森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.07.05
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次に2番目の「認識・認知の誤りの修正療法」についてみてゆきましょう。
神経症に陥った人は、客観的で正しい考え方や見方ができなくなっています。
そこにとらわれたり、逃避していると神経症を引き起こしてしまいます。

物事をよく見ていない。先入観が強すぎる。思い過ごしが強い。マイナス一辺倒である。
否定的である。無茶である。極端である。飛躍しすぎである。自分勝手に決めつけている。
希望的観測が強い。完全主義である。理想主義である。などです。
具体的な例で考えてみましょう。

1、 ミスや失敗などをしたとき、「自分の人生はもう終わったも同然だ」と考える。
たとえば、会社で事務処理の間違いを起こし、上司に叱られた。

くびになるだろうなどと飛躍して考える。これは考え方がものすごく飛躍しています。
論理的に整合性が取れていません。

2、 一度恋愛に失敗すると、これからも恋愛はうまくいかないはずだと決めつける。
また、私は人と付き合っても、最後にはいつも嫌われて、飽きられてしまうと思ってしまう。
自分勝手に悪い方に考えすぎています。

3、 物事には完全かゼロしかないというような極端な考え方で結論を出す。
白か黒と決めつけてしまう考え方。
この友人は自分にとって役に立つ人かそうではないのかどちらかに決めつける。
役に立つと思えればべったりと引っ付き、そうでないと思うと全く寄り付かなくなる。
その中間をとった付き合い方は考えられない。

4、 データの裏付けもないのに、自分勝手に否定的な結論ばかり出す。

多くの人から評判がよく、有能であると認められているにもかかわらず、たった一人からの評判をくよくよと悲観的に考えたりする。それに振り回される。

5、 自分の先入観で些細なことやネガティブなことばかりを気にする。
物事を両面観でバランスよく見ることができない。
テストでおおむねできているのに、間違ったところばかりを気にして落ち込む。
職場での考課表でプラスの面があるのに、マイナスの評価ばかりに目が向き、劣等感に陥る。


たとえば学校や会社で物がなくなったと友達や同僚が騒いでいるとき、自分が盗まれたと思われているのではないかと気にしてしまう。

7、 確たる根拠もないのに、悲観的な結論を出してしまう。
たとえば、あなたが大学の先生で、とても素晴らしい講義をしたとしましょう。
しかしあなたは居眠りをしている学生を見つけました。
実際にはこの学生は前の晩はコンパで飲みすぎて疲れていたのですが、あなたは、「どの学生も私の講義を退屈がっているのだ」と考えてしまうようなことです。

8、 自分の感情を根拠に決めつける。自分の感情が現実を証明する証拠であるかのように考えてしまうことです。
たとえば、「自分が何をやっても、うまくいかなくダメな人間のように感じる。
その感情が湧くことが何よりダメな人間の証拠だ」や「私はあなたに対して腹を立てている。これは、あなたは価値のない人間であることの証拠のようなものだ」などのように考えてしまうことです。

9、 自分や他人に対してレッテルを貼って決めつけることです。
たとえばスポーツで失敗をしたとき、「私は何をやってもいつも失敗する」と思ったり、他人が失敗をしたとき、「あの人は能力のない人」と決めつけてしまうことです。
そういう先入観ですべてを判断してしまう態度のこと。

10、 「かくあるべし」的思考をする。
自分に対して、他人に対して「○○しなければならない」「○○してはならない」と規範で行動を規制しようとすること。現実、現状、事実を無視しています。
理想と現実が違うことを思想の矛盾といいます。
森田では、この認識の誤りが神経症の発症に大きく絡んでいると考えています。

この療法は、自分の物の見方、考え方、行動の仕方は、認識・認知の誤りやゆがみがあるのではないかという前提にたつことが大切です。
その自覚に立ってこそこの療法は成り立ちます。
この修正療法では、別の見方、逆の考え方、反対の視点を思いつく限り考え出して、反駁をしてゆきます。

その場合、一人でやる方法もあります。
一人で行う場合は、ノート等に書き出して、反駁をしてゆきます。
物事を客観的に両面観で見ることができるようにしてゆきます。
次に人から反駁をしてもらう方法があります。
その場合は、素直になって聞くことです。反発したくなっても、まずは我慢して聞いてみることです。
さらによい方法があります。具体的な事例を出し合って、何人かで検討してみることです。
集談会などの学習の場を利用するとよいでしょう。
さまざまな反駁が出て、多くの気づき、発見が生まれる可能性があります。

最終的には、自分の普段の生活の中で、自分の考え方は一面的ではないか。
短絡的で投げやりになっていないか。ネガティブ、悲観的ではないか。
先入観や決めつけで判断していないか。「かくあるべし」で自分を追い込んでいないか。
自己検証ができるようになる能力を少しずつ獲得してゆくことです。
認識・認知の誤りは数多くありますので、一つ一つ先輩会員の協力を得て検討してゆきましょう。






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Last updated  2015.07.05 07:00:32
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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