さくさく堂のシナプスな存在
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
震災関連の話題の仕事をしました。震災から2年たって、ぽつぽつですが、入るようになりましたね。政府や行政の仕事をしている方はむしろ直後にたくさんあって、もう減っていると思いますが、そういう直接的な、緊急の会議とは別に、これから震災の話題が語られることが少しずつ増えてくるのだろうと思います。そういう兆しを感じるようになりました。震災の記憶はまだまだ、活躍された方の話の段階です。個人の記憶が語られるようになるのはもっとずっと先。5年後、10年後、20年後。それをテープ起こし者は何度も聞いていくことになるでしょう。ライフヒストリーを聞いていると、必ず出てくるのは太平洋戦争の話です。直接、戦争体験がテーマのときもありますが、70年前の文化や風俗、社会が話題になれば避けて通れない。戦後日本は、過去の記憶を忘れるのが正しいと思って前に進んできました。語らないのが美徳だった。今になって、聞き取りの目的はそれぞれ違っても、「個人の過去を聞き、記録に残す」という行為がこんなにたくさん行なわれるようになったのは不思議な気がします。聞き取りには、公人に当時の業務や歴史的事実を聞くような実務的なものもあります。そういうものであっても、人が誰かに話をし、それに真剣に耳を傾け、文字にするというのは、語り手の癒しにつながる行為ではないかという気がします。戦争や震災のように、本当は語りたくないかもしれないことを語ってもらうのは、たとえ実務的な聞き取りだったとしても特別な作業です。テープ起こし者は、世の中で一番その人の語りを丁寧に聞く人です。個人の語りは部分的で、視点がばらばらのピースですが、たくさんの録音で何度も何度も出くわせば、特有の単語のピース、当時の社会情勢のピース、その人が見た情景のピース、その人が感じた気持ちのピースが集まって、形を成してくる。自分の中に震災のピースも少しずつたまっていく予感がします。不完全な形を成しながらピースをつなげていくテープ起こし者には、震災のいい記録が作れるようになるでしょうか。そうだといいと思います。
2013年04月09日
コメント(0)