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面倒で鬱陶しいお話は、苦手です。 それでも、『グロテスク』や『メタボラ』は、良い作品でした。 なので、本著も桐野さんの書いたものということで、読んでみましたが、 これまで読んだものとは、随分違ってました。 まず、読んでいる間、ずっと気分が悪かったです。 それは、主人公・岩見有紗という女性に対する感情。 普通、主人公に対しては、読み進めるうちにどこかしら共感できる部分が出てくるものですが、 彼女に関しては、そういうものが、ほぼ皆無のままエンディングを迎えてしまいました。この作品は、元々「VERY」という雑誌に連載されたもの。ですから、その読者層をターゲットにして書かれたお話なのでしょう。しかし、それにしても、です。あまりにも、ものの見方やとらえ方が浅はかで、自分だけが大好きな主人公。当分、この手のお話は、読みたくない気分になりました。ひょっとして、こんな風に思わせるのが、桐野さんの狙いだったのかな?
2016.03.24
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第一作と第二作は、TVドラマの原案になっていましたが、 この第三作は、全く別の新たなお話が四つ掲載されています。 まさにオリジナルで、ちょっぴり大人のムードなのですが、 里佳子がとても強い上に、山猫と怪しい関係らしい。 さて第一話は、姉が死んだ本当の理由を、山猫らの助けを借りて探る妹のお話。 続く第二話は、自分が人の心を見透かす能力を持っていると思い込んでしまった男のお話。 第三話は、振り込み詐欺グループに所属していた男が、300万円を持ち逃げし、 自分のバンドを売り込んでくれるという、偽プロデューサーに渡しちゃったというお話。そして第四話は、犬井が山猫の師匠と思われる白石という男に接触し、その弟子・天野義喜を追い詰めるが、それは山猫ではなかったというお話。その後、犬井が自分の部屋に戻ると、そこには山猫が残していったジャックダニエルが。二人の追いかけっこは、まだしばらく続きそうな予感。なので、そのうち第四作も読むとしますか。
2016.03.23
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怪盗探偵山猫の第二作。 TVドラマでは、スタートから登場した真央が、 原作では、今回から登場。 ただし、女子高生ではなく、男子ですけど。 そして、細田も登場(こちらはドラマ同様太いです)。 ただし、第2作では、まだ死んでいません。 赤松 杏里は、すぐに死んじゃいましたけど。 中岡 太一も、ドラマ程の存在感はないです。お話の根幹としては、次期都知事候補の藤堂健一郎が、自らが組織した元警察官を構成員とするウロボロスを使って、カジノ誘致時に、邪魔な存在でなるであろう三矢会とサーベントを対立させ、自らが利益を独占しようとしていたことを、山猫に暴露されるというもの。そのウロボロスのお話に、原作では真央の話が組み込まれていて、TVドラマとは、お話の流れが前後しています。そして、第一作同様、さくらの活躍が目立ちます。さらに、それ以上に目立ってるのが犬井です。さて、原作はあと2冊、既に出版されていますが、TVドラマで言うと、まだ残ってるのは、結城天明絡みのお話だけ?ひょっとして、ドラマでやってないお話があるのかな?とりあえず、「鼠たちの宴」に取り掛かります。
2016.03.21
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神永さんの作品はいつか読もうと思っていたけれど、 TVドラマが予想以上に面白かったので、 この作品を読むことになりました。 本当は最終回を迎えるまでに読み切りたかったのですが…… さて原作の方は、TVドラマと少々設定が違うようです。 (もちろん、本当はTVドラマの設定が、原作と異なるのですが) 勝村やさくら、関本、里佳子は登場していますが、 高杉真央は登場していません(少なくとも第一作には登場しません)。そして、さくらが憧れの先輩で、勝村がその後輩という設定になっています。(TVドラマでは、勝村の方が憧れの先輩ということになっています)そして最大の相違点は、さくら視点でお話が展開していくということ。つまり、原作は、刑事・さくらがメインのお話になっています。そして第一作は、勝村の先輩・今井が、自らの雑誌に残した手がかりを追って、山猫たちが、警察官の麻薬密売に迫っていくという内容。TVドラマでは、4話か5話辺りのお話です。さて、第2作では「ウンコロス」ではなく、「ウロボロス」の登場です!
2016.03.20
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シリーズ最終巻。 竹内調査事務所へと転身した玲奈だったが、 琴葉との関係破綻のショックから立ち直れず、全く精彩がない。 妹の復習が全てだった彼女は、ただの抜け殻になっていた。 一方、念願の須磨の個人指導を受け始めた琴葉は、 通り魔事件を起こして東京拘置所に身柄を拘束されている少年Aに対し、 遺族の無念を伝え、加害者の思いを直接聞き出したいと言い出す。 そんな琴葉に、桐嶋は拘置所侵入を強く制止したのだが…… 独居房で収容されていた少年Aが、刃渡り15cmの果物ナイフで背中を刺されて死亡した。そして、拘置所の防犯カメラには琴葉の姿が。さらに、同じ拘置所内で、第二・第三の被害者が出てしまう。桐嶋からの連絡で、拘置所での事件の真相を追うことになった玲奈。そこには、妹の仇・市村凛を育てた姥妙悠児の影もちらつく。そこに名物リポーターの逢坂も加わって、姥妙を追う。玲奈、覚醒。事件の謎を解明、琴葉を救出して、姥妙を倒した玲奈。探偵の探偵としての日は続く。 ***予定通りの4話完結?まぁ、このキャラで話を引っ張るのは、これで精一杯のような気もします。これまでの数々のキャラたちのように、中途半端に放置されたままになってしまうよりは、この方が、ずっとイイですね。
2016.03.20
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『十二国史』も既刊の文庫版は全て読んでしまったので、 次は何を読もうか少々迷っていたのだけれど、 やっぱり、映画化されたばかりのこの作品にしました。 小野さんって、こっちのジャンルの人っていうイメージもあるし。 さて、このタイトル「ざんえ」と読みます。 TVで盛んに映画のCMスポットが流れてたから、読める人が増えたと思いますが、 そうでなければ、なかなかの難読漢字ですよね。 「穢」は「穢れ(けがれ)」という意味。 死はある種の穢れを生むのかもしれない。 特に強い無念を残し、怨みを伴う死は「穢れ」となる。 だが、それは本来、無制限に残るものではないし、 無制限に感染するものでもない。 穢れに触れる我々も、呪術的な防衛は行う。 死者を供養し、土地を浄める。 だが、あまりにも強いためにそれでもなお残る何かがあるとしたら。 「浄められずに残る何か-」 時間の流れや呪術的な清めでも浄化しきれなかった残余の穢れ。(p.230)この作品は、その「残穢」をめぐるお話ですが、主人公の女性作家が、怪異の真実を追い求め、冷静に淡々と語り続ける展開になっています。そこには、恐怖を煽る表現や、ドキドキハラハラのシーンは、ほぼ皆無。あくまでも冷静沈着に、事象を客観的に観察し続けている。 問題は様々な怪異が、意味ありげに連鎖していることにあるが、 その内実はどれも異常な音がする、黒い人影を見た、気味の悪い声が聞こえる、など、 怪談でお馴染みの現象だとも言える。 身も蓋もない言い方をするなら、ありがちな怪異について調べていたら、 ありがちな怪異がさらにいくつも出てきた、という現象でもある。 ありがちだからガジェットが重なる。 重なるから連鎖しているように見える。 そう解釈することだって可能だ。 特にいま、これほどまでに広範囲に拡大すると、 かえっていくらでも関連する材料を拾い上げることができる。(p.310)ちょっと異質なホラー作品。小野さんの筆力を感じることが出来る第26回山本周五郎賞受賞作。読みやすくて、知性が感じられる。でも私は、やっぱり『十二国史』のほうが好きです。
2016.03.07
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DV被害女性集団失踪事件は、まだケリがついていなかった! 峰森琴葉は桐嶋と共に、野放図で探偵との連絡係だった宇佐美秋子と接触。 紗崎玲奈の妹・咲良を死に追いやった澤柳菜々の居場所を聞き出そうとする。 しかし、秋子は口を割らなかった。 それでも、スマ・リサーチ社の調査力により、澤柳菜々の素性は明らかに。 そして、DV被害女性集団失踪事件の被害者の一人・市村凛が、 DV加害者に追われ、スマ・リサーチ社に助けを求め逃げ込んできた。 またしても、澤柳菜々が動き始めたのだ。市村凛だけでなく、他のDV被害者の元にも、スマ・リサーチ社の社名入りの封筒を用いて、紗崎玲奈の名を語った手紙が送られていた。そして、そこにはGPSが仕込まれたブラックボックスが入っていたのだ。被害者たちの居場所も行動も、既に澤柳菜々に把握されていた。そして琴葉は、姉・彩音からのメールにおびき寄せられ、澤柳菜々に捕らわれてしまう。その正体は、なんと玲奈と琴葉が匿っていた市村凛だった。さらに、玲奈も捕らわれてしまい、バスタブの中でコンクリ漬けにされてしまう。それでも満足しない市村凛は、琴葉をも手にかけようとしたが、そこに玲奈が現れる。「お姉ちゃんが助かるなら玲奈さんが死んでもいいです」バスタブでコンクリ漬けにされようとする姉・彩音を目の前にして、市村凛に言わされたこの言葉が、玲奈と琴葉の関係を断ち切ってしまう。玲奈はスマ・リサーチ社を去り、竹内調査事務所へと移っていった。そして次巻、市村凛の師匠・姥妙を追う。
2016.03.05
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37歳独身の大町ツキコは、 数年前に駅前の一杯飲み屋で、一人飲んでいる時、 隣りに座った年配の男性に声をかけられる。 それは、高校で国語を教わったセンセイ・松本春綱だった。 30歳以上年の離れた二人だが、それ以来飲み友達になり、 はしご酒をしたり、センセイの家で最後の一杯で締めくくったり。 プロ野球の贔屓チームを巡って疎遠になったこともあったが、 一緒にキノコ狩りに行ったり、花見をしたり。しかし、同級生だった男性から好意を持たれても、何か物足りなさを感じたり、花見でセンセイが、人気のあった女性教師と仲良くするのを見たりしたとはいえ、まだ30歳代の女性が、70歳がらみの男性に、こんな感情を抱くものだろうか?まぁ、父親と同年代の男性と結婚する女性も、ちゃんといるわけだから、こんな疑問を感じてしまう私の方が、恋愛感情というものに疎いのかもしれない。純粋にお話として受け止め、ほんわか、あったかい気分に浸ればいいのだろう。 ***なんと、川上さんの作品を読むのは、これが初めてだった。芥川賞選評で、何度も文章は読んでいたので、すっかり、作品も読んだものだと思い込んでいた。ビックリポンである。
2016.03.05
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