『福島の歴史物語」

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2008.03.21
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 ところでここまで調べてきて、この埋もれていた疱瘡について、そしてその予防法である種痘について整理をしてみる必要が感じられた。そこで今までに知られていた歴史に、調査の結果を付け加えてみた。

 紀元前 一一〇〇年頃 エジプトのラムセス五世のミイラの顔面に、
            疱瘡の病変と思われる痕跡が見られるとい
            う。
 天平七( 七三五)年 新羅に漂着した筑紫(いまの九州北部) の
            人が感染して帰国し、多くの死者が出た。
            これ以降、度々流行した。
 延享元(一七四四)年 中国から鼻乾苗法が伝えられ、李仁山が長
            崎で人痘種痘の実施をしたが不成功に終わ
            った。
 寛政二(一七九〇)年 筑前秋月藩医の緒方春朔が天野甚左衛門の
            二児に鼻乾苗法で人痘種痘を実施し、わが
            国ではじめて成功した。
 こ   の   年  十九歳の文儀は三本木家より二本松領郡山
            の熊田白翁の養子になり、以後熊田姓を名
            乗った。

 この人痘種痘とは疱瘡患者から取り出した痘痂をヘラに盛り、未感染者の鼻腔より吸入させる方法である。しかし痘痂を付着させる分量が、未感染者の年齢、体格さらには身体の状態などで微妙に違い、少なければ効果がなく、多過ぎれば死に至るという厄介な方法でもあった。そのためにこの方法は危険なものとして、一般的に普及するには至らなかった。

   寛政三(一七九一)年一月七日、【熊田白翁が死去した】
   寛政五(一七九三)年、緒方春朔が我が国最初の人痘書『種痘
                          必順弁』を著した。
   寛政七(一七九五)年、【文儀、諸国にて医を学ぶ。】

 この『文儀、諸国にて医を学ぶ』という文言は、疱瘡に限られたことではあるまいが、これら新しい医学の勉強をしていたことが窺われる。

   寛政八(一七九六)年、緒方春朔は、和文による『種痘緊轄』、
                         漢文による『種痘証治録』を著した。
   この年、            イギリス人、エドワード・ジェンナーが
                         種痘接種法を確立した。

 この『種痘証治録』から鼻乾苗法という種痘法の全貌が明らかになるのであるが、牛痘種痘法がわが国で成功し普及し始める以前の疱瘡予防に大いに貢献することとなった。
 享和三(一八〇一)年、幕府の通詞の馬場佐十郎貞由は、長崎出島のオランダ商館長ヘンドリック・ドゥーフからジェンナーの確立した牛種痘接種法を聞き、強い興味を覚えた。

 この年、二本松領下守屋村では疱瘡が流行、そこで藩は通行を遮断し、一村の生活をそのまま続けさせて隔離した。平藩でも疱瘡が流行し上蓬田村(いまの石川郡平田村上蓬田=いわき市と郡山との中間にある村)では病死人も多く、臥床しないまでにも罹病しないものは稀というありさまで農業に精を出すことができずに収穫の時期を逸してしまい、稲は雪の下になり付近郷村より引き人足によって刈り取りをするという状態であった。
 なおこの点を調べていて、伝染性の病気が発生した所では病気退散の祈祷をし、鉦や太鼓を打ち鳴らして火を焚き、病気を追い払いながら必ず他の村へも知らせようとしたのだということが分かった。そこで私は『郷土乃歴史』に書いた吉川氏が困っていた記述、『下守屋の飯豊和気神社の祭礼で花火を打ち上げてまもなく奇怪な伝染病が流行し……』のくだりは、近くの村の騒ぎを聞いてから病気が流行ったということではあるまいか、またその音と光が祭礼のようであり、それが下守屋の飯豊和気神社の祭礼での花火と誤って伝えられたのではあるまいか、と考えてみた。
 それにしてもこうしてみると、疱瘡に対して随分昔から努力がなされており、また当時の二本松領のみに限らずこの病気が全国的に蔓延していたことが理解できた。そのような状況の中で文儀は、疱瘡という病気対応への熱気の中にあったことが想像できる。

   文化四(一八〇七)年、鎖国政策を盾に、仙台藩の漂流民・加
    藤津太夫ら四人の受取と通商交渉の拒否を続ける幕府に対し、
    ロシア通商使節のニコライ・レザノフは実力で打開をしよう
    として、ロシア皇帝の許しを得ないままに海軍による樺太・
    千島への襲撃を開始した。

 このような中で択捉島の番人であった中川五郎治も、日露間の争いに巻き込まれ、シベリアに連行された。

   文化八(一八一一)年、ゴローニン事件発生。
   この年、【馬場佐十郎は拘留中のゴローニンのもとに派遣され
    て、ロシア語を学んだ】

 ゴローニン事件とは、松前藩が測量のため千島列島へ訪れていたロシア船ディアナ号を報復的に国後島で拿捕し、艦長ワシーリ・ゴローニン海軍中将ら八名を捕らえ抑留したために重大化したものである。

   文化九(一八一二)年、ディアナ号の副艦長のリコルドは来日
    して日本人漂流民とゴローニンとの交換を求めたが、日本側
    に「ゴローニンらは処刑した」と偽って拒絶され、報復措置
    として幕府御用船頭の高田屋嘉兵衛を国後島沖の海上で捕ら
    えて連れ去った。
   文化十(一八一三)年、日露交渉が成立し、高田屋嘉兵衛とゴ
    ローニンの交換が実現した。








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最終更新日  2008.03.21 08:30:07
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