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2023.11.04
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前回に引き続き3DCGにアニメ『『聖闘士星矢: Knights of the Zodiac』の感想を書いていきたい。
便宜上、③一輝編、④白銀聖闘士編、⑤グラード財団編で分けていく。


聖闘士星矢 3【電子書籍】[ 車田正美 ]


​一輝編​



大きな変更点としては、 原作で登場した暗黒聖闘士の立ち位置が違う

暗黒聖闘士はグラード財団が科学の力で作った機械化人間みたいになっていて、原作でいたブラックペガサスなんかは出てこない。

せいぜい、暗黒聖衣を装備したカシオスが星矢と闘うくらいだろうか。ある意味で、暗黒聖闘士になったカシオスはブラックペガサスのように、星矢に一矢を報いることができたわけで、原作以上に扱いが良い。


残念な所としては、 一輝がグレてしまった理由がよくわかないところだ。

「聖闘士になるための特訓で地獄を見てきたから」というのは分からないでもないが、それで星矢たちと敵対する理由になるのか…。

この辺は原作では、「憎むべき城戸光政が実父であると知ったから」というのが一輝がグレた理由なのだろう。

ただ、 この城戸光政という人物はなかなか扱いが難しい。 原作の所業を描くと極悪すぎるが、そこをカットしてしまうとよう分からんことになってしまうのだな…。

なお、アンドロメダ瞬が女になっている影響か、「エスメラルダが瞬に似ている」という設定はなくなったようだ。それだと一輝が「妹そっくりの女の子と恋仲になる」というインモラルな感じになっちゃうから。


​白銀聖闘士編​


このあたりから気が付き始めたのだが、 本作では星矢を主役としてしっかり立てる演出がされているように思う。

なんというか、原作での星矢はあまり目立たない。

いい風に言えば、聖闘士星矢というのは群像劇であり、青銅聖闘士5人がだいたい平等に活躍するから星矢にスポットが集中して当たり続けることはない。

だが、本作ではけっこう星矢にいい場面を見せている。

たとえば、原作の星矢は魔鈴が人質になっていたというのがあるにせよ、猟犬星座のアステリオンにはわりと見どころもなく負けてしまったのだけれど、本作では違う。ノックアウト寸前に放った流星拳は外れたと見せかけて魔鈴を縛る鎖を切っていたのだ、というのは原作にはなかった。

本気になった星矢の聖衣に羽がでてくる演出なんかも良かったと思う。

ただ、黄金聖衣を装備した星矢が、原作では白銀聖闘士3人を瞬殺するシーンがなかったところかな。黄金聖衣の強さというのを分かりやすく伝えるいいシーンだと思ったが、CGを作るのが大変だったのかもしれない。



​グラード財団編


このあたりはオリジナル展開である。

原作でグラード財団といえば、それは城戸光政の創設した財団だったのだが、 本作では城戸光政とヴァンダー・グラードという2人が作った財団になっている。

そしてグラード財団は科学の力で暗黒聖闘士というのを作り上げ、人類を滅ぼすというアテナ沙織を抹殺しようとするわけだ。

そういえば、旧アニメでも白銀聖闘士編で鋼鉄聖闘士というアニメオリジナルが出ていたけれど、それも元ネタになっているのかもしれない。

さて、シーズン1のラスボスとなったヴァンダー・グラードであるが、彼は「人類は科学で神を超える力を手に入れた。必要のない神は滅ぼしてしまおう」という過激な考え方を持っている。

でも、 正直言って、僕はこのヴァンダー・グラードという人物の主張も分らんでもない。

ギリシア神話の神々はけっこう自己中心的であるし、あまり人間に対して憐みの心をもっていない。ならば、神を滅ぼしてしまえばいいというのは、一つの思想としてはありえるだろう。

それでいて、ヴァンダー・グラードは「城戸沙織はポセイドン、ハーデスと闘って負け、人類を滅ぼす」という予言を信じており、沙織を抹殺しようとする。

別に、抹殺しなくてもいいと思うのだが、この辺の心情は良くわかない。


このグラード財団編、実のところ僕はかなり好きである。

白銀聖闘士編でも書いたが、 主人公としての星矢をしっかり描いている。

終盤、星矢がなぜ命がけで沙織を助けるのか、について星矢の口から語られる。

星矢は幼いころ生き別れた姉の思い出の品として、姉の書いた絵を大事に持ち歩いていた。姉と言っても幼児のころのものだから、12歳という少年に差し掛かった星矢が大事に持っているのも不自然で、星矢はそれをいじめっ子にからかわれたりしていたのだ。

だが、沙織はそんな星矢を笑わなかった。

だから星矢は、沙織の心根に惹かれ、6年もの厳しい修行に耐えて聖闘士になったのだし、沙織を守るのだ、と。


このオリジナルエピソードはけっこう良かったと思う。

よく考えてみれば、原作における城戸沙織はあまり心のやさしさだとか母性を見せるシーンはない。

もともとが 「戦いの女神アテナ」 であって、聖母マリアみたいなのとは違うと言えばそれまでだが、原作の沙織は凛々しさや気高さを見せるものの、別段、弱者に対して優しいというシーンはさほどない。だいたい、聖闘士に何の相談もなく1人でボスに挑んで封印されるとか行動不能に陥るというパターンばかりである。

やはり、守られる沙織にも魅力がなければならん。
そういう意味で、この改変は良かったと思うよ。

ところで、作画について、前回感想で「作画コストがかかるせいか、聖衣が破損しない」と書いたが、後半に入ってくると砕けたりはしないものの、聖衣の表面に細かな傷が入るようになってくる。
歴戦の戦士めいてきて素晴らしいといえる。



聖闘士星矢 7【電子書籍】[ 車田正美 ]





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最終更新日  2023.11.04 14:52:46
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