PR
カレンダー
カテゴリ
コメント新着
キーワードサーチ
山下賢二作 中田いくみ絵「やましたくんはしゃべらない」(岩崎書店)
やましたくん
は保育園に通うようになったころから、ともだちのまえではひとこともしゃべりませんでした。その やましたくん
の小学校の一年生になった日から卒業する日までの学校でのくらしを描いたのがこの絵本 「やましたくんはしゃべらない」
です。
やましたくん
がしゃべらなかったということは、ともだちはだれも やましたくん
の声を知らなかったということです。ともだちは やましたくん
がどんな声をしているのか、どうして、ひとこともしゃべらないのか、気になってしかたがありません。
絵を描いているのは 中田いくみさん
という絵描きさんですが、表紙の絵でわかる やましたくん
だけでなくて、ともだちたちの表情も髪の毛の一本一本まで丁寧にえがかれています。
絵を見るかぎり、 やましたくん
はおこったりいじをはったりしているわけではなさそうです。 やましたくん
がなぜしゃべらないのかは、結局、わかりません。でも、ともだちたちが やましたくん
をどう思っているのかとか、 やましたくん
の声を聞きたがっていることはとてもよくわかります。
卒業式の日に、名前をよばれた やましたくん
は、はじめて、小さな声で 「はい。」
と返事をしたようです。でも、校長先生には聞こえなかったようです。そのあと、 やましたくん
がいつからしゃべるようになったのかは、やっぱりわかりません。
今は大人の 山下賢二
という人になっていて、 「ガケ書房」
という本屋さんを営んだあと、 「ホホホ座」
というブックカフェ(?)とかで本を作る仕事をしているようです。
なんだか、大人の絵本のようですが、やっぱりこれは、子供たちに読んでほしいと思いました。
追記2022・05・26
最近、 「C'mon C'monカモン カモン」
という映画を観ました。大人の質問に上手に答える子供たちと困った顔をして黙って大人をみている子供が出てきました。
「ことば」
を上手に使うことが、必ずしも上手に 「ほんとうのこと」
にたどり着けているとは限らないということをつくづく感じました。
で、こんな絵本もあったことを思い出しました。何十年も 「ことば」
について教室でおしゃべりしてきましたが、自分の中に 「やましたくん」
がいることに気づいたのは仕事を辞めてからです。恥かしいような、せつないような気持で、こうして書いています。
今更なのかもしれませんが、それでも 「ことば」
にこだわりたいと思っているようです。なにを言っているのか自分でもよく分かりませいい(笑)。
ボタン押してね!
ボタン押してね!
週刊 読書案内 ひこ・田中「お引っ越し… 2024.07.06
週刊 ジージの絵本 五味太郎「そういう… 2024.07.04
週刊 読書案内 ロバート・ウェストール… 2023.12.17