」というお店がありました。特にどうってことのない綺麗なお店。そんな店でも商店街にあるだけで魅力を放つのが不思議なもの。ついふらふらと立ち寄ってしまいました。とりあえずチューハイをお願いすると、ちっちゃなコマイ2本に湯葉に鳥とインゲンを巻いたものらしき煮付。これが美味しい。酒呑みの好みをよくわかってらっしゃる。手羽先なんかもお願いしてみましたが、これも、カリッと焼かれて間違いのない旨さ。おかみさんがややキツイですけどいいお店です。 さてもう一軒ずっと気になっていたお店があります。浦和方面に国道をダラダラ歩くと見えてくる「定食 キムラヤ」です。ここって中山道からちょこっと外れただけなのでした。実はここに今晩寄るつもりはなかったのですが、のっぴきならない理由があったのでお邪魔する次第となったのでした。こちら残念なことに、酒呑み向けのお店ではなくて、もっぱら食事客を対象に商売されているようで、ビールと日本酒はありますが、料理の品書は基本的には定食やカレー、スパゲッティなどの炭水化物で、むろんそういうの好きでし、炭水化物で酒を呑むのにもまるっきり躊躇しない食癖の持ち主でありますが、ちっとも腹が減っていないんじゃ食べたくてもどうにもなりません。そんなわけもあって注文は写真の通り無茶なことになっています。人様から見ると異様な食い合わせですが、ぼくにとっては特別変でもないからこれでいいのだ。店は想像通りの古風な内装で、いい雰囲気です。でも最近すっかりスレてしまつたせいか、ちょっとやそっとの枯れ具合では満足できない感受性の劣化が我が事ながら少々不安です。ともあれこちらは食事するための店という基本線がハッキリしているので、女性客も多くぼくのような客は奇異な存在でしかなく、しばし冷ややかな視線を覚悟せねばならなさそうです。そうそうこちらのお店、昭和39年に移転をしているものの戦後すぐの昭和20年創業というすごい老舗だそうです。
2014/08/15
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またもや池上です。それにしても池上っていうのはさほど賑やかな町ではないものの通ってみるとじわじわと味のある店です。例えば雑司が谷の鬼子母神あたりは、夜に出向くと好きな店もなくはありませんが、とにかく物寂しい。歩いてみても何があるでもなく虚しくなるのです。それに比べると池上はまだまだ元気一杯。先日、事前のリサーチをしながら行けなかった店を目指します。 単に立ち呑みが良くって食べログで調べていたので、まったくもって気まぐれに来たわけではありません。「立ち呑み 蒲田屋」があること前もってリサーチしてありました。何度か行き来してようやく見つけることができました。というのも屋号の渋い印象と異なり、その店舗は明るくて現代風のおしゃれな、カフェバーみたいな雰囲気なのでした。これはちょっと思ってたものとは違っているぞと、見なかった振りを決め込むことを考えもしたのですが、ふと見るとお隣が酒屋さん、なるほど実は角打ちだったのですね。ぼくは角打ちの良い客とはけして思っていませんが、それでも嫌いではないのでせっかくだから立ち寄ることにしました。シンプルなL字のカウンターに比較的若い男女が入り乱れていて、スペースを確保するのにも困るほどの繁盛ぶりです。すでに傍目からも呑み過ぎ、騒ぎ過ぎのおっさんがいて、こいつの脇が唯一のスペースだというのにほんの1歩を譲ろうともせず、非常に不愉快。店の方たちのごめんなさいねえという気遣いがなければ、立ち去るところでした。おっさんが家からの呼び出しの電話で外に出たすきにスペースを奪取、ようやく落ち着けます。肴は奴など3種類ばかりに缶詰程度、カウンターの奥には酒屋スペースが見えています。ハイボールをいただきますが、角打ちとは一線を画した価格設定がされているのは、場所柄なのでしょうか。いかんせん高すぎる。店の方たちはよい人たちですが、これはないだろう、どうしてここまで客が入るのかなどともやもや頭を悩ませますが、結論が出るわけでもなく、唯一の回答として思い浮かんだのは、若い女性客が多いからではなかろうかということでした。 あまり楽しめなかったので、早々に店を出て目指すべきお店に向かうのでした。「もつやき 福ちゃん」がそのお店。駅から歩くこと10分程度、橋の先に店が見えてきました。それにしてもこの橋はなんなのでしょう。池上本門寺の南から北西に流れる川は呑川―なんとも素敵な名称です―というのですが、この暗渠化した川の名残として残置されているのでしょうか。そう書いておきながらも、大体、この橋の下が暗渠化しているのか、いまだ川が流れていたのかすら記憶にないのでした。それ位に店の外観がすばらしくて、遠目に眺めただけで慌ててどうなるところでもないのですが、ついつい気がせいてしまいます。この素敵さに匹敵するのは、名古屋のあの老舗店くらいではなかろうかと約体もなく比較してしまうのでした。外観に劣らぬほどの店内風景の素晴らしさ、一瞬にしてこの店に惚れ込みました。店ができた当時は愛想も素っ気もない白いデコラ張りのカウンターだったのでしょうが、けして汚いわけではないその白に年季が染み込むことでこの上なく店としっくりと噛み合っています。お客さんはいずれも愉快に楽しんでいますが、もっとも幸福そうなのは酒を呑んではいけないお年頃の若者でした。でかいどんぶりに盛り上がる程の煮込をやはり丼飯で食べているのです。あまりに旨そうなのでついぼくも煮込みを注文。ただし三段階あるサイズの一番ちっこいの。それでもしっかり量もあって、しかも見かけよりずっとスッキリと薄味でぺろりと平らげたのでした。
2014/08/14
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腹が減って我慢できなくなったのか両親から呼び出しの電話がかかってきます。もう少し「おでん・季節料理 たかさご」で呑んでいたいところですが、ぼちぼち腰を上げることにしました。待ちあわせたのは、仙台の目抜き通りの青葉通りと一番町の交差点、急いで駆け付けます。父親は保守的で仙台で呑むなら国分町と決めてかかっていて壱弐参(いろは)横丁や文化横丁で呑んだことがないらしいのです。仙台に住んでこれらの横丁を知らずにいるのはあまりにも、わが町を愛さなさすぎではないかと実のところ親の財布を当て込んだだけなのてした。ちなみに母親は進歩的なのかどちらの横丁にも来たことがあるようです。 さて、文化横丁をひとしきり眺めて壱弐参(いろは)横丁に入ります。どこでもいい、とにかく入ったことのない古そうな店ならどこだっていいと、誘ったくせに仙台の行きたい店は行き尽くしたと思い込んでいる傲慢な息子は、とある老舗風のお店に目を付けたのでした。 「焼き鳥 鳥よし」というお店。たまたま父親が焼鳥を食いたいと言っていたらしいので好都合。迷わず飛び込みます。ここでよかったよねと一応聞いてはみるものの心はすでに定まっています。店に入ると先客は二人、いささか寂しいですね。夫婦二人でやっている店で店はそれなりの年季が認められるもののまあごくごく普通のお店、まあいいか。カウンター10席ばかりの狭い店で、恐らくカウンターで3人呑むことなどあまり経験のなさそうな2人ですが順応性の高い母はすでにマイペースで楽しんでいます。父親は将来のカッコつけえであるため、なかなか自分のペースを見極められないようです。カッコつけて僕がガバガバ遠慮なく呑むのを何とも言えぬ苦みばしった表情でチラ見しながら、息子に負けてなるべきかと対抗するように杯を重ねます。ここでは焼鳥はコースで頼むのが基本のようで、それはさすがに専門店、旨いけれども安くはない。手が伸びるのはドレッシングの掛かった生キャベツばかり。こうした場合、息子は食え食え言われるのでした。ただ独り自分のペースを保つのは母だけなのでした。 店を出ると急に酔が回ります。面倒なので先日伺ったばかりのお店の向かいの味のあるお店に立ち寄ることにしたのでした。「王将」といういかにも老舗でございますという、自信さえ窺える店名が気になっていたのでした。早速暖簾をくぐると、カウンターばかり10数席ばかりの狭い店でした。う~ん、思わないでもなかったのですが、これはスナックに限りなく近い酒場のようです。家族揃ってファミリースナックっていうのもなんだか盛り上がらんなあ。仙台で秋田のお酒を注文してちびりちびりと始めると、お隣が熱のこもった熱唱をお披露目です。ぼくは他人のカラオケなど平然と聞き流せる、高性能な感受性の持ち主に生まれついたようですが、O氏やA氏のような旧式な聞き取り性能の持ち主には耐え難かったことでしょう。うちの両親も全然平気そう。幼少期に家庭用カラオケセットで両親が近所と家族の迷惑顧みず気持ち良さそうに大音量を轟かしていたのに慣れっことなったのが幸いしているのかもしれません。やけに充実したお通しにまるっきり箸が伸びぬままでしたが、こうやって老いゆく両親と盃を交わすのもようやく大人になったのかもしれぬなあとちょっとばかし悦に入るのでした。
2014/08/13
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石神井公園には、あまりこれと言って通いつめたくなるような酒場があるわけではないのですが、さすが人気があって多くの人が集まるということもあり、酒場ではないものの食堂やそば屋、そして中華料理店が目に付きます。そんな1軒にお邪魔してみる気になりました。 「玉仙楼」というお店に入ってみることにします。というのも水曜、木曜は水餃子が100円となり、加えて生ビールセット(生中+肴2品)が680円とうれしいサービスもあり、さらにさらにウーロンハイが190円、,ビール(青島)が380円などなど、とにもかくにもお得なのであります。店の雰囲気にはさほど語ることもありません。味もさほどではないし、接客も特にいいわけでもない。でも兎にも角にもこちらはやたらめったらお得なのでそれで十分なのでした。後はいかに厚顔に振る舞えるかがこの店を堪能するためのコツのようです。
2014/08/12
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荏原町ってぼくの行動範囲からは逸脱した土地でありますが、たまには訪れることもあるのです。今では駅前はどうなってしまったのでしょうか。久しぶりに町を訪れた時には駅は改装工事中らしくその周辺も再開発で枯れた町並みが壊滅的なまでの打撃を受けていたのでした。何軒かの目当ての酒場や喫茶店にも出会えぬままに傷心の重い気持ちを振り払うために歩き始めて線路を渡ると、どうってことのないもののいくらかでも気分を慰めてくれそうな立ち呑み屋があるのでした。 ほとんど引き寄せられるようにフラフラと店に入ってしまうのでした。店の名は、「やきとり立呑屋 きむきむ 荏原町店」というようで、この沿線に系列店があるのでしょうか。線路際にあるので出来ることなら列車の運行が眺められるのが嬉しいのですが、こちらから列車が見えるということは逆もまたしかりというわけで、ここはコッソリお忍びで飲みたい方の要望が勝っているということなのでしょう。さて肝心のお店はなるほどチェーン化しつつある過程にあるお店らしく汎用性が高く、多くの人にとって勝手の良い店となっていて、それがぼくには物足りなく感じられるのでした。
2014/08/12
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本当は鬼越なんてところに来るつもりなんかなかったのです。このところ似たようなことをしょっちゅう語っていますが、この日も船橋法典に住んでいる方に車に乗せてもらえることになり、当初は本八幡か中山辺りに落っことしてもらうつもりだったのです。この人は若い頃、この辺で青春時代を送ったらしく、何もないとこだよおなんて言いながらも、ぼくの興味の対象を熟知してくれていて、折角だから鬼越駅通っていこうかと言ってくれたので、遠慮することもなくお願いしたのでした。駅前で線路待ちの渋滞にはまった頃、ぼくの気持ちは鬼越で呑むことに決まっていたのですが、ここで降りるのは悪いなあという気持ちを察してくれたのか、好きなとこで降りていいよと言ってくれたのでした。気になったのは、居酒屋じゃなくて実は喫茶店、幸いにもまだ営業していましたがそのお話はまた別の機会に。 と思いましたがざっと歩いた限りでは他に10数軒の系列店がある「ポエム」があったくらいなので、このままだと人知れずーで良いのかもしれませんがー埋没してしまいそうなのであえてここでご紹介。「喫茶 アリス」です。かわいい屋号に硬派な地元に密着したいいお店。奇をてらうでもなく極めてオーソドックスなところが愛着が持てます。コーヒーも300円、ナポリタンは400円ときたらこれはやはり貴重と言っていいのではないでしょうか。地元の常連さんがおまけしてもらって、きっちりとその嬉しさを表現する姿が今っぽくなくていいなと感じたので和した。 で最初にお邪魔したのは「鳥ふじ」というお店。お通しはおから。おからって実はもっとも好きなお通しなのです。しょっちゅう呑んでるS氏やA氏は、おからが苦手で彼と一緒の時はあえてお通しがおからの店に行っちゃおうかと思う程。藤沢の名店「久昇」のあまりにもうますぎるおからも苦手な人にとっては苦痛でしかないんだろうなと思うと不憫にもなります。こちらもごく庶民的な味ながら、肴はおからだけで十分と思わせられるほどの美味しさです。壁に沿ってL字に広がるカウンター、突如脳裏に浮かんだのは、早稲田の戸塚警察署の明治通り沿いにある暗く沈みきった焼き鳥店のこと。出っ張りがせり出したカウンターもいいけどより一層孤独を醸す逆L字のカウンターにより惹かれます。お客さんは高齢者のご近所さんばかり。背広族など一人もいない。じいさんたちの愚痴などを聞きながらこうしてこんないい酒場で毎晩を過ごせるのを羨まずにはおれないのでした。 何軒かの居酒屋や食堂を諦めることになり、急激に鬼越への興味を失いつつありましたが、もう今後いつ来れるか分からぬ鬼越への執着が湧いてきて、何だか今風で心惹かれるわけではないお店に入ってみることにしたのでした。「鬼越 09 ゼロック」って店名です。これってどんなセンスなのかしら。店に入るとちょろちょろとタイガースグッズが散らばっています。やるならもっとあからさまにやってもらいたいと思いもしますが、人の趣味にあれこれ指図するのも余計なお世話でしかありません。ここは、今朝がたまで40度近い熱中症による光熱にうなされていたらしいのですが、随分回復されたようです。近隣で数店舗をけいえいしているそうで、ここはタイガース趣味を押し通した趣味の店であるとのこと。近所に古い、ボロいくらいの居酒屋がないかとお伺いしたら何軒かの名を挙げてくれましたが今日は休みとのこと。中山の方が多いとのことなので聞くと「ひょうたん」などの有名店ばかりですが1軒気になる店があるので遠からずお邪魔してみたいものです。ちなみに「鳥しげ」は、オヤジさんが亡くなってから静かになってしまったが健在の頃は入れない客が出るほどであったとの事、その時代も経験してみたかつたものです。
2014/08/11
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さて、大満足の大宮探訪を終え、次に下車したのは久喜駅です。ご記憶の方もいらっしゃるでしょうが久喜には数か月前にもやって来ています。あらためてやって来たのはやはり心残りがあったからです。先日は時間切れでどうしても回りきれなかった喫茶店を尋ねるつもりです。駅から歩くとゆうに20分は見ておかねばならない程の遠さなので、ぜひとも開店してくれていることを願うのでした。 ギラギラと照りつける日差しと目眩すら引き起こすほどの熱気に耐え、大量の汗を流しながらやってきた一軒目のお店は無情にも閉まっていました。次なるお目当てのお店の途上にあるので引き返す際に再チャレンジすることにして、未練を断ち切り次に向かうことにするのでした。何度か行き止まりの路地に入り込んだりしてようよう辿り着きます。 東大宮駅で入った「純喫茶 ジュリアン」の韻を踏んでいる 「カフェテラス ジュアン」です。住宅街にあまりに唐突にあるため興奮してシャッターを切ったのをママさんがしっかりご覧になっていたようです。瀟洒な、カフェテラスという表現がふさわしい、どこか乙女チックな風情さえ漂わす空間に惚れ惚れしてしまいます。こんなに駅から遠いのにお客さんは入るのかしらといらぬ心配をしてしまいそうになりますが、食事メニューも充実しているようで、むしろ競合店も少なくても経営は順調なのかもしれません。 あまりに快適な環境に表に出ることが躊躇われますが、そこは今日の目的地までまだ5分の1もきてないんだろうなあとそうぞうするとそうも言ってられません。未練あるあといつけんがやつてなくてもまあいいかと、当の目的地「キーウェスト」を目指すとなんとやっているではないですか。当然、寄るしかありません。シックで年季を感じさせるお店ですが、残念なのがテーブルと椅子の配置が平板なところ。店のキャパシティーとしては、この直線的な配置がベターなのでしょうが、なんとかひと工夫して、何度来ても新鮮な印象が保てる様にしてもらえたら、と思うのはわがままでしょうか。 さてこれでひとまずは久喜には思い残すところはありません。居酒屋も前回見掛けた立ち呑み店以外には格別訪れたい店もなさそうです。北に向かう東北本線の終着は古河駅です。ようやく埼玉県は脱したものの先はまだまだ長いのです。ちょっと待てば程なく次の列車に接続できますが、みすみすぼんやりと時間を潰すこともなかろうと、やはり古河にも半年ほど前に来てはいましたが、その時は、とっぷりと日も暮れていたので、あまりじっくりと散策できなかった西口側を駆け足で散策することにしたのでした。するとしばらく歩くと「コーヒー クレベット」なるお店があります。古いビルの二階にあって、まったく情報もなしですがこれは入ってみるしかないでしょう。階段を上がると扉の脇には素敵なステンドグラスが貼られています。これは当たりと店内へ、案外質素な装飾ですが、これもまた老舗喫茶の味です。ぼんやりと窓辺に腰掛けて、この調子で今日中に仙台に辿り着けるのだろうかなどとさほど深刻になりもせず、辿りつけぬ時はどうしようかなどと、かえって愉快な心持ちで思案しますがそこはそれ地元密着のお店です。ばあさんが鼓膜をつんざくほどの大音声で世間話に明け暮れるのて、コチラも現世へと引き戻されるのでした。
2014/08/10
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たまたま知人の車にでも乗せてもらうようなことがない限り、余程のことがなければ来ようとは思わないであろう豊四季という土地。そんな絶好の好機がこうもやすやすと我が身に降りかかろうとは、巡り合わせというものでしょうか。そんな訳もあってとある陽射しもまだまだ刺すように降り落ちる猛烈な暑さの中、豊四季駅前に落としてもらいました。南口にはファミレスがある程度で日除けになる場所もなくひと回りして北口側に移動。東武野田線の駅舎をこうしてつくづくと眺めるとこの路線のローカルさを改めて見て取ることができてこれはこれで楽しいものです。ただあまりの暑さにいつまでも立ち呆けているのも厳しいので北口周辺を散策します。コンビニがあるのでいざとなればここで涼めばいいやと両側の駅前にある喫茶店が営業していないのが憎らしく思えます。何軒かの居酒屋がありますがいずれも店を畳んでいるようです。中華料理店も数軒ありますが、開店前。そうこうするうちありがたいことに、開店の5時まで後、10分程となっていました。店のそばでしばし日陰に入って待つことにしました。ところが5時を10分過ぎても20分過ぎても一向に店の開く気配がありません。人の気配はあるのですが、開店が6時になったのでしょうか。そう思うことにして、極力避けたかった選択肢を選ぶことにしました。 駅前にあるたった一軒の居酒屋らしい居酒屋である「炭火焼 しちりん 豊四季駅前店」に入って、ひとまず、熱中症だけは避けることにしたのでした。すでにカウンターには6、7名程が呑んでいます。面白いことには独り呑みの女性も混じっていることです。今では独りで飲む女性も全然珍しくなくなりましたが、それはめっきり都心部に限られ、ベッドタウンなどではまず見かけることがありません。ともあれチューハイで喉を潤すことにします。気付きませんでしたが相当喉が渇いていたようです。またたく間にジョッキを空にしてお替りします。ああ、チェーン店だけどあってくれてありがとうと思わずには折れません。このご近所の方にも仕事帰り「しちりん」よ、よくぞここにあってくれたと独りごちる方も少なくないと想像します。ついでに言うとこちらは「あみ焼元祖 しちりん」の方、といっても知らない人はなんのことやらですが、どうもこの「しちりん」は兄弟で2つの系列があって、ぼくは「あみ焼元祖 しちりん」がお気に入りなのでした。 さすがに開店したかなと交通量の激しい道路を渡るとようやく暖簾が表に掛かっています。ホッとしたぼくのちょい前に女性が独り入られました。彼女もきっと独りだろうなと思うと案の定です。カウンターに小上がりの薄暗い店内はひっそりとしてとても落ち着いたくつろげる雰囲気です。「地鶏 地酒 かりん」です。よかたいセットーだったかなー1,000円は、飲み物一杯に小鉢2つ(枝豆、春雨サラダ)と刺身(マグロぶつとスキ身)とまずまずの取り合わせですが、マグロが立派なのにはびっくり。他に150円を足すと地鶏刺身のセットややきとりのセットもありました。地鶏刺身も魅力ですね。さて、先に入られた女性は今は豊四季を離れられているようですが、古くからの常連さんのようです。親しげにご店主とお話しされています。その会話の断片から、どうやらご主人は近く入院をするとかのことで、心配です。ご本人は、医者に恵まれたと前向きなのが安心材料です。“タカハシ”と呼ばれるどことなくユーモラスな風貌の若い巡業員もいるので、なんとか持ち直して元気に店を再開されることを祈念します。またここまで来るのはちょっと難儀ですけど、お元気な姿を拝見したい気がします。
2014/08/09
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久しぶりに京成高砂駅にて下車。一頃この町にずぶずぶに嵌ってさんざ通った挙句にうんざりしてしまって,めっきり足を運ばなくなりました。でもけしてこの町のことを嫌いになったわけではなくて,まだ知らぬ面白い酒場がありそうでふと気が向いて行ってみることにしました。ところが,この日は出会いの運気が向いていなかったようで,しばらく徘徊してみたもののこれといった収穫もなく,諦めて高砂で指折りのお気に入りの店にお邪魔することにしたのでした。 駅からすぐながらここら辺は道が迷路のように入り組んでいて分かりやすいけど単調な碁盤目の町よりはずっと好きですが,時に目的地に辿り着けないのが難点。特に酔っ払っていては店はおろか駅にも行きつけず悲惨なことになることもしばしです。さて,ともあれやって来たのは「とんこ」です。始めてきたとき,散々迷ってしまい,その挙句に発見(あくまでぼくにとっての発見に過ぎず,この土地にずっと存在し続けていたわけですが)したときの喜びは今でも記憶に鮮明です。その時はS氏と一緒だったのですが、互いに財布が空っぽだったのに相手の懐事情を過大評価して、勘定したらお金が足りなくてはるか遠くのキャッシュコーナーを求めてS氏が走る破目になったのでした。こんな時、走るのも辛いものですが取り残された方も気が気では無いものです。この夜は、そんな失敗もなく、このまったりとした店の空気を存分に楽しむことができ、トラウマを克服して、大いに満足したのでした。品書:ビ-ル大:500,ウイハイ:250,酎ハイ/酒:260,もつ焼:80~,にこみ:260,がつなま:400,生揚:200,しらすおろし:250
2014/08/08
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時の経つのは早いもので、何をするでもなくだらしなく日々を浪費するだけの毎日を送っているうちに、いつの間にやら今年も半分が過ぎ去ってしまいました。時の経つのは年齢が増すにつれ早く感じられるようになるという意見には耳を貸すまいと思っていながらも、その実実感としてはあたっていることを認めざるを得ないようです。とまあそんなことを愚痴っていてもしょうがないことで、なにをもったいぶっているかと言うと、時間の流れを早く感じるのは記憶力の衰えであまり多くのことを覚えていられないというのが理由の一端であると思っています。そんなわけで忘れぬうちにー本当は多くの店のことはほとんど覚えていませんー、写真なども手がかりにして書きそこねていた店のことをぼちぼち報告させていただきます。 小岩駅前の細い路地を進むと飲食店に混じって、実に様々な国名を冠した一体全体どのようなサービスが提供されるものやら、実地に見聞してみたくもなりそうな怪しげなお店が居酒屋を凌駕するほどに見られます。このいかがわしい通りは小岩地蔵通りと言うらしく駅の真ん前にこのような通りがあるとは、いかにも小岩らしいと言っては住民の方に失礼でしょうか。そんな通りの一軒でとりわけくたびれきった印象のお店が「焼鳥 ふじ」です。細い路地がさらに二股に分かれる三角地にあって,当然ながら店内はカウンターのみです。水商売が板に着いたお姉さんがやっているお店で,けして愛想もよくないし,旨い酒や肴があるでもなし,でもそんなうらびれた雰囲気をひたすらに味わうのも酒場の愉しみです。
2014/08/08
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北浦和で突如飲呑みたいという気分が湧き上がってきたので、それを抑え込むべき理由もないのでいそいそと出掛けてきたのでした。幸せなことにまだ5時前。目当ての店が2軒あって、一軒は酒場放浪記の店でもう一軒は喫茶店巡りで見掛けた店です。とりあえず出向いてみますがまだ準備中。するとお向かいの店はすでにオープンしていてガラス戸越しに多くのオヤジたちが呑んているのが見えます。ここでお向かいの開店を待つことにしましょう。真っ直ぐなカウンターのみの店内、オヤジたちはキンミヤのボトル、ひとり若いお兄ちゃんはサッポロラガーと、このお店、ご主人が若そうですが相当な居酒屋マニアのようです。酒は総じて高めですがホッピーは外と中いずれも200円とお得な辺りもなかなか出来る。追加の中の量が多いのもいいですね。焼物は150円と高いので見送って、230円の一品料理を頂きます。厚揚げ、枝豆、落花生の定番にスパイシー鳥皮なんてのもありますが、帆立マヨというのを貰いました。ホタテと言ってもヒモですが好物なので問題なし。ご主人若いのに分かってらっしゃる、いいお店です。ああ、すっかり忘れていましたが「焼鳥串焼 裕喜」というお店です。 さて、お向かいも扉全開で開店の支度をしていましたがいつの間にやら、扉が閉まっています。後は暖簾が表にかかるのを待つまでです。こういう開店待ちにそわそわと待つっていうのもなかなか楽しいものです。お邪魔するのは、「大衆割烹 鳴子」てす。今更ですが酒場放浪記で放映されたのとぼくが見かけて行きたかったのはまるきり同じ店、確かにここは雰囲気あるもんなあ。というわけで年季の感じられるカウンターに着きます。ああ、そうか気付いてみればどうってこともありませんが、鳴子って宮城の鳴子のことなんだよなあ、なんてカウンターに置かれたこけしを眺めながら思うのでした。ウーロンハイを貰うと、お通しはししゃもの軽く煮付けたのと谷中生姜、う~ん溜まらないセンスです。湯葉ギョウザも旨かったなあ。これじゃ、もう一軒とかできそうもありません。これなら開店すぐに客が押しかけそうですが、そんなこともなく酒場が本来そうであってほしいゆったりとした時間が流れるのを感じられる良店なのでした。
2014/08/07
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近頃、東急線沿線の面白さに遅ればせながらも目覚めました。東急沿線は戦後の振興の住宅街が連想され、あまりぼくの趣味には合わないと知らずに思い込んでいたのでした。やはり思い込みは良くない、良くないどころでなくはっきり罪であると言い切っても良いほどに愚かなことであることに気付かされます。ちょっと考えればわかることですが戦後ってもう70年位も昔のことだし、その頃からやってる店ならもう十分老舗なんですね。大体戦前の建物が、未だ現存するほうがおかしいわけで、戦後の町は今では十分古い町なのです。 等々力駅の目の前、ホームからも丸見えのこんな場所にこれ程までにぼく好みの酒場がそれも仲良くとなりあわせにあるなんてなんて素晴らしいんだ。当初何一つ予定を立てずに来たわけではなくて、たまたま散歩の途中に見掛けただけという、まるで先入観もなく不意打ちのように巡り会えたことが喜びをいっそう強いものにした理由のようです。 さてどちらの店からお邪魔することにしようかしら、さほど迷うこともなく「やきとり とよだ」に決めていました。理由もはっきりしています。こちらが圧倒的にボロだったからです。これほどまでに見事なオンボロ酒場にはそうそう出会えるものではありません。ほとんど風化していて触れるとそのまま崩落してしまうのではなかろうかという暖簾を慎重にかき分けて店に入ると、5時を過ぎてなお猛烈な日射しの止まぬ表とは、まるで対照的なその暗さに軽い目眩を覚えつつもじっと目を凝らして、自分のポジションを探ります。L字のシンプルなカウンターは、飴色どころかもうすぐ黒光りと言っていいほどに見事に染まっています。奥の位置から表を眺めてみたいと思い奥に進みます。ひとまず品書きを眺めると1本140円のもつ焼のほかは、肴が一切ないという潔さ。こういう店では焼酎をもらうことにしています。もっきりスタイルで受け皿に焼酎をこぼし、ペットボトルの水で好きに割って呑めという事のようです。いや~、実にいいなあ。暑いはずなのになぜかそれほど苦にならないのも不思議なものです。等々力の人が羨ましいとつくづく思わざるを得ないのでした。 さて、「とよだ」程の風格こそありませんが、仮に日頃通いなれた町にこの酒場があったとしたら、これまで知らずに過ごしてきてことを激しく恥じるとともに、今後通い詰めることを決心するのは間違いないであろうこと疑いないお店、「大衆酒蔵 大吉」に移動しました。お隣の唯一の欠点であるところの空調がないことーそれがまたお隣の味ともなっているのですがーと違って、ありがたいことにこちらでは快適に呑めそうです。奥に細長く伸びるカウンターの入口付近に空きがあります。ここでは奥が常連席のようです。ちょっと不審気な表情を浮かべる女将さんに飲物を注文すると、焼鳥見繕いますかとのこと。壁の品書きを見ると焼鳥130円からとあって部位の記載はありません。じゃあ、ひとまず3本をタレで頼んでみることにしました。すでにご機嫌となった夫婦が二組、こういう大人の付き合いは羨ましいなんてことを思ったりします。焼鳥はサイズも味もまずまずですが、この雰囲気こそが肴となってくれます。まったりとした気分で涼しくくつろげるよい酒場です。近隣に住む方に後日聞くと大井町線沿線は数こそ少ないもののこうした古くから営業を続ける酒場などをちょくちょく見受けるそうです。そう聞くとせっせと通わざるを得なくなりました。
2014/08/06
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わが家からけして近くないというただそれだけのでも結構切実な事情から昼間こそ何度か訪れているものの、飲みに来る機会を見つけられぬままでいた池上にようやく夕暮れ時にやって来るという、その気になればけして難しくない念願が叶ったからってそれほど特別なことと考えるかはさておいて、ともかくにもこれたことをひとまずは素直に喜ぶことにしましょう。京浜東北線と東急池上線を乗り継いでみると思ったより近いことに、どうしてこれまでこの程度の距離に躊躇したのだろうと我が怠け心に呆れるとともに、これなら池上線沿線も呑み歩かねばなるまいとのいささか性急すぎる野望に心ときめくのでした。 池上線に揺られ記憶に薄い沿線を眺めるというほどの間もなく池上駅は目前です。すると車窓からサッポロビールの看板鮮やかな「串焼き 滝亭」という店が見えてきました。ひょろ長い店の記憶、たしかに残っています。池上の1軒目はここに決めることにします。ローカル感漂う外観に一目惚れ。古い日本家屋もたまらない魅力があるけど、だらしなく飾りててた果てに落ち着いたこの緩い工夫のあれこれが僕にはより身近に感じられるのです。ともあれ店内に、お邪魔です。入った瞬間、何やら脳ミソのどこかがバランスを崩しているようです。あれこれ考えても仕方がない席について、ひとまず無難なチューハイを注文。お通しはマグロかなんかの竜田揚げのようです。昨日の残り物に火を通して食中毒のリスクを回避ってわけでしょうか。まったく問題なし。焦げ目がそのままガンへの直行便というわけでもないらしいのは知れています。数多い品書きから選ぶのはやはり焼物ということになります。ぼく好みの品を何品か焼いてもらいますが↓人気店だけあってさすがに美味しい。そうこうしながらも妙な目眩は依然続いています。これはどうしたことかと平常心を取り戻すよう努力すると、なんのことはない、ことはなくセメントの三和土が激しく傾いているのでした。当然長テーブルも傾いています。こうした使い古されたテーブル席で相席するのが基本っていう酒場の原風景のやうなイメージが健在で、ぼくは大好き。焼物も旨いし何が悪いわけでもないはずねのにどうしたわけか入りが悪いのでした。 知人と待ち合わすことになったのでたまたま見掛けた「池上食堂」なる見た目は新しいビルに入っているのでどうという事のない印象の食堂ですが、そのものズバリの直球勝負の店名が店の歴史を物語っているように思われます。さほど効率に配慮したわけでもなさそうな愛想のかけらもなく整然と並べられた安っぽいテーブルがいかにも老舗の大衆食堂らしくって、ここがホントに古い店か確認したわけでもないのに確信めいたものを感じます。マンションの一室をそのまま店にしたような飾り気など全くない、殺風景と言っても過言ではないところも食堂らしさを際立てています。残念なのはメニューの種類が少ないことですが、ぼくには何より嬉しい目玉焼きサラダというのがあってこれがあれば十分満足です。テレビの流れるだけの喋り声もほとんどない静かな環境はリラックスできます。
2014/08/05
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さて、やっとのことで仙台に到着しました。時すでに19時を回っています。実家の両親とは19時30分に青葉通りと一番町が交錯する辺りで待合せています。が、どちらもそれなりに高齢なので、ふたりのペースに併せてしまっては、酔っ払うのに十分な量は摂取できないことが目に見えています。そんなわけで落ち合う前に軽く何軒か引っ掛けておくことにしました。 最初に立ち寄ったのは、「立喰 そば・酒 葵 仙台駅前店」です。ここは以前から存在は知っていたものの、せっかく仙台まで来ておいてありきたりの立ち呑み屋に入るのはいかにももったいない事だと、ビンボー根性むき出しにとにかく有名な店やら目についた古い店を飛び回ってきましたが、こう何度も仙台に来ていると、さすがにゆとりのようなものが芽生えてきて、仙台の原住民のようにさり気ない様子で、極ありきたりのお店に入ってみるのもいいもんじゃなかろうかと思うに至ったのでした。さて立ち呑みがメインでありますが、一部椅子席もあり、職場の同僚らで賑々しく酒を酌み交わしております。この店は昼間は立ち食いそば屋をやる二毛作店らしくセルフサービスになっており、150円とか200円の食券をカウンターで渡すと値段に応じてそれぞれ数種類の肴から選ぶことができます。マグロの山かけを貰って今回の旅の最初の呑みを祝し、胸の内で独り乾杯をします。活気ある人気店からスタートできて幸先が良さそうです。 一番町方面に向けてしばらく進むと仙台銀座があります。さほど規模は大きくないものの横丁らしい風情が未だ保たれていて、古い町並みが呆気ないほどに次々と消えていくこの町にあっては、貴重な事はもちろんとても好きな一角です。ところがこの通りではまだ呑んだことはないのでした。折角の機会だからどこか適当な店にお邪魔してみる事にしましょう。ほぼ真っ直ぐな通りで成り立っているこの横丁ですが細い抜け道もあって、そこに飾り気なく入りづらそうにわざとしてるんじゃなかろうかというお店がありました。「おでん・季節料理 たかさご」です。店内は想像以上にいい感じで、真っ直ぐなカウンターと小上がりには小さなテーブルが2卓だけの細長い小さなお店です。女将と若い娘さんでやっていますが、この娘さんは実の娘でしようか。時折こそりと会話をかわしてくすくすと笑い合っています。お隣りのおっちゃんが酔っ払ってるのもあるでしょうが、うるさいくらいに絡んでくるのでかなりウザいのでしたが、基本的にこの店は言い、とてもいい、おでんも旨い、「三吉」が有名で人気あるけど、俺なんかここに食べ直しに来るからねと店のな無償なまでの愛情を語るのを聞くとそれもまた楽しなのでした。
2014/08/04
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7月の半ばを迎え、一挙に夏の機構へと様変わりして、体調管理を整える余裕さえないうちに夏真っ盛りとなり、体調を維持するのも難儀という方も多いこととお察しします。かく言うぼくもまた例年になく体調が優れず、せっかくの旅行に出かける前夜にもかかわらず、最低限のスケジュールを立てるのがやっとのことといった有り様。 ところで表題にあるとおり、今回の旅の目的はとにかく五能線に乗るだけのためにあります。しかもこの目的は、ぼくのものではなく松戸でしばしば遊んでもらっているおばあさんの希望によるものなのでした。もとよりぼくは、どこか遠くの町でさえあれば、どこであってもそれなりに楽しめる方なので、喜んで同行を承諾したのでした。これが近頃松戸にしばしば足を向けた理由であるわけですがまあそれはどうでもいいこと。 とりあえずぼくの立てたおおよそのスケジュールは、1日目 東京ー仙台(実家泊)2日目 仙台ー本八戸(合流、ホテル泊)3日目 本八戸ー弘前(ホテル泊)4日目 弘前ー秋田(離別)5日目 秋田ー東京ということになっていて、かつてのぼくにとってはかなりゆとりある無理のない予定ですが、なんせ今回は80歳にならんとするご高齢が一緒なのでこれでもかなりの乱暴な旅と言えなくもなさそうです。 まるで予定はありませんがこの日は18切符を使うこともあり、前夜の酒を引き摺りながらもなんとか布団を這い出して、朝の7時には東北本線に乗りこんだのでした。さて最初の下車駅はどこにしようと、列車に揺られるうちに大宮駅を通過しました。大宮駅であれば平日でも来られなくもありませんが、その先となるとなかなか機会がありません。そんなわけで車窓から鄙びた商店街が望める東大宮駅で下車することに決めました。 西口の駅前にも良さそうな居酒屋があったりして散策してみたくもありますがやはり東口が町の中心のようです。駅前のロータリーの先のビル2階に大きな喫茶店があるのが見えますがまだ営業前のようです。さらに商店街を進みます。しばらく行くと一軒家に大きく珈琲と書かれた店があります。 「珈琲 樹里」です。これがなかなかに立派で、ぜひともお邪魔したいところですが、まだ開店前のようです。店主が玄関に姿を見せたので、開店時間を伺ったところどうぞとのことなので喜んでお邪魔しました。本当は30分後の9時が開店のようです。照明がぐっと抑えられ、茶色を基調色としたシックで正統派の喫茶店です。すぐに常連さんもやって来ました。一応の開店時間が決まっていてもフライング気味にやってくるお客さんも多いのでしょう。平日には勤め人だとなかなかこの時間に訪れるのは難しいでしょうがご隠居さんや近所の商店主さんなんかが優雅に朝のひと時を過ごすのでしょうか。羨ましい限りです。 すぐ目と鼻の先に「洋菓子 喫茶 べルーン」というお店がありますが生憎開店前のようです。シャッターが閉まっていて店内の様子はまったく覗い知れぬところですが素敵なお店である予感があります。 駅のそばには洋菓子店のみの営業らしき店舗もありました。 「樹里」に続いてお邪魔したのは、「純喫茶 ジュリアン」です。何とも語呂がいい喫茶店ハシゴです。こちらは外観はより純喫茶らしく可愛らしくデコラートが施されています。コーヒーが温め直しなことにちょっと残念な感じは受けますがそれでも正統派だけどどこか温かみを感じさせる装飾がステキです。店の女性は、長年店を手伝っておられるようで、今度一念発起して自らの店を出されるようです。喫茶店のことはすべて「ジュリアン」から学んだと仰る口ぶりからは不安と同時に自信を滲ませて聞こえました。素敵な店にしていただきたいものです。でもコーヒーは一杯一杯手入れしてください。 さてそろそろ東大宮駅を出ないと仙台まで辿り着けそうもありません。その前にホームから見える東大宮一番街というスラム街っぽい商店街を眺めておくことにします。夜はまた違った表情を見せてくれるのでしょうが、朝方はまさにスラムっぽい雰囲気で興奮させられました。そんな中に「純喫茶 ひまつぶし」がありました。こんなの見ちゃったら入らないわけにはいきません。店内はレストランのような脚の高めなテーブルと椅子が置かれていて、喫茶店でイメージするところとはちょっとばかし違っていて若干肩透かしなのですが、何と言っても魅力はモーニングメニューの立派さにあります。ぼくはドリンクに+130円のハムエッグのセットにしてみました。これが立派で卵2個にベーコン2枚、サラダもたっぷりで当然トーストも付いてくるのでした。朝からガツンと食べたいならお勧めです。 東口駅前ロータリーの向こう側のビル2階にある「葡萄家」はもう開店していましたがこのままだといつまで経っても東大宮を脱出できないので諦めて次の町に向かうことにしたのでした。それにしても東大宮は、まだまだ喫茶店も気になりますし、居酒屋もこれだけの散歩ですでに4軒も行きたい店の目星ができてしまいました。きっと近いうちに再訪必至となりました。
2014/08/03
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先般、「渓」から駅へと向かう引き返し際、常磐線のガード下にこれまでまったく見過ごしていた居酒屋らしき灯りが目に留まりました。いつもはついつい角海老の方に視線が向いてしまうのでこれまで気付かなかったということなのでしょうか。そんな良さそうな店があるなら行かねばなるまい、ただし日を変えて出直すことにしたのでした。 店の前の看板には、なんとも判別が困難な文字で「やきとり とや」と書かれているようです。こうして疑問を棚上げにして呑み始めると、しばしば店名などすつかり忘れてしまって、食べログやらをチェックしたりストリートビューまで眺めたりするはめになることになったりして、多くの場合結局はその店のことは謎のまま放置されることになるのでした。ぼくの行く店の場合は、ネットなどに晒されていない店もちょくちょくあって、そうした店に行くと嬉しくなって呑み過ぎてしまうのだから、店に入る前にきっちりチェックすべきであることは分かっていても繰り返してしまうのですね。この店もそうした事態になることが予想できたはずなのにチェックなど忘れて外観写真などお座なりに撮るといそいそと店に入るのでした。幸いこのお店は地元では案外知られたお店のようで、ネットで簡単に調べが付きました。「風流炭火焼鳥 鳥舎」と漢字での表記があるようです。カウンターが8席だけの狭いお店の雰囲気はとてもよろし、実は2階席もあるようです。お通しの枝豆をつまみつつ、チューハイを啜りながら焼き物の仕上がりを待ちます。まず手始めにテール串、ネック、自家製つくねがお薦めのようなので注文します。一本100円からと値段もお手頃、それなのにこの旨さはどうしたものか。この低価格でこれ程の旨い焼き鳥はめったに出会えるものではありません。ネットではいつも満席とありましたがぼくのいる間は一人の客も入りませんでしたが、たまたま運が良かっただけでしょうか。オヤジさんはぶっきらぼうですがそれもまたよし。亀有を見くびりすぎていたことを再認識しました。 大満足で気分も浮かれ、勢いで入ったのは、割烹のような高級感が漂い敷居の高かった「かずき 本店」に入ってしまいました。客たちもこうした品の良い店では人間がワンクラス上の人種のように思われます。寿司屋のようなしっかりした白木のカウンターに着くと今更ではありますが、早まってしまったものだと軽く後悔に包まれます。とりあえず無難にウーロンハイを所望し、品書から安くて、でもこれがあれば自分はあとは何もいらんかんね、って感じの肴を頼んで、パパっと2杯くらい呑んで席を立つことを決心し、ヌタを頼むことにしました。お通しがちっちゃいさつま揚げとお浸しが皿に見合わぬほどにちんまりと盛られているのを見ると不安は更に高まります。ところが案に反して、これが多くの具材がたっぷり盛りつけられていて、しかも味がちょいとキツメなのでウーロン割2杯では、持て余すほどでつい青汁割を追加してしまったのでした。しかも勘定も案外手頃で思いがけずよい店なのにほっと胸をなでおろしたのでした。
2014/08/02
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前の日の夜に亀有来たばっかりだったというのに立て続けに訪れてしまっては、すぐさま亀有には飽きたと綴ってしまう事になりかねません。それでもあえてやってきたのには訳があります。というのは昨日、「平安」、「大利根」とハシゴした後に通りがかった一軒の居酒屋が気になってならなかったからです。加えてその酒場が何たることか、たまたま見てしまった「吉田類の酒場放浪記」の次回放映店であることを見てしまっては、地元の常連などわれ感せず厚顔無恥にやって来る視聴者ーそういう自分はさておく事にするーに荒らされる前に行っておくべきだという気分に突き動かされたのでした。 でもその前に腹ごしらえをすることにしました。駅前の通りを少し進むとちょうど良い塩梅に「中華料理 聚楽」というお店がありました。特にどうということのない店ですが食材への不安が拭えぬ中国ですが、ここは酒呑みならではの理屈、アルコール消毒で何とかなるさと果敢にも足を踏み入れました。看板こそピカピカのつまんないものでしたが、店内は案外枯れた風情があります。デコラ張りの安っぽいテーブルに中国風の柄が染められた合皮張りのパイプ椅子が、どうやら店に年輪の一端を滲ませることに寄与しているようです。もはや案外気に入ったので、ここが居抜きだろうが、椅子やテーブルをゴミ焼却場から頂戴してきたのだろうがどうでも良い気分です。飲物1杯に餃子と青椒肉絲で1,050円、それで結構美味しいんだから文句の付けどころはありません。 さて、来週テレビで放映される「渓」にやって来ました。店の明かりが付いています。昨夜と違って、すでに開店しているようです。もしや混みあっているのではと慌てて店内に入ると、オヤジさんと鉢合わせ―って、狭いお店なので鉢合わせって言うのも変ですが―、前夜、ぼくが店の営業について伺った者だと知ってか、知らずか、ごくごく自然な素振りで迎え入れてくれます。であればこちらも知らぬ存ぜぬを演じるのが礼儀と考え、さり気なくカウンターに落ち着きます。カウンターが8卓程、奥の座敷は案外と広いようです。前夜のおぼろげな記憶では、さらに奥があってもしかするとそこはご自宅なのかもしれません。お客さんはまだお一人だけとやや寂しいです。品書きが店中に貼りめぐらされており、肴の豊富なお店であることが分かります。チューハイを呑みながら焼き物が焼き上がるのを待ちます。その間お通しに冷シャブが出てきました。こういうお通しは嬉しいですね。焼物も幾分小振りながらしっかりと旨みがあってよかったなあ。すごい素晴らしいとか絶賛するようなお店ではありませんが、地元の方たちに愛されて地道に商売しているそんなよい居酒屋でした。テレビに出ることでしばらく大変なことになるかもしれませんがどうか頑張っていただきたいものです。そして常連さんもほんのひと時で混乱は収まるはずなので温かく見守ってほしいものです。
2014/08/01
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