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2019.04.15
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クリント・イーストウッド「運び屋The Mule」OSシネマズ・ミント神戸 ​​​​​​​​​​ ​​  全く初めてではなかったが、昨年の徘徊老人デビューしてからは初めてやってきた三宮ミントの映画館「OSシネマズ・ミント」です。予約チケットの入力をすると、「その番号は予約されていません」と画面表示。​​
 いきなりパニック!
 繰り返し操作してみるが同じ画面。アワアワとなりながらサービスカウンターを見ると、若い女性がニッコリしている。

「あのー、これ上手くいかないんですが?」
「シマクマセンセーですよね。」
​「ああ、ここにも救いの神が。」​

 人と出会うのが仕事だった職業も、こうなってみると悪くない。QRコードとやらで再チェックしていただいて、セーフ。
​​ なかなか座り心地のいい座席に座って、見回すと、昔、新聞会館という名前の映画館があったことを、覚えていそうな人でいっぱい。
「さあ、 イーストウッド や。」​​

​​  花畑で クリント・イーストウッド が花を、ユリの花を摘んでいるシーンから、 「運び屋The Mule」 が始まりました。​​

​  老イーストウッド 。相変わらず偏屈。男前。家族にも時代にも馴染まない。丸腰なのが不思議だ。明らかな老いを後ろ姿、腰から背筋のあたりに湛えている。重いガン・ベルトをつける体力は、きっともうないにちがいない。

「ホントウに見捨てられた男なの?見捨てたんじゃないの。」

これが​アメリカという感じの平原。まっすぐな高速道路を走るピックアップ・トラック。朝鮮戦争帰りの男と在郷軍人会の老人コミュニティー。スペイン語でしゃべるコカイン密輸の男たち。ポークサンドとスナック菓子とモーテル。どうしても通じ合えない妻と娘。  風景は美しいが、イメージは乾いている。物語はうまくいくはずのない破局の予感を掻き立てていく。孫娘の学費のために金が欲しい。愚かな欲望が、家族から見捨てられた男を際立たせる。あくまでも孤高、あくまでも傲慢。出来たことが出来なくなっていることが、我慢できない。広大なアメリカの風景が、微妙に震えているような印象がずっと続いている。

「ぼくが年をとったということかな、この印象は。」​

 妻の死に際して事情を知らない家族は彼の人生を許すが、組織と警察は許してくれない。運び屋稼業は予想通り御用となる。  裁判が始まる。弁護士が老人を擁護する。老人は弁護士を遮り声を発する。

「ギルティ―!」

​ たった、一言。これでこの映画はぼくの記憶に残る映画になった。ほかの人がなんと評価しようが構わない。涙があふれてきて、止まらない。裁判はコカインの密輸容疑を裁いていた。しかし、老人は自らの人生を裁いた。「有罪」。ぼくにはそう見えた。​
​​​​​ エンドロールをぼんやり眺めながら、80歳を越えて、自らに 「有罪」 を宣告した クリント・イーストウッド に心を奪われていました。​​
​​​ 思い出が頭の中に湧き上がってくる。あの頃から映画を見始めた。50年近くの年月がある。ずっとスクリーンの中にかっこいい イーストウッド で立っていました。 「ローハイド」、「荒野の用心棒」、「夕陽のガンマン」、 なんといっても 「ダーティハリー」 ・・・・


​  ​「そうやんな。グラン・トリノの遺書より、こっちがすごいやんな。まいったなあ。」 ​​

 三宮から元町に向けて歩きながら、 イーストウッド になった気分で、ちょっとイキッテみたけど、哀しかった。それから、 高倉健 の最後の映画を思い出していた。あれは日本の映画だったと思った。​  元町駅の手前の赤信号で立っていて、若い女性から声をかけられた。

「〇山です!」

 ほぼ、10年ぶりの再会。仕事で出会った人だが、この仕事をしていて、よかったんじゃないかと思わせてくれた人だ。しばらく、立ち話をして、近況交換。  明るい笑顔で手を振ってくれて、手を振り返しながら横断歩道を渡った。

「まあ、ギルティ―じゃないこともしたかもしれない。」

​​  そんなふうに思えてうれしかった。今日はいい日だったかもしれない。

監督 クリント・イーストウッド
製作 クリント・イーストウッド  ティム・ムーア
   クリスティーナ・リベラ   ジェシカ・マイヤー
   ダン・フリードキン   ブラッドリー・トーマス
原案 サム・ドルニック
脚本 ニック・シェンク
撮影 イブ・ベランジェ
美術 ケビン・イシオカ
衣装 デボラ・ホッパー
音楽 アルトゥロ・サンドバル
キャスト
 クリント・イーストウッド(アール・ストーン)
 ブラッドリー・クーパー(コリン・ベイツ捜査官)
 ローレンス・フィッシュバーン(主任特別捜査官 )
 マイケル・ペーニャ(トレビノ捜査官 )
 ダイアン・ウィースト(メアリー)
 アンディ・ガルシア(ラトン)
 イグナシオ・セリッチオ(フリオ)
 アリソン・イーストウッド(アイリス)
​ 原題 「The Mule」 2018年  アメリカ  116分     2019・03・12・OSシネマno2

​追記​​2019・06・17​

​  ​​イーストウッド が新しい映画を企画しているということが聞こえてきた。アトランタ五輪爆破テロ事件を題材にした 「Ballad of Richard Jewell」 という題名の作品らしい。ますますという感じ。でも、まあ、観に行かなくちゃあね。​​
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最終更新日  2026.03.13 10:39:06
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