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合宿、肝試し、臨海学校、里帰り、お盆の墓参り、そして神社の夏祭り。夏のイベントはたくさんあります。特に夏休み中は普段できないことをしたり、学校にいる時とは全く違う行動をすることも多いと思います。海で泳ぐ時の水着も学校指定のものではなくオシャレに気合の入ったビキニ、夏祭りにはめったに着ない浴衣を身に纏い、法事や親族会議などあらたまった場所では金糸銀糸を贅沢に使った華やかな振袖を着たり。服装だけをとってもいつもの三十三間堂学院の制服とは全然違うのです。そんな中、法行は幼馴染みの柴又かずちを誘って一緒にお墓参りに行くことになります。そして、今までずっと内緒にしていた重大な事情をかずちに打ち明ける決心をします。いつも短絡的な行動ばかりしてトラブルを引き起こすかずちも深刻に受け止めることになって・・・。 「私立!三十三間堂学院」シリーズは、主人公の男子高校生・後白河法行が女子校である三十三間堂学院に転校することになってしまうというストーリーです。事故で両親を失った法行は、遠い親戚で同い年の少女・千住花音の元に引き取られることになります。自身も幼少時に両親を亡くしていた花音は、財閥・千住グループの金と権力を使い両親を亡くした法行の面倒を看ることになり、さらに自身が理事長をしている(花音が理事長ということは学校の生徒たちには秘密です)三十三間堂学院に強引に転校させてしまうのです。花音の無茶な権力乱用によって女子校唯一の男子生徒となってしまった法行は、容姿端麗・成績優秀・スポーツ万能しかも性格も良いということで学校中の女の子たちから交際を申し込まれることになり大騒動になってしまいます。生徒会長・五部浄里が「校内の生徒と付き合い風紀を乱したら斬り殺す」と宣言したことで騒動は一時的に治まることになるのですが、女の子たちは何とか抜け駆けしようと暗躍し様々な陰謀を張り巡らすことになるのです。一方、そんな陰謀に全く気づかない法行は普通に「友達を作ろう」と頑張ることになり、そのせいで大騒動が巻き起こることになっていきます。 この「私立!三十三間堂学院」シリーズは、とても登場人物の多いシリーズです。今回、巻末にキャラクター紹介特別企画のコーナーがありますが、主人公の法行を含めないで30人もの登場人物たちが紹介されています。そして、その中には当然出番の多い登場人物もいればそうでない登場人物もおり、今回の短編集ではいつもの長編とはちょっと違った角度で登場人物たちの魅力を味わうことができます。さらに夏休みという特別なシチュエーションや主人公の法行が出てこないストーリーもあり、いつもと異なる雰囲気でストーリーが進んでいくことになります。そんな中、かずちの法行に対する深い想いや生徒会メンバー増永南と天持東の友情など登場人物たちの意外な一面を知ることができて大変面白かったです。いつも短絡的で子どもっぽい行動をすることが多いかずちが見せる思いやり、真面目な東と面倒くさがりの南の二人が大切に育んで来た友情。意外な一面を知ることでかずち、東、南たちのことがますます好きになりました。また、彼女たちの私服・水着・浴衣など制服とは一味違ったファッションについても興味深かったです。 ジャンルは、学園陰謀ラブコメディ。陰謀ストーリーやラブコメディが好きな人にお薦めです。<終>私立!三十三間堂学院シリーズ
2008年05月26日
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かつて天下が分かれていた時代、敵方の大将の首級を挙げてきたと主張する二組の忍ありけり。時の権力者は、首級を奪い合って泥沼的に殺し合う二組の忍びに「むしろ相手に首級を譲ったほうの精神をこそ勝ちとする」と命じる。かくして伊賀と甲賀の境で相手の陣地に首級を置いたほうが勝ちという荒唐無稽な競技が開始された。激しい忍術合戦を繰り広げ、首級を相手の陣地に渡し合う伊賀と甲賀の忍たち。首級を地面に落とせば負けである。そのため忍たちは、地面に首級を落とさず見事な空中戦を展開し時の権力者たちを感心させ「天晴れ!」と言わせた。この競技が後に首球と呼ばれ、発展して排球(バレーボール)となったのである。国の美術館には「伊賀甲賀首球決戦之図」という二組の忍が生首を投げ合っている墨絵で描かれたドン引き間違いなしの絵が存在している。その二組の忍の末裔が伊賀女子の甲賀女子のバレー部であった。当初首球は九人制で、その選手の一人であるという「九の一」が女忍者「くノ一」の語源であると言われた。後世、米国の「蓑ネット」が世界ルールとなったため、それに合わせて六人制となったのである。そして現代・・・。 「イガジョ!」は、バレーボールが生きがいという主人公の女子高生・多々良多々良がくノ一の女子たちが通う名門校・伊賀女子高等学校(通称・イガジョ)でバレー部に入り、忍術を使った超人的なバレーボールをすることになるというストーリーです。元くノ一の母親に育てられた多々良は、母の力を受け継いだもののくノ一の掟に従い周囲には自分がくノ一であることを隠して暮らしていました。走る時も跳ぶ時も力を抑えて、平均的に目立たないように。しかし、母親とバレーボールをするときだけは全力で体を動かすことができたのです。溜まっていた力を解放することができる幸福な時間。ところが、そんな幸福も母親が病気にかかり死んでしまい終焉を迎えます。大好きな母親を失い、バレーボールもできなくなった多々良はものすごく落ち込むことになります。それから数年、高校生になった多々良はイガジョへ通うことになり、大好きなバレーボールを思う存分しようとバレー部に入るのです。かつてイガジョのバレー部で主将を務めイガジョを優勝に導いた母親を目指して頑張る多々良でしたが、そこにイガジョの宿命のライバル・甲賀女子バレー部が立ちはだかることになっていきます。 女子バレー版「少林サッカー」といった話でした。何もないフィールドに草や花を咲かせその蔓や蔦で相手の動きを封じたり攻撃をしたりする「緑化」、自由自在に伸縮・操作できる髪の毛を使う「刈萱双六」、衝撃波を針に変えてボールをハリネズミのようにすることができる殺人技「剣山嵐」、ボールに灼熱の炎を纏わせた破壊力抜群の「太陽の子」、氷の壁を出現させることでボールの勢いを殺してしまう「薄氷」、など勝負のカギを握る忍術を使った必殺技「魔球」の応酬が一番の見所です。とにかく通常のバレーボールではありえない信じられないような技が次から次へと繰り出される驚きの展開はとても面白かったです。また、バレーの球の代わりにボウリングの球を使ったハード過ぎるトレーニングや何でもありの諜報活動、ペンギンや妖怪がバレー選手だったり、バレーボールの常識が崩壊しそうなことが平然と行われていてものすごく笑えました。特にバレーボールを愛するあまり、「バレーボールって美味しそうだよね」とボールを食べてしまいそうになる多々良の行動は大爆笑です。 ジャンルは、くノ一バレーボール・アクション・ファンタジー。アクションやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>
2008年05月19日
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「これ、マーガレット?」部屋に入ってくるなり、志摩子さんが言った。月曜日である。放課後である。薔薇の館の二階である。前日の遊園地疲れもあって、六時間の授業は結構しんどかった。いやいや、遊んできて何言ってんだ。祐巳は自分に突っ込みを入れた。「そうだよね。この花、マーガレットに見えるよね?」由乃さんがフフンと笑う。今朝教室で祐巳に会うなり、その手もとを見て同じように「これ、マーガレット?」と尋ねた人なのだが。「そう言うからには違うのね」志摩子さんは荷物を椅子の上に下ろしてから、たった今祐巳がガラスのコップに生けた「マーガレットそっくりさん」の花束に顔を近づけて匂いを嗅いだ。そして、おもむろに出した答えは・・・。 「マーガレット」キク科の多年草。カナリア諸島原産。主に観賞用に栽培される。花言葉はいっぱいある。花占い。誠実。それから、真実の友情。 「マリア様がみてる」シリーズは、伝統あるお嬢様学校・リリアン女学園に通っているがごく平凡な女子高生である主人公・福沢祐巳が突然、生徒会・山百合会のメンバーに選ばれてしまうことになるというストーリーです。「完璧」とか「絶対」という言葉が似合う優等生・水野蓉子、正真正銘のお嬢様・小笠原祥子、下級生を中心にカリスマ的な人気を誇る佐藤聖、面白いことには首を突っ込まずにはいられない天才・鳥居江利子、凛々しい剣道部主将・支倉令、神秘的な美少女・藤堂志摩子、そして病弱可憐な島津由乃。山百合会のメンバーたちは個性豊かで才能あふれる人々ばかりです。そんな中、お嬢様でもなくこれと言って特技もない普通人・祐巳は何だか分からないうちに山百合会に入ることになってしまい当然のことながら大いに戸惑うことになります。それでも「以前から憧れていた小笠原祥子さまと一緒に居られる」ことになった祐巳は戸惑いながらも奮闘することになるのです。最初、どうなることかと不安だらけの祐巳でしたが、山百合会の素晴らしい仲間たちに助けられ楽しく波乱万丈の学園生活を送ることになっていきます。 この「マリア様がみてる」シリーズは、結構長く続いているシリーズで30冊以上出ています。そうした中、ストーリーの様々な疑問や登場人物に関する謎など「知りたい」「気になる」といった事柄がたくさんあります。特に「レイニーブルー」「パラソルをさして」で行方不明になった祐巳の傘がどのような運命をたどって再び祐巳の手に戻ることになったのか?気になっている人も多いのではないでしょうか。今回の短編集「マーガレットにリボン」はこうした読者のリクエストに答えた内容になっています。祐巳の傘の話をはじめ最近出番の少ない先代薔薇さまたちのエピソード、そして前巻乃梨子ちゃんを悩ませることになった志摩子さんの家庭の事情など疑問に思っていたことを知ることができます。気になっていた疑問や謎が「そうだったんだ!」と分かり大変面白かったです。ただ欲を言えば、祐巳が1年生の時クラスメイトだった桂さんの名字が知りたかったです。彼女は祐巳と仲が良かったのに何故か名字が判明していません。何か理由があるのでしょうか?気になります。 ジャンルは学園青春ストーリー。学園ものが好きな人にお薦めです。<終>マリア様がみてるシリーズ(一部紹介)
2008年05月12日
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オメガになった瞬間まで今まで死に場所についてずっと考えていた。理想の「死」とはどういうものなのか?最後の瞬間はどんなふうでありたいか?結局、答えは出なかったけれど・・・ようやく正解にたどり着くことができたように思う。見上げれば白い天使たちが舞う青空。太陽がぼんやりと霞んで満月みたいに淡く輝いている。校庭に植えられた満開の桜からは花びらが降り注いでくる。鮮やかな桜の雨に打たれながら愛する少女と見つめ合っているんだ。その光景はすごく幻想的で奇しくもサクヤとの出会いをリフレインしたかのような状況で。うん、間違いない。これが正解だ。僕は、今、ここで、死ぬんだ。凛とした恋人の声が響く。「約束だから、お前を殺そうと思う」サラサラ、サラサラ淡雪みたいに舞い散る花びら。「お願いするよ。君のために、僕のために」降り注ぐ薄紅色の花弁をひとひら手の上に受け止めて、「この世界を、救ってくれ」。永遠とも思える一瞬の空白の後で・・・。 「殺×愛(きるらぶ)」シリーズは、「オメガ」となった主人公の椎堂密が世界を救うために恋をすることになるというストーリーです。突然始まった世界滅亡。世界は、どこからともなく現れた異形の天使たちの襲撃によって少しずつかつ着実に破壊されていくことになります。同時に「オメガ」に選ばれてしまった密は、「自分がオメガであること」「オメガが死ねば世界滅亡を阻止できること」「不死のオメガは相思相愛の人間にしか殺せないこと」を知ってしまうのです。そして、自分が生きていることで人々が天使たちに殺されるという過酷な状況に耐えられなくなった密は、世界を救うために相思相愛の相手に殺されて死ぬことを決めます。しかし、密と相思相愛になった女性はいくら世界を救うためとは言え、愛する密を自分の手で殺せるはずがなく密は死ぬことができませんでした。そこで密は対天使兵器(ルシフェリオン)の少女・有栖川サクヤと「殺すために恋をして、死ぬために愛し合う」契約を交わすことになっていきます。「オメガ」になったことで精神的に追い詰められた密と戦いしか知らないサクヤ。二人の恋愛はとても奇妙で過酷なものになりますが、協力して町を襲う天使たちと戦うことによって少しずつ絆を深め愛を育むことになるのです。 完結編です。「殺すために恋をする」×「死ぬために愛し合う」という極限状況のラブストーリーだったせいか、「恋する苦しさ」と「愛し合うことの素晴らしさ」が同時に感じられるストーリーだったように思います。また、密の初恋の女性「あの人」や密の幼馴染・来夏などものすごく強力なライバル、最終巻まで誰と恋愛してどうすれば良いのか?迷い続ける密、さっぱり恋愛を知らないサクヤ、天使たちとの激しい戦い、などヒロインであるサクヤの恋愛はとても難しいものでした。しかし、だからこそ互いに愛し合っていくことになる二人の姿は大変感動的で切なくてとても面白かったです。最後に追加されている賛否両論ありそうな「エンドロール」の部分も含めて良かったと思います。 ジャンルは終末アクション・ラブストーリー・ファンタジー。ラブストーリーが好きな人にお薦めです。<終>殺×愛(きるらぶ)シリーズ
2008年05月05日
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