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六門世界最大の都市、サザン。聖都とも呼ばれ、聖エルド教の総本山があることから世界各地から集まってくる巡礼者も絶えることがない。必然的に人が集まり、物が集まり、国は栄えてゆく。「うわー・・・これはひどい」朝一番に緊急出動したマリアは、事件現場に到着するなり朝ご飯を食べ損ねたことをほんの少し感謝した。「朝からきついなぁ、これ」マリアは街路に広がる血だまりとそこに沈む肉塊を改めて見やり、うんざりとつぶやく。特務隊士などをやっていれば死体の一つや二つは見慣れたものだが、ここまで残虐な殺され方も珍しかった。死体がほとんど原形をとどめていないため身元を調べるだけで一苦労だろう。顔も滅茶苦茶になっているため、関係者に確認してもらうのも憂鬱だ。「鳥についばまれたようだな」凄惨な死体にも眉ひとつ動かさず、同僚のアルフレッドが検分していた。奇妙なことにしたいの周辺には鳩のようなもの、カラスのようなもの、大きいもの、小さいもの、まるで統一感のない羽が混じりあって散らばっている。殺された被害者はすべて聖エルド教徒。しかも聖者としての資質を持った者ばかり。奇妙な事件の真相にギリギリで気づくマリアだったが、建国記念式典を恐怖に突き落とす陰謀は止められない所まで進行していて・・・。 「召喚士マリア」シリーズは、父イエルのような立派な召喚術師を目指して修行している主人公のマリアが聖都防衛隊に入って大活躍することになるというストーリーです。父イエルや兄エルリクは六門世界(聖・魔・地・水・火・風の6つの属性からなる世界のことです)の中でも屈指の実力を持つ伝説的な召喚術師なのですが、マリア自身は全く召喚術を使えません。ドジで頭も悪いマリアは試験もダメなので召喚術を教える学校「大学院」(アカデミア)にも入学できず、最近は弟たちの方がうまく召喚術を使えるほどです。危機感を覚えたマリアは六門世界の中心であるサザンへ単身家出して修行しようと決心します。しかし、事故で爆発に巻き込まれたマリアはいきなり死亡。サザンに住んでいる知り合いに魔法で復活させてもらったものの、何かの手違いか魂がゲイの堕天使フレイムと融合してしまいます。しかも「魔物フェロモン」というべきモンスターに熱烈に好かれてしまう変な体質にもなってしまうのです。モンスターを召喚する召喚術師がモンスターに好かれるのは良いことのような気がしますが、マリアの場合はモンスターに美味しい食べ物だと認識されたり、物騒な魔王にプロポーズされたり、さんざんです。それでもマリアはコネで何とか聖都防衛隊に入れてもらうことに成功します。ルームメイトは堕天使などの「魔」属性のモンスターを憎む美少年剣士アルフレッド。マリアが堕天使と魂を共有していることを知られると大変です。しかし、そんなマリアの気持ちなどものともしないフレイムは、自分好みの美少年アルフレッドを口説こうと隙あらばマリアの体を乗っ取って騒動を起こすことになります。 シリーズ完結編です。凄惨な連続殺人事件と建国記念式典のテロ。それらの陰謀によってサザンに魔界への門(ゲート)が開放されてしまいます。魔界から無尽蔵のデーモンが現出し、サザンへ攻めてくるのです。門(ゲート)を完全に開くもしくは閉じるには、魔物を誘引する特異体質の者と特殊で強力な呪力を秘めた存在が必要。突然サザンの運命を握る存在になってしまったマリアは、もう一人の鍵となる存在・ホムンクルスのナナを救うべく聖都防衛隊の仲間たちとともに陰謀の黒幕が待つ大聖堂へ向かうことになるのです。マリアは頭が良くありません。堕天使フレイムやホムンクルスのナナなど高い知性を持つモンスターはともかく、サラマンダーのバーニィよりも知能が低いです。召喚されるモンスターよりも召喚術師のほうがおバカなことは通常考えられません。モンスターは信頼できる力ある召喚術師に従う、もしくは支配権を渡すものなのです。しかし、いつもお気楽でおバカである意味単純で純粋なマリアだからこそ召喚術の力ではなく、マリアの人望や人間的な魅力を気にいったモンスターたちが力を貸してくれます。毎回のようにドジばかりなのに、モンスターや仲間たちに信頼される不思議な人間的魅力、ここぞという時に発揮される常識を超えた底力。破天荒ででたらめな活躍を見せるマリアの姿が大変面白かったです。今回で完結なので寂しいですが、フレイムや仲間たちとの絆が深まるラストでとても感動的でした。1巻当初からマリアの頭脳レベルはあまり変わってませんが、精神的には大きく成長していたことが感じられ感慨深かったです。 ジャンルは、召喚アクション・コメディ・ファンタジー。アクションやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>召喚士マリアシリーズ召喚士マリア短編集シリーズドラマCDもあります「召喚士マリア」シリーズは、マリアの父イエルやマリアの兄エルリクの活躍するシリーズの続編です。あらかじめイエル編・エルリク編を読んでから読むといっそう楽しめます
2008年11月24日
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「むぐ・・・むぐ」もくもくと口を動かし、ひとしきり咀嚼するとさっさと嚥下してまた口を開く。そこに匙ですくった粥を運んでやるとぱくりと口が閉じる。自らを賢狼と称し、その真の姿は大の男を一飲みできる巨大な狼、麦に宿りその豊作を司る神でもあるホロは威厳も権威もどこへやら寝癖をつけたままでご飯を食べさせてもらっていた。「賢狼が筋肉痛だなんて言って誰が信じると思う?」ロレンスが食器を片付けながら言うと、「ぬしはそんなか弱いわっち、が、ぐ」と小首をかしげようとしてホロは失敗した。ローム川で耳にした「狼の足の骨」の噂の真相を確かめるため港町ケルーベに急行することになったホロとロレンスとコル。巨大な狼に変身したホロが二人を乗せて爆走したおかげでわずか半日でケルーベに到着したものの、人を二人も乗せて走ったホロは筋肉痛で腕は上がらない、首は回らない、腰は痛くて立ち上がれない、病人のような有様。さらにケルーベには北側の地主たちと南の商人たちの対立、そして以前ホロとロレンスを裏切った女商人エーブがいて・・・。 「狼と香辛料」シリーズは、行商人をしている主人公のロレンスが豊穣の神である賢狼ホロと旅をすることになるというストーリーです。豊穣の神をリストラされて村から追い出されたホロは「故郷のヨイツに帰りたい」と偶然出会ったお人よしそうなロレンスに頼みます。長年の一人旅が寂しかったロレンスはホロの頼みを断りきれず、一緒にヨイツを目指すことになるのです。しかし、ホロがヨイツにいたのは何百年も前のこと。今では「ヨイツ」という地名は残っておらず、どこにあったのかも分かりません。しかも十代の可愛い女の子に狼の耳と尻尾がくっついているというホロの姿は旅には全く向いていません。教会関係者に見つかれば「悪魔にとり憑かれている」ということで処刑されてしまいます。そうした危険を伴いながらもホロとロレンスは各地で商売をしながらヨイツを捜すことになります。リスクの高い商売についつい手を出すロレンスは行く先々で命に関わるような失敗をすることになりますが、ホロと協力して数々のピンチを切り抜けていきます。そんな中、「長い間孤独でつらい」という共通の苦しみを知る二人は急速に惹かれ合い、互いの絆を深めることになるのです。前巻からは二人の弟分的な存在である放浪少年コルも加わって、新たに三人の旅が始まることになります。 ホロやヨイツと関わりがありそうな「狼の足の骨」の噂を突き止めるためケルーベに向かったロレンスたちでしたが、詳しい情報を入手しているはずのジーン商会のレイノルズは「馬鹿げた話」だと誤魔化します。レイノルズは教会側と「狼の足の骨」のことで取引しようとしているので本当のことを教えてくれないのです。レイノルズよりも多くの情報を知っていそうな女商人エーブは、ホロから「牝狐」と警戒されるだけあって簡単に手の内を見せません。ロレンスたちはレイノルズやエーブから何とか情報を得ようと彼女らの弱点を探ったり、うまく誑かす手はないのか?考えをめぐらすことになります。しかし、そうこうするうちに港町ケルーべの対立の中心にいるエーブは町の様々な勢力から狙われることになっていくのです。必然的にエーブと近い位置にいるロレンスたちもケルーベの対立に巻き込まれてしまいます。エーブに関わるに従い、ドンドン物騒なことになっていく展開がドキドキハラハラでした。エーブ、レイノルズ、キーマンなど歴戦の商人たちとロレンスたちの激しい駆け引きがとても面白かったです。新たに仲間になったコルは陰謀ばかりの商人たちと違い素直でまっすぐで心がなごみます。それにしても筋肉痛になったホロは笑えました。狼が筋肉痛になるなんてビックリです。 ジャンルは商人冒険ファンタジー。陰謀ストーリーやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>狼と香辛料シリーズコミックやDVDやゲームもあります
2008年11月17日
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平日の午後、隣町にある市民緑化パーク。災害時の避難場所に指定されている、林や池もあるその公園の「ともだち広場」にオレはいる。すぐ後ろにはちとせ先輩「中の人」の方が立っていた。白地に水玉の入ったスカートに白のブラウス、季節に合わせてかブラウンのリボンを二本の尻尾に結んである。ちとせ先輩もオレの背中から頭だけ出して滑り台で戯れる子どもたちをジッと観察している。「どうっすか?やっぱり怖いですか?」「怖くはないですけどお」歯切れの悪い返事(でもまあ、直視できるなら大丈夫かな)。「ほ、本当にやるでありますか?」「やるであります」ランドセルと帽子を取り出しながらオレは真剣に頷く。ちとせ先輩はしげしげとその二つのアイテムを眺めていた。「大丈夫です。オレが保証します。ちとせ先輩ならきっとできますよ」「ちとせならできる・・・。分かったであります」赤いランドセルと黄色い帽子を装備したちとせ先輩が少々緊張した様子でクルリと回ってみせる。「完璧です」・・・完璧に小学生です。「じゃあ、さっそく遊びに混ぜてもらってください」オレは公園の子どもたちを指差した。対人恐怖症のちとせ先輩でも七つも年下のお子様は怖くない。この超低難度な対人恐怖症克服トレーニングは成功するかに見えたが・・・。 「姫宮さんの中の人」シリーズは、偶然に生徒会長・姫宮ちとせの驚愕の秘密を知ってしまった主人公の星野純人がちとせの秘密を守ろうと奮闘したり、ちとせの対人恐怖症の克服を手伝ったり、ちとせを守るために女子高生エージェントやマッドサイエンティストと対決したり、恋のトラブルに巻き込まれたり、することになるというストーリーです。成績優秀でスポーツ万能なカリスマ美人生徒会長・姫宮ちとせに憧れている純人。しかし、純人は偶然入った生徒会室でちとせが「外の人スーツ」というパワードスーツ?のようなものを着たままで学校生活を送っていることを知ってしまいます。何と本物のちとせは「外の人スーツ」の中に入って、中から「外の人スーツ」をロボットのように操縦していたのです。本物のちとせは格好良くて威厳のある生徒会長の面影はなく、どう見ても小学生にしか見えない小柄な女の子。全くの別人のようです。しかも、ちとせの勉強やスポーツの成績も「外の人スーツ」の性能によるものでインチキだったのです。性格さえも「外の人スーツ」に入った状態の自信満々な生徒会長と対人恐怖症な「中の人」ちとせでは全然違います。信じられない衝撃の真実にショックを受ける純人でしたが、憧れている「外の人スーツ」を着た状態のちとせから「秘密を守ってほしい」「対人恐怖症を治すのを手伝ってほしい」と頼まれ断ることができず奇妙な学校生活が始まることになっていきます。 「卒業までに対人恐怖症を克服して外の人スーツを脱いで皆に正体を明かす」という目標達成のため対人恐怖症克服トレーニングに励むちとせと純人でしたが、オタク少年・要垣内芳文に「中の人」がトレーニングしているのを見つかってしまいます。さらに要垣内がちとせ先輩「中の人」に一目惚れしてしまい、もう一度会うという約束までしてしまうのです。要垣内は純人の親友なのですが、ちとせの秘密をまだ明かすわけにはいきません。また、ちとせの命令で生徒会長選挙に立候補することになってしまった純人は、生徒会長になるためなら手段を選ばない卑劣なライバル候補・早見翔太郎と争うことにもなります。早見は純人の推薦人であるちとせの弱点を握り脅迫することで選挙に勝とうとします。そんな中、純人の幼馴染みの神楽結衣まで早見に協力してちとせの秘密を暴こうとすることになり、純人とちとせは徐々に追い詰められていくことになっていきます。ちとせ先輩「中の人」に一目惚れしてしまった要垣内や昔から純人のことが好きで本気を見せ始める結衣など益々複雑になる恋愛バトル、忍者のようなメイド部隊と戦闘用「外の人スーツ」を使って陰謀をめぐらす早見との戦い、など色々と緊迫した展開がいっぱいで大変面白かったです。それにしても「外の人スーツ」を着ている時と「中の人」の時ではものすごいギャップがあるちとせが相変わらず楽しかったです。 ジャンルは、陰謀ラブコメ・アクション・ファンタジー。ラブコメディやアクションが好きな人にお薦めです。<終>姫宮さんの中の人シリーズ
2008年11月13日
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