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今日は、簡単に昨日の続き、マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督・脚本した映画『戦艦シュペー号の最後』に関する本を並べてみます。まず最初は昨日も紹介した、カーユス・ベッカー著、松谷健二訳『呪われた海』(中央公論新社、2001年)です。「そして艦隊は、絶望の待つ海へと旅立った」と帯に書かれているこの本は、基本的史料であるドイツ海軍各艦の戦闘日誌や各種史料にもとづき描かれたものです。第二次世界大戦におけるドイツ海軍の戦闘記録を、1939年9月の開戦から1945年5月の惨めな敗戦・降伏にいたるドイツ海軍の状態とその時々の戦略、その背景を記した決定版です!この本については、機会があれば(簡単に言えば気力が満ちて気が向いた時)長々と紹介&解説してみたいと思います。しかし、このような戦記モノはドイツ人に書かさせると世界一ですね。事実のみを淡々と記し、敵見方、双方を公平に描く。そして。まるでその場にいるような臨場感溢れる文章で、戦争という巨大な歯車の中で戦った個々人の体験を正確に描写している。日本人が書くとどうしても変な思い入れや感情が露骨に文章の中からにじみ出てくるものが多いのにたいして、実に対照的です。本当、パウル・カレルや、カーユス・ベッカーの爪の垢でも煎じて飲ませたいぐらいです。ついで、舶来戦記シリーズで有名な早川書房よりテオドール・クランケ著、ハンス・ヨアヒム・ブレネケ著、伊藤哲訳『ポケット戦艦』(早川書房、1980年、表紙画像なし)。この本も、ドイツ側から書かれたもので、不運なシュペーに対して幸運な姉妹艦、アドミラール・シェーアの活躍について詳細に書かれています。シュペーが僅か、6962総トンしか沈めなかったのに対してシェーアは15万総トン以上の艦船を海の藻屑にしています。世界の海軍史を紐解いてみると、本当に同型艦・姉妹艦なのに「戦運」、戦の女神に微笑まれた艦と見捨てられた艦の対照的なお話がそこかしこにあります(日本で取り上げるなら戦艦長門と陸奥が良い例でしょう。ワシントン海軍軍縮条約の魔の手から必死になって守り通したのに、原因不明の爆発事故を起こして沈んでしまった陸奥と、太平洋戦争をしぶとく生き残り、ビキニ環礁での核実験で沈んだ長門。どちらも幸薄い人生でしたが、陸奥はねぇ…)。それから、青木茂著『第二次世界大戦欧州(ヨーロッパ)海戦ガイド』(新紀元社、1996年、表紙画像なし)もお勧めですね。『呪われた海』は少し分厚すぎるので、初心者&入門者さんにはこの本はピッタリです。この本は、第2次世界大戦注のヨーロッパ戦線の海の戦い、「大西洋の戦い」をドイツ海軍からの視点を中心に概観したものです。ヨーロッパの海と言えば大西洋が中心ですが、その他にも、地中海や北海、バルト海などでも戦いがありました。この本良いところは、大西洋での装甲艦や仮装巡洋艦などが行った通商破壊戦にも触れているところです。通商破壊戦といえば、U-ボートが主流でしたからね。その他にも、主な海戦の経過、戦略的意味などを統計資料をもとに記述してあり、各国の主力艦の図解も付いています。あとは、『WW2欧州戦史シリーズ 大西洋戦争』(学習研究社、1998年、これも表紙画像なし)があります。この本、表紙にデデーンとドイツU-ボート部隊を開戦時から敗戦直後まで指揮したカール・デーニッツ元帥(開戦時は大佐、ヒトラーの自殺後第3帝国の総統に就任し、ドイツ降伏の処理を行います)と、大西洋の荒波の中を進むU-ボートが描かれています。この本は、僅か181ページの薄い本の中に(といっても、高さは26cmある大型本です)英本土海域、北海、北大西洋、そして米沿岸、と大西洋にと、2000万総トンの商船を屠ったデーニッツの「灰色狼軍団(ウルフ・パック)」の全貌を豊富な写真と図によって立体的に解説した1冊です。主な内容は、大西洋上の連合軍シーレーンをめぐる通商破壊戦「大西洋戦争」の実相をU-ボートの戦歴にそって紹介しているのですが、脇役として通常艦船での戦闘についても叙述されています。という感じで、入門書からマニアックな1冊まで並べてましたが、やはりドイツ海軍は不幸な戦艦ビスマルクやフィヨルドに穴篭りしていた同型艦のテルピッツに代表されるように、通常の水上艦船でなくU-ボート中心の戦いだったのですね。U-ボートについても本を一式揃えているのでまた紹介してみることにしましょう。では。しまった!登録しないで寝てしまった!!大失敗!!!
2006年03月31日
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寒いです。冗談抜きに寒いです!今日は今日とて、遂に雪までチラつきました。早咲きの桜がチラホラと花を開きかけているこの時期にです。でもまあ、今日は役場でシステムの講習だったので、ストーブを片付けた図書室で凍えるという苦行を受けなかっただけ、良かったとしておきましょう。しかし、今日の講習でやり方を教わった年次更新(利用者、この場合生徒の学年とクラス・出席番号の情報を在校生は変更して、新入生は新規に作ることです)の面倒な事。出来る事なら、今日、講習に来てくれたメーカーの担当者にやってほしいものだと、心魂から思いました。だって、新しいクラス編成がわかるのが早くても4月3日以降。それからシステム君に入力するのですが、それと併せて新入生の図書室の利用についての手引きを作って、オリエンテーションの準備をしなくてはならないのです。おまけに、まだ平成17年度予算で購入した図書のフィルム貼りが終わっていない…。助けて~、という感じです。ああ、そうそう。ようやく来年度の事が決まりまして、なんとか無事に同じ学校に居座る事が出来ました。ただ、学校の仕事のほかに余計な仕事が追加されてしまったのですが…。まあ、贅沢は言ってられない身分ですからね。さて、今日は昨日夜更かししてまで、キチンと録画していたのにも関わらず見てしまった映画『戦艦シュペー号の最後』について書いてみます。この映画、海軍好きな人間には堪らない作品です。もう最高です!時は、妄想に取り付かれたヒトラーがポーランドに侵攻した3日後の1939年(昭和十四年)9月3日。中部大西洋上、ヴェルデ岬諸島(アフリカ大陸、セネガルの首都ダカール西の大西洋上にあります)北西650海里の沖を航行中のドイツ装甲艦(Panzerschiff、パンツァーシッフ)「アドミラール・グラーフ・シュペー」の艦長、ハンス・ラングスドルフ大佐は1230時、1枚の平文で打たれた電文を受け取ります。そこには、英語の大文字で「TOTAL GERMANY」(トータル・ジャーマニー)と書かれていました。「対独全面戦争」を全世界の英連邦海軍の全艦船、及び英連邦船籍の全ての商船に通報するアドミラルティー(英海軍省・海軍本部)からの電文を傍受したものでした。その45分後、ドイツ海軍軍令部より電文の受信を以って対英戦闘行動に入るようにとの命令が届きます。これが、海戦史に名を残すポケット戦艦シュペー号の通商破壊作戦の幕開けでした。ここで、ドイツ装甲艦(Panzerschiff、パンツァーシッフ)についての解説を。このポケット戦艦とか小型戦艦、あるいは豆戦艦(どこかの錬金術師が飛んできそうですが…)と呼ばれる装甲艦(これが公式艦種です。後に、重巡洋艦に種別されました)は「より速い敵より強く(注:巡洋艦)、より強い敵より速い(注:巡洋戦艦・戦艦)」軍艦というコンセプトの元、建造されました。この軍艦は、ヴェルサイユ条約により軍艦のトン数を1万トン以下に制限されたドイツ海軍が、ドイツ御自慢の技術力、電気溶接に新型装甲鋼板、燃費の良く大馬力の出るディーゼル機関を搭載して何とか仕上げた船でした。この装甲艦の武装が28cm砲6門だったため、英国側が「ポケット戦艦」と呼称した訳です(ちなみにこの呼称は、第二次大戦前夜、英国国王ジョージ8世の即位を記念するため行われたポーツマス沖での観艦式で名付けられたそうです。ちなみに、同じく観艦式に出席(?)した大日本帝国海軍の重巡洋艦「足柄」(だったと思うのですが)は艦の大きさに不釣合いな重武装(20cm砲10門!)に「飢えた狼」という呼称をいただいています)。映画では、ポルトガル領アフリカ沖(中立国の領海内!)で撃沈された商船から船長を連行するシーンから始まります。ドイツ海軍は第1次世界大戦時にもシュペーのような通商破壊艦を世界の海に放ち、通商航路にパニックを引き起こして連合国の海軍力の分散に成功していました。第1次世界大戦時に活躍した有名な通商破壊艦としては、中国のチンタオから出撃して太平洋とインド洋を荒らしまわった軽巡洋艦のエムデン。そしてドイツ本国から英国海軍の封鎖線を突破、大西洋と太平洋を荒らした仮装巡洋艦のジーアードラーがあります。このジーアードラー、とんでもない事に帆船、クリッパーだったのです!でも、考えてみれば燃料補給の必要が無く、まさか帆船が…、と敵に油断もさせられるという一石二鳥の発想ですよね。また、ジーアードラーは作戦行動中、船員や乗客に一切の危害を加えなかったことで、艦長フォン・ルックナー伯爵はその騎士道精神を連合国側からも高く評価されました。ちなみに、この船員を殺さない、という伝統はシュペーも引継ぎ、彼女が作戦を行っている間、船員は1人も殺されませんでした。こうしてシュペーは合計9隻、6962総トンの商船を沈めたのですが、頭にきた英国海軍はシュペーを血祭りに上げるべく、8つの偵察艦隊を編成、巡洋艦から戦艦、航空母艦まで引っ張り出します。そして、計22隻の軍艦が大西洋に、たった1隻の装甲艦を探すべくばら撒かれたました。まさしく、ドイツ海軍が狙った兵力の分散に見事に成功したのですが、ドイツ海軍軍令部はこの機会を利用することに失敗します。一方、シュペーは1939年12月13日、英国海軍のハーウッド准将指揮下の8インチ砲搭載重巡洋艦エクゼター、6インチ砲搭載軽巡洋艦エイジャックス、アキリーズ(ニュージーランド海軍所属)からなる3隻の戦隊に発見されてしまいます。ラングスドルフ大佐は軽巡2隻を駆逐艦と誤認して戦闘を開始、相手に甚大な損害を与えるもののシュペー自らも命中弾を被り、弾薬を消耗したため、船体の修理のために南米ラプラタ河の河口にある中立国アルゼンチンの港、モンテヴィデオに入港します。この海戦のシーンがまた見ものなのです。あー、震える!とくに、露天艦橋で指揮をとる英国海軍の艦長以下の艦首脳部の様子が(艦橋の下には装甲版で保護された司令塔があるのに、そこに篭らない)、ネルソン時代とほとんど変わらないというのが、素晴しい!そして、モンテヴィデオに入港した後の英国側の諜報作戦と情報操作がこれまた見ものです。このシーンがあることによって、ただのドンパチ映画ではない戦争の裏側が覗ける味わい深い映画になっていると思います。そして、この英国側の情報操作により、ラプラタ河河口にて英国海軍に完全に包囲された思い込んでしまったラングスドルフ大佐は乗員を退避させた後、シュペーを爆破・自沈させ、自らは収容先のホテルで拳銃自殺を図り、自決します。イギリス映画界の重鎮、マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーらが脚本を書いて監督し、英国海軍とアメリカ海軍などの各国の海軍が協力して、本物実物の軍艦、シュペーは明らかにアメリカの重巡洋艦(多分、ボルチモア級だと思うのですが…)で、アキリーズとカンバーランドの方は本物だと思います(協力のテロップにニュージーランド海軍とインド海軍が出ていたので…)。また、洋上での夜明けのシーンや、巡洋艦が戦隊を組んで単縦陣で航行するシーンなどはとても美しく、戦闘シーン以外でも見どころ満載です。英独両艦の艦上の雰囲気も良く出ていますし、所々に出てくる英国海軍らしさ、洋上で短艇を出して艦長を旗艦に参集させて作戦会議を開くとことや、その命令を受け取った艦長が「ネルソン流だな」とつぶやくシーンなど、細かい演出が光る史実に忠実なドキュメンタリーのタッチの作品です。という感じで、今日は『戦艦シュペー号の最後』について、気合を入れて書いてみました。ちなみに、開戦時の状況や文章を書くときに参考したのが、カーユス・ベッカー著、松谷健二訳『呪われた海』(中央公論新社、2001年)です。これはドイツ側から見たドイツ海軍の衰亡史です。あとは、テオドール・クランケ著、ハンス・ヨアヒム・ブレネケ著、伊藤哲訳『ポケット戦艦』(早川書房、1980年、表紙画像なし)があります。シュペーについては、こちらの方が、詳しいです。気になる方は、手にとってみて下さい。
2006年03月30日
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日曜日にも少し書きましたが、ようやく、3年4ヶ月ぶりに新刊が出ました。私の大好きな作家さんの1人、ジェイムズ・H・コッブ氏が書いている『アマンダ・ギャレットシリーズ』第4弾、ジェイムズ・H・コッブ著、伏見威蕃訳『隠密部隊ファントム・フォース(上)(下)』(文芸春秋、2006年3月10日)です。 このU.S.Navyの女性将校アマンダ・リー・ギャレットを主人公とする現在最高の軍事冒険シリーズ兼現代版「帆船小説」シリーズ。このシリーズの著者であるコッブ氏は、海軍軍人を代々輩出する家系に生まれ、自らも軍事史と軍事テクノロジーの研究者であり、合衆国海軍研究所に勤務していたほどの、現代海軍戦略、海軍の軍事行動や各種技術に深い造詣を持つお方です。そして、その海軍に関する知識を駆使して発表したのがデビュー作『ステルス艦カニンガム出撃』。以降、『ストームドラゴン作戦』、『シーファイター全艇発進(上)(下)』、『攻撃目標を殲滅せよ(上)(下)』とギャレット艦長or司令(1作目は中佐でしたが、3作目で大佐に昇進。今回はやんごとなき事情により、現役から予備役になってしまいますが、慣例により予備役少将、つまり提督に昇進しています)が活躍するシリーズを書き進めてきました。このシリーズ、実際のアメリカで研究されていたり、実用化されている装備についての緻密なハイテク描写と卓抜な人物造型、そして何よりリアリティ溢れるスリリングな海戦シーン(水陸両用戦もありますが)で「日本の読者を熱狂させ、もっとも注目すべき軍事スリラー作家」となった、という次第であります。ちなみにこの本、先に日本語に翻訳されてアメリカより一足先に日本で出版されています!凄い事ですよ、これは!!今回は前作『攻撃目標を殲滅せよ(上)(下)』の続編です。インドネシアの海運王、ハーコナンの陰謀によりインドネシア各地で武装集団によるテロが多発、多数の島々を擁する同国は内戦と分裂の危機に陥ります。この危機に対処するにはテロ組織を支援するハーコナンを密かに排除せねばならない、と判断したアマンダ・ギャレット。彼女は、自身が構想した新戦略“ファントム・フォース”構想に基づいて建造されたコマンドー母艦「シェナード」を指揮して隠密作戦を開始するのですが、そこに予想外の展開が…。というようなお話なのですが、まだ本は全体を斜め読みしただけで、これからジックリとそれこそ『ジェーン海軍年鑑』やその筋の専門書を即、捲れる様して読み始めるところなので、紹介&解説は後日にします。そこで今回は、私が何でコッブ氏の著作が好きになったのかという理由みたいなものを書いてみます。その好きになった理由とは…、答えは簡単なのです。つまり、日本の事を良く知って書いている、ということなのです(当然、この前提の前に海軍について脱帽モノの内容が書かれていることが最大の理由ですが)。例えば、内戦状態の大陸、中華人民共和国に台湾の中華民国が武力介入。旗色の悪くなった中共側は起死回生の切り札として戦略型原子力潜水艦より核ミサイルを台湾に撃ち込もうとします。一方の台湾も核ミサイルを配備。そのような核戦争の危機を阻止すべく苦闘する駆逐艦カニンガムを描いた『ストームドラゴン作戦』。その作品の中で、中共側と台湾側との内戦を停戦すべく、フィリピン・マニラに於いてアメリカ・日本・韓国・フィリピンと当事者たちを交えた国際会議を開きます。ところが、双方が譲らず遂にお互いに核を引っ張り出してきたのでさあ大変。オマケに、中共の攻撃型2隻・戦略型1隻の原潜からなる戦隊が上海から出撃したのをカニンガムが突き止めます。つまり、中共は核戦争をやる気満々だという事が判明したのです(この報告を得た自衛隊の幕僚監部は中台間の核戦争を「十中八九ありうる」と結論を出します)。核戦争になったら北半球の太平洋沿岸部には壊滅的な被害が出てしまいます(チェルノブイリの12倍の被害!ちなみに、この説明を日本の大使が行います)。そこで、会議に出席していた国々はアメリカの音頭の元、台湾側に組して災難の元凶、戦略型原潜を撃沈しようとします。その際、コッブ氏は韓国・フィリピンが即座にアメリカの意思に従い、台湾と一緒に対潜作戦を行う事に同意したのに対して、日本の大使にこのように語らせます。一同の視線が諸星大使に集中し、日本の決断に焦点が合わされた。諸星大使はしばらくためらっていたが、やがて口をひらいた。「日本は国の政策の一環として戦争放棄を宣言しています。この方針に例外を認めるには、かなり強力な動機が必要でしょう。しかし、核兵器による破壊の脅威がわが国におよぶというのは、じゅうぶんな動機となると思います。この件に関して日本政府の全面的支援を期待してくださって結構です」(274~275頁)どうです。皆さんは、当たり前の事だ、何を言っているの?、とお思いでしょう。実は、日本国憲法第9条は国際的、それは当然、外交官や学者などの知識人は知っていますが、政治家や軍人、普通の人々などにはあまり周知されていないのです。とくに、「戦争放棄」や「軍隊の放棄」などは自衛隊を保有している事や、日本政府が国際的にプロパガンダをしてこなかったために、ほとんど理解されていない状況なのです。なんだ、それは!とお思いでしょう。でも、このような状況なのです。例えば、今騒々しい日米安全保障条約。日本では国民のほとんど全ての人がアメリカが同盟国だ、ということをご存知でしょうが、肝心のアメリカの一般国民は「え!日本と軍事同盟結んでいたの?」というような反応がほとんどです。いや、本当に。つまり、如何に崇高な理念を掲げていても、それをキチンと国際的に宣伝して理解を得ないと全く意味が無く、中国の強力なプロパガンダに敗れてしまうというわけなのです(韓国は、国際的信用、ぶっちゃけアメリカからの信用が下降の一途なので、何を言われても気にする事はありません)。では、何でコッブ氏はこんなに日本の内情をご存知なのか(日本の大使の言いようは翻訳の影響もあるでしょうが、我々にとってすんなりと受入られませんか?)。これは、やっぱり海軍研究所に在籍されていたためでしょう。U.S.Navyにとって日本はなくてはならない最重要同盟国なのですから、先方はシッカリと日本についてアレコレ調査・研究しているわけです。アメリカ第7艦隊の基地として、中国・ロシアに対する前線基地として、そして何より太平洋の軍事的防波堤としてその価値は計り知れませんからね。考えてみてください。日本国内にある在日米軍基地、横須賀・厚木・岩国・佐世保…、みんな旧帝国海軍の軍港や飛行場だったところですよ。さらに、横須賀には空母信濃(戦艦大和型3番艦)が入っていたドッグがあって、そこは現在、アメリカの空母の整備用に使われています。アメリカ西海岸へ日本近海から行くのに約1ヶ月、ドッグに入っている期間を除いても往復と補給等で3ヶ月近く時間を浪費してしまいます。でも、日本で整備を済ませれば…。時間が節約され、整備費もお得!おまけに、日本の熟練の職人さんたちがミッチリと点検・整備を行うので、アメリカ本土で整備をするより良い、との評価までいただいているのです。造船大国日本万歳!!まぁ、その他にも色々と理由はあります。でも、その辺の事情を書くとオーバーフローしてしまうので、阿川尚之著『海の友情』(中公新書、2002年)を参考にして下さい。 では最後にこの本の解説を書かれた書評家、福井健太氏のこのシリーズに関するおすすめの言葉を書いておきます。本シリーズは、「軍事テクノロジーや国際スリラーに興味がない人でも楽しめる、エンタテイメントの王道を踏まえた作品群」なのです。という事で、今日は海軍ネタで書いてみました。では!
2006年03月28日
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え~、昨日はイタリア・シチリア島産の白ワイン、コルヴォ君を一本空けてからブログを書いたため、思考回路の安全装置が弛み、煩悩が爆発してしまいました。 【コルヴォ・オニリス】(ちょうど、私が明治○にてダース買いしたのと同じ銘柄のものがありましたので、載せておきます。イタリアワインの代名詞、コルヴォ・ビアンコとは思えないほどの〈失礼!〉のおいしさ!お値段の割りに、柑橘類系や南国の花の香り豊かなシッカリとしたワインですよ。)朝、変なトラバがかなり入っていたので読み返してみたのですが、かなりやりすぎたかな~、と少々反省しました。でも、日記の削除はいたしません。気になる人は、読んでみて下さい。と、いう様な話は於いて置いて本題です。『司書が読んだ『暴れん坊本屋さん』シリーズ』連載再開です(何の話だ!?)。ですので、タイトルに「(2)」が入っていても「Part4」になるわけです。ご納得いただけたでしょうか?このシリーズ、久世番子さんの『暴れん坊本屋さん(2)』(新書館、2006年4月10日、以下『暴本』と略す)を読んだ感想と、学校図書館司書の日常の悲喜劇を絡めたエッセイを書き綴っていくものですが、今回はまず、「検索」のお話から始めましょうか。さて、昨今の学校図書館はよほどド田舎でも行かない限り、パソコン、つまり貸出用のシステムが導入されています。(かえって田舎の方が予算があってシステム化されているかもしれません)私の所ではまだですが、場所によっては市町村内全ての小中学校をオンラインで結んで、検索や相互貸借ができるようになっているそうです。相互貸借なんて、すごい手間だろうなあ~。この、どこの図書館に行っても、それどころか一般の本屋さんにも置いてある書籍の検索システム。でもこれ、ちゃんと使いこなせていますか?そんな、本を探す苦労を描いたのが「第19刷 本を探して3000件」です。この「3000件」の意味、お分かりですよね。検索システムでキーワードにヒットした件数です。何じゃこりゃ~!と思われるでしょうが、下手な人が使うと(若しくは使い方がわからない人が…)、少々大げさですがこのような惨事となります。これは、中学校で普通の生徒が自分でシステムをいじって検索をすると良く起こります(図書委員は本好きの生徒が多く、検索のやり方は小学生の頃から公立図書館や自宅のパソコンなどで自主学習しているので、図書担当の先生より上手です)。では、どうやったら上手に使えるのか?と言いますと、まず第一は漢字をあてにしない事です。と言うよりも、自分の記憶をあてにしない事です。いいな、と思った本を見かけたときは、迷わず主題(本の題名)・著者・出版社、その暇がなければカバーの裏のバーコードの横にある10桁(ハイフォン抜きで)のISBN(国際標準図書番号)を控えておきましょう!でも、そんな器用なことはそう簡単に人間には出来ません。大抵の利用者は、本の主題しか、しかもうろ覚えでレファレンスに来ます。その場合、まずやるのが半角カタカナで打ち込むことです。それで、ヒットしなければ次いで、半角カタカナで打ち込んだ主題を、単語ごとにスペースで切って検索にかけます。まあ、中学生相手だとこの辺で大体、顔を出してくれます。それに、中学生相手だとよっぽどのことがない限り、過去5年前後に出版された図書が大半なので、時期を指定して検索をかけることにより、より一層、検索の範囲を狭められます(あの「3000件」は大げさ、というか『母を訪ねて三千里』のパチリですが、大体ただ単に主題のメインとなる語句を、年代の指定無しで検索すると300冊位は出てきます)。ちなみに、私は著者の姓名がハッキリしている場合意外、著名から本を探す事はあまりしません。だってコレ、アヤフヤでやると無茶苦茶手間が掛かるので…(同姓同名や漢字の読み違え等々)。あと、意外な裏技としては、本の内容を聞いてから出版社で検索する事もありますね。このジャンルの本はかなり「濃い」内容なので、この出版社辺りしか出していないだろう、と検索するわけです。そういう出版社は大抵小さい(=出版部数が少ない)ので、出版年を大体、指定してやると簡単にお目当ての本に行き着くことが出来るわけです。まあ、そんなケッタイナことをしなくても、皆さんは簡単に「and」と「or」検索のやり方を覚えておけばグッと検索しやすくなりますよ。この「and」検索というのはそのものずばり2つのキーワードにヒットする主題を探してきてくれる検索方法です。例えば、「魔女の出てくるお話で、たしか題名に「ただしい」が付いていたような気が…」とレファレンスで来た場合、システムの検索画面の「書名・タイトル」のところに「魔女 タダシイ」と間にスペースを入れて検索にかけると、アンナ・ディル著、岡本さゆり訳『正しい魔女のつくりかた』(早川書房、2004年)がヒットするわけです(他にもアレコレ出てくる可能性がありますが、その場合は詳細情報を覗き、内容を調べて利用者にコレですか?と候補を複数提示します。ちなみに、このスペースを入れてand検索をする方法は私の使っているシステムでの話ですよ!)。一方の「or」の場合は先のとは逆で、複数のキーワードのいずれかの語句を含む全ての図書を探し出してきてくれます。ですので、私は「or」はあまり使いません。散弾銃みたいで、数撃てば当たる、といった検索方法ですね。ちなみに最近の公立なんかのシステムでは、書名・著者名では検索窓の下に「~から始まる(前方一致)・~を含む(中間一致)・~と一致する」と選択肢があってその中から「この単語は確か~××の夜、だったから、~を含むだな」と検索できますし、窓も2つ3つあってその間に「and」と「or」が選択できるようになっています。という次第で、なんだかシステムを使った検索方法について長々と書いてしまいました。多分、このブログを覗きに来る人たちにとっては「そんなことは知っているわ!」というような内容だったと思います。実はこれ、来年度の新入生向けの図書館オリエンテーションの時に使う「システムの使い方」についての説明の敲き台(+余計な事)なのです。実際にはシステムを使いながら説明をする事になるのでしょうが…。うーん、もうチョッと解かりやすく端的にしないといけませんね。そうだ、オリエンテーションついでにもう少し。この『暴本』の「第19刷 本を探して3000件」にも書いてありましたが、書店員さんも司書も利用者から必ず尋ねられる言葉がコレ「○×の本はどこにありますか?」です。頭の良い番子さんは、大きな案内板を設置しました。でも、お客さんはそんなもの見ないで店員さんに直接聞いてきます。「わかりましたァ!!案内板に任せようとした私たちがバカでしたぁ!!!」(番子、心の叫び)、はい、司書もそう思います。書店の案内板に対して、図書館ではNDCの十進分類番号の細目表と館内配置図が本を探す案内となるのですが…。誰も見てくれません(注:公共図書館でも大体同じです)。中学校の図書室なんかは狭いので、どこにどんな本があるかは生徒はすぐ覚えてしまいますが、せめて分類番号だけは覚えて欲しいものです。だって、返却の際、自分で書架に戻すのですが、913日本の文学のところに933英米の文学が混じっていたり、五十音順に著者記号に沿って並べていたのにグチャグチャにされたり(涙)。そりゃ、書架整理が学校図書館のメインの作業(昼前に1回、昼休み後、コレが一番大変!に1回、そして帰り際に1回、計1日3回)ですが、こうも見事に散りばめられると…。新入生には本の背表紙にある3桁の分類ラベルの意味をシッカリ叩き込まねば、と決意を新たにしています。でもまあ、せっかく図書館には司書がいるのですから本に関する質問は何でも司書にぶつけてみて下さい。そのために司書はいるのですから。 ←検索方法のところ紹介した『正しい魔女のつくりかた』 です。この表紙絵がなんともはや…。素晴しいです!
2006年03月27日
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はい、今日も今日とて毎週日曜日の恒例、名古屋への書道のお稽古日。その帰りに寄って参りました。名古屋駅地下の三△堂書店へ。で、今日のお目当ては、と言いますとまず第一がジェイムズ・H・コッブ著、伏見威蕃訳『隠密部隊ファントム・フォース(上)(下)』(文芸春秋、2006年)です。ようやく、3年ぶりにアマンダ・ギャレット大佐の勇姿にお目にかかれたわけです。この本については、読み込んでからまた書きますが…。そして他にめぼしい本はないか?と書店内を徘徊していますと、今日のメイン、このブログでも何回も取り上げました久世番子さんの『暴れん坊本屋さん(2)』(新書館、2006年4月10日、以下『暴本』と略す)が目に入りました。私、この本が今週出ること、すっかり忘れていたので店頭平置きを見た瞬間「しまった~!」と頭の中で嘆いてしまし
2006年03月26日
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今日、NHKの総合テレビの『クローズアップ現代』で、『ベストセラーはこうして作れ~新書ブームの舞台裏~』という、なかなか興味深い番組をやっていました。新書。今、書店さんに行けば必ず目に付くのが新書売り場の活気ではないでしょうか。この数年ですよね。こんなに新書売り場が賑やかになったのは。その活気も当然というデータがあります。養老猛先生の『バカの壁』(新潮新書、2003年)は410万部、山田真哉著『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光人社新書、2005年)140万部、今日の番組の中でも出てきた藤原正彦さんの『国家の品格』(新潮新書、2005年)100万部…(トーハン調べ)。凄まじきかな…。このように、今やベストセラー争いの主戦場となった観のある新書の世界。では、なんで新書が今こんなにも元気なのかと言いますと、その原因は雑誌販売(特に男性誌)の落ち込みによる広告収入の低下に寄るものだそうです。その対策として出版社が注目したのが、制作・流通のコストが安くて、必ず店の棚を確保できる新書だったのだそうです。でも、いくら新書ブームとは言え売れなければ元も子もありません。では「売るため」の秘訣とは?それがなんでも「3T」と呼ばれるテーマ、タイミング、そしてタイトルがキーワードだそうです。例えば、タイトルで見てみますと『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は当初『会計センスの磨き方』という少し堅苦しいタイトル案だったのですが、「これでは売れない」と編集者と著者が議論を重ねて今のタイトルになったそうです。たしかに、このタイトルだと「なんだこれ?」と思わず手を伸ばしてしまいますよね。さらに新書は、泣く子も黙る新書の名門『岩波新書』や『中公新書』、『講談社現代新書』のように従来の質実剛健な教養路線から、最近3年ぐらいで雨後の竹の子のように出てきた『新潮新書』や『ちくま新書』、『平凡社新書』に『PHP新書』、そして『集英社新書』といったような新しい新書のシリーズが、人生論やハウツーものなどへと読みやすく「ライトな」内容なものへと多様化してきているそうです。そして、その傾向により従来あまり新書を読まないとされてきた若者や女性、女子大生をターゲットにする出版社も現れてきたそうです。なんでも、ベストセラーは最初は男性が多く買っていくのですが、爆発的に売れ始める時は購入者は女性の方が多いんだそうです。意外だな~。今日の『クローズアップ現代』で面白いな、と感じたのがスタジオゲストのブックコメンテーター、松田哲夫さんの「新書を自分が読む雑誌のように集めて読むことが出来る」という趣旨の発言です。松田さん曰く「今月はこのテーマだから、あの新書とこの新書、それからその新書を…。と言う様に、ひとつのテーマに沿って、自分の知りたい事、調べたい事が載っている新書を自由に選んで、自分だけの雑誌が作れるのだ」そうです。確かに、その通りですね。実は、私もそのようなテーマごとに新書を収拾している人間なのです。ただ、そのような「自分だけの雑誌を作る」という感覚がなくて、この言葉が何だか新鮮に聞こえました。 また、元祖新書の『岩波新書』はここ最近、ベストセラーが出ていないので、この4月に1000冊目を出版するのを契機に今までの「教養路線」を維持しつつも、今の新書ブームにも対応しようとする「変わるのだけど、変わらない」(こんな感じのキャッチフレーズだったの様な気が?ま、書店のポスターで確認にて見て下さい)という戦略を打ち出して、心機一転、攻勢をかけようとしているそうです。そんな、新書を巡る各出版社の戦略を軸に読者も取材して「知」に対する日本人の意識の変化を探ったのが、今日の『クローズアップ現代』でした。そう言えば私の部屋にも本棚にも、新書が増えてきたな~。↑19万部売れている保阪正康さんの『あの戦争は何だったのか? 大人のための歴史教科書 』(新潮新書、2005年)は、私の一押しの新書です!ついでに、『日本の国境警備隊・海上保安庁』というお題で新書を集めてみると、以下の5冊が手元にあるので、並べてみます。
2006年03月23日
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今日も今日とて見てしまいました…。シッカリ録画もしているのに、『コンバット!』を…。という次第で、今日は『コンバット!』をより深く楽しむのにピッタリの本を紹介してみます。その本は、その題名もズバリ『アメリカ陸軍全史 欧州戦史シリーズ (Vol.21)』(学習研究社、2002年)です。その前に、『コンバット!』についての簡単な解説を。この超有名な戦争ドラマ『コンバット!』は、ノルマンディー上陸作戦以降の欧州戦線を舞台に、アメリカ陸軍歩兵連隊に所属する普通の歩兵小隊(分隊)の少尉(小隊長)、軍曹(分隊長)、そして兵士たちの視点から、戦場での人間の心理を描いた傑作です。この戦争ドラマの主役の二人のうち、とくに有名なのがヴィック・モローが演じる大胆で人間味あふれるサンダース軍曹(声:田中信夫、吹き替え版なので声が大事なのです!声が!!)です。『コンバット!』と言えば「サンダース軍曹」と言うぐらいに作品の顔となっている人物です。アメリカでは1962年から67年にかけて、全152話放送された超大作で、今、NHKのBS2『BS懐かし海外ドラマ』にて、最初の16話分を放送しています。ちなみに私は、リック・ジェイソンが演じるヘンリー少尉(声:納谷悟朗)が好きなのですが。さてこの『アメリカ陸軍全史 欧州戦史シリーズ (Vol.21)』の内容ですが、アメリカ陸軍はなぜ史上最強の軍隊となりえたのか?先進性と合理性はいかに生み出されたのか?その思想、兵器、戦略・戦術とは?というような疑問について、史上最大最強の軍事組織、アメリカ陸軍について、歴史を通して多角的に考察する事により「強さ」の本質に迫ろうとする意欲的な1冊です。また、この本『学研戦史シリーズ』ですので、このシリーズの最大の売り、豊富なカラー・ビジュアルの大量使用のおかげで、見ているだけでも楽しめます。この本のメインは、『コンバット!』の舞台となった第二次世界大戦時のアメリカ陸軍の主戦場、欧州戦線なのですが、独立戦争に始まる米国陸軍の創設から南北戦争、米西戦争、第1次世界大戦を経て成長していく過程の解説から始まり、第二次世界大戦の北アフリカ、イタリア、そして北フランスへと解説が進んでいきます。実は、アメリカ陸軍は第二次大戦参戦時は極めて弱体であり、それが大戦を通じて急成長を遂げ、遂にはソ連と並んで世界最強の陸軍になるのですが、その急成長を支えた秘密の中で意表を突かれたのが教育システムの『「素人の軍隊」を精鋭に変えたマニュアル主義』という論文で、どのようにして『コンバット!』の兵士たちが訓練され、戦場に送り出されたかが分かって中々面白かったです。この他にも、高度に機械化され合理的に編成された師団編成についての論文や、高度に自動車化された兵站システムの解説、『コンバット!』の中で良く登場する携帯式の無線電話、トランシーバーを用いた砲兵の射撃システムなど、『コンバット!』に出てくる武器や装備の解説は勿論、戦闘行動や作戦に至るまで、詳しく解説してくれています。実は、アメリカ軍の本当の強さは高度に機械化された歩兵や、大量のシャーマン戦車や凄まじき弾幕射撃に代表される無駄ともいえる物量、歩兵ひとりひとりに支給された半自動式小銃M-1ガーランド・ライフルやM-1カービンのような携帯武器ではなく、小隊長、場合によっては分隊長クラスまでもが携帯していた携帯式無線電話だったということ、ご存知でしたか?素早い情報の伝達こそが、刻々と状況が変化する戦場では一番の武器だったのです。そんな感じで、今日は『コンバット!』を読み解く本を取り上げてみました。そう言えば…。 あ!いかん、このところ軍事モノばかりだ!精神が荒んできている証拠だな…。参ったなあ~。どうしよう…。 ↑小さ~い。でもやっぱり、モノクロじゃないと雰囲気がね(笑)
2006年03月22日
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昨日は、『日露両国から見た「ノモンハン事件」』という題で、マクシム・コロミーエツ著、小松徳仁訳『ノモンハン戦車戦』 (大日本絵画、2005年)と、半藤一利著『ノモンハンの夏』(文芸春秋、2001年)の2冊を取り上げました。そこで今日は、これらの本を読み解く時の参考となる日本陸軍の兵器について取り上げた本を簡単に羅列してみたいと思います。まず最初は、私が自信を持ってお勧めする1冊、宗像和広・兵頭二十八編著『日本陸軍兵器資料集 泰平組合カタログ』(並木書房、1999年)です。なぜか、アフリエイトに情報がなかったので、並木書房さんのHPを載せておきます(並木書店さんのHPで、「ジャンル」の中の『ミリタリーユニフォーム』というシリーズをクリックすると一覧が出てきます)。この本は戦前、日本陸軍の武器輸出機構であった「泰平組合」が海外向けの販促用として昭和10年頃に制作した『陸軍兵器カタログ』を再び日本語に全訳して復刻したものです。近所の公立図書館で見つけたときには一驚して、延長して4週間かかけて読み込んだ本です。この本の特徴は、なんと言っても各兵器の詳細な解説および図版を追加した画期的なデータブックであることです。海外に陸軍の余剰兵器を売り込むために造られたカタログだけに、収録されている兵器写真の鮮明なことは驚くほどです!収録されている兵器類は、三八式歩兵銃のような小銃、十四年式拳銃や九四式拳銃などの拳銃類から、軽・銃機関銃に野砲や重砲の類まで、果ては双眼鏡、砲隊鏡といった光学機器、各種の駄載具、弾薬車等々、売れそうなものは何でも、と言った感じで兵器を収録しています。本の解説によると大平洋戦争中は、アメリカ軍がこのカタログを日本軍研究の資料として使い、長く「部外秘」としていたので、国内の軍事専門家でさえ本書の存在をほとんど知らなかったという大変に珍しい本である、とされています。なるほど。実は戦前、日本は兵器の輸出大国でした。貧乏国、日本が外貨を稼ぐのに手っ取り早い方法が、重工業の中で突出していた技術と生産力を持った兵器産業を使った兵器の輸出であったわけです(兵器は技術革新や定期的に入れ替えをするので、いつもでも中古品が出てくるのです)。最も、最初は陸軍のお下がりを修理して売っていたわけですが、その後、生産力に余力が出てくると積極的な営業を開始して、主に中国向けに兵器を売っていたわけです。他にも、第一次世界大戦ではアラビアのロレンスの率いるアラブ軍に小銃を売り、タイ国に対しては戦車や飛行機などを売り込み、有名なところではソ雰戦争(冬戦争)時、フィンランド軍の第2線部隊が三八式歩兵銃で武装していたとか、大砲が日本軍の中古品だったとか、そのようなエピソードがあります。そのうち、フィンランドのエピソードについては梅本弘著『雪中の奇跡』(大日本絵画、1989年)を読んでみてください。次いで、お勧めなのが中西立太著『日本の歩兵火器』(大日本絵画、1998年)です。こちらは、旧陸軍の教範(マニュアル)を基に作られた本です。この本はイラストをふんだんに使用して「本来集団使用が原則の歩兵火器を理解するには、個々の兵器の機構や性能を知るとともに、集団使用時の部隊編成や運用などの知識も必要ではないかと考えて作」られているためか、非情に解かりやすいです。取り上げられているのは、まず歩兵の武器として基本中の基本の小銃、拳銃、擲弾筒。次いで、小銃擲弾器、曲射歩兵砲。お次が対空、対戦車火器に十一年式軽機関銃に九六式軽機関銃、九二式重機関銃、九七式二〇粍自動砲などの機関銃・砲の類(陸軍は口径13mm以上は「砲」と呼称していました。海軍は20mm以上でした)。ついで、歩兵連隊の中では重火器となる十一年式平射歩兵砲、九二式歩兵砲(大隊砲)、ノモンハンでソ連の戦車相手に大奮闘した九四式三十七粍砲(速射砲)に四一式山砲(連隊砲)というような大砲が出てきて、最後がナント日本らしい軍刀と軍刀術で終わっています。 そして最後に、1944年の『米陸軍省テクニカル・マニュアル』から作られた菅原完著『日本陸軍便覧』(光人社、1998年)を紹介しておきましょう。この本は、1944年10月、フィリピン侵攻を目前にして米陸軍省が作成した秘密文書“TM‐E30‐480”―連合軍があらゆる手段を講じて入手した日本軍地上部隊・航空部隊に関する情報を集大成し、ごく小部数しか印刷・配布されなかったとされるテクニカル・マニュアル日本語版です。内容は、軍の中枢から最前線の分隊までの編成と戦術、鹵獲兵器のテスト結果や操作方法など、膨大なデータを整理・分析、帝国陸軍の真の戦力を明らかにした第一級の戦史資料です。これを読めば、いかに米軍が日本陸軍の実情を詳細に掴んでいたかが理解できて、空恐ろしい気分にすらなる一冊です。という感じで、余り知られていないマニアックな日本陸軍の兵器について取り上げた本を3冊、紹介してみました。それにしても、表紙画像がないとつまらないですね。
2006年03月21日
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みなさんは「ノモンハン事件」という言葉をご存知でしょうか?昭和14年(1929)5月に、当時の満州国(現・中国東北部)とモンゴル人民共和国との国境、ハルハ河にて勃発した国境紛争です。歴史の教科書や資料集では大抵、「ソ連軍とモンゴル軍の攻撃により、死傷者2万人もの壊滅的打撃を受け(云々)9月に停戦」という説明が出ていると思います。ま、要するに帝国陸軍の大敗北、というのがこれまでの通説、というか「定説」でありました(ちなみに歴史学においては「定説」はありません!「定説」と考えられているのは、みんな「通説」です)。このノモンハン事件でこれまで最も喧伝されてきたのは日本の戦車の脆弱さと、ソ連軍の戦車等に代表される機械化された近代的な軍事力による圧倒的戦力差でした。ソ連軍の戦車や対戦車砲、ピアノ線式対戦車障害であっという間に撃破され、スクラップになってしまい、挙句に上層部の命令で壊滅する前に戦場から撤収させられた、という「弱くて役立たず」の日本の戦車というイメージを植えつけたのがこのノモンハン事件でした。ところがソ連の崩壊後、これまで隠されたきた史料がドッと公開されてそれを調べてみると、以外や以外、日本軍はかなりの善戦をしていてソ連軍に対して甚大、と呼べるような損害を与えていたのが明らかになってきたのです。そのような、これまで日本人が知らなかったノモンハン事件の真実を敵国、ロシア側から調査したのが、このマクシム・コロミーエツ著、小松徳仁訳『ノモンハン戦車戦』 (大日本絵画、2005年)です。この本は、昭和14年(1939)7月3日、日ソ両軍が初めてノモンハンの荒野で近代的戦車戦を戦ったその記録を、ロシア人研究家が最新資料からイデオロギー色を廃して独自の視点で検証した一冊です。これまで、ノモンハン事件はソビエト共産党のイデオロギーに真っ赤かに塗りつぶされていて、かなり「宣伝」の匂いがしていたのですが、昔の日本は「唯物史観」一色だったので社会主義の総本山、モスクワの出す政治色豊かな公刊戦史を鵜呑みにしていたのです。まあ最も、日本側の『戦史叢書』も日本が実質的に負けましたよ、と言っているのでしょうがない部分もあったのですが。ところがこの本では、残された記録から日本軍の攻撃に苦戦を認める赤軍実戦部隊の「肉声」の数々を紹介し、これまでソ連軍機甲部隊の圧勝を伝えられてきたノモンハン戦の実像を見事にひっくり返してくれています。さらに、投入された両軍の戦車・機材・装備類を鮮明に捉えた記録写真、しかも日本初公開写真・資料とともに紹介している贅沢な一品です(2,500円もするのだから)。本当にこの本の良い所は、日ソ両軍の兵器を懇切丁寧に解説している点と(とくに、日本側の!)、ロシア側から見た史料に基づく詳細な戦況の描写です。でも、いくらロシア側の史料でソ連「赤軍」の苦戦が証明されても日本軍は最終的には完膚なきまでに負けたのですからどうしようもないのですが…。日本の敗戦の理由は簡単で機械化されたソ連軍の機動力と兵站能力、そして兵器、とくに射程距離の長く威力抜群で命中力の高い大砲の前に敗れ去ったのです。さらに、ソ連側がジェコーフ元帥のような優秀な指揮官や参謀を送り込んだことも勝因ですがね。なにせ日本はこの時、日中戦争の真っ最中!本当は満州の辺境でこんな戦争している場合ではなかったのですが…。そんな、日本側から見たノモンハン事件を描いたのが半藤一利著『ノモンハンの夏』(文芸春秋、2001年)がありますので、この本と併せて読まれると面白いと思います。この『ノモンハンの夏』は、あの司馬遼太郎氏が最後に取り組もうとして果せなかったテーマ「ノモンハン事件」を共に取材した半藤さんが書き上げたという曰く付きの一冊です。実は、司馬遼太郎氏と戦車については有名な話ですが、戦時中、戦車連隊に配属されていた司馬氏はあまりの戦車の貧疎さに衝撃を受けて(ヤスリを戦車の装甲にかけたら削れた、というエピソード)、その時の経験がその後の人生に大きな影響を与えたそうです。つまり、太平洋戦争の「衝撃」を引きずっていた司馬氏がようやくそれを乗り越えようとしていた時に亡くなられたわけなのですが、その意思を継いで書き上げた作品であることを考えた読むと違った読み方が出来るのではないでしょうか?あの第二次世界大戦のソ連随一の英雄、ジェコーフ元帥が大戦後あのドイツ軍と比較して「一番の苦戦はハルハ河の戦い」と吐露したほどの激戦であったノモンハン事件(ジェコーフ元帥は、ノモンハン事件の後、クレムリンでのスターリンに対する報告の中で「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑迷さで戦うが、高級将校は無能である」との面白い発言をしています)。日露両国から見たノモンハン事件を読んで、双方の歴史認識、歴史の捉え方について考えてみては如何でしょうか。 さて、このノモンハン事件で使用された日本の戦車は、と言いますと主力は八九式中戦車で、武装は短砲身(対戦車戦闘に不利!)57mm砲×1と6.5mm機関銃×2、装甲は11~17mmで重量は約15t。時速は最大30キロほどで乗員は4名でした。ついで、九五式軽戦車ハ号がありますが、これは37mm砲×1と6.5mm機関銃×2で武装し、装甲は6~12mmで重量は7.4t。時速はナント50キロもでる快速戦車でした。乗員は3名で、『ノモンハン戦車戦』の表紙には捕獲されソ連軍兵士の調査を受けている写真が載っています。そして僅か2両でしたがあの有名な九七式中戦車チハも投入されていました。この戦車の武装は、八九式とほぼ同じ(砲が新型に改装されたのと、機銃が7.7mmにグレードアップしているくらい)ですが、装甲が25mmと強化され、無線機も搭載されていました(う~ん、1930年代としては、信じられないくらいの性能だ。この当時までは、辛うじて日本の戦車は列国と肩を並べていたのです!)あとは、九四式軽装甲車TKがいましたね。重量わずか3.4t。武装が6.5mm機銃×1で、装甲はペラペラの8~12mm。乗員は2名と言う「豆タンク」でした。これら、日本軍はノモンハン戦を戦ったのです。ちなみに『ノモンハンの夏』の表紙には、撃破、若しくは放棄されたソ連軍のBA-6型とおぼしき装甲車の横で、九二式重機関銃を展開している日本兵の姿が写った写真が使われています。
2006年03月20日
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最近、仕事から帰ってくると、何だかものすごく眠くなります。帰りの電車の中で寝ていても、眠いのです!「春眠暁を覚えず」と申しますが、それにしても眠い!!本当に家に帰ってからアレコレしよう、と頭の中で考えていたのに、家の玄関を上がると何だか眠りの妖精が肩を叩いて、睡眠モードに入ってしまうのです。おかげで、書道のお稽古は出来ず、論文を読んで勉強する事も、本を読むことも滞ってきています。当然、撮り溜めているアニメの録画も見ていないので、ROMが机の上に散乱し始めています。そして、今日も今日とて、転寝から目が覚めてこの日記を書いているわけです。それでも、性懲りもなく帰りに寄った本屋で1冊買ってしまいました。その本とは、菊池雅之他著『イージス艦入門』(イカロス出版、2005年)です。本当は今日は何も買わない積もりだったのですが、ふとミリタリー関連の雑誌売り場の棚に差し込まれているの発見してしまい、税込1,699円というお値段にもかかわらず、衝動買いしてしまったわけです。では、その衝動買いの原因は?と言いますと、これは明らかにテレビ東京系列で放送されているアニメ『タクティカルロア』の影響によるものです。、海上自衛隊の全面的な協力を得て製作されたこの『タクティカルロア』。登場人物の女性人は兎も角として、ストーリーや世界観、そして設定、とくに艦船の!がなかなか面白いので、私の中で最近のお気に入りの作品になっています。と、なりますとやはり近未来の世界を舞台としているこの作品の中で活躍する、護衛艦「パスカルメイジ」の各種設定について、どれぐらい正しいのか?どれくらい実用に迫っているのか?という点に関心がいくわけです。海軍大好き人間にとっては!そこで今、世界の最先端を突っ走っている戦闘艦と言えば…。そうですね、泣く子も黙るイージス艦です!以前はU.S,Navyと海自以外は保有していなかったのですが、今では、スペイン・ノルウェー・韓国の海軍が保有、若しくは建造中です。そんな、世界で最も強力な軍艦であるイージス艦について解説した本を探してみるか~、と思っていたところに偶然、本屋で見つけてしまったので本能の趣くままに購入して今、手元にあるわけです。散財!散財!!という次第で、今日はただ買っただけだよ~!という本の紹介をしてみました。でも、皆さん。このイージス艦には我々の血税が1隻あたり1200億円以上!!も投入されているのです。そして最近は、ミサイル防衛の第一幕を担うシステムとして注目されてニュースでもよく出てきますね。そんな我々が高いお金を出して買った、この「国の安全」を守る軍艦について性能等を少々知っておくことは、納税者にとって決して無駄ではないと思うのですが、どうでしょうか? ← タクティカルロアホームページへは、こちらからどうぞ
2006年03月17日
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火曜日のNHKBS2衛星にて放送されていた、エドワード・ズウィック監督作品、デンゼル・ワシントン出演の映画『グローリー』について、関連する本と連想した事を雑多に並べていきたいと思います。さて、どの方向に転がる事やら…まず、『グローリー』のあらすじですが、時は南北戦争下のアメリカ北部。ボストンの良家出身のロバート・グールド・ショー大佐は黒人志願兵によって結成された第54連隊を指揮を執ることとなります。彼は、地元で奴隷解放を願う黒人たちを募集して訓練を施し、第54連隊を編成します。連隊は上層部や周囲の黒人に対する差別をもろともせず、奴隷解放を願う黒人兵たちの高い士気に支えられ、戦果を挙げていきます。そして、ショー大佐は第54連隊を南北戦争屈指の激戦、フォート・ワグナーの戦いの先陣を切ることを志願し、連隊は要塞に突撃を敢行するのですが…。と、いうような内容です。この南北戦争、と聞いてパッと思い浮かんだのが以下の2冊です。 フィリップ・キャッチャー著、斎藤元彦訳『南北戦争の北軍』(新紀元社、2001年)と同じ著者・訳者の『南北戦争の南軍』(新紀元社、2001年)は、『オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ』というその本の取り上げる時代・戦争の概説と将兵の被服や武器、携行品までをカラーイラストと当時の写真・絵画などを用いて詳細に解説している、軍事マニアにとっては堪らないシリーズです。日本語訳は僅かしか出版されていないのですが、原本は古代メソポタミアから現代までの各国の軍装を紹介していて何百冊も出ているそうです。私はそのシリーズの中で、『ネルソン提督時代のイギリス海軍』が欲しいのですが…。次いで、思い出したのが『歴史群像グラフィック戦史シリーズ戦略戦術兵器事典(3(ヨーロッパ近代編))』(学習研究社、1995年/表紙画像ナシ)です。この本のメインはヨーロッパ近代、と言っても西暦1500年ぐらいから19世紀初頭のナポレオン戦争までの戦争について、アレコレ解説している便利な一冊です。この本も、イラストや写真が盛り沢山で、執筆者も軍事史研究家や海事史研究家、防衛大学校や東京大学の元教授といったシッカリとした専門家が揃っているので読み応えも十分あります。この中で、何で南北戦争が取り上げられているか?と言いますと、「ナポレオン戦争は“近代戦”たりえたか」というコラムがあって、その中で南北戦争がナポレオン戦争と比較されているからです。実は、この南北戦争こそが近代戦(「総力戦」)の萌芽だったと私は考えます。先の『戦略戦術兵器事典』では、ナポレオン戦争は近代戦ではなかったが、その近代戦の前提条件、師団制、徴兵制などのシステムが成立し運用されてはいた。ところが、参謀本部は存在しなかった事、兵站が中世と同じで馬車に頼っていた点、同じく、連絡・伝令も馬や手旗を使用していたため、指揮命令が柔軟かつ短時間で行う事が出来なかった等の問題点を指摘して、近代戦ではなかった、と結論付けています。一方の南北戦争では、部隊の移動と兵站は鉄道と船、一部では蒸気船を利用し、命令は電信を利用してワシントンから即、前線の司令部に指令が届けられるようになっていました。武器も、ナポレオン戦争時は中世からの青銅砲を使用していたのに対して、南北戦争では鋳鉄製の大砲、一部の大砲はライフリング(砲身にらせん状の溝を切り込む事。コレによって、砲弾に回転が与えられて弾道が安定する)が施されていました、を使用、砲弾も改良され射程距離、破壊力共に桁外れになりました。また、歩兵の持つ小銃も『グローリー』の中であったように銃口の先から火薬と弾丸を込める見た目は昔ながらの鉄砲でしたが、着火装置は水に強く不発の少ない雷管式に、小銃の銃身にはライフリングが施され、弾丸もこれに応じてミニエー式と呼ばれるライフル用の弾丸が使用されたために、こちらも威力・射程距離が増しました。これによって、『グローリー』みたいに生身の歩兵が横一列になって敵と向かい合い、至近距離で撃ち合いを行うと…、大変な事となったのです。当然、そんな威力抜群の鉄砲が手薬煉(テグスネ)挽いて待っている要塞に歩兵が突撃しようものなら…、大損害です。そういえば、映画では出てきませんでしたが、南北戦争では戊辰戦争の庄内藩が使用して有名な手動式機関銃、ガトリング砲が開発されたのもこの時代でしたね。他にも、南北戦争では着弾点の観測や連絡用に気球が使われたり、世界初の蒸気機関を積んだ装甲艦同士の海戦も行われました。まさに、使える科学の力を動員した様相を呈したわけです。そんな、気球から思い出した本は、ジュール・ヴェルヌ著、手塚伸一訳『ミステリアス・アイランド(上)(下)』(集英社、1996年)です。NHKの教育テレビでドラマも放送されていたこともある『海底二万里』の続編であるこのお話。南北戦争下のアメリカで南軍の捕虜となっていた五人と犬一頭が、北軍の包囲下にある南部の首都リッチモンドから嵐の夜、気球にのって逃亡を図るのですが…、という感じで冒険小説の名手、ヴェルヌのお話が始まるのですが、後は本を読んで見てください。次に装甲艦のお話ですが、この知っている人には有名な南軍が北軍海軍の家海上封鎖を突破しようとして製作した「メリマック」号と、その情報に慌てた北軍が急遽一ヶ月で急造した、世界初の旋回砲塔を持つ装甲艦、「モニター」号との一騎打ちを描いた宮崎駿監督のマンガ「甲鉄の意気地」が載っている『宮崎駿の雑想ノート増補改訂版』(大日本絵画、1997年)です。この宮崎駿の作品集は、私のおすすめ品の1つです。こんな感じで、南北戦争から思いついた本を列挙してみましたが、最後にあんまりにも有名な2冊と紹介して終わります。それは、 ルイザ・メー・オールコット /ジェームズ・プリュニエ 著『若草物語(上)(下)』(あすなろ書房、2000年)とマーガレット・ミッチェル著、大久保康雄訳『風と共に去りぬ(1)改版~(5)』(新潮社、2004年)です。これらは、説明の必要はないでしょう。あぁ、本当は海軍ネタが出てきたところでアメリカ海軍近代化の父にして、日本を開国させた「ペリー提督と蒸気海軍」というネタに持っていきたかったのですが、これもまた今度となりそうですね。アァ、それにしても今夜も書いた書いた。昨日は、コメントの返事を書いた後、そのまま長椅子の上で朝まで熟睡してしまったので・・・。何か溜まっていたのかな~。
2006年03月16日
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今日は、色々あって疲れて帰ってきました。そして帰宅後、フラフラ~ッとテレビに吸い寄せられてチャンネルを替えていたらやっていたのが(NHKのBS2です)、『ラスト サムライ 特別版』のエドワード・ズウィック監督が撮った『グローリー』という映画です。この映画、最初はトロ~ンとした頭で眺めていたのですがそのうち中々よく出来ているぞ、と思い少し真剣見てみると、あれ、デンゼル・ワシントンが出ている!ということに気が付きました。これは少々期待できます。という次第で、最初の方は見ていないのですが大体のあらすじは、南北戦争が勃発し、北軍将校ロバート・グールド・ショー大佐は黒人志願兵によって結成された第54連隊を指揮を執ることとなります。でもこのショー大佐、髭を生やしていても隠せないほどの童顔の持ち主。つまり若輩者で、ボストンの上流階級出身の実戦経験無しの将校さんです。彼は、地元で奴隷解放を願う黒人たちを募集して訓練を施し、連隊を編成していきます。ところが、南北共に黒人差別が当然の如くあった時代。黒人兵たちには、銃や制服、果ては靴すらも支給されず、給料も白人兵の13ドル対して10ドルしか払われないという差別をされてしまいます。それでも、黒人兵の不満をなだめ、信頼を得る事ができたショー大佐。どうにか装備を整え、アイルランド系とおぼしき鬼軍曹の猛訓練の結果、第54連隊はなんとか前線へ出動することが出来るようになりました。ところが前線に来てみれば、緒戦は腹黒上官の略奪行為の片棒を担がされ、その後は、来る日も来る日も肉体労働。南軍との戦いを望んでいた黒人兵たちの士気は落ちていきます。そこで、ショー大佐は上官の不正行為をネタに恐喝して、最前線の戦いの場へと第54連隊を連れて行くのです。映画では森の中での緒戦に見事勝利!奴隷解放を願う黒人兵たちの高い士気に支えられ、ショー大佐は第54連隊を1863年7月18日のフォート・ワグナーの戦いへと導いていくのです…。それにしてもこの映画、戦闘のシーンが本当によく撮れています!(というか、その場面しかシッカリ見ていません)最初のドンパチが行われた、森の中での戦闘を見た瞬間、背筋が伸びました。南軍の兵士と黒人兵との銃撃戦!あの当時の様子そのままに、敵の白目が確認できる至近距離まで近寄って双方撃ち合うあの情景!森の中を霧が少々かかり、銃撃の硝煙(黒色火薬はものすごい煙を出すのです)見通しの悪い中、双方入り乱れての白兵戦!先込式銃に必死になって装填する姿や、南軍兵士を銃床で殴り倒し、銃剣で突き刺す。迫力でしたね。それから、彼の有名なフォート・ワーグナーの戦い。浜辺に建てられた要塞に向かって遮蔽物の無い砂浜を通って歩兵が突撃し攻略しようとする、無謀な作戦…。当然、最初に突撃を敢行する部隊は大損害を被ります。その隙に後続部隊が要塞に殺到して一気に片を付ける作戦だったのですが、この決死的な作戦に名乗りを上げたのがこれまた、ショー大佐。いくら黒人の地位向上や色々と思うところがあってもこれは無謀です。一応、海軍が4日間、セッセと艦砲射撃を喰らわしていたようですが、映画でも史実でもこの要塞、砂浜の上に建っているので鉄剥くの球形弾とか導火線式の榴弾や臼砲弾では砂が砲弾の直撃や爆発の衝撃やら破片を吸収して効果が薄いのです。オマケに要塞には対艦用の重砲をはじめとする大砲が数多く配備され、守備兵は1千人!こんなところに攻撃をしかれば、機関銃がなくても203高地になるのは必定です。私だったら、砂地で軟らかい地面なのだから、要塞に向かって塹壕を掘り進んで、最低、土塁の至近まで平行壕を掘り進めてから攻撃を仕掛けますがね(一番良いのは、要塞の下まで穴を掘り、土塁などの防御施設を爆薬を仕掛けて吹き飛ばす事です)。こうして、第54連隊は見事、半数もの兵士が戦死。部隊は壊滅してしまいます。当然、先頭切って突撃して指揮を執っていたショー大佐は、蜂の巣にされてしまい、他の兵士や将校たちも土塁の上からの銃撃や至近距離からの大砲の砲撃によって、一掃されてしまいます。そして、このような血を流して得た戦果も、南軍の抵抗が激しく後続の部隊が撃退され結局フォート・ワーグナーは陥落せず、ここで映画はお終いとなっています。そしてこの後、第54連隊の戦果によって多くの黒人連隊が編成され、最終的には2万人もの黒人兵が動員され、リンカーン大統領によって「彼等の御かげで戦争に勝利する事ができた」と言わしめる活躍をしたのですが、その後の黒人に対する差別はみなさん、承知の事実です。結局南北戦争は「白人同士」の戦いであって、奴隷は解放されたけれども差別はなくならず、黒人は大義名分のために利用された、というところでしょうかね。最後にこの映画、クライマックスのフォート・ワーグナーへの攻撃の際に流れる音楽と映像が素晴しいほどにマッチしていて、迫力も満点の名シーンです。映画の時代考証や、作中に出てくる小物の設定(鉄砲とか、大砲とか)も確かです。ノリだけが良いジョン・ウェインの『騎兵隊』なんかよりも重たく、人々の感情に訴えるものがある、南北戦争を舞台にした壮烈な戦いを描いた歴史&戦争スペクタクル映画傑作でした。
2006年03月14日
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今日、朝起きたら雪が舞っていました。雪ですよ、雪!卒業式が済んだというこの季節に。あまりの寒さに、そろそろお役ご免だな、と思って用務員さんに片付けてもらおうと思っていたストーブに火を入れて暖を取った一日でした。先週の土曜日が暖かかったので、今日の寒の戻りは応えました。さて、今日は先週の金曜日に紹介した押井守監督の著書を紹介したいと思います。その本とは『すべての映画はアニメになる』(徳間書店、2004年)です。それにしても、何とも大胆な題名とは思いませんか。さすが、アニメーションと実写映画、両方とも撮ったことのある監督さんですね。この本の内容は、「うる星やつら」からこの本が出版された当時の最新作「イノセンス」までの軌跡を、1984年から2004年までの20年間、『アニメージュ』誌上において「映像作家押井守」がアニメ=映画の可能性を宮崎駿監督をはじめとする様々な映像作家たちとの対談やインタビュー記事を時系列にまとめた物です。私がこの本の中で面白いな~、と思ったのがまずは宮崎駿監督との対談ですね。それから、最新作『立喰師列伝』にも関係してくる押井監督の「失われた風景への郷愁」を語った部分や、「モニターの向こうで戦争が始まる―映画『機動警察パトレイバー』が描く世界の変容」という題の章での、「戦争」についての監督の考えですね。とくに、『機動警察パトレイバー2 the Movie』なんて、現実の東京を舞台とした「戦争」を描こうとしていたじゃありませんか(まぁ、「戦争」と言いますかクーデター・内戦の一歩手前を描いているのですが)。そもそも、現代の日本人にとって「戦争」とは押井監督の作品は勿論、他の映画や報道映像等と同じようにテレビ画面の向こうにあるものであって、全く実感の持てない空虚なものではありませんか。最も、最近は自衛隊のイラク派兵(派遣ではありません!)によって、身を以って「戦争」というものを体感している方々が日本国内でも出てきましたが…。話を戻しまして、あと、私が興味を持ったのが『人狼』や『アヴァロン』と言った実写映画とアニメの境界や双方の「限界」や、それを超えたところについて語ったところですね。ここが、「すべての映画はアニメになる」という本の主題の根幹部分ですね。詳しく書きたいのですが、ネタバレになりますし、何より押井監督の作品を見ていないと「?」という部分もありますので、止めておきます。ところで、この『すべての映画はアニメになる』はアニメーションに関する幅広い情報を提供する、その筋では老舗の雑誌『アニメージュ』での連載をまとめたものです。実は、押井監督は現在も『アニメージュ』にて「C級なんてこわくない!?押井守の映像日記」という監督がたまたまテレビをつけていたらやっていた映画の「独断と偏見」を交えた素敵な感想を連載されています。これが中々面白いのですよ!一度、読んで見てください。もうこれ、『TVをつけたらやっていた』という単行本になっていますから。と言った感じで、今日は「犬と立ち喰い蕎麦」が大好きな押井守監督に関する本を紹介してみました。そうそう、最後にご忠告を。『すべての映画はアニメになる』は、押井監督の作品をある程度知っている人ではないと、楽しめる&深く読めないと思いますので、この本を読む前に押井監督の作品をDVDを借りて来て見てから読まれると良いと思います。ちなみに、『TVをつけたらやっていた』はそんな予備知識なしで楽しめますから、一般の方々にはこちらの方が無難かな? 【お知らせ】この記事をご覧になられた方は、是非、この前の記事もご覧になって下さいね。少々、自慢したいことがありますので♪
2006年03月13日
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本日、時雨沢恵一先生の『リリアとトレイズ(3)イクストーヴァの一番長い日〈上〉』(メディアワークス、2006年3月)を、書道のお稽古の帰りに、近鉄名古屋駅の上にある「☆野書店」さんで購入しましてきました。そして、早速帰りの電車の中で読んでみたのですが、何とそこには驚きと嬉しい発見があったのです!その「発見」とは、時雨沢先生お得意の「あとがき」にありました。今回も『リリアとトレイズ』シリーズの定番となっている、「小生意気なガキ」カルロちゃんが時雨沢先生の代わりに「あとがき」コーナーを仕切っています。この、「小生意気なガキ」コーナーの良いところは「本文のネタバレがないので、先に読んでもOK」というところにあるので、早速、後ろの方を開いて読んでみますと…。何とそこには、余談だが、時雨沢の文庫『キノの度(9)』では、“あの”あとがきに関する苦情が図書館や図書室の司書からたくさん出たらしい。とアルではありませんか!!!実は以前、「やってくれたな!時雨沢先生!!」という題でこの『電撃文庫!!!』にて『キノの旅(9)』の「うらがき」に関する苦情を書いたことがあるのです。 そうなのです!みなさん!!!カルロちゃんが言っている「図書室の司書」とは私のことなのです!どうです、すごいでしょう!!!ウヒヒ、アハハ、ウヒアハ!!!(注:歓喜の表現=『11ぴきのねこふくろのなか』より)その「やってくれたな!時雨沢先生!!」では、時雨沢先生~。色々と面白いことを考えるのは良いのですが…、ここに「うらがき」に余計な知恵と労力を払わされた司書が約一名いることを、お忘れなきように!(個人的には、「うらがき」は発想的にも、内容的にも大変面白かったのですが…。)と言う大変失礼な(笑)ことを書いたのですが、わざわざこの『リリアとトレイズ(3)イクストーヴァの一番長い日〈上〉』にて、ちゃんと反省していただき、このような小さな声にも対応していただいた事に、深く感謝いたします。それにしても、あの「うらがき」に対する苦情は私以外にも結構あったのですね。まぁ、本のコーティングをしている図書館司書にとってはあのような「凝った」本は、本当に困るのですが…。ところで、「「うらがき」をコピーしてコーティングした図書の最後の「きき紙」のところに、折り込んで体裁良く貼り付ける」という非常手段をとったのですが、この対応、本当に大丈夫だったのでしょうか?多分、このブログをチェックしていると思われるメディアワークス電撃文庫編集部の方、こんな奇想天外な「うらがき」への対応なのですから、OKなのですよね? ←このカバーの裏に「うらがき」が・・・。『リリアとトレイズ(3)イクストーヴァの一番長い日〈上〉』についての感想、その他諸々はまた後日に!でも、ひと言。メグちゃんが可愛らしかったのが意外な驚きでした。以上!
2006年03月12日
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昨日から燃え盛っている、頭の中の妙な煩悩がまだ燃え尽きないので、今日も長々と書き綴ります。という次第で、今日は昨日の帰りに買い込んだ『アニメージュ』と『ニュータイプ』の中から、目を引いてかつ、今週取り上げているキーワード、宮崎駿監督にも少し被る記事について取り上げてみたいと思います。さて、皆さんは映画監督の押井守さんをご存知でしょうか?この方の作品と言えば『機動警察パトレバー』(私の好きな第2作目の『機動警察パトレイバー2 the Movie』を)シリーズ、『人狼#JIN-ROH』(このお話が、一番好きです!)、有名なところでは『GHOST#IN#THE#SHELL#攻殻機動隊』や『イノセンス スタンダード版』の監督さんです。この人は『アヴァロン』という、ポーランドで撮影した実写映画も撮っています。この押井監督は、私が宮崎監督に次いで好きな監督さんです。ちなみに3番手は、庵野監督です。多分、日本のアニメーションでまともに世界で張り合えるのは、実力からも、知名度からもこの3人しかいないのではないでしょうか?(ガンダムの富野さんは置いておいて…)そんな、押井守監督の最新作が『立喰師列伝』という映画です。私、このタイトルを見たとき、パッと『犬狼伝説(完結篇)』を思い出しましたが、即、書架から取り出して確認してみると、やっぱりその中でこの「立喰師」なる者が登場していました。では、この「立喰師」なるモノは一体何なのか?と言いますと…。「ふらりと飲食店に現れて飯を食い、店員をあの手この手で言い負かしては立ち食いする立ち喰いのプロたち」の事だそうです。つまりは、犯罪者なわけなのですが、最近の単純で粗暴な犯罪者ではなく、「芸」を使って商売をする江戸時代から続く「盗人」という風情を感じさせるのが「立喰師」みたいです。この「立喰師」は、押井監督の子供時代に見た大人が立ち食いをする姿を見た体験と、「立ってものを食べるとおいしく感じられる」という妄想から生まれた「立ち喰いのプロ」だそうです。そうして、作り上げた「立喰師」たちを、自分の仕事の印として密かに自作に登場させ続けていたのですが、今回、はじめて「立喰師」をメインした映画が作られることになったのです。でも、この映画すごいですよ!なにがすごいかと言いますと、登場人物がみ~んな、押井監督周辺の業界人で固められているのです(笑)なにせ、スタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫さんが犯罪者カード持って警察で写真を撮っているシーンが記事の中にあるのですが、コレ見たときはぶっ飛びましたね。ちなみに鈴木プロデューサーは「冷やしタヌキの政」という『犬狼伝説』に登場する人物役で出てきています。他にも、『マクロス』の河森正治監督が、どっからどう見ても「カレー」からイメージするターバン撒いたインド人!という風にしか見えない「中辛のサブ」という役で出てきているのがもうもぅ…。これは、久方ぶり『ミニパト』以来のギャグ路線だな、と思いました。もっとも、作品は2部構成で前半は重たいらしいのですが…。そして、そのような業界人を出演させるのに使ったのが「スチール撮影をした人物をCG上の人形にはり付けて動かす、スーパーライヴメーションと名づけられた」技法だそうです。これによって、「役者でなくても素材として顔が面白ければいい」という、とんでもない事が出来るようになったので、個性的な監督さんや雑誌の編集者等々がかき集められ、挙句に皆さん悪乗りまでして作ったのがこの映画だそうです。私がこの押井監督が好きな最も大きな理由が、この映画の記事にも取り上げられていた「戦後昭和の歴史」です。『立喰師列伝』は「戦後の昭和という時代を生きた人々が体験した出来事が、事実のパロディやギャグをたくさん交えつつ色々語られている」のですが、それら押井監督の目を通して見て感じた「昭和史」なのです。映画『人狼』でも「もうひとつの戦後」というキーワードで昭和30年代の首都東京を舞台に武装警察とセクトの女闘士との関係を描いていますし、『パトレイバー』でも現在の新旧の東京姿を様々な場面で対比させながら描いています。押井監督は「日本という国の宿命である『何かを排除しないと新しいものが成立しない』ということに怒っている。言ってみれば、日本人はこれまでずっと魂を売り飛ばしつづけてきたんだ。」と述べられています。これは、日本の戦後の姿をズバリ鋭く言い当てた名言だと思います。戦前まで、日本は外から得たものもこれまで日本に存在したものの中かに包み込む形で吸収していたのですが、戦後は何でもかんでも新しいもの取り入れ、古いものは悪だ!と言わんばかりに切り捨ててきている今の日本。そんな日本の現状に対する押井監督の「怒り」とは、「失われた何か」とはを感じに、この映画を見に行っては如何でしょうか?それよりもこの映画、名古屋で上映されるのだろうか?不安だな~。
2006年03月10日
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最近、チョッと力を入れてアレコレ書いているので今日は簡潔にしておきます。それにしてもここ最近の日記を振り返ってみると、良くコレだけ書いているもんだな、と自分自身であきれ返ってしまいます。その根本原因はみ~んな、私が図書館司書だからです(それと、どうしようもない性格もありますが…)。なぜかと申しますと、図書館司書はレファレンスが出来るからです。レファレンスとは、図書をはじめとする各種情報媒体(最近では映像資料やインターネットの情報も!)から利用者の求める情報を提供する図書館サービスのことです。それが自分で普通に出来てしまうものですから…。例えば月曜日の「あ~ぁ、やっぱり。アカデミー賞・・・」から始まる宮崎駿監督に関するお話ですが、これもアカデミー賞で『ハウルの動く城』がオスカーがダメだった。でも、この前の『千と千尋の神隠し』は見事受賞した。今回の『ハウルの動く城』の方が西洋人(アメリカ人には?ですが)には受けが良さそうなのに、ベネチア映画祭など他の映画祭でも評判が良くない。何でだろう?では、この疑問に答えてくれそうな資料は近辺の図書館に所蔵していないか?という感じで簡単にインターネットの検索システムその他諸々のツールで調べられてしまうので(とくに職場が学校図書館ですので、道具一式揃っているわけです!)調べてみると…。このようにして、火曜日と昨日取り上げた久美薫著『宮崎駿の仕事』(鳥影社、2004年)を見つけて、即、手に入れてしまう。そして、その本を読んでしまうと(職場のある町の公立図書館で借りてしまうと電車の中で読むことが出来しまうので帰って来てから…)即、日記に本を片手にアレコレと煩悩の趣くまま書き込んでしまう。しかもその本が面白ければ面白いほど、内容が濃いほど、文章量が増えていくので、ここ最近の有様となるわけです。ところが、アレコレ書いている時は良いのですが、時たま、とくに今日などは、目が覚めると煩悩を使いすぎて頭がボ~ッとしていて(寝不足とは明らかに異なる感覚!)これは頭を少々休めるべきだな~、と悟って、簡略に徒然なるまま書いてみました。本当は、今日の帰りに買い込んだ『アニメージュ』と『ニュータイプ』の中から昨日の繋がりでスタジオジブリの最新作、宮崎駿監督の息子でジブリ美術館の館長さんの宮崎吾郎さんの処女作『ゲド戦記』(最近、この映画は博打だな~、スタジオジブリの鈴木プロデューサーはスゴイな~、て思ってしまいます。でも、宮崎監督の反対にも関わらずあの鈴木プロデューサーが仕切ってやっているのですから何か、裏があるのでしょう。)についてや、宮部みゆきさん(この人は、すごい作家さんです。時代劇からミステリー、SF等々様々なジャンルの本を書いていて、しかもほとんどが成功作という日本人離れした作家さんです。映画化された作品だけでも『蒲生邸事件』や『クロスファイア(上)(下)』等がありますが、アニメ化は今回が初めてです!)『ブレイブストーリー』のアニメ映画化について、書いてみたかったのですが、頭の中の妙な煩悩が燃え尽きるまで止めておきます。最後にひと言、みなさ~ん!いよいよ永野護先生の『【予約】 ファイブスター物語 (12)』が4月10日に発売ですよ~!手に入れたい人はさっさと近所の本屋さんや楽天ブックス、その他諸々へ予約を入れておきましょう!発売当日、店頭買いという夢は捨てましょう!とくに、地方の田舎の人は…。 『ファイブスター物語 (12)』の表紙画が無かったので、この夏映画化される期待の2作品の表紙画を置いてみました。『ゲド戦記』で映画化されるのはシリーズ3作目、『さいはての島へ(改版)』だそうです。
2006年03月09日
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今日も懲りずに昨日の続き、久美薫著『宮崎駿の仕事』(鳥影社、2004年)について、昨日紹介し切れなかった日本のアニメについて少々考えた事を書いてみたいと思います。また、この本に関連する書籍も列挙してみます。さてさて、昨日取り上げられなかった事とは『宮崎駿の仕事』の「補論「日本のアニメはどん詰まり」発言の真意を探る」という章の中での宮崎監督の発言についてです。なぜ、今活気に満ちている日本のアニメ業界について宮崎監督は「どん詰まり」と発言したのでしょうか?これは、宮崎監督が説明するには、僕より二十歳も若い庵野という監督が、「自分たちはコピー世代の最初だ。その後の世代は全部コピーのコピーだ。そしていまや、コピーのコピーのコピーになっているそれがどれほど歪んで薄くなるかわかるでしょう。自分で観てきたものをそのまま描いているんじゃない」という言い方をしていますけど、それは、自分の周りの若い若い人たちと付き合って、僕自身も痛切に感じているのです。と、いうことだそうです。ここで、補足説明ですが庵野監督とは知る人ぞ知るあの『新世紀エヴァンゲリオン』の監督さんです。実は、庵野監督は『風の谷のナウシカ』製作時に原画を担当していて、宮崎監督とは旧知の仲なのです。この本では『ナウシカ』の「クライマックスでの迫真的な核爆発でその腕前を見せた彼は」と紹介されていました。実は、庵野監督と結婚された今飛ぶ鳥落とす勢いのマンガ家、安野モヨコさんが庵野監督とのオタな夫婦の生活を描いた『監督不行届』の中で、監督のことを「メカや爆発は得意だが、人間や動物を描くのが苦手」と紹介されていて、このことが被っていたのが面白かったです。話を戻しますと、庵野監督はその後NHKで放送された『不思議の海のナディア』で宮崎監督の発言の中で語ったとおり、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』やら映画『日本沈没』、果ては宮崎作品の『天空の城ラピュタ』等のおしいとこ取りという、「半ば自虐的に引用に満ちた作品で人気を博した」のです。この辺りの事は、都合の良い事に庵野監督が所属しているスタジオ「ガイナックス」のメンバーが現在のアニメ界を経営・文化・創作活動・社会への影響等々様々な角度から思うところを語った『ガイナックス・インタビューズ』(講談社、2005年)を読んでみてください。という感じで、庵野監督の話については逃げておいて、久美さんはこのような状況を、「旧作のパロディで新作が成立してしまうだけの歴史的厚みが」日本のアニメには出来上がっていたといことだ、と指摘されます。この事はまさしく真実で、この春、児童文学作品の中で超人気の(中学校でコレをリクエストされても対応に困るのですが)『かいけつゾロリ』と同時に上映されるカエルの宇宙人が起こす騒動を描いたパロディアニメ『ケロロ軍曹』がその最たるものだと思います。だってコレ、主人公のカエルはガンプラに嵌まっているし、『キャッツ・アイ』や『ヤマト』、挙句の果てには『千と千尋』等々主要な日本の名作アニメのパロディで構成されているのですから。大体、従兄弟の子どもと見ていて従兄弟の嫁さん(私よりひと回り年上)と私とがそれぞれネタが分かるというのは、チョッと、という感じでしょう。この傾向は業界全体に広がってしまい、庵野監督の『ナディア』みたいに意図して確信犯的に「旧作のストックを複製加工再生産することで活路を見出していった」んだそうです。そして、一方、このような「コピーのコピー」というサイクルに巻き込まれず、「旧作パロディに堕」ちずに宮崎監督はどのような人でも「すっと入り込めて楽しめるような窓口の広いものを志向していった」のです。久美さんはこの
2006年03月08日
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最近、生活が不規則です。皆さんもブログの更新時間が深夜の3時、4時と妙な時間だな、とお思いでしょう。実は此の頃、家に帰宅した後、湯浴みと夕食を済ますと何故か睡魔が襲って来て、そこで仕方なく長椅子に寝転んで寝てしまうのです。そして目を覚ますのが大体深夜の1時ごろ、そこから書を書いたり、本や論文に目を通したり、雑用を片付けブログを書いてベッドに入るのが4時半ごろ、という非常に不規則な生活を過ごしています。これは、学部・院時代からの習性で何故か集中力が高まり、インスピレーションが沸くのが深夜、人が寝静まった頃なので、真剣にモノを書いたりする時は、このような不規則極まりない生活になってしまうのです。さて、今日は昨日の続き「あ~ぁ、やっぱり。アカデミー賞・・・」に関連して1冊の本を紹介したいと思います。ただしこの本、私は宮崎駿監督の大ファンだ~(傍から見れば「信者」)という人にお勧めできない内容です。しかし、これまで私が実際に読んだり書評などで目を通した中で、宮崎駿監督とその作品群に対して、最も辛辣(シンラツ)に論評しているかなり読み応えのある本でもあります。その本とは、久美薫著『宮崎駿の仕事』(鳥影社、2004年)です。著者の久美薫さんは、外国のネットや雑誌に寄稿するアニメの評論家さんだそうです。その久美さんが書いた、「宮崎駿」という日本最強のアニメーション映画ブランドはどのようにして創設されたのかを、そして『カリオストロの城』から『千と千尋神隠し』までの作品遍歴をたどり、それが善悪含めてどんな現象を巻き起こしていったのか、という命題を「宮崎作品」以外のアニメーション作品との関連やその時の社会情勢等を絡めながら解説されています。具体的には、個々の作品の分析に始まり、日本のアニメ史における宮崎作品の位置づけを再考しつつ、これまで指摘されることばかりでその「宮崎作品」の圧倒的な影響力により正面より論じられることは実はほとんどなかった作者のアノマリーを追い、海外進出の難しさ、そして「宮崎ブランド」の弊害にまで論評した、恐れ知らずの一冊です。この本についてアレコレ書いてみたいのですが、それをやるとまた昇天しそうなので、読んでいて面白かった部分を抜粋して取り上げてみます。まずは、海外での日本のアニメの捉え方についてです。実は、海外では日本製アニメーションは学校図書館でもウルサイ「性的描写と暴力的表現」に満ちた危険な代物、という印象が強いのです!私も、この話は聞いていましたがこの本を読んで、まさか『鉄腕アトム』でさえ暴力的である、と非難されていたとは驚きでした。
2006年03月07日
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今日の(と、言っても0時をまわったので昨日ですか)朝方に行われたアカデミー賞の授賞式。日本からは我らが宮崎駿監督の『ハウルの動く城』がノミネートされましたが…。やっぱりダメでしたね。残念!で、アカデミー賞の「長編アニメ部門」にてオスカーを見事に勝ち取ったのがこれも予想通り、ニック・パーク監督の『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』でした。まぁ、ティム・バートン監督の『ティム・バートンのコープスブライド』は面白いのですが、独特の世界観がチョッとね?という感じでしたね。では、なんで今回のアカデミー賞で『ハウルの動く城』が受賞を逃したかと言いますと、如何せん時期が遅かったのが痛かったですね。スタジオジブリは、すでに次回作『ゲド戦記』の作成に大車輪の状況です。あのジブリの鈴木プロデューサーもテレビのインタビューで(日本テレビだったと思うですが)「なんで今頃…」とお話されていましたしね。そして次の理由は、宮崎監督がニック・パーク監督を高く評価している、という点です。実は以前、私の大大大好きな!森薫さんの『エマ』の特集が載っているので衝動買いをした『MOE2月号 もう一度、まんがに夢中!』の中に、「宮崎駿vsニック・パーク スペシャル対談」(東京国際映画祭の企画)という記事があってそれを読んでみると、その対談の記事の中からはニック・パークの宮崎監督に対する深い尊敬の念がにじみ出ていていました。そんな、宮崎監督の手法に感化されたニック・パークがすでにアカデミー賞を2度も受賞している「ウォレスとグルミット」シリーズの長編を出してきたのですから…、旗色が悪いですよ、これは…。そしてトドメは、WOWOWのアカデミー賞特集の中で見つけたこの記事です。なんと、「ジブリの鈴木プロデューサーは授賞式の前に『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』が賞をとるよう応援していると言っていた」んだそうなのです。これも、「宮崎駿vsニック・パーク スペシャル対談」の中に書かれていたのですが、スタジオジブリとアードマン(ニック・パークのスタジオ)との間には、三鷹の森ジブリ美術館(一度行ってみたい~!)にて「アードマン展」を開催するなどの深い交流があるとのこと。うーん、さすがはスタジオジブリ。オスカーなんか眼中に有りませんか!もっとも、「ウォレスとグルミットのコンビが、野菜畑を荒らすウサギたちと抱腹絶倒のバトルを繰り広げるクレイアニメーション」の方が、少し小難しい『ハウルの動く城』よりアメリカ人受けしやすかったかな?と思いますが。そして、最後にオスカーを逃した私的な最大の理由は、アメリカ人には『ハウルの動く城』は理解できない!!!ということです。それはなぜかと言いますと、『ハウルの動く城』の中に散りばめられている「戦争」が影響しているのだと思います。アメリカはイラク戦争真っ最中。劇中最初の久石譲さんの「陽気な軽騎兵」のマーチのもと行進する歩騎兵のきらびやかな出陣のパレードや、港から出航するする艦隊などは、良いのですが問題はその後です。まず、軍艦ボロボロの満身創痍でしかも単艦で寄港してきます。それに追い討ちをかける敵の飛行軍艦の空爆と戦意喪失を狙ったビラ攻撃(海軍大好き人間にとって、軍艦が満身創痍でヨタヨタと帰港する姿には胸が痛みます)。そして、これがアメリカ人にはいちばん良く理解できないor理解したくない、ソフィーの街を襲う敵飛行軍艦の空襲のシーン。映画館でこれを見た時、直感的に「この映画はヨーロッパでは大反響だけど、アメリカでは受けないぞ」と思いました。この空襲のシーンは宮崎監督ご自身の経験も加味されているそうで、すごくリアリティがあります。そこがポイントなのです。この映画、敵国から空襲を受けたことのある国の人にとってはすぐに感情移入できる映画なのですが、空襲をしてばっかりのアメリカさんにとっては「WHY?」といった感覚か、気分を害するか、どちらにしろ余り良い印象を与えないと思います。例えば、原作者ダイアナ・W・ジョーンズ女史の住むイギリスは第一次・第二次世界大戦でドイツに散々空襲を受けましたし、ドイツも第二次世界大戦でドレスデン大空襲のような日本の東京大空襲並みの無差別攻撃を浴びていますし、フランスやイタリア、スペイン(第二次世界大戦中は中立国でしたが、その前のスペイン内戦でやられました。ピカソの『ゲルニカ』で有名でしょう)。なんだか、感傷的かつ心理的で取り留めのない理由ですが、アカデミー賞を逃した理由では無くても、アメリカでヒットしなかった理由にはなるのではないでしょうか?先にオスカーを取った『千と千尋の神隠し』は、実はアメリカ人が大好きな「現代的な少女の成長を描いたファンタジー」ということで、アメリカ人のたちの共感を得ました。アメリカ人は「友情・成長・正義」という言葉にメッポウ弱い、単純な大衆が意外と多いのです(ただ、その大衆=国民を操る政治家や企業人が世界で一番のやり手なのでアメリカは世界一の大国なのです。一人一人の知識の質・量では日本人や沿岸部の中国人の方が遙かに上なのですがね)。脱線ついでにもうひと言、書いておきますが、実はアメリカ人というのは日本人とは随分、感覚が違う国民なのです。例えば夏、蛍が川辺を飛び交う情景を見たとします。皆さんは、まず「うわ~、キレイ!」と思いませんか。ところがアメリカ人は「これが蛍か。はじめて見た」とか、「蛍は、なぜ光るのか」といった実際的と言いますか、非常にドライな見方、捉え方をするのです。つまり、あまり情緒というものに感銘を受けない国民なのです(偏見かも知れませんが…。でも。細かい所にや後先考えない、享楽的で現実主義的な側面があることは否定できないと思います。ただ、これはあくまで一般大衆ですよ)。こんな感じで今日は、『ハウルの動く城』とアカデミー賞というキーワードから思いついたことをサラサラっと書いてみましたが、如何(イカガ)だったでしょうか? それにしても、ニック・パーク監督のあの性悪小動物たち、ペンギンとか今回のウサギどもとか、なんで監督はああいった可愛らしいものを悪役に配するのでしょうかね?まぁ、面白いからそれで良いのですがね。
2006年03月06日
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昨日は転寝をしてしまい、そのまま本格的に寝てしまいましたので、臨時休業となってしまいました。疲れているな~、私…。さて、今日は最近真剣に視聴しているテレビ東京系列で放送されているアニメーション『よみがえる空』と『タクティカルロア』から、大好きな海軍モノである『タクティカルロア』を取り上げてみたいと思います。この『タクティカルロア』は、海上自衛隊の全面的な協力を得て製作された作品です。元々、「メカもの」には強いバンダイビジュアルが作っているので、艦船や搭載兵器に航空機の設定は非常に詳細に出来ています。さらに、この『タクティカルロア』の製作陣は海上自衛隊の新鋭汎用護衛艦「はるさめ」に取材に行くほどの情熱を持って作られています。いや~、感動ですね。最近、映画『亡国のイージス』でもそうですが海上自衛隊は非常に広報に積極的です。日本に自衛隊という軍事組織が存在して、どのような任務・軍備を持っているかを知らない事は、シビリアンコントロール(文民統制=訳が良くないです。今の日本では、本来の意味とは少しかけ離れた意味を持ってしまっています)の根幹に関わることですからね。ちなみに、この『タクティカルロア』のメインとなるメカ、護衛艦「パスカルメイジ」の艦番号『102』は、取材をした「はるさめ」と同じ艦番号で、海幕広報室の許可をもらって使用されているそうです。つまり、この『タクティカルロア』は海上自衛隊の御墨付きを戴いているというわけなのです!では、この『タクティカルロア』のストーリーですが、舞台は近未来。突如、西太平洋上に現れた超巨大な停滞性台風『グランドロア』の誕生にともなう海面の上昇をはじめとする、海流の変化、気候の変動など 気候変化により世界の様相は大きく変化しました。この気候変動により、アジアを中心とした世界各地に『ケース・オメガ』と呼ばれる歴史的な深刻な被害を受けることになります。その『グランドロア』発生から50余年。有史以来の歴史が証明するように、しぶとい人類は血の滲むような努力により復興を成し遂げます。その復興の過程で気候変動の影響などの要因により、安定的で大量の物資を運搬できる海洋航路の重要性が再認識され、人類は第二の大航海時代を迎える事となります。 ところがこれも歴史のお約束、海洋発展の裏に暗躍する、現代的に組織化されたテロリスト=『海賊』たちが航路を荒らすようになります。その脅威に対応するため、民間企業にも武装した自衛機関が組織されるようになります。『タクティカルロア』は、そんな世界で『海賊』の脅威に、民間所属の護衛艦に乗り立ち向かう少女たちの物語であります。実は、この『タクティカルロア』ではメインマシン「パスカルメイジ」の乗組員は艦長、美咲七波二佐以下全員が女性という設定で、その女性陣も今時のアニメ出てくる「萌え」的少女&女性が一式でてくるという「やってくれたな! 」という設定です。これまで海軍は「海の男」の仕事!と思われてきましたが、最近では世界中の海軍で女性が活躍しています。海上自衛隊でも婦人自衛官を「WAVE」と呼んで艦艇にも配置しています。英国海軍では垂直離着陸機「ハリアー」のパイロットとして女性が任務に就いているそうです。でも、軍艦に女性が乗っていた歴史は遙かに遡ります。ロイ・アドギンズ著、山本史郎訳『トラファルガル海戦物語』(原書房、2005年11月)によると、士官や下士官の妻や男装した女性、さらにはある種の女性が戦列艦に乗艦していて、なんとトラファルガ海戦にも参加していたというのです。彼女たちは、球形弾が木片を撒き散らし硝煙が立ち込める中、負傷兵の看護や火薬運びという任務についていました。本の中では、撃沈されたフランスの艦艇の乗員を救助したところ、シャツを脱がないのを不審に思った士官が詰問してみれば水兵に志願した女性だったことが判明して、大騒ぎになったそうです。その他にも、女性が海賊として活躍したという実話を史実に基づき紹介した『女海賊大全』もあります(あと、女海賊を主人公とした読み物としてはセリア・リーズの『レディ・パイレーツ』(理論社、2005年)があります。また、映画『マスター・アンド・コマンダー』の原作、パトリック・オブライアン著『南太平洋、波瀾の追撃戦(上)(下)』(早川書房、2004年)では海軍の軍艦に乗艦した女性がそのような生活を艦内で送っていたかがわかります)。また、現在版「戦う海の女」を描いたシリーズとしてはジェイムズ・H.コッブの『女艦長 アマンダ・ギャレット・シリーズ』があります。このシリーズを書いているジェイムズ・H.コッブ氏は、軍事史と軍事テクノロジーの研究者でもあり、合衆国海軍研究所のメンバーでもあるという人物です。そんな著者が、『タクティカルロア』と同じように近未来を舞台に、合衆国海軍の新鋭ステルス駆逐艦「カニンガム」を指揮してアルゼンチンのマゼラン海峡近辺や中国沿岸で活躍して、次いでアフリカ沿岸でホバークラフト式戦闘艇隊を指揮し、ついに強襲揚陸艦と駆逐艦を指揮する司令としてインドネシア海域で海賊シンジゲートと対決すると言う、昨今の世界情勢を上手に利用して職業柄集めたと思われる情報や資料を集めて作られた、近年まれに見る面白い「現代版海洋小説」です。惜しむべくは、最近新刊が出てないということです。この『女艦長 アマンダ・ギャレット・シリーズ』の最新刊『攻撃目標を殲滅せよ(上)(下)』では、海賊シンジゲートやテロリストが出てくるので、何だか『タクティカルロア』と設定がそっくりなので私は絶対影響を受けていると思います。この想像は、多分間違っていないと思いますが、疑う人は『攻撃目標を殲滅せよ(上)(下)』と『タクティカルロア』のDVDを読んで見て比べてみて下さい。 ← タクティカルロアホームページへは、こちらからどうぞ
2006年03月03日
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今日は何だか疲れたので、本格的に寝る前に(うたた寝していました)簡単に興味本位で発注を書けた本が届いて開いてみれば当たりだった、という話を書いてみます。その本とはファンタGメン’05という「『ハリー・ポッター』以降続くファンタジーバブルともいえる現状を打破し、秩序をもたらすために立ち上がったエージェント」たちが作り上げた(本人たちの自己申告)『次の一冊が決まらない人のためのファンタジーブックガイド』(ブックマン社、2005年)です。学校図書館には朝読用の本を選ぶためによく西本鶏介さんの『読書の時間に読む本(中学1年生 2)』(ポプラ社。2004年)のような読書案内やレファレンスに使うためのブックガイドが配架されているのですが…。まぁ、生徒はそんな本には見向きもしません(内容的にはすごく良いものなのですが…)。「何か面白い本はありませんか?」と聞かれた時、たまに司書である私や教員が捲る位なものです。つまり、生徒の求めるものとそういった読書案内の本との間には認識の溝があるわけです。そこで、生徒に人気のあるファンタジーについてのブックガイド、という紹介があったこの『次の一冊が決まらない人のためのファンタジーブックガイド』を購入してみたのですが、これが見事当たりだったのです。さて、この本を作るきっかけになったエピソードに、私は深く深~く共感します。この本を作ったファンタGメン隊長の清水克衛(カツエ)さんは、昨今の『ハリー・ポッター』に始まる「ファンタジーブーム」によって「秩序もなく、ブームに乗っかれとばかりに出された作品たち」が郊外大型書店の店頭に無秩序に、何の敬意も払われずに並んでいる姿に怒りと、出版不況に対する恐怖を感じたそうです。清水さんはご自身も「本当に面白い本を売りたい」という思いを持って東京江戸川区に「読書のすすめ」という書店さんを経営されている「本屋さん」だそうです(他にも、NPO法人読書普及協会の理事長もされているそうです)。そんな「本屋さん」でも「どれがおもしろいのか、どれを読んだら良いのか見当のつかない」状況なのだそうです。これは、私たち司書も同じです。1冊1冊目を通すわけにもいかず、かといって無責任には選書できない。楽をしようと思えば、T○C等が出しているブックカタログを使えばよいのですが、それでは学校図書館の個性と面白みがなくなってしまう、という悩みがあります。そこで、簡単に自分で考えて選書を行う際に参考にするのが書店の店頭に平置きされたり、ポップが置いてある売れ筋の本なのですが…。肝心の「本屋さん」がわからない!と自己申告しているのこれからは気を付ける様にしましょう。ただ、手書きのポップはその本を読まなければかけないだろうから、これは一応信用しておきますが。こんな風に、ファンタジーに関心を持つ清水さんのような「本屋さん」に、ファンタジー作品を翻訳している翻訳者で白百合女子大学非常勤講師の三辺律子さん(『龍のすむ家』等を翻訳されてます)。そしてファンタジーと密接な関係のあるゲームクリエイターでシナリオライター・作家でもある実弥島巧さん(『テイルズオブ~』シリーズのシナリオを担当!)と、SE、WEBデザイナーで「ファンタジー初心者」の山田正晴さん。現在は主婦業に専念しながら子どもと共に楽しめる本を探しているライター、編集者の前田まゆさんと、児童文学サークル所属で現在「異世界(二次元)に散在の日々を送っている」という泉泉さん。このような多様な面々が「さらなるファンタジーの世界に足を踏み入れてほしい」という思いを集めて作り上げたのがこの『次の一冊が決まらない人のためのファンタジーブックガイド』です。この本、ファンタジー作品についての詳細なレビューの他にも、レビューでは書けなかったウラ話満載のファンタGメン座談会や、翻訳家・金原瑞人さん(『バーティミアス(3)』シリーズの翻訳をされてます)への「~ファンタジーブームはいつまで続くのか?ハリポタが日本にもたらしたものとは?ファンタジーの変遷、子どもをとり巻く本の現状まで~」という題のインタビューがあります。おまけとしては、ファンタジー映画紹介とファンタジー入門者のためのファンタジー用語解説、古典ファンタジーの紹介も載っています。という感じで、この本に紹介されているファンタジー作品についての諸々の紹介&解説は、また今度と言う事で…(最近、このパターンが多いなあ~)。
2006年03月01日
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