森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.01.23
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最近の動物園の動物舎は温度、湿度、日照時間もその動物の生息地に合わせてコンピーターで管理されています。

繁殖相手もあてがわれています。いたれりつくせいです。
ところが、ストレスから解放されて、命が危険にさらされることがないにもかかわらず異常行動を示すことがあります。
たとえばチンパンジーは自分の手の届く限りの毛をむしり取り、オウムは羽根を全部抜いて裸になってしまうのだそうです。胃潰瘍になる動物もいます。
どうも精神状態がおかしくなっているような感じです。

動物園の動物は、人間でいえば冷暖房完備の部屋で、テレビやステレオ、ゲーム機にかこまれて出前の寿司やピザを食べているようなものです。
これ以上の事を望めば罰が当たるような生活です。どこの家でもよくある光景です。

今の日本の子どもでいえば、充分な食べ物やおやつ、有り余るおもちゃ、携帯やゲーム機を買ってもらい、望外な金銭を与えられています。

普段はスポーツ教室、習い事、学習塾といかにも充実しているかのような日々を送っています。
大人は数少ない子どもに何不自由のない生活をさせています。
でもこれは、恵まれ過ぎた動物園の動物と変わりないのではないでしょうか。

こんな話もあります。都会で暮らしている人が、田舎で一人暮らしになった親を都会に呼びよせることがあります。
体が不自由になり、一人で暮らすのはさびしいだろうと思ったのです。
一人で田舎に置いておくには忍びないという親思いの心です。
ところがその親はストレスがなくて悠々とした生活が与えられた途端に、ボケが急速に進行していくというのです。
それは都会に移り住んだものの何もすることがないのです。こんなにつらいことはありません。
親切心が余計なお世話になってしまったのです。

森田がよく言うところの日常茶飯事を丁寧にこなすことは面倒なものです。しかも毎日のことです。
それは少なからず大きなストレスになります。ストレスは嫌なものです。

でもこれらのエピソードは適度なストレスは、生きていく上に必要なものであることを示しているのではないでしょうか。

「夜と霧」の著者フランクルもストレスについてこんなことを言っています。
「人間にとって警戒しなくてはならないことは、過剰なストレスが満ち満ちた、いわゆるストレスフルな状態よりも、ストレスがない心の状態である。」
ストレスは人間に生きるエネルギーを与えているのです。
適度なストレス状態は人間が生きるためのカンフル剤のようなものなのです。


不安の裏には欲望があります。その欲望を教えてくれているのは不安です。
また欲望が暴走しないように制御してくれているのも不安です。
人間にとって不安はなくてはならない大切なものです。
不安はストレスと同じように生きるエネルギー源となっているのです。
不安常住の状態が精神を健康に保っているということは頭に入れておく必要があると思います。





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Last updated  2015.01.23 07:09:47
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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