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2023年05月30日
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カテゴリ: 経済
 三菱重工は原発の輸出政策で失敗、豪華客船建造でも失敗したところへ、中型旅客機・三菱リージョナルジェッ(MRJ)ト改め三菱スーパージェット(MSJ)が米国の型式認定を得ることができず撤退のダメ押しとなった。MSJの開発担当の子会社三菱航空機のプロジェクト凍結時、2021年3月期決算の債務超過額は5,559億円。2022年3月期の債務超過額は、5,647億円に拡大。
 誤った決断を続けた経営陣により「オワコン」とされた三菱重工は、地道な現場の努力が実り、2023年3月期決算は絶好調。ガスタービン事業は、新たに世界シェアトップとなった。24年3月期は過去最高益を更新する見通し。
 参謀クラスの能力が低いのは日本の悪しき「伝統」なのかもしれない。
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“オワコン扱い”だったのになぜ?
2023年5月19日 ITmedia ビジネスオンライン
  …  (略)  …
●ガスタービン事業が世界シェアトップに
 特筆すべきは、ガスタービンの世界シェアがついにトップとなったことだろう。
 同社の決算内容をみても、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)事業が特に業績を伸ばしている。同事業の売上収益は前年同期比19%増の7368億円を達成。三菱重工の全社における売上収益は4.2兆円であったことから、全社売上のうちおよそ2割がガスタービンによるものとなっているといえるだろう。
 ガスタービンの世界シェア争いは、ドイツのシーメンスやアメリカのゼネラル・エレクトリックと競争を繰り広げており、19年には3位だった世界シェアが、およそ4年で33%までシェアを伸ばしてトップとなったのである。
 特に中国や米国、そして日本でも大型・高効率のガスタービン需要が拡大している。アフターコロナに伴う経済活動の再開に伴って、効率がよく、環境負荷のできるだけ小さい三菱重工のガスタービンが選ばれているようだ。
 日本では緩和的な金融政策の継続によって大幅な円安が発生しているため、為替要因によって業績が押し上げられているのではないかという懸念もある。しかし、ガスタービンの世界シェアは出力ベースで調査がなされていることから為替要因以上に国内外からの受注が好調であることの表れであり、事業として健全に成長しているといって差し支えないだろう。
 現に、三菱重工における同社の円安に伴う収益の増加要因は3000億円といわれているが、この影響を控除したとしても受注高は前年度比で増加している。他企業の間では賃上げや物価高に伴う原価や販管費の高騰によって為替要因で辛うじて増収増益、実質的には減益となっている者も少なくない中で、同社は着実に健全な成長を続けていることが分かる。
 では、今年撤退を発表したMRJは全社業績の足を引っ張ってしまったのだろうか? 結論からいえば、そういうわけでもなさそうだ。
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●MRJが産んだ新たなビジネス
 付箋に欠かせない「貼って剥がせるのり」が、強力な接着剤の製作過程における失敗作から誕生したように、単体でみれば一見失敗したようにみえるビジネスであっても、そこから収益の基盤を生み出す例は決して少なくない。
 MRJの失敗も例に洩れず、三菱重工業にとって、新たな門出を告げる契機となった。その経験から学んだ教訓は、事業のリスク管理と経営戦略の再構築に大いに役立ったのである。また、MRJ開発に関わった技術者の知識や経験は、他の航空宇宙関連事業に生かされている。
  ―  引用終り  ―
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 MSJの開発について国は507億5千万円の補助金=税金を出した。債務超過額と補助金を足しただけで1兆円を超える出費となっている。
 記事は航空機のMRO(メンテナンス、リペア、オペレーション)事業の成長に大いに役立っているとしているが、投入した金額と得られる利益のバランスが全く取れていない。
 MRO事業が含まれる「航空エンジン」事業の売上収益は前年同期の716億円から1265億円にしか増加したに過ぎない。
 基盤となる既存事業を軽視し、企業の存続を危ぶまれるものとした経営の判断は、正しく批判、総括されるべきだろう。東芝やシャープのようにならなかったのは、不幸中の幸いとすべきこと。パナソニック、東芝、ソニー、日立製作所、三菱電機、三菱重工、IHIといった日本の電機、重工業業界を中心とした大企業は、「選択と集中」で象徴されるGEを手本とした。近年の業績の推移をみると、GE「お手本」としたことは到底正解とは言えない。自画自賛の方針で大博打を三つも打って外した三菱重工の経営陣は頭を切り替えることができるだろうか。ギャンブル癖は中々治らないと聞くだけに気になる。
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 熱効率が優れていることを誇るべきガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)事業に対して、頭脳明晰な三菱重工経営陣は、経営資源を適切に振り向けられるだろうか?





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最終更新日  2023年05月30日 06時00分11秒コメント(0) | コメントを書く


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