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2023年07月28日
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テーマ: ドイツ(630)
カテゴリ: 航空&ミリタリー
 世界の多くの兵器メーカーが戦後進出を検討していたウクライナに、ドイツ・ラインメタルは手を挙げた。
 ウクライナに対してよい感情は持っていないモルドバは、経済的に豊かではないにも関わらず、いち早くウクライナからの難民を多数受け入れた。
 東西冷戦で長く境界にあったドイツは。ロシアの侵略戦争に鈍感で、海の向こうの英国は敏感に反応した。
 ソ連支配の長い苦渋の歴史が色濃く残る東欧諸国は、ロシアによるウクライナ侵略を自国のことのようにとらえ、自国の防衛力を削ってでもウクライナを支援した。
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 おそらく経済発展に力を入れ、軍縮を進め続けたメルケル政権のドイツに半ば見切りをつけたのだろう。
 ドイツには非戦志向が強い環境派とともに、旧東ドイツの系譜のロシア派、経済重視の中国派が跋扈し、身動きが取れないのだろう。
 ラインメタルにとって幸いにも、ウクライナにはソ連時代兵器産業の多くを担ってきたので、兵器産業の基盤もある。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 ​ ラインメタル (ドイツ語: Rheinmetall AG)は、ドイツ・デュッセルドルフに本社を置き、軍需・防衛および自動車部品の2つの事業を柱とするエンジニアリング・グループである。フランクフルト証券取引所上場企業(FWB: RHM)。
概 要
 1889年、ハインリヒ・エアハルト(de:Heinrich Ehrhardt)により「ライン金属製品・機械製造株式会社」(Rheinische Metallwaaren und Maschinenfabrik Aktiengesellschaft)としてデュッセルドルフで創業した[1]。
 特に火砲の開発・製造で知られ、同社製滑腔砲の120 mm L44はレオパルト2(西ドイツ後にドイツ連邦共和国)、M1エイブラムス(アメリカ合衆国)、90式戦車(日本)など西側諸国の代表的な第3世代主力戦車の標準装備となっている。
 小火器においては、第二次世界大戦の際に開発されたベルト給弾式機関銃MG42の改良型で、非分離式リンクのまま7.62mm NATO弾仕様にしたMG1、後にNATO標準の分離式リンクを使用できるMG3を生産している。このMG3はベルギーのFN MAGと並ぶ西側の代表的な汎用機関銃であり、H&K G3アサルトライフル採用国を中心に採用され、多くの国でライセンス生産されている。
 冷戦後、同じドイツのクラウス=マッファイ・ヴェクマン(KMW)等との協業や、海外も含めた企業買収等により積極的にビジネスを拡大。重装甲戦闘車両まで手がける軍需コングロマリットへと成長した。
  ―  引用終わり  ―
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 ロシア、ウクライナ双方の航空優勢が確立しないウクライナ侵略戦争では、歩兵携行兵器の有効性が再確認され、ドローンの有効性が確認された。
 費用対効果が薄く不要とされた、MBT(主力戦車)が拠点を占拠するにあたって有効であることが見直された。攻撃型ヘリコプターにこの役割は果たせない。
 古臭い兵器とされた自走対空砲が、対ドローン兵器として脚光を浴びた。
 精密射撃兵器としての榴弾砲は、自走式も牽引式もロシアーウクライナ戦争では大活躍した。
 戦争が長期化するにつれ、小火器、砲弾の量的重要性も見直された。いつの時代も物量は戦争の決め手の一つだ。
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 世界各国がこれらの戦訓をもとに自国の防衛体制を見直すと、SDG’sの流れに反して、世界兵器市場は活況を呈することが予測できる。
 兵器の生産、輸出入にあたり、比較的制約が少ないのは、紛争当事国や戦争終了直後の国だ。
 ロイターの予想に反し、ラインメタルは新天地に一番乗りした。
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焦点:西側防衛企業、
ロイター編集
2023年6月25日 ロイター
 西側の防衛関連企業はウクライナでの武器生産に関心を持っているが、あくまで「戦後」になってからの話だ。ロイターがパリ国際航空ショーで取材した業界幹部6人は、こうした考えを明らかにした。
 侵攻してきたロシアを押し返す戦いを続けているウクライナは、ドローンや弾薬から戦車まで、国内における武器生産能力の拡充を渇望している。
 19日にはウクライナ政府高官の1人がロイターに、ドイツ、フランス、イタリアおよび東欧諸国の防衛企業とウクライナでの武器生産を協議していると語った。
 しかし話を聞いた業界幹部は、現時点ではリスクがあまりに大きいと口をそろえる。
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 米防衛大手ロッキード・マーチンの航空宇宙事業を率いるグレッグ・ウルマー氏は「より幅広い視野で、置かれている状況や共同生産に伴うリスクを考察しなければならない」と述べ、ウクライナと共同生産事業に関して直接話し合っているとは承知していないと明言した。
 別の大手防衛2社はウクライナの取り組みを耳にしていると認めた上で、そのうちの1社は一連の紛争が終結すれば事業提携を議論するという趣意書に署名する準備をしていると付け加えた。
 しかし戦争が続いている間に直接投資への意欲を見せた業界幹部はゼロで、彼らが挙げた最大の懸念は安全問題だった。
  ―  引用終わり  ―
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 「ゼロ」ではなかった。火砲・兵器の名門・ラインメタルが新たな生産拠点、市場に乗り出した。
 兵器産業では自国の軍事政策展開を含め、カントリーリスクはつきものだ。
 米国の軍事企業は世界最大の軍事市場である米国を相手にしていれば、企業活動のリスクは最小限で済む。
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独防衛企業ラインメタル 計画の全貌明らかに
 日本もこれから縁深く?
2023.07.17 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
 ドイツの防衛企業ラインメタルが、ウクライナで合弁企業を設立し、現地で軍用車の製造に乗り出します。他の防衛企業に一歩先んじる同社は、日本では馴染みが薄いですが、今後、関係が深くなる可能性もあります。
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ウクライナで製造するのは世界2300両採用の装甲車
 ドイツの防衛関連大手ラインメタルが、ウクライナ国営防衛企業ウクロオボロンプロムと合弁企業を設立し、ウクライナ西部で装甲車の製造と修理を行う計画です。両者は2023年5月、ウクライナにおける防衛技術能力の強化に合意し、ラインメタルのアーミン・パッペルガーCEO(最高経営責任者)は7月10日、CNNのインタビューでこれを「12週間以内に操業させる」と明言しました。
 さらにパッペルガーCEOは、2024年に各種砲弾の生産数を現状の10万発から、ウクライナの需要見込みの60%を賄える、60万発に増やす方針を表明したほか、ウクロオボロンプロムとの合弁工場で製造される車両も明かしました。ラインメタルが開発した装輪装甲車「フクス」だといいます。
 フクスはダイムラーベンツの軍用車両部門が開発した6輪駆動の装甲兵員輸送車で、買収により現在はラインメタルの製品となっています。
 ラインメタルは装甲兵員輸送車型のほかレーダー搭載型、電子戦型、指揮通信車型、装甲工兵車型、EOD(爆発物処理)車型、NBC偵察車などの派生型に加えて、発展改良型のフクス2も開発。ドイツ連邦軍やアルジェリア陸軍などに約2300両が採用されており、現在も改良が続けられています。
 パッペルガーCEOはどのタイプのフクスをウクライナで製造するかは明らかにしていませんが、ラインメタルがウクライナでの兵器生産に舵を切ったことで、同国での兵器生産を躊躇していた欧米の防衛関連企業が後に続く可能性はあると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
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ドイツと栄枯盛衰をともにしてきたラインメタル
 ラインメタルは1889年にドイツのデュッセルドルフで創業した老舗企業です。
 ドイツは第一次、第二次の両世界大戦に敗れています。ラインメタルは第一次世界大戦の敗戦後、しばらくの間、タイプライターなど民生品の製造で会社を存続させ、その後はドイツの再軍備と共に業容を拡大。1936年に機関車メーカーのボルジッヒを買収し、ドイツを代表する重工業メーカーとなりました。
 しかし第二次世界対戦の敗戦後、東ドイツ側の生産施設は同国政府によって国営化されてしまいます。同社は西ドイツに残された施設で再出発を図ったものの、1950年まで一切の商業活動を禁止され、禁止解除後もタイプライターやエレベーターなどの民生品の製造などでしのぐこととなりました。
 再び防衛関連事業に進出したのは、西ドイツ国防軍の再軍備が開始された1956年のことで、当初は機関銃などの軽火器や弾薬などを手がけ、1964年からは重火器の開発を再開。ドイツの銃器メーカーのマウザーや、スイスの防衛企業であるエリコンなどを買収して防衛関連事業を強化する一方で、エンジンや排気コントロール装置など自動車部品の製造にも進出しました。現在は防衛部門(ラインメタル・ディフェンス)と自動車部門(ラインメタル・オートモーティブ)を二本の柱とする、世界的なエンジニアリング企業となっています。
 ラインメタルが単独で開発したMG3機関銃や、同社がドイツのエンジニアリング企業のクラウス・マッファイ・ヴェクマンらと共同開発した装輪装甲車「ボクサー」などは輸出にも成功し、多くの国の陸軍に採用されています。
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陸自とラインメタル 急接近あるかも?
 日本との関係はどうでしょうか。陸上自衛隊は防衛装備品を草創期にはアメリカからの供与品で賄い、その後は極力国産化に努めてきたため、ラインメタルとの縁は、90式戦車の主砲であるL44 120mm滑腔砲のライセンス生産のみにとどまってきました。しかし、ラインメタルとは新たな縁が生まれつつあります。
  ―  引用終わり  ―
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 日本ではコストが合わず、将来性もない防衛関連事業の維持に各企業が音を上げ、防衛関連事業を返上する企業が相次いでいる。
 防衛関連事業は、兵器の高度化もあり、要求が多く、専門性が高く、市場・売上は小さく、開発・製造する組織を維持することは、企業の愛国心だけでは不可能なレベルとなっている。
 防衛省は庁から格上げとなったが、優良な将官向けの天下り先は減ることだろう。
 兵器の輸入は世界中でよくあることであり、国産化志向が強かった日本の防衛相も、今後は世界のトレンドに合わせていくことだろう。即ち、縁が生まれそうなのは、ラインメタルだけではないということ。
 軍人・与党政治家と言えば兵器産業との癒着とセットで考えるべき存在。第二、第三のシーメンス事件、ダグラス・グラマン事件の発生もありそうだ。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 ​ シーメンス事件 (シーメンスじけん)は、ドイツのシーメンス商会による日本海軍高官への贈賄事件である。巡洋戦艦「金剛」発注にまつわるイギリスのヴィッカースによる贈賄も絡んで、当時の政界を巻き込む一大疑獄事件に発展した。1914年(大正3年)1月に発覚し同年3月には海軍長老の山本権兵衛を首班とする第1次山本内閣が内閣総辞職にまで追い込まれた。発音によってはジーメンス事件とも呼ぶ。一連の事件の裁判中に第一次世界大戦が勃発し、日本政府はドイツではなくイギリスなど連合国側での参戦を決定した。
  ―  引用終わり  ―
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 ​ ダグラス・グラマン事件 (ダグラス・グラマンじけん)とは、1970年代末に発覚した日本とアメリカ合衆国の軍用機売買に関する汚職事件。
概 要
 1979年1月4日、アメリカ合衆国の証券取引委員会(SEC)は、グラマン社が自社の早期警戒機(E-2C)の売込みのため、代理店の日商岩井(現・双日)を経由して、日本の政府高官らに不正資金を渡していたことを告発した。
 これを受けて東京地方検察庁の特別捜査部も捜査を開始、先行するロッキード事件で捜査を指揮した吉永祐介が特捜部長、同事件で重要な証言を得た村田恒が主任検事として捜査に臨んだ。特捜部においては、ロッキード事件の際に軍用機であるP-3Cの疑惑追及を断念し、民間機であるトライスターへの追及に絞ることで田中元首相の検挙という成果を挙げた一方、軍用機を巡る疑惑を棚上げする形になったことが反省されており、村田恒は、今回は軍用機のみを追及できるということで捜査陣の士気は高かった、と回顧している。
  ―  引用終わり  ―





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最終更新日  2023年07月28日 06時00分10秒
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