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2026.08.03
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 ディーナー・ホサーム・アブールバイア「ガザ ある戦争の物語」(地平社)溝川貴巳訳 山本薫解説  今日の 案内 市民図書館 の新着の棚で見つけた ディーナー・ホサーム・アブールバイア著「ガザ ある戦争の物語」(地平社) です。 2026年4月28日 新刊 です。
 早稲田の大学院生 溝川貴巳 という方が、 パレスチナ で出版されていた この本 の所在を知り、あれこれ苦心して 著者 とつながり、 翻訳 地平社 が出版を引き受けた本のようです。
 で、読み始めると 著者 ディーナー・ホサーム・アブールバイア という方が、​
「心優しい日本の皆様」
​という 巻頭のメッセージ でこんなふうに 自己紹介 なさっています。
 私の名前はディーナー・ホサーム・アブールバイア。ガザ出身の二五歳の女性です。戦争の最中に結婚し、今はこのきわめて厳しい状況の中で第一子の出産を待っています。
 私たちは占領と避難生活に苦しんでいます。十分な食べられる食料も手に入らず、病気に  なると知りながら汚染された水を飲んでいます。しかし、私たちが今日に至るまで生き延びてきた、これらのあらゆる苦境に抗って、私は「戦争の物語」という本を書きました。
 私の本には、占領者イスラエルが私たちに対して行った虐殺の物語のごく一部が収められています。私が戦争の最中にこの本を綴ったのは、この物語を全世界にあらゆる言語で届け、イスラエルがガザで私たちに対して行っているあらゆることの生き証人になってもらうためです。(P2~P3)
 これは 2025年の8月 に書かれた メッセージ の一部です。で、 2026年の3月の追記 にはこう書かれています。​
​六か月前に第一子のアミールを授かりました。私はずっと、この子がこの世にやってくることを恐れていました。私たちは封鎖と破壊と虐殺のただ中におり、およそ生きているとは言いがたい人生を送っていたのです。しかし、神様のお計らいで、ガザに対する戦争が終わった後にこの子が生まれ、状況はいくらか良くなりました。(P5)

 10数篇の短い物語が載せられています。どんな作品が載っているのか。たとえばこんな物語です。
  打ち砕かれた願い

幼い子ども、若者、お年寄り―

ガザ地区に住むすべての人が、侵攻によって命を危険にさらされている。彼女はその新たな犠牲者だ。

毎日、勇敢な者たちが殺され、
毎分毎秒、人々の命が脅かされ、
夢はその持ち主とともに奪い去られる。
ドゥニヤーもまた、殺され、夢を奪われた。
ドゥニヤーとは誰か?
彼女の物語とはどんなものか?
奪われた彼女の夢とは何か?
ドゥニヤーはガザ地区南部に住む一二歳の少女だ。ガザ地区の多くの人々が家を追われる中、南部の人々は自宅にとどまりつづけ、ドゥニヤーとその家族も、イスラエル軍の指定する安全地帯にあった自宅に残っていた。
 ドゥニヤーは熱意に溢れる少女で、勤勉な生徒だった。大きくなったら医者になり、その知識と仕事で故郷に貢献することを夢見ていた。
 しかし、ドゥニヤーの夢は道半ばで終わった。イスラエルの攻撃が自宅に達し、彼女は両親と兄弟・姉妹、そして家を失った。その攻撃で、彼女は唯一生き残ったが、無傷ではなかった。彼女は足を怪我し、ナーセル病院に運ばれた。応急処置を受けたが、残念ながら片足を失った。ドゥニヤーは一本の足で生きていかざるをえなくなった。
 ドゥニヤーは、海外へ行って必要な治療をすべて受け、義足をつけてもらい、そうして戻ってきて人生を歩みなおすことを望んでいた。「また歩けるようになりたい」、彼女はそう語っていた。再び歩けるようになることが、ドゥニヤーの最も大切な夢になった。しかし、非道な占領者は、再び夢を思い描くことを許さなかった。
 ナーセル病院の小児科病棟が攻撃され、数十人の死者と負傷者が出た。犠牲者たちは、心に秘めた願いと共に、若くしてこの世を去った―ドゥニヤーはその一人だった。(P59~P61)
​  読みながら、あまりのことに、これは事実なのだろうか?という疑問が浮かんできてしまう内容です。しかし、文末にこんな追記が記されているのです。​
※ドゥニヤー・アブー・モフセンは二〇二三年一二月一八日に亡くなった。
 ​事実なのですね。
 日本という国で暮らすボクたちは、おそらく、アメリカ経由の報道しか知ることができないまま、​
イスラエルがガザで何をしているのか?
​ ​ということを知ることができない社会に暮らしているという現実があります。
 遠く、海の向こうで起こっていることという 他人事 として、例えば、 停戦 とかの報道を目にすれば、そのまま忘れていく暮らしです。平和この上ない毎日です。しかし、実際に ガザ というところで暮らし、赤ちゃんを産み、 世界に向けて事実を伝えようとしている人 がいるのです。こうして、 彼女 が伝える 「事実」 翻訳した青年 がいて、 出版する本屋 があるのです。事実を知ることで、ボクの暮らしがどう変わるのか、やっぱり、他人事のままなのか。心もとないことおびただしいのですが、こうして、​
こんな本がありますよ!
​と紹介することくらいはできるじゃないか、まあ、そういう思いの案内です。
 1作、1作はそれぞれ短くて、すぐに読み終えることができます。しかし、この本に描かれている内容はすぐに忘れてしまうことができるとは思えません。​
もの凄い、作品だと思います。
​一度読んでみてください。
2026-no073-1288


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最終更新日  2026.08.03 08:55:18
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