法律と漫画のブログ

PR

プロフィール

たかしRX

たかしRX

カレンダー

バックナンバー

2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07

カテゴリ

コメント新着

読者です@ Re:『衛府の七忍』10巻感想~最終回後,桃太郎卿との対決はあったのか?(02/23) 頷きながら読んでいたのですが、2点気にな…
たかしRX @ Re[1]:キン肉マン2世における悪行超人の血統(06/30) 通りすがりの飯屋マンさんへ おっしゃる通…
通りすがりの飯屋マン@ Re:キン肉マン2世における悪行超人の血統(06/30) 性善説とか性悪説とか、たぶんそういうこ…
無名人@ Re:『コロコロコミック創刊伝説』5巻感想~ミニ四駆はホビーだ!(08/07) 平成に入ってブイジャンプ→Vジャンプの発…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2019.06.30
XML
カテゴリ: キン肉マン



このヒカルドをという超人は,悪行超人の両親から生まれたのだが色々な事情から正義超人のもとで育てられる。しかし,悪行超人の血を抑えられず,成長して悪行超人になるのだ。
このヒカルドの何が悲しいかと言えば,周囲の言われなき差別である。育ての親かつ師匠のキャラを筆頭に,ヒカルドに悪行超人の血が流れているとわかると,皆が徹底的に迫害する方に回る。
そのたびに,ヒカルドは繰り返し,「俺は正義超人だ!」と何度も叫ぶのだが,これがひどく悲しい。


(キン肉マン2世18巻,70頁より)

ブロッケンJrがヘイトスピーチとしか言えないような発言をしている画像を引用したが,ヒカルド戦ではこういった描写が延々と続く。
そして,画像を見るとヒカルドの後ろにはネプチューンマン,アシュラマン,キン肉マンスーパーフェニックス等,改心した超人たちが描かれている。まるでネプチューンマンやアシュラマンが悪行超人であると言わんばかりだ。
高校生時代の僕は,てっきり主人公の万太郎だけでも,「生まれなんか関係ない。正義の心があれば正義超人さ!」と言ってやり,ブロッケンJrたちが「偏見を持った俺たちが間違っていた…」となるのだと思ったが,そういうことは全くなかった。あまりにもヒカルドがかわいそうな展開に,高校生時代の僕は,混乱したものだ。

こういう悪行超人の血をひく者への扱いはヒカルドだけにとどまらない。


どういうものかといえば,こうだ。アシュラマンは結婚し,妻との間にシバという息子をもうけた。
シバはアシュラマンに似てか,格闘技の才能もあったようであるが,どうも血を好む残虐な性格を抑え,小動物や虫を殺したりして快楽を得ていた。これをとがめられ,シバは母を殺してしまう。そのため,アシュラマンはやむなく制裁としてシバを殺害するのだ。
これをきっかけに,アシュラマンは正義超人をやめ,悪魔超人に戻るのだ。


(キン肉マン2世,28巻115頁)

なにゆえ,アシュラマンが「妻が息子に殺され」,「息子を自らの手で殺す」などというほどの苦しみを味あわなきゃならんのか。どちらか1つだけでも耐えられないよ。しかも,息子が母を殺した原因は「悪魔超人であるアシュラマンの血を引いていたから」と示唆されている。
もちろん,アシュラマンを万太郎たちと対戦させるため,悪魔超人にしなきゃらならないという事情は理解できる。
だが,ほかのやり方があっただろう。たとえば,「グレて悪魔超人となった息子が,試合中の事故で正義超人に殺されてしまう。グレていたとは言え息子への愛情から激怒して悪魔超人に戻る」とか「魔界の王子であるアシュラマンが正義超人となったことで,魔界の政情が不安定となった。やむなくアシュラマンは国民のため悪魔超人に戻る」とかでいいではないか。

最後に,タッグ編のラスボスであるサンダーを見ていく。
彼もまた,悲惨な出自をしており,父である時間超人がサンダーの母を犯したことによって生まれている。幼いころのサンダーは泣きながら祖母に対しこういうのだ。「ボクは汚らわしい奴の血を半分受け継いで生まれてきたの?」と。


(キン肉マン2世究極のタッグ編28巻76頁)

なんとも救いがない。「犯罪者の息子は犯罪者だ」と言わんばかりだ。


キン肉マンという作品の最大の魅力は,キン肉マンと仲間たちの友情パワーであった。そしてキン肉マンの仲間たちはもと残虐超人だったラーメンマンだったり,悪魔超人だったバッファローマンがいて,出自はさほど拘っていなかった。

こういったキン肉マン2世における悪行超人の血統については特にヒカルドについては活発な議論がされており,オレ流さんのHPでは「旧作では少年漫画だから性善説だったが,青年漫画だから性悪説にシフトしたのでは?」という説も出されていた。
一応,悪行超人から正義超人入りしたキャラとして,チェックメイトやハンゾウがいるので,悪行超人からの更生が絶対できないわけではない。よって,性悪説へのシフトにも,わずかながら反証がある。
しかし,親が悪行超人だと基本的にアウトである。スニゲーターの息子であるMAXマンとか,キン骨マンの息子であるボーンコールドなんかも別に正義超人になったわけでもないから,やはり血統が激しく重視されている。

逆を言えば,悪の血統を目立たせることで,正義の血統が輝くという面もありうる。

もしかすると,初代の連載時は若かったゆでたまご先生も人の親となり,色々と思うところがあったのかもしれない。
この辺は今やっているキン肉マン連載を見ながら,今後も考えていきたい。



キン肉マンII世 究極の超人タッグ編 28【電子書籍】[ ゆでたまご ]





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023.07.03 11:07:17
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:キン肉マン2世における悪行超人の血統(06/30)  
らきすた さん
性悪説にシフトしたというのは確かに納得できますね…
デーモンシードのリングの入場条件も、根本が悪かどうかで区別をしていたので。
なおバリアフリーは老人の方が痴漢し放題だったので悪行超人といってもいいが、イリューヒンは少し性格が悪いというだけで悪行超人ではないように思える(残虐寄りではある 笑)

究極のタッグでもスカーやネプが再び悪に戻るという展開だったので、やはり性悪説というか、出自で基本的な性格が決まるという作りにしたかったのかなとは思いますね。 (2021.04.23 15:30:00)

Re[1]:キン肉マン2世における悪行超人の血統(06/30)  
たかしRX  さん
らきすたさんへ
コメントありがとうございます。
たぶん、2世の性悪説については評判が悪かったのか、今やってるシリーズだとフェニックスなんかはちゃんと更生してますね。この時もそうだったのですが、強敵が心を入れ替えて正義超人入りするところに感動させられたりしたのに、敵が悪のまま改心しないとあまり盛り上がらんのです。 (2021.04.24 07:49:39)

Re:キン肉マン2世における悪行超人の血統(06/30)  
通りすがりの飯屋マン さん
性善説とか性悪説とか、たぶんそういうことじゃないと思ってます。
設定は適当に、勢いに任せてそれっぽく上塗りしてくのがゆでワールド。
当初からネガティブな決め事はしない作家だと信じてます。

キン肉マンは10代の夢と希望に満ちたゆで先生が描いたもので、
2世はジャンプを追われて絶望と苦悩を味わったゆで先生が描いたもの。
大きな心境の変化があったことは想像に難くない。

あと、これは色々と又聞きを総合しての想像ですが、
2世の途中からは島田先生があまり関わってないんじゃないかと。

キン肉マンのイベントか何かで島田先生に2世の展開を尋ねた人がいて、
そのときの島田先生は2世の最新の話を把握していなかった。らしい。
だとするとそのころの話は中井先生と編集さんが考えていたことになり、
序盤こそキン肉マンの正当な続編に見える2世の話が、
途中から試合が冗長になり、精神性がブレたのも腑に落ちる。
キャラデザ的にも少年っぽいストレートにバカっぽいバランスから、
病んだ中年オヤジが考えたダサデザインにシフトしたのも腑に落ちる。
価値観やエンタメ性をコントロールしていた人がいなくなり、
不遇な経験からの本音と本能がダダ洩れのまま変な勢いと上塗りで
具現化し続けてしまったのがキン肉マン2世...と解釈してます。
あくまでも又聞きからの憶測ですが。

そして超人始祖編では島田先生が復帰して、
一周まわってすべてを飲み込み寛容な大人になったゆで先生が
元の世界観の延長でまた描けるようになったということなんじゃないか、
と想像してます。あくまでも想像ですが辻褄はなんとなく合う。 (2024.07.30 01:45:06)

Re[1]:キン肉マン2世における悪行超人の血統(06/30)  
たかしRX  さん
通りすがりの飯屋マンさんへ
おっしゃる通り、設定はけっこう適当だろうとは思っています。それでいて、やはり2世と1世は根本的なところでどこか違う・・・という気がしまう。
もっと言えば、王位争奪編以前の、試合の勝敗で物事が解決する単純な世界観と始祖編以降は大きく違います。このあたりも考察したいのですが、なかなか時間がない・・・。 (2024.08.01 14:47:54)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: