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在日米軍は、日米安全保障条約第6条により日本国内に駐留する米軍の総称。 宇宙軍以外の陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊が展開している。指揮系統は、米インド太平洋軍の傘下の副統合軍(司令部横田飛行場)。 在日米軍司令官は第5空軍司令官が代々兼務しており、空軍中将が就いていた。 2011年東日本大震災後トモダチ作戦(Operation Tomodachi)を展開したのは在日米軍傘下の各部隊。 2024年1月10日、自民党の麻生副総裁は訪問先の米ワシントンで台湾有事を念頭に、「一緒に対処してくれる国々との合従連衡が必要だ」と記者団に述べ、危機感を強調した。1月8日に福岡県で行われた自身の国政報告会でも、中国の台湾侵攻を防ぐために日米を基軸とする多国間の連携を強化して抑止力を高める必要性を訴えた。 4月4日、岸田首相は、来週予定されている日米首脳会談で、自衛隊と在日米軍の連携をより円滑にするため、それぞれの部隊の指揮統制のあり方について見直しを進めることを確認する方向で調整していると報じられた。 4月5日、在日米軍司令官が中将から大将へと格上げされ、部隊指揮も検討されていることが報じられた。 種子島沖の無人島・馬毛島では陸海空自衛隊で総合的な訓練も可能な施設が建設されている。主要滑走路(2450m)と横風用滑走路(1830m)が配置され米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)も受け入れる。 陸自の水陸機動団創設と整備、海自の「いずも」、「かが」の軽空母化改修、潜水艦隊充実強化など、台湾有事への対応は、着々と整えられている。 自衛隊の対中シフトの強化は、日本を仮想敵国とする韓国軍にとって脅威の拡大となる。 在日米軍司令官「大将」格上げへ部隊指揮も検討、自衛隊と連携共同通信 2024年4月5日 21時1分 米政府は在日米軍司令部(東京・横田基地)の機能を強化するため、司令官の階級を中将から大将に格上げする方向で調整に入った。日本が陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を発足させるのに伴い、トップの階級を同等にして連携を強める。複数の関係者が5日、明らかにした。米側は日米共同訓練の企画立案機能や、実動部隊の限定的な指揮権を付与する案も検討している。 日米両政府は10日に米ワシントンで開く首脳会談で、指揮統制の見直しに合意する見通し。同盟強化策を具体的に示し、中国や北朝鮮への抑止力向上を図る。憲法が禁じる他国軍の武力行使との一体化につながるとの懸念も強まりそうだ。 米側は司令官の格上げに伴い、在日米軍司令部に陸海空3軍と海兵隊などを横断した統合任務部隊を設ける方向。日本が他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有するのに伴い、共同対処能力を高める。5月末にも開く外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で協議する。 ― 引用終わり ― インド太平洋軍の指揮は、インド太平洋軍司令官(略称:CDRUSINDOPACOM)が行う。インド太平洋軍司令官には代々海軍大将が就任しており、インド太平洋軍の担当地域内で活動する米国軍の各種部隊に対して最上位の軍事指揮権を持つ。 インド太平洋軍司令官よりも上位の指揮権を持つのは、米軍の最高司令官である合衆国大統領、および統合参謀本部の助言を受けた国防長官の2人のみ。 主な戦力は太平洋陸軍、太平洋海兵隊、海軍太平洋艦隊、太平洋空軍。いずれの司令部もハワイ州ホノルルにある。各構成部隊は担当区域内全域に駐留している。 インド太平洋軍の担当地域には中華民国が含まれており、その防衛に関する事が台湾関係法により定められている。
2024年04月12日
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憲法の平和主義の貫き、専守防衛を誓う日本において、軍需産業(防衛産業)の市場は極めて小さく、限られている。 一方様々の技術の発達により、防衛装備品の開発・製造費用は高騰している。国際価格との比較などにより事業性に全く欠ける防衛産業から退出する企業も増えている。 はなから怪しい憲法上の解釈は棚上げして、国内の防衛産業を維持するため、量産による防衛装備品の費用を低下するために、市場の拡大、輸出が必須の要請となっている。 海外から注目されている「日本の兵器」。見本市で見た、意外なメーカー14社とその評判日刊SPA! / 2024年3月5日 … (略) … 2年ぶりに通常開催された、アジア最大級の兵器見本市「シンガポール航空ショー2024」に注目が集まった。防衛省の外局である防衛装備庁(以下「装備庁」)が初めて、本格的なブースを出展したからだ。 装備庁による海外イベントへの出展は、’22年の「ユーロサトリ」以降5回目となるが、今回は昨年12月の防衛装備移転三原則とその運用指針が改定され、日本が実質的な武器輸出に道を開いてから初めての出展となる。 … (略) … ◆防衛省が売り込みを図る「防衛装備品」 スバル【UH-2】 展示品の中で唯一わかりやすい兵器として展示されていた多用途ヘリコプター「UH-2」の模型。同社とベル・ヘリコプターが共同開発したベル412を原型とする機体で、’21年度から陸自に配備。 日本電気【移動式警戒監視レーダー】 空自も運用している防空用の移動式警戒監視レーダー、航空機に距離と方位を提供する電波塔台の移動式タカン、航空管制用の移動式ラプコンの模型。移動式警戒監視レーダーは輸出仕様。 川崎重工業【対艦ミサイルエンジン】 国産トマホークとも呼ばれる島嶼防衛用対艦ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」やUAS(無人航空機システム)に搭載される小型ターボファンエンジン「KJ300」の実物大模型。 ミツフジ【電磁波シールド】 元は西陣織の工場。取り扱っていた銀糸の特性に着目して、電磁波を遮断する布地を開発。軽量・柔軟な布地で容易にテント状格納庫を構築し、レーダー偵察衛星からの探知を回避。 クリモト【3D金属造形エンジン部品】 3Dプリンターでの金属造形に25年の実績を持つ。切削と3Dプリントの技術を組み合わせることで、構成部品の削減や軽量化が可能。国際認証を取得し航空宇宙・防衛産業に進出した。 ジュピターコーポレーション【機動衛生ユニット2型】 阪神・淡路大震災の教訓から生まれた「空飛ぶICU」。重症患者を搬送するためのコンテナで、電源と酸素を備えるため外科手術にも対応する。空自の輸送機C-2とC-130に搭載可能。 … (略) … ◆もっとしっかり議論をするべき 輸出を促進し、海外のライバルに食い込むことができれば、日本のプレゼンスは高まる。ただし、それを実現するには昨年末の防衛装備移転三原則の改正だけでは不十分だ。他国と共同開発した防衛装備品などの輸出が見送られたからだ。 「量産してコストを削減するために共同開発するのですから、開発を進める前に輸出を認めておくべきでした。やみくもに輸出すべきではありませんが、もっとしっかり議論をするべきです」 武器輸出が軌道に乗るには、もう少し時間がかかりそうだ。 ― 引用終わり ― 国産化をあきらめ輸入すれば費用は安く済むが、四方を海に囲まれた日本では継戦能力が著しく低下する。先端技術が適用された装備品が有事に手に入るかも不明。 米国の傘をさしかけてもらうのも、軍事上も、政治的にも、輸入が「安い」とは限らない。 政府見解では憲法9条の「戦争放棄」は、「軍備の放棄」とイコールではないと解釈されている。 一方、日本国憲法制定時に前提とされていたとの解釈も多い、国連の平和維持機能は、ロシア、中国の武力紛争に関する姿勢の数々から、近年著しく低下したと見受けられる。 米国を中心とした「西側社会」と連携して国を維持することが、本当に世界平和につながっているのかも問われる時代になったと思う。 中国、韓国、北朝鮮、ロシアの危機に合わせて軍備を拡大する必要はないと考えるが、兵器、軍事装備品の輸出についてSDG’sの観点も含めて再考すべき時期であることは確かだと思う。その選択肢には「減らす」、「無くす」もあるはずだ。 全てに備えて、数多くを失った帝国陸海軍の先例にも学ぶべきだ。
2024年03月20日
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H3ロケットの打ち上げ成功にわく種子島で、熊本と規模・内容は大きく異なるが、自衛隊基地が建設される馬毛島の対岸ということでバブルが発生、問題も起きている。 建設作業員の増加で、家賃が高騰、病院が混雑したりするなど島民の生活環境が大きく様変わり。離島であるだけに問題の深刻さは熊本県以上と思われる。 馬毛島は無人島のため、人口27,200人(2022年4月)の種子島に約6,000人の建設関係者がしばらくの間加わる形。 種子島をむしばむ「バブル」と「分断」…対岸の島で始まった新基地建設密集する仮設住宅に島民の思いは2023年12月5日 東京新聞 林立する建設作業員向けのコンテナハウス。主要道路はトラックの往来が絶えず、漁業も農業も翻弄(ほんろう)される… 「日米一体化」「南西シフト」の名の下、鹿児島県の無人島、馬毛島(まげしま)で進む自衛隊基地の建設は、対岸にある種子島の日常をむしばみだしている。様変わりする島の今をルポする。(岸本拓也、曽田晋太郎) ◆島をひっきりなしに大型トラックが疾走 1日朝、東京新聞「こちら特報部」の記者は種子島の北部にある西之表港(鹿児島県西之表市)に降り立った。港のそばにある国道を歩くと、大型トラックが港に向かってひっきりなしに走っていた。 港近くの納曽(のうそ)地区に暮らす亀沢修一さん(72)は「馬毛の工事が始まってからはいつもこんな感じ。いつ交通事故が起きないか不安ですよ」と話し、こう続けた。「島の生活は一変しました。戸惑いを覚えている島民も少なくない」 ◆作業員6000人に達する見込み 種子島の対岸にかすかに見える無人島の馬毛島では、1月に自衛隊の新基地建設が本格的に始まった。東に12キロの種子島は寝泊まりする拠点になっている。 二つの島には全国から建設作業員が押し寄せている。西之表市によると、その数は10月末現在で種子島に1550人、馬毛島に580人の計2130人。来年2月にピークを迎え、計6000人に達すると見込まれる。これは種子島の人口の4分の1近くに当たるという。 「最近は少しマシになったけど、一時はスーパーから弁当や総菜、飲み物が消えて棚が空になった。生活ごみが増えたり、病院や郵便局の待ち時間が増えたりして市民生活に影響している」と亀沢さん。工事関係者が増えたことで島内のホテルは連日ほぼ満室に。賃貸住宅の賃料も高騰したといい「値上げを求める大家から退去を迫られ、市営住宅に入った人もいた」。 ― 引用終わり ― 2024年2月15日、鹿児島県西之表市の市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」(山内光典会長)は、野党国会議員でつくる沖縄等米軍基地問題議員懇談会が開いた集会で、米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)の移転を伴う自衛隊基地整備計画の白紙撤回と工事中止を求める要請書を防衛省に提出した。 基地完成後は米軍による昼夜を問わない発着・飛行訓練などによる騒音公害などの発生も想定される。 防衛省・自衛隊 公式サイト馬毛島(まげしま)における施設整備について 国の事業にも関わらず、総事業費はいまだ不明との報道。対米軍関係となると日本の議会制民主主義により選出された自公連立政権は無力のようだ。 米軍との連携強化で、必要な機能が追加・強化されることもあるのだろう。米軍の核の傘の下に入ることは容易ではない。 「1兆円超えは確実」の声も…馬毛島自衛隊基地着工から1年経っても見えない総事業費 2024/01/13 南日本新聞 西之表市馬毛島の自衛隊基地整備は12日、基地本体の着工から1年がたった。真っさらな島を丸ごと買収し基地化する異例の巨大事業は、残り3年程度という工期を区切りながら、買収額や総工費などはまだ示していない。不透明さを積み残したまま、前例のないスピードで進んでいる。 防衛省は2023年1月、環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる「評価書」を公告し、基地本体に即日着工した。評価書によると、着工2年目(24年)は工事資材搬入の「ゲート」となる仮設桟橋が3月ごろ、2本の滑走路は9月ごろにも工事完了の工程を示している。 基地完成後は、米軍が求める空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の恒常的な訓練地となるほか、陸海空の自衛隊部隊も頻繁に活動する。中国軍が進出を強める地域でプレゼンス(存在感)を高める狙いもあり、政府が「かつてない防衛力強化」にかじを切る中で、機能強化を懸念する声は根強い。 ― 引用終わり ―
2024年03月04日
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「H3」ロケットは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発している次世代の大型基幹ロケット。 現在運用中のH-IIAロケットの後継機として開発されている。 年6機程度を安定して打ち上げることで産業基盤を維持することを目指しているため、政府だけでなく民間の商業衛星の受注を不可欠としてる。 H3ロケットは商業利用に応えるロケットとして、柔軟性(High flexibility)・高信頼性(High reliability)・低価格(High cost performance)の3つの要素の実現を目指している。 「H3」は、高い打ち上げ成功率を誇るH-IIAでは高コストのために十分には成し遂げられていない商用化を目指し、1回あたりの打ち上げコストをH-IIAと比べて半分の約50億円に減らすことを目標としている。 「低価格」実現のため、宇宙専用の部品ではなく優れた民生品を活用するとともに、生産方法も工業製品のようなライン生産に近づけることをすすめている。 抜本的な打ち上げ費用の削減のため、日本では初めて、機体の設計・開発段階から民間企業(三菱重工)が主体的役割を果たしている。 2020年度の試験機1号機打ち上げを目指して開発が進められていたが、2020年5月に行われた燃焼試験で新開発のLE-9エンジンに技術的課題が見付かり、2020年9月に2021年度中の打ち上げ予定へと延期された。 2022年1月に打ち上げ予定の時期は明言できないと再延期された。 2023年年3月7日、「H3」初号機の打ち上げ行われたが、2段目のエンジンが着火せず打ち上げに失敗した。 2段目のエンジンが着火しなかった原因は、着火の電気回路に短絡が生じて過電流が流れたとする見解が示された。短絡の原因は3つのシナリオに絞り込まれ、その3つのシナリオの全てに再発防止策を施して試験機2号機を打ち上げることになった。 「H3」2号機は17日午前9時22分すぎ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。 2号機は補助ロケットや1段目のエンジンを切り離しながら上昇を続け、午前9時40分ごろ、ロケットの2段目のエンジンの燃焼が停止し目標の軌道に到達した。 その後、搭載した2つの超小型衛星を切り離して軌道に投入したほか、アルミ製の模擬衛星の分離動作も確認するなど計画通りに飛行し、打ち上げに成功した。 H3ロケット2号機打ち上げ成功、衛星も分離1年で挽回白木真紀2024年2月17日 ロイター 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前、日本の新型主力ロケット「H3」2号機を打ち上げ、所定の軌道投入に成功した。世界の宇宙開発競が厳しさを増す中、H3は当初の開発計画から大幅に遅れており、打ち上げの成功数や価格で米スペースX社に大きく先行されている。日本は1号機の失敗から1年で挽回、巻き返しを図りたい考え。 H3は午前9時22分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、1号機で失敗した2段目エンジンが正常に着火して燃焼。搭載したロケット性能確認用の模擬衛星と超小型衛星2基も分離した。 … (略) … 会見に同席した三菱重工の江口雅之執行役員は、「造り始めたばかりなのでコストダウンは目標に達していない。10号機か15号機くらいで競争力が出るような形に持っていきたい」と述べ、「円安の追い風も受けて国際競争力のある製品にしていきたい」と語った。 ― 引用終わり ― ライバルと目される米国・スペースX社は、2022年は61回、2023年は96回の打ち上げに成功している。
2024年02月21日
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第二次世界大戦中、フェルディナント・ポルシェ博士は、タイガー戦車を試作するにあたり、ガソリンエンジンで発電し、モーターで駆動するハイブリッド方式を選択した。当時の技術では重戦車のトランスミッションの強度、耐久性がネックとなったためとされる。 競合施策で不採用となったが、ポルシェ博士は採用を確信しており、合否を待たずして量産発注に入っていた。 生産済みの車体装甲板が相当数あったため。これらの車体を突撃砲に改造して、90輌のティーガー(P)戦車駆逐車(フェルディナント)が生産された。フェルディナント重駆逐戦車を運用した部隊は、ギアチェンジが無用であったため操縦性の評価は悪くなく、また変速機に関するトラブルが少なくなったと報告されている。 下記は、現代の米陸軍が戦闘車両のハイブリッド化を目論んでいるとの記事。 メリットは大きな電力需要に対応可能なことと、静粛性の向上。 米軍が「戦闘車両のハイブリッド化」に本腰 “驚異的な燃料代”削減だけじゃない目論見…EVは?乗りものニュース / 2023年12月17日 アメリカ陸軍が主力の装輪装甲車「ストライカー」を“ハイブリッド電気駆動”にしようと動き始めました。ただ、なぜEVではなくハイブリッドなのでしょうか。また、防衛省および自衛隊の動向についても探ります。 アメリカ軍で進むハイブリッド化の動き アメリカ軍が軍用車両の駆動方式の“ハイブリッド化”に強い関心を持っています。過去に行った第5世代戦車の研究でも、その能力の一つにハイブリッド電気駆動方式を挙げていたほどで、実際、2022年10月にゼネラル・ダイナミクス(GD)社が発表した次世代戦車の技術実証車「エイブラムスX」も、ハイブリッド機関を搭載していました。 そのようななか、2023年11月、アメリカ陸軍は主力の装輪装甲車「ストライカー」のハイブリッド電気駆動に関して、防衛関連企業に向けて情報の提供を求めました。なぜいま、戦闘車両のハイブリッド化に着目しているのでしょうか。 今回、アメリカ陸軍はストライカー装甲車のハイブリッド化を進めるにあたり、その機能について「電力を生み出し、蓄電し、そして外部の機械に提供できること。電力需要の大きなシステムを支援するため、12ボルトDC、28ボルトDC、高電圧DC、および110ボルトAC、220ボルトACなど、多様な規格で電力を提供できること」と説明しています。 近年、戦闘車両の装備品はハイテク化が進んでいます。それに伴い、さまざまな電子機器・電気製品を搭載するようになりました。たとえば、ドローンの迎撃手段として注目されている高出力レーザーは大きな電力を必要とします。小型化が進んでいる電子戦機材も同様です。 また、対戦車ミサイルなどから車体を防護するため戦車などに搭載されるアクティブ防護装置は、センサーや制御システムを動かし続けるため、やはり大きな電力を必要とします。このように、戦場における電力需要が今後高まることが予想されることから、それがハイブリッド化を推進する大きな理由になっているといえるでしょう。 加えて、ハイブリッド化で期待されているのが静粛性です。身近な例でも、ハイブリッド乗用車は従来のガソリン車やディーゼル車と比べてとても静かな駆動音です。ストライカーのハイブリッド化にあたって陸軍は「バッテリー駆動により、サイレント・ウォッチ(静粛監視)およびサイレント・モビリティ(静粛機動)を実現する」と解説しており、偵察・監視や移動時の隠密性に期待しているようです。 あわせて、ハイブリッドの強みである低速かつ大トルクによる機動性・加速性の向上など、既存車両を上回る性能が求められています。 アメリカ軍の燃料代はなんと年間1兆円 アメリカ軍がハイブリッド化を推進するもう一つの要因と言えるのが、燃料消費量の削減です。 実は、アメリカ軍による石油燃料の消費量は世界一だと言われています。どれだけ膨大かというと、年間40億ガロン(150億リットル)を消費し、燃料代だけで90億ドル(約1兆3500億円)にものぼるのだとか。なお、1個機甲師団を動かすためには、50万ガロン(190万リットル)の燃料が必要だとされています。そのため、前進する部隊に追随する補給部隊にはかなりの負担がかかりますし、その長く伸びた補給線は、大きな“弱点”にもなり得ます。 さらに近年では、兵站面や金銭面の問題だけでなく、地球環境に与える影響も懸念されています。これだけの石油燃料を消費するアメリカ軍は、二酸化炭素排出量でも世界一です。アメリカは2030年までに二酸化炭素の排出量について40%削減を掲げており、こうした国家政策を実現する意味でも、最大の排出元であるアメリカ軍に対策が迫られていると言えるでしょう。 ― 引用終わり ― 燃料の大量消費は費用の問題もあるが、ロジスティクスの問題でもある。戦闘の最前線省資源化は大事だ。 航続距離が短く、充電時間が長いことがネックとして完全EV化は検討されていないとのこと。 兵器など作らない、持たないことが低炭素化の早道。
2024年01月23日
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2023年12月4日、韓国防衛事業庁は大型輸送機二次事業においてC-390を選定したと発表した。大型輸送機第2次事業の期間は2026年までで、事業費は7100億ウォン(現在のレートで約800億円。以下同じ)。2010年の第1次事業では米国ロッキード・マーチン社のC130Jが選定され4機が配備された。1次事業と2次事業で別の機種になるのは異例。 エンブラエル C-390はエンブラエル社が開発したターボファンエンジン双発中型軍用空中給油/輸送機。高翼配置で胴体後部にランプ式の貨物搭載口を有する。 エンブラエル社製で最も重い機体で、最大離陸重量81.0t、最大積載量26t。機体のサイズは21.7トン積載のC-130 ハーキュリーズとほぼ同規模、貨物室の容積はやや広い。 エンジンはインターナショナル・エアロ・エンジンズの2軸式の高バイパス比ターボファンV2500-E5。V2500はエアバスA320ファミリーが使用している。 初飛行は2015年2月3日。 2012年4月、ボーイングとエンブラエルはKC-390の事業で幅広く提携する事に合意した。 欧米の傑作輸送機が敗北! エンブラエル製ジェット輸送機「C-390」韓国が採用アジアでは初乗りものニュース 2023年12月5日 C-130JやA400Mを退けての導入だそう。 韓国は7か国目の採用 ブラジルの航空機メーカー、エンブラエルは2023年12月4日、同社が開発・生産するC-390ジェット輸送機が韓国に採用されたと発表しました。 韓国防衛事業庁によると、今回の採用結果は、LTA(Large Transport Aircraft:大型輸送機)IIプログラムの選定によるものとのこと。LTAIIプログラムには、アメリカのロッキード・マーチン製C-130Jと、ヨーロッパのエアバス製A400Mもトライアルに参加しており、エンブラエル製C-390はこの2機種と競り合い、勝った形です。 C-390は最大離陸重量81.0t、最大積載量26tの双発ジェット輸送機です。初飛行は2015年2月で、母国ブラジル以外にポルトガルやハンガリー、オランダ、オーストリア、チェコも採用を決めています。 なお、導入機数は不明ですが、契約内容には要員への教育訓練や地上支援機器、スペアパーツなどの各種支援が含まれているほか、韓国企業が製造する大量のC-390用部品や、同じく韓国が独自に行うMRO(保守・修理・オーバーホール)支援体制の確立なども入っているとしています。 ― 引用終わり ― エンブラエルのコンソーシアムには韓国企業3社が参加しており国内事業者の参加度が評価された。パーツ製造など韓国国内の防衛関連企業が参加する物量の価値は1億3500万ドル(約199億円)と評価された。
2024年01月22日
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陸自は塹壕掘って、匍匐前進できて初めて一人前なのだろう。世界観の転換を進めないと時代遅れの非効率な組織と化す。 衛星から情報を取得し、ドローンなどを活用して効果的な戦術を活かす体質となれるか、とても心配だ。統合的な作戦展開と 国防優先の右翼的な評論家桜林氏でさえ、自衛隊の頭の切り替わりの遅さにいら立っているようだ。 回顧2023自衛隊で専門知識活かす〝適材適所の採用〟が必要深刻な目指す人の減少と辞職の増加穴を掘ってばかり…配置めぐり失望もzakzak by夕刊フジ 2023年12月26日 防衛問題研究家 桜林美佐氏 まず、11月29日に米空軍の8人を乗せたCV22オスプレイが鹿児島県・屋久島沖で墜落した事故に対し、心より哀悼の意を表します。 日本国内からは相変わらず批判的な声ばかりです。8人のうち2人は沖縄の嘉手納基地、6人は東京の横田基地所属でした。感謝祭(11月23日)が終わり、12月に入ると、どこの基地でもクリスマスツリーの点灯式が行われ、軍楽隊の演奏と子供たちの声が飾り付けられた大きなツリーを囲みます。 愛する人を失い、どんな気持ちでこの時期を過ごしているのか、異国の地でどれだけ不安の中にいるか、受入れ国としてはそうした家族の心情をおもんばかり、最大の協力こそすべきではないのでしょうか。 … (略) … 自衛隊については、「抜本的防衛力強化」を着々と進める途上にありますが、その一方で円安や物価高で予定していた調達ができなくなっているなど、ブレーキがかかる状況も生じています。計画の実効性について、しっかり見る必要があります。 深刻な問題は、自衛官を目指す人が減り続け、辞めていく人が多いという事実です。辞める理由としては「自身のしたいことができない」というものも多くあります。予備自衛官も同様で、サイバー分野に長けた人が穴を掘ってばかりとか、「専門知識を持っているのに活かされない」といった配置で失望させ、人材をみすみす失っている事例も少なくありません。 確かに、組織の性質上、「雑巾がけ」的な修行期間を経て心身を鍛える利点はあると思います。だが、このままでは鍛える相手もいなくなってしまいます。処遇改善と同時に、適材適所の「ジョブ型」採用が必要な時代になっているのかもしれません。 また、自衛隊のあらゆる物品の「備蓄」も、そろそろ着手するときになっていると思います。維持コストや予算制度の変更など、容易ではないと思いますが、新しい装備が入っても古い物を廃棄せずに保管しておくことは、輸出の可能性も残し、それによる諸外国との関係構築にも資することでしょう。 ― 引用終わり ― 将、将校も技術志向が強い航空自衛隊、海上自衛隊は、塹壕掘りの陸上自衛隊と風土が違う。 技術の高度化、日本の少子化の構造は納得できないのかもしれない。 あるいは、必要となる新たな人材の確保に躍起となっているのかもしれない。 海上自衛隊は大型艦艇を政府・自民党から押し付けられて要員確保に困っていることだろう。 情報統合、自動化を進めれば必要な船乗りの資質はITに強い人材の要求が高まる。そのようなインドア派の要素が多そうな人材を長期間海上・海中で活用しなければならない。 中国の海洋進出が活発な現在、陸上自衛隊との連携、海洋に囲まれた日本の国境警備隊である海上保安庁との連携も喫緊の課題。 航空自衛隊は米国から強い要請のある宇宙を新たなテリトリーとすることで、とまどっているか、走りながら考えるという昭和スタイルの冒険にチャレンジしていることだろう。自衛隊は大陸間弾道弾を保有しておらず、機材も経験も資金もない。 ウクライナの戦訓を含め、新たに学ぶべきことはあまりに多く、防衛方針について検討の方向性を絞るにも知見はあまりにも不足している。 「航空宇宙自衛隊」に改称する空自都心の超高層ビルにオフィス…民間企業・JAXAと連携読売新聞 2023年12月25日 空の防衛を担ってきた航空自衛隊が2027年度までに「航空宇宙自衛隊」に名前を変える。人工衛星が周回する宇宙空間を空自が守る領域だとはっきり示すためだ。民間企業や宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)と連携を加速しているが、人材の育成など課題も多い。(溝田拓士、川畑仁志) ■虎ノ門にオフィス 東京・港区のオフィス街にそびえる超高層ビル「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」の15階。多様なスタートアップ(新興企業)や団体と共同利用するフロアの一角に10月、空自が「宇宙協力オフィス」を開設した。隊員2〜3人が常駐し、企業関係者とざっくばらんに意見交換しながら情報を集める。 フロアはカフェのように洗練された空間で、隊員は迷彩服や制服ではなく、ラフな格好をしている。厳重に警備された東京・市ヶ谷の防衛省とは対照的に、ふらりと訪れてもらえる雰囲気を作っている。「気楽に話し合えればイノベーティブ(革新的)な議論になりやすい」。担当の南賢司1佐はそう狙いを話す。賃料は半年で1320万円という。 空自が企業との意見交換を重視するのは、宇宙で使われる技術の大半は、例えばロケットや全地球測位システム(GPS)のように、軍事と民生の両方で活用されているからだ。11月末までに50回以上の会合を開き、スペースデブリ(宇宙ごみ)の発生を抑える技術や、宇宙で溶接作業をする手法などのアイデアが寄せられたという。オフィスを拠点に情報を集め、装備品の導入や防衛政策に反映させたい考えだ。 ■「キラー衛星」 「情報収集・監視・通信など、宇宙空間の利用は戦略的に極めて重要だ」 岸田首相は11月、空自入間基地(埼玉県)で開かれた航空観閲式でそう強調し、「自衛隊の宇宙作戦能力を強化し、令和った。1954年総体の陸海空3自衛隊で名前が変わるのは初となる。た。1954年総体の陸海空3自衛隊で名前が変わるのは初となる。 人工衛星は、敵の偵察や部隊間の通信に活用されており、現代の軍事作戦に不可欠だ。自衛隊も例外ではないが、中国やロシアは衛星を攻撃する「キラー衛星」の開発を進めている。 秒速8キロで地球の軌道上を動く宇宙ごみも、衛星に衝突すれば被害を与える。10センチ以上の物だけで2万個以上あると推定される。 こうした脅威を監視するため、空自は22年3月に約70人体制で「宇宙作戦群」を創設。今年3月には「宇宙領域把握」を始めた。宇宙ごみや、衛星への妨害行為が疑われる動きを把握することが任務で、JAXAには毎日約100件の情報を提供している。 ■課題は人材育成 宇宙を監視する能力の強化は始まったばかりだ。空自トップの内倉浩昭・空幕長は21日の定例記者会見で、今後の課題として真っ先に人材育成を挙げた。 宇宙作戦群は今年度末に200人体制となる。来年度末までには320人規模に増員する予定だ。技術は急速に進化しており、高度な専門知識を備える隊員の確保は不可欠となる。 内倉空幕長は「航空領域における任務の効率化を図りながら、人材を宇宙領域に振り向ける。もっともっとスピードアップしなければ」と語った。 ― 引用終わり ―
2024年01月21日
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2023年7月18日、米・ロッキード・マーチンが発表した第2・四半期決算は、1株当たり純利益と純売上高がいずれも市場予想を上回った。ウクライナでの戦争などで兵器装備の需要が高まっているとして、通期の利益と売上高の見通しを引き上げた。 米・ボーイングの2022年の年間決算は787型機の品質をめぐる問題に加えて防衛関連の事業でコストが増加したことなどから2019年から4年連続の最終赤字となりました。 米・ボーイングは2023年1月、2022年の受注が前年比約6割増の774機だったと発表した。これは2018年以来の高水準。 7月26日、ボーイングは2023年第2四半期の業績を発表した。売上高は198億ドルで、 1株当たりの損失(GAAP)は25セント。民間航空機の納入機数は増加したものの、防衛・宇宙部門で損失を計上した。民間航空機の受注残は4,800機超。737MAXの月産レートを38機に引き上げ、787も月産4機に引き上げる。 欧州エアバスは業績低下、軍需もなく従業員の2%に相当する750人の削減を目指す。 エアバスが750人削減へ防衛・宇宙部門再編の一環ロイター / 2023年11月13日 欧州航空機大手エアバスは、従業員の2%に相当する750人の削減を目指している。8日に発表した防衛・宇宙事業再編の一環。労組関係者が明らかにした。 現在のところ強制的な人員削減には至らないとみられ、主に今後2年にわたる退職など自然減と採用減を通じて目標を達成するという。 エアバス広報担当はロイターの取材に対して削減計画を認めた。 エアバスの2022年末時点の従業員数は3万4330人。同社は8日発表の四半期決算で防衛・宇宙部門の衛星開発に絡み3億ユーロの費用を計上した。 エアバスはまた2つの戦闘機事業を1つに統合するとのロイターの報道も確認した。 ー 引用終わり ー 航空機エンジン製造の英・ロールスロイスは事業改革で最大2500人削減を削減する。 英ロールス・ロイス、最大2500人削減事業効率化ロイター 2023年10月17日 16時26分 英航空機エンジン大手ロールス・ロイスは最大2500人の人員を削減すると発表した。 トゥファン・アーギンビルギッチ最高経営責任者(CEO)が推進する事業効率化の一環。 同社は過去10年で複数の事業再構築を実施。2020年には新型コロナウイルス流行の影響を乗り切るため、9000人を削減している。 アーギンビルギッチ氏は今年1月にCEOに就任。改革をさらに進める意向を示していた。 今回の合理化計画では、全従業員4万2000人のうち最大2500人を削減する。エンジニアリング・テクノロジー部門と安全部門を統合し、この一環でグラツィア・ビッタディーニ最高技術責任者(CTO)が来年4月に辞任する。 コスト削減のため、調達とサプライチェーンの管理も改善する ー 引用終わり ー 民間航空機について4,800機超の銃注残を抱え、737MAXシリーズの月産レートを引き上げる予定だったボーイングは、737MAX9の機体事故を受け株価が下落。 ボーイングは赤字から浮上できるか暗雲が漂っている。 ボーイング株急落、一時9%超安小型機破損事故を受け共同通信 2024年1月9日 11時3分 米航空機大手ボーイング製の小型機737―9(MAXシリーズ)の窓が離陸後に吹き飛んだ事故を受け、同社の株価は8日の取引時間中、前週末と比べて一時、9%超急落した。連邦航空局(FAA)は事故機と同じ機体の一部について運航停止を命じており、影響が長引けばボーイングの経営に打撃となる可能性がある。 ボーイングの8日の終値は前週末比約8%安だった。同社は2023年7~9月期、民間機の品質問題などを背景に16億3800万ドル(約2400億円)の赤字を計上。赤字は5四半期連続で厳しい経営が続く。 ― 引用終わり ― 日本・三菱航空機は、2023年2月、三菱重工がMitsubishi Spacejetの開発中止を発表。三菱航空機について今後清算する方針と伝えられた。 4月25日付で商号を「MSJ資産管理株式会社」に変更。 6月30日、MRJミュージアムを閉館。 三菱重工は防衛事業で、日英伊による次期戦闘機共同開発に参画する。MSJの開発人員を防衛に配置転換し、飛行試験や空力制御などの知見を生かす計画だ。 2022年、三菱重工はボーイングと航空機のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けて覚書を結んだ。持続可能な航空燃料(SAF)、水素、電動化など脱炭素の新分野で協業するとのことだが、ボーイングの旗色が悪い。 三菱重工は夢から覚めて地道に現実と闘うのだろう。 MRJついに公開!「世界市場の半分を取る」三菱航空機トップが語る世界戦略渡辺 清治 : 東洋経済 記者2014/10/19 東洋経済オンライン三菱重工業は10月18日、愛知県の小牧南工場で小型ジェット旅客機「MRJ」のロールアウト(完成披露)式典を開き、飛行試験用の初号機を初めて公開した。目標とする2017年の納入開始に向け、来年6月までに同機を使った飛行試験を開始する。MRJは三菱重工が傘下の三菱航空機を通じて開発を進めている、70~90席クラスの地域路線用旅客機。かつて国家プロジェクトとして開発されたプロペラ機の「YS-11」(1962年初飛行、1973年に製造終了)以来、半世紀ぶりに誕生する国産の旅客機だ。三菱重工は2008年にMRJの開発へ正式着手。3度もスケジュール変更を強いられるなど開発作業は難航してきたが、ようやく試験用の初号機完成までこぎ着けた。東洋経済オンラインでは、2回にわけてキーマンのインタビューを掲載する。第1回は、MRJの開発・販売などを担う三菱航空機の川井昭陽社長。今後の開発作業やライバルとの受注競争などについて聞いた。 開発作業はこれからが正念場――飛行試験用の初号機がようやく完成しました。 三菱重工業がMRJの開発着手を正式に決め、三菱航空機を立ち上げたのが今から6年前。影も形もなかったところから、何とか機体を皆さんにお披露目するところまでは来た。非常に感慨深いものがある。ただし、開発作業はまだ道半ば。登山に例えると6合目をようやく越えたあたりで、ここから先が本当の正念場だ。 来年4~6月に予定している初飛行(飛行試験開始)が次の大きな節目になる。皆さんにお見せしたのは、そのための初号機。必要な機器を取り付け、内部の配線も済ませているが、それですぐに飛ばせるわけではない。これからアビオニクス(航空電子機器)や油圧といった各機器、エンジンの動作チェックなど入念な準備をやって、しっかり安全性を確認したうえで、飛行試験のフェーズに入る。 ― 引用終わり ―
2024年01月13日
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2023年7月の外務省欧州局政策課の資料『北大西洋条約機構(NATO)について』の中でNATOの概要として以下の点で挙げられている。 ☆ 我が国と基本的価値を共有する欧米諸国をメンバーとする集団防衛組織■ NATO加盟国軍隊の合計 約331万人(2022年推計値)■ NATO加盟国の国防費総額 約1兆510億米ドル(2022年推計値)■ 治安維持支援・能力構築支援等、周辺地域の安全保障に関与する組織■ コソボでの治安維持活動(KFOR)、地中海でのシーガーディアン作戦、アフリカでの能力構築支援等を実施。アフガニスタンでは「国際治安支援部隊(ISAF)」(2003-2014)及び「確固たる支援(RSM) 」(2015-2021)を実施も、2021年9月初旬に同国から撤退。■ 2019年12月の首脳会合でNATOとして初めて中国に言及。2022年6月に採択されたNATOの新「戦略概念」に中国を初めて記載するなど、対中認識を強化。■ 対中認識の高まりも受けて、日本を含むアジア太平洋パートナーとの対話・協力拡大を継続 2022年6月のNATO首脳会合には、岸田総理大臣が日本の総理大臣として初めてNATO首脳会合に出席。 ☆ 海洋安全保障、サイバー防衛などグローバルな課題にも対応する組織■ 海洋安全保障:危機管理任務「シー・ガーディアン作戦」■ NATOサイバー防衛協力センター(エストニア):CyCon(年次国際会議) 中国が海洋進出を強めており、日本は日米同盟の他に、オーカス(AUKUS)をに日本を加えてジョーカス(JAUKUS)とするとともにNATOとの連携で集団的安全保障の枠組みをより強固にする姿勢だ。 中国の出方次第で、NATOは洋の東西を問わない集団安全保障体制に変身するのだろうか。 米NATO大使 対日連携拡充に意欲宇宙やサイバー 東京事務所「進展なし」産経ニュース 2023年12月12日 米国のスミス北大西洋条約機構(NATO)大使は12日、都内でエマニュエル米大使と記者会見した。スミス氏は、NATOが日本との連携強化に向け「協議すべきことが非常に多くある」と述べ、宇宙やサイバーなどの協力分野の拡充に意欲を示した。NATOが検討する東京事務所の開設計画については「(共有できる)新たな進展はない」と述べるにとどめた。 NATOはインド太平洋地域への関与拡大を進めており、スミス氏は英伊やオランダなど8カ国のNATO大使代表団として日韓を訪問中。日本などの同志国と「サイバーセキュリティーや海洋安全保障、偽情報対策などで(連携強化の)仕事が進んでいる」と話した。 エマニュエル氏は中国を念頭に「インド太平洋で自国の要望を通すための粗野な力の行使を許さない」とし、NATOの関与が抑止力につながると歓迎した。 東京にNATO連絡事務所を新設する計画を巡り、スミス氏は今回の訪問では話し合う事項と位置付けていないと説明した。 計画にはフランスが反対しているが、NATOのストルテンベルグ事務総長は今年7月、「なお検討の対象だ」と述べていた。 スミス氏は「連絡事務所は世界のパートナーと関係を強化する上で良いモデルだ」とも話した。ただ日本での新設は、加盟国による全体討議を通じて決めるべきことだと指摘した。 NATOは来年7月に米首都ワシントンで結成75周年を記念する首脳会議を開く予定で、スミス氏は日本の参加に期待を示した。 ― 引用終わり ― スパイ防止法のない日本は諜報活動がしやすいので、事務所を置くには適地だ。 NATOの東京事務所が設置されたなら、中国は日本にたいして「内政干渉」することだろう。
2024年01月12日
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米国主力ステルス戦闘機のF-22、F-35は第5世代戦闘機とされる。もれ伝わるところでは、第5世代戦闘機を検討するにあたり、米国での最大の論点は「有人にするか、無人にするか」であったと聞く。 ロシアーウクライナ戦争により様々の分野で無人兵器の有効性が立証された。 米・国務省、空軍の無人派は、いっそう勢いがついたと思われる。 無人戦闘機の主なメリット・空戦機動でパイロットの肉体的負担を考慮しなくて良い。 9Gを超える機動が可能になる・人が乗らない分小型化できる・パイロットの視野確保を考慮しない機体設計ができる・パイロットの被弾を考慮しない構造を採用できる・墜落時などのパイロットの緊急脱出装置が不要となる・パイロットの交替を必要としない作戦が立案できる 無人戦闘機の主なデメリット・コストが高くなる→調達機数が減る 第5世代戦闘機でも十分高額であるが、それを超えて高くなる・ハッキングされたら敵に奪われる 現在米軍では、CCA(Collaborative Combat Aircraft=有人戦闘機とともに戦う無人戦闘機)が開発中だという。 これがAI搭載の無人戦闘機となれば、自律性が確保される。 米空軍長官も“宣戦布告”。米中が火花を散らす「AI搭載無人戦闘機開発」の現在地。“周回遅れ”の日本は中国の領空侵犯にどう立ち向かうのか?集英社オンライン 2023年12月1日 ウクライナ戦争やガザ紛争などで軍事用ドローンが数多く投入されているなか、米空軍のケンドール長官から「AI搭載の無人戦闘機開発」に意欲を燃やす、かなり踏み込んだ発言が飛び出した。米中が火花を散らすこのステージで、完全に周回遅れ状態の日本はどう対処していくのか? 無人戦闘機の開発が進むアメリカ 「開発中の次世代戦闘機とF-35ステルス戦闘機、B-21新爆撃機を購入するだけでは空軍を維持できない。少なくとも1000機規模の戦闘機を手頃な価格で購入し、配備することが必要だ。CCA(Collaborative Combat Aircraft=有人戦闘機とともに戦う無人戦闘機)はそのために設計された」 ワシントンDCの「新アメリカ安全保障センター」で、米空軍のフランク・ケンドール長官がこう語ったと米軍事専門ニュースサイト「ザ・ウォーゾーン」が報じたのは11月13日のこと。 この長官発言は近い将来の米空軍のあるべき姿の“一里塚”を明確に示したものと言っても過言ではないだろう。ケンドール長官のCCAに関する主要な発言は以下のとおりだ。⦁ 現在、ロッキード・マーチン社製の改造されたAI搭載F-16(パイロットなし)を使った自律性開発と、ボーイングが進める同じくAI搭載のMQ-28ゴーストバットなどで有人機との運用をテスト実験中である。⦁ CCAは5年以内にできるだけ早く生産する。計画は1000機だが、それ以上になる可能性が非常に高い。⦁ 予想コストはF-35戦闘機(A型からC型まで約85〜110億円)の「4分の1から3分の1」程度になる。⦁ 有人戦闘機の前方もしくは随伴して飛行するため、作戦に合った航続距離とペイロード能力を持つドローンとなる。⦁CCAは現在の戦闘機が搭載するシステムをフル装備するわけではない。ある機体は武器を搭載し、ある機体は偵察や索敵のセンサーなどの他のシステムを搭載する。 これまで米空軍幹部がCCAのコストや生産機数までを具体的に言及したことはなかった。すでにウクライナ戦争やガザ紛争などでドローンが数多く投入されているとはいえ、さらに一歩進んで、有人機とともに戦うAI搭載の無人戦闘機開発に意欲を燃やすケンドール長官の発言を聞き、SFではない現実味を感じるのは私だけだろうか? 近い将来、「無人機空母」も登場か 無人機だけではない。近い将来、「無人機空母」も登場しそうだ。洋上で揺れる空母に短い距離で発着艦するのは一番の難関だ。先ごろ、インドやトルコが無人機を空母や揚陸艦で運用する計画を公表したが、無人機開発で世界の最先端を行くアメリカが遅れを取るはずがない。 11月17日には米東海岸での実験で、イギリス海軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」から軍用無人機「モハベ」を見事に発着艦させ、いち早く実用化への目途をつけたのだ。 「モハベ」は米国ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)が開発した短距離離着陸(STOL)機能を持ち、F-35Bよりも大型で武器搭載量も多い。アメリカに続き、イギリスでも空母に搭載する予定のF-35B飛行隊の一部を無人機で代用する動きが出ているというニュースもある。 前出のMQ-28ゴーストバットも一部報道によれば、英海軍空母向けにアピールしているという。同機はボーイングがオーストラリアと共同で開発した機体で、従来の無人機と異なって有人戦闘機と連携した作戦を行う性能を持つ。 今年3月にオーストラリアで実際に同機を取材したある軍事アナリストが言う。 「ゴーストバットは単なる無人航空機ではありません。AIを搭載し、機体先端部分を任務に応じて機器を交換できるモジュラーミッション・パッケージシステムを採用しており、偵察にも攻撃にも使えるCCAです。他の先進国の空軍がめざす無人機と有人機が連携して戦う次世代の航空戦に沿った兵器と言えるでしょう。」 … (略) … 完全に「周回遅れ」な日本の無人機開発 一方、わが日本はCCAの前段階となる無人機ドローンの開発でさえ、難航する始末だ。たとえば、2000年代には富士重工(現SUBARU)が偵察任務と火砲の着弾観測用として開発した「遠隔操縦観測システム」(FFOS&FFRS)を備えた無人機が部隊配備された。 ただ、これはひと言で言うと、大型ラジコンヘリのようなもので、その名が示すとおり30名以上の要員と6台もの管制車両が必要など、部隊展開の迅速性に欠けるという課題を抱えていた。 … (略) … 前出の軍事アナリストがこうため息をつく。 「わが国では第1段階の無人機(ドローン)の導入が始まったばかり。ましてや、AIを搭載したCCAとなると、まだまだ構想の段階にすぎない。世界の最先端レベルと比べると、その技術開発は一周も二周も遅れていると言わざるをえません」 ― 引用終わり ― 今のところビッグデータを活かしたAI裁判官の判決に従う国、国家元首はなさそうだ。 Ai万能と思われていないことの証左と考えるが、武力紛争の局面に限ればAIに任せられるとなるだろうか。 暴力をもって戦わねば気が済まない人類に、ロボットVSロボットの戦争が近づいているのだろうか? 兵器が自立した時、兵器は必ずヒトの言うことを聞き入れるのだろうか?
2024年01月02日
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2023年10月下旬、ロシアはS-400地対空ミサイルなどの防空システムをウクライナとの戦闘で立て続けに喪失。 11月10日、英・国防省はロシア軍が防空システムを相次いで失っており、ウクライナの占領地上空を守備するためには、ロシア国内の遠隔地に配備されている防空システムを転用しなければならない可能性が高いと発表した。 11月26日、英・国防省は、ロシアがウクライナ戦線での損失を補うため、防空システムをバルト海沿岸にある飛び地・カリーニングラードから移動させた可能性が高いと発表した。 不足する防空システムを補う目的もあるのか、高高度偵察機M-55「ジオフィジカ」が復帰する可能性があると英・国防省が発表した。 M-55「ジオフィジカ」高高度偵察機は単発機のM-17から発展した機体。PS-30-V12 ターボファンエンジンを双発化し最大離陸重量を24,000kgに増加をはかった。1988年に初飛行、1994年生産終了。M-55は学術研究の分野で現役で、1機は1996年から1997年にかけて北極の成層圏の研究の一役を担った。 1993年9月21日、M-55が高度21,360m (70,078 ft)に達し、クラス記録を樹立した。M-55は合計15のFAI世界記録を樹立し、その全ては現在も破られていない。 まだ生きてた!? 退役済み「ロシア版U-2」戦場へ復帰の可能性 どこに保管されていたのか乗りものニュース 2023年11月24日不十分な航空偵察を強化か? 高高度偵察機を投入する利点とは? イギリス国防省は2023年11月19日、ロシア軍が旧ソ連時代に開発された高高度偵察機であるM-55「ジオフィジカ」を再稼働させる可能性があると発表しました。 この機体は、アメリカのU-2のように高高度から敵勢力を偵察する高高度偵察機として開発された機体です。イギリス国防省の分析官が、最近のロシア軍の動向を示す写真を確認したところ、現在は、民間で学術研究のために使用されているはずのM-55が、軍用の偵察ポッドをつけていたとのことです。 ロシア軍は現在、ウクライナ側の防空システムを警戒し、作戦での上空からの情報収集・経過監視・偵察(ISR)が不十分な状態にあります。その問題を、同機の高高度偵察により補おうという狙いがあるようです。 同機を偵察用に復帰させてば、ロシア領空内から比較的安全にウクライナの地上目標の状況を知ることができるそうで、イギリス国防省は「ウクライナ上空でのロシアの限られた偵察能力を強化するために、前線に復帰する可能性がある」としています。 ― 引用終わり ― 高高度であればウクライナ軍のドローンを恐れる必要はないだろう。 ロシアは極東からも兵、武器を移動している。中国が弱体化したロシアの足元を見る可能性は高い。 諸 元 乗員:1名 全長×全幅×全高:22.86 m ×37.46 m ×4.8 m 翼面積:131.6 m2 アスペクト比:10.6 空虚重量:13,995 kg 最大離陸重量:24,000 kg 有効積載重量:1,500 Kg エンジン:2 × PS-30-V12 ターボファンエンジン、98 kN 最大速度:750 km/h 巡航高度:21,500 m 航続距離:4,965 km 滞空時間:6時間30分
2023年12月10日
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世界の多くの兵器メーカーが戦後進出を検討していたウクライナに、ドイツ・ラインメタルは手を挙げた。 ウクライナに対してよい感情は持っていないモルドバは、経済的に豊かではないにも関わらず、いち早くウクライナからの難民を多数受け入れた。 東西冷戦で長く境界にあったドイツは。ロシアの侵略戦争に鈍感で、海の向こうの英国は敏感に反応した。 ソ連支配の長い苦渋の歴史が色濃く残る東欧諸国は、ロシアによるウクライナ侵略を自国のことのようにとらえ、自国の防衛力を削ってでもウクライナを支援した。 おそらく経済発展に力を入れ、軍縮を進め続けたメルケル政権のドイツに半ば見切りをつけたのだろう。 ドイツには非戦志向が強い環境派とともに、旧東ドイツの系譜のロシア派、経済重視の中国派が跋扈し、身動きが取れないのだろう。 ラインメタルにとって幸いにも、ウクライナにはソ連時代兵器産業の多くを担ってきたので、兵器産業の基盤もある。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ラインメタル(ドイツ語: Rheinmetall AG)は、ドイツ・デュッセルドルフに本社を置き、軍需・防衛および自動車部品の2つの事業を柱とするエンジニアリング・グループである。フランクフルト証券取引所上場企業(FWB: RHM)。概 要 1889年、ハインリヒ・エアハルト(de:Heinrich Ehrhardt)により「ライン金属製品・機械製造株式会社」(Rheinische Metallwaaren und Maschinenfabrik Aktiengesellschaft)としてデュッセルドルフで創業した[1]。 特に火砲の開発・製造で知られ、同社製滑腔砲の120 mm L44はレオパルト2(西ドイツ後にドイツ連邦共和国)、M1エイブラムス(アメリカ合衆国)、90式戦車(日本)など西側諸国の代表的な第3世代主力戦車の標準装備となっている。 小火器においては、第二次世界大戦の際に開発されたベルト給弾式機関銃MG42の改良型で、非分離式リンクのまま7.62mm NATO弾仕様にしたMG1、後にNATO標準の分離式リンクを使用できるMG3を生産している。このMG3はベルギーのFN MAGと並ぶ西側の代表的な汎用機関銃であり、H&K G3アサルトライフル採用国を中心に採用され、多くの国でライセンス生産されている。 冷戦後、同じドイツのクラウス=マッファイ・ヴェクマン(KMW)等との協業や、海外も含めた企業買収等により積極的にビジネスを拡大。重装甲戦闘車両まで手がける軍需コングロマリットへと成長した。 ― 引用終わり ― ロシア、ウクライナ双方の航空優勢が確立しないウクライナ侵略戦争では、歩兵携行兵器の有効性が再確認され、ドローンの有効性が確認された。 費用対効果が薄く不要とされた、MBT(主力戦車)が拠点を占拠するにあたって有効であることが見直された。攻撃型ヘリコプターにこの役割は果たせない。 古臭い兵器とされた自走対空砲が、対ドローン兵器として脚光を浴びた。 精密射撃兵器としての榴弾砲は、自走式も牽引式もロシアーウクライナ戦争では大活躍した。 戦争が長期化するにつれ、小火器、砲弾の量的重要性も見直された。いつの時代も物量は戦争の決め手の一つだ。 世界各国がこれらの戦訓をもとに自国の防衛体制を見直すと、SDG’sの流れに反して、世界兵器市場は活況を呈することが予測できる。 兵器の生産、輸出入にあたり、比較的制約が少ないのは、紛争当事国や戦争終了直後の国だ。 ロイターの予想に反し、ラインメタルは新天地に一番乗りした。 焦点:西側防衛企業、ウクライナでの武器生産実現は「戦後」かロイター編集2023年6月25日 ロイター 西側の防衛関連企業はウクライナでの武器生産に関心を持っているが、あくまで「戦後」になってからの話だ。ロイターがパリ国際航空ショーで取材した業界幹部6人は、こうした考えを明らかにした。 侵攻してきたロシアを押し返す戦いを続けているウクライナは、ドローンや弾薬から戦車まで、国内における武器生産能力の拡充を渇望している。 19日にはウクライナ政府高官の1人がロイターに、ドイツ、フランス、イタリアおよび東欧諸国の防衛企業とウクライナでの武器生産を協議していると語った。 しかし話を聞いた業界幹部は、現時点ではリスクがあまりに大きいと口をそろえる。 米防衛大手ロッキード・マーチンの航空宇宙事業を率いるグレッグ・ウルマー氏は「より幅広い視野で、置かれている状況や共同生産に伴うリスクを考察しなければならない」と述べ、ウクライナと共同生産事業に関して直接話し合っているとは承知していないと明言した。 別の大手防衛2社はウクライナの取り組みを耳にしていると認めた上で、そのうちの1社は一連の紛争が終結すれば事業提携を議論するという趣意書に署名する準備をしていると付け加えた。 しかし戦争が続いている間に直接投資への意欲を見せた業界幹部はゼロで、彼らが挙げた最大の懸念は安全問題だった。 ― 引用終わり ― 「ゼロ」ではなかった。火砲・兵器の名門・ラインメタルが新たな生産拠点、市場に乗り出した。 兵器産業では自国の軍事政策展開を含め、カントリーリスクはつきものだ。 米国の軍事企業は世界最大の軍事市場である米国を相手にしていれば、企業活動のリスクは最小限で済む。 ウクライナへ工場進出“一番乗り” 独防衛企業ラインメタル 計画の全貌明らかに 日本もこれから縁深く?2023.07.17 竹内 修(軍事ジャーナリスト) ドイツの防衛企業ラインメタルが、ウクライナで合弁企業を設立し、現地で軍用車の製造に乗り出します。他の防衛企業に一歩先んじる同社は、日本では馴染みが薄いですが、今後、関係が深くなる可能性もあります。 ウクライナで製造するのは世界2300両採用の装甲車 ドイツの防衛関連大手ラインメタルが、ウクライナ国営防衛企業ウクロオボロンプロムと合弁企業を設立し、ウクライナ西部で装甲車の製造と修理を行う計画です。両者は2023年5月、ウクライナにおける防衛技術能力の強化に合意し、ラインメタルのアーミン・パッペルガーCEO(最高経営責任者)は7月10日、CNNのインタビューでこれを「12週間以内に操業させる」と明言しました。 さらにパッペルガーCEOは、2024年に各種砲弾の生産数を現状の10万発から、ウクライナの需要見込みの60%を賄える、60万発に増やす方針を表明したほか、ウクロオボロンプロムとの合弁工場で製造される車両も明かしました。ラインメタルが開発した装輪装甲車「フクス」だといいます。 フクスはダイムラーベンツの軍用車両部門が開発した6輪駆動の装甲兵員輸送車で、買収により現在はラインメタルの製品となっています。 ラインメタルは装甲兵員輸送車型のほかレーダー搭載型、電子戦型、指揮通信車型、装甲工兵車型、EOD(爆発物処理)車型、NBC偵察車などの派生型に加えて、発展改良型のフクス2も開発。ドイツ連邦軍やアルジェリア陸軍などに約2300両が採用されており、現在も改良が続けられています。 パッペルガーCEOはどのタイプのフクスをウクライナで製造するかは明らかにしていませんが、ラインメタルがウクライナでの兵器生産に舵を切ったことで、同国での兵器生産を躊躇していた欧米の防衛関連企業が後に続く可能性はあると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。 ドイツと栄枯盛衰をともにしてきたラインメタル ラインメタルは1889年にドイツのデュッセルドルフで創業した老舗企業です。 ドイツは第一次、第二次の両世界大戦に敗れています。ラインメタルは第一次世界大戦の敗戦後、しばらくの間、タイプライターなど民生品の製造で会社を存続させ、その後はドイツの再軍備と共に業容を拡大。1936年に機関車メーカーのボルジッヒを買収し、ドイツを代表する重工業メーカーとなりました。 しかし第二次世界対戦の敗戦後、東ドイツ側の生産施設は同国政府によって国営化されてしまいます。同社は西ドイツに残された施設で再出発を図ったものの、1950年まで一切の商業活動を禁止され、禁止解除後もタイプライターやエレベーターなどの民生品の製造などでしのぐこととなりました。 再び防衛関連事業に進出したのは、西ドイツ国防軍の再軍備が開始された1956年のことで、当初は機関銃などの軽火器や弾薬などを手がけ、1964年からは重火器の開発を再開。ドイツの銃器メーカーのマウザーや、スイスの防衛企業であるエリコンなどを買収して防衛関連事業を強化する一方で、エンジンや排気コントロール装置など自動車部品の製造にも進出しました。現在は防衛部門(ラインメタル・ディフェンス)と自動車部門(ラインメタル・オートモーティブ)を二本の柱とする、世界的なエンジニアリング企業となっています。 ラインメタルが単独で開発したMG3機関銃や、同社がドイツのエンジニアリング企業のクラウス・マッファイ・ヴェクマンらと共同開発した装輪装甲車「ボクサー」などは輸出にも成功し、多くの国の陸軍に採用されています。 陸自とラインメタル 急接近あるかも? 日本との関係はどうでしょうか。陸上自衛隊は防衛装備品を草創期にはアメリカからの供与品で賄い、その後は極力国産化に努めてきたため、ラインメタルとの縁は、90式戦車の主砲であるL44 120mm滑腔砲のライセンス生産のみにとどまってきました。しかし、ラインメタルとは新たな縁が生まれつつあります。 ― 引用終わり ― 日本ではコストが合わず、将来性もない防衛関連事業の維持に各企業が音を上げ、防衛関連事業を返上する企業が相次いでいる。 防衛関連事業は、兵器の高度化もあり、要求が多く、専門性が高く、市場・売上は小さく、開発・製造する組織を維持することは、企業の愛国心だけでは不可能なレベルとなっている。 防衛省は庁から格上げとなったが、優良な将官向けの天下り先は減ることだろう。 兵器の輸入は世界中でよくあることであり、国産化志向が強かった日本の防衛相も、今後は世界のトレンドに合わせていくことだろう。即ち、縁が生まれそうなのは、ラインメタルだけではないということ。 軍人・与党政治家と言えば兵器産業との癒着とセットで考えるべき存在。第二、第三のシーメンス事件、ダグラス・グラマン事件の発生もありそうだ。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 シーメンス事件(シーメンスじけん)は、ドイツのシーメンス商会による日本海軍高官への贈賄事件である。巡洋戦艦「金剛」発注にまつわるイギリスのヴィッカースによる贈賄も絡んで、当時の政界を巻き込む一大疑獄事件に発展した。1914年(大正3年)1月に発覚し同年3月には海軍長老の山本権兵衛を首班とする第1次山本内閣が内閣総辞職にまで追い込まれた。発音によってはジーメンス事件とも呼ぶ。一連の事件の裁判中に第一次世界大戦が勃発し、日本政府はドイツではなくイギリスなど連合国側での参戦を決定した。 ― 引用終わり ― 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ダグラス・グラマン事件(ダグラス・グラマンじけん)とは、1970年代末に発覚した日本とアメリカ合衆国の軍用機売買に関する汚職事件。概 要 1979年1月4日、アメリカ合衆国の証券取引委員会(SEC)は、グラマン社が自社の早期警戒機(E-2C)の売込みのため、代理店の日商岩井(現・双日)を経由して、日本の政府高官らに不正資金を渡していたことを告発した。 これを受けて東京地方検察庁の特別捜査部も捜査を開始、先行するロッキード事件で捜査を指揮した吉永祐介が特捜部長、同事件で重要な証言を得た村田恒が主任検事として捜査に臨んだ。特捜部においては、ロッキード事件の際に軍用機であるP-3Cの疑惑追及を断念し、民間機であるトライスターへの追及に絞ることで田中元首相の検挙という成果を挙げた一方、軍用機を巡る疑惑を棚上げする形になったことが反省されており、村田恒は、今回は軍用機のみを追及できるということで捜査陣の士気は高かった、と回顧している。 ― 引用終わり ―
2023年07月28日
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岡本太郎は「芸術は爆発だ」と言った。精神の内部、魂の爆発的な感動のことを言ったのだろう。 左翼運動の盛んな時期、日本では「過激派」とよばれる運動家のなかに爆弾マニアが現れた。 1970年代、爆弾テロを行った武闘派極左テロ集団の「東アジア反日武装戦線」はその代表的組織。三菱重工爆破事件、連続企業爆破事件等を実行した。 三菱重工爆破事件は、1974年8月30日、三菱重工業東京本社ビル1階出入り口のフラワーポット脇に時限爆弾を仕掛け爆発させた戦後日本最悪の爆弾テロ事件。死者8人(即死5人、病院収容後に死亡3人)。 今回は爆弾の爆発による被害者が出なくて、本当に良かった。 爆発物は「パイプ爆弾」か自作も可能、ネットに情報も 2023年4月15日 産経ニュース 衆院和歌山1区補欠選挙応援で、和歌山市の雑賀崎漁港を訪れた岸田文雄首相の近くに爆発物のようなものが投げ込まれた事件で、現場で爆発した物体は形状などから、手製された「パイプ爆弾」の可能性が浮上している。「素材は容易に入手でき自作も難しくない」と専門家。悪用を防ぐには限界があると指摘する。 銃器評論家の津田哲也氏によると、一般的なパイプ爆弾は、パイプの中に火薬と起爆装置などを詰め込んで密閉。着火とともに内部の圧力が高まり、破裂する仕組みという。 和歌山市の現場での映像を確認した津田氏は、爆発物を覆う金属のようなものが、シルバー色系統だった点に着目。仮に材質が鉄だった場合、破裂の衝撃で多数の負傷者が出てもおかしくないとし、「薄いアルミニウムなどが使われたのではないか」とみている。 パイプ爆弾は1960年代後半から70年代にかけて激化した学生運動や過激派の活動に使用された経緯もあり、特殊な専門的知識がなくても、製作することはできるという。 パイプ爆弾の素材は火薬も含め、一般に広く流通しており、入手はたやすい。自作するための情報もネット上にあふれている。 今回の事件では、投げつけから爆発までに時間差があった。「無線により手元のスイッチなどで発火させたのでは」(津田氏)。おもちゃのラジコンカーなどに使われるリモコンの仕組みを流用すれば、遠隔操作もさほど難しくないとするが、ライターなどで着火した可能性も捨てきれない。 より大きな被害をもたらす意図があれば、火薬量を増やし、パイプ内にくぎや鋲(びょう)を入れることも考えられる。津田氏は「幸いにも今回のケースで負傷者はいなかった。明確な危害意思があったのかは(現時点で)判然としない」と語った。(矢田幸己) ― 引用終り ― 爆発の威力を上げるためには炸薬の量の増大とともに、爆体(容器)が高い圧力に耐えることがポイントとなる。 容器に鉄パイプ、消火器、圧力釜などが使用されることが多いのは、比較的身近にあって密閉度、対圧力が高いためだ。 下記の宇都宮事件は、2016年10月23日に栃木県宇都宮市内の近接した3ヵ所で連続して起こった連続爆発事件を指す。 宇都宮事件爆弾の脅威は身近にある2016/10/26 産経新聞 国内の過激派も手製爆弾によるテロ事件を繰り返してきた。爆体には鉄パイプ、消火器、圧力釜などが使用されてきた。高い密閉度を保持できる容器であれば、なんでも爆体となり得る。 爆薬も一定の知識があれば薬局やホームセンターで購入できる商品から作り出すことができる。市販の花火の火薬を転用することも可能だ。 しかも、かつての三菱重工爆破事件のように「腹腹時計」といった地下出版物に頼らなくても、インターネット上には製造法を記したサイトが無数にある。 警察は、爆薬の原料となり得る尿素など11品目の化学物質を指定し、大量購入などの情報収集に努めているが十分ではない。 ― 引用終り ― オウム真理教の地下鉄サリン事件のとき、TVにでてきた学者・評論家は容易に製造できるというような物言いだった。爆弾についても素人でも知識があれば簡単にできるというコメンテーターもいた。 どちらも誤りか、その危険性を過大視させるための発言であり、理論上は簡単でも、製造、自作は慎重を要する。サリンは揮発性が高く、大量の火薬は静電気で着火することもあり、製造者自身が危険に身をさらすことになるからだ。専門的な知識があっても危険なことに変わりはない。 徴兵制を行っている国々、軍務に服する者が多い国々では、兵器の実務知識を持っている者が多く存在するので、爆発物の製造・取扱いに長けた者も多く存在する。市中の危険性は高いことが想定される。
2023年04月30日
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ウクライナ侵略は長期化している。これは継戦能力に乏しいウクライナ軍を反ロシア国家が支援しているためだ、とロシアのプーチン大統領たちは思っている。航空戦力が乏しいロシア、ウクライナの両軍は、戦線が膠着状態にあり、砲撃戦を繰り返している。米国がウクライナ軍に供与するM777榴弾砲は、その正確性と威力で、ロシア軍の領土侵略を阻止している。当初、米国はM777榴弾砲90門の供与、オーストラリアは6門、カナダは4門を供与した。フランスは装輪式の155mm自走榴弾砲「カエサル」を12両、オランダは装軌式の155mm自走榴弾砲「PzH2000」をウクライナに引き渡した。 2022年12月、ウクライナ軍は米国が1ヶ月の間に製造する155mm榴弾を2日間で使用してしまっている、と米紙ワシントン・ポストが報じた。 2023年3月3日、ウクライナのレズニコフ国防相は、EU27カ国の国防相に宛て、弾薬不足のため本来可能な数の2割しか発射できていないと訴えた。 ウクライナ、ロシア両軍とも砲弾不足が深刻となっている。 米陸軍は155mm砲弾の生産量を朝鮮戦争の水準に戻す2年以内に月産9万発2023.01.25 航空万能論 米陸軍は「2025年までに155mm砲弾の生産量を月4万発に引き上げる」と明かしていたが、ニューヨーク・タイムズ紙は24日「155mm砲弾の生産量を6倍に増やして月産9万発に引き上げる」と報じている。 参考:Pentagon Will Increase Artillery Production Sixfold for Ukraine 2023年は戦い方を工夫する必要があるものの戦いが長引けばウクライナ軍が有利になる可能性も 欧米の砲弾製造企業は榴弾砲や自走砲で使用する155mm砲弾を毎月4万発ほど製造できるのだが、ロシア軍と戦うウクライナ軍は月9万発も消耗しているため欧米諸国は備蓄分を取り崩し続けており、供給量と消費量のギャップを早急に解決しないと備蓄分が空っぽになるか、ウクライナ軍に引き渡す砲弾を現在の半分まで減らす必要がある。出典:Генеральний штаб ЗСУ 米国の155mm砲弾は政府所有の施設を民間企業が運営する形で生産を行い、砲弾本体はジェネラル・ダイナミクスが運営するペンシルバニア州の工場で、砲弾の中に詰める火薬はBAEが運営するテネシー州の工場で、砲弾に火薬を詰める作業はアメリカン・オーディナンスが運営するアイオワ州の工場で、155mm砲弾を発射するための装薬はBAEが運営するバージニア州の工場で作られ、毎月1.5万発を陸軍や海兵隊などに供給しているのだが、米陸軍は生産量を引き上げるために大規模な投資を行う予定だ。 ― 引用終り ― 米軍が砲弾不足を補う手段は、21歳の空軍州兵の手でSNSにのって世界に晒された。 韓国で生産強化し、イスラエルなど海外駐留米軍の備蓄している砲弾を本国に移送している。 ウクライナに送られている兵器の多くは既存の備蓄在庫から引き出されており、これらの兵器の生産ラインは止まったままか、新規受注の急増に対応できない状態にあった。 民主党・バイデン大統領の国内景気刺激策としての武器・弾薬の増産は、選挙が行われる秋に向けて開始されるのだろう。 米機密文書流出 21歳空軍州兵逮捕 “アクセス権限持っていた”2023年4月14日 NHK アメリカ政府の機密文書が流出した問題をめぐり、21歳の空軍州兵が捜査当局に逮捕されました。アメリカのメディアは、この州兵が機密情報を取り扱う国防総省のネットワークにアクセスする権限を持っていたと伝えています。 この問題は、ロシアによるウクライナ侵攻などをめぐるアメリカ政府の機密文書とされる画像がSNS上で拡散したものです。 ― 引用終り ― 4月10日、流出した米国政府の機密文書に、韓国で生産した155mm砲弾などを運送する日程表と推定される文書が含まれていたことが報じられた。 155mm砲弾の韓国から米国への33万発運送推進日程とイスラエルに保管中の米軍戦時備蓄砲弾8万8000発移送日程だ。 ロシアとウクライナはともに旧ソ連規格の口径122mmおよび口径152mmの榴弾を使用しており、その在庫を世界中で探し回ってきた。中国には、ソ連規格と互換性を持つ榴弾がある。 流出文書では、ウクライナ侵略を続けるロシアに対し、中国が殺傷兵器供与を承認したとの情報も注目されている。ロシアへの兵器の供与については、以前からイラン、北朝鮮の名があがっていた。ベラルーシの在庫は底をついたと噂されている。 大量の地球温暖化ガス、炭酸ガス排出し、多くの生命を犠牲にしながら、ロシアのウクライナ侵略戦争は続く。
2023年04月26日
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長引くロシアによる武力侵攻にウクライナ軍の武器弾薬は減っていった。ウクライナ軍は、ロシアから鹵獲した戦車などを使って戦力を効果的に補完した。 最新のロシア戦車であるT-90Aも9両、鹵獲していたことが明らかになっている。 ロシアによるウクライナ侵攻から1年を迎える2023年初頭から、西側諸国による各国製戦車の供与が次々に発表され、各国のウクライナへの支援レベルが新たな段階に入った。 1月初めに英国がウクライナにチャレンジャー2戦車14両の供与すると発表。 1月25日、米国、ドイツ、ポーランドが数十両におよぶM1エイブラムス、レオパルト2などの就役中の戦車をウクライナに供与すると発表。以前からT-72などの旧東側製戦車はNATO加盟国から供与されていたが、現役の供与は初めて。 戦車、戦闘機などの主戦兵器の供与はロシアをさらに刺激するリスクがある、とされてきたがウクライナへの武力侵攻にかかわる国々の流れが大きく変わった。 反転攻勢の準備を整えつつあるウクライナは、単調な攻撃を繰返し将兵、武器弾薬を浪費した、ロシア侵略軍を追い返すことができるだろうか。 様々な兵器で「史上最強」がうたわれるが、戦車戦による現代戦車の実力比べがみられるかもしれない。 ウクライナに欧州の主力戦車集結「戦場に違い生む」―40両超到着領土奪還狙う2023年04月03日 JIJI.COM ロシアの侵攻を受けるウクライナが切望してきた西側諸国の主力戦車が続々と集まり始めている。英国やドイツなど10カ国超が供与に加わった「戦車連合」からは40両以上が到着。反転攻勢の機会をうかがうウクライナ軍は、ロシア軍戦車との性能差を生かし、領土奪還につなげたい考えだ。 主軸を担うのはドイツ製の「レオパルト2」。移動しながら数キロ先の標的を攻撃できる精密さに、スピードと高い防御力を併せ持つ。ポーランドやカナダ、ノルウェー、スペインなどの保有国が供与に参加。全体で独政府が目標とした戦車大隊2個分(60両前後)を超える見通しだ。 ドイツなどで実施されたウクライナ兵に対する習熟訓練はおおむね終了。担当した独軍幹部はメディアに、一連の兵器支援で「(戦場に)違いが生じる。ウクライナ軍が主導権を取り戻す」と語った。米シンクタンクの軍事専門家も米欧の主力戦車について「ロシア軍が築いた陣地を突破し、追い詰めるだけの優れた火力と機動力がある」と解説している。 対するロシアは打つ手に乏しいのが実情とみられる。プーチン大統領は戦車供与に反発して、核保有国として取り得る「対抗手段」に言及。核の威嚇で米欧を揺さぶり、ウクライナにとって頼みの綱である支援の先細りを狙う。軍需産業へのてこ入れも伝えられ、長期戦に持ち込みたい思惑もありそうだ。 ウクライナのレズニコフ国防相は「1年前はこれほど強力な支援は想像できなかった」と自信を示しているが、万全とは言えない。第2陣として、米国製戦車「エイブラムス」が秋にも届き、さらに旧式のレオパルト戦車が100両超供与される見込み。それでも、ウクライナ軍が必要だと主張する300両には届かない。 気温の上昇でぬかるんだ地面が固まれば戦車部隊が本領を発揮できる環境が整う。ロシア側もウクライナの攻勢を迎え撃つ構えで、一段と激しい戦闘が予想される。 ― 引用終り ― 核戦争の心配はどこかにいってしまったようだ。
2023年04月11日
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米国製巡航ミサイル「トマホーク」について、国会で論戦が行われている。トマホークの最新型「ブロック5」の射程約1600km。 トマホーク購入 400発単価は米の倍 1発5億円か2023年2月28日 しんぶん赤旗 岸田文雄首相は27日の衆院予算委員会で、米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークを400発購入する予定だと述べました。 政府は昨年末に改定した安保3文書で敵基地攻撃能力の保有を明記。その一環として、米政府の武器輸出制度である「有償軍事援助(FMS)」に基づき、トマホークを購入する方針です。2023年度予算案にミサイル本体と専用の格納容器(キャニスター)を合わせた購入費2113億円を計上していますが、これまでは「実際の能力が明らかになる」などとして購入数の開示を拒んできました。 首相は実際の単価を明らかにしませんでしたが、単純計算すれば、格納容器と合わせて1発あたり約5億2800万円となります。 一方、米海軍省の23会計年度予算書には、トマホークの単価は182万2025ドル、格納容器18万9350ドルと明記。現在の為替レート(1ドル=136円)で計算すれば約2億7355万円となります。米政府は日本に、国内単価の2倍近くで売り付けている可能性があります。 ― 引用終り ― しんぶん赤旗はトマホークの価格を問題とした。 2023年3月1日、立憲民主党は使用方法、敵基地攻撃能力で多数を一斉発射する「飽和攻撃」にトマホークを使用するかについて国会で岸田首相に質した。 首相は相手の射程圏外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力」の一環で購入すると繰り返し、「飽和攻撃」について明言を避けた。米軍は湾岸戦争の開戦時に飽和攻撃で使用している。 浜田靖一防衛相はトマホークについて「わが国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊を阻止、排除する一つの手段だ」とした。配備場所は今後検討を進めるとしていたが、イージス艦に搭載することが報じられた。 米国から購入する価格と予算の差には、予備部品のほか、搭載する艦艇への改修費も含まれているのだろうか。通常、兵器の輸入には本体、不随する消耗品とコストに直接反映されるか分からないが使用訓練などがある。 全イージス艦にトマホーク搭載へ計8隻、27年度までに改修方針共同通信 2023年3月25日 政府は、米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入に向け、海上自衛隊のイージス艦8隻全てを2027年度までに改修し、搭載可能にする方針を固めた。政府関係者が25日、明らかにした。他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)を維持するため、長射程ミサイルの配備先をできるだけ増やす狙いがある。ただ、イージス艦の基地が相手国からの攻撃の標的となる恐れもある。 関係者によると、導入するトマホークは最新型の「ブロック5」で射程約1600キロ。政府は23年度予算案に取得費2113億円を計上し、400発購入する方針を表明している。部隊配備は26年度からと想定し、前倒しできないか米側との協議も視野に入れている。 イージス艦は現在、横須賀基地(神奈川県)と舞鶴基地(京都府)に2隻ずつ、佐世保基地(長崎県)には4隻が配備されている。政府はトマホークを発射できるようにするため、各艦の「垂直ミサイル発射システム(VLS)」関連の改修費を24年度予算から計上する方針だ。 ― 引用終り ― 前提として憲法9条違反の自衛隊を違憲とするであろう立憲民主党の辻元清美議員は、北朝鮮の弾道ミサイルや中国からの攻撃に対し、日本は専守防衛に基づき明確な「被害が出るまで反撃できる手段は持つな」と言いたいのだろう。ロシアの武力侵攻うさべ、無差別攻撃、民間人虐殺を見ても1mm動じない精神に感服する。 東欧のポーランド、チェコ、スロヴァキアは武力で侵略されたウクライナに次々と戦闘機、戦車など主戦兵器の供与を決定している。 日本政府は、海外からの武力侵攻に対して有効な反撃能力を装備しようとしている。反撃能力の整備をどの程度まですすめるかは、国民の判断となる。 人類の低炭素社会への歩みは、さらに遠ざかる。
2023年04月05日
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中国、ロシアをはじめ、宇宙空間において自国の軍事的優位を確保するための宇宙開発競争は激化の一途をたどっている。現状、宇宙における軍事利用についての明確な国際的ルールは確立されていない。即ち、地球のための宇宙空間の平和利用について、相応の技術力を有する日本が果たす役割は少なくなさそうだ。 2022年5月18日、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」が新編された。自衛隊初の宇宙領域専門部隊である宇宙作戦隊は、大臣直轄部隊として航空自衛隊府中基地(東京都)に隊員20名で発足、「宇宙」職域も新設された。 主な任務は、日本の人工衛星にとって衝突などの脅威となる宇宙ゴミ(スペース・デブリ)や不審衛星などを監視する「宇宙状況監視」としている。2023年からの本格的な「宇宙状況監視」システムの運用開始に向けて、「宇宙領域における部隊運用の検討」「宇宙領域の知見を持つ人材の育成」「米国との連携体制の構築」などが進められる。 航空自衛隊の「宇宙作戦群」が募る人材とは。宇宙を目指す新たな選択肢sorae.jp 2023年3月21日 11時0分 2022年、航空自衛隊は東京都府中市の府中基地で新たに「宇宙作戦群」を編成しました。この部隊は2020年に発足した「宇宙作戦隊」の上級部隊として、宇宙領域の作戦における指揮系統を担います。 宇宙作戦群が担う役割は、衛星放送や測位などで利用される人工衛星の安全を確保するための「宇宙状況把握(SSA Space Situational Awareness)」です。同群はJAXAや海外機関とも連携して、急増するスペースデブリ(宇宙ゴミ)などの接近といった衛星に危険を及ぼしかねない状況の情報収集・処理・共有を行います。 世界の衛星を活用した観測市場は年々増加しており、それに比例して今後は宇宙状況把握のミッションも増加すると予想されます。そこで、宇宙作戦群では人材面での補強にも力を入れており、2023年現在、宇宙人材の募集を行っています。宇宙領域専門部隊配属へのキャリアマップとして公表されているのは「技術航空幹部」「一般幹部候補生」「一般曹候補生」「自衛官候補生」の4コースです。 技術航空幹部は、経験や資格を持つ人材を採用して宇宙業務の幹部自衛官育成をめざすとされるコースです。入隊後は幹部候補生学校で学んだ後、書類や面接での選考を経て宇宙領域専門部隊に配属されます。このコースを志望するには、官公庁、大学、民間企業で宇宙領域の実務経験3年以上が必要です。 一般幹部候補生は、多様な職種を採用して幹部自衛官の育成をめざすとされるコースです。入隊後は幹部候補生学校で学んだ後、航空自衛隊などで現場の経験を積み、書類や面接での選考を経て宇宙領域専門部隊に配属されます。このコースでは指揮官および指揮官を補佐する幕僚として必要な能力も養います。 一般曹候補生と自衛官候補生を採用するコースでは、現場の要となる人材育成をめざすとされています。入隊後は航空教育隊で学んだ後、航空自衛隊などで経験を積み、現場のプロフェッショナルとして階級をステップアップした後に書類や面接での選考を経て宇宙領域専門部隊に配属されます。 これら4つのコース以外でも、宇宙作戦群は人材育成に力を入れています。研究や新技術の開発をめざす理・工学部等の一般大学・大学院専攻者には、選考の上で「技術貸費学生」として学資金が貸与され、就学サポートも実施されています。 2022年の発足後、宇宙作戦群では世界各国との防衛交流や海外研修を実施しており、情報処理を行うオペレーションセンターでのデータ解析シミュレーション、クルー員の連携といった教育訓練が行われてきました。防衛省は山口県に宇宙状況監視レーダーの設置を進めており、今後も地上設置型レーザー測距装置の導入や、宇宙設置型の光学望遠鏡SSA衛星の打ち上げなど、さらなる宇宙監視体制の構築が進められる予定です。 ― 引用終り ― 宇宙活動の有望な道は、国内でJAXAに航空自衛隊宇宙作戦群が付け加わった。 宇宙空間の整備、宇宙空間での安全保障も大事だが、単純に宇宙空間から収集できる地上の情報も国土防衛に大いに役立つことが分かっている。 宇宙作戦群が宇宙自衛隊になる日も近いと思われる。 宇宙作戦群のトップページは昔のSFチック、特撮物のタイトルバックみたいでいいな。 航空自衛隊 宇宙作戦群公式サイト
2023年03月31日
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ロシアのウクライナ侵略軍の主力戦車はT-72。性能向上型のT-80、T-90や最新型のT-14などいろいろな機種が存在するが、圧倒的に多く使われているのはT-72であるとの見解が多数。 ロシアのウクライナ侵攻が始まって1年が経過した。英シンクタンクの国際戦略研究所など複数の海外機関は、この間に、ロシアが主力戦車T-72のおよそ半数を失ったとするリポートを公開した。 米ワシントン・ポスト紙は同機関によるリポートを取り上げ、もともと2000両あったロシアの主力戦車T-72のうち、約50%が失われたと報じた。 プーチンはロシア軍の実力を見誤った…この1年で「主力戦車の半分」を失ったロシアの大誤算2023年3月12日 プレジデントオンライ ■主力戦車T-72のおよそ半数を失った ロシアのウクライナ侵攻が始まって1年が経過した。この間にロシアは保有する主力戦車の最大半数を失った、と海外情報機関が分析結果を公表している。 英シンクタンクの国際戦略研究所など複数の海外機関は、ロシアが主力戦車T-72のおよそ半数を失ったとするリポートを公開した。 米ワシントン・ポスト紙は同機関によるリポートを取り上げ、もともと2000両あったロシアの主力戦車T-72のうち、約50%が失われたと報じている。同紙はT-72を「ロシアの戦車の中で圧倒的に多く使われている戦車」だと指摘する。 国際戦略研究所の分析によると、これ以外の型式を含めても、戦車全体の40%近くをロシアが喪失した可能性があるという。同研究所はリポートを通じ、開戦からの過去1年間でロシアの兵器庫が「著しく」変化したと指摘している。 ■調査報道グループの分析も同様の結果に 英経済誌のエコノミストは、調査報道グループ「ベリングキャット」から派生したオープンソースの防衛分析サイト「オリックス」による分析を基に、ロシア側が1700両の損失を記録したと報じた。ウクライナ発表の3250両には及ばないが、それでも目を見張る数字だ。 オリックスは、ネット上などに公開されている写真や動画を基に情勢を分析するオシント(OSINT:オープンソース・インテリジェンス)の手法を活用し、昨年2月24日の侵攻以来、ウクライナで確認されたロシア軍の損失を分析している。 米CNNは同サイトによるリポートを取り上げ、少なくとも1000両の損失が明確に確認されたと報じている。このほか、ロシア戦車544両がウクライナに鹵獲(ろかく)され、79両が部分的に損傷し、65両が放棄された。 同サイトに寄稿する軍事アナリストのヤクブ・ヤノフスキ氏は、この数はオリックスが映像から確認できたものだけを計上したものであり、実際の損失は2000両に近いとの推察を明らかにしている。 ヤフノスキ氏は「ロシアは開戦時、稼働できる戦車を約3000両保有していたことから、その半数を失った可能性が高い」と指摘した。 大規模な喪失により、ロシアの攻撃ペースが鈍化するのではないかとの読みも出ている。同誌は、「ウクライナ戦で優位の確保に失敗したロシアの戦車だが、装甲車両による満足な支援なしには、ロシア軍が再び大規模な攻勢をかけることは困難となるだろう」との見通しを示している。 ■ロシア紙「月20両しか戦車を作れない」 ただしこの事態は、ロシアが直ちに戦闘不能になることを意味するものではない。ワシントン・ポスト紙は、「喪失にもかかわらず、ロシアは相当な数の旧型戦車を保有しているため、戦力を維持することが可能とみられる」と分析している。 とはいえこのままでは在庫は尽きる。戦闘継続のためには戦車の増産が欠かせないが、経済制裁下のロシアは自動車の製造にも困窮している。戦車の製造ペースは思うように向上しないのが現状だ。 ― 引用終り ― 正常化バイアスにより、戦力が低下することでロシアのウクライナ侵略が早期に終結するとの見方もでているが、多くの独裁的な権力者は背水の陣となっても諦めない。プーチン大統領もそうであろう。 ロシアは、不足しているデジタル部品を代替物で補って戦車を新造し、多数保管している旧式戦車を改造して戦場に送り出す。ロシアの独立紙『ノーヴァヤ・ガゼータ』は、ロシア唯一の戦車工場の生産能力が月産20両にすぎないと報じたが、それがロシアの戦車生産の全てである保証はない。 英・エコノミスト誌はロシアメディアによる報道を基に、戦車製造のウラルヴァゴンザヴォド社がこうした古い戦車を月間8両のペースで再整備しているほか、その他の修理工場で17両を再生していると報じた。 同じく戦車が不足しているウクライナからの度重なる要請を受け、米国はM1エイブラムス、ポーランドはドイツ製レオパルト2、イギリスはチャレンジャー2の供与を決定した。ウクライナにとっての戦力維持の「鍵」とする見解が多いが、確かなのは戦争を長引かせる「鍵」であること。 極地戦の長期化で最も潤うのは、各国の軍需産業。ドイツはメルケル前首相の時代に軍隊・軍備とともに軍需産業を極小化しており、緊急かつ旺盛な需要に対応できない。 危機感を強めたポーランドは、国防費を大幅増額し、多数の韓国製の戦車、自走砲などの購入を決定した。いくら安いとはいえ、使い物にならない可能性の高い兵器をとりあえず購入したのは、自国の工業力の高さを信じて、導入後改良して使用することを考慮しての決断かもしれない。 今後米国の軍産複合体は、バイデン政権を通じて、韓国に対してより厳しい要求を突きつけることが想定される。 西側諸国の支援を得てウクライナが反転攻勢に出ている現状、地上戦の主力となる戦車の不足は、プーチン大統領の誤算とされるが、全て戦争の長期化に起因する事象。長期化を除くと、ロシアにとって想定外の誤算は、主力輸出産業である兵器市場でロシア製の信頼が地に落ちたことだけかもしれない。
2023年03月19日
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2022年5月31日、中国の水陸両用機「AG600」が、広東省珠海市にある空港で初飛行を実施した。 AG600は災害対応を目的に開発したとされるが、兵士の捜索救助、島嶼部の基地への部隊や補給品の輸送などの軍事目的での利用もあるのではとの憶測を呼んでいる。 AG600の全長約37m、翼幅約39mで、旅客機ボーイング737に匹敵するサイズで、水陸両用機としては日本の飛行艇US-2などを上回り世界最大。ターボプロップエンジン4基に6枚羽根のプロペラを装備する。 2023年2月25日、AG600M が広東省珠海市で初飛行した。 水陸両用機「鯤竜」AG600M 耐空証明取得テスト飛行へ―中国2022年2月26日 Record China 航空工業集団によりますと、中国が自主開発した4機目の大型消火・水上救助水陸両用機「鯤竜(こんりゅう)」AG600Mが25日、広東省珠海市で初飛行に成功し、耐空証明取得のためのテスト飛行に入りました。 AG600M機は午前8時9分、珠海金湾空港から離陸し、空中を17分間安定して飛行し、既定のテスト飛行科目を終えた後、8時26分に着陸しました。機体状態は良好、操縦システムも正常で、各システムともに安定していたということです。 「鯤竜」AG600型機は中国の緊急救助システムと国家自然災害防止対策システム構築の需要を満たすために開発された大型水陸両用機です。最大離陸重量60トン、最大積載水量12トン、航程4500キロで、安全性、投入水量、航続距離、耐波性などいずれも従来のものより優れています。(提供/CRI) ― 引用終り ― 米軍は、冷戦終結前に最後の飛行艇を退役させた。現在、中国の海洋進出の強化により紛争の可能性が取りざたされる中で、水陸両用機への関心が再燃している。 海上自衛隊は、飛行艇・新明和「US-2」を、捜索救助目的で運用している。 2022年2月、日米豪3カ国による共同訓練「コープ・ノース22(COPE NORTH 22)」では、US-2が北マリアナ諸島のテニアン島付近海域で人道支援、災害救助、防空戦闘訓練に参加した際に、米・空軍の高官が同機を視察し軍としての関心を示した。米・空軍は、性能よりもUS-2 のユニットコストの高さ(100億円)に驚いたかもしれない。 米・空軍特殊作戦コマンドは、主力機の「MC-130J」に「着脱可能な水陸両用フロートを追加する改良」に向けて、ラピッドプロトタイピング(高速試作)を開始しているが、波の高い外洋、港外での運用能力は無きに等しいと思われる。 飛行艇の性能のキーポイントは離発着時の対波性で、実用性を大きく左右する。US-2は3mの波高でも離発着水可能で離発着できる水面の範囲が大きい。 AG600M の機体、機体底部は 対波性が優秀なUS-2 の拡大コピーのように見える。開発当初、最大離陸重量53t、航続距離4500km、最大123時間の飛行が可能で、最高速度500km/h、耐波性は波の高さが2mの条件下でも着水が可能としていた。US-2より大きく、開発過程で重くなった AG600M は、当初に想定した2mの波に耐えられるだろうか。 US-2 諸元 全長 3.25m、全幅 33.15m、全高 10.06m 最大離着水重量 - 43t エンジン - ロールスロイス AE2100J ターボプロップ×4 出力 4,591shp×4 最大速度 約580km/h 航続距離 4,700km(約2,500海里) 巡航高度 20,000ft(約6,100m)以上 離水滑走距離 280m、着水滑走距離 310m
2023年03月09日
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ウクライナのゼレンスキー大統領は、戦車ではドイツ製の「レオパルト2」が欲しいと表明した。 「レオパルト2」が、西側陣営のベストセラー戦車となった理由はまず「信頼性」だという。 信頼のブランドであるランドクルーザーを作っているトヨタ、信頼性の高い建設機械を作っているコマツ、日立建機など、日本のメーカーが市販戦車を世界に売り出したらベストセラーになれそうな気がしてきた。壊れにくく、壊れても部品の供給力は世界でも定評がある。ライフサイクルコストでドイツにまさる戦車を製品化できるであろう。 兵器の価値は、交戦実績でしか確定できない。ロシアによるウクライナ侵略戦争の前、戦車は時代遅れの兵器の賜物だったが、ウクライナが失地を回復するにあたり、その価値、制圧力が再評価された。ウクライナ侵略戦争の戦績により、ドローンの軍事的有用性の評価が急激に高まった。軍事理論は交戦実績によって簡単に変わる。 兵器で最も重視される要素とは? 「レオパルト2」はなぜベストセラー戦車となったのか2023年2月13日 乗りものニュース ドイツ製戦車「レオパルト2」は、いわゆる西側陣営のベストセラー戦車です。なぜこれほど広く使われるようになったのか、その理由を紐解くことで、およそ「兵器」というものに最も求められているものについて見ていきます。 クルマも戦車も買うならドイツ製…となるワケ アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、イスラエル、スウェーデン、スイス、日本。この中で日本車以外の外車を買うとしたら、どの国のものを選択するでしょう。 日本国内で販売された輸入車の、2022年1月から12月における累計台数は、メルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、BMW、アウディのドイツ車で全体の52%を占めています。ドイツ車が選ばれるのは「故障しにくそう」「信頼性が高そう」という、これまでに定着している工業力のブランドイメージによるところも大きいのではないかと思われます。 そのようなブランドイメージができたのは、ドイツ車メーカーのセールスが上手いというだけではなく、実際に品質がよく、アフターケアもしっかりしているという実績から生まれた、メーカーに対する信頼が築かれてきたからでしょう。あるスーパーカーが最高時速300kmと謳われても、故障が多ければ需要は限られます。 冒頭に上げた10か国は戦車を国産している、またはしていた国です。そのほかの戦車を保有している国は、これらの国のどこかから戦車そのものや部品、技術を輸入しています。国が戦車を輸入する際は、民間のクルマとは違い国防という国家の命運に直接、関わりますので、選択は慎重になります。カタログスペックとともに、実績と信頼が優先するのは当然です。 そうした意味で、昨今話題になっているドイツの「レオパルト2」は、実績と信頼を積み重ね売れ続けてきたベストセラー戦車といえるでしょう。とはいえもちろん、最初から実績と信頼があったわけではありません。 「レオパルト2」がデビューした1979(昭和54)年は、東西冷戦の真っただなかという時期です。当時の西ドイツは、ソ連を中心とした東側諸国によるワルシャワ条約機構軍の戦車部隊に対抗する最前線だったこともあり、「レオパルト2」は大量に生産されます。 ところが1991(平成3)年に冷戦が終結すると、これが余剰になります。戦車は持っているだけでもコストになりますので、ドイツは中古市場へ安価に放出しました。ドイツ車に代表されるような「工業力のブランドと性能」をひっさげた戦車が安価に手に入る、というコスパの良さから、「レオパルト2」の顧客は増え始めます。 「レオパルト2」は西側最大のベストセラー戦車へ かたや東側陣営では…? とはいえ「レオパルト2」は、ドイツのブランド力だけで売れたわけではありません。 クルマのディーラーが謳うセールス文句そのままのような、堅実かつ発展性のあるその設計は、ユーザー独自の改修を施す余地が大きく、ドイツ政府やメーカーはそうしたニーズに応じ、仕様変更にも対応する柔軟なサポート態勢を整えるという品質向上にも努力しました。 こうしてドイツおよび「レオパルト2」は、ユーザーが増えればさらにアフターフォローも充実するという、持続可能なビジネスモデルの構築に成功したのです。ウクライナが「レオパルト2」を熱望した大きな理由のひとつは、この充実したアフターフォローを期待してのことです。 ここでひとつ注意が必要なのは、戦車をはじめ兵器ビジネスは、クルマのビジネスとは違って基本、国家間取引で、製品力だけでなく外交関係の影響を強く受ける、ということです。「レオパルト2」と対決するかもしれないロシアのT-72戦車は、これまで41か国で使われ生産台数も2万5000両以上という、「レオパルト2」をしのぐベストセラーです。しかし、日本でソ連/ロシア製のクルマをほとんど見かけることがないように、かの国に「工業力のブランド」は、宇宙技術など以外にあまり感じられません。 ― 引用終り ― ソ連・ロシアのT-72もソ連の時代の社会主義圏、一人当たりGDPの低い国々の救世主的な戦車で量産され、幅広い国々に配備された。だが、戦力としての強弱以前に機械的な信頼性が低いようだ。またソ連・ロシア製ジェット・エンジンと同様に、部品(ときにエンジン・ユニット全体)の交換サイクルが短いこともしられている。値段は安いが、維持するのに手間がかかるというわけだ。 大日本帝国陸海軍の軍用機・軍用車両も、機械的な信頼性に欠けていた。装備していた機銃も、ドイツ製の機銃と比べ信頼性が低かったという。 エンジンはオイル漏れが当然で、電気コード(電纜)の質の悪さ、磁石(マグネトー)の性能の低さからエンジンの失火が多かった。 エンジンがうまく回って戦闘機が飛び上がっても、材質不良、精度不良などにより、機銃の弾詰まりはよくあったことと聞く。 ウクライナに戦車を供与したポーランドは、韓国の戦車1000両の購入を決めた。韓国K-2戦車が安価なことも理由なのだろうが、ドイツの戦車の供給力が低く、ロシアの脅威が日々増す中、待っていられなかったのだろう。何もないよりは「まし」ということだ。 ウクライナに追加供与される「レオパルト1」の価値もこの考え方に沿ったものだろう。 レオパルト・シリーズは、操作教育、弾薬・補修部品の供給についても安心感がある。 ウクライナに追加供与の「レオパルト1」現場は大歓迎? 60年前の戦車がまだまだ“使える”ワケ2023.02.11 白石 光(戦史研究家) ドイツ政府はレオパルト2戦車に続いて、レオパルト1戦車についてもウクライナへ供与すると明言しました。レオパルト1は元設計が1960年ごろの古い戦車ですが、ロシア戦車に対して有効なのでしょうか。 60年前に生産始まったオールドタイマー ドイツ政府は、先に表明したウクライナへの「レオパルト2」の供与に加えて2023年2月7日、同車の1世代前の主力戦車(MBT)だった「レオパルト1」の供与も決定。ウクライナに対して178両送ることを明言しました。 ただ、レオパルト1はいまから60年ほど前の1964年に生産が開始された古い戦車です。ウクライナ紛争ではロシアが予備保管していたT-62戦車を前線に投入し、話題となりましたが、世代的にはそれに匹敵すると言えるでしょう。そんな古い戦車が、現在のロシア戦車にはたして対抗できるのでしょうか。 … (略) … ひと昔前のスタンダード戦車 運用国の多さが強みに? とはいえ、ドイツ軍が最後に配備したレオパルト1A5などは、レオパルト2の技術をフィードバックする形で近代化改修が施され、120mm砲の搭載も可能なまでに射撃管制装置などが高性能化されていました。さすがに主砲の換装はコストがかかるため、未実施で終わりましたが、そのような優れた射撃管制装置で制御された105mm砲は高い命中精度を誇ります。 加えて105mm砲も、120mm砲と比べたら威力が低いだけで、その徹甲弾はロシアの現用MBTを十分撃破できるだけの威力があり、ロシア戦車において数的主力を占めるT-72シリーズよりも、総合性能の面では明らかに優秀だといえるでしょう。 おまけに、実用性が検証済みのいわゆる「枯れた技術」が多用されており、電子制御もレオパルト2ほど多くないので、先んじて供与が決まったイギリス製「チャレンジャー2」やアメリカ製M1「エイブラムス」などと比べて、運用上も整備上もウクライナ軍にとっては使いやすいMBTになるのではないでしょうか。 ― 引用終り ― ガスタービン・エンジンのメインテナンスが必要な米国製M-1エイブラムスは、戦車の整備兵にとって悪夢だろう。 ガスタービン・エンジンは、内燃エンジンより高温に長時間接し、高回転であることなどから、精緻な部品が多く、頻繁なメンテナンスが必要となる。得意ではない回転数の大きな変化を頻繁に行うことから、燃費も悪い。燃料自体、ガソリンでもディーゼリンでもないM-1専用のはずで、その供給体制も必要となる。
2023年02月28日
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2023年2月19日、「かかみがはら航空宇宙科学博物館」で三菱重工業三菱重工業製造のマクドネル・ダグラスF-4EJ改が展示・公開された。 展示されたF-4EJ改431号機は、岐阜基地の飛行開発実験団で運用された機体。3月25日に記念イベントを開催する。 「かかみがはら航空宇宙科学博物館」は、1996年3月、「かかみがはら航空宇宙博物館」として開館。各務原市が所有し、直接運営している。周辺に航空自衛隊の飛行開発実験団が所在している岐阜基地や、航空機を製造する川崎重工業岐阜工場がある。 2005年4月、科学関連資料の展示を充実をはかり、かかみがはら航空宇宙科学博物館に改称し愛称を「空宙博(そらはく)」)とした。設計主務者、土井武夫、副主任、大和田信で川崎航空機により開発・製造された旧陸軍三式戦闘機「飛燕」の機体などが展示されている。 岐阜の航空宇宙博物館、空自ラストF-4EJ改搬入2023/02/19 Aviation Wire 2021年3月17日に退役した航空自衛隊最後のF-4EJ改戦闘機となった431号機(07-8431)が2月18日、岐阜基地に隣接する岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に搬入された。午後1時からは小学生たちが431号機を引っ張る「つなひきイベント」も開かれた。 431号機は19日から公開され、3月11日からは1階A3ゾーンの機体近くから見学できる。搬入に先立ち、既存のT-2CCVなどの展示機や、F-104Jに搭載されていたエンジン「J79-IHI-11」など展示品を移動する作業が6日から行われた。 ― 引用終り ― 「かかみがはら航空宇宙科学博物館」では、屋外に、KV-107ⅡA-4 51804、YS-11A-213 JA 8731、US-1A 9078、P-2J 4782 が展示されている。
2023年02月27日
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高高度長時間滞空型無人機ノースロップ・グラマンRQ-4Bグローバルホークの空自向けの初号機は、2022年3月12日に三沢基地へ到着した。 2022年12月21日、防衛省は初飛行を実施した。 「グローバルホーク」を運用する偵察航空隊の発足は、航空宇宙自衛隊の無人機化の幕開けとなる。 空自三沢基地に偵察航空隊時事通信 2023年1月23日 17時10分 航空自衛隊は23日、空自三沢基地で米国製大型無人偵察機「グローバルホーク」を運用する偵察航空隊の部隊が発足したのを受け、同基地で記念式典を開いた ― 引用終り ― RQ-4Bグローバルホークは、情報収集・警戒監視・偵察用途の大型無人機。 合成開口レーダー(SAR)、電子光学/赤外線(EO/IR)センサーを搭載し、各センサーは広域に渡っての捜索・監視活動が可能で、高解像度のスポット・モードを使用できる。 またオンデマンド・データをリアルタイムに24時間配信し続けられる。 RQ-4B 全長:15m、全幅:40m、全高:5m 機体重量:14.6トン 最大巡航速度:570km/h、最大高度は6万フィート ペイロード:1360kg 初飛行:1998年2月28日 運用開始:2004年11月16日
2023年01月25日
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歩兵携行式対戦車兵器が強力となり、攻撃型ヘリコプターが発達し、大きく重く移動速度が遅い戦車は役に立たない、コスパの悪い時代遅れの兵器とされ、「戦車不要論」が陸戦論の主流となってから久しい。 ロシアが仕掛けたウクライナ侵略戦争で、占領地点の面の確保について、歩兵が欠かせないのと同様に戦車が有効であることが見直された。 「戦車不要論」は一蹴された? 2022年を彩った世界の戦車5選日本の安全保障に影響はあるか白石 光(戦史研究家) の意見2023年1月1日 乗りものニュース 韓国製戦車をポーランドが大量購入 2022年は、2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻で、再び戦車を中心とする陸戦兵器に注目が集まった年でもありました。当初は「ジャベリン」のような歩兵携行式の対戦車兵器や対地攻撃用ドローンなどが脚光を浴び、一時は「戦車不要論」のような論調も見受けられたものの、その後の研究などから、現実には従来と変わらず戦車は「陸戦の主力」であると見直されています。 こうしてウクライナ侵攻で、“戦車が復権”した一方、2022年には様々な新戦車が登場し、これらもまた世界中から注目を集めました。そこで、今年を象徴するような戦車を5車種チョイスし、どこがポイントなのか振り返ってみましょう。 K2「ブラックパンサー」:韓国 まずはMBT(主力戦車)ですが、ロシアのウクライナ侵攻で、一躍その名が知られるようになったのは韓国のK2「黒豹(ブラックパンサー)」ではないでしょうか。もっとも、本車の場合は実戦に投入されたわけではなく、手持ちのT-72戦車をウクライナに提供したポーランドが、西側兵器と互換性があるという観点から、大量導入を決めたことで注目を集めたのです。 というのも、ポーランドはK2戦車を採用する前にアメリカ製M1「エイブラムス」戦車の導入も決めているからです。韓国はアメリカとの強い同盟関係を維持しており、とうぜんながらK2はM1を念頭に置いて、高いインターオペラビリティ(相互運用性)を考慮して設計されています。そういったことも加味してポーランドはM1と共にK2を装備・運用することにしたのでしょう。なお、ポーランドは他にもドイツ製の「レオパルト2」戦車を運用していますが、K2とM1は「レオパルト2」と弾薬の互換性を有しているため、そういった点もメリットです。 ヨーロッパとアメリカ双方で新戦車が爆誕! 2022年はまったく新しい戦車がデビューした年でもあります。 KF51「パンター」:ドイツ ドイツのラインメタル社は、6月にパリで開催された国際武器展示会「ユーロサトリ2022」において、KF51「パンター」を発表しました。本車の特徴は主砲に130mm滑腔砲を備え、防御力を強化しているにも関わらず、重量は既存のレオパルト2A6よりも軽い59tに抑えている点です。 なお、乗員数は4名。従来の戦車と同じく車長、砲手、操縦手(運転手)のほかに、各種の無人兵器などの指揮・統制を任務とする人員1名を乗せられるとのこと。また、徘徊型自律兵器の運用も可能で、現状では最先端のMBTのひとつといえます。 EMBT:ドイツ+フランス 同じく「ユーロサトリ2022」で披露されたのが、ドイツの防衛企業KMW(クラウス・マッファイ・ヴェクマン)と、フランスの防衛企業ネクスターの合弁企業であるKMWネクスター・ディフェンス・システムズ(以下KMWネクスター)が開発した「EMBT」です。 EMBT自体は2018年に開催された前回のユーロサトリで発表済みですが、そのとき披露されたのは、ドイツ製「レオパルト2」戦車の車体にフランス製「ルクレール」戦車の砲塔を組み合わせた技術実証車であり、あくまで “こういうことも可能”を見せるためのレベルでした。 しかし、今回披露されたEMBTは名称こそ変わらないものの、車体、砲塔ともに新デザインのものとなっており、特に砲塔については両サイドが大きくえぐられ、見た目のインパクトに驚きを覚える形状に改められていました。現状ではあくまでコンセプトモデルだそうですが、今後どのように発展進化するのか、はたまた試作だけで終わるのか、興味は尽きない戦闘車両のひとつです。 「エイブラムスX」:アメリカ「ユーロサトリ2022」から4か月後の10月、ワシントンDCにおいて開催されたアメリカ陸軍協会主催の武器展示会「AUSA」に合わせて、ゼネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ(GDLS)が発表したのが、「エイブラムスX」です。 現代版軽戦車? 米軍が導入決めたMPF 「エイブラムスX」の特徴は、機動性と輸送性を向上させるために軽量化した点で、従来のM1A2「エイブラムス」と比べ約半分の燃料消費量で活動することが可能だそう。それに伴い、燃費向上を図るべくパワーパックをハイブリッド仕様に換装。この改修により、隠密斥候(サイレントウォッチ)能力の強化や、静粛機動(サイレントモビリティ)性も向上しています。 搭載する砲塔は無人式で、これにより乗員は既存のM1「エイブラムス」の4名から3名へと減っているほか、全員が車体中央に並列で乗り込む形となっています。 現時点ではまだコンセプトモデル(テクノロジー・デモンストレーター)に留まるものの、今までは肥大化する一方だったM1「エイブラムス」シリーズの新たな方向性として、注目すべき存在のひとつといえるでしょう。 MPF:アメリカ「エイブラムスX」が発表される一方、今年アメリカ陸軍が新たに導入を決めたのが、MPF「グリフィン」です。 MPFとは「Mobile Protected Firepower」の略で、機動防護火力車両と訳されるようですが、要は軽戦車の1種です。かつてのM551「シェリダン」空挺戦車の代替と、歩兵旅団戦闘チーム「Infantry Brigade Combat Team:IBCT」の火力支援のための車両で、105mm戦車砲を搭載し、空輸が可能で機動力に優れているのが特徴です。 簡単にいえば第2次世界大戦中の対戦車自走砲または駆逐戦車の現代版ともいえるもので、「ヘビー級」というべきM1シリーズのMBTを並行して運用するアメリカだからこそ、逆に使いみちのある戦闘車両といえるでしょう。 ― 引用終り ― 次世代戦車の形態は確立されていない。航空機と同様に、人が乗らないことを前提とした戦車の具体的な提案もない。 陸戦の主力であるかどうかは不明だが、占領・奪還した地域の敵軍の掃討、反撃の効果的な手段の一つであることは事実となった。 戦車不要論の台頭の背景は以下の主に3点。 最近の戦車不要論が高まったのは、冷戦の終結により大国間の大規模戦闘の可能性が低くなったことが契機。 ソ連の崩壊、ワルシャワ条約機構の瓦解により、大国間の総力戦や第三次世界大戦が起こる可能性が低下した。 一方、大国と小国間の地域紛争、あるいは国家と反対勢力による内戦など、規模の大きく異なる勢力による紛争への対応に主力洗車(MBT)は適切ではなかった。 第二次世界大戦後、冷戦期にも航空機はジェット機の時代となり、性能が飛躍的に向上した。 速度性能、航続性能の向上、滞空時間の長時間化すすんだ。ベトナム戦争の経験を経て、ヘリコプターの性能向上と機能の多様化がすすみ、航空兵器による地上支援がより効果的に実施できるようになり、上からの攻撃に弱い戦車の弱点が目立つようになった。 そして歩兵携行式の効果の大きい対戦車兵器の出現で、主力戦車は戦場において、コストパフォーマンスの低い戦力の代表とみられるようになった。 ウクライナ侵略戦争は不条理な戦争であり、主力戦車が戦争状態の解消に向けたアプローチに有効であるとされても、戦車不要論が戦車有用論に変わるというもpのでもない。 本当に不要ではないのかどうかは、上記と平和の維持と追求など踏まえた観点から語られなければならない。 主力戦車が有用なら、核兵器も有用といえるのだから。
2023年01月14日
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2022年1月12日、ロシアのユナイテッドエアクラフトコーポレーションは、新たに製造されたTu-160M戦略爆撃機の量産初号機が、カザン航空機工場の飛行場から飛び立ち、初飛行したと発表した。 Tu-160(ブラックジャック)は旧ソ連時代に設計・開発された、核兵器が搭載可能な可変後退翼・超音速戦略爆撃機。 Tu-160Mは、1981年初飛行のTu-160のアップグレード型。最大の変化点は、4基のエンジンを新型のNK-32-02ターボファンエンジンに換装していること。搭載する各種システムも8割が新型に換装されているとのこと。 戦略爆撃機の白い塗装は、核兵爆弾使用時の放射線の遮蔽という過去を想起させる。 新システムは半導体が多用していると想定されるので、物騒なTu-160Mの就役は先のことになるだろう。物騒なTu-160Mの収益は先のことになるだろう。 恐怖!ロシアの巨大爆撃機「ホワイトスワン」が武装して初飛行2022年12月21日 東スポWEB プーチン大統領は先日、軍用航空史最大の超音速戦略爆撃機のテスト飛行を公開した。複数の欧米メディアは「プーチンは核兵器について欧米に身も凍るような警告を発した」と報じた。 通称「ホワイトスワン(ロシア語ではベールイ・レーベチ)」として知られる超音速戦略爆撃機「ツポレフ Tu-160」が19日、超音速空対地ミサイル「ダガー」を搭載して初飛行を行った。離着陸の映像がロシアメディアで流され、戦闘準備が整っていることをアピールした形だ。 ホワイトスワンの最高速度はマッハ2以上、航続距離は1万4000キロ。そして、ホワイトスワンの脅威は「ダガー(短剣)」こと極超音速空対地ミサイル「Kh-47M2 キンジャール」を搭載できることだ。ダガーの発射速度は音速の10倍で、最長射程距離は2000キロ。通常の弾道ミサイルと異なり、発射後にミサイルを遠隔操縦し、軌道を変えることができる。そして、何より核弾頭を搭載できることが恐怖だ。 ホワイトスワンとダガーがあれば、ウクライナどころか、西側の国を核爆撃できるということになる。ダガー自体は3月以降、ウクライナに対して何度か使用されているが、もちろん、まだ核弾頭を搭載したことはない。それでも、あまりに高速のため、ウクライナの防空システムではダガーを撃墜できなかったことが確認されたよう。 ― 引用終り ― 対抗馬の米国のB-1超音速戦略爆撃機の寿命は延長されるだろうか。次世代のAIを搭載した新型の無人超音速戦略爆撃機となるだろうか。
2023年01月06日
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ロシアのウクライナ侵略戦争により、日本でも安全保障体制の見直しが始まった。 日本政府は、サイバー攻撃への防御を指揮する司令塔機能を担う新組織を創設し、その総責任者を任命する調整に入った。 新組織は、内閣官房にある内閣サイバーセキュリティセンターの機能を吸収して権限を拡充し、自衛隊や警察庁の実動部隊を統括する。総責任者は米欧のサイバーセキュリティー機関トップと協調、対処力の強化を図る。 安全保障関連の新たな予算枠組みを2024年度に始め、サイバー防御体制の整備も含める。 「能動的サイバー防御」行使へ体制整備…政府、安保戦略案を与党に提示読売新聞 2022年12月2日 政府は2日、今月中旬に改定予定の国家安全保障戦略に盛り込む項目の骨格案を与党に示した。自衛目的で敵のミサイル発射拠点などを破壊する「反撃能力」の保有や、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」行使に向けた体制整備などが柱だ。自民、公明両党は同日、反撃能力の保有で正式合意した。 戦後一貫して政策判断として見送ってきた反撃能力の保有は、日本の安保政策の大転換となる。政府は、2013年12月に策定した国家安保戦略の改定を契機に、サイバー防御の抜本強化などとあわせ、厳しい安保環境に対処できる体制を構築する方針だ。 骨格案は、3文書改定に向けた与党協議の実務者協議で提示された。反撃能力は「やむを得ない必要最小限度の自衛措置」と位置づけた。自衛権行使の要件に合致した場合に行使でき、対象は「軍事目標」に限定する。 攻撃の兆候の探知や発信元の特定を行う能動的サイバー防御に関しては、必要な法整備を進め、政府機関に権限を付与する。他の主要項目として、自衛隊の継戦能力の確保や防衛装備品の輸出拡大、経済安全保障の促進、先端科学技術の育成などが明記されている。 周辺国に対する情勢認識は、与党内で最終合意に至っていないため提示項目に含めなかった。政府は中国を「挑戦」と位置づける方向で調整している。影響の大きさを踏まえ、中国、北朝鮮、ロシアの順で記述する見通しだ。 ― 引用終り ― ウクライナ侵略戦争は、侵略者に対する反撃能力の重要性を認識させた。 能動的サイバー防御の権限付与することで、日本の「専守防衛」体制は大きく転換することになる
2022年12月07日
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ウクライナに侵攻したロシア軍により破壊された超大型輸送機「アントノフ225ムリーヤ」。航空ファンのみならず、メガ空輸を必要とする関係者から「残念だ」との声が多数上がっている。 人命を奪い、インフラ、文化・文明を破壊する侵略行為が、世界の物流にまで影響することが可視化された。 この時期に国際基金を設定して、ムリーヤの復活が急がれるのは、、「ウクライナしか作ることができない」世界で唯一、最大の輸送機が、ウクライナの人々のプライドであり、復興のシンボルとなりうる心の支えであるからだ。 【An-225ムリーヤ】世界最大級の飛行機がウクライナ侵攻で無残な姿に。復活に向け資金援助を世界に呼びかける2022/04/02 ハフポスト日本版 世界最大級の飛行機が、ロシア軍の攻撃で無残に破壊された姿が明らかになった。 旧ソ連時代に建造された貨物機「An-225 ムリーヤ」だ。製造元のアントノフ社は「伝説的な航空機の取り返しのつかない損失を防ぐ」として、復活のための国際基金をスタートさせた。 ■ロシア軍の撤退で無残な姿が明らかに 首都キーウ(キエフ)郊外にあるアントノフ空港は2月下旬、ロシア軍の攻撃を受けた。ムリーヤはちょうどメンテナンス中で避難できなかった。同空港をロシア軍が占拠したことで安否不明になった。 ムリーヤの製造元であるアントノフ社は「AN-225が専門家によって検証されるまで、航空機の状態について報告できません」と2月27日にツイート。同機が破壊されたかどうかは断言を避けた。 一方、ロシア国営放送は3月4日、大破したムリーヤとみられる機体の映像を流したほか、「ウクライナ側が破壊した」と主張していた。アントノフ空港の占拠を続けていたロシア軍が3月末までに撤退したことで、ムリーヤの破壊がウクライナ側からも確認できるようになった。 CNNは3月31日に撮影された衛星写真を元に、ロシア軍がアントノフ空港から撤退していたことが確認できたと報じた。4月2日には地元メディア「キーウ・ポスト」の記者が「これまで働いてくれて有り難う」という追悼メッセージと共に、アントノフ空港で撮影されたムリーヤの写真をTwitterに投稿した。 ムリーヤは大破して焼け焦げていた。下半分だけが残った機首が胴体から地面に崩れ落ちるなど激しく損傷していた。 ■製造元のアントノフ社 復活のための国際基金の募集をスタート アントノフ社は3月25日、ムリーヤが破壊されたことを認めた上で、機体を復活させるための国際基金をスタート。ロシア軍の撤退判明の前からFacebookで発表していた。 以下のようなメッセージともに、銀行の振込先を掲載。世界各国の政府・企業・航空ファンらあらゆる人々に資金援助を呼びかける内容だった。 「2022年2月、惨事が起きました。 ウクライナ侵攻でAN-225ムリーヤが破壊されました。 この損失は、アントノフ社のスタッフ、世界の航空業界だけでなく、世界最大の航空機輸送サービスを利用した多くの顧客を驚かせました」 「アントノフ社のチームは困難な状況の中でも、現代の象徴の一つである伝説的な航空機の取り返しのつかない損失を防ぎ、AN-225ムリーヤを復活させる必要があると考えています」 「残念ながら、ウクライナ政府とアントノフ社にとって困難な時期のため、この問題を解決する十分な資金がありません。私たちは、An-225ムリーヤ輸送機復活のための国際基金を設立することを提案します」 ― 引用終わり ― An225ムリーヤの復活は、クラウドファンディングを利用して巨人機、巨大輸送機を製造する初の実例となるかもしれない。
2022年04月15日
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中国が台湾侵略戦争を行った場合、米国製などの兵器と対峙することになる。 中国人民解放軍は、ソ連製、ロシア製の兵器をベースに国産兵器を装備している。 ところが、ウクライナ侵略戦争は、ロシア製兵器が2流であることを世界に曝してしまった。 ウクライナと同じような事態が起きたら、人民解放軍は台湾に撃退され、中国政府の面目は丸つぶれとなる可能性がある。 台湾を焦土と化しても得る所は少なく、経済制裁が実施された場合、ロシア以上に失うところは大きい。 また正面装備の現代化はすすんでいるが、ジェット・エンジンの耐用時間が短いなど、維持管理、補給については多くの課題を抱えていると思われる。 ウクライナ危機で中国政府は大ショック庶民はロシア応援【コメントライナー】2022年04月03日 JIJI.COM … (略) …◆軍事技術の源泉はロシア ウクライナ危機を見た中国政府は、大きなショックを受けているはずである。なぜなら、中国の軍事技術の源泉はロシアだからだ。 ロシアが短期間にウクライナを攻略できると中国は確信していたが、1カ月たっても、ウクライナを攻略できていない。 すなわち、ロシアの軍事力が本当に強いものかどうかが今、疑われている。単なる「張子の虎」ではないか、とさえ思われている可能性は高い。 なぜ中国政府がショックを受けるかというと、もし、ロシアから導入した軍事技術をもって台湾に侵攻したとしても、本当に台湾を攻略できるのか、自信を失ってしまう可能性がある。 すなわち、中国人民解放軍が台湾に侵攻した場合、短期間に台湾を攻略できなければ、後方から補給が追い付かず、失敗に終わる可能性が高いからである。 中国政府はロシアと米国の間で、自分にとって最も得する解を求めようとしている。すなわち、損得の勘定を一生懸命しているところである。米国などからは、中国がロシアに軍事支援した場合、重い代償を払うことになると警告されている。 ― 引用終り ― インド軍もソ連製、ロシア製兵器を多数使用しているが、中国ほどの衝撃はないと思われる。 軍事力は経済力の反映であり、国の経済力を超える軍事費の使用は本末転倒と考えられる。 インドの当面の主敵は中国とパキスタンであり、欧米の高価な最新兵器は必ずしも必要ない。
2022年04月13日
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「ミュール」は、カワサキモータースが国外向けに製造する多目的自動車、「四輪バギー」。 農場、牧場などでの使用、山間部でのハンティングなど不整地(オフロード)での使用を想定したモビリティ。 陸上自衛隊の水陸機動団は、ボーイングV-22「オスプレイ」に搭載可能な車両として、車体が小さいカワサキ「ミュール」を採用した。 ヘリコプターより高速移動が可能なティルトローター機・オスプレイは、既存の「高機動車」や「1/2t小型トラック」などを収容できるスペースがない。 公道禁止の理由がスゴイ陸自「汎用軽機動車」として採用のカワサキ4輪バギーを実見矢作真弓/武若雅哉(軍事フォトライター)2021.11.20 乗りものニュース カワサキモータースが生産・販売する4輪バギー「MULE」。陸上自衛隊が汎用軽機動車として採用するにあたり作られた試作車を、東京お台場でじっくり見ることができました。保安基準適合のための改造や陸自は採用しなかった装備とは。 カワサキブースで展示されていた唯一無二の「ミュール」 2021年10月20日から22日までの2日間に渡り、東京ビッグサイトの青海展示棟において「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2021」が開催されました。この展示会は、防災・リスク管理・防犯を網羅したビジネストレードショーで、毎回多くの出展社が独自の製品を持ち込んで展示・説明しています。 … (略) …個人でも購入可能 そのお値段は? こうしたオフロードに特化した車両はATV(All Terrain Vehicle:全地形型車両)と呼ばれ、基本的に公道走行は禁止されています。その理由は、ガタガタの荒れた道でも安定して走ることができるサスペンションがあだとなり、舗装路で急ハンドルを切ると容易に横転してしまう可能性があるからです。そのため、国土交通省は災害救助や自衛隊の任務など用途を限定したうえで、日本の公道走行を許可しているということでした。 そのため、カワサキモータースは将来的に「ミュール」の国内販売も考慮しているそうですが、顧客として想定しているのはスキー場や北海道の牧場など、広い私有地を持つユーザーに限定されるそうです。 なお、肝心の価格は1台で300万円弱になるとのことなので、仮に自前のオフロードコースを持っているのであれば、自衛隊への採用実績があるATVの性能を思う存分楽しむことができるのではないでしょうか。 ― 引用終り ― 陸自・水陸機動団に入れば運転する機会もあるかもしれないが、レンジャー並に訓練がきつそうだ。 水陸機動団公式サイト レンジャー第13旅団
2022年03月21日
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米中対立のすきに、ロシアは十分に計画された攻撃で、反撃する暇を与えずウクライナ軍の制圧をはかった。 戦略核兵器を多数有する常任理事国による侵略戦争には、国際連合(United Nations、連合軍)が無力であることをさらけ出した。 中国は、この事実を確認しほくそ笑んでいることだろう。 NATOに加盟していないウクライナに米軍などが駐留することはないだろう。 ウクライナは、各国の兵器の一大売買・消費市場と化す。 ロシア・プーチン大統領は、ウクライナのNATO加盟は、米国にとってのキューバ危機のようなものと表した。これは核戦争の危機を示唆している。 日本のマスコミは「ロシアの暴挙に世界が抗議している」などと述べているが、中国は、ロシアの行為を批判も非難もしていない。 ロシアの次は中国の出番となる。 ウクライナ陸軍出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ウクライナ陸軍(ウクライナりくぐん、ウクライナ語:Сухопутні війська)は、ウクライナ軍の陸軍。 旧ソ連軍のキエフ軍管区(英語版)、オデッサ軍管区(英語版)等の部隊を継承した。 2005年末の時点で、総員9万7千人(内、軍人7万8千人)。戦車×732両、装甲戦闘車両×1,713両、戦闘ヘリ×106機、火砲(100mm以上)×1,298門を保有する。 冷戦時代のソ連地上軍に倣い、ウクライナ地上軍と呼ばれることもある。兵科 機械化歩兵(ウクライナ語版)(Механізовані війська) 戦車兵(ウクライナ語版)(Танкові війська) 山岳兵(ウクライナ語版)(Гірська піхота) ロケット兵・砲兵(ウクライナ語版)(Ракетні війська і артилерія) 陸軍航空隊(Армійська авіація) 防空兵(Війська протиповітряної оборони) ― 引用終り ― 2014年、ロシアによるクリミア武力併合後、ウクライナは国防力充実に努めてきた。 さらにウクライナ東部国境周辺のロシアの脅威が高まるにつれ、ウクライナへの各国の武力援助が行われた。 米、援助の武器弾薬がウクライナに到着部隊訓練にも従事2021.12.12 Sun posted at 14:39 JST 米国務省当局者は12日までに、バイデン大統領が承認した安全保障上の援助計画に基づき小火器や弾薬を含む装備品がウクライナに到着したと報告した。 軍事援助は総額6000万ドル(約68億円)相当で、年明けには迫撃砲などの発射地点を特定するレーダー4基を含む最後の装備品がウクライナに輸送される。米国防総省のカービー報道官によると、これら援助には対戦車ミサイル「ジャベリン」など致死性の兵器も含まれた。 軍事支援はロシア軍が対ウクライナ国境周辺で進める兵力増強などを受けたウクライナの国防能力強化が目的。米はロシア軍の動きに警戒を強め、北大西洋条約機構(NATO)加盟国らと協議し、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切った場合の対応策を練ってもいる。 ― 引用終り ― 2022年1月17日、ロシアがウクライナ国境に約10万人の兵士を集結させている事態を受け、英国のベン・ウォレス国防相は、ウクライナに自己防衛のための短距離対戦車ミサイルを供給していると発表した。 一方、ウクライナの空軍力の整備は遅れている。 最新鋭のミグを迎え撃つウクライナ空軍の装備は、なぜソ連時代のポンコツなのかUkraine's 30-Year-Old Fighter Jets Hand Russia the Air Advantage in Any Warブレンダン・コール2022年1月27日 Newsweek<2014年にロシアにクリミアを奪われてから、ウクライナは戦力の近代化と増強を図ってきた。だが、東部の新ロシア派分離主義者たちとの地上戦に気を取られ、空軍力は後回しにされてしまった> 2014年にロシアに武力でクリミアを併合された後、ウクライナ軍は大きな進歩を遂げてきた。だが以前よりも訓練が行き届いた部隊や設備をもってしても、ロシアに制空権を握られている現状では、ウクライナが無防備なことに変わりはない。 ウクライナはNATOやアメリカの支援を得て、戦車や装甲車、砲撃システムの近代化を行ってきた。今では軍用車両のハンビーや哨戒艇、レーダーシステムや対戦車ミサイル「ジャベリン」などの装備を保有している。 戦闘に即応できる部隊も、8年前のわずか6000人から15万人に増えた。またキエフ国際社会学研究所が2021年12月に実施した世論調査では、ウクライナ国民の3分の1がロシア軍の侵攻に武力で抵抗する考えだった。 だが装備も覚悟も十分にあるウクライナ軍でも、航空能力で勝るロシア軍が相手では分が悪そうだ。 ヨーロッパ外交評議会(ECFR)の上級研究員であるグスターブ・グレッセルは、「特に防空能力で、ウクライナ軍には大きな不安がある」と語る。空軍の設備は「全体的に時代遅れ」 ウクライナはなぜ空軍力の強化に遅れたのか。グレッセルによれば、クリミア併合を受けてウクライナ東部で勃発したウクライナ政府軍と親ロシアの分離主義勢力の武力衝突では空軍は必要なかったからだと言う。 ― 引用終り ― 現代の先制攻撃の定石は、最初に防空能力に関連するレーダーサイト、滑走路・管制塔、対空ミサイル基地などを叩き、制空権を確保する。 2月24日、ロシア国防省は、ウクライナ空軍基地の軍事インフラを破壊し、ウクライナの防空能力を弱めたと表明した。 ロシアウクライナ防空体制制圧か国防省表明と報道ロイター編集2022年2月24日 REUTERS ロシア国防省は24日、ウクライナ空軍基地の施設を機能できない状態にし、ウクライナの防空体制を「制圧」したと表明した。ロシアメディアが伝えた。 ロシア軍は、同国軍機1機がウクライナで撃墜されたとの情報を否定した。ウクライナ軍は、ロシア機5機とヘリコプター1機をルガンスク地域で撃墜したと述べていた。 インタファクス通信 によると、ロシア国防省は「ウクライナ軍の防空設備は制圧された」とし、「空軍基地の軍事インフラは機能しない状態になった」と述べた。 ― 引用終り ― ウクライナ海軍 2014年のウクライナ騒乱から続くクリミア危機では、司令部のあったセヴァストポリが陸上からロシア軍に占領された上に、クリミア半島全体がロシアにより併合され、セヴァストポリの海軍艦艇も港を閉塞された上で制圧された。占領時点では地中海に居たヘーチマン・サハイダーチュヌィイを除く全主要艦艇がロシア軍に接収されるなど、海軍兵力が事実上消滅する事態となった。ウクライナ海軍出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 … (略) …装備艦艇 2016年8月現在。1部『Jane's Fighting Ships 2011-2012』及びウクライナ海軍ウクライナ語版Wiki及び英語版ウクライナ海軍装備リストWikiより参照。 過去に就役した艦艇については「ウクライナ海軍艦艇一覧」を参照。フリゲート・クリヴァク3型×1 ヘーチマン・サハイダーチュヌィイ(U130 Hetman Sagaidachiny) - 1993年・コルベット グリシャ型×1 ヴィーンヌィツャ(U206 Vinnitsa) - 1976年巡視船・1400M GRIF型 スカドーウシク(U170 Skadovsk)・ギザ級 (U174 Berdyansk)、(U175 Akkerman)ミサイル艇・マトカ型×1 プルィルークィ(U153 Pryluky )中型揚陸艦(LSM)・ポルノクヌイC型×1 キロヴォフラード(U401 Kirovograd) - 2001年再就役上陸用舟艇・1176「アクーラ」設計揚陸艇×1 スヴァートヴェ(U763 Svatove(旧 U430))哨戒艇・1824B型×1 ペレヤスラーウリ(U512 Pereyaslav)掃海艇・エフゲーニャ型×1 ヘニチェーシク(U360 Genichesk)練習艦・ペトルーシュカ型×3 (U540 Chigirin)、(U541 Smila)、(U542 Nova Kahovka) 772型X1 (U543 Voznesensk) СК620型X1 (U544 Титан)工作艦・アムール型×1 ドンバス(U500 Donbas)給水艦・ヴォーダ型×1 (U756 Sudak)消磁船・ベレザ型×1 (U811 Balta)設標船・スーラ型×1 (U852 Shostka)水中作業母艇・イェルバ型×1 (U700 Netisin)港内艇・各型×12 (U240 Feodosiya)、U241、U631-634、(U635 Skvyra)、U732、(U783 Illichivsk)、(U853 Shulyavka)、(U891 Kherson)、U926迎賓艇・ペトルーシュカ型×1 (U782 Sokal)消防艇・ポザールヌイ型×2 (U722 Borsziv)、(U728 Evpatoriya)曳船・各型×4 (U830 Korets)、(U831 Kovel)、(U947 Krasnoperekopsk)、(U953 Dubno)航空機・2011年6月現在。『Jane's Fighting Ships 2011-2012』より。固定翼機・アントノフ An-12 カブ×1 アントノフ An-26 カール×2 Be-12 メイル×3回転翼機・カモフ Ka-29×16 カモフ Ka-27 ヘリックスA ASW×16 ミル Mil-14 ヘイズ×5 ― 引用終り ―
2022年02月25日
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ベルリンの壁崩壊、ソ連の崩壊で、1990年代に東西冷戦構造は終結した。 ロシアは経済力の著しい低下から軍備を削減。 NATO加盟の欧州諸国も産業振興と社会福祉に注力すべく軍事費を削減。 とりわけメルケル前首相のドイツは、閣内から反対の声が上がるほど軍事予算を削減し続けた。 ドイツ空軍大ピンチ使える戦闘機は4機だけ? 背景に「財政健全化」と「大連立」2018/5/22 産経WEST … (略) … もし緊縮予算が続けば、外交にもかかわる多国間プロジェクトをキャンセルせざるを得ない-。こんなプレッシャーをかける必要に迫られるほど、ドイツの防衛費不足は切迫している。実際、英紙(テレグラフ紙電子版)ですら、空軍だけではなくドイツ陸軍においても244輌あるレオパルト2戦車のうち、戦闘行動可能なのは95輌などといった予算不足の実情をあげているのだ。 ― 引用終り ― ロシアは伝統的に国境の先に中立圏を確保したがる。だからプーチン大統領はウクライナをロシア寄りにしたがっている。ウクライナがNATO加盟することは許せない。 ウクライナ危機であらわになった深刻なNATO軍の弱体ぶり2022.2.16 政経電論「ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟など許さない」とロシアのプーチン大統領は西側を恫喝、ウクライナを包囲するようにロシア軍15万人を配置して威嚇を展開。 … (略) … プーチンの思惑に関してはさまざまな憶測が飛び交っているが、軍事的威嚇が有効と判断した理由の一つとして、NATOの弱体化が挙げられる、との指摘も。軍事均衡(バランス)が崩れた結果、「今なら通常兵力でNATOはロシアに対抗できない」とプーチンは読んだのでは……という説で事実、冷戦終結後のNATO各国の軍縮ぶりは“しすぎ”ではないかと心配してしまうほど。 世界各国の軍事力を評価する「ミリタリーバランス」(英・国際戦略研究所)の数値を基に、欧州での戦いで主役となる陸・空軍の状況を検証すると――。 今や英仏独の陸軍は陸上自衛隊より弱小 … (略) … 次に、約30年後の2020年の状況を眺めると、NATOは加盟国を30カ国に増やしたものの正規軍約323万人(うち地上軍約173万人)と1989年と比べてほぼ半減、準軍隊約76万人、予備役205万人を足した動員兵力も約604万人と2分の1に縮小し、MBT約1万2400台、作戦機約5300機とこれら主力装備も大削減。 さらにNATO主要国の軍縮ぶりを詳しく見ると、まずアメリカは地上軍約96万人(1989年、以下同じ)→約67万人(2020年、同)、MBT1万5400台→約2500台、作戦機約6100機→2900機と大削減、特にMBTは6分の1まで圧縮。なおMBT約2500台とは別に保管車両(モスボールとも言う)が約3700台あるが、それでも戦車の減り具合はすさまじい。 ドイツ(1989年時は西ドイツ)は地上軍47万人→約18万人、MBT約5050台→250台(他に保管約80台)、作戦機690機→約230機で、MBTの規模は20分の1に縮小、島国・日本の陸上自衛隊が有するMBT約580台の実に半分以下。傑作戦車を多数開発し“戦車王国”を自負したかつての栄光はない。 同国は世界最強クラスの国産MBTレオパルト2を多数有したが、冷戦終結後は無用の長物として大半を海外に売却。 同様に隣国オランダも同車を装備していたが、ドイツと二人三脚で外国に転売、その結果MBTは920台→0台に。MBTを全部手放し戦車部隊も解散した大陸国の例は世界でも極めて珍しい。 フランスも地上軍約29万人→約12万人、MBT約1340台→約220台、作戦機約690機→約250機と大軍縮。特に地上軍兵力は日本の陸上自衛隊約15万人をも下回り、かつての“陸軍大国”の面影はない。 イギリスは地上軍約16万人→約8万人、MBT約1300台→230台、作戦機約700機→230機と大ナタが。そもそも戦車を発明した国で、国産のチャレンジャー2戦車を装備するが、残念ながら後継戦車の独自開発を放棄する方向に。 つまりアメリカはともかく欧州のNATO主要国はいずれも兵力はギリギリの状態で、「とてもウクライナのために大部隊を動員など不可能」というホンネが聞こえてきそう。 ロシアのMBTは1万4000台以上 これに対し2020年のロシアは正規軍約90万人(うち地上軍約33万人)、準軍隊約55万人、予備役約200万人を加えた動員兵力約354万人、MBT約3400台、作戦機約1400機。この数字を見る限り、ロシアも陸空軍戦力を数分の1に落としたと見ていい。このため「NATO戦力が極端に弱小とは思えないが」と見る向きも。欧州のような広大な平地が続く地域での陸上戦ではMBT戦力がポイントとなるが、これを踏まえると、いくつかの但し書きが付く。 まずNATOの主軸、アメリカの欧州駐留部隊が大幅縮小された件。1989年に最前線の西ドイツに展開する米陸軍は20万人を超えMBT約5900台を配備。英陸軍も兵員約7万人、MBT約1000台を派遣した。だが現在、駐独米陸軍の規模は2万人強にまで減りMBTも推定50台レベル。イギリスもほぼ全面撤収の状況で現在の兵力は200人余り。 … (略) … これに対しロシアのMBT戦力は前述した約3400台に加えて、実は1万台以上を保管中と見られ、合わせると約1万4000台に跳ね上がり、欧州にあるNATOのMBT戦力を軽く上回ってしまう。「仮にロシア軍戦車部隊をウクライナに攻め入らせてもNATOが戦車部隊で対抗できない」と、プーチンが読んだとしても不思議ではない。 ― 引用終り ― 戦力に優るからと言って戦争で解決しようとするほどプーチン大統領は愚かではないと信じたい。ソ連のアフガン紛争介入の悪夢を知っているからだ。 だが、長期政権で数多くの内憂を抱えるプーチン大統領は、簡単に引き下がるわけにもいかない状況にあるのも事実。
2022年02月23日
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インドネシアは韓国のKF‐21開発に参加し、開発費用の20%の1兆7300億ウォン(約1670億円)を分担するこなっていた。 実際は、2200億ウォンだけ納付し、経済難を理由に2021年末基準で滞納額は8000億ウォンに達した。 韓国の開発費用の納入要求についての交渉の末、2026年までに当初約束した開発費用全額を出す代わりに、その30%を天然資源などの現物で納付することとした。 インドネシアは2022年現在、米国製のF-16とロシア製のSu-27およびSu-30を主力戦闘機として運用している。 多くの国々はメンテナンス、パイロット育成などの点から、各々の機体の発展型を採用することが多い。 事故の多発する旅客機もそうだが、維持管理の概念が乏しいインドネシアは新たにフランス製・ラファール戦闘機の購入契約をした。 米露両方の戦闘機使うインドネシア仏「ラファール」戦闘機の購入を決定 ダッソー2022年2月12日 乗りものニュースそんなにバラバラで運用大丈夫…?着々と増える「ラファール」導入国 フランス航空機メーカー、ダッソー・アヴィエーションは2022年2月10日(木)、インドネシアが「ラファール」戦闘機42機の購入を決め、うち6機について売買契約を締結したと発表しました。 インドネシアの首都ジャカルタで行われた調印式典には、インドネシアのプラボウォ・スビアント国防大臣と、フランスのフロランス・パルリ軍事大臣が見守るなか、インドネシア国防省のユスフ・ジャウハリ国防施設庁長官と、ダッソー・アビエーションのエリック・トラッピエ会長兼CEOが、互いに契約書へ署名しています。 今回のインドネシア空軍の「ラファール」購入契約には、ダッソー・アビエーションがいくつかのインドネシア空軍基地の後方支援に関与することや、フルミッションシミュレータ2基を備えたトレーニングセンターを立ち上げることなどが含まれているとのこと。 また、ダッソー・アビエーションおよび「ラファール」生産のパートナー企業であるサフラン・エアクラフト・エンジンズやタレスが所有する各種テクノロジーなどに関して、インドネシア産業界に実質的なリターンをもたらすことが盛り込まれているそうです。 ― 引用終り ― ダッソー・ラファールは、フランス空・海軍の現用主力戦闘機。ラファールはフランス語で「疾風」、「突風」。 1970年代から英、西独両国とともに「欧州戦闘機計画」(ECA)を進めていたフランスは、1985年にこのプロジェクトを離脱し、自国の戦術的要求を徹底追求した次世代戦闘機ラファールを完成させた。 ECAは後にスペイン、イタリアが参加し、ユーロファイター・タイフーン戦闘機として結実した。 自国の戦術的要求の実現と雇用確保のため国産戦闘機を生み出したフランス政府、ダッソー社は、雇用の維持と開発費の償却のため、ラファールの売り先を探すことになった。 採用国は、インド、エジプト、カタール、ギリシャ、クロアチア、アラブ首長国連邦。 インドネシアは、2021年6月7日、ダッソーとの間で36機購入に向けた初期契約に署名した。 インドネシア・防衛事業庁は「インドネシアがラファールを購入してもKF-21開発に及ぼす影響はない」という立場を明らかにしてきたが、初の韓国産超音速戦闘機KF-21の開発に参画して、その実態に恐怖したのではと思われる。 韓国の国産兵器は、数々の致命的欠陥を露呈してきた実績があり、KF-21の開発に関しても、不可能を実現しようとしていることが明らかになったのではと想像する。
2022年02月20日
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ロールス・ロイス(英: Rolls-Royce)は、1906年3月に英国・マンチェスターで設立された。 トップブランドとして名をはせたロールス・ロイスは、現在以下の2社に分かれている。 ・ロールス・ロイス・ホールディングス 1973年に設立され、航空機エンジンや船舶・エネルギー関連機械などを製造・販売している英国のメーカー。 ・ロールス・ロイス・モーター・カーズ ドイツ・BMWが1998年に設立した、ヴィッカースから「ロールス・ロイス」ブランドを引き継いで乗用車を製造・販売している自動車メーカー。 1998年、ロールス・ロイス・モーターカーズ社は、英国南部、ウェスト・サセックス州グッドウッドに設立された。 紆余曲折を経て、複雑に権利を分割して譲渡されたロールス・ロイスの自動車製造・販売部門は、2003年1月、ドイツ・BMWの所有となった。 ロールス・ロイスのブランドが2社となった発端は、1960年代の経営悪化とその後の国有化にある。 乗用車製造における技術革新の遅れ、そして新たに開発・発売した航空機用ジェットエンジン「RB211」による損失の拡大などのためにロールス・ロイスの経営は悪化を続け、1971年4月に経営破綻。英国政府により国有化された。 1973年、国有会社となっていたロールス・ロイス社のうちベントレーを含む自動車部門が分離され、英国のヴィッカースに譲渡された。この自動車部門が、ロールス・ロイス・モーターズ (Rolls-Royce Motors)となる。 国有企業として残存したロールス・ロイスは、航空機用エンジンや船舶の製造などを行っていた。1988年、再度民営化され、ロールス・ロイス・ホールディングスとなった。 経営破綻の主な要因となったRB211エンジンは、推力37,400から60,600重量ポンド(166から270KN)の大出量・高バイパス比、世界初の3軸式ターボファンエンジン。原型は1972年に運航を開始したロッキード L-1011 トライスター向けに開発され、当初は同機のみに使用された。 RB211は後に国際民間航空機用エンジン市場で低シェアに留まっていたロールス・ロイスを主要エンジンメーカーに成長させる原動力となった。RB211の派生型は、ボーイング747、ボーイング757、ボーイング767、ロシアのツポレフ Tu-204に搭載された。 開発費高騰の主因となった3軸式レイアウトは、一般的な2軸式ターボファンより軸受機構が複雑化するが、圧縮機設計を最適化できるため、設計次第でエンジン全体として同規模の2軸式エンジンと同じ性能で小型軽量化、高剛性・低騒音化、高性能・高信頼化できる可能性がある。 高圧、中圧、低圧を担う3軸ユニット各々の規模を拡大縮小する事で、多様な推力・燃費・騒音などの性能とすることができる。 RB211は、1990年代に後継機種の高バイパス比3軸式ターボファンエンジンのトレントファミリーに置き換えられて現在に至っている。
2021年12月11日
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中国は元来海軍国ではない。 国が経済的に成長して強国となり、中国共産党・人民解放軍は、米国と一戦交えても勝機があると考えているのだろうか。 タクラマカン砂漠にミサイル標的用と思しき可動式の米海軍艦の実物大模型を作成した。 中国軍が米空母の実物大模型ミサイル訓練用の標的か2021年11月8日 ロイター 中国人民解放軍が、空母など米海軍の軍艦の形をした実物大模型を作成したことが、衛星写真の画像で7日明らかになった。ミサイル訓練用の標的として作成された可能性がある。 台湾問題や南シナ海問題を巡って米国との緊張が高まる中、対空母能力を高めることが狙いとみられている。 Maxar社の衛星写真によると、新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠に、米海軍の空母や少なくとも2隻のアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦の形をした実物大模型が作成されている。 船舶の形をした1つの標的の下には6メートル幅のレールが敷かれており、専門家は動く艦船のシミュレーションに利用するためではないかと指摘している。 米海軍協会によると、この地域では過去に弾道ミサイルの実験が行われている。 中国の対艦ミサイル計画は、人民解放軍ロケット軍が監督。 米国防総省の最新の年次報告書によると、ロケット軍は2020年7月に南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島北方の海域に向けて対艦弾道ミサイル「DF-21」6発を実射したことが初めて確認されている。 ― 引用終り ― 石油支配を中心とした米国の資源外交は、大きく転換を迫られている。 揺らいでいる覇権国家の座を、中国とロシアが狙っている。 世界が不安定化し紛争が多発すると、地球の生命と環境を維持することに全く関係のない炭酸ガス排出量が増加する。 SDGsや地球温暖化防止を唱えられる一方で、中国、米国、ロシアは、軍隊の装備品、演習などの訓練で大量の炭酸ガスを排出している。 脱炭素の道、世界平和実現への道は険しい。
2021年11月23日
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ロシアのプーチン大統領は2018年3月1日の年次教書演説で、極超音速滑空ミサイル「アバンガルド」の開発を発表した。 アバンガルドは、重ICBMに搭載して発射された後、搭載するスクラムジェットエンジンで加速して、マッハ20以上の極超音速飛行を行う。 防衛不可能な兵器の出現に米国の軍関係者は大きな衝撃を受けた。 極超音速兵器は、音速の5倍以上の極超音速で飛行するミサイル、滑空体を指す。 弾道ミサイルから分離された弾頭が標的まで滑空・飛行する「極超音速滑空体」と、スクラムジェットエンジンなどの技術を利用した加減速可能な「極超音速巡航ミサイル」がある。 弾道軌道ではない低い軌道を飛び、高い機動性があることから、現行のシステムでは探知や迎撃が困難とされる。 東西冷戦時代、ソ連はミサイル防衛システムを回避するために弾道ミサイルより低い軌道で飛び、核兵器を搭載できる軌道爆撃の「部分軌道爆撃システム(FOBS)」を開発していたが、極超音速兵器はさらに低い高度を飛行し、迎撃はより困難となる。 米軍、極超音速兵器の実験に成功中国やロシアとの開発競争が続くワシントン=高野遼2021年10月22 朝日新聞 米海軍は21日、陸軍と合同で実施した極超音速(ハイパーソニック)兵器の実験に成功したと発表した。実験はバージニア州の米航空宇宙局(NASA)の施設で20日に行われた。音速の5倍(マッハ5)以上で飛ぶ極超音速兵器は、中国やロシアとの間で開発競争が進んでいる。 発表によると、今回の実験は極超音速技術を現実的な運用環境で試験したもので、3発のロケットを打ち上げたという。 海軍は「極超音速ミサイルの開発において重要な一歩だ」としている。 ― 引用終り ― ロシア、米国とともに核兵器大国・中国も極超音速兵器の開発をすすめていた。 極超音速兵器、開発競争が過熱=中ロ先行米国に焦燥感―戦いの在り方変える可能性2021/11/08 JIJI.COM 変則軌道で低空を高速飛行し、標的を攻撃する極超音速兵器の開発競争が各国で過熱している。 従来のミサイル防衛網では迎撃困難とされる極超音速兵器は、戦いの在り方を変える「ゲームチェンジャー」になり得るとも指摘され、中国とロシアは米国の軍事的優位性を覆そうと開発に奔走。後れを取った米国は焦りをにじませる。 ◇第1グループ 「『スプートニクの瞬間』に極めて近い」。 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は先月、中国が8月に行ったとされる極超音速兵器の実験を1957年のソ連による世界初の人工衛星打ち上げになぞらえ、開発で先んじられた驚きを表現した。 中国は2014年から実験を開始した。建国70年に当たる19年の軍事パレードで、極超音速滑空ミサイル「東風17」を初公開。昨年、東風17を実戦配備したとされる。 中国による8月の極超音速兵器の実験は、旧ソ連が開発した「部分軌道爆撃システム」(FOBS)との類似性も指摘されている。ロケットで打ち上げられた後、地球の低周回軌道を回り、標的に向けて滑空。米軍が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の飛行経路として警戒する北極側ではなく、南極側からの米本土攻撃も可能になる。 軍事専門家の宋忠平氏は中国紙・環球時報で「極超音速兵器の開発では中ロが第1グループ、米国は第1グループに入ろうとしている」と進捗(しんちょく)に自信をのぞかせた。 ◇ロシアも実戦配備 ロシアも米ミサイル防衛網の無力化を狙い、開発に乗り出した。ウクライナ危機や米大統領選介入をめぐって欧米との関係が悪化する中、プーチン大統領は18年の年次教書演説で極超音速滑空ミサイル「アバンガルド」の開発を発表。「いかなる防空・ミサイル防衛手段でも対処できない」と豪語した。 ロシアは射程1000キロ超の海上・潜水艦発射型の極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」も開発中だ。 プーチン氏は今月3日、既に中部オレンブルク州のミサイル部隊に実戦配備されているアバンガルドに加え、来年からツィルコンの配備を始める意向を表明した。 ― 引用終り ― 地球人類を全て破滅させるような「悪の帝国」がないことが前提となるが、核兵器大国である、ロシア、米国、中国では、最終兵器の保有はパワーバランスの決め手になりにくい。 だが小国が持つと外交交渉上の効果は大きいと思われる。 1996年2月12日、日本の宇宙開発事業団(NASDA)は、HYFLEXで極超音速飛行実験を実施した。 2016年5月23日、インドの宇宙研究機関が極超音速飛行実験機RLV-TDを打ち上げた。 2021年9月、北朝鮮は兵器開発機関である国防科学院が極超音速ミサイルの発射実験を実施したと発表。 北朝鮮メディアによれば、実験では燃料部分の安定性も確認され、移動式発射台を使って任意の場所から撃てる能力を着々と向上させている。
2021年11月22日
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ナチス・ドイツは多くの世界に先駆けた兵器の研究開発を行った。 当時の技術で実用化されたものも数多い。 ヘンシェル Hs 293は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツが開発した世界初の動力付き誘導爆弾、世界初の対艦ミサイル。 設計はヘンシェル社のヘルベルト A. ワーグナー教授。 小型機の機体下部に過酸化水素を使用する液体ロケットエンジン(ヴぁルター機関)を装備。母機より高高度から投下後、視程内で無線による手動操縦で誘導し目標に命中させる方式。 炸薬量295kg、全長3.82m、全幅3.1m。 1941年11月に量産開始、1943年8月にHs 293Aとして作戦配備。 一定の戦果を挙げたものの、通常の爆風爆弾だったため、貫徹力が低く対艦攻撃に威力不足だったとされる。 運用上の主な問題点は下記の通り。・誘導のために母機が一定のコースを飛行するため、対空砲火などに対して母機が危険回避できない。・ミサイル氷結の根本的な解決ができなかった。・敵艦の船体下部を狙って水中に入ると多くの場合軌道が変わる。
2021年11月22日
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B-52は1952年初飛行、1955年就役開始。 現用のB-52Hは、1961年に配備が開始されたが、このたび換装されるエンジンが決定し、2050年までの延命が確実になった。 どこから数えても軍民通じて超長寿機。 「成層圏の要塞」の異名持つ米B-52戦略爆撃機2050年以降も飛ぶため新型エンジンへ2021年9月26日 乗りものニュース B-52の新エンジンはロールス・ロイス製になるようです。 あと30年現役で飛び続けるために イギリス企業ロールス・ロイスは2021年9月24日(金)、アメリカ空軍のB-52H「ストラトフォートレス」戦略爆撃機向けの新型エンジンに、子会社ロールス・ロイス・ノースアメリカが提案していた「F130」エンジンが採用されたと発表しました。 … (略) … ロールス・ロイスによるとBR725/F130は燃焼効率や環境性能に優れているほか、静音性も高いのが特徴とのこと。BR710シリーズと合わせてすでに3600基以上生産されており、アメリカ空軍は26億ドル(1ドル110円換算で約2860億円)かけて608基のF130を調達する計画だとしています。 ― 引用終り ― B-52のエンジンは、長大な航続距離と、常時上空配備に優れる長滞空時間の要求にこたえるため、ターボプロップエンジンで構想されたが、当初のB-52Aはターボジェットが搭載された。 1955年に配備が開始されたB-52Bでは、エンジンがアップグレードされた。 1958年5月初飛行のB-52Fから、プラット&ホイットニー(P&W)ターボジェットJT3Cの軍用版のJ57-P-43Wに換装された。 1960年7月初飛行、1961年配備開始のB-52HでエンジンをP&W J57ターボジェットから、より燃費のよいP&W TF33ターボファンに換装された。 そしてこのたび、燃焼効率がよく、環境性能に優れ、静音性が高いロールスロイスF130への換装が決まった。 超音速性能もなく、高いステルス性もない、航続距離と搭載量が大きいB-52戦略爆撃機 は、1955年に運用が開始されて以降、米空軍の戦略爆撃機の主力となっており、今後もその位置づけに変化はないようだ。
2021年10月26日
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ツェッペリン飛行船の開発者フェルディナント・フォン・ツェッペリンは、自身のための近代的な自動車を設計したヴィルヘルム・マイバッハの提案を受け入れて設立したLuftfahrzeug-Motorenbau(ルフトファールツォイク・モトーレンバウ)が「マイバッハ」ルーツで。 起業の目的は航空機エンジンの開発・製造だったが、その技術をベースに自動車や船舶のためのエンジン開発も視野に入れていた。■飛行船用エンジン 「マイバッハ」のエンジンでは、ツェッペリン飛行船用エンジンが有名。 1910年に登場した初期のAZ型で排気量2万500cc、水冷直列6気筒160psの当時としては大出力エンジンだった。 飛行船用エンジンの最終型VL2型では水冷V型12気筒3万3250ccへと発展した。 ■陸舶用ディーゼルエンジン 「マイバッハ」の陸舶用のディーゼルエンジンの最初のモデルは1919年の1万5000ccの直列6気筒のG1型。船舶や鉄道用として設計されたが試作のみに終わった。 ディーゼルエンジンの最初の量産機は1927年のG4b型。これはG1型の量産仕様で小型のディーゼル機関車や船舶用として使用された。 ディーゼルエンジンシリーズはV型12気筒ギアトレインカムドライブSOHCのGOシリーズに発展。 GOシリーズは、初期のGO5型4万2400ccの排気量から410psを発揮し、1930年代当時の画期的な高出力エンジンとなった。 第二次世界大戦の激化で試作のみに終わった最終発展型のG7は、ヘミスフェリカル燃焼室にターボ過給機を組合わせ750psを発揮するの高出力機だった。 ■軍用車両用エンジン(6気筒) 「マイバッハ」の重要な分野で大戦後の衰退の理由のひとつとなったのが軍用車両用エンジン。 この分野に参入したのは飛行船専用エンジンから撤退した後、再軍備宣言を経た1934年以降。 初のモデルNL52TUは5200ccの直列6気筒SOHCで120ps。これが初期の戦車用試作エンジンに用いられた。 1935年の3500ccの90psのNL35スペチアルはビュッシングが設計した5トンハーフトラックの試作機用エンジンとして採用された。 出力不足を指摘されたため排気量を3800cに拡大、100psにパワーアップしたNL38TUKが量産型に採用された。 この直列6気筒シリーズは1935年のHL57TR、1936年のNL38TU、HL62TUK、1937年のHL54TUKRM、1940年のHL66Pとバリエーションを拡大し、デマグの1トンハーフトラック、ハノマグの3トンハーフトラック、ビュッシングの5トンハーフトラック、クラウスマッファイの8トンハーフトラック、その他Sd.kfz250/251シリーズのハーフトラックに採用された。 メルセデス・ベンツ製12トンハーフトラックもマイバッハの自動車用V型12気筒8000cc、DSO8を搭載した。「マイバッハ」の優位性が分かる。 当初クルップ製エンジンを搭載していたI号戦車の改修用およびII号戦車用エンジンとして採用されたのもこの6気筒シリーズ。 ■軍用車両用エンジン(12気筒) 軍用車用直列6気筒シリーズに続いてV型12気筒シリーズがほぼ同時期に試作された。 1935年、1万cc、HL100TRが試作機として製作された。 1937年、量産機の1万2000cc、HL120TRMが完成。 300ps前後の最高出力のこのモデルがIII号戦車とIV号戦車と突撃砲などの各々の派生型のエンジンとなった。 1938年、HL85TUKRMと1万800ccのHL108TRが追加された。 前者はメルセデス・ベンツの12トンハーフトラックの改修用。 後者はファモ製の18トンハーフトラック用。 一部はIII号戦車とIV号戦車に搭載された。 1941年、排気量を2万1350ccに大幅拡大したHL210Pが製作に入った。 V号パンターとVI号ティーガーIの初期型に搭載された。 このシリーズは排気量をさらに拡大した2万3000ccのHL230Pに発展した。 パンターの後期型とティーガーIの後期型(ティーガーIIも含む)に搭載された。 タイガーIの初期型は、HL210-P45というV型12気筒の水冷式ガソリンエンジンで、排気量21L、最高出力は650ps。 パワー不足が問題となり、排気量を23Lに拡大した700ps版のHL230-P45に換装された。 同じ性能のまま小型軽量化したP30型は、ほぼ同期に開発された45トンのパンサー戦車に搭載され、良好なバランスで高い運動性能を提供している。 700psとなったHL230シリーズでも、タイガーI型の重量(57トン)は負担で、最高速度は38km/h(パンサーは55km/h)にとどまった。 不整地や障害を乗り越えることの多い戦車は最高回転まで引っ張ることが多く、全開運転による故障が頻発した。そのため、ガバナー(回転リミッター)により最高回転数を500rpmダウンし、最高出力を600psまでに抑制し、耐久性を維持した。マイバッハ HL230 P30 主要諸元●水冷 60度V型12気筒・OHV●排気量:約23.9L●最高出力:700ps/3000rpm (のちに600ps/2500rpm)■「マイバッハ」エンジンの特徴 飛行船用エンジンにルーツを持つこれらのエンジンは、いずれもアルミ合金製シリンダーブロック&シリンダーヘッドで構成され、この時代には珍しいオール・アルミ・エンジン。大出力で出力重量比が大きいエンジンは、自動車用エンジンではなく航空機エンジンをベースにしていることが多く、戦車にも有利にはたらくエンジンの「軽量化」「(出力に比して)小型化」は、価格より重視されるポイントだった。 構造上の特徴はクランクシャフトのメインベアリングジャーナル。 一般にクランクシャフトのメインベアリング径は、クランクシャフト自体とほぼ同じ。 マイバッハは、大出力、大トルクを受け止めるべくメインベアリング径がカウンターウエイト径とほぼ同じで、カウンターウエイト自体がジャーナル部分と一体化していることが特徴。 ジャーナル径を増やすとベアリングに対する面圧が下がり耐久性が向上する。 このような構造を採用すると、ベアリングまわりのフリクションロスが大きくなる。 低回転型の大型エンジンであるため、フリクションロスより、耐久性の向上を優先したのだろう。 当時のドイツのガソリンはオクタン価が低く、高回転高出力を成立させることは難しく、低回転高出力を選択するのは適切。 ドイツ空軍のBf109に採用されたダイムラーベンツDB601もオクタン価の高い燃料が手に入りにくいドイツの燃料事情に合わせ高圧縮低回転型で設計されている。 DB601Aは離昇出力1,050HPを2,450rpmで発生する。 燃料事情が悪いのは、大日本帝国も同じ。 うまく回らない高性能エンジンとして有名な中島飛行機の「誉」は、高オクタン価の燃料使用を前提に、離昇回転数をベースとなった栄二一型の2750 rpmから3000 rpmに引き上げていた。
2021年10月03日
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マイバッハは、1909年、ドイツで創業したエンジンメーカー。 高級車メーカーとなった時期を経て、1966年、ダイムラー・ベンツの傘下となり、1969年にはMotoren und Turbinen Union(MTU)と改名された。 2002年、ダイムラー・クライスラー(現ダイムラー)のメルセデス・ベンツの最上級ブランドとして復活した。 2021年7月1日、メルセデス・ベンツから2台の新型モデルが発表された。 「メルセデス・マイバッハSクラス」と「メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC」。 価格は、「メルセデス・マイバッハSクラス」が2648万円/3201万円、「メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC」が2729万円。 メルセデス系列の“マイバッハ”は「メルセデス・ベンツ」の最上級グレードから、別ブランド「メルセデス・マイバッハ」になった。 新型「メルセデス・マイバッハSクラス」が日本上陸612PS を誇るV12エンジンもラインナップ2021.07.01 webCG メルセデス・ベンツ日本は2021年7月1日、新型「メルセデス・マイバッハSクラス」の日本導入を発表した。同日、注文受け付けを開始し、納車は同年11月以降を予定している。 「Sクラス」をベースに全長を180mm延長 マイバッハSクラスは、メルセデス・ベンツの新型「Sクラス」のロングホイールベースモデルを基に開発された。ボディーサイズは全長×全幅×全高=5469×1921×1510mm、ホイールベースは3396mm(欧州仕様車)で、同5289×1921×1503mm、同3216mmとなるSクラスのロングホイールベース車(欧州仕様車)よりも180mm長く、7mm高い。ホイールベースの延長分はすべて後席部分の拡充にあてられ、ゆとりを増した後席の居住空間は、ショーファードリブンカーにふさわしいものとされた。さらにCピラーを垂直に近い角度に設定することで、乗降のしやすさにも配慮したという。 ― 引用終り ― ■「マイバッハ」の誕生 「マイバッハ」はベンツのガソリンエンジンの自動車の創設期に多大な貢献を果たし、後に自動車メーカーとして独立する技術者の名前。 メルセデス・ベンツを離れたヴィルヘルム・マイバッハと、その息子カール・マイバッハは、1921年に第1号車を発表した。当時の最先端の優れた技術と豪華な室内、斬新な設計とデザインを備えた「マイバッハ」は、技術の粋を尽くした超高級車だった。 その後、マイバッハは超高級車のブランドであった。 同時に自動車以外の様々な分野のエンジンの開発、製造を手がけた。 第二次世界大戦後は活動を縮小し、1961年からは現在のメルセデス・ベンツの傘下となった。
2021年10月03日
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55口径の120㎜砲を備え、小型高出力の画期的パワーパックを装備韓国国産戦車K2は、仮想敵国日本の10式戦車を優に凌ぎ「世界最強」の主力戦車。 のはずだが、開発開始から20年以上たっても、まともに動かない。 韓国軍はK2戦車の三回目の発注・生産をおこないます2020年12月30日 2020年12月30WorldTankNews 現代ロテムが2020年12月22日に発表した情報によると、同社は韓国軍の主力戦車K2ブラックパンサーの3番目のバッチを生産する契約を韓国防衛庁から獲得しました。 K2主力戦車は2008年に開発され、2010年から量産を開始。2015年に最初のバッチ100輌を納入。2014年には2回目のバッチとして106輌が発注され、2021年まで納入が完了される。今回の契約はこれらに続く3回目のバッジになが、調達数は明らかにされていない。 ミリタリーバランス2020によると、韓国軍の現在の主力戦車の数は2,221両で、K2の前身であるK1戦車のK1/K1Eが1,000両、K1A1/K1A2が484両、そして、K2が100両、アメリカのM48パットンが597輌にソ連製のT-80Uが40両ある。ベトナム戦争時に使われた古いM48はK2に置き換えられる。 ― 引用終り ― 国産パワーパックが間に合わずパワーパック(エンジン、ミッションなど)をドイツから輸入した。 にも拘わらず、エンジンと変速器の制動圧力が非正常作動したり、下り坂でエンジン速度が3000rpmまで上昇するなど計24件の欠陥が発見された。 2014年9月、完成したとは言い難い国産のパワーパックができた。 このパワーパックは合同参謀本部が設定した「0→32 km/h加速が8秒以内」という作戦要求性能(ROC)を満たすことが出来ず8.7秒だった。そこで、0→32 km/h加速のROCを10秒に引き下げ基準を満たしたこととした。 韓国の新型K2戦車、泥沼の裁判沙汰へ性能不足で軍とメーカーが対立2017/7/18 産経新聞 韓国の新型戦車「K2(黒豹=フクピョ)」の開発が失敗に終わろうとしている。 開発開始(1995年)から20年以上たつものの、エンジンの大出力を駆動系に伝える変速機の開発がうまくいかず、試作品は国(防衛事業庁)の試験に落第また落第。ついに変速機の生産メーカーS&T重工業が「試験方法や性能要求が厳しすぎる」として防衛事業庁を訴えたのだ。 現地メディアによるとS&T社は本訴も予告しているといい、国産戦車開発は泥沼にはまり込んだ格好だ。(岡田敏彦) 赤点は誰のせい? 訴訟トラブルは6月末に明らかとなった。韓国通信社の聯合ニュースなどによると、K2戦車の変速機を開発していたS&T社が変速機の耐久試験にギブアップしたのだ。 S&Tの主張は「韓国の国防規格は、走行距離が9600キロに達するまで欠陥があってはならないことを意味している。この耐久試験中に欠陥が発生した場合、最初から試験をやり直さなければならない」というもの。 同社では試験に時間がかかるとし「このままでは試験を無限ループするしかない」とし、国防規格や試験方法の変更を求めたが受け入れられなかったとして、再試験中断を求めソウル中央地裁に仮処分申請を出したことを6月30日に明らかにした。 ― 引用終り ―
2021年10月02日
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邦人のアフガン出国支援のため航空自衛隊美保基地(鳥取県)を出発した、C2輸送機が、アフガニスタンに隣接するパキスタンのイスラマバードに到着した。 C2輸送機、パキスタン到着後続2機と輸送活動へ2021/8/24 共同通信 イスラム主義組織タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る邦人らの退避支援のため、24日未明に鳥取県の美保基地を出発した航空自衛隊のC2輸送機は日本時間の同日夜、アフガン隣国パキスタンの首都イスラマバードの空港に到着した。関係者への取材で分かった。 C130輸送機2機も埼玉県の入間基地から那覇基地経由で出発。3機はイスラマバードを拠点として週内にも邦人輸送を始めるとみられる。 C130は、アフガンの首都カブールの空港とイスラマバード間をピストン輸送する。 C2は、拠点整備に当たる隊員や機材の運搬などを担う。 政府は政府専用機1機の追加派遣を調整している。 ― 引用終り ― 日本時間の8月26日夜、退避希望者数百人が20台以上のバスに分乗し首都カブールの空港に向けて出発したものの、空港付近で発生した大規模な爆発により、移動を断念。 27日午前、加藤官房長官は、アフガニスタンからの邦人らの退避について、「情勢は流動的で、予断を許さない状況にあるが、努力をさらに継続していきたい」と述べ、中止しない方針を表明した。 27日の閣議後会見で岸信夫防衛相は「実質的には今日くらいの活動を考えている」と述べた。空港周辺でのテロ事件もあり、継続は難しいと判断した模様。 31日、防衛省は、日本人などの退避のためアフガニスタンへ派遣した自衛隊の部隊撤収を決定し、岸信夫防衛相が輸送任務の終了を命じた。 日本人1人のほか、アフガニスタン人十数人を隣国のパキスタンへ運んだ。 C-2輸送機 C-2輸送機は、航続距離の短かすぎるC-1の後継機として防衛省技術研究本部と川崎重工業がC-Xの計画名で開発し、川崎重工業が製造するターボファンエンジン双発の国産輸送機。 ジェットエンジンは、ゼネラル・エレクトリック(GE)のCF6-80C2K1F型エンジン(推力:約27.9t)とナセルシステムを採用した。 2016年6月30日、運用開始。敗戦後の日本が自主開発する機体としては過去最大のサイズ。 C-1と比較し全長は1.51倍、全幅は1.45倍、全高は1.42倍、空虚重量は2.5倍、最大積載量は3.75倍、最大速度は1.2倍、エンジン合計推力は約4.24倍。 最大の懸案である航続距離は、C-1が有効積載量2.6t搭載時に約1700km、C-130Hは5t搭載時に約4,000kmなのに対し、XC-2(C-2の試作型)は12t搭載時に約6,500km。 同時期に開発されたP-1哨戒機と、機体では操縦席風防、主翼外翼(全体の3分の1)、水平尾翼、システムでは統合表示機、慣性基準装置、飛行制御計算機、APU(補助動力装置)、衝突防止灯、脚揚降システムコントロールユニットの共通化を図り、機体重量比で約15パーセントの共通部品、搭載システム品目数で約75パーセントの共通装備とし、開発費の低減をはかっている。 C-2も海外販売の話があるが、いっこうに成約しない。 軍用機の多くは、「プロダクト アウト」。コストパフォーマンスの基準は、性能より。 新幹線だけでなく、日本の兵器も払う方の価値基準が考慮されていないため、「価格が高すぎて」売れない。 必要とされる機能を備えた製品を、廉価で提供することも大切な技術であることに気付かない限り、高機能・高価格なメイドインジャパンは、売れない。 哨戒機「P1」と輸送機「C2」の値段は高くない。海外からの受注は?川崎重工・下川役員に航空機事業の成長戦略を聞く2019年08月24日 ニュースイッチ
2021年09月05日
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韓国の次世代戦闘機が姿を現した。 といっても外見だけのモックアップでスペックも不明。 ブラックボックスを開けた実績豊富で、アビオニクスや多分火器管制装置、飛行制御システムは国産品を用いざるを得ない。 韓国の国産品の実力は不明だが、よかったためしはなかった。 今度こそ……? KF212021年4月9日 EPA 時事 韓国の次世代戦闘機で、2010年にインドネシアと共同開発することで合意し、プロジェクトがスタートした。 写真は21年4月に公開された試作初号機で、22年度中の初飛行を目指している。 初号機のお披露目まで「KFX」と呼ばれていたが、制式名称がKF21、愛称がポメラ(鷹)であることが明らかになった。 機体のスペックが明らかにされていないため、性能については分からない部分が多いものの、エンジンはF/A18スーパーホーネットが搭載しているものと同系列で、米ゼネラル・エレクトリックグループのGEアビエーション社製F414GE400を装備することが決まっている。 横から見ると米ロッキードマーチン社製F35に似ているが、KF21はエンジン2基を装備する双発機で、機体はかなりの大型になる。 韓国政府はアビオニクスなどに国産製品を多用する方針だが、米国からの技術移転で課題があり、実用配備がいつになるかは見えていない。 ― 引用終り ― F-35のような外観を呈しているが、一般にステルス機は飛行中不安定で、高度な飛行制御システムが必須と考えられている。 この部分が韓国産で制御が十分でないものであれば、致命的となる。 こいう心配が杞憂ではないので「韓国性兵器」は恐ろしい。 飛べなければ、堕ちることもないのだが……。
2021年07月30日
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巨費を投じて海軍力の充実をすすめる中国は、電磁カタパルトを装備する予定の3隻目の空母にステルス艦載機を搭載することを目論んでいるらしい。 ステルス艦載機開発か「空母ビル」に新模型―中国2021年06月12日 JIJI.com 中国で建造中の3隻目の空母(推定排水量8万トン超)に、第5世代ステルス戦闘機「殲31(別名FC31)」が配備されるという見方が強まっている。殲31は米軍や自衛隊などが運用する最新鋭機「F35」に似ており、艦載機にするための改良が進んでいるとみられる。 殲31は2012年に試験飛行が行われた。性能はF35に匹敵すると中国メディアは報じているが実態は不明。 殲31の艦載機採用の観測が高まっているのは、湖北省武漢市にある空母の形をした建物の上に殲31に似た模型が設置されたためだ。この建物は「空母ビル」と呼ばれ、空母の研究や開発に利用されている。 新たな模型は10日、カバーに覆われていたが、2枚の尾翼が傾く殲31の特徴がうかがえた。共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、新しい模型が空母ビルに現れたことに関し「(殲31の模型であれば)殲31の改良型が、新型空母用の艦載機開発で筆頭の選択肢となる可能性がある」という分析を伝えた。 中国初の空母「遼寧」と2隻目の「山東」に搭載されている「殲15」は、設計上の欠陥があるともいわれている。遼寧と山東は反り上がった船首から艦載機が発艦するスキージャンプ式で、殲15は「ほとんど武器を積めない」(日本の軍事専門家)と指摘される。殲15の弱点を克服して殲31が配備されれば、中国の空母戦力は大幅に向上する。 3隻目の空母は年内にも上海で進水し、25年ごろ就役する見通し。動力は原子力ではなく通常型だが、米軍の最新鋭空母「ジェラルド・フォード」に導入された、艦載機を効率的に射出する電磁カタパルトが採用されるという見方が有力だ。 ― 引用終り ― 殲15の離艦能力の不足を欠陥とするのであれば、原因はエンジンの出力不足とカタパルトの能力不足にある。 中国のジェットエンジンの重量比出力不足と耐久性不足は、一朝一夕に解決できない問題。 重くて出力の低いエンジンであれば、兵装、燃料の搭載量は少なくなる。 中国はロシアのエンジンを購入したが、この2点に関して、ロシアでさえ米国に劣っているとされる。 重量に大きく関わる燃費も、米国製より悪いとされている。 離着艦能力に欠ける低性能な艦載機は、パイロットの生命を危険に曝し、米国でよく名付けられる「未亡人製造機(Widow Maker)」となる。 ジェット艦載機の重い機体を、短距離で発艦させることができる、搬出能力の大きいカタパルトの開発・実用化は技術的な困難が多く、ひと世代前の蒸気カタパルトでさえ、実用化しているのは米国だけ。搭載しているのは米国とフランスの空母だけ。 兵器に導入された新メカ、超高機能メカによくあることだが、「ジェラルド・フォード」の電磁カタパルトがちゃんと動くのかさえ現時点は不明。 中国海軍の描いた絵は、「餅」になるのかは分からない。最悪の場合、無理やり形にしたとしてもちゃんと動かない、すぐ故障するということもありうる。 ステルス戦闘爆撃機 F-117 が撃ち落された例でも分かるように、兵器類の画期的な機能・性能が「本物」かどうかは、最後までよくわからないことが多い。 うまくいっていれば懸命に機密が保たれる。 F-14トムキャットの初期のエンジンのように、うまくいっていなければ、少なくとも対策品への換装が完了するまで懸命に機密が保たれる。 韓国のように自国開発の兵器の致命的な欠陥が次々と明らかになることは、極めて珍しい。
2021年07月14日
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74式戦車は、陸上自衛隊が61式戦車の後継として開発され、1974年に制式化された国産二代目の主力戦車(MBT)。 105mm砲の装備と前後、左右に制御できる可変油気圧式サスペンションが主な特徴。 制式化から47年を経ており、退役が加速しているという観点から、「現役」を観る価値は高い。 1974年導入「日本産戦車」いまだ現役…戦車やヘリ使い、仮想敵制圧する模擬戦も2021年6月22日 読売新聞 / 岩手県滝沢市の陸上自衛隊岩手駐屯地で20日、「岩手駐屯地創立64周年記念行事」があり、部隊の観閲式などが開かれた。新型コロナウイルスの影響で一般公開は見送られた。 駐屯地は1957年8月に開設。火力戦闘部隊の「東北方面特科連隊」、対空戦闘部隊の「第9高射特科大隊」などがあり、約1500人の隊員が配置されている。隊員の8割ほどが県内出身という。 観閲式には、駐屯地の隊員ら約500人と来賓約200人が参加。戦車や装甲車など約75台が観閲を受けた。74年に導入された国産戦車「74式戦車」は、整備を繰り返して現在も活躍している。 ― 引用終り ― 国産のMBTは61式、74式、90式、10式と4代。 74式は主砲の駐退機の反動に装填手が巻き込まれることによる死亡事故が多く発生している。 派生型に「78式戦車回収車」「87式自走高射機関砲」「91式戦車橋」があり、可変油気圧式サスペンションによる姿勢制御能力が活かされている。
2021年07月13日
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戦闘機は、名機に名パイロットが搭乗して初めて名機となる。 太平洋戦争初期、大日本帝国陸海軍は、練度の高い将兵に満ちていた。 中期以降、日本の戦闘機は練度の高い操縦手が減り、米軍はよく訓練された操縦手が搭乗していた。 名機は戦歴ばかりで決することはできないのが事実。 第二次世界大戦参戦前の米国は工業力、量産の優位性を発揮した。 量産の優位性の根底に個々の部品の精度が高いことがある。 第二次世界大戦時の日本は、部品の取り付けが容易ではなく、精度の低さと部材の不適切は油圧系の不備(油漏れ)としてあらわれた。 「誉」だけでなく帝国陸海軍航空機のエンジンは、設計性能とほど遠い出力であることもしばしばだったようだ。 P-40は高高度性能を除けばパワーや速度性能に申し分無く、1939年4月に制式採用が決まった。 1939年9月、第2次世界大戦が勃発。 英仏は米国にP-40を大量に発注した。 カーチスは生産ラインがフル稼動状態になった。 後にP-40はレンドリースの対象となり英国やソ連などで活躍。 日中戦争には、義勇軍『フライング・タイガース』の隠れ蓑でP-40が対日戦に参戦した。 到着が太平洋戦線の開始直前の1941年11月だったので、日本との戦争が始まるとすぐビルマ戦線に投入された。 1941年12月に始まった太平洋戦争では、欧州戦線と異なりまだまだP-35やP-36が多かった。 これら低空、比較的低速での格闘戦に優れた戦闘機が日本軍の主要な敵だった。 P-40は旋回性能や上昇力の面で日本の一式戦闘機『隼』や『零戦』に劣ると評価された。 P-40パイロットは、日本軍機が得意とする旋回戦、格闘戦に持ち込まれないよう注意し、一撃離脱戦法と編隊空戦で立ち向かった。 バッファローやP-36と違って、P-40が被弾に強いことも極めて有効だった。 パイロットは被弾しても生き残り、戦闘経験を重ねベテランになることができる。 太平洋戦争や欧州戦で、戦闘爆撃機としての活用も含め汎用性の高かったP-40の活躍の場は、P-47やP-51に奪われていった。 戦火に迫られ価格の優先順位は下がり、高価でも有用な兵器が求められた。 P-40の性能向上型が開発され、マーリン・エンジンを搭載して高高度性能や速度性能、上昇性能を改善したP-40Fや、軽量型P-40Nが開発された。 高高度性能、最高速など性能向上は明確だったがP-51を凌駕するものではなく、量産されなかった。
2020年11月30日
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P-51と比較され、凡庸な駄作機とされるP-40を、駄作と決め付けることはできない。 「無事これ名馬」という言葉も戦場においては真実の一つ。 機械として故障が少なく、被弾耐性が強く、パイロットの生残性が高いのは、立派な軍用機としての取り柄。 零戦や一式陸攻など、撃たれ弱い(有効な防弾装備を持たない)機体が、多くの名パイロット、名将を死に導いたことを思えば明らか。 戦争の基本は物量と物量の戦い。 悲しいかな、武器、弾薬、糧食だけでなく「人」も物量のうち。 生産を消費が凌駕するとき、勝敗の大局が決する。 例え物量豊富な米国でも、ダメ飛行機を13,738機も作る余裕はない。 しかもP-40は連合国各国に供与され、様々に使用されている。 愛称は三種類。 A型からC型は「トマホーク (インディアンが用いた斧)」。 D型とE型は「キティホーク (ライト兄弟が初飛行に成功した場所)」。 F型以降は「ウォーホーク (米国で「タカ派」を指すスラング) 」。 英空軍ではF型以降もキティホークと呼ばれた。 全ての愛称に共通「ホーク」は P-40 の前身 P-36 ホークからきている。 P-36 は、1920年代から1930年代前半の米陸軍航空隊主力戦闘機、ボーイングP-26の後継機として開発された。 試作機はエンジン不調もありライバルのセバスキーP-35に敗れた。 エンジンの換装でさらなる高性能を発揮した近代的な低翼単葉引き込み脚戦闘機。 第2次世界大戦初期、太平洋戦線初期に活躍。 低空での機動性が高く、フランス空軍への輸出型はドイツ空軍の主力戦闘機メッサーシュミットBf109Eでも容易ならざる相手だった。 P-36は大馬力では無い空冷エンジン搭載機であり、速度性能や防弾性能に余裕をもたせた大出力エンジン版が開発された。 1937年からテストを開始したXP-37/YP-37はターボチャージャーが不調だった。 当時の圧倒的工業先進国である米国でさえ(ドイツでさえ)ターボチャージャー(排気タービン)を実用化するには困難が伴った。 1938年、P-36を、空冷エンジンから液冷の過給機装備のアリソンV1710エンジンに換装した性能向上型・XP-40が初飛行。 最高速度がP-36Aより50km/h近く(P-36Aが高度3,050mで最大速度504Km/hに対して、高度3,700mで最大時速550Km/h)速かった。 直ちに量産が発令され米陸軍航空隊の主力戦闘機として採用。 武装は機首の12.7mm機銃2挺。 工業力に秀でた米国なれば、空冷から液冷への転換で、エンジン関連の大きな問題も発生しなかった。 量産型のP-40は更に設計を洗練し機体構造を見直して、最大時速を575km/h(高度4,600m)に向上、武装も12.7mm機銃×2に加え、主翼へ7.62mm機銃×2に強化された。 米陸軍が要求しなかった高高度性能以外、問題はなかった。 * * 同じくアリソンV1710シリーズ搭載のP-39エアラコブラも、P-40も、マーリン・エンジンを搭載すれば「名機」になった可能性がある。 P-40Fはエンジンをマーリン28型(パッカード・マーリンV-1650-1)に換装。 弱点だった高高度性能が向上した。 軽量化をはかったP-40Nや高高度性能向上型P-40Fは、侮りがたい好敵手として大戦終盤まで活躍した。 XP-40Qは2段式スーパーチャージャー装備のV-1710-121に換装。 水滴型風防、冷却システム更新など徹底改良され高高度性能は向上、最高速度680km/hとなりP-40最高性能モデルだった。 が、P-51などに及ばないため採用とならなかった。 P-39の発展型P-63B(キングコブラ)でパッカード・マーリン V-1650-5エンジン搭載型が計画された(計画のみ)。 マーリンエンジンは実績のあるP-51に優先的に供給された。 * * マーリンエンジンがなかったら、スピットファイアは名機になれなかった可能性が高い。 大戦を通じて性能向上させ活躍したスピットファイアは、排気量を大きく変えず、スーパーチャージャーの性能向上により大馬力化と高空性能を向上させたロールスロイス(パッカード)/マーリンエンジンにより進化していくことができた。 手のこんだ楕円翼とて、エンジンの性能が低ければ真価を発揮しえない。
2020年11月30日
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11月11日、厚労省の助言機関は、クラスター(感染集団)の発生場所が歓楽街から、一般の会食の場や職場、外国人コミュニティーなど多様化していることが感染拡大の要因だと分析した。 防衛大学校でクラスターが発生しているようだ。 同時に、コロナ禍で防大の問題先送り、隠蔽体質が明らかになったのかもしれない。 十分な感染防止対策がとられないまま防大生は、無策の学生寮で軟禁状態化におかれた。 情報に敏感であるべき防衛大学校の管理において、国内最大のクラスターであるダイヤモンド・プリンセス(3711人中、712人感染、13人死亡)の事例は少しも活かされなかったようだ。 【速報】防衛大で国内最大級の大規模クラスター発生かコロナ対応に課題2020年11月11日 NEWSポストセブン 将来の幹部自衛官を養成する防衛大学校(神奈川・横須賀市)で、11月7日に学生1人が新型コロナに感染していることが発表された。 しかし、その後、感染者は数十人規模にまで急増し、学内で隔離生活を送っていることが取材によりわかった。 現時点では防衛省も横須賀市も感染者数を発表していないが、防衛大の学生たちは敷地内の学生舎(寮)で集団生活を送っており、感染者は今後さらに増える可能性もある。 現役学生のひとりはこう話す。「最初に学内の感染者が判明した後、学生舎で感染者と同じ部屋だった学生や、校友会(いわゆるクラブ活動)で一緒だった学生らが、濃厚接触者として隔離されました。 その後、保健所の協力を得て感染者の周辺にいた学生たちがPCR検査を受け、それ以外の学生たちにも抗原検査が実施された結果、約80人の陽性者が確認されたと聞いています」 全寮制の防衛大では4学年の約2000人が敷地内の学生舎で寝食をともにする。 上級生から下級生まで8人単位を基本とした居室で生活を送るため、“密”を避けがたい状況があり、無症状の感染者が出れば感染が拡大しやすい環境だ。 3月から4月にかけて約200人の感染が判明した永寿総合病院(東京・台東区)に迫る、国内最大規模のクラスターとなることも懸念される。 防衛大のある教官はこう証言する。「最初に陽性が判明した学生は10月初旬以降、防衛大の敷地内から外出していないといい、そうなると学内に別の無症状感染者がいて、そこから感染が広がったと考えざるを得ない。 感染ルートがはっきりしていない以上、どこまで広がっているのかは慎重に確認していかないといけない」 防衛大は取材に対し、「現段階では陽性者1人が出たと発表している。今後、感染者が増えた場合の発表は自治体(横須賀市)に準じる」(広報室)とするのみで、80人以上のクラスターになっているのかという質問には答えなかった。「学生たちからは、本当に感染者を完全にスクリーニングできているのか不安の声が聞こえてきます。 にもかかわらず、クラスター発生の判明後、まだ全員のPCR検査結果も出ていないうちから、学生たちが所属する各大隊では400人ずつが密になる朝礼をいつも通り行なうという話も聞いた。 対応には相当の疑問を感じます」(前出・防衛大教官) もともと、防衛大ではコロナ対策が適切だったのかが問題化していた。 4月から5月にかけての緊急事態宣言下では、全国のほとんどの大学がオンライン授業を行ない、いまも多くの大学で対面授業の再開は限定的な状況だ。 しかし、防衛大ではシステム上の理由からオンライン授業を行なうことができず、授業も訓練もないなかで、学生たちが敷地内の寮に“軟禁状態”とされてきた経緯がある。 密を避けがたいストレス過多の寮生活が続いたことで、学生たちの脱柵(脱走)や自殺未遂、年度途中での退校者が相次ぎ、賭博行為なども発覚した。 防衛大関係者が語る。「防衛大の内部にも、コロナ対応がおかしいと進言する人はいました。 衛生課に所属するA医官は、新型コロナの流行初期に感染拡大を懸念し、学生たちを学内の寮に留め置くのではなく、親元に帰すよう進言していました。 しかし、幹部に聞き入れられることはなかった。 その後の学内での混乱や今回のクラスター発生を考えれば、進言は非常に適切なものだったわけですが、國分良成学校長ら執行部の方針に反する意見を口にしたA医官には、8月1日付で自衛隊中央病院への異動が言い渡されたのです」 ― 引用終り ― 11月初旬、防衛大学校執行部のコロナ禍への対応をめぐる不祥事を告発する「申立書」が、岸信夫・防衛相および防衛監察本部に宛てて送られていた。 差出人は防衛大学校の等松春夫教授(人文社会科学群国際関係学科)。 自己管理能力のない組織に失望し、危急の事態に迫られての対応だったのだろう。 等松教授の専門は政治外交史、軍事史。 等松教授におかれては、1918年(大正7年)の軽巡(二等巡洋艦)矢矧の流感禍(スペイン風邪・インフルエンザ)の事例が想起されたことは想像に難くない。 流感の犠牲者は乗員469名中、死亡者は艦内6名病院42名の48名。 隠蔽・改竄体質を象徴する言葉「大本営発表」の精神がが現在も活きているとしたら、防大だけでなく防衛省・自衛隊も組織体質改革が必要。
2020年11月20日
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2020年8月14日、政府が2021年度に航空自衛隊が配備を計画している米国製大型無人偵察機・グローバルホーク RQ-4 について、調達中止も視野に再検討を行っていることが報じられた。 グローバルホークは2014年度に取得のための調査費(約2億円)が計上されて以降、2015年度から2019年度まで機体3機分、地上構成品、整備用機材、受け入れ施設等の取得経費合計848憶円が予算化されてきた。 2020年度予算では配備が予定されている航空自衛隊三沢基地に臨時滞空型無人機航空隊(仮称)の新編が計上されている。 航空自衛隊の無人機部隊の編成の見通しが不透明となる中、海上保安庁は大型無人機の実証実験に使用している機体を公開した。 機体下部に船舶を捕捉するレーダー、高性能のカメラなどが取り付けられている。 1機30億円。 空からの救助や監視、実用性検証へ海保が八戸で大型無人機公開2020年10月31日 河北新報 海上保安庁は29、30の両日、八戸市の海上自衛隊八戸航空基地で実証実験を行っている大型無人航空機を報道機関に公開した。 公開されたのは米ジェネラル・アトミクス社の「シーガーディアン」(全長11.7メートル、両翼の長さ24メートル)。 今月15日から1カ月間の日程で三陸沖などを計13回飛行し、海難救助や違法操業の監視などに使えるか検証する。 遠隔操作による飛行の様子も公開され、大型無人機はプロペラを回転させながら滑らかに離陸し、津軽海峡に向かった。 機体に搭載された赤外線カメラの映像には、夜間でも巡視船の甲板上にいる乗員がはっきりと確認できた。 海保の担当者は「これまでにトラブルは発生していない。 安全性に留意しつつ、実証を進めたい」と話した。 シーガーディアンは1機30億円。 最大航続時間は有人機の4倍以上の35時間で、コスト抑制などが期待できるという。 ― 引用終り ― 世界の空軍は無人航空機(UAV: unmanned aerial vehicle)・ドローンの割合を大きく増やそうとしている。 無人機の活用で先行しているのは米空軍。 現在、ロシア連邦軍、中国人民解放軍が急速に開発力を高めている。 ロシアはステルスUAVや自律飛行、自律攻撃可能なUAVまで開発中。 中国では100以上のUAVメーカーが乱立し、激しい競争の中UAVの開発競争を展開中。 各国で、軍の人員削減が進む中UAV・ドローンを増やすことで人員をカバーしつつ、戦力の増強をはかっている。 広大な領海・排他的経済水域を持つ日本は、少子高齢化もあり海上自衛隊の定数不足が慢性化、深刻化している。 政治により大形艦の配備が決定しているが、慢性的な人手不足で領域の監視業務もままならない状態。 見栄えのする正面装備が充実する一方、隊員の待遇改善、省人化対策は遅れている。
2020年11月05日
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陸軍主体であった中国人民解放軍は近年、海軍と水陸両用戦の部隊と装備を増強。 尖閣諸島を含む日本周辺など東シナ海とその周辺地域での活動を活発化させている。 自衛隊は、南西諸島の防衛力強化は急務とし、抑止力として水陸機動団を設置し、機動展開訓練の練度を上げている。 陸自が大規模演習、離島防衛やグレーゾーン事態想定…水陸機動団も参加読売新聞 / 2020年9月7日 陸上自衛隊が北海道と長崎県で、離島防衛や武力攻撃と判断できないグレーゾーン事態を想定した大規模な演習・訓練を行っている。新型コロナウイルスが感染を広げる中でも、日本周辺では中国の挑発的な行動は続いており、部隊を迅速に展開する能力を維持・向上させる狙いがある。 演習・訓練は8月から9月にかけて実施中だ。 このうち、北海道で10日まで実施予定の演習には、離島防衛を担う水陸機動団(長崎県)が初めて参加している。 水陸両用車「AAV7」に乗った機動団の隊員や、航空機を使って地上に降り立つ第1空挺くうてい団(千葉県)の隊員ら「敵勢力」を、防衛省が契約する民間船で道内を移動した別の部隊などが食い止めるという想定内容だ。 北海道の演習では「過去最大規模」(陸自幹部)となる約1万7000人が投入されている。 離島が侵攻された際に、全国の部隊が速やかに前線に展開する能力を磨くことが主眼だ。 長崎県での訓練では、第15即応機動連隊(香川県)などの隊員らが、高速道路を時速100キロ・メートルで走行できる16式機動戦闘車(MCV)で福岡・博多港に移動。 民間フェリーで対馬へと渡り、沿岸監視や武装工作員への対処訓練を積んでいる。 ― 引用終り ― 水陸両用戦の元祖にして大家は米・海兵隊。 研究熱心な人民解放軍も、一帯一路で拡大した中国の権益を守るべく中国版海兵隊の部隊と装備の充実をはかっている。 特別リポート:急拡大する中国「海兵隊」、権益確保へ世界展開David Lague2020年7月24日 ロイター 中国が1990年代半ばに軍事力拡大に乗り出した時点で、最優先目標に掲げていたのは、本土沿岸に接近する米軍を徹底的にたたく戦力を整えることだった。 だが今や、人民解放軍は世界各地で米国の力に挑戦するための準備を進めつつある。 中国は既に、米海兵隊のように敵前上陸を敢行して先制攻撃を行う部隊の拡充に乗り出し、この「中国版海兵隊」を生かすための初の強襲揚陸艦075型を2隻進水させている。 中国版海兵隊はやはり米海兵隊同様に、本土から離れた地域で単独作戦を遂行したり、中国の軍事力を諸国に誇示したりする役割を担うことができる。 排水量4万トンの075型は小型空母のようなもので、最大900人の部隊を収容し、重装備品や上陸用の舟艇を搭載するスペースを備えると、衛星映像や写真を分析した西側専門家は分析する。 今のところヘリコプター30機を搭載するが、将来的に中国が米軍のF35Bに似た垂直離着陸機を製造できれば、戦闘機を搭載する可能性もある。 中国軍事当局の公式報道によると、最終的に海軍は075型を7隻ないしそれ以上配備する可能性がある。 ― 引用終り ― 2020年8月5日、中国最大級の強襲揚陸艦「075型」が、試験航海を開始した。 空母に似た矩形の全通飛行甲板を持つ075型は、ヘリコプターの運用能力とウェルドックによる上陸用舟艇の運用能力を有する。 対空兵器は、1130型CIWSとHHQ-10近接防空ミサイルを各2基ずつ装備。 排水量は米軍のワスプ級強襲揚陸艦に匹敵する約4万トンとみられている。 2021年にも就役する予定。
2020年10月10日
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米国の主力戦略爆撃機、ボーイングB-52が初飛行したのは1952年。 1962年に最終型のB-52Hが生産終了してから2020年で58年経過。 後から就役したB-1、B-2が先に退役することになっており、B-52は各種の延命措置や改造が計画・立案されている。 2050年代までの運用が計画されており、B-2の後継のB-21就役後も米軍の主力戦略爆撃機の地位は揺るがない。 B-52と同じ年に初飛行し、大搭載能力、長大な航続距離、信頼性の評価が高いTu-95ベアもソ連時代の1956年から運用され、ロシアでも主力戦略爆撃機。 ジェットエンジン8発のB-52に対してターボブロップエンジン4発のTu-95は、最高速度925km/hと現在でも世界最速のプロペラ機。 Tu-95は早期警戒機、対潜哨戒機、旅客機型があり、派生型の多さでも知られている。 もっとも旅客機型(Tu-114、116)は客室の騒音の大きさでも有名で西側では実用化されない類の派生型。 ロシア Tu-95戦略爆撃機の最新型が初飛行に成功乗りものニュース編集部2020.08.24 乗りものニュース 日本にもしばしば飛来するロシア製戦略爆撃機のアップグレード型が登場しました。 2020年8月23日(日)、ロシアの戦略爆撃機Tu-95MSM(ロシア語表記ではMCM)の改良型が、黒海沿岸の都市タガンログで初飛行しました。 飛行は2時間33分行われ、高度9000m程度まで上昇したとのことです。 Tu-95は旧ソ連時代の1952(昭和27)年11月12日に初飛行したターボプロップエンジン4発の大型機で、二重反転プロペラが特徴です。 すでに運用開始から60年以上経ちますが、いまだ現役で、今回初飛行した改良型の原型であるTu-95MSM自体、登場してまだ日が浅いものの、さらなる新型が姿を現したことになります。 ― 引用終り ― 1952年は「長寿」戦略爆撃機の当たり年のようで、ソ連のツポレフは双発のTu-16戦略爆撃機を初飛行させている。 そしてTu-16(1954年運用開始)も現役。 ただしロシア軍は、1990年代には退役。 中華人民共和国によるライセンス生産機H-6が主力戦略爆撃機として現役。 1958年、Tu-16は中華人民共和国・西安飛機工業公司によって轟炸六型(H-6)の名でライセンス生産が開始された。 中東諸国にも輸出され、H-6をもとに改修された空中給油機・轟油六型(HY-6)とともに、中国人民解放軍空・海軍では半世紀近くも現役。 Tu-16にも旅客機型Tu-104がある。 Tu-104は技術的に未完成であったため、「Tu-104は史上最も危険なソ連製旅客機」といわれるほど事故が多かった。 製造された201機のうち37機が事故で失われ、述べ1137人が犠牲となった。 還暦越えても日本へGO! 中国のご長寿爆撃機H-6はなぜいまだに使われ続けるの?2020年7月3日 乗りものニュース …(略)… B-52と同様にH-6も超ベテランですが、昨今(2020年現在)の傾向として、戦力となるのに重要なのは搭載する兵器の性能であり、兵器を運搬する単なるプラットホームである機体そのものの性能は必ずしも重視されなくなってきています。 そのような事情や後継機も居ないことからH-6もまだ当分は現役に留まりそうで、中国にもH-6に乗る3代に渡るパイロット親子が出てくる可能性はあります。 ― 引用終り ―
2020年09月18日
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太平洋戦争末期、日本軍が劣勢となり米軍による本土空襲が始まった。 首都東京は、1944年11月24日以降[3]、106回の空襲を受けた。 1945年3月10日、4月13日、4月15日、5月24日未明、5月25日-26日の5回は大規模だった。 「東京大空襲」は最大規模の空爆、約10万人の死者と約100万人の罹災者となった1945年3月10日夜間の空襲を指す。 東京大空襲から75年知られざる「史上最悪の空爆」生存者が語る2020.03.09 CNN.co.jp …(略)… この東京大空襲では一晩で10万人が犠牲となり、100万人が負傷したとされる。 その大半は民間人だ。米軍の爆撃機B29が300機以上飛来し、1500トン分の焼夷(しょうい)弾を投下した結果だった。 焼夷弾で発生した火炎は、約41平方キロを焼き尽くした。 これにより100万人が住居を失ったとする推計もある。 死者の数は同年広島と長崎に投下された原子爆弾を上回る。 米エネルギー省によれば広島ではおよそ7万人、長崎では4万6000人が原爆投下の犠牲となった。 だがこれほどの被害をもたらしたにもかかわらず、広島や長崎とは異なり、東京には公的資金を投じた大空襲の犠牲者の追悼施設というものが存在しない。 また連合軍による独ドレスデンへの45年2月の空爆が民間人を標的にした作戦だったとして広く議論される一方、同じく75年目を迎える日本に対する空襲の影響については、依然としてほとんど知られていないのが実情だ。 B29の投入 二瓶さんがあの晩に味わった恐怖は、「ミーティングハウス作戦」と呼ばれる軍事作戦に起因する。 米空軍による東京への一連の空爆の中でも最大の犠牲者を出したこの作戦は、45年2月から5月にかけて実施された。 作戦の大半は、太平洋地域の爆撃部隊の司令官を務めていたカーチス・ルメイが立案した。 ルメイは後年、北朝鮮とベトナムへの空爆を行い、62年10月のキューバ危機ではソ連への核による先制攻撃を支持した人物だ。 第2次世界大戦が欧州で勃発した39年、当時のルーズベルト米大統領は参戦した各国政府に対し、民間人への爆撃は非人道的かつ野蛮であるとしてこれを行わないよう呼び掛けた。 しかし45年までに、こうした方針は変化していた。 41年12月7日の日本軍による真珠湾攻撃を受け、米国は報復を決断。 42年8月の南太平洋ガダルカナル島への侵攻に続き、44年には日本軍占領地だったサイパン島、テニアン島、グアム島を立て続けに奪取した。 これらの島々を拠点に日本本土を攻撃する役割を担ったのが、最新鋭の重爆撃機B29だ。 ― 引用終り ― 史上最悪の空爆を招いた原因は、外交的「罠」にせよ戦争を仕掛けた日本側にある。 ドレスデンの空爆を招いた原因はドイツ側にある。 無差別爆撃の責任の所在とは別に、先に戦争を始めた側に原因がある。 ドイツも日本も民族の優秀さと技術の高さを誇ったが、戦略爆撃は実現できなかった。 民族の優秀性の幻想が、悲惨な結果を招いた。 第二次世界大戦中に戦略爆撃機を実用化し、戦略爆撃を実行できたのは米国と英国だけ。 米国は開発技術と生産技術の総力を結集して、戦略爆撃、無差別都市爆撃は成立させた。 壊滅的な打撃を受け続けても戦う意思を失わない幻想は、軍部により意図して生み出された。 危機時に全体主義がはやりやすいようだが、多数決に隠される全体主義思想、志向にはよほど気を付けなければならない。
2020年08月26日
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