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2023年01月14日
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カテゴリ: 航空&ミリタリー
 歩兵携行式対戦車兵器が強力となり、攻撃型ヘリコプターが発達し、大きく重く移動速度が遅い戦車は役に立たない、コスパの悪い時代遅れの兵器とされ、「戦車不要論」が陸戦論の主流となってから久しい。
 ロシアが仕掛けたウクライナ侵略戦争で、占領地点の面の確保について、歩兵が欠かせないのと同様に戦車が有効であることが見直された。
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2022年を彩った世界の戦車5選
日本の安全保障に影響はあるか
白石 光(戦史研究家) の意見
2023年1月1日 乗りものニュース
韓国製戦車をポーランドが大量購入
 2022年は、2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻で、再び戦車を中心とする陸戦兵器に注目が集まった年でもありました。当初は「ジャベリン」のような歩兵携行式の対戦車兵器や対地攻撃用ドローンなどが脚光を浴び、一時は「戦車不要論」のような論調も見受けられたものの、その後の研究などから、現実には従来と変わらず戦車は「陸戦の主力」であると見直されています。
 こうしてウクライナ侵攻で、“戦車が復権”した一方、2022年には様々な新戦車が登場し、これらもまた世界中から注目を集めました。そこで、今年を象徴するような戦車を5車種チョイスし、どこがポイントなのか振り返ってみましょう。
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K2「ブラックパンサー」:韓国
 まずはMBT(主力戦車)ですが、ロシアのウクライナ侵攻で、一躍その名が知られるようになったのは韓国のK2「黒豹(ブラックパンサー)」ではないでしょうか。もっとも、本車の場合は実戦に投入されたわけではなく、手持ちのT-72戦車をウクライナに提供したポーランドが、西側兵器と互換性があるという観点から、大量導入を決めたことで注目を集めたのです。
 というのも、ポーランドはK2戦車を採用する前にアメリカ製M1「エイブラムス」戦車の導入も決めているからです。韓国はアメリカとの強い同盟関係を維持しており、とうぜんながらK2はM1を念頭に置いて、高いインターオペラビリティ(相互運用性)を考慮して設計されています。そういったことも加味してポーランドはM1と共にK2を装備・運用することにしたのでしょう。なお、ポーランドは他にもドイツ製の「レオパルト2」戦車を運用していますが、K2とM1は「レオパルト2」と弾薬の互換性を有しているため、そういった点もメリットです。
ヨーロッパとアメリカ双方で新戦車が爆誕!
 2022年はまったく新しい戦車がデビューした年でもあります。
KF51「パンター」:ドイツ
 ドイツのラインメタル社は、6月にパリで開催された国際武器展示会「ユーロサトリ2022」において、KF51「パンター」を発表しました。本車の特徴は主砲に130mm滑腔砲を備え、防御力を強化しているにも関わらず、重量は既存のレオパルト2A6よりも軽い59tに抑えている点です。
 なお、乗員数は4名。従来の戦車と同じく車長、砲手、操縦手(運転手)のほかに、各種の無人兵器などの指揮・統制を任務とする人員1名を乗せられるとのこと。また、徘徊型自律兵器の運用も可能で、現状では最先端のMBTのひとつといえます。
EMBT:ドイツ+フランス
 同じく「ユーロサトリ2022」で披露されたのが、ドイツの防衛企業KMW(クラウス・マッファイ・ヴェクマン)と、フランスの防衛企業ネクスターの合弁企業であるKMWネクスター・ディフェンス・システムズ(以下KMWネクスター)が開発した「EMBT」です。
 EMBT自体は2018年に開催された前回のユーロサトリで発表済みですが、そのとき披露されたのは、ドイツ製「レオパルト2」戦車の車体にフランス製「ルクレール」戦車の砲塔を組み合わせた技術実証車であり、あくまで “こういうことも可能”を見せるためのレベルでした。
 しかし、今回披露されたEMBTは名称こそ変わらないものの、車体、砲塔ともに新デザインのものとなっており、特に砲塔については両サイドが大きくえぐられ、見た目のインパクトに驚きを覚える形状に改められていました。現状ではあくまでコンセプトモデルだそうですが、今後どのように発展進化するのか、はたまた試作だけで終わるのか、興味は尽きない戦闘車両のひとつです。
「エイブラムスX」:アメリカ
「ユーロサトリ2022」から4か月後の10月、ワシントンDCにおいて開催されたアメリカ陸軍協会主催の武器展示会「AUSA」に合わせて、ゼネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ(GDLS)が発表したのが、「エイブラムスX」です。
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現代版軽戦車? 米軍が導入決めたMPF
 「エイブラムスX」の特徴は、機動性と輸送性を向上させるために軽量化した点で、従来のM1A2「エイブラムス」と比べ約半分の燃料消費量で活動することが可能だそう。それに伴い、燃費向上を図るべくパワーパックをハイブリッド仕様に換装。この改修により、隠密斥候(サイレントウォッチ)能力の強化や、静粛機動(サイレントモビリティ)性も向上しています。
 搭載する砲塔は無人式で、これにより乗員は既存のM1「エイブラムス」の4名から3名へと減っているほか、全員が車体中央に並列で乗り込む形となっています。
 現時点ではまだコンセプトモデル(テクノロジー・デモンストレーター)に留まるものの、今までは肥大化する一方だったM1「エイブラムス」シリーズの新たな方向性として、注目すべき存在のひとつといえるでしょう。
MPF:アメリカ
「エイブラムスX」が発表される一方、今年アメリカ陸軍が新たに導入を決めたのが、MPF「グリフィン」です。
 MPFとは「Mobile Protected Firepower」の略で、機動防護火力車両と訳されるようですが、要は軽戦車の1種です。かつてのM551「シェリダン」空挺戦車の代替と、歩兵旅団戦闘チーム「Infantry Brigade Combat Team:IBCT」の火力支援のための車両で、105mm戦車砲を搭載し、空輸が可能で機動力に優れているのが特徴です。
 簡単にいえば第2次世界大戦中の対戦車自走砲または駆逐戦車の現代版ともいえるもので、「ヘビー級」というべきM1シリーズのMBTを並行して運用するアメリカだからこそ、逆に使いみちのある戦闘車両といえるでしょう。
  ―  引用終り  ―
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 次世代戦車の形態は確立されていない。航空機と同様に、人が乗らないことを前提とした戦車の具体的な提案もない。
 陸戦の主力であるかどうかは不明だが、占領・奪還した地域の敵軍の掃討、反撃の効果的な手段の一つであることは事実となった。
 戦車不要論の台頭の背景は以下の主に3点。
 最近の戦車不要論が高まったのは、冷戦の終結により大国間の大規模戦闘の可能性が低くなったことが契機。
 ソ連の崩壊、ワルシャワ条約機構の瓦解により、大国間の総力戦や第三次世界大戦が起こる可能性が低下した。
 一方、大国と小国間の地域紛争、あるいは国家と反対勢力による内戦など、規模の大きく異なる勢力による紛争への対応に主力洗車(MBT)は適切ではなかった。
 第二次世界大戦後、冷戦期にも航空機はジェット機の時代となり、性能が飛躍的に向上した。
 速度性能、航続性能の向上、滞空時間の長時間化すすんだ。ベトナム戦争の経験を経て、ヘリコプターの性能向上と機能の多様化がすすみ、航空兵器による地上支援がより効果的に実施できるようになり、上からの攻撃に弱い戦車の弱点が目立つようになった。
 そして歩兵携行式の効果の大きい対戦車兵器の出現で、主力戦車は戦場において、コストパフォーマンスの低い戦力の代表とみられるようになった。
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 ウクライナ侵略戦争は不条理な戦争であり、主力戦車が戦争状態の解消に向けたアプローチに有効であるとされても、戦車不要論が戦車有用論に変わるというもpのでもない。
 本当に不要ではないのかどうかは、上記と平和の維持と追求など踏まえた観点から語られなければならない。

 主力戦車が有用なら、核兵器も有用といえるのだから。





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最終更新日  2023年01月14日 06時00分09秒
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