森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.07.17
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幼児期に両親が子どもとどうコミュニケーションをとってきたかということは、その後の子どもに大きな影響を与えている。
例えば弟や妹が生まれる。自分ひとりのときはみんながかまってくれてその愛を独り占めできた。
ところが弟や妹が生まれると、そちらの世話にかかりきりになる。
自分のことは以前ほどかまってもらえなくなる。するとどんなことが起きるのか。
「やきもち」をやくようになるのである。嫉妬するようになるのである。

二歳のあきら君に弟が生まれた。
あきら君は、お母さんに抱かれた弟を見るとやきもちをやき嫉妬するようになってきた。
あきら君はその気持ちに突き動かされて、弟に蹴りを入れるようになりました。
お母さんは、生まれたばかりの赤ちゃんがケガをするのではないかと気が気ではありません。

「あなたはお兄ちゃんなんだからやさしくしてあげてね」

両親が何度話して聞かせても、あきら君の弟への攻撃は止みませんでした。
しだいに両親は、弟への危険を回避するために、あきら君を叩くようになりました。
両親はきちんとしつけなければと焦って、たたかれて泣き叫ぶあきら君を「ごめんなさい」が言えるまで、風呂場に閉じ込めてしまうようになりました。
そのうちなかなか「ごめんなさい」が言えないあきら君がかわいいと思えなくなりました。

あきら君は、お母さんが他の人との会話で「あきらのやきもちがひどくて、こまっているのよ」という言葉を聞いて、自分の身体を流れている感情はやきもちだということが分かります。
でも同時にこの「やきもち」という感情は大人にはけっして受け入れてもらえないマイナスの感情なのだということも学習します。
嬉しい、楽しいといった感情はいくら出してもよい。
でもマイナスの感情、ネガティブな感情は決して人前に出してはいけない。
そのような負の感情は抑圧し、決して表出させてはならないのだということも学んでしまっているのです。

頭では弟をいじめてはいけないと思っても、実際には弟がお母さんに抱かれていると嫉妬心が自然にあふれだしてしまう。

あきら君は二つの気持ちの狭間で混乱状態に陥ってしまっているのです。

普通子どもたちはこういう接し方を絶えず受け続けて成長していくのです。
するとマイナス感情、ネガティブな感情を自分では受け入れることができない人間になります。
抑圧し、無視し、拒否し、否定するようになるのです。
また他人のそういう感情も許すことができない。八方ふさがりの状態です。


つまりあきら君の気持ちに寄り添うようにするのです。
なにはさておき、あきら君の気持ちを汲んであげるようにするのです。
あきら君の気持ちが分かると、弟と同じくらいあきら君も抱っこしてあげるようになるのではないでしょうか。「あきらも今度生まれてきた弟と同じくらいかわいいのよ」と言葉をかけてあげることができたのではないでしょうか。
少なくともあきら君を叱る、叩く、閉じ込める、嫌いになるという方向には向かなかったのではないか。
子育てではここがとても大切だと思います。
これは子育てに限りません。
マイナス感情、ネガティブな感情も否定しないで、受け入れていくということが人間の成長過程ではとても重要なのだと思います。
(怒りをコントロールできない子の理解と援助 大河原美以 金子書房参照)






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Last updated  2015.07.17 06:58:56
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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