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2023年12月08日
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テーマ: テレビ(117)
カテゴリ: 経済
 遠い昔「バブル」と呼ばれた時代、飛ぶ鳥を落とす勢いだったフジテレビ(CX)は、今年11月のゴールデンタイムの平均視聴率が「テレビ東京(TX)」を下回った。
 万年最下位のテレビ東京をもとに「振り向けばテレ東」という言葉があったが、CXが振り向いても誰もいなくなった。
 CXは他局以上に個人視聴率および各局が設定する「コア視聴率」重視に移行した。その結果、長寿番組でも躊躇なく打ち切り続けた結果が現在の結果を招いた。
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 視聴率は、テレビ番組やテレビCMが放送されていた時間(リアルタイム)に「どのくらいの世帯・人々に見られたか」という視聴量の大きさを表す指標。
 地上波の民間TV局は広告時間を売る商売なので、視聴率の低下は業績の低下に直結する。
 1日(全日)の平均視聴率とともに視聴率の時間帯区分により、19:00~23:00をプライムタイム、プライムタイムのうち19:00から22:00での時間帯をゴールデンタイムと呼んで重視している。
 CXは1982年から1993年まで、2004年から2010年まで、プライムタイム、ゴールデンタイムの視聴率が在京キー局首位だった。
 日本のTV局において、ゴールデンタイム、プライムタイムと全日(6:00~24:00)の視聴率の平均視聴率がトップの放送局を「三冠王」と呼ぶ。
     ​
=今市太郎
2023年11月28日 MONEY VOICE
 民放・在京キー局ともなれば何かと話題に持ち上がるのが視聴率の問題です。スポット広告も個別の番組提供も視聴率が下がれば元の値段では売れなくなりますから、この数字次第で経営状態は著しく悪化してしまうのが現実。
 そして、今年の10月改編で大失敗を喫してしまったのが「フジテレビ(CX)」です。
 レギュラーの新番組が始まった11月にはすでにゴールデンタイムの平均視聴率が万年ビリだった「テレビ東京(TX)」を下回る結果となり、振り向いてもすでにテレ東はいないという衝撃の状況に陥っていることが報道されはじめています。
(『 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
  …  (略)  …
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視聴率低下は即広告売上低下というビジネスモデル
 民放地上波のテレビ広告販売モデルは、開局当時からおおむね2つで構成されています。
 1つは、特定枠を2クール(つまり6か月)以上提供する契約となる「番組提供」のモデル。もう1つは、特定期間に15秒のスポット広告を購入する「スポット広告」です。
 番組提供料は本来キー局の売り上げとなる「電波料」に、地方局への売り上げの分け前となる「ネット費」、さらに「制作費」という3つの項目で構成された請求額が設定されてきましたが、80年代のバブル期のあたりからその価格はかなりどんぶり勘定になり、60秒提供なら月額6,000万円とか7,000万円とかいうようにバルクの価格でやり取りがされるようになりました。
  …  (略)  …
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 電波利用の在京キー局は5局でそれ以上増えることはまったくありませんでしたから、需給の逼迫で料金が上がることはあっても、下がることなどない時代が長く続きました。しかし、21世紀に入ってそれが崩れ始めており、足元では相当深刻な状況に陥っていることが覗かれる状況です。
 とくにゴールデンやプライムの時間帯にテレビを見ない人間が激増するという社会が到来することはこの業界関係者は全く予想していなかった状況で、全般的に番組視聴率がとれなくなってしまった足元の状況ではかつての月9のような看板枠であっても逆に価格の正当性を失う結果となってしまい、高い料金で番組提供をする広告主は大幅に減少、結果的に価格は下がり売れ残りの枠はスポットにばらして販売して凌ぐ状況が常態化しはじめています。
  …  (略)  …
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視聴者離れに対応できないフジテレビ
 放送法では、番組の最大1割が広告と上限を決められています。そのため、売上が足りないから空き枠をすべてスポットにして売るなどということもできませんし、時間が過ぎれば在庫として保存しておくこともできない、凄まじい水物ビジネスになっていることが垣間見える状況です。
 それでも長年低視聴率の中を生きぬいてきたテレビ東京などは限られた原資で番組を制作して放送するという術を身に着けています。
 しかし、長年勢いだけで派手な番組制作を続けてきたフジテレビのような局にとっては、足元の状況はどうすることもできない様子。
 とくにかつて華やかな成功体験を得て幹部になった経営者は、まったくこの危機的状況に適切な戦略を打ち出すことができないまま、視聴者離れに直面していることがわかります。
  …  (略)  …
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キー局はホールディングカンパニー化してとにかく大きな会社に見せている
 在京キー局の決算見てみますと、とにかく5社すべてがホールディングカンパニー化して、その下に売上がつくあらゆる事業をぶら下げて企業規模を大きく見せており、実情を知らない投資家が見れば、それなりの成長がはかられているかのような錯覚に陥るところです。
 しかしながら、過去から続く放送事業だけ取り出してみますと、儲かっていないところがほとんどで、しかも事業規模は上述のようなビジネスモデルの中で本当はどんどん縮減していることが見えてきます。
 HDカンパニーの決算は実態をデフォルメするのに相当適していますから、各社ともにそんなことはおくびにも出さずに経営を続けています。
 残念ながらフジテレビも、いい加減放送事業やめたら?という時間帯に突入しているように見えて仕方ありません。
  ―  引用終わり  ―
     ​
 2010年代、景気後退の深刻化、YouTubeなどインターネット経由の動画配信(Googleの)やインターネット経由の番組配信(Netflix、Amazon Prime Videoなど)が一般化した。これにより、地上波や衛星放送の「テレビ番組」の視聴率(視聴時間)は低下傾向にある。
 2023年7月、ビデオリサーチはTVerやYouTubeなどの動画配信プラットフォームを視聴率測定の対象に含める取り組みを行うことを発表した。
 2024年4月から関東地区で試行された後、2025年10月から全国32地区で正式サービスが開始される予定。
     ​
 地上波TVは放送媒体、広告媒体の中心ではあるが、その領域は着々とネット媒体にむしばまれている。
 状況の変化についての感度が在京キー局中最も鈍く、かつ製作費が高い番組を排除し短期的な収益を追い続けたの結果、CXの視聴率が低下したとみられる。
 固定費を下げ、投資を避ける経営を続けるCXは、日本のかつての栄光を抱え続けた企業群の縮図のようだ。
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最終更新日  2023年12月08日 06時00分13秒
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