お隣さんの国：韓国からの手紙

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2016/06/22

高校平準化

(4)

カテゴリ：韓国の高校

成績最上位圏と下位圏以外は、
近所の高校に行くことになっている。
中学校進学のようなものだ。

最上位圏は、外国語高校とか科学高校のような
エリートを教育するための高校を受験し、

他の地域のことはわからないが、
はんらの住んでいる天安市では、
成績が下から30％くらいの学生は、

実業系や郊外の高校などに進学するようだ。

ノギさんの頃までは、
高校受験がそれはそれは熾烈だったそうだ。

というのも、韓国は儒教の教えが根深く、
学問が非常に重んじられてきたため、
田舎の貧しい家門でも、
たった一人、身分の高い役人の試験などに合格して
政府の高官にでもなろうものなら、
その一族全員がその恩恵にあずかれる世の中だったようだ。

だから、ノギさんの時代くらいまでは、
「これは！」

家族全員で働いてその子を勉強させ、
偉い人にしようと必死だったらしい。

ノギさんは田舎で生まれているが、
お兄さんとノギさんは、
中学校から、近くの「テグ市」という都会に「留学」して勉強にいそしみ、

働いて兄や弟の学費を作ったらしい。

当時はそんな家が多かった。

高校受験があまりにも過熱し過ぎていろんな弊害が出てきて、
その結果、生まれたのが、
この「高校平準化制度」だと聞いている。

高校にレベルの差がなくなったので、
もう、都会に留学することもなくなり、
過熱した高校受験もなくなった。

めでたしめでたし～

となるはずはなく、
やっぱりこれはこれで問題があって、

第一に、子供たちの目標がはっきりしないから勉強しない！

韓国の強い母親にガッチリつかまれて、
いやいやながら塾に通っている子は多い。

でも、本人が、
どこそこの高校に行きたいから頑張って勉強しよう！
というのが無いから、
勉強のモチベーションが上がらない。

さらに、レベルの差がなく高校に行くと、
レベルの高い授業をやる高校が無い。
そのため、学力がどんどん下がっている。

普通、学校の授業は、
真ん中くらいのレベルの子に合わせて進められるので、
上位圏の子は、深い高度な勉強がしたければ、
塾に通ったり家庭教師をつけるしかない。

その解決のために、
最近は、高校の中で、
特に英語や数学は
上・中・下のレベル分け授業を行なったりしている。

でも、結局、お金を使って自分のレベルに合わせた授業を受けられるお金持ちは有利なのであって、
教育費の負担はどんどん大きくなっていく。

また、高校にレベルの差が無いとはいっても、
やはり、金持ち地域は全体的に幼い頃からお金をかけて子供を教育しているから、
金持ち地域の高校は全体的にレベルが高い。

だから、ソウルの江南、テチドンのような教育熱の高い地域に引っ越そうとする教育熱心なママさんが多く、
テチドンあたりのマンション価格の高騰につながっている。

そういうのは全国共通で、
例えば、テグ市だとスソン区、
天安市だとプルダンドンというところが
マンション価格が上がり続けている。

そしてテチドンあたりのお子様たちは
親からものすごい投入を受け、
大きなプレッシャーに苦しんでいる子も少なくないというし、

庶民地域のお子たちは、
投入もされない代わり、
最初からテチドンのお子たちと競争になるはずもないと、
親子ともども、諦めモード。

こんなふうに問題は山積みじゃ。

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