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ようやくここまで来た。選定眼を持つ者に真実を告げることができた。アシュトレーは己の手の中でほのかに光る白い石に話しかけた。風龍の心臓石。膨大な魔力を秘めた至高の宝とも言われる宝石だ。「確かにあの場では混乱していたが、さすがに信じざるを得ないだろう。離宮の森で真実を見れば。戦いで傷ついたきみの亡骸を見れば・・・」それでもまだ火龍の長探しを諦めなかったら・・・。「その時は仕方がない。隻眼の火龍を亡き者とするしかない」無論簡単なことではない。むしろ困難を極めるだろう。相手はもう子どもの龍ではないのだ。こちらも無傷では済むまい。「しかし、やるしかあるまい。俺の他には誰もできない、やろうとはしないことだ。誰かが決行しなくてはあの戦いで死んでいった龍たちが哀れすぎる」・・・龍たちのためにそうするのか。「俺に望みを話した風龍に約束した。龍の守護を受けた国の王子が龍との約束を破れるはずがない」・・・律儀だな。アシュトレーははっと思考を止めた。アシュトレーの知る悲惨な未来は・・・。 「乙龍」シリーズは、選定眼を与えられた主人公の椎名理花が突然異世界に召喚されて火龍の長を探すことになるというストーリーです。幼馴染みの少年・夕樹とともに龍のいる異世界へ召喚されてしまった理花は、そこで風龍のセイレルから「火龍の長を選んでほしい」と頼まれます。世界中にいる火龍ひとりひとりを訪ね歩いて正しい長を選ばなくてはならないので大変なことです。そのうえ理花は蛇や龍といった生き物が大嫌い!当然、セイレルの頼みを引き受けるはずがなく即座に断ります。しかし、「一刻も早く火龍の長を選んでもらわないと世界中に良くない影響が広がる」と主張するセイレルは理花たちを元の世界に帰さないと脅迫してまで頼むことになり、必死で頼むセイレルを取り成す夕樹の言葉もあって理花は仕方なく火龍の長を探すことになっていきます。そうして火龍の長探しの旅に出ることになった理花たちでしたが謎の妨害者が現れたり、夕樹の母が異世界出身者だったことが判明したり、理花の兄・正輝が敵の人質になってしまったり、様々な困難に襲われることになります。 ようやく火龍の長となる者を突き止めた理花たちでしたが、「正しい火龍の長を選べば龍の世界に争いが起きる」「それが引き金となってある龍の一族が死に絶える」「この先に起きる悲惨な未来について未来からやって来た風龍が伝えた」という衝撃の情報も同時に知らされます。龍には火龍・風龍・水龍・地龍などの種類のいるわけですが、この世界の自然を司る龍の一族がどれか一つでも滅びれば世界そのものも滅んでしまいます。当然ながら「自分が世界を滅ぼす選択をしてしまう」ことを知った理花は、あまりのことに自責の念と不安に押しつぶされそうになるのです。そんな中、世界の危機をどうすれば良いのか?相談することになった龍たちは「神秘の占い師」と呼ばれる百発百中の占い師と理花を会わせようと提案することになっていきます。今回は「世界の危機」「衝撃の真実」を連発する怒涛の展開がこれでもかというくらいあって大変面白かったです。また、前シリーズの主人公アルダ・ココが立派な大人の女性に成長した姿で登場していて素敵でした。それにしても大きすぎる力を持つ龍たちが何とかしようとして失敗すると本当に世界が滅びそうなので難しくても人間の理花たちに頑張ってほしいと思いました。 ジャンルは異世界冒険ファンタジー。ファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>乙龍シリーズリダーロイスシリーズ1巻(本編全6巻、外伝3巻が出てます)龍と魔法使いガイドブック(龍と魔法使いシリーズは本編全13巻、外伝2巻が出てます)緑のアルダシリーズ1巻(本編全14巻、外伝1巻が出てます)「乙龍」シリーズは「リダーロイス」シリーズ、「龍と魔法使い」シリーズ、「緑のアルダ」シリーズと関連したストーリーになっています。あらかじめ「リダーロイス」シリーズ、「龍と魔法使い」シリーズ、「緑のアルダ」シリーズを読んでから読むといっそう楽しめます。
2008年12月22日
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目の前に二つの道が伸びている。右は山を突っ切る険しい道。左は山を避けて大きく迂回した平坦な道。(何だ何だ)花寺学院高校入学の朝、福沢祐麒は校門を入って程なく現れた分かれ道の手前で立ちすくんだ。同じように若干大きめに作られた真新しいねずみ色の学ランを着た生徒たちが、後を追い越して右へ左へと進んでいく。誰一人として迷うことなく真っ直ぐに。左右の道の入り口には、双方ともに机が出ていて数人の上級生が待っている。新入生達はまずその関所のような場所に立ち寄り、二言三言言葉を交わすと何かをもらってそれぞれ選んだ道を進んでいくのだ。当たり前のように繰り広げられている、この光景は何なのだろう。「・・・」一通り観察してみたものの、その儀式が何であるのか祐麒には全く理解できなかった。自慢じゃないが彼は幼稚園からずっと花寺学院という生粋の花寺っ子である。けれど、小学校の入学式の日も中学校の入学式の日もこんな光景は見られなかった。同じ敷地内で校門が変わっただけでこうも勝手が違うものなのか?悩んだ挙句、校門の関所を破ってしまった祐麒は・・・。 「お釈迦様もみてる」シリーズは、仏教系の男子校・花寺学院高校に通うことになる主人公の福沢祐麒が入学初日に「関所破り」をしてしまったことで奇妙な学園生活を送ることになるというストーリーです。花寺学院には体育会系のグループ源氏と文科系のグループ平氏があり、生徒の大半はどちらかのグループに所属して学園生活をおくるという伝統があります。しかし、入学式の日に悩みを抱えていた祐麒は源氏も平氏も選ぶことができず、気がついたら関所破りをしていて生徒会長・柏木優に目をつけられてしまうのです。その結果、問題を起こした祐麒はどちらのグループにも入れず学校中から孤立。しかも学校中の生徒たちから「光の君」と呼ばれ尊敬されている生徒会長・柏木優に取り入ったと誤解されて、人一倍生徒会長を崇拝しているアンドレ先輩には敵意を向けられることになってしまいます。そして、いっこうに友達ができず困り果てる祐麒に対し、柏木は「面白いことになった」とちょっかいをかけることになり、アンドレ先輩は次々と無理難題を突きつけることになっていきます。 この「お釈迦様もみてる」は、「マリア様がみてる」シリーズの姉弟版です。「マリア様がみてる」シリーズで主人公をしている姉の福沢祐巳に代わり、「お釈迦様もみてる」では祐巳の弟・祐麒が主人公として活躍することになります。ストーリーの舞台はカトリック系お嬢様学校のリリアン女学園ではなく、仏教系の男子校・花寺学院。祐麒と当時生徒会長だった柏木を中心に「マリア様がみてる」シリーズの「真夏の一ページ」「涼風さつさつ」「特別でないだたの一日」などの作品に登場している祐麒の友人・小林や高田やアリス、先輩の日光・月光兄弟、そして新キャラクターのアンドレ先輩なども加わり花寺学院メンバー勢ぞろいでストーリーが進んでいきます。「マリア様がみてる」シリーズでは姉思いな弟というイメージが強い祐麒ですが、この「お釈迦様もみてる」では悩み事を抱えながら右往左往する心優しきうっかり者少年として楽しく描かれています。もう一人の中心人物である柏木は「マリア様がみてる」シリーズに登場している時と同様に、周りの人々を振り回して大活躍です。「マリア様がみてる」シリーズではあまり語られなかった祐麒の学校生活や祐麒を通して見る姉の祐巳など、「マリア様がみてる」シリーズでは味わえない新鮮な視点からのストーリーがとても面白かったです。また、花寺学院に君臨する柏木の存在感は思った以上にすごくて驚きました。 ジャンルは男子校青春ストーリー。学園ストーリーや「マリア様がみてる」シリーズが好きな人にお薦めです。<終>姉弟版である「マリア様がみてる」シリーズ(一部紹介)
2008年12月15日
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セリカスタンで発見されたレアメタルの鉱床は西側の企業体とロシア連邦、そして近年急速に近代化を進めている中国にとって到底無視できるものではなかった。中央アジアの小国セリカスタンは知らず知らずのうちにレアメタルをめぐる国際間の資源争奪戦争に巻き込まれようとしていた。戦争とは国家と国家の争いを言う。その定義に沿って言うならば、これは戦争ではなかった。その頃、セリカスタンの首都アーディンから遠く離れた北部の草原に一人の若者が立っていた。アライグマの尻尾をつけた毛皮の帽子を被ったその若者は大きく伸びをすると周囲を見回した。その若者、天山龍也は「リューカ姫を日本に連れて行く」という約束を守るため、リューカ姫の飛行機代や日本に滞在する費用を必死にアルバイトをして貯めて一年ぶりにセリカスタンに来たのだ。「タツヤ!会えて嬉しい!元気だった?」目を輝かせて龍也に抱きつくリューカだったが、突然ヘリコプターから現れたサラサは「まったく、お前のせいで国中が大騒ぎになっとる。仕事を増やさんでほしいのお!お前も一緒にアーディンに来るんじゃ、早うヘリに乗らんかい」とものすごいけんまく。天才軍師シマオオカミの再入国は緊張状態のセリカスタンを大きく動かすことになっていて・・・。 「小さな国の救世主」シリーズは、観光でセリカスタンへやって来た主人公の普通の高校生・天山龍也が内戦を何とかしようと奮闘するうちに天才軍師に祭り上げられてしまうことになるというストーリーです。ちょっとした冒険心で「普通の人があまり行かないような国へ行こう!」と中央アジアの小国セリカスタンを訪れた龍也。しかし、セリカスタンは猜疑心に凝り固まった独裁者・センドルク大統領が恐怖と利益誘導で統治するとんでもない国だったのです。大統領自らが「セルム族中心の国を作る」ということでセルム族以外の自国民をテロに見せかけて大虐殺!観光気分でテロと暴力が吹き荒れる国へやって来てしまった龍也はたちまちのうちに追いはぎに遭い、何もない草原に放り出されてしまうことになります。そんな龍也を救い匿ってくれたのが少数民族・キンリ族の姫巫女リューカとその護衛のサラサでした。内戦によりキンリ族にも危機が迫る中、龍也は世話になったリューカ姫やキンリ族の人たちを救おうとインターネットを駆使して軍事関係を中心とする専門家やマニアの人に連絡をとり、その人たちから得た情報や意見を取り入れて危機を乗り切る作戦を考え出すことになるのです。そして、龍也はセリカスタンの人々には思いもつかないアイデアで困難な状況を次々と打破していくことになり、天才軍師・英雄に祭り上げられていきます。 一年前の龍也の活躍により平和を取り戻したかに見えたセリカスタンでしたが、レアメタルの独占を狙う中国の陰謀によって以前味方として一緒にセンドルク大統領を打倒した有力部族・ナガス族が叛旗を翻し再び内戦状態に陥ってしまいます。中国特殊部隊のヤン少佐はナガス族の長老達を言葉巧みに唆し、ナガス族がセリカスタンから独立するように仕向けたのです。セリカスタンが再び内戦に突入すればその期間内はセリカスタンでのレアメタル採掘ができなくなり、中国側はレアメタルを独占して高く売ることができます。中国という大国をバックにつけたナガス族に対し、龍也は内戦での被害が広がることにないように知恵を絞ることになっていくのです。卑劣な中国の陰謀に龍也はセリカスタン国営放送を通して「再び内戦を起こすのは良くない」というメッセージを国民たちに浸透させることで対抗しようとします。その際、セリカスタンのエースパイロットのシャクドーさんとその部下のカルケンさんが爆笑トークを繰り広げその中にメッセージを組み込むことになるのですが、「お笑いで争いが起こらないようにする」という作戦が非常に痛快でとても面白かったです。 ジャンルは、中央アジア架空小国戦記ファンタジー。戦記やファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>小さな国の救世主シリーズ
2008年12月01日
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