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(前半から続き) プログラムはリシッツァ本人の解説。ここにはありきたりな曲目解説ではなく、自分のイメージやら思考、果ては政治的な発言まで書かれていて、並みのピアニストではない。こういうのが日本でも広まれば面白いのにと思う。 後半は、シューマンの「子供の情景」。実際シューマンはあまり好きではない。なんだかもそもそしている感じで、ショパンのような煌きもないしブラームスのような構築感もない。ドイツの森のような幻想というなら言いえて妙だな、と意地悪く言ってみる。 子供の情景はトロイメライが有名だが、すーっと流す中に拡大されたダイナミズムで意外なドラマが見えた気がした。 さてこれからが凄い。タールベルクは名前しか知らなかったが、聴いてみると一時代前のピアニストが即興で弾いた感じの曲。とにかくノリがいいし、これでもかってぐらい技のオンパレード。聴く人を飽きさせない本物のヴィルティオーゾ、エンターティメント。いやあ面白かった。弾き終えたとき、この感じは何かに似ていると思った。 「白い妖精」ナディア・コマネチがモントリオール・オリンピックで史上初の10点満点を出したときだ。14歳の、目が大きくてかわいくてピッタリしたレオタード姿が妙にいやらしくてでも完璧な演技でテレビで見ていた我々すらそんなものが出るとは思ってもみなかった。電光掲示板も満点を想定してなくて「1.00」と表示していた。頭の中で「10点、10点、10点。。。10点満点!」というアナウンスが1曲終わる度に浮かんでくる。 そして最後のリスト。冒頭の響きは現代音楽のクラスタ音塊ような不協和音。それが地響きをあげて屹立する。それからはまるで台風のような響きの連続。オーケストラとの協奏版のイメージを覆すような斬新な響き。ピアノってこんなに鳴るんだ、ピアニストってこんなに弾けるんだ。ホールにいた全ての聴衆が完全になぎ倒され、口アングリ状態だったと思う。ぽろんぽろん弾いて終わる日本のピアニストは今すぐピアノを売り払ったほうがいい。 呆気に取られているうちにディエスイレのテーマがどんどん峻厳されものすごいフォルティッシモで全曲が閉じられたとき、舞台上の魔女は我々の心臓を鷲掴みにし地獄の底へ持ち去ってしまった。(天国かもしれないけど) その後の熱狂的な拍手は当夜の成功を物語っている。後ろのおばさん達は「すごい」「もうピアノ弾けない」「あれぐらい弾けるなら何でも弾けるのね」とこれまた絶賛とやっかみ。とにかくピアノソロ版で「死の舞踏」を生演奏で聞くことができただけでも凄いことなのに、完璧で圧倒的な演奏だったのだから、これは一期一会の演奏会だったかもしれない。アンコールは以下のとおり。リスト: 「愛の夢」 「ラ・カンパネラ」ベートーヴェン: 「エリーゼのために」ショパン: 「子犬のワルツ」 愛の夢をあれだけ感情の振幅をもってドラマティックに弾くのも凄いが、死の舞踏であれだけ弾いてまだアンコールを弾くのも凄い。が、さすがに疲れたか最後はにこっと笑って「これが最後」と手で仕草して「子犬のワルツ」を弾いた頃にはすっかりリラックスモードで魔女的な雰囲気は消えていた。 演奏終了後に見たがピアノはスタインウエイ。彼女はベーゼンドルファーと契約しまた愛用しているはずだから、ホール備え付けのピアノだろう。もし愛用のピアノで弾けたなら、あの少しキンキンした高音も柔らかい感じになったかもしれない。 おそらく、ヒラリー・ハーンの伴奏者として来日したためリサイタルとしては準備不足だったのかもしれない(もちろん十分だったけど)。もう少し練れたプログラムで彼女らしさが出ればなお良かった。だって、ロビーでサイン会をしている彼女はむしろ小柄な印象でひとりひとりに丁寧にサインし握手しかわいらしい声で何やら話している普通に綺麗で魅力的な女性だったから。 胡散臭い○○省の外交官が遠目に見ていようと、業界関係者が興行の成功を祝って挨拶していようと、我々音楽愛好家には関係ない。 今一度、彼女の個性的な音楽を圧倒的なピアニズムを聴きたい。ただそれだけだ。(完)
2009年02月20日
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今年のサイトウ・キネン・フェスティバル(SKF)の概要が公式HP上にて発表されました。 すでに、オペラ公演の代わりにブリテンの「戦争レクイエム」が発表されていました。小澤さんが指揮するオーケストラプログラムは以下のとおりです。オーケストラコンサート<Bプログラム> ○ラヴェル/道化師の朝の歌 ○ラヴェル/シェエラザード (メゾ・ソプラノ:スーザン・グラハム) ○ブラームス/交響曲第2番 ニ長調 作品73 演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ 指揮:小澤征爾 うーん、ブラ2かぁ。すでにブラームスの交響曲はサイトウ・キネンと全集をフィリップスに録音済です。 なぜ今頃、ブラ2?まだやる曲いっぱいあるでしょう。あるいは全集のブラ2はあまり気に入っていなかったのか。かつて北京で振ったブラ2を覚えているファンにとっては、確かに期待ほどではなかったけど。 その代わりといっては何だが、ラヴェルやりますねぇ。実は水戸室内管との録音も合わせて隠れ全集進行中?来年は「ダフニスとクロエ」?そんなあらぬ期待をしてしまいます。 まあ小澤さんがやりたいなら、何でも構いません!サイトウ・キネン・オーケストラ/小澤征爾/ブラームス: 交響曲第2番 ※再発売(CD)
2009年02月17日
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1月19日(月)19時、場所はトッパンホールにて、念願のヴァレンティーナ・リシッツァのピアノ・リサイタルに行ってきました。まるで恋人に会いに行くような、アイドルのコンサートに行くようなわくわくした気分で飯田橋駅に降り立ちました。プログラムは以下のとおりです。1.ラフマニノフ: 練習曲「音の絵」イ長調 作品39の6 前奏曲ト長調 作品32の5 前奏曲嬰ト短調 作品32の12 前奏曲ロ短調 作品32の10 前奏曲ト短調 作品23の52.ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調 作品57「熱情」 -休憩ー3.シューマン: 「子供の情景」 作品154.タールベルク: ロッシーニの「セビリアの理髪師」の主題による大幻想曲 作品635.リスト: 死の舞踏(オリジナル ピアノ・ソロ版) まず驚いたのが、予想以上の観客の多さ。このピアニストを聞きたいと思ってる人がこんなにいたことに(まあ自分もそのひとりなんですが)喜びを感じました。 後ろのおばさん達(失礼!)は会話からどうやらプロの人たちのよう。ロビーでもそこかしこから「先生」という言葉が飛び交っている。業界関係者が多いことが知れた。もちろん私のようなYOUTUBEからのファンもいるはずなのだが。。。 さて、憧れの生リシッツァの登場。。。でかい、仰ぎ見るような大きさだ。まあ座席が舞台に近いせいもあったろうが。そして白い(笑)。目も鼻も口も大きく緊張のせいか表情が固く、ちょっと魔法使いみたい(言いすぎだろ)。腕は長く手もさすがに大きい。衣装は黒のドレス。後ろに長く伸ばした紐は意味があるのだろうか(苦笑)。これで帽子を被ったらほんとに魔女だ。後ろのおばさん達は「白人って黒いドレス着たがるのよねぇ」なんて話してた。まあどうでもいいことなんだけど。 第1曲はYOUTUBEで度肝抜いたあのラフマニノフのエチュード作品39-6。ものすごいスピード、畳み掛けるような音量。これを最初にもってくるのはネットファンへのご挨拶なのか。が、若干テンポにブレがあり、左手は弾ききれていなかった。やはり緊張しているのか。でも、人前でこれだけ弾ければ十分だろう。続くプレリュードは時に夢見るように、時に激情を迸るように見事な音のコントロール、圧倒的な音圧で一気に弾き終えた。 圧巻だった。もうお腹いっぱいな感じ。客席から漏れるため息。続く大拍手。あれ? この感じ、25年前にクラシックギターの山下和仁のリサイタルのときと同じだった。パリの国際コンクールで日本人として8年ぶり、しかも史上最年少(16歳)で優勝したこの天才がソルの「魔笛の主題による変奏曲」を聴いたことも無いスピードで弾ききったときも会場がこんなふうにため息をついたっけ。 ベートーヴェンの「熱情」。この人の古典は聞いたことがなかったが、速いところはより早く、強いところはより強くダイナミックで積極果敢なまさに「熱情」、というより「熱病」。きっと「古典」からは外れた弾き方だろうが、当時の聴衆が聴いたらきっとこんな感じに聞こえたのではないか、と思わせる斬新さだ。 ところで演奏中、何やらいい匂いが漂ってきた。香水だろう、後ろのおばさん達かなと思っていた。が、どうもそれはリシッツァから発せられているようだった。というのも、演奏が激してくるとその匂いはどんどん強くなってきたから。カラダが熱してくるため匂いが発散していったのだろう。 演奏中の表情は残念ながら上手の座席だったので窺い知ることはできなかった。背を伸ばし腕を肘から振り下ろす感じでピアノが壊れるほどの音量を引き出している。背中の筋肉は十分発達していてオシリも大きい(笑)。後ろのおばさんが言っていたように「恵まれたからだ」の持ち主だ。ピアノやピアニッシモになると前のめりになってフェザータッチのように軽やかに鍵盤を撫でる。 こうしてリサイタルの前半は終了。後ろのおばさん達は「すごいね」「いやになっちゃう」と連発。ひょっとしたら凄い面々かも知れないけど、もう少しマナー良くしようね。 珍しく後半へ続く。。。
2009年02月15日
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またご無沙汰です。仕事が忙しいです。疲れが取れません。歳ですね。さてテレビ欄を見ていたら、なんとあの「徹子の部屋」に小澤さんが出演するらしいです。 2月16日(月)13:20~13:55 テレ朝系列「徹子の部屋」 出演:小澤征爾、小澤征良(以下、ヤフーのテレビ欄より)~亡き母の肉声に涙…~小澤征爾さん、小澤征良さんが今日のゲストです。 征爾さんは文化勲章を受章したことに「指揮者は仲間がいて初めて成り立つものだから、自分だけもらうのは…」と語る。また、征良さんは祖母・故入江麻木さんに捧げる小説『しずかの朝』を書き上げた。今日は入江さんが31年前に出演した時の映像に涙する場面も…征良さんは大好きだった祖母への思いも語ってくれた。 親子出演って珍しいと思ったら、本の宣伝か?(笑)もちろん仕事中なので見れないんですが、楽しみですね。
2009年02月14日
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